はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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1周年記念

早いもので気づけば投稿して1年が経ちました。
6~8月は色々と忙しく更新できずに申し訳ありません。
お話の中ではまだ3ヶ月くらいしか経っていない始末・・・
皆様の感想なども読ませて頂き大変励みになっています。
そこで記念として本編の制限全解除版を執筆しましたのでお楽しみ下さい。


はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常 inフリーダム編


本編との変化点
・格闘ゲーム、MUGENでの二次創作キャラが登場します。
・本編とは関係ありません。
・本編よりもカオスな仕上がりです。



番外編
番外編 その1  制限全解除版


なんやかんやあり、俺達も3年となった。

先輩は卒業してしまったが俺達は大して変わりない日々を送っている。

 

 

「八代!廊下に罠を仕掛けるなと何度言ったら分かるんだっ!」

 

「何度言っても分からないから仕掛けるんだよっ!」

 

 

既に何度目か分からないヨハン先生との追いかけっこ。

どうせ後で放送で呼ばれて説教が待っていると分かっていても逃げてしまう。

と、今日は他の奴も俺を追っているようだ。

 

 

「待たんかいっ!生徒会室の扉を溶着するなんて何考えとんねんっ!」

 

「久しぶりの学校やのに自分の席に花瓶を置くとはどういうコトやっ!」

 

 

生徒会長のラビリスと1年の八神はやての関西弁コンビだ。

関西の血を宿しているだけあってか打てば響くノリで中々面白い二人だ。

グレモリーの幼馴染が生徒会長だった気がしたが気のせいだったぜ。

追っ手が増えたのでスピードを上げようと思ったところで見知った奴を見つけた。

 

 

「霧雨!行くぞ!」

 

「ん?・・・げっ!またかよっ!」

 

「報酬はこの間、赤い配管工からもらった1UPキノコをやろう」

 

「早く後ろに乗るんだぜっ!」

 

 

箒を持った魔法使いみたいな格好の1年、霧雨魔理沙。

マジで箒に乗って空を飛べるらしく逃走手段としてよく頼っている。

霧雨が箒にまたがったのを見て俺も後ろに乗る。

 

 

「わーっはっはっはっ!さらばだ諸君!」

 

「待て八代!」

 

「待たんかいっ!」

 

「逃がさへんでっ!」

 

 

窓から空へと逃げる。

ヨハン先生と生徒会長の悔しそうな声が心地いいぜ。

だが、八神の奴は空が飛べるためそのまま追って来ていた。

 

 

「どうする?振り切るか?」

 

「いや、ここはグラウンドに行くとしよう」

 

 

霧雨に指示を出してグラウンドに向けて飛んでもらう。

昼休みの今ならアイツがいるはずだ。

俺の予想通り、見知った奴がいた。

 

 

「よし攫うぞ!」

 

「任せるんだぜ!ちょっと借りていくぜっ!」

 

「にゃにゃっ!ネコ天国にまっしぐら!?」

 

 

グラウンドで暇そうにしている猫っぽいナマモノを掴んで上空に上がる。

まずは懐柔しよう。

 

 

「ナマモノ、本マグロを使用した猫缶欲しくないか?」

 

「にゃんと、さすがボーイ。心の友よ、何でも話してみにゃさい。そしてプリーズ!」

 

 

誰も上げるとは言っていない。

とにかく協力してくれるみたいなので後でまたたびぐらいは上げよう。

 

 

「後ろの奴を何とかできないか?」

 

「にゃにゃにゃ、そんなもの何処かのツンデレをからかうくらい容易いにゃ」

 

 

よし、それじゃあ任せるとしよう。

俺は追いかけてきている八神を見て・・・・あれ、何か増えてね?

