気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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まず最初に

更新が遅れてすみませんでしたぁ!
1日更新を目標としていましたが、作者には出来ませんでした。遅れた理由は、書き溜めをしていたのですが、ついに前回の話で弾切れになった、ということです。

なので、申し訳ないのですが......今後も更新が遅れく可能性が高くなってしまいます。ごめんなさい。



14話:幽々子が居なくなってから

あの日から、俺の愛した白玉楼の主、西行寺幽々子が居なくなって、もうかなりの年月が経った。そして幽々子が居なくなってからこの間、西行妖は1度も花をつけず、ただ生えているだけだった。周りにある桜はいつものように咲いては散るを繰り返すばかりだ。

 

今、この白玉楼には俺と魂魄 妖夢という半人半霊と一緒に住んでいる。妖忌はあの日から『主人を守れなかった』と言ってこの白玉楼から出ていき、行方が分からない状態だ。そして妖忌が出ていったため、庭師であった妖忌の後を継ぐために、妖夢が来たのだ。妖夢は妖忌の孫だったらしく、幼い頃から剣術を学んでいたらしい。

 

幽々子が居なくなってから紫は、『幻想郷』という世界を作った。そこは結界を張っていて、外の世界とは別の世界らしい。そして人間と妖怪、妖精、神などが平和に暮らす事の出来る理想郷......だそうだ。

 

「............はぁ」

「どうしたの、ため息なんかついて」

 

考え事をしていると、目の前にスキマが出現して、紫が出てきた。

 

「いや、桜を見てただけだよ」

「そう」

「んで、今日は何しに来たんだ?ご飯でも食べに来たか?」

「いいえ、今から幻想郷に行かないと行けないのよ。あなたも来ないかしら?」

「いや、遠慮しとくよ」

 

俺が幻想郷への誘いを断り、紫は『なら行ってくるわ』と言って再びスキマを出し、目の前から居なくなる。

幻想郷、行ってはみたいんだがなぁ。

 

「...幽々子と行きたかったな」

 

幽々子と、2人っきりで........。

 

せめて、行けないなら、傍に居てくれるだけでも......。

あぁ、ダメだ!湿っぽくなっちゃうな。忘れはしないけど思い出したらまた涙を流してしまう。

決めたんだ、あの日からもう泣かないって。きっと幽々子はどこかで俺を見ているんだ。そんな泣いてる姿なんか幽々子に見せたらダメじゃんか。

 

「陽斗さん」

 

今ごろ幽々子はどこかで見てるんだろうな。

 

「陽斗さん」

 

あの時の事を思い出すと、やっぱり悲しくはなってしまうよな。

 

「陽斗さんっ!」

「うわっな、なんだ、妖夢?」

 

俺はあの日の事を思い出していたらこの白玉楼の庭師、そして妖忌の娘である、魂魄 妖夢が頬をプクーッと膨らませて俺を見ていた。

 

「もー、何回も呼んだんですよ?」

「あ、ごめんごめん」

 

そして謝ってもまた頬を膨らませる。

 

「それで、なんだ?」

「あの、剣の稽古はいつ、してくれるんですか?」

 

.........あ、忘れてた。そういや妖夢と後で剣の稽古をするって約束をしていたのを完璧に忘れてたな。

 

「約束、か...........」

 

『私には、約束事は向いてないようだわ』

 

幽々子もこんな事を言ってたかな。そしてなんやかんや言っとい最後の最後で約束をしたもんな。

 

『今度はお互い........亡霊として...........ね........』

 

これが幽々子の最後の言葉。

そして幽々子との、最後の約束だったな。お互い亡霊として......か。

 

「.......幽々子様の事ですか?」

「お、よくわかったな」

「稽古って言ってるのに、西行妖の方ばかり見てますので、なんとなく」

 

ちなみに妖夢はまだ、幽々子の名前を知っているだけであり、幽々子の顔を見たことがないのだ。名前を知っているのは俺が教えたからであって本人を見たことがないだけなのだ。

 

