理由?それは、なんとなくですね...はい。
というわけで、タイトルからして、想像できますか?
ではごゆっくり
「ふわぁ...よく寝たな」
俺は布団から出て背伸びをする。今日はなんか暖かいな。冥界なのに...どゆこと?まぁそれはさておき、朝ごはんを作らないとな。俺は布団をたたみ、台所へと向かって行った。
すると今から料理作る、という時に何故か材料がなく、机には既に料理が並べられていた。
「あ、陽斗さん。おはようございます」
すると俺の隣から声が聞こえた。そこには妖夢が何か疑問を持ってそうな顔をしていた。
「おはよう。どうした妖夢、何か疑問がありそうだな」
「そうなんです。実は...」
「実は?」
「今、幽々子様から『春を集めてちょうだい』と言われて......」
「春を集める?」
「はい」
春を集めるって、どういうことだ?春って物じゃないし、道具でもない。逆に季節だから集め様がない。そして俺には目的が分からない。
「そうか。なら俺が幽々子に聞いてくるよ」
「そうですか。ありがとうございます」
妖夢は俺に一礼し、何処かへ行ってしまった。
うーん。妖夢は普段から幽々子の命令はちゃんと聞いてるのだが、今回ばかりはどうだろうか。妖夢でも分からない様な事を言い出すなんて珍しい事だ。
俺は庭に向かって歩き始めた。庭の周りには相変わらず綺麗な桜が並んでいる。
そしてその桜の中に1人、女性がいた。と言っても幽々子なのだが、何してるんだろ?
「なぁ幽々子。何してるんだ?」
「春を集めているわ」
「それって妖夢にも言ったらしいな。俺に聞いてきたよ」
「あらそう」
幽々子はそう言っても、何故かずっと西行妖ばかりみていた。
「私ね。この西行妖を咲かせてみたいのよ」
「西行妖を咲かせる、か......」
確かに、俺はもう1000年近く生きているが、未だに西行妖の満開を見たことがないのだ。幽々子が生きていた時も、俺の精気を吸って満開になろうとしていた西行妖だが、それは幽々子が俺のために...俺をかばって自らの身体で封印したのだ。そして封印をしたため、俺は白玉楼にいる間は見たことがなかった。
「きっと、とても美しいわ。今までに見たことがない様な...そんな感じがするわ」
「そうだな。きっと綺麗だと思うよ」
白玉楼の周りに咲いている桜でも十分大きくて綺麗だが、西行妖はそれよりも大きい。大きさ的には白玉楼よりも断然デカイだろう。そんな大きい桜が咲くんだ。絶対に綺麗だと思うな。
「...よし。幽々子、俺にもなんか手伝わせてくれ。俺も、西行妖の満開を見たくなったんだ」
「ありがとう。ならお言葉に甘えて......」
俺は幽々子の手伝いをする事になった。まぁ自分も西行妖が見たいだけなんだが。幽々子は俺に笑顔を見せて、こう言った。
「なら、春を集めてちょうだい」
まぁ予想はしてたんだがな。俺は分かった、と幽々子に言って、とりあえず冥界を歩きまわった。途中で妖夢と相談もしながら。
しばらくして。
「2人とも、ありがとう」
「いえいえ、幽々子様のためですから」
「だな。俺も西行妖の咲くとこ見たいしな」
俺と妖夢は冥界をずっと歩き回ったりいろいろした。桜の近くに行ったり、桜の花弁を集めたり...とにかく色んな方法でなんとか、春を集める事が出来た。正直集まっているのかは良く分からないけど。
「後は...」
「咲くのを待つだけ」
「ですね」
「悪いけど、私は待てないわよ」
「...あら......」
西行妖を見ていると、急に後ろから声が聞こえた。なんだろう、どこかで聞いた事のある声だった。俺と妖夢と幽々子は声のした方を振り向くと、そこには見覚えのある人がいた。
それも2人。
「霊夢!それに魔理沙!」
博麗神社で巫女をやっている霊夢と、この前キノコで知り合った魔理沙がいた。
「魔理沙、知り合い?」
「あぁ、キノコ仲間だぜ」
キノコ仲間って、もう少しまともな紹介はなかったのだろうか。
「あんた達、この前うちの神社に来たわね」
「えぇ。確か、博麗 霊夢だったかしら?」
「そうよ。私はあんた達の名前は知らないけどね」
あ、そういえば名前、教えてないままだったな。
「私は白玉楼の主、西行寺 幽々子」
「庭師をしている魂魄 妖夢、と言います」
「俺は如月 陽斗、亡霊だ」
「...分かったわ。そして単刀直入にいいかしら?」
名前を言い終わると、霊夢は少し頷きながら俺たちに言ってきた。
「なにかしら?」
「あんた達がこの異変の主犯ね?すっごく迷惑なのよ」
「その割にはくつろいでたよな」
「うるさいわね魔理沙」
「冗談だぜ」
「それで、あんた達が春を持っていってるから幻想郷じゃ春なのに雪が降ってるのよ。寒くてたまらないわ」
マジか......。それって完璧に俺たちのせいじゃん。俺はてっきり集めただけで幻想郷に被害があるとは考えもしなかったよ。
「だから......」
霊夢は少し背伸びをして、両手を懐に入れた。
そして、
「...退治させてもらうわ!」
「あぁ!」
そう言って、霊夢はお札と針を出し、魔理沙は八卦路を取り出して俺たちに構えた。それに応えるように妖夢も刀を取り出して構えた。
「幽々子様を傷つけようとするならば、容赦はしません!」
「妖夢、大丈夫よ」
「え?」
すると幽々子は妖夢を引き止めるように手を伸ばした。
「これは私が2人に頼んだこと。2人には傷ついて欲しくないわ。だから......私がでるわ」
「なっ!なりませんそんな事!」
「そ、そうだ!幽々子だけにそんな事ダメだ!」
これはみんなでした事なんだ!幽々子だけじゃない。俺と、妖夢とで春を集めたんだ。幽々子だけじゃないんだ!
「ありがとう...でも大丈夫。私は負けないわよ」
「自信たっぷりのようね」
「どうする?霊夢だけで大丈夫か?」
「2人......」
「「え?」」
この時、霊夢と魔理沙の反応が一緒だった。当然、俺と妖夢もびっくりしている。
「2人同時でかかってきなさい。そう言ったの......。陽斗と妖夢は下がってなさい」
俺と妖夢は何も言えず、下がる事しか出来ずに、幽々子のいる位置から離れた。
「舐められたものね。良いわ...魔理沙!」
「わかってるぜ!」
「ふふ...さぁ、来なさい.......」
俺たちが後ろに下がったことを確認すると、幽々子は扇子を取り出し、笑みを浮かべた。
「貴女たちにもこの桜、見惚れてもらうわ」
なんか、良いところで終わったのか中途半端で終わったのか分かりませんね......。
今回のゆゆ様は最後辺りからカリスマが出てきましたね。
次回は皆さんの予報通り、弾幕ごっこです!(軽いネタバレ)
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ではまた次回!