 

 

「ラグナといい、貴方といい本当に見ていて飽きないわね」

 

「誰か知らへんけど、ちょっと手を貸してや!」

 

「まぁ暇つぶしにはなりそうだから構わないわよ」

 

 

ラグナさんの知り合いのウサギの人じゃねーか。何でいるんだよ。

仕方ない、まずは一人確実に脱落させよう。

 

 

「行け、ナマモノ!」

 

「どっちも"あかいあくま"の匂いがするにゃ、なんでかにゃ?」

 

 

分からない事を言っているナマモノを投げ飛ばす。

足からジェット噴射を飛ばしながら八神へと向かっていくその姿はキモいの一言に尽きる。

 

 

「出でよ我が眷属達!」

 

「うおっ!キモいのが一杯出てきたっ!」

 

「・・・センスの悪い生き物ね。でもいいものが見れたから許すとしましょう」

 

 

ウサギの人はすっと避けて八神は無数に現れたナマモノの群れに巻き込まれていった。

ウサギの人が見ているのは地上でラグナさんと闘っているハザマ先生にナマモノの本体がしがみついている姿だった。

しかし、追いかけて来ているのは変わらない。

 

 

「おい、このままじゃ追いつかれるんじゃねーか?」

 

「この速さに追いついてくるとは厄介だぜ。誰かいれば・・・」

 

「うはwwwwwおkkkkwwwwwwwww いまここにww最強の俺様降臨!!!!wwwwww」

 

 

空を飛んでいる俺達よりも更に上から声?が聞こえてきた。

見上げてみれば学園一アホな内藤がいた。

 

 

「・・・おい、何か上から降りてくるぞ」

 

「見ちゃ駄目だ。あれは放っておこうぜ」

 

「うはwww可愛い子がいるww」

 

「何、貴方。騎士の格好をしているようだけど邪魔よ。失せなさい」

 

「ツンデレktkrwwwみなぎっっってwきwたwぜーーー!wwwwwwwww」

 

 

どうやら内藤はウサギの人に目をつけたようだ。

そのウザさが今はとてもありがたい。

今のうちに逃げるとしよう。

 

 

「じゃーなー!」

 

「あ、こら待ちなさい!」

 

 

逃げながら疑問に思った。

何で内藤の奴、空飛んでいるんだ?

しかしそれは地上を見ればすぐに分かった。

臼姫が落ちてくる内藤を殴って打ち上げていた。あぁ、飛ぶじゃなくて跳んでるのか。

 

 

ドドドドドドドッ!

 

 

「今度は何だ!」

 

「この程度の弾幕楽勝だぜ」

 

 

多数の炎の弾がこちらに向かって飛んで来た。

それを余裕で避ける霧雨。

しかし再度炎の弾の群れが襲ってくる。

 

 

「よし霧雨、薙ぎ払え!」

 

「任せな!弾幕はパワーだぜっ!」

 

 

霧雨が愛用している謎アイテムを前方に掲げたところで炎の弾を撃っている相手が見えた。

俺はその相手の姿が見えた瞬間に霧雨の箒から飛び降りていた。

 

 

「お、おい何やってんだよっ!」

 

「すまん、霧雨。骨は拾ってやる」

 

「え?」

 

「アイテムなぞ・・・使ってんじゃ、ねえぇぇっ!!」

 

「う、うわあぁっ!」

 

 

さようなら霧雨、お前の事は忘れないぜ。

そんな事より・・・どうやって着地するべきかが問題だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休憩、コテツは相変わらず騒ぎを起こしている。

そして私は昼間なのに旧校舎に来ていた。

私の他にもオカルト研究部の皆が来ている。

 

 

「よーし、全員揃ったな」

 

「アザゼル先生、一体何なんですか?」

 

「まぁ落ち着け。これから変則的なレーティングゲームを行うぞ」

 

「何ですって?」

 

 

いきなり何を言うのかしら、この堕天使は。

こんな昼間からレーティングゲームを行うなんて・・・

あら?もしかして駒王学園でやっても誰も気にしない?

