ではごゆっくり
目の前には豪華な料理が並べられており、外には綺麗な桜が咲き乱れている。こんな風景を見ながら、料理を楽しむなんて、とても良いことだと思う。
「そういえばあんたの名前、聞いてなかったわね」
料理を食べながら、レミリアは俺に聞いてきた。そういやそうだったな。
「俺は如月 陽斗。亡霊だ」
「へぇ、あなた亡霊なのね。意外だったわ」
レミリアは納得したような答え方をしたが、すぐさま料理を食べる事に集中した。あの、絶対どうでもいいみたいになってませんか!?結構寂しいんだけど!
「ねぇ陽斗。おかわり持って来てちょうだい」
「あぁ、わかった...ってえ?」
俺が驚いている理由。別に普通だと思うが料理が無くなればおかわりをするのは当然だ。なら俺がなぜ驚いているのか...それは......。
「なぁ幽々子。もしかして、あの量を1人で食べたのか......?」
「えぇ。美味しかったわ」
「いやいや待てよ!あの量をか!?」
あの量。そう、俺はみんなはサービスで2人前の量にしたりしていた。だが幽々子は大食い。俺は幽々子にだけ5人前を用意したのだ。それを幽々子は1人で食べ終えたとは......。
「もう少し多くてもいいわね」
この幽々子の言葉を聞いた宴会のメンバーみんなは愕然としていた。まぁそりゃ無理ないよな。
「よーとー早く~」
「へいへい分かったよ」
俺は幽々子から皿を受け取り、台所へと向かっていった。いやぁ、流石にビックリしたな。幽々子が大食いってのは昔から知っていたが、まさかここまで食べるとは予想以上だった。ちなみに、幽々子の出した料理の大体は外の世界の料理。シチューに唐揚げ、ハンバーグ、この3つと5人前を幽々子に差し出したのだがこれを平らげたのだ。
「...材料、足りるかな......」
これが1番心配であった。
「あの陽斗って亡霊、良く働くわね」
レミリアが料理を食べながらそう呟いた。
「えぇ。陽斗はとてもいい子よ」
「主は食べてばかりだけどね」
「あら失礼ね。あなたも、いつもは館にこもってるんじゃ?」
「私は太陽が苦手なだけ。夜に宴会をしてる。だから来れたのよ」
そう言い、レミリアは再び料理を口にする。
「おーい、おかわり持ってきたぞー」
「もぉ、待ちくたびれたわ」
いやいや、そんなに待ってないだろ。というかレミリアは食べるの遅いんだな。そんなことも思いながら、俺は幽々子の目の前に料理を置いた。
「ねぇ陽斗。これも外の世界の料理?」
「あぁ、そうだな」
幽々子は見たことない料理に顔を近づけて匂いを楽しんでいた。俺は幽々子のこういうところが好きだったりする。
「右から...餃子、焼きそば、最後にハンバーグだ」
「きょうざ、やきそば、はんばーぐ......」
俺は一応、料理の名前を教えるが幽々子は多分、名前はどうでもいいのだろうか、料理をジーッと見つめる。
そして、
「いただきまーす!」
最終的に幽々子は待ちきれないのか、料理に箸を付け皿に料理を盛った。最初に焼きそばを皿に盛り、楽しそうに食べる。
「あら、この料理美味しいわね」
すると幽々子の隣にいたレミリアがそう呟いた。レミリアの食べている料理は熱々のチキンドリアだった。ちなみにこれは友達に教えてもらったのを少し改良した物だ。
「......」
レミリアは美味しそうねパクパクと食べる。なんか、ホントに子供見たいだな。
「ねぇ陽斗」
「ん?」
幽々子とレミリアの食べっぷりを見ていると、俺の横から咲夜が来た。というか、咲夜さんで名前あってるよね?
