本編を楽しみにしてた皆さま、お待たせしました!
ではごゆっくり
「なめられたものね。良いわ.....魔理沙!」
「わかってるぜ!」
「ふふ。さぁ、来なさい......」
幽々子はクスッと霊夢と魔理沙を笑い、手に持っていた扇子を広げて口元に当てた。幽々子にとってはきっと、2人を挑発するようなものなのだろう。霊夢はそれを見てなんともなかったが、魔理沙には応えたそうだ。
「くっ、このやろぉー!」
「あっ、魔理沙!」
魔理沙は幽々子に向かって飛んでいった。霊夢は魔理沙を止めようとしたが間に合わず、霊夢も後を追うように飛んでいった。
「さっきから笑いやがって...痛い目見るぜ!」
魔理沙は両手を広げると、魔理沙の左右から弾幕が放たれた。まるでマシンガンのように乱射された弾幕は幽々子に向かっていったが、幽々子はそれをいとも簡単に避けてしまう。
「あぁもぅ!」
「あらあら、そんなに怒らない事よ......」
魔理沙は1発も当たらなかったためか、凄く悔しそうにしている。
「魔理沙、いきなり突っ込んでどうにかなる事じゃないわよ」
「だ、だって......」
「いいわ。次からは私も参加させてもらうから」
霊夢は魔理沙にそう言い、再びお札と針を構える。幽々子はそんな姿を見ても全く動じずに迎え撃つ準備をする。
「はぁっ!」
霊夢は声を出して針を投げた。その針は霊力を帯びているのか、少し紫色に光っていた。霊夢は普通の針では幽々子には効かないと思ったのだろう。だが幽々子はその針を簡単に避ける。幽々子は避けて当然のように、再び扇子を口元に当てる。
「あら、そんなに余裕でいいのかしら」
だが、霊夢も何故か余裕な顔をしていた。針を放っても当たらなかったのに、まだお札があるからであろうか。それとも何かの作戦なのか。俺には分からなかった。
俺がそう思った直後、何かが幽々子の後ろから迫ってきた。
「幽々子、後ろ!」
「なっ!?」
俺は幽々子に叫ぶと、幽々子はそれに反応して上に避ける。
「あーあ。もう少しで当たってたのに」
幽々子は、霊夢は最初、針だけを放ったと思っていた。だがその考え方自体が間違っていたのだ。霊夢は針を投げたと同時に別の方向にお札を放っていたのだった。針はわざと避けさせて、お札は霊力がこもっているため軌道を変えて幽々子に当てるつもりだったらしい。
「ありがとう陽斗。少し危なかったわ」
幽々子は俺の方を見て笑顔を作る。言葉は聞こえなかったがきっと、お礼をしてるのだろう。
「......いいわ。ここからは本気よ」
「そう。私達も本気でいきましょ」
「いくぞ、霊夢!」
「えぇ!」
魔理沙の声と同時に、霊夢は反応して左右に別れた。右に魔理沙、左に霊夢と、幽々子を挟み撃ちするように動いた。霊夢と魔理沙は幽々子に目掛けて弾幕を撃ちまくる。幽々子はそれを必死に回避する。
「ちくしょー!当たれよ!」
魔理沙は放った弾幕が当たらずにイラついてる様子だった。すると魔理沙は何故か攻撃を中断させ、霊夢に話しかけた。
「霊夢、使うぜ!」
「分かったわ!」
そう言い、魔理沙は何やらカードのような物を取り出した。魔理沙はそのカードを持ってこう言った。
「スペルカード!」
その直後、魔理沙の周りから色んな色をした弾幕が展開された。
「魔符『スターダストレヴァリエ』!」
そしてその言葉と同時に、展開されていた弾幕が全て、幽々子に向かって飛んでいった。幽々子はその弾幕を少しは苦戦もしながらもなんとか避けきれた。自信のある技を避けられたんだ。もちろん、魔理沙はそれを見て再び怒り始めた。
「なんで当たんないんだよぉ!」
「魔理沙、落ち着いて!」
「あぁもぉ!......スペルカード!」
霊夢は魔理沙に声をかけるが、魔理沙は怒っていて霊夢の声を聞こうとせずに再びそう叫ぶ。今度はカードは取り出さずに、八卦路を取り出して幽々子に目掛けて構える。
「恋符『マスタースパーク』!!!」
