はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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第47話 年頃のバカな男子と夢見る女子

「あー疲れた」

 

「何でそんなぼろぼろなんですか八代先輩」

 

 

無事とは言い難いが何とかアルバイトを終えた。

気づけば搭城の奴も自転車と一緒に戻ってきていた。

アルバイトが終わり俺たちは我が家へと帰ろうとしているところだった。

 

 

「そういう搭城。お前、何でそんなもの背負ってんだ」

 

「修行です」

 

 

俺の質問に一言で返す搭城。

いや、修行といわれても何で亀の甲羅を背負っているんだろうか。

猫耳に猫の尻尾に亀の甲羅ってめちゃくちゃ違和感があるんだが・・・

 

 

「それよりお昼ご飯を食べたらどうするつもりですか?」

 

「あー、家で皆と宿題をする羽目になってる」

 

「宿題?八代先輩が?」

 

 

午後の予定を素直に教えたはずなのに怪訝な表情をしてくる搭城。

まるで俺が言ってはいけない事をいったような感じになるんだが・・・

いや、まぁその気持ちは分かる。

だが結城や琢磨、先輩に言われては俺も渋々納得せざるを得ないんだ。

早めに宿題を終えて残りを楽しもう、ってな。

まぁ、宿題なんて始めからやるつもりはなかったんだがなぁ

 

 

「そういえばグレモリー達に声をかけるの忘れてたな。搭城も一緒にどうだ・・っと」

 

 

ドンっ

 

 

搭城に一緒に宿題をやるかと誘ったと同時に曲がり角で誰かとぶつかる。

午前中のおかげでぼろぼろな俺はあっさりと尻餅をついてしまった。

ったく、誰だよ・・・

 

 

「わ、悪い。大丈夫か?」

 

 

慌てて立ち上がり右手を尻餅をついている俺に差し出す男。

どうやら俺と同い年ぐらいで夏休みにも拘わらず学生服の半袖を着ていた。

 

 

「いや、いいけど」

 

 

そう言いながら男の右手を左手で握り起こしてもらう。

 

 

パキンッ

 

 

「ん?」

 

 

男の右手を握った途端に何かが割れたような音が聞こえた。

しかし周囲を見ても何かが割れたような物は見当たらない。

それに先ほどのはどちらかというと内側から聞こえたような・・・

 

 

「ほんっと悪い。あと急いでるから!」

 

 

そういって足早に立ち去っていく男。

急いでいるって言うか何かに追われてる感じだったが何だったんだろうか?

まぁ、気にしても相手は行っちまったし別にいいか。

 

 

「不幸だーーーっ!」

 

 

と、先ほど男が行った方向から叫び声とバチバチッとした音が聞こえた。

・・・本当に何だったんだ。

 

 

「まぁいいか。それでどうする搭城?お前も俺の家に来るか?」

 

「・・・そうですね。部長達にも声をかけてきます」

 

「あいよー。後はデス様が大人しくしているか・・・」

 

 

そこまで言って疑問が湧いてきた。

ん?デス様?何で俺はあの黒玉の事をデス様なんて呼んでいたんだ?

確か当初は黒玉って呼んでいたような?

・・・まぁデス様って呼びやすいからいいか。

 

 

「デス様の場合、お菓子があれば静かにしてもらえるかと思いますよ」

 

「それもそうだ。お袋に何か作ってもらうか。搭城はリクエストあるか?あれば言っておくぜ」

 

「ではクッキーでお願いします」

 

「クッキーね。あいよー」

 

 

家の前で一旦、搭城と別れて玄関を潜り抜ける。

すると、丁度ライザーさんが靴を履いていた。

 

 

「あれ、ライザーさん出かけるのか?」

 

「あぁ、そうだけど。コテツはアルバイトは終わったのか」

 

「まぁね。しっかし疲れた・・・」

 

「ははは、コテツもこれで親父さんの苦労が分かったんじゃないか?」

 

 

そう言ってぽん、と俺の肩を叩いてくる。

いや、親父は営業だから俺がやったような配達はしていないって言っていたぞ。

でも俺が営業みたいな事できるわけもないしな。

そう考えると親父の仕事は大変な事なんだろうと、ぼんやりと思う。

 

