はやてに勁草を知る   作:焼きポテト

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劇場版なのはを見てきました。
流石、興行収入を物販が超えるだけあってグッズはほぼダメでしたが。代わりに1週目の来場者特典をもらってきました。
2回行ったんで2枚ステッカーをもらって、まさか両方はやてを引くとは。
私の押しキャラフェイトちゃんなのになあ


空白期 ミッド暗躍編
62病は発狂から


 観察日記1日目 ヤクモ様のコンディション、良好

 

 今日から、ドクターの要請により報告書を書くこととなった。

 どのような形式がいいか悩んだ末、普段の行動を報告せよとのことだったので、日記という形をとろうと思う。

 それもこれも、帰還初日にヤクモ様が騒動を起こしたせいである。

 後ほど、抗議の言葉を思いつく限り伝えよう。

 

 最初の1ページ目なので、少し長めに。この日記のルールと、書くことになった経緯を軽く書いておく。

 ルールは単純。ヤクモ様に、この内容を見せないこと。

 そして、日記を書いている風を装って、ヤクモ様の行動を逐一記録することだ。

 次に経緯だが…………どう書けばいいだろう。

 ヤクモ様が帰還と同時に、ドクターの研究室へ押し入って質量兵器を乱射した。

 そのとき、既に活動状態にあったトーレとクアットロを相手に大立ち回りをしたらしい。

 実際の場面を見ていないため、なんとも言えないが。後日、これを読んだ私が混乱しないことを祈る。

 

 なにをしているんだろうか。あの人は……

 

 

 観察日記4日目 ヤクモ様のコンディション、錯乱

 

 騒動から数日たつが、依然としてトーレとクアットロはヤクモ様のことが受け入れられないらしい。

 なにかにつけて、衝突している場面を見ている気がする。

 ……いや衝突でいいのだろうか、これは?

 なぜ、ヤクモ様は2人を見かけるとしゃがみ込んで顎をしゃくる様に睨むのかわからない。

 決まって顔に蹴りをもらっても、やめない理由が本当にわからない……

 

 

 観察日記10日目 ヤクモ様のコンディション、疲労

 

 ヤクモ様は、目を離すとすぐに徹夜を繰り返すことが判明した。

 曰く「人間は50分の活動時間と、10分の小休止で脳活動を続けることができる」とのことだった。

 脳は大丈夫かもしれないが、体がもたないのでは。そこまで思って、脳もダメだったことに思い至る。

 これは、早急に休みを取らせなくてはならない。

 彼は、ドクターのやろうとしていることに必要な人材なのだから。

 

 

 観察日記13日目 ヤクモ様のコンディション、睡眠

 

 本日は、兼ねてより警告していた睡眠の要請を無視され、ついに強硬手段をとった。

 …………私は悪くない。

 

 観察日記38日目 ヤクモ様のコンディション、失踪

 

 ここ数日、ヤクモ様の姿がどこにも見えない。

 ずっとなにやら作っていたようだが、その作品も見当たらない。

 起動実験にでも出ているのかもしれないが。しかし、監視役としてはよくない状態だ。

 まさか、基地の監視網をくぐって脱走できるとは思っていなかった。

 正直に言うと、少し甘く見ていたのだろう。

 次は、生きていればセーフぐらいのセキュリティを用意しなくては。

 心配はいらない。ヤクモ様もよく言っているのだから。

 なんとか致命傷で済んだ、と。

 

 

 観察日記40日目 ヤクモ様のコンディション、帰還

 

 なぜか、ヤクモ様はドゥーエと一緒に帰ってきた。

 帰って……いや、訂正しよう。

 なぜか、ヤクモ様はドゥーエに引きずられて現れた。

 なんでも、管理局の最高評議会が集う部屋まで侵入してきたらしい。

 どうなればそんなところへ行くことになるのかわからないが、本人は「ぶらぶらしてたら着いたんであって、脳みそ見ても楽しくねえよ」と肩をすくめていた。

 そういう問題ではないと思う……

 当の最高評議会からは、ドクターの元へクレームが入ったらしい。

 顔を引き攣らせたドクターを見るのは、初めてかもしれない。

 

