気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

31 / 76
急ですがみなさん、チョコレートは貰いましたか?
ん?作者は貰いませんでした!いやぁ甘いものはどうも苦手で......嘘ですごめんなさいめっちゃ大好きです貰えなかったですよぉぉぉ!(泣)

でも気にしない!なぜなら慣れてるから!
...はい、そろそろしつこいですね。

今回は特別編!内容は見てわかる通りバレンタインです!
ではごゆっくり


特別編:バレンタインな白玉楼

「ふん!...はぁ!......せやあ!」

 

白玉楼の庭では、今は妖夢が稽古の真っ最中である。俺は妖夢の稽古の見ながらお茶をすする。はぁ、お茶が美味い。なんだろうな〜この渋いというか少し苦いというか...よく分からないけど美味い。

 

「......ふぅ」

 

なんて事を考えていると、妖夢は刀を鞘に直してこっちに歩いてきた。

 

「お、妖夢。稽古は終わったのか?」

「はい。ちょうど時間だったので」

「時間?なにか予定でも?」

「い、いえいえ、こっちの話ですので 」

 

妖夢はそう言って部屋に上がり、台所へと向かって行った。まるで何か慌てているようにも見えたのだが.....

 

「なんでもいっか」

 

わざわざ追求する必要もなさそうだし、あの妖夢だ。いつかは言ってくれるであろう。俺は再びお茶を一服し、庭に咲いてある大きくて立派な桜を眺めていた。

 

「あら陽斗。眠そうね」

「別に眠くはないのだが...」

 

桜を眺めていると、隣から幽々子が歩いて来た。

 

「いいじゃない。なんとなく言っただけ」

「そうか?」

「ふふ...隣、いいかしら」

「あぁ、どうぞ」

「それにしても、お腹すいたわ〜」

「いきなりかよ......食べ過ぎじゃないか?」

「あら、食事は私にとって呼吸と同じ事よ?」

 

そう言い、幽々子は手を口元に当ててクスッと笑う。確かに、幽々子にとってはそうかもしれないがホントに食べ過ぎだと思う。この前もそうだった。俺はおやつ感覚で夜ご飯前にケーキを作ったんだ。俺と幽々子と妖夢の分3つ作った。それをみんなで食べ始めて、ケーキだからすぐに食べ終わった。作ったケーキはちょっとクリームを多めにして生地も大きめに作った。俺と妖夢は腹いっぱいまではいかなかったが満腹感はあった。だが幽々子だけは『あと5つはいけそうね』と。

あの時、幽々子が恐ろしく感じた。

 

「俺的には心配してるのだが......」

「大丈夫よ。私はもう亡霊だから」

「いやいやそういう問題じゃなく」

「あ、そろそろ時間だわ」

 

すると幽々子が急に立ち上がった。ん?どこかに行く予定でもあるのか?俺は不思議に思い、幽々子に聞いてみる事にした。

 

「幽々子。紫のとこでも行くのか?」

「ん?違うわよ。ちょっとね」

 

と言って幽々子はチラッと俺の方を見て部屋に向かって行った。うーん。なんか、妖夢も幽々子も忙しそうだなぁ。俺は暇だけど。

 

「......まぁ、いいか」

 

あんまり深く関わるような事じゃなさそうだし、そこまで気にはならないな。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「マスタースパーーーク!!!」

「あっぶねぇっ!!!」

 

とりあえず状況を説明するなら、目の前から来たマスタースパークをギリギリ避けた、と言うべきだろうか。

 

「あ......」

「あ、じゃねぇよ魔理沙ぁ!」

 

俺はマスタースパークが飛んできた方を見ると、そこにはホウキに乗って唖然としている魔理沙の姿があった。

 

「とりあえず、なんでいきなり...」

「うーん......なんとなくだぜ!」

「なんとなくで人を殺すんじゃねえ!」

「陽斗ってもう死んでるよな」

「......うっせ!」

 

魔理沙はそう言い、俺をニヤニヤした顔で見てきた。あぁもうそう言われると負けた気がするじゃん!っていうかちゃんとした理由が聞きてぇよ!

 

「それより、陽斗はなんでこんなとこにいるんだ?」

「あ、俺か?」

 

ちなみに、今俺と魔理沙がいる場所は冥界から少し離れた魔法の森のどこかである。理由は...