 

「それで午後からはどうするんだ?」

 

「いつものメンツで集まって宿題を片付けるってさ。別にそんなのいらないってのに」

 

「・・・それはティナもいるのか?」

 

 

ガシッと俺の両肩を掴んで聞いてくるライザーさん。

さっきの肩を叩いたと同じ人物とは思えないほど力強い。

 

 

「そりゃ当然来るけど・・・つーか痛いぜライザーさん」

 

「そ、そうか。それじゃあこうしちゃいられないな!」

 

 

何を思ったか俺の肩から手を離すとくるりと踵を返して靴を脱いでいく。

あれ?ライザーさん、出かけるんじゃなかったのか。

 

 

「お袋さん!お茶とお菓子の用意ってありますか!?」

 

「あら、ライザー君。そうね、ちょっと足りなくなってきたかしら」

 

「じゃあ俺が買い出しに行ってきます!」

 

「あらあら、助かるわ。それじゃあお願いね」

 

 

昼飯の支度をしていただろうお袋と話したかと思うと俺のいる玄関に急いで来た。

再び靴を履いた後はあっという間に外へと飛び出していた。

 

 

「・・・何であのアグレッシブさが先輩の前で発揮できねーのか」

 

 

先輩が来ると分かってあの態度、本当に誰が見ても分かりやすい。

しかしその当人の前となると途端にぽんこつになるライザーさん。

これは二人がくっつくのはまだまだ先になりそうだ。

これで幾度目になるか分からない結論を出して俺は居間へと入った。

 

 

「お袋ー、メシー」

 

「もうすぐで出来るから手を洗ってきなさい」

 

「へーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それがどうしてこうなったのか」

 

「どうしたライザーさん?」

 

「半蔵、そこ間違っているぞ」

 

「む?拙者は正直に『分からない』と答えを書いたでござるよ」

 

「えっとこの公式はこっちでいいんですよね高藤先輩」

 

 

コテツの部屋で俺はコテツ、タクマ、ハンゾー、ユウトの4人と一緒にいた。

4人は部屋の中央にある机の上で学校からもらった宿題をこなしている。

とは言ってもタクマは既に終えたらしくコテツとハンゾー、ユウトに教えている立場だが。

 

 

「いや、ティナが来ているのに何で俺達はここにいるんだろうなーと」

 

「そんなの先輩が面白がって男と女に別れて勉強しましょう、って言ったからだろ?」

 

「うむ。何ら不思議な事ではござらんな」

 

「僕としては教師役が少なくなって苦労しているんだがな。む、木場。ここは引っかけだ、こっちの公式を当てはめるといい」

 

「あ、なるほど。ありがとうございます」

 

 

何が悲しくて男たちだけでこんな事をしないといけないんだ。

折角ティナが来ると思ってお袋さんからのお使いを進んでやったって言うのに。

いや、お袋さんから頼まれたらお使いぐらい進んでやるけど。

 

 

「はぁ。コテツ、ハンゾー。俺もみてやるから早く終わらせようぜ」

 

「いや、別に俺は始めからやるつもりは無いし」

 

「うむ。殿や拙者を宿題如きが計ろうなど無駄な事でござる」

 

 

予想通りと言うべきか全くやる気を見せない二人。

俺が旅を出ている間にタクマとアスナはよくこの二人を勉強させる気になったもんだ。

 

 

「そんな事より木場。前から聞きたかった事があるんだけどよ」

 

「はい、何ですか?」

 

 

机の上に頬杖をついてコテツが口を開く。

それに答えながらユウトがお袋さんの用意したアイスティーを口に含んだ。

 

 

「お前、グレモリーのおっぱい揉んだのか?」

 

「ブーーーーっ!げほっ、ごほっ!」

 

「ふむ。確かに気になるな」

 

「なんと、そうでござったか」

 

「おいおい、マジか。いや、まぁ当然だよな」

 

 

ユウトの反応に俺達も思わず口に出す。

しかしユウトは俺達の思っていた事とは対極の答えだった。

 

 

「な、なんでそうなるんですか!無いですよ!」

 