 

 

「既に相手チーム達は散らばっているからな。頑張れよ」

 

「あ、ちょっと!」

 

「・・・行っちゃいましたね。どうしますか部長?」

 

「そうね、始まっていると言っていたし相手チームが誰なのかを確認しましょう」

 

「分かりました。でも変則的って言ってましたけどどういう意味ですかね」

 

 

それは確かに気になるところだ。

一先ずゼノヴィアとギャスパーで偵察に行ってもらう。

 

 

「レアス部長。ここは僕が行くべきだと思います。何故ならば彼女達には情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さは足りてはいますが何よりも・・・速さが足りません!」

 

「落ち着きなさい。それとリアスよ。何度も間違えないで頂戴」

 

 

誰よ祐斗に変な事を教えたのは・・・

あぁ、何でこんな面倒臭い子になっちゃったのかしら。

最近は髪を逆立ててサングラスをかけて紫色のブーツを履いている。

また変な人から師事を受けているらしく、速さにかけては私の目では捉えられない程になっている。

 

 

「あ、それと小猫。結界は壊さないように気をつけなさい」

 

「分かりました。手加減しておきます」

 

「あらあら、今日も背中に鬼が現れていますわね」

 

 

服越しだというのに小猫の背中には鬼のような顔が見える。

一体どこで修行してきたら、結界をジャブで壊せるほどの怪力を手に入れるのかしら?

その反動か仙術に関しては一切使えなくなっていたのだけど・・・

 

 

「イッセーさん、頑張りましょう!」

 

「おう、先週の三世界会議では何もできなかったからな」

 

 

駒王学園に入って出来た私の後輩でもあるイッセーとアーシア。

何故かしら二人を見て物凄くほっとするのは。

イッセーは神滅具である赤龍帝の篭手、アーシアは神器である聖母の微笑をそれぞれ持っている。

どちらも能力としては有能である、のだけど・・・

インパクトに欠けると思ってしまうのは私がこの学園に染まってしまったせいかしら?

 

 

ドゴーーーンッ!!

 

 

「な、何?」

 

『グレモリーチーム、僧侶一名脱落』

 

「僧侶って事はギャー君ですか」

 

「戻ったぞ!」

 

「ゼノヴィア、相手は?」

 

 

勢いよく戻ってきたゼノヴィアに私は手短に聞く。

ゼノヴィアも一つ頷くと私達の相手を話した。

 

 

「まずこの変則的なルールとして複数のチームが混在しているのは確定的に明らかだ」

 

「なるほどね」

 

「確認できたのは金色の髪を逆立てた武闘着を来た男が中心となったチーム。こちらは近づいただけで気配を察知された」

 

「・・・空孫悟みたいな容姿だな」

 

「他には牧師と竜人、鬼の四天王、バランスの悪いポーズで腕を組んでいる男、クマっぽい着ぐるみなどがいたな」

 

 

レーティングゲームはいつから仮装パーティになったのかしら?

他にも話を聞けば聞く程、出てくるわ。

一子相伝の暗殺拳を使う兄弟達や胡散臭い妖怪やら部下を大量に連れた緑色の甲冑を着た男などなど。

 

 

「で、結局何人くらいいるの?」

 

「ざっと100人はいると思われる」

 

「それで悪魔は何人いるの?」

 

「・・・我々と生徒会長の組を除けば10人くらいか?あ、いや違った。9人でいい」

 

「そう、大変だったでしょう。ありがとう」

 

「それほどでもない」

 

一体何を考えているのよ、あの堕天使は。

悪魔同士で行われるのがレーティングゲームなのに。

それとゼノヴィアはまだ教会の騎士の言葉を真似しようとしているようね。

正直、あの話し方をされても何を言っているか分からないから真似しないで欲しいのだけど。

 

 

「何だ、大多数が悪魔じゃないなら何とかなるな」

 

「イッセー先輩は頭が平和でいいですね」

 

「え?何でだよ。まぁ見てな、軽く蹴散らしてくるさっ!」

 

「あ、待ちなさいイッセー!」

 

 

