はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

48 / 52
第46話に登場していなかったキャラ達の小話です。



第46.5話 小ネタ集

 

■ 小ネタ1 琢磨の事情と疑問

 

 

『どういう事だねドクタータクマ』

 

「何がだ?そちらのお望みの品は納入したはずだが?」

 

 

夏休み初日、僕は自室にて通信をしていた。

ふむ、そろそろ彼女の元へ届いている頃か。

 

 

『我々が欲していたのはジャスティスの外骨格だ』

 

「だから望み通りだろう?」

 

『確かにアレはそうだろう。だが肝心のものが無いではないか!』

 

 

辟易としつつも相手に返す。

僕と同じ研究家だが純粋な研究家である彼は交渉事はお得意ではないようだ。

だからそうやって自らの首を絞めている事に気づけない。

 

 

「ほぅ、肝心のものとはなんだ?」

 

『そ、それは・・・そう!耐法術が施されているはずが全くないではないか!』

 

「あいにくとギア細胞による汚染が怖かったのでね。一度すべて洗浄(・・)させてもらった」

 

『何!?』

 

 

ディズィーにかけられていた賞金をかけたのは今、通信している彼の所属する機関だ。

ギアのハーフと疑わしき彼女なので普段なら僕も特に何かをするはずもなかったのだが・・・

虎徹が関わっているとなれば話は別だ。

だからこうして、こいつらが喉から手が出るほど欲しがっていたジャスティスの外骨格を提供したのだ。

その代わりにディズィーの賞金を取り消させたがな。

 

 

『と、ともかくそういう事なら以前の交渉は白紙に戻させてもらうぞ』

 

「さて、そう上手く行くかな」

 

『・・・どういう意味かね』

 

「プライド高い国際警察が一度撤回したものを白紙に戻すなど考えられん」

 

 

嘗ては聖騎士団だのと呼ばれていたお堅い連中だ。

元団長であるカイ・キスクは別としても他の連中は無駄に高いプライドが邪魔をするだろう。

今や奴らは醜聞を気にしてばかりだからな。

 

『くっ、もういい!』

 

 

ぷつん、と通信が切れ僕はため息を吐く。

ジャスティスの外骨格を失ったのは痛いが解析は既に済ませてあり同じものを作ることも可能だ。

さすがに法術の知識はないので耐法術といったコーティングはできないが。

まぁ、ソルに知られたらどうなるか分からないがな。

ソルが破壊したものを秘密裏に回収し復元したのだから場合によっては僕の命が危ない。

 

 

「お、おつかれさまですぅ博士ー」

 

「ありがとうティセ」

 

 

頃合いを見計らっていたのか紅茶を淹れてくれたティセに礼を言う。

普段はコーヒーなのだが偶にはいいだろう。

そして紅茶を一口含んだところで騒がしい足音が聞こえてくる。

 

 

「ヘイ!ドクター!ティータイムの時間デース!」

 

「・・・既に始まっているぞ。金剛」

 

「私だけのけ者なんて酷いネー」

 

 

現れた彼女に僕はしれっと返す。

金剛と呼んだ彼女は僕の作品、のはずだ。

というのも戦艦を作成しようとして産まれたのが人の型を成した戦艦金剛なのだ。

こうして金剛という存在がいることや戦艦を作成しようとした記憶やデータはある。

が、その過程が全くといっていいほどわからないのだ。

まるで何者かが強引に記憶を割り込ませたようでイラッと来る。

 

 

「ン~、やっぱりティセの紅茶は美味しいデース」

 

「あ、ありがとうございます金剛さん」

 

 

まぁいい、気になるのは確かだが結果としてあるものを気にしてもしょうがない。

幸い、発注依頼も来ている事だ。

僕はディスプレイを空中に展開し依頼内容を再確認する。

それを見てか金剛がこちらへと近寄りディスプレイを見てきた。

こいつのパーソナルスペースはどうなっているんだ。近すぎだ・・・

 

 

「オー、今度はどんな依頼デスカ?」

 

「・・・音響機器を手掛けている会社からだな。何でも自社開発の歌声合成技術ソフトウェアを用いたアンドロイドの作成依頼だ」

 

「それは素敵デスネー。私も歌いたいネー」

 

「勝手に歌え」

 

