というわけで!
ごゆっくり
白玉楼の庭では、今は妖夢が剣の稽古をしている。白楼剣と楼観剣を華麗に扱い、まるで舞をしているかのよう......乱舞、とも言えるだろう。そして妖夢の舞を引き立てる様に、桜の花弁が綺麗に散ってゆく。これがまた綺麗だった。
幽々子は未だに大盛りの朝ごはんを俺の後ろで食べており、普段と変わらない状況だ。
いつもと変わらない日常。それはいい事なのだろう。何も問題も無く、ただただ平和な日常。
だけども、今の状況を一言で言うならこうだろう......。
「平和すぎる......」
恐ろしく平和すぎるのだ。
さっきも言ったが、平和なのはいい事だ。でも流石に平和すぎると暇になる。そこが俺にとっての難点だ。妖夢は剣の稽古が出来る。幽々子は食事を楽しむ。俺は何をすればいいんだ?
「おはよう。あら陽斗、暇そうね」
「あぁ、その通りだよ紫」
俺が座っている横でスキマが出現し、紫が朝の挨拶をして出てきた。
「紫は退屈しないだろ?」
紫には二人の式神がいる。1人は八雲 藍。もう1人は橙、という式神がいるのだ。
「そうね、退屈はしないわ。でも」
「でも?」
「今ね、幻想郷じゃ面白い事が起こってるのよ」
「面白い事?」
俺は少し不安だった。紫の言う『面白い事』は大体紫にとっての楽しい事だが他人にとっては大変な事なのだ。前もそうだ。小さくなる薬や魂が入れ替わった事も楽しそうにしていたもんな。
あの頃は大変だった......でも幽々子と一緒だった......。
「幽々子..........」
「前の事を思い出したかしら?」
「いや、気にしないでくれ。あの頃から悲しまないって決めたからな」
「そう」
今も幽々子は居るが、あの時の幽々子とは違う。それでもあの頃の事は忘れない。
「それで、面白い事ってなんだ?」
「今、幻想郷では『異変』って言うのが起こってるのよ」
「異変?」
異変ってあれだろ?なんか、デカイ事件みたいなもんだろ?幻想郷って神様やら妖怪がいるから大丈夫じゃないのか?
「それって、どんな異変なんだ?」
「そうね。幻想郷の全体に紅い霧がかかるのよ。幻想郷では『紅霧異変』って言ってるわ」
異変の話をしているが全く緊張感が無い紫だった。幻想郷に霧がかかるんだろ、それも紅い霧が。もう少し慌てようよ。
「紫、普通に話してるけど大丈夫なのか?」
「何がかしら?」
「だって幻想郷って紫が作った世界なんだろ?自分の作った世界で異変を起こされたら嫌じゃないのか?」
「大丈夫よ。私のお友達が頑張ってるから」
「お友達がって......」
自分の作った世界の異変をまさかの他人任せ!?あんた凄いよ......。
「そうね、今度会わせてあげるわ。博麗の巫女に」
「博麗の巫女?」
へえ、幻想郷って巫女がいるのか。ちょっと意外だな。
「幻想郷って他にはどんなのがいるんだ?」
「そうねぇ。白黒の魔法使い、吸血鬼、そのメイド、不老不死、人喰い妖怪、氷の妖精......とにかくいっぱいいるわ」
「な、なんか凄いな......」
予想をはるかに超えた種類に俺は言葉が出なかった。途中までいいと思ったが、メイドと聞いた直後にえっ?......って思ったぞ。
「でも、会ってみたいな」
「それと、弾幕ごっこって言うのが幻想郷じゃあるわね」
「弾幕ごっこ?」
ごっこが付くのなら何かの遊びか?
「簡単に説明すると......ほら」
「っ!!?」
突如、紫は手に持っていたセンスを俺に向けてきた。そこまでは良かったが次の瞬間......何処からともなく、紫色の小さい弾が俺に向かってきた。俺はかなりギリギリのところでそれを避ける。その小さい弾は俺の後ろにあった白玉楼の壁に当りポワンッと消えてしまった。
「あっぶねぇぇぇええぇぇ!!!」
「良く避けたわね」
「当てるつもりだったのかよ!?」
「......」
「そこで黙ったら怖いだろ!」
紫め、たぶん、いや絶対に当てるつもりだったな今のは。それにしても、自分でも良く避けたと思う。
それはさておき。
幻想郷ってこんなのやってるの?
「さっきのを弾幕って言ってね、あれを相手に撃ち合いながら勝負をするの」
なるほど。マシンガンの撃ち合いか......はぁ。
「危なくないのか?」
「えぇ。当たったら少し痛い位かしらね」
「..........」
なぜだろう。急に行きたくなくなってきた。
「まぁ詳しいことは私のお友達が教えてくれるわ」
「結局友達任せかよ!」
紫ってこんなにめんどくさがりやだったか?それだったら、藍や橙は大変そうだな。
「あら、橙とは一緒に住んでないわよ?」
「え、そうなのか?てか心を読むの止めてくれない?」
◇ ◇ ◇
「ふわぁ~、寝るか......」
夜遅く、俺はご飯を作り終え風呂にも入った。今日は何もすること無くなった。
疲れたな。今日はずっと紫と話してたな。異変やら橙やら、結構長引いた。
「あら陽斗、もう寝るのかしら?」
「あぁ、幽々子」
なんて事を考えてたら、おっとりとした笑顔でこちらを見てくる幽々子が居た。
「今日は紫と何を話してたの?」
「そういう幽々子はいつまでご飯を食べてたんだ?」
俺は幽々子の言葉を返すと、俺と幽々子は笑ってしまった。
「ふふ、それもそうね」
「そうだな。紫とは、幻想郷の話をしてたんだ。異変の事や弾幕ごっことか、いろいろ話したよ」
「そう、良かったわね」
そう言い、幽々子はまた微笑んだ。
「行ってみたいわね、幻想郷に」
「そうだな。......今日はもう寝るよ。紫とで疲れたんだ」
「そう。おやすみなさい、陽斗」
「おやすみ、幽々子」
幽々子にそう言って、俺はゆっくりと目を閉じた。
幽々子はゆっくりと扉を開き、部屋から出ようとした。
その時......
「異変......ね.........」
微かに、幽々子がそう言った風に聞こえた。
うーん、今回のはなんか微妙だったなぁ......。
文章力が落ちてるんだろうなキット。
やばいやばい。
それと今更ですが!お気に入り件数が3桁いきました!みなさん、ありがとうございます!
感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!