私の制止も聞かずに飛び出してしまった。

その後、1分もしない内にイッセーの慌てたような声が聞こえてくる。

 

 

「ぐあ!ぜ、全然効かねぇ!ば、化け物か!?」

 

「俺が化け物?違うな・・・俺は悪魔だ」

 

「ぐあああーーっ!」

 

 

\デデーン/

 

 

『グレモリーチーム、兵士脱落』

 

 

これでこちらは二人脱落。

ギャスパーはともかく、イッセーは転生悪魔となって日が浅いので仕方ない。

これからどう戦って行くか考えていたところで誰かが近づいてくる気配を感じた。

 

 

「お、お前達は・・・」

 

「貴方は・・・ヴァーリ・ルシファー」

 

 

ヴァーリ・ルシファー、元堕天使派のメンバーで先週に行われた三世界会議で裏切った男。

後はイッセーに執着している白龍皇ってくらいしか知らないわね。

裏切ったと知ったのも会議が終わって暫くしてからだったし。

あの時は校長が乱入したりコテツ達が乱入したりで、それどころじゃ無かったもの。

 

 

「貴方も参加者かしら?それにしては随分と弱っているようだけど」

 

 

やけに疲れている様子ね、顔も青白いし目元には隈が出来ている。

それに先ほどから両手を後ろの方に隠しているのも気になるわ。

彼は私達を見て何故かほっと胸を撫で下ろしているようにも見える。

 

 

「何だ、お前達か。赤龍帝はいないようだな」

 

「イッセーに用事でもあるの?」

 

「ふん、お前達雑魚に用は無い」

 

 

さすがにカチンと来たわね。

白龍皇が幾ら神滅具の一つだからと言って調子に乗っているんじゃないかしら。

 

 

「朱乃、彼にはおしおきが必要みたいね」

 

「あらあら、そうみたいですわね」

 

「ふん、堕天使と人間のハーフのお前では相手にならないぞ」

 

「それは分かりませんわよ?」

 

 

ヴァーリ・ルシファーと朱乃が対峙するのを私は余裕を持って眺めていた。

私の駒の中でも最強の女王である朱乃。

この学園生活で私も知らない内に強くなっていた。

腕を振りかざしただけで広範囲に光を放ったり、相手の攻撃を絶妙なカウンターで返したりと卑怯なくらい強い。

 

 

「何処からその自信が来るのか分からないが・・・っ!?」

 

「あ、何処へ行くのよっ!」

 

 

さぁ、始まるといった時、突然駆け出して行く。

こちらを振り返ることなく駆け出す、と言うよりは逃げ出していく。

残されたのはわけも分からない私達だけ・・・いえ、後ろから誰かが近づいてくるわね。

 

 

「よぅ。こっちに銀髪のいい男が来なかったかい?」

 

「え?いい男かは知らないけれど、さっきまではいたわよ」

 

 

やってきたのは青いツナギを来た男だった。

見たところ一般人みたいだけど彼も参加者なのかしら?

 

 

「そうか、邪魔したな。そっちの彼もいい男だがまずは逃げた方を追うとしよう」

 

 

祐斗に視線を送りながらヴァーリ・ルシファーの逃げて行った方へと姿を消した。

何だったのかしら。祐斗に興味がある様子だったけど・・・

 

 

「祐斗先輩、汗が凄いですけどどうしたんですか?」

 

「い、いや。さっきの人と目が合った途端に鳥肌が・・・」

 

「ほぅ、経験が生きたな。ジュースを奢ってやろう・・・今のはいい感じだったぞ!」

 

「折角、オロチ様とグスタフさんから教わった技を試すいい機会でしたのに・・・」

 

「皆さんに怪我が無くてよかったです」

 

 

折角の緊張感も薄れちゃったわね。

さて、相手も強敵ばかりみたいだし気を引き締めて行きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、もう疲れた・・・

自室のベッドに倒れこむ。

ここは禍の団の派閥、英雄派の本拠地。

そこで俺、曹操は疲労困憊な状態にあった。

それはもう体力的にも精神的にも疲れている。

 

 

バタンッ!

