はい、前書きで話す事が思いつきません!すみません!
ではごゆっくり
「幽々..子.......」
俺はその名を呟いた。
西行寺 幽々子。俺が愛し、一緒に過ごした人物。
そして......俺の為に西行妖の生贄となった人物。
だがありえない。幽々子は俺の為に死んでしまったんだ。それなのに、どうして........いや、ただ幽々子に似ているだけかもしれない。
「幽々子......なのか?」
俺が声を掛け、その幽々子に似ている誰かは俺の存在に気がつき、こちらを振り向く。俺はその時に、確信ができたのだった。
そのお化けが着ている服が水色を主とした着物。
違うところもあり、髪が短くなっており、頭には帽子を被っている事だった。
この時俺は、幽々子が生きていた頃の言葉を思い出した。
『陽斗、また会いましょ?』
『今度はお互い.......亡霊として........ね......』
もし、この言葉が本当ならば.........幽々子との再開になる。
直後、俺は一気にテンションが上がった。
再開できた!また一緒に暮らせる!
そんな言葉で頭はいっぱいだった。俺は幽々子に近づき、手を差し伸ばし、話しかける。
「幽々子!ホントに会えたな!」
よかった!ホントによかった!まさか、ホントに会えるなんて思ってもなかった!
「え、ちょ、ちょっと待って」
そう言い、幽々子は俺の目の前に両手を広げた状態で言ってきた。
「どうしたんだ幽々子。俺だよ、陽斗だ」
きっといつもの冗談だろ。俺はそう思い、話をかけようとする。だが、
「..........あなたは、誰?」
この言葉を聞いた俺は、一瞬、身体が動かなくなった。
◇ ◇ ◇
「紫.......どうだった?」
俺はあの言葉を聞いて、早急に紫を呼び出した。
「ダメだったわ..........記憶を失ってる。当然、私も、藍の事も覚えてないの」
「そんな........」
そして、幽々子は亡霊として再開は出来たものの、生前の記憶を全て、俺との思い出も全部忘れてしまったのだった。
悲しかった。
あの楽しかった日々が、嬉しかった日々が、一緒に過ごした日々が........全て消えたのだ.......。
「あ、あのぅ.......」
突然、向こうの部屋から幽々子が何か申し訳なさそうに俺たちの方に来た。そして少し頭を下げて、
「ごめんなさい......何も覚えてなくて........」
「幽々子......」
そう言い、幽々子は悲しそうな顔をして謝ってきた。
「いいんだ、気にしないでくれ」
こうとしか言い様が出来なかった。記憶を無くした人になんて言えばいいのか、俺には分からなかった。怒ることもできず、注意する事もできず、逆に、ましてや褒めることもできない。だから、このような言い方しか出来なかった俺が、少し悔しかった.......。
「でも、私はこれから、どうすればいいの...........?」
「大丈夫だ。今日からここで住めば..」
「それはまだよ」
「え?」
突然、紫がそんなことを言いだした。なんでだよ、実際、幽々子はここに住んでたんだ。それなのになんでなんだ。
「なんでだよ、紫」
「住んでもいいわ。でも、先に行くところがあるわ」
「行くところ............?」
俺にはさっぱり分からなかった。行くところがわかっても、仮に何の為に行くのか、目的が俺には分からなかった。俺は考えていたが、紫は手に持っていた扇子をたたみ、口を開く。
「閻魔様のところよ.........」
◇ ◇ ◇
「あぁ、久しぶりに来たなぁ」
俺と紫と幽々子はスキマを使ってあるところにまで来た。
「三途の川........」
目の前には川があり、その周りには魂っぽいのが浮遊してるのをたまに見かける。ホントはその魂は三途の川の向こう側にまで運ばなければならないのだが、それをサボっている人物がすぐそこに居たのだ。
「ほら、小町、起きてくれ」
「.....はっ!四季様!すみませ.......あれ?」
「はぁ........俺だよ、陽斗だ」
小野塚 小町。これが彼女の名前だ。
背は高く、服は長いスカートに和服のような感じの服で、腰巻をしている。髪は赤く、ツインテールだ。そして小町の側には大きい鎌が置かれていた。ちなみに小町は死神のため、鎌を持っているだそうだ。
「陽斗.....あぁ。それで、今日は何のようだい?」
「今日はちょっとな、映姫さんに用があるんだ」
「へぇ~、珍しいな」
確かに珍しいな事かも知れないな。俺が映姫さんと会うこともなければ小町とも会わないし、そもそもここに来ることがまずない。
「........よし、じゃあ乗りな」
しばらくして.......
