「水難事故、土砂災害、火事、etc.・・・あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も、ウソの災害や事故USJルーム!」
そんな説明をしてくれたのは雄英教師であるスペースヒーロー、13号さん。
宇宙服に似たコスチュームを着ていて素顔は知らないが、紳士的なヒーローとしても人気が高い人物である。
お茶子ちゃんはファンだったらしく、13号さんの登場に歓声をあげていた。
「えー、訓練を始める前に、お小言を一つ二つ・三つ・・四つ・・・」
13号さんの増えていく小言の数に困惑しつつも、彼の話に耳を傾ける。
彼の個性はブラックホール。
なんでも吸い込みチリにしてしまう個性だが、その個性で災害から人を救い上げている。
だがそれは同時に簡単に人を殺せる力でもあり、今の超人社会は一見成り立っているように見えるが、一歩間違えれば容易に人が殺せるような状況にある。
そのような個性を個々が持っている事を忘れないように、と皆に訴える。
そして、この授業では心機一転して人命救助の為に個性の活用法を学んでいこう、と13号さんは朗らかに言うのだった。
「君たちの力は人を傷つける為にあるのでは無い。助ける為にあるのだと思って下さい。以上、ご静聴ありがとうございました。」
13号さんが自身の胸に右手を添えて恭しく頭を下げると、生徒の多くが拍手で答えた。
お茶子ちゃんは黄色い声援を13号さんに送っていた。
「そんじゃあ、まずは・・・?」
早速授業を始めようとした相澤先生が、何かに気が付いたかのように振り返る。
何人かの生徒が視線につられて同じ方向に目を向けると、広場の噴水の前に黒いモヤが漂っていた。
あれはもしかして、あの時の・・・
瞬間、相澤先生は叫んだ。
「一固まりになって動くな!13号、生徒を守れ!・・・敵だ。」
黒いモヤモヤの中から出て来たのは、あの子もいた。
「ねえ、オールマイトいないの?・・せっかくこんなに大衆引き連れてやってきたのに・・・生徒が死にかけたらやって来るのかな?」
「えっ?穂稀ちゃんが二人?」
「あれがあの子の個性かしら?」
「違うわ、あの子は妹よ。」
「どういうことだ変化女!詳しく言いやがれ‼︎」
「へ、変化女って・・・政府の意向で殺されたはずなんですが・・・」
「殺された?どうして・・・」
「『破壊』の個性を持っているから、そうと聞いています。」
にとりさん、できると思う?
『もって1時間って所だけど、本当にやるの?先生を呼んで来た方が懸命だよ?』
無理は承知だよ。
でも咲夜さん達の話が本当なら、相澤先生でも難しい。
私がやらないと・・・
『・・・わかったよ、盟友。そこまで覚悟があるなら、私からは何にも言わない。暫く借りるよ?』
○
(緑谷視点)
東方さんそっくりの敵が現れてから、東方さんの様子が変わった。
なんていうか、雰囲気が変わったようなそうでもないような。
「相澤先生、行っていいですか?」
「東方じゃねぇな、誰だ?」
相澤先生もその異変に気付いたようだ。
「私は私です。・・・ただ本来の個性のあるべき姿とでも言いましょうか?」
そういうと東方さんは、反復の時の人に変わった。
そして3人に分裂した。
「私は主犯を、先生はその他をお願いします。」
それだけいうと2人(本体も含めて)が走り出した。
「13号、ここを頼んだ。」
「先生は?1人で戦うんですか!?」
先生は捕縛武器を構えるが、俺はそんな臨戦態勢をとった先生を引き留める。
たった1人で正面戦闘を行う事は無謀だと思ったからだ。
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。それに生徒を守るのも先生の役目だ。13号、生徒を任せたぞ。」
先生は階段を飛び降り、大勢の敵へと真っ直ぐに向かっていった。
個性を消されて混乱している敵を捕縛武器で絡め取り、更に打撃を与えて次々に沈黙させていく。
「凄い・・・多対一こそ先生の得意分野だったんだ。だからこそ東方さんもその他を頼んだのか‼︎」
「いい読みしているじゃない、大方その通りよ。」
残った東方さんが答えてくれた。