 

 

「曹操様!大変です!」

 

「・・・今度は何だ」

 

「ギルガメッシュ様とアーサー様がまた喧嘩をっ!」

 

「・・・どのアーサーだ?」

 

「じょ、女性の方です。とにかく早くしてください、このままでは周辺が灰燼と化してしまいますっ!」

 

 

言いたいだけ言って部下が俺の部屋を出て行く。

正直今でも意味が分からないのだが我々英雄派に本物の英雄が次々と集まってきている。

戦力としてもこれ以上無いくらい頼もしい方ばかりなので当時は喜んだものだ。

だが物語として語り継がれるだけあって一癖も二癖もある方ばかり。

現在、俺の疲労の9割は本物の英雄の方達のせいだ。

 

 

バタンッ!

 

 

『曹操様!大変です!』

 

「・・・今度は大勢で何だ」

 

「ジークフリート様と雷神化した伊達政宗様が!」

 

「ヘラクレス様とヘラクレス様が!」

 

 

次から次へと俺の部屋へとやってくる部下達。

俺はもう休憩時間が終わったのだと絶望しつつも起き上がる。

 

 

「分かった。これから向かう」

 

『お願いします!』

 

 

そう言って一目散に逃げていく部下達。

部屋を出た途端に轟音が響き渡る。

常に誰かが争うので自分の部屋を完全防音に変えたのは正解だった。

まぁ、部屋にいる時間も少ないので根本をどうにかしないといけない。

 

 

「おや、曹操君。早速仲裁かな」

 

「あぁ、どうもウッドロウ様」

 

 

部屋を出た俺に声をかけてきたのはウッドロウ・ケルヴィン様。

今は無きファンダリア王国の賢王で彼もまた本物の英雄だ。

英雄の中では性格的にも大人で他の英雄の方々の仲裁も行ってくださる素晴らしい方だ。

 

 

「先ほど天草四郎時貞君と石馬戒厳君、プレデター・ウォリアー君と槍を持ったアーサー君の諍いを止めてきたところだよ」

 

「本当にありがとうございます」

 

「何、気にする事はない」

 

 

何と懐の深い御仁だろうか。

他の方々も見習って欲しいものだ。

少なくともこれで多少は苦労が減ったと思っていると厄介の種がこちらに向かってきた。

 

 

「あら、いたのね曹操」

 

「・・・どうも曹操様」

 

 

俺と同じ名前を持つ曹操と言う女性。

決して本物の曹孟徳ではない。

色々と話を聞いたところ、どうやら異世界の三国時代の人物と言う事が分かった。

しかもその世界では有名な武将や文官は全て女性だというのだ。

彼女もその一人であり、異世界の曹操と言う事になる。

 

 

「ウッドロウもいたのね。我が陣営に下る準備はできたかしら?」

 

「はは。私に頼らねばならぬほど君は部下に困ってはいないようだがね」

 

「優秀な人材は何人いても困らないもの」

 

 

そしてこちらの世界と同様に人材コレクターであるのは同じだ。

特にここには世界各国の英雄や英雄の末裔がいるのだ。

彼女にとっては絶好の場所だろう。

しかし英雄の方々や俺達英雄の末裔にも上に立つという気概はある。

それを知った上で軍門に下れというのだから争いが無くなるはずがない。

 

 

「いよぅ。戻ったぜ」

 

「美猴か」

 

 

俺達とは異なるチームの美猴、闘戦勝仏の末裔である猿の妖怪だ。

天使、堕天使、悪魔の3種族間の会議を邪魔しに向かったはずだが戻ってきたのか。

連絡では失敗のような成功のような、と要領を得なかったので直接聞くために待っていた。

しかし一人か?美猴達のチームのリーダーでもあるヴァーリ・ルシファーの姿が見えない。

 

 

