気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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作者は悩んでいた。
どうして大人は苦いコーヒーを美味しそうに飲めるのかを!

......物凄くどうでもいいですね!

はい!今回はタイトルからして.......あの方が登場しますよぉー!

ではごゆっくり


12話:もう1人の八雲

今日はいつもより暖かく、風が少し強めに吹いている。その風は桜の花弁を散らしていき、白玉楼の庭を桜の花弁で綺麗なピンク色に染める。



そんな風景を、俺と幽々子はずっと.....

 

「......暇ね」

「暇だな.........」

 

かなり退屈しながら見ていた。

幽々子は元々何もしなくてもいいのだが、俺はやるべき事が今は無いのだ。ご飯も作った、掃除もした、ホントに何もする事がない!

 

「陽斗ー、何かないー?」

 

今にも眠ってしまいそうな声で幽々子が俺に聞いてくる。何かって言われてもな~、ホントに何も無いんだよなぁ。

 

「何かないーって言われてもなぁ、何も無いなぁ~」

 

うーん。ホントに何も思いつかない、何も提案がない。こういう時に紫が居てくれたならなぁ。紫は意外と面白い事を考えつくからこの状況をなんとかしてくれそうだな。

 

「あら、暇そうね」

 

なんて考えてたら紫がナイスタイミングで来てくれた、さすが紫。

 

「昼間からこんなにだらけて、少しは動きなさいよ」

「紫はスキマを使ってるじゃないのよぉ」

「そもそも紫は睡眠時間がハンパじゃないだろ?」

「私はいいのよ」

 

そう言い、紫は扇子を広げて口元に当てる。どこがいいんだろうか、全くわからない。紫の睡眠時間は軽く10時間を超えるだろう。それだけ寝ているのに俺たちに動けって、普通なら『何言ってんだ?』ってなるだろう。

 

「そういえば紫、式を雇ったって言ってたわね」

「式?式って式神の事か?」

「そうよ、この前雇ったの」

 

紫が式を雇ったら余計動かなくなるんじゃ.......。

 

「陽斗、私がさらに動かなくなるっておもったでしょ?」

「心を読むなよ!?」

「ねぇ紫、その式、紹介してほしいわ~」

「わかってるわ。そのために来たんだから」

「あ、そうだったのか」

 

あぁ、なんか急にその式が見たくなってきたな!どんな式を雇ったんだろうなぁ。

 

「じゃあ紹介するわ」

 

そう言って紫はスキマを出して、何故か間を取ってスキマを開く。

そこには金色のショートボブの髪に2本の角の様な形をした白い帽子を被っており、服はゆったりとした長袖ロングスカートの服に青い前掛けのような服を被せている。そして腰の辺りからは沢山の黄色い尻尾が生えており......

 

 

油揚げを幸せそうに食べていた。

 

 

「「...........」」

 

当然、俺と幽々子は唖然とし、その姿をずっと見ていた。

 

「.....ッ!」

 

そして俺たちの存在に気づいたのか、皿に残っていた油揚げをたいらげ、俺たちの方を向く。だが俺たちの方を向くのは良いが、まだ油揚げを飲み込めてないのか、口がモゴモゴ動いていた。そしてしばらく経ち、ゴクンッと飲み込んで喋り出す。

 

「私が紫様の式をしている八雲 藍、と言います。藍、と呼んでください。どうぞ宜しくお願いします」

「いや、リカバリーが遅いです」

 

油揚げを食べ終わって3分位経ってるな。

 

「陽斗さんと幽々子様ですね、話は紫様から聞いてます」

「あぁ、そうだが、紫からはなんて聞いてるんだ?」

「はい。お二人はお互いに恋人同士だと、紫様から聞いています」

 

お、意外と普通だったな。紫の事だからてっきり変な事を教えてるって思ってたな。

 

「えぇ、私と陽斗は恋人よ。それで、他には何か聞いてない?」

「そうですね。後は......よく分からないです」

「分からないのかよ。まぁ、これから宜しくな、藍」

 

俺は藍に手を差し伸べる。そして藍はそれに答えるように手を伸ばし、

 

「はい、こちらこそ宜しくお願いします」

 

と言って握手をする。

 

「という訳で幽々子、今日藍には白玉楼の手伝いをさせるから、後は宜しくね」

 

.........えっ?