「え、マジで?あ、無い方が好みなのか。じゃあ搭城の方か?」

 

「それも違います!何でそういう話になるんですか!」

 

「いや、だってなぁ?」

 

「木場はグレモリーさんと搭城さんと3人で暮らしているんだろう?」

 

「年頃の男性一人に女性二人。これで疑うなというのが無理でござるよ」

 

「そうだ、実は既に揉んだりしているんだろ?」

 

「し、してないですよ!」

 

 

どうやらユウトの反応を見るに本当に何もないらしい。

いくら女王と騎士と言った主従の関係、戦車と騎士と言った同僚の関係とは言えどうなってるんだ。

 

 

「だいたい何でそんな話になるんですか・・・」

 

「バカだなユウト。年頃の男なんてこんなくだらない事ばかり話しているに決まっているだろ?」

 

「え、じゃあ部長や朱乃先輩といるときも皆さんはこんな話を?」

 

「できるわけねーだろ。あの高1とは思えないスタイルをしている二人だぞ?自然と目が行きそうになるのを我慢してんだよ」

 

「そこまで育っていて本当に僕たちと同い年か疑問に思うがな」

 

「うむ。結城嬢やティナ嬢も発育具合が尋常ではないでござる」

 

「何、そうなのか!?そうか、ティナもまだ大きくなるのか・・・」

 

 

ハンゾーの思いがけない情報を記憶の奥底にしまっておく。

そもそも女性陣といるときにこんなバカ話ができるわけもない。

俺だってティナに惚れているとはいえ他の女性に目が映るし何も思わないわけじゃない。

 

 

「そ、それじゃあ小猫ちゃんも?」

 

「あー、あいつ変なところで無防備だよな」

 

「うむ。以前も一緒に"けーきばいきんぐ"に行ったでござるが見ていてはらはらしたでござる」

 

「半蔵とは食の好みも合うからとはいえ、一度気を許すとスキンシップが増えるのはどうだろうか」

 

「っていうかリアスが主な一因じゃないか」

 

 

グレモリー家は昔から悪魔なのに愛を謳う一族だ。

一度家族と認められるとまるで態度が異なると言われているぐらいだ。

ユウトも心当たりはあるのか視線を逸らした。

あの様子じゃ胸は揉んではいないが抱き着くぐらいはされたな。

 

 

「グレモリー嬢が一因というのはよく分からぬがティナ嬢も同じではござらんか?」

 

「そうだな。知り合って年々とスキンシップが増えているな。隙でも見せようものならからかってくるから油断ならない」

 

「何、羨ましいぞお前たち!」

 

 

俺なんて、俺なんてティナと隣同士の家でそれこそティナが生まれた時から一緒だったんだぞ!?

・・・ま、まぁあの頃はティナの事が好きだなんて自覚もなくて俺も今とはまるで違う性格だったしな。

あの頃の性格のままだとティナに嫌われていたかもしれない・・・

この性格を矯正してくれたお袋さんには感謝しても足りないぜ。

 

 

「結城の奴もな。あの天然、どうするよ」

 

「もういっそあきらめた方がいいんじゃないか?」

 

「コテツとデートしても意識していなかったんだろう?」

 

「結城嬢はもう一目惚れをするか、意中の者が命の危機に陥らぬ限り気づかぬでござるよ」

 

「そ、そこまで言いますか・・・」

 

 

あーうん。コテツとアスナのデートは以前に聞いたことがある。

ティナが面白半分、そして異性との扱いを教えようとした意味も半分含めてはいるんだろう。

アスナもどこかリアスと一緒で他の男連中には冷たいがコテツ達にはどこか甘い部分がある。

・・・あれ、そうすると周囲の人間が全員似たような連中のような?

 

 

「へいへい、それで木場はどうなんだよ」

 

「ど、どう、とは?」

 

「そんなものは決まっているでござろう」

 

「要するにリアス達のおっぱいを揉みたいのかって事だよ!」

 

「そら、さっさと白状した方が身のためだぞ?」

 

「そ、それは・・・言えるわけがないじゃないですかーっ!」

 

 

ユウト、それは言ってるようなものだぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?何か上が騒がしいわね」

 

「もう宿題が終わったのかしら?」

 

 

トラちゃんの家のリビングで女性陣だけで宿題を行っていると二階が騒がしいのに気づく。

んー、面白そうだからって別れたけど失敗だったかしら?