 

「幽々子と妖夢が用事があってな。それで俺はひまになったから......そして気づいたらここにいた」

「本音は?」

「......道に迷った」

「だと思ったぜ」

 

いや別に空を飛べばいい話なんだが、魔法の森かなんか知らないけど空が飛ばなくなってるんだよなこれが。なんか変な結界か魔法でもかかってるのだろうか。

 

「そもそも、なんで魔理沙は飛べるんだよ」

「私は能力を使ってるからな」

「あ...そうすか」

 

なんか、もう嫌だ......。

 

「とりあえず、私の家に来るか?」

「え、いいのか?」

「おう、大歓迎だぜ!」

 

魔理沙の能力に羨ましがっているうちに魔理沙が俺を家に入れてくれることになった。そういや、魔理沙の家に入るのって初めてだよな。そもそも魔理沙の家の場所すら知らないけどな。

 

「それじゃあ、頼むよ」

「おう、こっちだぜ」

 

こうして、俺は魔理沙の行く方へとついて行く。っというか、いくら歩きなれてるって言っても、よく普通に歩けるよなぁ。さすが魔法の森の住人。

 

「......」

「ん?どうした魔理沙?」

「普段飛んでるから道が分からないぜ」

「......そうか」

 

住人といえど、やはりそういうわけではないそうだ。

 

 

 

最終的に、魔理沙のホウキに乗せてもらい、家まで送ってもらった。

目の前には大きく立派な家が建っていた。そしてその家には看板があり、その看板には『霧雨魔法店』と書かれていた。

 

「魔理沙って店でも開いているのか?」

「まぁ、一応開いてるけど客は来ないぜ。まぁ入れよ」

 

魔理沙はそう言い、玄関を開いてちょいちょいと手首を動かす。俺はお言葉に甘え家に入っていく。魔法店って書いていたから、魔法の道具でも売っているのだろうか、凄く楽しみだ。

でも、なんだろうかこの感情。生きてる時の感覚がまだあるのか、俺は少し緊張していた。みんなそうだろ?

 

女の子の家に入る時ってさ......

 

 

 

「ここが私の家だぜ」

「おぉ!結構広いんだな。それにちゃんと片付いて......いないな」

 

魔理沙は少し胸を張ってそう言った。確かに広かった。だが、恐ろしく散らかっていたのだ。本は山積みに、食器は重ねられたまま。女の子の部屋と呼ぶには少し遠かった。

 

「気にすんなだぜ!」

「いや気にしろよ!」

「うーん。これでも片付けた方だぜ?」

「こ、これが!?」

 

片付けてなかった時のこの部屋は見たくないな。少なくともそう思う。

 

「まぁゆっくりしていけよ」

「俺的には部屋が気になるのだが......」

「な、なんなら片付けてもい、いいんだぜ?」

 

すると魔理沙がそんな事を言い出した。なにやらチラチラと見ながら言ってくるが......あっ、

 

「おい魔理沙。もしかして.....」

「な、なんだぜ」

「初めから俺に片付けをさせるために」

「お願いだ陽斗!」

 

俺は魔理沙に確認を取ろうとすると、その前に魔理沙が手をパンっとさせそう言ってきた。

 

「こ、このやろう......」

 

この時俺は初めて、魔理沙にそう思った瞬間であった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

結局、俺は魔理沙の部屋を片付けた。正確にはさせられた、のほうがあってるだろうか。

 

「それにしても痛かったぁ......」

 

俺は横腹を抑えながらそう呟いた。なぜ痛いのかって?それは魔理沙の部屋を掃除している最中、魔理沙が『私の部屋もしてくれると助かるぜっ』なんて事を言い出したもんだから、俺はついでだと思い魔理沙の部屋に入った。俺は部屋を見渡し、掃除を始めた。まずは散らばっている床から始めた。置かれている本をどかし、ゴミを集めようとすると俺の手に何か引っかかったのだ。俺はそれを手に取り見てみると、その引っかかった物は魔理沙の下着だったのだ。俺は慌てて手放すが、魔理沙は顔を真っ赤にしていてうつむいていた。俺は立ち上がり謝ったが、魔理沙は手に持っているホウキで俺の横腹を直撃。最終的には横腹を抑えながら掃除をしたのだがな。

 

そして俺は今、その帰りで白玉楼の目の前にいた。

 

「ただいまー」

 

俺は門を潜り、そう言った。庭には誰もおらず、桜の花弁だけが散っていた。

 

「2人とも中かな?」

 

きっと妖夢がご飯でも作ってて幽々子は食事をしておるのであろう。俺はそう思って扉を開ける。

 

「あら、おかえり、陽斗」

「陽斗さん、おかえりなさい」

「おう、ただいま」

 

扉を開けると、そこには予想とは違ったが妖夢と幽々子が居た。妖夢は正座をしていて自分の半霊を撫でていた。幽々子はお茶をゆっくりと飲んでいた。

 

「ねぇ陽斗。今日は何の日かわかるかしら?」

 

突然、幽々子がそんな事を言ってきた。え、今日?今日ってなにかあったっけ?