 

「あ、ちょ、紫!」

 

急に言われて反応ができなかったのか、幽々子は慌てて紫を止めようとするが、紫はスキマを出してその場から居なくなってしまった。

 

「もー、紫ったら」

「まぁ落ち着いて下さい、幽々子様。今日は私がやりますので、陽斗さんもゆっくりしてて下さい」

「そ、そう?」

「ありがとな、藍」

「いえいえ」

 

藍はしっかり者だな、主とは違って。礼儀正しいし、紫の言う事もちゃんと聞いてるし、紫は良い式神を雇ったな。最初の油揚げは何とも言えないが......。

 

この後、藍がほとんどの仕事をやってくれた、のは良かった。だが、そのおかげで状況は最初と同じ、物凄く退屈のままだった。

 

「はい、お仕事、終わりましたよ」

 

すると藍がいい笑顔で俺と幽々子の所に来て、そう言う。

 

「あぁ、ありがとな」

「大丈夫ですか?何か疲れてるような顔をしてますが」

「いや、気にしないでくれ。ちょっと退屈だったからな」

 

うん、ホントに退屈だった。藍が仕事をしてる間はほとんど何も考えなかったし何も出来ないからな、仕事をしないのも良いが暇すぎても悪いな。

 

「なぁ藍」

「はい、なんですか?」

「藍は狐なのか?尻尾の数は多いけど」

「いえ、私は九尾、九尾の妖怪です」

 

九尾かぁ、カッコイイな。だからあんなに尻尾の数があるんだな、なるほどなるほど。

 

「だから油揚げを食べてたのかしら?」

 

すると幽々子が少し藍に興味を持ったのか、藍に質問をする。

 

「いえ、油揚げが好きなのもありますが.......別の理由があるんですよ」

「あ、そうなのか?ならその別の理由って奴も聞きたいな」

 

俺がそう答えると、なぜか藍は目を閉じて少し喋るのに間を空ける。

 

「そこに油揚げがあるからです」

「登山家か!」

 

結局油揚げが大好きって事には変わらないじゃん!わざわざ登山家風に言う必要あったか!?

 

「美味しいですよね」

「美味しいわよねぇ」

 

そして幽々子も食べ物関連だからか、油揚げの美味しさに同感し、2人ともが綺麗に揃って頷く。まぁ、確かに美味しいよ、油揚げは。うどんとかと良く合うよ。出汁が染みてるのとか凄く美味しいよ、うん。

 

「藍、貴方とは気が会いそうだわ」

 

なんだろう、油揚げで気が合うって..........。

 

「それと藍、1つお願いがあるんだけど、いい?」

「はい、なんでしょうか?」

「これはね、貴方を見て最初に思った事だけど......」

 

すると幽々子は少しシリアスっぽい表情を作って、藍に目を合わせる。

 

「貴方の尻尾、モフモフして良いかしら?と言うかしたいわ」

 

あ、それ俺も最初に思った。藍を見た時からすっげぇ『あの尻尾、モフモフしたいなぁ』って思ってたもんなぁ。見るからに気持ちよさそう。

 

「その、すみません。この尻尾は敏感な物で、モフモフされると.........」

「あらそうなの」

 

藍の尻尾をモフモフ出来ないのが残念なのか、幽々子はちょっとテンションが下がった様に見えた。ちなみに俺も残念だと思ってる。まぁしょうがないか、敏感って事は触らない方が良いだろうな。

だか、幽々子はどうしてもモフモフしたいのか、

 

「なら我慢してちょうだい」

 

なんて言い出した。さすが幽々子、考えがおかしい!