「分析してる場合じゃない!早く避難を!」
飯田君に急き立てられ、慌てて避難を開始する。
がっちゃんは戦いたかったらしいけど、今は逃げることを優先しよう。
出口までもう少しって所で、突然黒いモヤが避難する面々の目の前に立ちはだかった。
「初めまして、我々はヴィラン連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは平和の象徴、オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして、カリキュラムではいることになっていますよね?」
その敵の言葉に生徒の多くが息を呑んだ。
理解出来ない、いや理解したく無かった。
オールマイトを狙って来たのならば、つまり敵たちにはオールマイトを殺せる算段があり、それ程の戦力で襲撃しに来ている事になる。
「まあ、それとは関係なく私の役目はこれ。」
そう言って黒いモヤの敵はユラリと動きをみせるが、13号は『ブラックホール』を構えて敵を牽制する。
その時、先手必勝とばかりに切島君とがっちゃんが襲いかかった。
飛び出した2人に対して轟君は舌打ちをする。
まずい、このままじゃ13号が個性を使えない。
「その前に俺たちにやられる事は考えてなかったか!?」
「ダメだ!どきなさい2人とも!」
「危ない危ない。そう、生徒といえど優秀な金の卵。散らして、嬲り、殺す。」
黒いモヤが一瞬散るが、すぐに集まり再び姿を現す。
13号は2人に下がるように大声で注意するが、相手が上手だった。
がっちゃんと切島君を盾にしてモヤを周囲に展開する。
13号は“ブラックホール”で必死に吸い込むが、黒いモヤは一向に消える気配は無く、ついに生徒たちを包み込んでしまった。
「皆!」
次の瞬間僕は水の上にいた。
end
残ったのは、梅雨ちゃんを除く女子メンバーと飯田さん。
よかった、飯田さんがいる。
「飯田さん、学校に行ってプロヒーローを呼んできて。」
「それなら君が適任ではないのか?俺より早く着けるだろう?」
「私はダメ。本体から2kmまでしか離れられない(霧状態になっても、本体が霧じゃない限り離れることは不可能)。」
「だがー--」
「行かせると思いで?」
黒霧がモヤを発動させようとする。
しかし私(四人目)が後ろから抑える。
「捕まえた、瀬呂ちゃん。」
「分かった。」
瀬呂ちゃんはテープを黒霧に巻く。
「委員長、長くは持ちません。」
「す、すまない皆。」
飯田さんが出口から無事脱出したのを確認した。
「貴方はミスを犯しました。危ないなんて言ったら、実体があるって言っているようなものじゃないですか。」
「・・・計画は失敗ですか。」
するといきなり瀬呂ちゃんのテープが消えた。
「て、テープが戻っていく?」
本人の意図と別に・・・
まさか!
「黒霧ちゃんをこんな早くに、無くす訳にはいかないよ。お久しぶりですね、お嬢様。いいえ、初めましてでいいのかな?」
「よく私の前に顔を出せたわね、ニジ・アジェス。」
元料理長だ。
「昔みたいに、にっちゃんって呼ばないの?にっちゃんショック。」
「助かりました。」
「ここは私に任せて、フランちゃんがおもちゃを要求しているわ。」
「行かせませんよ。」
13号さんが個性を発動させようと構えるのを見て、笑うニジ。
「使っていいの?私の個性を知らないのに?」
「13号さん、こいつの個性は“逆(リバース)”。敵対する個性を逆にする個性です。」
つまり・・・
「百さん、葉隠ちゃんに服を・・・敵対しなければ個性は元のままなので・・・」
「え?えぇ。」
男子(13号さんを除く)がいなくて本当に良かった。
ぶどう頭がいたら、最悪だった。
備考
・変化女
爆豪が主人公のことを言う際に出たやつ。
ちなみに小槌は、粒顔。
・主人公がしたこと
自分が制御している個性の主導権を、萃香さん達に渡した。
それにより、個性の強化及び使用回数の変化などメリットがある。
デメリットとしては長く続けすぎると、体力・精神・肉体的に疲れてしまう。
・皆が飛ばされた場所
山岳エリア → 上鳴・小槌・障子
土砂エリア → 尾白・轟
その他 → 原作通り
登場キャラ・・・萃香・こいし