魔理沙が叫んだ直後、八卦路から超巨大なビームが放たれた。とても綺麗で、虹色のようなビームが幽々子目掛けて飛んでくる。これには幽々子も驚いたのか少し慌てていた。
そして、魔理沙のマスタースパークは幽々子に直撃し、煙を上げた。
「幽々子!」
「やった、のか?」
煙はみるみる間に無くなっていき、煙が晴れていった。そこには幽々子の姿は無く、何もない状況だった。
「やったぜ霊夢!」
魔理沙は反対側にいた霊夢にガッツポーズを見せる。
「よかっ......魔理沙!後ろ!」
「えっ?」
魔理沙は霊夢の声に応え、後ろを振り向くと......そこにはマスタースパークをくらった筈の幽々子がいた。
「怒りに我を忘れると、周りが見えなくなるわよ」
俺は幽々子の言葉を聞く限り、大丈夫だと判断した。そして、幽々子の周りにはいつの間にか、弾幕が展開されていた。
「スペルカード......亡郷『忘我郷 -宿罪-』」
その言葉とともに、幽々子の弾幕は魔理沙に目掛けて放たれた。
「へっ、そんなゆっくりした弾幕、当たらないぜ」
確かに、幽々子の弾幕はゆっくりした遅い弾幕だった。量は多いものの、避けられては意味がなかった。
だがその時、俺はこのスペルカードのある事に気がついた。
それは魔理沙が左に避けている方向から、挟み撃ちにするようにビームが放たれている事に。
「なっ!あぶねぇ!.........あ......」
かろうじてビームを避ける魔理沙だが、ビームに気を取られていて他の弾幕が魔理沙の目の前にあったのだ。いくら魔理沙でも、流石に避けきれず当たってしまう。
「うわぁぁぁああぁぁ!!!」
「魔理沙ーーー!」
魔理沙は弾幕の爆発とともに、空中から地面へと落下していく。
「よくもっ......!」
「あらあら、今から本気かしら」
霊夢はジロッと幽々子に睨みつけて、再びお札と針を構えた。幽々子は霊夢に睨まれつつも余裕な姿をしていた。
「そもそも、あんたらの目的は何よ...」
「目的は1つ。ただ、西行妖の満開が見たいだけ」
「それだけの理由で異変を起こすのかしら?」
「異変を起こさないと見れないのよ」
確かに、西行妖は春が集まってから花が咲くと思われている。だから、唯一四季の中で春が来た時にしかこの異変は起こせないのだ。
「あなた、花見は好きかしら?」
急に、幽々子は霊夢にそんな事を聞いた。
「えぇ、好きよ」
「なら一緒に西行妖を見ないかしら?あの白黒の魔法使いも一緒に......どう?」
「あいにく、最初に言った通り、私は待てないのよ」
「そう。でも最後の詰めが肝心なのよ」
そう言い、2人は見つめあって、霊夢はお札と針を、幽々子は扇子を構えた。
「花の下に還るがいいわ、春の亡霊!」
「花の下で眠るがいいわ、紅白の蝶!」
そう言った直後、2人は同時に弾幕を撃ち始めた。幽々子の弾幕は遅いが数が多く、霊夢の放つ弾幕は幽々子程の数ではないが、追尾性が高い弾幕だ。幽々子はその弾幕を華麗によける。それに応えるように霊夢も幽々子の弾幕をよけていた。
「あら、やるわね」
幽々子は自分の弾幕をよけた事を感心したのか、少し驚いていた。
「でも......」
すると幽々子は弾幕を撃つのを止め、手に持っていた扇子を開き、手を上に揚げた。それと同時に幽々子の後ろから御所車の絵が載った巨大な扇子が現れた。
「そろそろ終わりよ、博麗の巫女」
「ど、どう言うことよ」
「スペルカード......」
そして幽々子は、もう片方の手からスペルカードを取り出した。
「桜符『完全なる墨染の桜 -亡我-』」
幽々子のその言葉とともに、後ろの扇子からと、幽々子から大量の弾幕が放たれた。紫や水色と言った色の弾幕もあれば、蝶の形をした弾幕もあった。その弾幕は霊夢を狙って、ではなくまるで押し潰す様にゆっくりと迫って来ている。霊夢は辛うじてその弾幕をよけるものの、中には追尾性を持った弾幕をあるため、当たりそうになる。
「くっ...これは面倒ね......!」
霊夢は苦しそうによけながら幽々子に弾幕を放つ。だが霊夢の放つ弾幕は幽々子には全く当たらない。