「お、曹操の嬢ちゃんもいたのか。どうだ?俺っちを部下にしてみるかい?」

 

「いくら優秀でも猿を部下にするつもりはないわ」

 

「はっはっは、こりゃ手厳しい」

 

「ふん、私はもう行くわよ」

 

 

曹操様が去って俺と美猴の二人になる。

これで俺も少しは楽になる。

さすがに異世界とは言えど祖先のような人だからか曹操様は俺に対してチェックが厳しい。

 

 

「それでヴァーリはどうした?」

 

「あぁ、それなんだがな」

 

 

美猴の話によると公園に寄るので先に行けと言ったので先行で戻ってきたらしい。

公園に用事、まぁ聞くのが野暮と言うものだろう。

 

 

「だが何故戻ってこない。他に公園に誰かいなかったか?」

 

「んー、青いツナギを来た男がベンチに座っていたぐらいだな」

 

 

その辺にいる男がヴァーリに勝てるとは思えんが万が一と言う事もある。

 

 

「美猴、念のためヴァーリを迎えに行くんだ。報告はその後でいい」

 

「じゃあひとっとび行ってくるぜ」

 

 

美猴を見送り一人になる。

ヴァーリがここで抜けるデメリットを考えると回収した方がいいだろう。

戦力的にもそうだが何よりも英雄の方々へのイケニエとしてだ。

誰も好んであの方々と訓練をしようと言う気にはならないからな。

 

 

「Coolじゃねェか俺の走りに着いて来るとはな!」

 

 

ドドドドドドドッ

 

 

「クックック・・・雑種にしては中々やるではないか。だが、我の愛馬に挑むとは身の程を知れ」

 

 

・・・今、馬が二頭駆け抜けて行った気がしたが気のせいだよな。

ここは室内だしそんな事があるはずがない。

乗っていたお二人がいたような気がしたがこれも気のせいだ。

 

 

「アーサー、良き剣の腕だ。俺も見習わなくてはな」

 

「いえ、アーサー。多種多様な武器が扱える貴方にも感服しました。しかしあの黄金の鎧だけは駄目だ」

 

「さすがはお二人ですね。あそこまで訓練所を破壊するなんて真似できません。ぜひお話を聞かせて戴きたいのですが」

 

「では食堂で話を聞こう。気にするな俺が奢るぞ」

 

「いいのですか!?遠慮はしませんよ?」

 

「はい、お願いします」

 

「はっはっは、では行こうか」

 

 

今のはアーサー様とアーサー様とアーサーか。

えぇい、ややこしい。

しかし聞き捨てならない言葉があったな。

訓練所を破壊だと?これで一体何度目だ、また修繕費が・・・

 

 

「ぐっ、胃がキリキリする」

 

「大変そうだな、訓練所の修繕は私が手配しておこう。曹操君は休んでおくといい」

 

「え?」

 

 

俺が胸元を押さえていると降りかかってくる声。

そこにいたのはウッドロウ様だった。

・・・そういえば先ほどからずっといたのを忘れていた。

 

 

「何、気にする事は無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴオオオオオォォォッ!

 

 

や、やっと教室に戻って来れたぜ。

外から響く轟音が気になりながらも俺は教室に戻ってこれた。

着地には失敗して暫く動けなかった。

しかし漫画みたいな人型のクレーターって本当に出来るんだな。

 

 

「殿!大丈夫でござるか!」

 

「ふっ、楽しませてもらったぞ虎徹」

 

「おー、さすがに今日は疲れたな」

 

 

半蔵と琢磨が真っ先に声をかけてきた。

それにしても先ほど鳴っていた轟音は何だ?