 

 観察日記43日目 ヤクモ様のコンディション、寝不足

 

 やはり、少し目を離すと平気で徹夜の作業を繰り返す。

 何度目かもわからないが、強硬手段をとった。

 ついでと言ってはなんだが、今回は作っているものも確認するようドクターから言明されている。

 結局、前回はなにを作っていたのかわからず仕舞いだったからだ。

 作っていたのは、グローブのような武器だった。

 そういえば、ドゥーエが隠密向きの武装を欲しがっていたような気がする。

 出会って数日で武装を作るだなんて。私の分は、途中で投げ出したというのに……

 

 

 観察日記51日目 ヤクモ様のコンディション、負傷

 

 通路の向こうから、ずたずたになったヤクモ様とずいぶん嬉しそうなドゥーエが歩いてきて驚いた。

 いろいろ話し込んでいたようだが、それどころではない。

 すぐさまヤクモ様を抱えて治療室へ向かい、体中の切り傷をふさぐ処置を行った。

 あとから追い付いてきたドゥーエ曰く、新武装の性能テストに熱が入りすぎたとのこと。

 とりあえず、2人には正座をしてもらった。

 

 

 観察日記84日目 ヤクモ様のコンディション、失踪

 

 またヤクモ様がいなくなった。

 もう何度目かもわかりませんが、セキュリティをどうやって抜けているのかさっぱりわからない。

 いっそのこと、縛って監禁した方が確実性を得られる気がしてきました。

 

 

 観察日記105日目 ヤクモ様のコンディション、失踪

 

 なぜか、ミッドチルダ西部のエルセア地方で目撃情報があった。

 いや、あったというか……試験起動中の機動兵器が、たまたま発見したというのが正しい。

 とりあえず現地に向かって方々探し回ってはみたが、流石に遅かったようだ。

 すでに痕跡もなく、足跡を追うのも難しかった。

 ……ここ1ヶ月ほど、彼の顔を見ていないせいでしょうか。このふつふつと湧き上がるなにかは、きっと怒りであると思います。

 

 

 観察日記117日目 ヤクモ様のコンディション、帰還

 

 ヤクモ様の帰宅、と同時に捕縛に成功した。

 何をするだァーー! と細やかな抵抗をされましたが、これでもう逃げられないでしょう。

 椅子に縛り付けられたままもがくヤクモ様を見ていると、なにやら言葉にしづらい感情が芽生えそうです。

 仕事? トイレ? 食事?

 ご安心ください、私がすべての面倒を見ますので。

 

 

 観察日記118日目 ヤクモ様のコンディション、失踪

 

 まさか、ここまでノータイムで消えるとは予想外でした。

 そういえば、右腕の改修をするために戻ったと言っていたような。

 彼が脱出できた理由は、おそらくそれでしょう。私としたことが、義手であることを失念して腕を縛るだなんて…

 次に身柄を確保した際、そのような無粋なものは破壊しなくてはなりません。

 椅子に温もりは残っていませんが、どうやってここから脱出しているかは既に調査済みです。

 いつの間に防犯システムに潜り込んだのかは知りませんが。全てのセンサー類が、一見するとわからないレベルでズラされていました。

 そうやってできた隙間を縫って、彼は外へと出ているようです。

 おそらくは、今回も……

 外に出てもらえた方が、こちらとしては好都合。

 大丈夫。手加減は得意です。

 

 

 観察日記131日目 ヤクモ様のコンディション、捜索中

 

 ヤクモ様を追いかけ、隠れ家を出てから数日。今日も何度かドクターから通信が来ていた。

 しかし、いつもタイミングが悪い。ちょうど、重要な情報を掴めそうなときに限って呼び出しが鳴る。

 なので今回も、断腸の思いで無視して目の前の状況に集中することを選ぶ。

 最終的に、これがドクターのためになるのだから許してもらえるだろう。

 だから1日も早くヤクモ様を捕縛し、隠れ家へ戻らなくては。

 

 

 観察日記144日目 ヤクモ様のコンディション、捜索中

 

 ドクターの開発していた機動兵器を、最近よく見るようになった。

 私を見つけては襲い掛かってくるが問題ない。

 逆に、こちらの足りない手を補う道具が増えて助かっているくらいだ。

 それにしても、なぜドクターの作品が私を?