「あらあらあら、そんなに焦っても当たらないわよ」
幽々子は扇子を口元に当てて霊夢を見る。
「あ...た......ほ......」
「ん?」
すると霊夢は小さい声で何かを言った。その声は俺と幽々子と妖夢には聞こえなかった。
「あんたは油断しない方がいいわよって言ったのよ!」
「はっ!?」
その直後、幽々子の周りに何かの線が走った。
「結界!?...いつの間に......!」
「スペルカード!」
幽々子は驚いていた。自分が確実に有利だった状況を、霊夢はどうしたのかその状況をひっくり返したのだ。
「霊符『夢想封印』!」
霊夢はそう言うと、周りからは虹色をした玉が無数に幽々子に向かって飛んでいった。幽々子は当然、結界があるためよける事が出来ない。
「陽斗、妖夢...ごめんなさいね......」
「幽々子ーーー!!!」
俺は幽々子の名前を叫び、手を伸ばす。当然届かない事は分かっていた。それでも俺は手を伸ばすが、俺の目の前では既に、夢想封印が直撃する寸前だった。
そして.......夢想封印が幽々子に当たり、目の前には大きい爆発が起きた。
◇ ◇ ◇
「...うぅ~ん。ここは、白玉楼.......?」
「幽々子、やっと目が覚めたか... 」
「あら陽斗。私は...ってどうしたの?」
俺は幽々子が目が覚めてすぐに幽々子に抱きついた。
幽々子は俺の行動に驚いていた。
「幽々子、どこか痛いところはないのか?」
「え、えぇ。今のところは.....」
「心配させて...」
でも良かった。幽々子には何も怪我がなくて、ホントに良かった。
「あの、イチャつくのは後でいいかしら?」
「あら。あなたは博麗の巫女の...」
「霊夢でいいわよ。あんたに話があるのよ。と言っても大した事じゃないけど」
隣からは急に声が聞こえ、振り向くとそこには霊夢がいた。
「何かしら?」
「幻想郷じゃ、異変が解決すると宴会をするのよ」
「えぇ。それで?」
「迷惑料として、宴会は白玉楼でいいかしら?」
「「え?」」
俺と幽々子は声を揃えた。まさか迷惑料が宴会の場所になる、というだけで良いのかと思ったからだ。というかホントにそれでいいのか?
「だから、今度頼むわよ」
「霊夢さん。魔理沙さんの看病が終わりました」
「ありがと。妖夢、だったかしら。それと呼び捨てで構わないわ」
「そうですか。わかりました」
「なら魔理沙は私が運ぶわ。宴会、頼むわよ」
霊夢はそう言い、魔理沙を抱えて幻想郷へと戻っていった。
「ごめんなさいね。私が迷惑かけちゃって」
すると幽々子は俺と妖夢のところに来て謝って来た。
「大丈夫だよ。怪我がなくて良かった方だ」
「気にしないでください幽々子様」
俺と妖夢は返事を返し、幽々子を安心させる。幽々子は再び『ありがとう』と言い、少し頭を下げた。
「なら俺はご飯を作ってくるよ」
俺はそう言い残して台所へと向かった。妖夢は春を集めるのに疲れただろうし、幽々子も弾幕ごっこで疲れただろう。今回は栄養のつく料理でも作るかな。
「なら私はお風呂の準備をして来ます」
妖夢もそう言い残し、部屋から去っていった。
「ご飯、楽しみに待ってるわ」
私は陽斗にそう言い、手元にあったお茶を少し飲んだ。
......はぁ。
陽斗に抱きつかれた時のあの気持ち、なんなのかしらね。なんだが照れくさくなったわ。別に嫌って事じゃない。逆に嬉しかった。
陽斗と一緒に居る事は沢山あったけど、今まではこんな感情なかったし、 なんだか胸の奥が熱くなるような...そんな感じだったわね。
「何かしらね、この気持ちは......」
みなさんの中にも、気付いた方もいるかも知れませんね。
ゆゆ様と霊夢が弾幕ごっこをする前の台詞。あれは原作から取らせて頂きました!なるべく近い方が良いかと思いまして......はい。
そして、ゆゆ様の最後の感情。今後どうなっていくのか!
感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!