「咲夜、さん」
「呼び捨てでいいわよ。私も呼び捨てだし」
「わかった」
「あなたは、外の世界の人間なの?」
「あぁ、そうだが......」
「ちょっと聞きたいことがあってね」
すると咲夜はチラチラとレミリアを見ている。なんだ?何か気になるのでもあるのかな。
「ちょっと、あなたに料理の作り...」
「陽斗~おかわり~」
「はぁ!?早すぎるだろ!?」
「はーやーくー」
「......はぁ。わかったよ。咲夜、また後で聞くよ」
「え、あ......」
俺は咲夜の話を中断させて幽々子から皿を受け取った。そして皿を何枚か重ねて台所へと向かった。
「......」
「あら咲夜。食べないの?」
「あ、いえ...食べますよ」
そう言い咲夜は席について食事を始めた。
◇ ◇ ◇
「よぅとぉー。もっと飲めよぉー」
「いやいや、俺はまだ未成年だし、な?」
今の状況を簡単に説明すると......でろんでろんに酔った魔理沙が俺に絡んできている、だろうか。すっごく酒臭い...。
「ていうか魔理沙も未成年だろ?飲んでも大丈夫?」
「私はって...おい、霊夢もなんか言ってやれよ」
「男なら飲んでナンボでしょぉ」
「お前もかぁ......!」
ちくしょぉ!霊夢まで潰れたらもうダメじゃねぇかよぉ!なら、妖夢に頼るべき...
「よぉとさぁぁん~ちょっと聞いてくださいよぉ~」
「おう、なんだ?」
冷静でいると思うなよ?内心じゃ絶望してるぜ?
「あのですねぇ?幽々子様がいじめてくるんですよぉー」
うん、なかなか普通な質問だな。幽々子が妖夢をいじめるって言うか弄ってるの方が当てはまるな。
「だから陽斗さんから何か言ってくださいよぉ~」
「そ、そう言われてもなぁ......」
「なんでしゅかぁー。幽々子様の味方なんですかー」
そう言い、妖夢はでろんでろんの状態で俺に近づいてきた。そして妖夢は俺の服を掴んで顔を近づける。近い近い。
「むぅー」
「......?」
「陽斗さんっ」
「え?うわぁ!」
突然、妖夢が俺を押し倒してきた。妖夢は俺の身体にまたがるように乗って再び顔を近付けてきた。
「えっと......妖夢?」
「陽斗さん」
「な、なんだ?」
「......脱いでください」
「妖夢落ち着け深呼吸だ目を覚ませ慌てるな服を掴むな誰か助けてぇぇぇぇえ!!!」
誰か!誰かホントに助けてくれ!妖夢の目が凄くヤバイんですけど!なんかいつものキリッとした目じゃないんだけど!
「れ、霊夢!魔理沙!」
「「すー...すー」」
「寝るんじゃねぇよーーー!!!」
さっきの勢いはどこにいったんだよ!!? こんな簡単にぐっすりって......寝顔可愛いな。って今はそんな状況じゃねぇよ!
「もぅ、妖夢。そろそろやめときなさい?陽斗が困ってるわ」
すると、それを見ていた幽々子が近づいてきた。
「幽々子しゃま」
「ほら。こっちにおいで。......妖夢はいい子だから、そろそろおやすみなさい...」
幽々子はそう言うと、妖夢が吸い込まれるように幽々子のところに行った。そして妖夢を優しく抱いて背中をとん、とん、とゆっくりと優しく叩いてあげる。すると妖夢はだんだんと目をつぶり始め、
「ゆ...ゆこ......しゃ.......ま.........」
「うふふ。おやすみ、妖夢」
「すー...すー」
妖夢は子供のように眠った。
す、すげぇ。あの妖夢を、まるで赤ちゃんを寝かしつけるお母さんの如く、妖夢を眠らせた......。
「あ、ありがとう幽々子」
「ふふ。妖夢ったら可愛いわね。それに」
幽々子は可愛い寝顔をした妖夢の頭を撫でながら話す。
「...邪魔者もいなくなったし」
.......頼む、聞き間違いであってくれ。
「ねぇ......陽斗.........」
「あの、幽々子?なんで俺を流れるように押し倒すんだ?」
「言ったでしょ?」
「.......」
「邪魔者もいなくなったし...って」
「もう勘弁してくれぇーーー!」
俺は叫んで幽々子から逃げようとするが、時すでに遅し。幽々子はがっちりと俺の両腕を掴み、動けなくする。近くに来て分かったけど酒の匂いがするから絶対に酔ってるだろ!
