話を進めるために出しました。
リンさんから頂いたキャラ案でも良かったのですが、ここで出るのは違うな〜と思い保留。
(緑谷視点)
マスキュラーを倒し、僕は施設へと戻った。
メリッサさんに貰ったガントレット、残り一回を使わず残しておいて正解だった。
あれがなかったらと思うと、少しゾッとする。
多少の痛みはあるが、骨は折れていない・・・と思う。
途中相澤先生に遭遇した。
「緑谷、無事勝てたのか?」
「はい、相澤先生!今から施設に帰る所です。」
もう自分に出来ることは何もないだろう。
「緑谷、他の奴らを見ていないか?」
「全員が施設に帰っていないんですか?」
「ああ。鉄哲・拳藤・小大・骨抜・泡瀬、それから轟・青山・爆豪・障子・八百万・常闇、そしてお前と東方だ。他の奴らは施設にいることを確認されている。」
おかしい。
東方さんは洸汰君と一緒に施設に向かった筈だ。
敵による襲撃を受けているのだろうか?
「洸汰君は?」
「先程施設に着いたと聞いている。小槌の妹もいるみたいだ。」
洸汰君がいて東方さんがいない理由で考えられるのは、二つ。
一つは敵連合の誰かと戦っている、その場合一人で逃した又は他の誰かが施設に送り届けた説。
もう一つは洸汰君を施設に置いた後、僕を助けるために戻っている説。
ただ後半の考えだと、施設に戻った途端にブライドキング先生が止めるだろう。
そうなっていないとなると、前半の考えがあっていると思う。
後小槌君の妹さんがいる理由については、全くもって分からなかった。
施設に向かっている途中、視線の端に何かが見えた。
一見すると放置ゴミのようにも見える。
しかし見覚えのあるような気がする。
走っていた足を止める。
相澤先生も同じく何かに気がついたようだ。
「あれは、東方が使っている武器か?」
剣や箒、扇子なんかが無造作に置かれている。
その大半が壊されており、無事なのは剣とビームを撃っていた機械(八卦炉)のみが原型を留めている。
周りを見渡しても人がいるような感じはしない。
「・・・ここで何やら起こったみたいですね。」
「ポーチが壊れてしまったのだろう、武器を拾っている暇もなかったのか?」
それにしてはポーチがズタズタすぎる気がする。
武器もほぼ原型が留めていない物が多い。
拾っている暇がなかったにしては、戦闘したという形跡がほぼない。
「カーカー」
烏が一匹悲しそうに鳴いていた。
その烏は足が三本あること以外は、普通の烏のように思える。
その烏は僕達を見つけると、こちらに歩み寄る。
暫く僕と相澤先生を見て、何かを感じたのか施設とは少しずれた方向に歩いていった。
「カー」
暫く歩いて振り返り、僕達を見つめる。
「どこかへ案内しようとしているのか?」
「カー♪」
満足そうになく烏。
「あっているみたいです。」
烏は時折追ってくる僕達を確認しつつ、どこかへと案内し始めた。
暫く歩いた先には壊れた無線機と携帯、それから嘔吐したと思わしき液体があった。
携帯は待ち受けは映るものの、その他の動作はできない状態だった。
「この携帯、東方さんのだ。」
戦闘した形跡はないけどやっぱり何かあったんだ。
「敵はここにはいないよ。どうやら目的を達成したから撤退したんだと思う。何故だかは知らないけどね。」
烏は悠長な日本語で話し始めた。
根津校長と同じく動物でありながら、個性を貰えたのだろう。
ちょっとだけ羨ましいと思ってしまった。
「私を知っている動物達は
八咫烏・・・日本古記にも載っている太陽の化身だったはず。
「あの携帯を持っていた子もついていったよ。同じ仲間同士だったのかな?」
東方さんがついていった?