 

 

「なぁ、さっき五月蝿い音がしたけど何かあったのか?」

 

「あぁ。欧州にゼットンが襲来したらしくてな。ロンドベル隊が出撃したところだ」

 

「何だいつものことか」

 

 

宇宙から怪獣は頻繁にやってくる。

それで全てが魅力的な大型ロボット達や銀色の巨人などが撃退に向かうのも日常となっていた。

地球に群がる怪獣達、そこまで魅力的なものがあるのかねぇ。

 

 

「あれ?結城達は何処に行った?デス様はいるみたいだが」

 

 

教室を見渡したところ女性陣の姿が無い。

デス様は頭に炎を載せた兄貴と飯を食っているみたいだが。

 

 

「グレモリー嬢と姫島嬢は所用で出かけるとの事でござる」

 

「結城さんは・・・あそこだ」

 

 

琢磨がグラウンドを指差すので窓から身を乗り出してみる。

んー・・・お、いたいた。

グラウンドの片隅で細剣を振るっている結城の姿があった。

ナーヴギアを使ったゲームをクリアして以来、結城の奴は剣士として覚醒したらしい。

それからは学園でも対戦をしている姿を良く見かける。

闘っているのは・・・中学生か?ビリビリと電気っぽいのが見えている。

 

 

「ふっ、あの様子だと飛び道具は覚えてないみたいだな。安心したぜ」

 

「もう銃や物を投擲すればどうだ?」

 

「駄目だそんなのじゃ!こう、何か違うんだよ」

 

 

3年になったというのに未だに俺は飛び道具を覚える事ができない。

一体俺に何が足りないって言うんだ。

色んな人に教えてもらったけど全く駄目だ。

けれども諦めきれないから今もこうして何とかならないか考えている。

 

 

「試合を多く見てはどうでござるか?見て盗むのも一つでござるよ」

 

「・・・それだっ!」

 

 

半蔵の言葉に俺は食いつく。

そうだ、飛び道具出せる奴を見ていれば一々教えてもらわなくてもいいじゃないか。

俺は時計を確認する。

 

 

「よし、まだ時間もあるみたいだし。いっちょやるか」

 

「む、では機材を転送しよう」

 

「頼んだぜ琢磨。さて、後は・・・」

 

 

これからやるために必要な機材を琢磨に用意してもらう間に俺もやる事がある。

俺が半蔵に視線を送れば心得たように大きく頷いて教室へと振り返った。

 

 

「皆の者!これより殿主催の格闘大会を開くでござるっ!参加者はグラウンドに集まるでござるよ!」

 

「へぇ、格闘大会か。面白そうじゃないか。八代、アタシも参加するぜ」

 

「チャンピオンさん、私も参加しますわー」

 

 

次々と立候補してくるクラスメイト達。

大勢参加してくれるのはありがたいが・・・

四条、飛び道具持ってないからなぁ。

うーん、でも何かヒントにはなるかもしれないし構わないか。

 

 

「虎徹、準備は出来たぞ」

 

「サンキュ」

 

「校舎にも放送できるようにしておいた」

 

 

琢磨が用意したマイクの電源を入れてスピーカーを窓の外に向ける。

琢磨が用意したのは簡易実況席だ。

 

 

『あー、あーマイクテストマイクテスト。よしばっちりだな』

 

 

試しに発声練習を行い音量を確かめる。

俺の声にグラウンドにいた連中が闘いの手を止めて一斉に俺に視線を向けてくる。

お、おぅ。ここまでの視線を集めるとは。

若干ビビりながらも続ける。

 

 

『これから格闘大会を開くぜ。今から10分以内にグラウンドに集合!』

 

 

マイクの電源を切って教室内に視線を戻す。

既にうちのクラスメイト達はいなかった。

行動が早いな、うちのクラスメイト達は。

デス様にデス様の兄貴もいないな。

 

 

「では僕は参加者のリストを作るため先に行っておくぞ」

 

「おう、頼んだぜ」

 

 

カツンッ

 

 

「ん?」

 

 

後は参加者を待つだけとなった時、何かが俺の足に当たる。

はて、何だ?こりゃ?

