気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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うーん、まだ前書きで話す事が思いつかない。

とりあえず、今回は前回の続き、続編ですね。
最後は陽斗の能力の名前で終わってしまいました。なので今回でその能力が発揮されます!

ではごゆっくり


10話:リベンジ

この能力の存在に気づいたのは、俺が白玉楼の住み始めて間もない頃だった。

 

俺は白玉楼の案内をしてもらうために幽々子と一緒に廊下を歩いていた。その歩いている途中、紫がスキマを出して幽々子を驚かせたのだ。当然、幽々子は驚いてビックリしていた。その時に少し足を滑らせて後ろに倒れそうになったのだ。俺は慌てて幽々子に手を差し伸ばす。

だが手を前に出した直後、幽々子の身体が急にこけそうになった体制から元に戻ったのだ。最初はただの偶然だと思った。

 

でも、その次の日。

夜遅くまで幽々子と俺と紫でいろんな話をしていたのだ。

 

『もう遅いから帰るわね』

 

紫はそう言って立ち上がり、いつもの様にスキマを出そうとした。だがスキマは出なかったのだ。

紫は首をかしげて悩み続けた。いつもならスキマが出るはず。そう言い何度か試みていると、紫は俺の顔を見てハッと思いついたかの様に目を開いたのだ。

 

『陽斗、あなたの左目、赤いわよ?』

 

この言葉をきっかけに、俺が能力を持ってる事に気がついたのだった。

そのあと、色々な方法でどんな能力かを試していた。そして結果、『阻害する程度の能力』だったのだ。

紫のスキマが出なかったのは俺が紫の能力を阻害、邪魔をしていたからだった。だから幽々子がコケなかったのは俺がコケるのを邪魔したからだった。

 

能力が使えて嬉しいと思った。だが規模を小さく、紫みたいにスキマ、いわば能力を邪魔すると言ってもその能力を弱めるというくらいで、完全ではなく、1度に1つの事しか阻害が出来ないのだ。

 

 

 

そして今........その能力を妖忌に使おうとしている。

 

俺の能力、『阻害する程度の能力』を使いたくなかった。それもこんな形で、そして妖忌を相手に..........。

 

俺は妖忌の目を見る。

すると、今まで妖忌と一緒にいた頃の思い出が頭の中で流れる。



食事の作り方、家事、白玉楼での住み方。

そして................剣の扱い方。

 

「陽斗よ、覚悟は出来たか?」

 

そんないろんな事を教えてくれた妖忌が、俺に向かって刀を構えている。

もう、やるしかないのか.........。

そう心の中で呟き、俺も刀を構える。

 

「あぁ........いくぞ、妖忌!」

「..........」

 

俺は妖忌に向かって叫ぶ。俺が負ければ幽々子が危ない事を肝に銘じて、刀を向けて走り出す。妖忌は俺に対して静かに構えをとって、俺に視線を合わせる。

 

妖忌に近づいた俺は、刀を振り上げると同時に、能力を使った。それは俺に掛かっている重力を阻害する。重力を阻害した俺は今、いつもより高くジャンプすることが出来るのだ。

そして俺は刀を振り上げて高く上に飛んだ。妖忌はこれを予想していなかったのか、少し驚きながら上を見上げる。俺は重力への阻害を解除して、次は俺の落下する時に起こる空気抵抗を阻害する。こうすることで俺は空気抵抗を受ける量が減って、素早く落ちることができる。

 

「はぁ!」

 

俺は落下すると同時に妖忌の頭上で刀を振りかぶり、接近してから妖忌に目掛けて刀を振りおろした。

 

「........」

 

だが妖忌は静かに横に動き、俺の攻撃を避けた。俺は妖忌の避けた方を振り向いてもう一度攻撃をしようした。

 

その時......。

 

「.........終わりだ.........」

「え.......?」

 

妖忌の声からそう聞こえた。『終わりだ』と。

 

俺はそのそこ言葉を聞いた直後、何故か身体が動かなくなってしまった。

そして気づいたら、刀が俺の肩を目掛けて襲いかかってきた。俺は反応が遅れてしまったため、かろうじて避けたが、俺の二の腕に少し当たってしまった。腕からは少し時間が経ってから、血が出始めた。

この時、俺は妖忌が本気でやっている事を、改めて思い知った。

 

「陽斗!」

「だ、大丈夫だ」

 

幽々子が俺の血を見て俺に駆け寄ろうとする。でも今来られても何もできない幽々子を近づけさせないよう、俺は手を広げて『来るな』と合図を送る。

 

「陽斗........」

 

俺の行為を見て、幽々子はその場で立ち止まる。安心してくれ、絶対に無事に戻ってやるかな。

 

「ほぅ、今のを避けるか」

「妖忌、もうやめろよ!こんな事してなんの意味があるんだよ!」

「..............」

「妖忌!」

 

俺は妖忌に声をかける。だが妖忌は聞いていないかの様に無視をする。そして妖忌は再び刀を構えて、俺に襲いかかる。

 

「くっ!」

 