「もぅ、減らない口ね」
「んぐ!?」
ゆっくりと、幽々子の顔が近づいてきて俺は何をするかと思ったが.......幽々子は自分の胸を俺の顔に当ててきた。これでは静かになるどころかホントに、別の意味で静かになってしまう!
「んんーー!」
「これで静かになったわね」
「んんっ!んーん!」
幽々子はニヤニヤとした笑みをし、その間に幽々子は両手を服に回す。ヤバイってヤバイって!このままじゃ取り返しのつかない事になるって!あ、そういや今なら両手空いてるじゃん。
「やっぱり、筋肉はあるのね」
と、気づけば幽々子俺の上の服を既に脱がしていた。やべぇー!なんとかしないとホントにピンチだぞ!この両手をどう使うか。いや、実際には使い方はある。だがこれはなるべく使いたくないんだが......今酔っている幽々子なら......っ!
「あ、ちょっと陽斗っ...くすぐったいわよっ」
俺は幽々子の背中に手を回し、幽々子をくすぐる。今酔っている幽々子だからこそ出来ること。そして幻想郷だから出来ること。外の世界だったら捕まってるだろうな。
「あはっ、よ、陽斗ぉ......くっあっ」
幽々子はさっきまでの余裕が嘘だったかのように、さっきの表情が明らかに変わってた。俺は幽々子がそんな表情をしてもお構いなく続ける。きっと周りから見たらセクハラと勘違いされるだろう。だって妙に幽々子の表情がエロっぽくなってるもん。なってるもん。
そして何分か経ってから、幽々子はくすぐりに耐えきれず俺の上からどいた。俺は幽々子がどいてから、すぐに立ち上がって幽々子の様子を見た。
「あ...あぁ......」
「幽々子ー、大丈夫か?」
「はぁ、はぁ.........すー...すー...」
「......寝たか」
幽々子はくすぐられて笑い疲れたのか、そのまま寝てしまった。んっにしても、なかなか手強かったな。まさか身体を張ってまで喋れなくするとは...普通の女性なら考えないだろう。それにこんなの、誰かに見られたりしたら......はっ!
「「ジー」」
「レミリア!それに咲夜!」
完璧に忘れてたーーー!!!絶対見られたよな、絶対見られたよなぁ!
「咲夜。そろそろ帰りましょ」
「はい、お嬢様」
「待って!そんなたまにチラチラ見ながら帰らない......ってもういねぇ!」
見られてたー!っていうかいつ帰った!?さっきまで目の前に2人とも居たんだけど......どうなってんだ?
「でも、大丈夫だよな明日。あの2人なら言いふらすなんて事はなさそうだし......」
「なら私ならいいのよね?」
「......」
安心した俺は一息をついたが、それを待ってたこのように紫がスキマで現れた。俺は紫が言った一言を聞いて今、絶望している。
「じゃあ、まずは藍と橙にでも」
「ゆぅぅぅかぁぁぁりぃぃぃぃーーー!!!」
この後、俺は紫を追いかけ回した。
みんな酔っ払いましたね。書きながら妄想力をフル活用させてもらいましたよぉ!そしてゆゆ様もついにお酒の勢いで......まぁここで終わる作品じゃあ御座いませんよ。まだまだ続かせてもらいます。
意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!