まさか東方さんが敵と内通して・・・いいや違う。
あんなにも他の人のことを考え、人を助けようと奮起している姿を見てきたのだ。
一瞬でも内通者として見てしまった自分に、少し嫌気がさしてくる。
「奴らはどこへ消えた?」
「わからないよ。ワープ系の個性を使ってどこかに行ってしまったなぁ〜。」
翌朝、ヒーロー達が訪れた。
三名の敵を逮捕したものの、最悪の結果を出してしまった。
意識不明者・・・二名(骨抜君・小大さん)
軽傷・・・四名(拳藤さん・鉄哲君・障子君・常闇君)
重傷・・・ニ名(八百万さん・自分)
無傷者・・・十三名
行方不明者・・・一名(東方さん)
end
(小槌視点)
ヒーローが到着後一番驚いたことといえば、東方が捕まえられたということ。
クラスの中で一番の実力者(時と場合によっては違うけど・・・)。
人質を取られていたとは言え、何もしなかったというのはおかしい。
現に山女魚達を施設に送っている。
まだ何かあるのだろうか?
そんなことを考えながら緑谷の見舞いへ訪れる。
「緑谷、東方を助けに行ける計画は一応はあんだよ。」
「どういうこと、切島君?東方さんを助けに行ける方法って・・・」
まさか、発信機の話?
「実は俺と・・・轟は昨日にも面会に来ていたんだよ。」
「ああ。」
「そこでな・・・」
切島は昨日あった話をする。
意識を取り戻している八百万が、オールマイトと塚内にとある話をしていた。
要約するとあの時襲った敵の一人、脳無に発信機を取り付けることに成功し、オールマイト等に使ってくださいと受信機を渡していたとのこと。
その話を全員に教えて、飯田が口を開く。
「・・・つまりは、その受信デバイスを八百万君に作ってもらう・・・と?」
飯田の口調は少しであるが棘がある。
当然、納得できるわけがない。
保須市での独断での行動をして、痛い目を見た飯田。
そのことを思い出しているのだろう。
「オールマイトの言うとおりだ!これはもう俺達のできる際限を越えている案件だ。大人しくプロ達に任せるのが正解だ!俺たちの出ていい舞台ではないんだ、馬鹿者!!」
「そんなもんは分かってんだよ!でもよ、俺はあんときなんもできなかった!!なんっっも出来なかったんだ!!しようともしなかった!!ここで動けなきゃ俺は、ヒーローでも男でもなくなっちまう!!」
「落ち着け、切島。病院で騒ぐな。」
一応は病院だから静かにと宥める。
「飯田や皆が正しいってのは分かってんだよ!だけど、なぁ緑谷!!まだ手は届くんだよ!!」
「・・・俺と切島は行くつもりだ。東方の個性を考えれば、殺されることもねぇと思うが、それでも何が起こるかわかったもんじゃねー。」
切島の言葉を引き継いで轟がそう言う。
だが、それでも飯田には到底我慢できなかったようで・・・
「ふざけるのも大概にしたまえ!!」
「まぁ待て。落ち着け。」
障子が手を出して仲裁に入る。
「切島の何もできなかったという思いも、轟の近くにいたのに助けられなかった気持ちも分からなくない。俺だって当然悔しいさ。飯田も反対はしているがもちろん悔しいだろう。だが、感情的になって動いていい話じゃない。」
それで一応は病室内は静かになった。
それから保守的な考えの者や、戦闘許可も解除されている旨も含めて冷静になろうという話で纏まっていく。
「みんな、穂稀ちゃんが攫われてショックだってのは分かるわ。でも、冷静に考えてちょうだい。どれ程正当な感情であろうともまた戦闘行為を行うというのなら・・・ルールを破るというのならその行為は、敵と何ら変わらないものなのよ?」
それで全員が神妙な顔つきになる。
そこに緑谷の診察医が入ってきたので、一応全員は退室をしていく。
切島は私に近づき小声で話しかける。
「八百万には昨日、この件は話した。行くなら即行・・・今晩だ。一番親しい思いをしているお前だからこそ誘ってんだ。考えといてくれ・・・今晩、病院前で待つ。」
なんで私?
何故皆がいる前であんな話をしたのだろうか。
なんかしらのフェイク?
妹を取るか、東方さんを取るか。
備考
・緑谷不参加
今作では爆豪ではなく主人公のため、小槌に切島が話します。
その為緑谷が不参加予定です(笑)
もしかしたら参加するかもww