刀が俺に目掛けて降り注ぐ。右から左へ、左から斜め上へと、いろんな方向から攻撃させる。

キンッキンッと金属音が響きわたり、刀と刀を交わらせる。

 

「妖忌!ホントにどうしたんだよ!?」

「.......陽斗、いつになれば本気を出す?」

「え?」

 

そう言い、妖忌は攻撃をやめる。そして後ろに下がって幽々子に近づいた。直後、俺はゾクッと寒気を感じた。

 

「や、やめろ!」

 

俺はもしかすると、と妖忌の行動を予想した。そしてその予想は当たっていた。

 

「きゃっ!」

「っ!」

 

幽々子の身体に目掛けて刀を振りおろしたのだ。だがわざと刀をギリギリのところで外し、幽々子にかすり傷を負わせたのだ。

 

 

 

 

 

...........殺す。

 

 

 

頭の中はこの言葉でいっぱいだった。

妖忌は裏切っただけじゃない。俺の恋人、俺の愛した人を傷つけたのだ。

 

「ょ、う......き......!」

「やっと本気を出したか」

 

俺が叫んでいても、妖忌はお構いなく喋り出した。

 

「その怒りをぶつけろ!じゃないと幽々子殿は助からぬぞ!」

「オラァ!」

 

言われなくても当然だぁ!俺は絶対に許さねぇぞ!

俺は能力を再び、重力へと使い、高く飛ぶする。

そして刀を妖忌に向けて振りおろした。だが妖忌はそれを右に身体を動かして避ける。俺は妖忌の動きに合わせて身体を捻り、刀の峰のところで妖忌の足をすくった。

 

「なっ!」

 

妖忌は急な出来事に驚いて、足をすくわれて後ろに倒れてしまう。

妖忌は慌てて立ち上がろうとするが、この行動は俺は先読みしていた。

俺は立ち上がろうとする妖忌の首筋に刀を向ける。刀を向けられている事に気づいた妖忌はそのまま硬直してしまった。

 

「妖忌......あんたはホントにいい奴だったよ。でも、幽々子を傷つけたのは.......絶対に許さない!」

 

俺は刀を振り上げ、妖忌の目を見る。

そして───

 

 

───俺は刀を振りおろした。

 

 

 

 

その直後、何故か俺は妖忌を斬った.......と思ったが、俺は岩に斬りかかっていた。

 

「っ!?な、なんで!?」

 

俺は慌てて周りを見ると、俺の後ろには憎かった妖忌が居たのだった。なんでだ!俺は確かに、確実に妖忌を斬ろうとしたのに!

 

「陽斗、そこまでよ」

「や、紫!」

 

すると妖忌の後ろからスキマが出現し、紫が現れた。

 

「さっきはあなたをスキマの中に入れて妖忌を斬らない様にしたのよ」

 

この言葉を理解するのに少し時間がかかった。

要するにだ。俺が妖忌を斬ろうとしたらその直後に紫が俺をスキマに入れてトドメをさせなくした。多分そうであろう。

 

「紫!なんで止めるんだよ!」

「はぁ.......幽々子、早く説明してちょうだい」

 

説明?どういう事だ?

 

「ごめんなさい陽斗。これはあなたへの試験みたいなものだったのよ」

「試験........?」

 

 

 

 

え、ていうことは.......

 

 

 

 

「これって全部......!」

「えぇ、冗談よ 」

「すまぬな陽斗。これは幽々子殿から頼まれたのじゃよ」

 

そう言って今度は妖忌が喋り出した。

 

「幽々子殿が『演技をしてほしい』と頼まれての、それが今の現状じゃよ」

 

演、技.........。

 

「それと、本気で幽々子殿を愛しているのかを試させてもらった」

「陽斗は幽々子が傷ついた時にやっと本気を出した。てことは幽々子が大事な存在って事、そうでしょ?」

 

た、確かに......幽々子が傷ついた時は、ホントに頭の中が自分でも訳がわからなくなった。ただ、妖忌を倒そうと、そんな感情だけだったな。

 

「それと、ホントに幽々子が襲われたら助けられるかって事も兼ねての試験だったのよ」

 

助けられるかの試験......。

 

「幽々子殿、すみません。怪我の方は」

「いいのいいの、気にしないで」

 

幽々子はかすり傷をしたところを少し押さえながらも妖忌に笑顔で許していた。

 

「なら、幽々子、宝ってのも.....」

「無いわよ」

「ならこの目的は」

「紛れもなく陽斗、あなたのためよ」

 

...........あぁ。

 

もう、なんて言えば良いのか分かんないやぁ。

 

みんな、俺のために..........ありがとう。



そして.........

 

「やっぱり大掛かりな冗談だったじゃねぇかぁぁあぁ!!!」

 

とにかく、この言葉を叫びまくった。

 

実は怖かったという事も隠して。




能力を使ってでの戦闘シーンって難しいですね。

ゆゆ様はとても思いやりがありますね。ホント、もう、とにかく好きです!
それと妖忌も、陽斗の為にゆゆ様の無理なお願いを聞いてあげてそれを実行させる。いい人ですよねぇ。

感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!

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