「でも、幽々子は俺のために西行妖に....」

「陽斗さん、その先は言わなくても大丈夫です。きっと見てくれてますよ」

「妖夢.............」

 

はぁ、俺ってダメダメだな。本人を見た事がない妖夢に励まされるなんて.........。

 

「よし、すまなかったな妖夢。稽古、始めるか!」

「はいっ!」

 

そう言い、俺は刀を取って白玉楼の庭に出たのであった。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

 

稽古が終わってから、すっかり夜になってしまった。稽古を始めたのは昼頃。その稽古を夜までしていた自分がちょっと凄いと思った。妖夢も、まだ女の子なのに体力がなかなかある。流石、妖忌の娘だな。

 

「陽斗さん、先にお風呂に入ってきますね」

「あぁ、わかったぁ」

 

そう言って、妖夢は俺にペコリと頭を下げて風呂場に向かっていった。よぉし、なら俺は食器の片付けでもやりますかな。

 

「ひゃあぁ~~~~~!!!」

「えっ?」

 

俺が皿洗いを始めようとしたら、先ほど風呂場に向かっていった妖夢が叫びながら廊下を走ってきた。

 

「ど、どうしたんだ、妖夢?」

 

そしてかなり慌てていなのか、俺が声をかけたらハッと俺の存在に気づき、俺の方に向かってくる。

 

「よーとさーん!助けて...あっ!」

 

そして俺の方に向かってくる途中、妖夢はコケてしまった。顔から。妖夢はうぅ、と言ってゆっくりと立ち上がり、再び俺の方に向かってくる。

 

「ホントに大丈夫か?」

「よ、陽斗しゃん........」

 

俺に近づき、俺の服をギュッと掴んで涙目で俺に上目遣いをしてくる。なんだろう、取り敢えず..........可愛かった。

 

「お、お化けが.......お化けがぁ..........」

「お化け?」

 

お化けって.....妖夢、お前は半人半霊だから常に隣にお化けっぽいのがいるだろ?

 

「まぁ、それで、どこで見たんだ?」

「私のし、寝室で」

「はぁ、わかったよ。俺もついていくからほら、妖夢、行くぞ」

「私も行くんですか!?」

「当たり前だろ!」

 

お前の寝室なんだから、妖夢が来なかったら俺が少し入りづらいだろ。女の子の部屋なんだから。

 

しばらくしく妖夢を説得しつつも、俺と妖夢は廊下を歩いてその妖夢の寝室へと向かっていった。お化けねぇ.......いないと思うんだが、あのしっかり者の妖夢が見たっていうんだ。もしかすると居るかもなぁ。そして妖夢も妖夢でビビり過ぎじゃないか?まだ俺の服を掴んでるのだが。

なんやかんや考え事をしていると妖夢の寝室にたどり着いた。

 

「じゃあ開けるぞ?」

「は、はい.........」



俺は寝室の扉を開けて、部屋を見渡す。



その部屋で、俺が見た光景は.........

 

「.......なんだ、何もないじゃんか」

 

部屋には何もなく、ただ布団が惹かれてあるだけだった。その他はホントに何もなかった。

 

「ほら、妖夢。安心し.......どうした妖夢!?」

 

俺は安全だと言う事を妖夢に伝えようとしたら、俺の足元で、何故か妖夢が気を失っていた。何があったんだ?

俺は視線を妖夢から後ろにある庭に向ける。そこには桜が並んでおり、花を付けてない西行妖が生えていた。

そして、その西行妖の下に、誰かが居たのだ。そのお化けは俺たちに気づいたのか、こっちを振り向く。

 

「........そ、そんな.....」

 

お化けがこっちを振り向いて、俺はその顔を見る。俺はその顔を見て驚いた。別に怖かった訳じゃなかった。ただ、その顔に見覚えがあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽々........子...........」

 

俺は思わず、その名を出した。

 

 




ついに亡霊の方のゆゆ様の登場ですね。妖夢も登場してきて、やっとって感じですね。


前書きにも報告しましたが、更新が遅れる事が増えると思います。作者も出来る限り、早く更新するように努力します。

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ではまた次回!

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