気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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最近、お菓子の食べ合わせにハマってしまいそうな作者です。大丈夫、運動はやってます......やってます!

今回の話は、割とシリアスかも知れません。苦手な方はブラウザバックでも構いません。
それと、作者はシリアスに慣れてないので文書が変だったり、伝えにくくかったりしますので、そこは本当にすみません。

それではごゆっくりと。



13・5話:サクラの話

──うすうすと気づいていた。

 

──もしかすると、こうなるんじゃないかって。

 

──わかっていた。わかっていたのに。

 

 

 

 

 

 

 

──わかっていたのに、止められなかった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

西行妖は、人の命を取り込んで花を咲かせる桜。もちろん人だけでなく、妖怪の妖力などもその中に含まれる。

 

幽々子はまだ人に身であったが、西行妖から狙われることは無かった。

理由としては、幽々子は西行寺の血が流れていたから、という事もあるが、なりより大きいのは『死霊を操る程度の能力』を持っていたからだと思われる。幽々子はその死霊を操るだけで、別に何か凄いことが出来るのかと言ったらそうではなかった。西行妖からすれば、幽々子を取り込む必要な無いと判断されたのだろうか。

 

次に、魂魄妖忌だ。

妖忌は半分は人間、半分は亡霊である半人半霊という種族に入る。もちろんそれは、魂魄家の者はみんながそうらしい。

西行妖は、生きている人間から生きている生気を取ろうとするのだが、半人半霊の妖忌とはいえ、半分は人間なわけだ。それなのに狙われはしなかった理由が、正直に言うと、全くわからないのだ。何らかの術を使ったのか。それともかなり強い御札でも使っているのか、妖忌は何も教えてはくれなかった。

 

 

 

 

そして最後に、俺が西行妖に狙われていた理由。

はっきり言って、イマイチ分かっていない。俺は生きてもいないし大きな妖力も無い。あるというのなら小さな能力くらいだ。だけど、西行妖からすれば俺の能力なんてどうでもいいと思うくらいだ。俺が狙われる理由は全く持って無いと言ってもいい。第一に、俺が冥界に来てから、既に西行妖からは見られていたかもしれない。

だけど少なくとも、俺が『西行妖に選ばれる理由が何かしらある』ということ。それさえ分かれば.........。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽々子は、冥界に来て何もわからなかった俺を、白玉楼に住ませてくれた。その時の幽々子は『亡霊なのに体があるって珍しいわ』と、それだけの理由でだ。

生きていた頃、外には出ていたが女性と話す機会がほとんど無かった俺は、幽々子と話す時だけなぜか楽しく感じたんだ。俺がご飯を作った時は、笑顔で美味しいって言ってくれて、その言葉と、笑顔を見ただけで嬉しかった。

 

 

 

そして気づけば、俺は幽々子に恋をしていた。

 

 

ある日の夜、俺は告白した。

 

 

 

『俺は...幽々子のことが、す...好きだ......!』

 

 

恋をしたことも無いし告白なんて生きていた頃に見たドラマや漫画、小説、アニメくらいだ。どう言えばいいかもわからない、こんなありきたりで噛みまくっているセリフでも、幽々子は笑って答えてくれた。

 

 

 

『......先に言われちゃったわね。陽斗、私もよ』

 

 

言い終わると同時に、幽々子は抱きついてきた。どうすればいいのか分からずにオドオドしていた。初めは笑っていた幽々子だけど、抱きついてからは肩を震わせ、涙を流していた。その姿を間近で見て、俺は静かに幽々子を抱いてあげた。こうするしか思いつかなかった。

 

付き合い始めた事が 妖忌に知られた時の事は忘れもしない。白楼剣を鞘から出して真っ先に斬って来ようとしたんだよな、あれは怖かったよ。だけど、妖忌からすれば、守っているお嬢様を急に来た亡霊と付き合うなんて思いもしないだろう。

我に戻った妖忌は少し頭を冷やして来ると、外に出て行こうとして俺の横をすれ違った時に言ってくれた。

 

 

『幽々子様は、任せたぞ......』

 

 

もちろん、かなり驚いた。さっきまで成仏させられそうになった剣士からの言葉だったからだ。それを聞いたと同時に、妖忌から認められたと思って嬉しくなった。勘違いかもしれない。だけど、そんな気持ちでいっぱいだった。

 

悲しませないようしなきゃ。

 

笑顔が増えて欲しい。

 

涙を見たくはない。

 

幽々子を幸せにしてあげようと決意した。

 

 

 

 

 

 

それなのに.........。

 

 

俺は、幽々子を守れなかった。それより、守ってもらった。

西行妖から狙われていた事に幽々子は気付き、自らの命と引き換えに、そして俺を守ると同時に西行妖を封印しようとした。今思うと、紫から色々と聞いたんだろう。俺の身が危ない、と。

 

恋人らしく、男らしい事も何もしてあげられなかったこの俺を、守ってくれた。

 

──やめてくれよ。

 

──どうしてそこまでして。

 

──俺のことなんか、守らなくても......。

 

──なぁ幽々子、どうしてなんだ......。

 

 

 

『今度はお互い...亡霊として......ね.........』

 

 

 

───どうして、こんな惨めな俺なんかを......!

 

 

 

 

 

 

 

そして、西行妖の花弁を見ることは無くなった。

 

それと同時に、幽々子の姿を見ることも無くなった。

 

 

 

 

 

これは、大切な人を守れなかった亡霊と......大切な人を命を掛けて守ったお嬢様のお話。

 

 

 

 




.........(こんな文書で本当に伝わったかかなり心配)
皆さん、変なところや「やっぱりわからない」という意見がありましたら容赦なく教えて下さい。

シリアス、説明を上手くするにはどうすれば......。いろんな方の作品を見て学ぶしかないですね!頑張ります!

本当に言ってくれても構いません。(血涙)

意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!

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