 

 

「そんな、八代君と服部君がこんなに早く終わるなんてありえないよ」

 

「事実ですけど辛辣ですねアスナ先輩」

 

「え?何か言った?小猫ちゃん」

 

「いえ、ここが分からないんですけど」

 

 

私は夏休みが始まる前に宿題は終わらせたから結構暇なのよね。

校舎が壊れても宿題を死守した学校側を褒めるべきなのか呆れるべきなのかは分からないけど。

うん、時間も頃合いだし私の本当の目的を話すとしましょうか。

 

 

「さぁ、一旦休憩にしましょう」

 

「そうですわね。ちょっと集中して疲れましたし」

 

「んー!肩が凝っちゃったわ」

 

 

皆が背筋を伸ばしたりトラちゃんのお母さんの作ったクッキーに手を伸ばす。

さすがトラちゃんのお母さんね。とっても美味しいわ。

私も教えるために話し続けていたためアイスティーで喉を潤す。

 

 

「さーって、そ・れ・じゃ・あ」

 

「何か企んでないティナ?」

 

「んふふー、そんな事は無いわよリアスちゃん」

 

「そんなあからさまに企んでいますって顔をして言われても説得力がないですよ」

 

「よよよ、私の事が信じられないのね。お姉さん悲しい!」

 

「だ、大丈夫ですよティナ先輩。私は信じてますから」

 

「ありがとうアスナちゃん。私の味方はアスナちゃんだけよ!」

 

「あ、あははー・・・」

 

 

最近リアスちゃん達の反応が冷たいの。

夜中に修行と称してはぐれ悪魔狩りに連れまわしているからかしら?

ちゃんと格下だけど皆の弱点を攻めるような相手を任せていたのに何が不満なのかしら。

 

 

「それでどうしましたの?」

 

「男性陣を上に追いやって女性陣だけになったのよ?話す事なんて決まっているじゃない」

 

「それは何ですか?」

 

 

首を傾げて頭の上の猫耳をピクピクと動かす小猫ちゃんを抱きしめたい衝動を必死に抑える。

駄目よティナ、今は耐えるとき。やろうと思えばいつでもできるのから今は我慢するのよ。

・・・でも何で亀の甲羅を背負っているのかしら。

 

 

「恋バナに決まってるじゃない!」

 

『え?』

 

 

欲求に耐えて本当にしたかった話をすると4人が不思議そうな顔をした。

あ、あら?私間違えたかしら?

いえ、ちゃんと恋バナって言ったわよね?

 

 

「皆も中高生なんだし恋の一つや二つはしたいとは思わないの?」

 

「うーん。よく分からないんですよね。私の場合、男の子の知り合いってあんまりいないし」

 

「わたくしも興味はありますがオロチ様のお守で手一杯ですし」

 

「今は強くなるって明確な目標がありますので」

 

「そうね、グレモリー家として思うところが無いわけではないけれど」

 

 

・・・あらら?

この子達、本当に年頃の女の子なのかしら?

私の想像していたキャッキャウフフな会話は何処に行ってしまったと言うの。

 

 

「そういうティナはどうなの?」

 

「え、私?それはもちろん恋してみたいと思うわよ」

 

「ライザーさんとか?」

 

「ライザー君?ライザー君は無いかなぁ。気のいいお兄さんって感じ」

 

 

私がそういうと何故か皆が上を生暖かい視線で見ていた。

んん?どうしたのかしら?

