気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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最近、ご飯を食べる量が増えてきた気がする。でもしょうがないですね。今は秋、食欲の秋とも言いますからね、増えてもしょうがないんです!

はい、話を切り替えて2話です!今回はもしかすると、ゆゆ様の出番が少ないかもしれません。まぁタイトルからして、話の内容が予想できた方もいるかもしれませんね!

では、ごゆっくり



2話:稽古

空は青く、風が少し吹いており、その風がこの白玉楼の周りを囲む様に並ぶ桜の花びらを散らし、散った花びらは庭にヒラヒラと落ちる。

俺は今から、そんな庭で稽古をする。桜が好きな人にとってはなんて贅沢なのだろうか、と思う人も居るかもしれない。

 

「陽斗、準備はいいか?」

 

桜を見ていると妖忌が俺の名前を呼び、刀を構える。この妖忌が構えている姿を散っていく桜の花弁がまた綺麗に見せつけてくる。

 

「あぁ、いつでも」

 

俺は妖忌の方を向く。返事を返し、自分の視線を、神経を全て妖忌に集中させ、刀を構える。

そして、

 

「........いくぞ」

 

妖忌がそう呟き、俺との距離を一気に縮める。妖忌の動くスピードが予想より早く、俺は慌てて妖忌の攻撃をギリギリのところで防ぐ。

 

「くっ!」

 

つばぜり合いになり、妖忌は俺を力を込め押してくる。くそ、なんで爺さんがこんなに力があるんだよ!

妖忌はいくら爺さんとはいえ、あくまで庭師であり戦士でもある。幽々子を守るために身につけた力なのだろう。

 

「どうした陽斗よ、油断でもしたか?」

「まぁ、ちょっと油断してた........かな」

 

妖忌はスキを見せた俺をフッと鼻で笑い、俺に少し嫌みがこもった様な聞き方をしてきた。

確かに、刀を持った相手に油断をする、スキを見せるなどと言った行動は自殺行為と言ってもいい。もう少し判断が遅れていれば確実にくらっていただろう。

さっきのは自分が悪い、そう思った。

 

でも......鼻で笑われたのは悔しい。いくら油断をして俺が悪くても、笑われっぱなしは嫌だ。

だから.....

 

「.....ここからは違う!!!」

「そうか.......」

 

俺は恥じらいを力に変え、叫ぶ。

つばぜり合いで妖忌に押された分、俺も力いっぱい押し返す。そして刀を逆に持ち変えて上に薙ぎ払う様に刀を振り、つばぜり合いから解放して後ろに下がり、妖忌との距離を空ける。

 

「くっ!」

「ほぅ.......刀を逆に持ったか。上手くなったな」

 

俺の戦い方、成長に感心したのか、妖忌は首を頷かせる。俺だってあんたとは嫌な程稽古をしてきたからな、少しは成長しないと悪いだろ?

 

俺は少し嬉しい気持ちになり、再び刀を構える。

 

「今度は俺からいくぞ!」

 

刀を構え、妖忌に向かって走り出す。俺は走りながら右に左にと、少しでも妖忌を混乱させる様に動く。正直、妖忌にこんな事が通用するとは思ってはいない。ただでさえさっきのも攻撃をしようとしたのだがそんな隙がなかった。でも、少しだけでも........俺なりに頑張るしかないんだ!

 

「らぁっ!」

 

俺は妖忌の目の前まで接近し、身体を右に傾ける。そして妖忌の肩の辺りをめがけて刀を斜めに振り下ろす。はっきり言ってこの攻撃が当たるとは思ってない。でも俺はそんな事も構わず、刀を振り下ろす。

 

「ふんっ!」

 

だが当然、その攻撃は妖忌には通じなかった。

斜めに振り下ろした刀を、妖忌は刀を跳ね返す様に刀を動かす。刀を弾き返させた為か、反動が大きく、俺の身体は少し後ろに仰け反ってしまった。妖忌はその瞬間を逃さず、斬りかかる。

 

「まだまだじゃの」

 

妖忌がそう言い、刀を振り下ろそうとする。

 

きた......!

 

「何言ってんだ妖忌、俺はこれを待ってたんだよ!」

「なに?」

 

俺はさっきの仕返しの様に、妖忌の目を見て鼻で笑い返す。妖忌が刀を振りかぶるその直後、俺は身体を捻り、その捻った勢いを利用し、妖忌の背後に回り込み、俺は妖忌の背中をめがけて刀を構える。

 

 

─────カウンター

 

 

俺は妖忌が大きく刀を振りかぶる時を狙っていたんだよ!。刀を大きく振りかぶると当然、その間にスキが出来る。そのスキを狙って背後に回り込めば後ろはがら空きだぁ!

妖忌、今回は俺の勝ちだ!そう思った、確実に。

 

だが.......

 

「なっ!?」

 

俺は妖忌が大きく刀を振り下ろすと同時に俺も刀を振りかぶった。普通ならば相手は慌てて後ろを振り向くはず。

 

だが妖忌は.............

 

 

振り下ろすして空振り、ではなく、そのまま刀を鞘に収めるが如く、脇の間に刀を通したのだ。刀を通した、となれば刃は後ろを向く。その後ろを向いた刃は俺の胴体めがけて伸びてきたのだ。当然、俺はそれに気づかなければ刃が胴体に刺さっていた。

 

明らかに、確実に俺の負けだった。

 

「...まいったよ。やっぱり勝てねぇや」

 

俺は刀を地面に置き、両手を挙げる。

 

「うむ。じゃが惜しかったぞ、正直危なかった」

 

妖忌は刀を鞘に直し、少し笑いながら言ってくる。

いい線いってたと思ったんだけどなぁ、さすが魂魄 妖忌、まだまだ負ける気は無さそうだな。

 

「2人とも、お疲れ様」

 

稽古を最後まで見ていたらしく、幽々子はお茶を持って来てくれた。

はぁ、お茶がうまい。

 

「陽斗、惜しかったじゃない」

「でもまだまだ妖忌には勝てないよ」

「そうかしら?妖忌も、いつかは越されるわよ?」

「そうじゃな。じゃがまだ負ける気がせんわい。もう少しわしも、年をとると陽斗も勝てるじゃろうな」

 

いやいや、あんた自分が何歳がわかってるのか?もう軽く1000年以上は生きてるだろ?

 

「まぁでも、いつかはリベンジしないとな」

 

俺はそう呟き、妖忌に絶対に勝つ、そう心に決めたのであった。

 

 




今回の話は、少し短かった様な.........自分でも思います。とりあえず、ほんとにゆゆ様の出番が少なかったですね、妖忌に取られましたね。

だがしかし!これからはゆゆ様の時代!次からはかなり出番が増えます!いや、増やします!

感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!

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