僕アカ×東方 〜私の個性はほぼ全キャラの能力〜   作:響緑

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なんか死にそうなタイトルですが誰も死にません。
因みに作者は、タイトルとどういった内容なのかぐらいしか知りません。

本編の方は少しシリアス気味?
上手いことオリジナルも含められていると思うけれど・・・


(わたし)の屍を超えてゆけ

私達は走った。

いくら鍛えているからと言って、制御室まで登るのは一苦労だ。

一階上がるごとに(一階が4.32m・一段が18cmだと仮定した場合)24段、24×(制御室がある階層−2(レセプション会場があった階層))分上がらないといけないのだ。

計算は八百万によるもの、私は途中で考えるのをやめた。

 

「山女魚、制御室で解除できるまで個性の使用を許可する。」

 

「分かった!」

 

そう言うと、菌になってどんどん上に上がっていく。

一々階段を上がることをしなくてもいいのは、個性ならではの特権。

だがその分この個性は長いこと使い過ぎると病気になりやすく、風が一切吹かない室内ではあまり上まではいけないようだ。

それでも先頭集団に必死にくらいついている。

80階まで登ったはいいものの、それから上へと続く階段は塞がれていた。

簡単には行かしてくれないみたいだ。

ん?

 

「これは?」

 

見つけたのは何気ない小さな穴。

80階フロアらしき廊下が見えている。

 

「何か見つけました?」

 

「八百万、この穴フロアへと続いているだがどうする?」

 

「そうですね。ドアを開いてしまったら、相手側に居場所がバレてしまうでしょう。」

 

ガチャ

 

「え?」

 

山女魚が扉を開けている。

おそらくだが、バレただろう。

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「山女魚ちゃんは悪くないよ。止められなかった私達(うちら)のせいだよ。」

 

麗日が落ち込んでいる山女魚をフォローをする。

 

「みんな、このまま突破するよ!」

 

緑谷の言葉でまた走り出す。

フロアを走り続けていると、隔壁シャッターが閉まり出した。

 

「っ轟君!」

 

「分かった!」

 

轟が氷で隔壁シャッターが完全に閉まり切ることを防ぎ、飯田が自慢の足で扉を蹴飛ばす。

そこは植物園みたいな場所だった。

 

「植物プラントだわ。個性での研究のための・・・」

 

「待って!」

 

耳郎がメリッサの説明に待ったの声をあげて、わずかな音に警戒するように前に出る。

見ればエレベーターであろう場所から、階数を示す表示がどんどんとここへと昇ってきているのだ。

 

「まさか敵か?」

 

「ひとまず隠れよう!」

 

それで草の茂みの中に隠れる私達。

そしてエレベーターから二人組の男が出てきた。

 

「ガキどもはどこにいる?」

 

「まったく、面倒な場所に隠れやがって・・・」

 

どんどんと近づいてくる男達。

「来るな、来るな・・・」と祈り続けていた。

だが、

 

「見つけたぞ、ガキども。」

 

という言葉とともに私達に緊張が走る。

しかし、そこで思いがけない方から違う声が聞こえて来た。

 

「あぁ?今なんつったテメー?」

 

「あ、おい、爆豪!」

 

なぜこんな場所にいるのかいささか疑問ではあるが、爆豪と切島の姿があった。

切島は事情をまだ知らないため、男達の事を警備員か何かかと勘違いしている。

 

「すみません。俺達道に迷っちまって・・・レセプション会場はどちらにいけばいいんですかね?」

 

集合場所にいなかったのは道に迷っていたせいか、そうかそうか・・・

「なんで道に迷って80階まで行くんだよ!?迷うにしても限度があるだろう!」と心の中で突っ込む。

おそらくみんなも同じ考えだろう。

案の定というか、切島の言い分に腹を立てた。

 

「見え透いた嘘をついてんじゃねーよ!!」

 

と言い放ち、なにかしらの個性を切島めがけて放った。

私も思わず立ち上がるが、最初に動いたのは轟だった。

氷を展開して切島へと迫ってきていた攻撃を何とか防ぐ。

 

「こいつは!?」

 

「轟か!?」

 

爆豪と切島も気づいたのか驚いた顔をしている。

 

「お前たちは先に行け!」

 

そういって轟は私達の地面に氷柱を生やして、どんどんと上昇させていく。

敵に見つかった以上、時間は限られているだろう。

 

「俺達が時間を稼ぐからなんとか、上に行く道を探せ!」

 

「轟君は!?」

 

「大丈夫だ、後から必ず追いかける。」

 

「・・・はい!」

 

三人の心配をしながらも私達は上層部に到着したが、やはり隔壁はしまっていて先に進めなかった。

 

「これからどうする!?」

 

「これじゃ袋の鼠だぜ!」

 

「どうすれば・・・どうすれば・・・」

 