ライザー君は私が幼い頃から近所に住んでいた人で年の差もあってかお兄さんみたいな人だ。

暫く年を重ねてライザー君は女垂らしだとか女の敵だとか噂を聞く事もあった。

でも私が中学校に上がってトラちゃん達と会ってライザー君と再会した時、そんな噂は嘘だとすぐに分かった。

まぁライザー君の存在を忘れていたってのもあるんだけど・・・

私を見るなり挙動不審にちらちらと見てきたりする様子はまるで母親に叱られる子供みたいだったんだもの。

 

 

「うわぁ・・・ティナに掛かればライザーも形無しね」

 

「同情しますわ」

 

「じゃあどういった男の人がいいんですか?」

 

「それはもちろん!一緒にいて楽しい人よ。トラちゃんとかハンゾーちゃんとかタクマちゃんとか」

 

 

言い切って私は4人の様子を伺う。

驚いている4人の内、アスナちゃんと小猫ちゃんは至って普通。

 

 

「え、そうなんですか?」

 

「まぁあの3人の先輩方なら一緒にいて退屈はしないでしょうね」

 

 

小猫ちゃんはいいとしてもアスナちゃん・・・

さっき言った男の子の知り合いってトラちゃん達3人の事なのに。

どうしてそこで諦めるのよ!もっと食いついてきなさい!

くっ、私のアスナちゃん鈍感矯正計画はまだまだって事ね。

トラちゃん、ハンゾーちゃん、タクマちゃんの誰かに恋をしてくれたらますます楽しい事になったかもしれないのに!

 

 

「ふ、ふぅん。そうなの」

 

「そ、それはティナさんにぴったりですわね」

 

 

一方でリアスちゃんと朱乃ちゃんの反応に私は思わず笑みを深めそうになるのを堪えた。

いえ、まだ慌てるような時間じゃないわ。

これはまだ友人が好きと言われて戸惑っているような感じと見たわ。

もしリアスちゃんと朱乃ちゃんが3人の内、誰かを好きなようなら二人の性格ですもの。

もうちょっと反応がよくてもいいはずよ。

 

 

「さぁ私は話したんだから皆も聞かせてちょうだい!」

 

 

しかし反応は全く変わらず。

むぅ。まさかこの子達がここまでとは思わなかったわね。

いえ、恋愛面について話題が無かったわけではないはず。

さっき言ったように興味も無いわけではない。

それなら今度から異性を意識させるようなイベントをすれば問題は無いわね!

 

 

「ふふふ。さーって何から始めようかしらー」

 

「また良からぬことを考えていますわね」

 

「無駄よ朱乃。ああなったらティナは止められないわ」

 

「ま、まぁティナ先輩だから八代君とは違って酷い事にはならないよ」

 

「アスナ先輩、あまり説得力はありませんよ」

 

 

そうだ!最近吸血鬼が住んでいる館があるって噂があったわね。

まぁここ数年私が住んでいる街で本当だったとしたら私の耳に入らないわけがないから多分ガセでしょう。

折角の夏だし肝試しという事で行ってもらいましょう。

でもこの後は普段行っている、はぐれ悪魔の討伐じゃなくて妖怪の依頼があったから・・・

うん。明日にでもトラちゃんとハンゾーちゃん、タクマちゃんにアスナちゃんで行ってもらいましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うげぇ。もう腕が動かねーよ」

 

「もぅ、普段から勉強しないからだよ」

 

 

夕日も沈みだしようやく宿題という名の地獄が終わった。

リビングに降りてソファに寝そべった俺に結城が相変わらずの小言を言い出す。

それを聞き流しながらテレビを点ければニュースが流れていた。

 

 

「おい明日はスペースゴジラが来るらしいぜ。見に行こうぜ」

 

「そうなると外出は避けた方がいいか」

 

「今回は誰が出撃するかな」

 

「ロンドベル隊か鋼龍戦隊か・・・大穴でEDFか」

 

 

見には行きたいが問題は何処でみるべきか。

俺が見晴らしのいい場所を幾つかピックアップしていると先輩が声をかけてきた。

 

 

「トラちゃん。お願いがあるんだけど」

 

「ん?お願い?」

 

「そう。今回の知的探求部のミッションよ!」

 

 

そう言って一枚の紙を俺に渡してきた。

知的探求部と言うことで半蔵と琢磨、結城も俺の持っている紙を見ている。

とりあえず開いてみないと分からないので二つ折りになっている紙をペラっと開く。

 

 

「吸血鬼を探せ?」

 

「吸血鬼って・・・これはまた前時代的な」

 