 

「え、いや、幽々子様?この尻尾は敏感でって、その手の動きはなんですか!?明らかにヤバイですよね!?」

「安心して、すぐ終わるわ」

「その言葉が怖いのですが!?」

 

藍は必死に抵抗するのだが、幽々子は聞く耳を持たず『少しだけ、少しだけ』っと言って凄い手つきをしながら藍を壁まで追い込む。

そして幽々子は藍の尻尾にかぶりつくが如く、藍の尻尾に手を伸ばした。尻尾を触り、両手で抱いたり、とにかく触りまくっている。

 

「ゆ、幽々子、様ぁ....ら、らめで、すよあぁ!そ、そんなに激しくしたら.......か、身体がっ、も、持ちませんんっ!!」

「ふふ、藍の尻尾、気持ちいいわ」

 

なんだろう、これを百合って言うんだろうな。いや、百合じゃないな、見る限り年齢制限が大変な事になってるな。

 

「よ、陽斗しゃん.......た、助けてくだあっ!........幽々子さまぁやめ........っ!助けて下さいっ!」

 

幽々子の手つきがヤバイのか、藍はまともに喋れなく俺に手をのばし、涙目で助けを求める。うーん、正直、俺もモフモフしたいんだけどな、藍も大変そうだし助けますか。

 

「ほら幽々子、そろそろ止めとけ。藍が大変な事になるぞ」

 

俺は幽々子に近づき、ヤバイ手つきをしている手を止める。

 

「えー、陽斗も触ってみてよー気持ちいいわよ?」

「でもな、藍がもうキツそうだろ?そろそろ」

「えいっ」

「あっ」

 

幽々子にモフモフを止めようとするが、幽々子は俺の手を藍の尻尾の中に突っ込み、俺の身体を尻尾に密着させる。

この瞬間、俺の身体には何らかの衝撃が走った。なんだろう、言葉じゃ表せない何か。この感じ、この手触り、この感覚、なんて言えば良いのか分からない。だけど1つだね、これだけは言える事.......

 

「すげぇ気持ちいい..........!」

 

そう、恐ろしく気持ちいいのだ。俺は思わず止めようとした手が幽々子から藍の尻尾に移り変わり、尻尾を触りまくる。

 

「よ、陽斗さんまでぇ、や、だめぇぇぇ!!」

 

だ、ダメだ、手が止まらない。手が言う事を聞かない。あまりにも快感で自分でも制御ができない。

 

「すまない藍、手が止まらないんだ」

「そ、そんなぁぁぁぁ!」

 

こうして、藍をモフモフするのが30分位続いた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「藍の尻尾、気持ちよかったわね」

「そうだな」

 

もうちょっと藍をモフモフしたかったな。でもやり過ぎたかなぁ、最後泣いてたもんな。

ちなみに、藍をモフモフし続けてたら途中で紫が来た。そして藍は紫に泣きながら『ゆ、紫様ぁぁぁ!!!』と言って抱きついてそのまま帰っていった、というわけなのだ。

 

「んじゃあ、俺はご飯の準備をするよ」

「はーい」

 

俺はご飯の準備をするため、1度立ち上がり、台所に向かおうとする。.........のだが

 

「あれ?」

 

急に視界がボヤけ、少しふらつく。なんだ、どうしたんだろうか。俺は再び足に力を入れて踏ん張る。だがやはり視界がボヤけて足がふらついてしまう。そして気づいたら、いつの間にか俺自身が倒れていた。あれ、どういう事だ?さっきまで立っていたのに.........。

 

「えっ.........陽斗、陽斗!」

 

俺が倒れた事に気づいたのか、幽々子が近くまで来て、俺の名前を叫ぶ。あれ?こんな近くなのに、幽々子の声が小さくなってきて.......それに、だんだん気が遠くなって.........。

 

 

 

そして、俺は気を失ってしまった。

 

 




藍の尻尾をもふもふしたい.........。そして抱き枕状態にしたい。

橙ファンの皆さん、すみません。橙は出せませんでした。なぜなら橙はマヨヒガだからです。という理由ですね。

藍をもふもふするところはギリギリ大丈夫だと思いますが........セーフ?アウト?

感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!

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