緑谷は必死に周りを見回した。

私はある所に見えた天井に小さい扉が見えるのを確認して、

 

「メリッサ、あの天井の扉は使えそうか?」

 

「日照システムのメンテナンスルーム・・・」

 

「あれなら非常用のはしごがあるのでは!?」

 

全員は希望を抱くが、問題があった。

それは誰があそこまで、しかも外側から開けるかだ。

そんな都合のいい個性など持ち合わせていない。

希望は絶たれたかに思われたが・・・

 

「まだどうにかなりますわ。」

 

八百万が個性で作った小型爆弾を、ハッチに向かって投げた。

爆発とともにハッチの蓋が外れてダクトが顕わになった。

そう、通風口から外に出て外壁を伝って上の階にいくというものだ。

しかし、ここで問題になってくるのがどうやって小さい穴から外に出て、さらには上まで登っていくのか。

 

「俺に任せろ。八百万、壁にひっつけられるような物を二つ頼む。」

 

吸盤を受け取り、壁をよじ登り始めた。

腕を伸ばされる3mちょっと、これが限界値。

これの辛い所は、口で打ち槌を持たないといけない点。

体の一部を3m以上伸ばす際は、打ち槌を鳴らしたほうが早くのびるのだ。

なら細かく分かればいいと言う結論が出るかもしれないが、個性を使う度体力がなくなってしまう。

もしかしたら辿り着く前に力尽き落下・・・そんなことを起こさないためだ。

もう少し・・・・

 

ほんはほひひ(こんなときに)

 

メンテナンスルームへの入り口が目視できるまで近づいてきたとき、腕に違和感が出始めた。

筋肉痛だ。

ただ単に筋肉痛と思うかもしれないが、これは合図でもある。

体力の限界が近い・威力の低下・個性の使用が残りわずか。

それがどうした!

Plus Ultra!!

メンテナンスルームへ辿り着いた頃には、腕がピクピクと震え止まらない。

これで腕に個性を使うようなことがあれば、大怪我をする未来しか見えないだろう。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?今(血液循環を活性化し)治して・・・」

 

「ダメだ、お前の個性はこんな所で使うべきじゃない。これから先、どうなっているか不明なんだ。絶対誰かの為になる個性だ、とっておけ。」

 

「・・・う、うん。」

 

「小槌君、動ける?」

 

「ああ、大丈夫だ。腕が痺れて使いもんにならんが、まだ足がある。」

 

100階フロア・・・か?

暫く走り続けてはいるが、障壁シャッターは閉じないままだ。

 

「100階を超えてから隔壁が空いたままだね。」

 

「案外見失ったとか?」

 

「罠かもしれない。」

 

「それでも、先に進まないと!」

 

130階より上に行くフロアの前には、警備マシンがたくさん待ち構えていた。

 

「皆様、ここは私に考えがあります。」

 

こころから始めて話しかけられた。

こちらから話しかけることはあっても、こころから話しかけることはなかったのだ。

 

「お嬢様から貰ったこれが役に立つかも知れません。」

 

そう言って取り出したのは、何かしらの機械。

 

「この機械のスイッチを押すと、どんなに機能がいいロボでも一回騙せる代物です。と言っても完全に騙せる代物ではありません。そこで私が囮役としてロボを惹きつけます。」

 

「そ、そんな。」

 

「心配いりません、八百万様。私は皆様のために犠牲になろうとしている訳ではありません。個性を使わずとも戦える術を旦那様に教わっています。先程小槌様がおしゃったように、皆様の個性はまだ使うべきではありません。ここは私一人に任せて貰えませんか?」

 

そう言われてもな〜。

私は自然と緑谷の方を見た。

皆も緑谷の方を見ている。

 

「必ず管理室へ辿り着きます、それまで耐えてください。」

 

軽く頷きロボに向かって走り出すこころ。

ロボに近づいては見慣れない武術で撃破していく。

ロボが少なくなった道を通り、その部屋を後にした。

その後物凄い音がし、先頭が止まりかける。

 

「立ち止まるな!彼女の思いを受け取ったんだ。俺達が止まって何になる!」

 

自分自身にも鼓舞を入れる。

先頭もまた止めかけていた足を動かした。

どれくらい掛ければ最上階までいけるのかは、まだ未知数だ。




備考
・段数など
DVDを何度見返しても正確な段数が分からなかった為、平均的なビルの一階の高さを基準にしてあります。
僕アカの世界線では違うかも知れませんが、これを基準に設定等で分かる範囲でセントラルタワーを測るとサイバールームがある135階が571.05m+α。
おそらく135階時点で3/4は超えていないと思うので、約800mぐらいでしょうか?

・峰田の代わり
ドアを開ける → 山女魚ちゃん
メンテナンスルームへの侵入 → 宿儺

・こころ囮になる
これによりガントレット1回分が残る計算。
この一回は林間合宿まで使いません。

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