琢磨が転送したのか?聞こうにも行っちゃったしな。

 

 

「殿、どうしたでござるか?」

 

「あぁ、これ何だと思う?」

 

「ふむ・・・スイッチに見えるでござるな」

 

 

拾い上げて確認してみる。

四角い箱に何かのスイッチがぽつんと一つだけついている。

しかしそれ以外何も無い。

 

 

「・・・押せば分かるか」

 

「お、押すのでござるか?琢磨の作ったものでござるよ」

 

「もし何かのロボットの起動ボタンだとしても琢磨の家で動き出すだけだろ」

 

「ふむ、それもそうでござるな」

 

 

琢磨の事だから面白い事になるだろう。

俺は迷わずスイッチを押した。

 

 

ポチッ

 

 

「・・・・何にも起こらないな」

 

「ぬぅ、やはり琢磨の家で起こっているのでござろうか」

 

 

ガシャンッ

 

 

「お?何だ?」

 

「鉄柵が現れたでござるな」

 

 

グラウンドを見れば大きな鉄柵が出現していた。

学園の入り口から壁伝いに鉄柵で囲まれていく。

まるで閉じ込められているみたいだな。

まぁここまで広い範囲だと閉じ込められているって感じはしないが。

 

 

ガコンッ

 

 

「今度は何かが開いたでござるな」

 

「あぁ、何だろうな」

 

 

あれは飼育小屋の方か。

暫くして飼育小屋の方から動物達が次々と出てきた。

・・・うん、ここまで来れば思い出した。

俺が入学式の日に仕掛けたトラップだな。

グラウンドに動物達を解き放ったら面白いだろうなっと思って仕掛けたんだった。

そういえば琢磨に一発で起動できるスイッチを作ってもらっていたのを忘れてたぜ。

 

 

「殿、どうするでござるか?」

 

「・・・面白いからこのまま行こう」

 

 

ヒューーーッガシャンッ

 

 

「おぉ、琢磨の作ったロボ軍団も来たぞ」

 

「うむ。こうして見ると壮観でござるな」

 

 

ワーロックやホウオウの他にも初めて見た機体もあるな。

改めて参加者を確認すると学園では見たことが無い奴がちらほらといる。

墓に手足がついているのは一体何だろう?

お、あの小さいのはスペランカー先生。何ですぐ死ぬのに参加するかな。

 

 

『おい、虎徹。どういう事だ』

 

『八代君、また何かしたでしょ!』

 

 

グラウンドにいると思われる琢磨と結城の声が通信機から聞こえてきた。

まぁ、あの二人なら何とかしてくれると信じよう。

 

 

「ちょ、ちょっと何よこれ!?」

 

 

ん?聞き覚えのある声を見ればグレモリーが叫んでいた。

あいつら旧校舎にいたのか。って言うか大勢いるな。

ちょうどいい、あいつらも巻き込むか。

俺はマイクの電源を再度入れた。

 

 

『・・・・・あー』

 

 

そういえばルールとかその辺を一切考えていなかった。

えーっと、いいや。好きにしよう。

 

 

『ルールは最後に立っていた奴が優勝だ、簡単だろ?』

 

 

俺の言葉を理解しているのか雄たけびを上げる動物達。

そして絶句している参加者達。

数秒後には俺に向かってくる飛び道具の数々、文字通り飛んでくる参加者達。

実にカオスな光景だ。

 

 

「よし、逃げるぞ半蔵!」

 

「承知!しかし逃げ切れるでござるか?」

 

「ふっ、舐めてもらっちゃ困る。既にこの校舎内の至るところにあるトラップを仕掛けてあるぜ!」

 

「さすが殿!」

 

 

ただ、問題は何処に仕掛けたのか忘れたって事なんだよな。

なーに、そんなのその辺を適当に押したり踏んだりすれば発動するだろう。

その後、かつて無い逃走劇を繰り広げるのだが多勢に無勢。

捕まった俺が袋叩きにあったのは言うまでも無い。

 





カァンッ

「学園を巻き込んでの騒動とは感心しませんな」

「げぇっ!校長!」



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