「はい、着いたよ」
「ありがとな、小町」
俺たちは船から降りて、小町にお礼を言う。
「じゃあアタイは仕事に戻ろうかな」
「おぉ、頑張れよ」
そう言って、俺は小町に手を振り、映姫さんのところへと向かう。向かっている途中、少し後ろを振り向いたら小町が寝る準備に入っていた事は見なかった事にしよう。
◇ ◇ ◇
「それで紫、映姫さんには何て話すんだ?」
俺は船に乗っている途中、ずっと考えていた事がある。それは紫に言った通り、映姫さんに何の事を喋れば良いのかが全くわからないのだ。どうして幽々子と一緒に住むのに、わざわざ映姫さんと話さなければいけないのか、ホントに分からない。
そして長い道を歩き続けて、俺と紫の幽々子はある扉の前で立ち止まった。この扉の先に、映姫さんが居るのだ。
「失礼します」
俺は扉を開く前にそう言い、扉を開けた。
「あら、珍しいですね。あなたが来るなんて」
「珍しいって、今日だけで2回言われたよ」
そこには大きな台があり、そこに座っている人、ここの閻魔様である四季 映姫さんだ。だが役所名を合わせると四季 映姫 ヤマザナドゥという呼び方になる。仕事内容は主に死霊の裁判をして、その死霊が天国か地獄、どちらに逝くかを決めることだ。
そして今回来た理由は、幽々子は今、亡霊だ。だから、今から亡霊のまま白玉楼に住んでも良いのかを聞くためだ。
「映姫さん、少し話が」
「分かっています」
「そうですか。なら、単刀直入に良いですか......」
俺は映姫さんの目を見て、話しかける。映姫さんは喋らずに、静かに首を縦に振った。
「幽々子を.......天国でも地獄でもなく、白玉楼に住ませてあげてください」
「やはりそうでしたか..........」
映姫さんは静かに返事をし、時間が止まったかのように、ホントに静かだった。
「亡霊は天国か地獄、どちらかに逝かなければなりません。あなたの言いたい事はわかります。けれども、それを叶える事は出来ません」
わかっていた。俺だけの理由じゃ上手くいかないって、わかっていた。
でも......
「お願いします、映姫さん。幽々子を、白玉楼に住ませてあげて下さい........」
俺は必死にお願いをし、頭を下げる。
「けれども、これはあなたのわがままに過ぎません。あなたの好きなようには出来ないのです」
「わかっています!」
「............」
映姫さんは俺が叫んでから少し聞く体制を変えた。
「これは、確かに俺のわがままです。ですが、それでも白玉楼に住ませたいのです。自分が言うのも何ですが........幽々子の気持ちが少しでも、自分にはわかるんです!」
「.............」
「ただで、とは言いません。なんなら、自分が白玉楼のある、冥界の管理人になります........。ですから、幽々子を白玉楼に住ませて下さい......!」
俺は再び、映姫さんに頭を下げてお願いをする。
「.........西行寺 幽々子。前に来てください」
映姫さんはそう言い、幽々子を前に呼んだ。幽々子は静かに前に行き、映姫さんを見つめる。
すると、映姫さんは何か手鏡の様な物を取り出し、何やら見つめだした。
そして、
「.......なるほど。そういう訳ですか.........」
と言い出した。
俺と幽々子は意味がわからず、とても疑問に思った。そして映姫さんは手に持っていた手鏡を直し、こちらを見る。
「わかりました。西行寺 幽々子を白玉楼に住ませるのを許可します。ただし、冥界の管理人は2人でしてもらいます」
「..........ありがとうございます......」
そう言い、もう一度映姫さんに頭を下げてお礼を言う。
ホントに......よかった。
◇ ◇ ◇
「すまないな。住むのは良いけど、管理人になってしまったな」
本当は普通に住ませてあげたかったのだが、俺のわがままだったんだ。聞いてくれただけでもありがたい。
「気にしないで。それで、どうして私にあそこまでして.........」
「その、似ているんだ。俺の愛した人に.......」
「そうなの......」
「だから、守ってやりたくて.........」
周りが静かになる。今は風の音しか聞こえなかった。
「ありがとう。そういえば、名前を聞いてないわね」
「そうだったな」
そう言い俺はちょっと咳払いをし、深呼吸をする。
「俺は如月 陽斗。これから宜しくな」
「如月陽斗......いい名前ね。私は西行寺 幽々子。こちらこそ宜しくお願いね、陽斗」
こうして、再び幽々子と住むことが決まったのだった。
ここで四季映姫か!っと思った方を居るかもしれませんね。作者もここだ!と思いました。
ついにほのぼのとした話が書けます!
感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!