 

「......分かんないな。何の日だ?」

「今日はね...はい、どうぞ」

 

すると幽々子はなにやら箱を渡してきた。なんだろこれ? それに幽々子が俺に何かくれるなんて珍しいな。

俺は箱の中に興味があり、受け取ってから箱を開けた。

 

「こ、これは?」

「チョコレートとクッキーよ」

「ん?」

「陽斗。ハッピーバレンタイン」

「......あっ」

 

なるほどな!そういや、今日ってバレンタインだったよな、完璧に忘れてたよ。なんで忘れてたのか?当然、生きてるときに貰った事ないからだよちくしょう!

 

「紫から聞いたわ。外の世界ではこの日に、男の人にチョコレートを渡すのだって。だから紫に材料を貰って作ってみたの」

「やっぱり紫か...。でも、ありがたく貰うよ」

 

俺は箱に入っている中から俺はクッキーを先に食べ始めた。一口サイズで食べやすい大きさだったため、俺は一口でクッキーを食べた。うん。甘すぎずしつこくないし、生地もしっとりしてて凄く美味しかった。でも中に何か入ってるようだったが、俺は気にしなかった。

 

「それでね、クッキーは最後にって、もしかして一口で食べたの?」

「ん?」

 

あれ、もしかして食べちゃいけなかったパターン?

 

「た、食べたが......」

「飲み込んだ?」

「あぁ......」

 

俺がそう言うと幽々子はなぜか顔をムスーとさせた。え?なにか悪かった?

 

「もういいわよ。それで、妖夢は渡さないの?」

「やっぱり、気づいてましたか......」

 

すると妖夢は後ろから幽々子とは柄の違う箱を取り出した。へぇ〜、妖夢も作ったんだ。

 

「良かったわね、陽斗」

「い、いえ、これは陽斗さんにあげるのではなく...」

「あら、なら誰にかしら?」

「ゆ、幽々子様...ど、どうぞ.......」

「まぁ」

 

すると妖夢は顔を真っ赤にしながら幽々子に箱を差し出した。なるほどな、妖夢は幽々子に渡すために作ったのか。幽々子も予想してなかったのか、意外そうな表情をしていた。

 

「ありがとう妖夢。なら、後で一緒に食べましょ」

「...はいっ!」

 

そして妖夢も、喜んでもらえたのが嬉しかったのかとても笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜美味しかったわぁ」

 

私は妖夢から貰ったチョコレートを一緒に食べ終わり、そう言った。幻想郷にもチョコレートが普及すればいいのにね。こんなに美味しいとは思わなかったわ。

 

「良かったのですか、幽々子?」

「なにかしら?」

「幽々子様の作ったクッキーですが」

 

そう。私が作ったクッキーだが、あれは普通のクッキーじゃなかった。紫が言ってたわね名前...。なんだったかしら......ふぉーちゅんくっきー?だったかしら?クッキーの中に紙が入っててその紙にメッセージが書いてるのね。

 

「大丈夫よ」

「そうですか。なら、なんと書いていたのですか?」

 

最近、妖夢がヅカヅカと聞いてくるわね。

 

「......ひ、み、つ、よ」

「えぇ〜気になるじゃないですか」

「ほら妖夢。喉が乾いたわ、お茶をくんでなさい」

「う、うう、分かりました......」

 

私はそう言うと、妖夢は残念そうにお茶を汲みに行った。

ちなみに、クッキーの事はあまり大丈夫じゃないけど、まぁいいわ。私が書いたメッセージ。

『これからも傍に居てね、愛しているわ』...だったけど、こんなのありきたりよね。

 

「やっぱり、想いは口で言わないとね」

 

さぁて、そうなれば陽斗ともっと仲良くしないとね。

 




ゆゆ様からチョコが貰えるなら、真っ先に冥界に行きたいですね......。

はい!白玉楼でバレンタインならこんな感じでしょうか?作者は最後の辺りを書くのに苦戦しましたね。やはり、想いは直接言った方が伝わるでしょう!きっと!

意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。