「えー、本当にいるんですか?」

 

「それが分からないからお願いしているのよ」

 

「吸血鬼ねぇ。天使や悪魔じゃあるまいし、妖怪がいるぐらいだから吸血鬼がいても不思議じゃないか」

 

「コテツ、お前のその基準はどうなってるんだ・・・」

 

 

何故かライザーさんとグレモリーが複雑そうな顔をしている。

いや、子供じゃないんだし天使と悪魔がいないなんて分かりきった事だろうに。

 

 

「誰か吸血鬼の知り合いとかいないのか?」

 

「・・・さぁ、知りませんわ」

 

「・・・えぇ、見たことも聞いたこともありませんね」

 

 

俺が聞くとふいっと視線を逸らす姫島に搭城。

グレモリーや木場も同じく視線を逸らしていた。

なんだ、4人とも窓の外を見て。暗くなったから帰りたいんだろうか?

 

 

「そうですわね。もしいたら危険ですので吸血鬼の苦手なものを持って行ってはどうでしょう?」

 

「吸血鬼の苦手なもの?にんにくと十字架とか?」

 

「確か流水と太陽も苦手と知り合いの者が言っていたでござるよ」

 

「え、服部君。吸血鬼に詳しい忍者さんとかいるの?」

 

「忍ではござらんが、キシン流なる剣士が武者修行で忍びの里へ来た時に伺ったでござる」

 

 

うーむ、意外と弱点が多いんだな吸血鬼ってのは。

デメリットばかりでメリットが一つも無いじゃねーか。

 

 

「吸血鬼ってのは可哀そうなんだな」

 

「えっと、でも人間よりも身体能力は高いんですよ?」

 

「マジでか!」

 

 

木場の重要な言葉に俺は驚愕を隠せなかった。

人間よりも身体能力が高いって事はどの人間よりも高いって事か?

 

 

「だとしたら市長よりも身体能力が高いのか・・・これはヤベェな」

 

「そんな・・・思っていたよりも危険なんだね」

 

「ぬぅ、さすがに市長程の身体能力があるとは思いたくないでござるが・・・警戒しておいて損はないでござるな」

 

 

俺達は木場のおかげで気を引き締める事が出来た。

これは今までの知的探求部の中でも一、二を争う危険度だ。

 

 

「・・・コテツ。私が言うのもどうかと思うけど警戒し過ぎじゃない?」

 

「何言ってんだグレモリー!市長よりヤベェんだぞ!」

 

「そうだよリアス!運がよくて死んじゃうんだよ!」

 

「え・・・貴方達の言う市長って誰の事よ」

 

「そんなのブロリー市長に決まっているだろ」

 

「人参を目の前にしなければ良き市長なのでござるが・・・ぶるる、思い出しただけで恐ろしいでござる」

 

「ブ、ブロリー?そんな市長だったかしら?」

 

「何言ってるんですのリアス。前からそうだったではありませんの」

 

 

おかしいな。グレモリー達が来て数カ月も経っているのに市長の事を知らないとは。

テレビとか見てないんだろうか?

ほとんど出ない日は無いと言ってもいいぐらいなのに。

駒王市に住んでいる奴なら市長の岩盤叩きつけは見ない日はないぜ。

 

 

「おっとそうだ先輩。肝心な事を聞き忘れていた」

 

「あら、何かしらトラちゃん?」

 

「その吸血鬼がいるってのはどの辺りなんだ?」

 

「そうだな。もう少し情報の開示をして欲しいのですが?」

 

 

駒王市はとても広い。その中心にある駒王町に絞ったとしても範囲が広すぎる。

もう少し情報は無いのかと思ったが、そこは先輩。しっかりと調べていた。

 

 

「あぁ、場所はもう分かっているのよ」

 

「ならば明日の朝から行けば問題ないでござるな」

 

「それでティナ先輩それってどこなんですか?」

 

「えぇ。アスナちゃんの家の近所にある紅魔館って呼ばれている場所よ」

 





本作のヒロインについては今のところ特に考えていません。
一人になるのか複数人になるのか全くのゼロかは、
今後の話の展開次第でノリで決めようと思います。

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