 なにかの不具合かもしれないので、後ほどメッセージでも送っておこう。

 

 

 観察日記183日目 ヤクモ様のコンディション、すれ違い

 

 どれだけ探せども、手がかりばかりでヤクモ様の姿が見えない。

 仕方がないので、情報の整理や足りなくなった物資の補充をしようと隠れ家に戻ってきた。

 すると、いつの間にか新たな姉妹が何人かロールアウトしていたのだが。どうにも、彼女たちが持つ武器が気になる。

 聞いてみると、ヤクモという技術者にIS能力に合わせた武装を製作してもらったのだという。

 いったいいつの話か聞けば、なぜか悲鳴のような声で1週間前だと教えてくれた。

 なにやら妹はぐったりしてしまったので置いてきたが、これは失敗したかもしれない。

 次からは、もう少し隠れ家へも戻るようにしよう。

 

 

 観察日記254日目 ヤクモ様のコンディション、発見

 

 偶然。本当に偶然ではあるが、ここにきてヤクモ様を発見するに至った。

 それはグラナガンの街を歩きながら、次はどの地方へ飛べばいいか予想を立てていたときのこと。

 なんとなく視線を向けたカフェテリアのテラス席に、緑髪のロンゲと同席している彼を見つけた。

 久しぶりに見たヤクモ様は、10本指の右手で忙しなく空間モニターのキーボードを叩きつつも、コーヒーを片手に談笑している。

 ちゃんと健康そうでよかったとか、いつの間に義手を改造したのだろうとか、談笑するようなお友達がいたんだとか。そういったいろんな感情が入り混じって、気づいたら緑髪の男を締め上げていた。

 既にヤクモ様の姿はなく、辺りには悲鳴を上げながら逃げ惑う人、人、人。

 今でも半壊したカフェテラスを見渡すごとに、どうしてこうなったのか疑問がわいてくる。

 不思議だ。

 とりあえず、緑髪からいくつかヤクモ様が潜伏している隠れ家を聞き出すことに成功した。

 管理局が出張ってきたので止めを刺しそこねたが、まあ大丈夫だろう。

 

 

 観察日記365日目 ヤクモ様のコンディション、不明

 

 案の定だったが、聞き出した隠れ家はすべてもぬけの殻になっていた。

 どこの部屋も殺風景で、元から物があったのかは怪しいが。とりあえず、備え付けられていたベッドからシーツを回収しておく。

 これをもとに生体サンプルをとれば、捜索の手がかりになるはずです。

 そう、これは手がかり。手がかりですから。決して私用にしているなどと(ファイルが破損していてこれ以上読み込めない)

 

 

 

 中間報告まとめ

 

 気づけば1年ほど経ち、いまだヤクモ様の確保には至らず。

 いつも上手に、私の手をすり抜けていってしまう。

 でも心配ありません。

 きっと次こそ捕まえて、今度こそ逃げられないように縛り付けて、この手の中に、私がいないと生きていけない、私だけのヤクモ様を……

 考えただけでも素晴らしい。

 そうなる日が、今から楽しみでなりません。

 

 捜索の続行につき、必要な事務処理の一部を妹のクアットロへ委譲。

 以降、どうしても私の処理が必要なもののみメッセージへ添付して送ってもらうように調整をした。

 

 




劇場版面白かったです!
ちょっと最後に驚かされたりしましたけど、これはこれでよし。
まだまだリリカルなのはコンテンツはやっていけるんだなって嬉しくなりました。

ヒロインなのに出番が少ないはやての呪いとかもらったけど私は元気です

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