「ドクター冷たいヨ」

 

 

やれやれ、これなら町中を警備しているレプリロイドの方がまだマシというものだ。

もっとも金剛は僕が作成したと言ってもティセと同じアンドロイドではない。

検査をしたところほとんどが人間と同じといってもいいほどだ。

それでどうして戦艦と同程度の威力を誇る兵器を使えるのか謎でしかない。

金剛がいうには妖精が僕のところまで戦艦金剛の魂を引っ張ったと言っているが眉唾ものだ。

確かにこの世に魔法があることは認めよう。また、妖精といった存在が確認されていることも認める。

が、魂など視認もできなければ確認する術もない存在など認めるわけにはいかない。

よって謎は謎のままだ。金剛を怪我をすれば風呂に入れば直るといったふざけた存在だ。

僕にできることは金剛の艤装を整備する事が精々だ。

 

 

「まったく、どうして僕の事なのに非常識に見舞われなければならない」

 

「ドクター、難しい顔してもいいことないデース。スマーイル!」

 

「やかましい、さっさと離れろ」

 

 

ディスプレイを消して僕に頬を持ち上げようとしてきた金剛を突き放す。

むぅ、と代わりに頬を膨らませる戦艦娘を横目で見て紅茶を飲む。

 

 

「ティセ。ドクターが冷たいネー」

 

「あ、あの。博士も悪気があったわけじゃないんですよ、きっと」

 

「うぅ、ティセはいい子ヨー」

 

「あわわ」

 

 

金剛がティセに抱き着くのを尻目に僕は今日何度目になるかわからない溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■小ネタ2 カイ・キスクの受難

 

「さぁ観念しなさい、デミトリ・マキシモフ!」

 

「くっ、負けは負けか・・・」

 

 

私をこのような姿にした元凶をようやく追い詰めた。

倒れ伏した彼に私は雷を纏わせた手刀を突きつける。

 

 

長かった・・・こんな姿になり、国際警察に頼るわけにも行かず単独で探すこと数カ月。

ようやく中国の秘境まで追いかけてその念願はついに叶った。

 

 

「ふん。これでいいのであろう」

 

「おぉ!」

 

 

先ほどと比べ低くなった声、高くなった身長。

そして数カ月前に見慣れた自身の身体が至る所にある泉の水面に私が映し出されていた。

 

 

「これに懲りたら今後、このような事は止めることです」

 

「それは約束できんな」

 

 

バサバサッ

 

 

「くっ!」

 

 

突如、倒れていたデミトリが幾つもの蝙蝠の姿へと変化し逃げ去る。

思わず腕で顔を覆ってデミトリを逃がしてしまう。

すぐさま、その場に置いていた封雷剣を手にとり追いかけようとする。

 

 

「パフォ!」

 

「どわーーーっ!」

 

「なっ!?」

 

 

見れば上空から一人の男性がこちらへと落ちてきていた。

そしてその男性を叩き落したのは・・・パンダ!?

 

 

「危ないっ!」

 

 

私は飛び上がり男性を抱える。

落下先は地面ではなく泉とはいえ、打ちどころが悪かったら危険だ。

男性を抱えたまま私はその池へと落水した。

 

 

ざぶんっ

 

 

「っぷは!大丈夫ですか!?」

 

「あ、あぁアンタも修行中だったのに悪いな」

 

「いえ、礼には及び・・・ま」

 

 

そこまで言って私は抱えていた男性を見て固まる。

おかしい、私は黒髪のお下げをした男性を抱えていたはずだ。

しかし私の目の前にいるのは赤髪のお下げをした女性がいる。

お下げしか共通点が無いのだがこれは一体どういう事だろうか。

 

 

「アイヤー!お客さん!そこは娘溺泉!昔、若い娘が溺れたいう悲劇的伝説があるのだよ!」

 

 

ここまで私を案内してくれたガイドがそんな事を言ってきた。

しかしそれと目の前の何の関係が・・・

そこまで考えて自分の身に起きた変化にも気づく。

 

 

「以来ここで溺れた皆・・・若い娘の姿になてしまう呪い的泉!」

 

「「なっ!?」」

 

 

先ほどまで戻っていた私の姿がデミトリに呪いをかけられた時と同じ姿になってしまっていた。

そしてガイドの話を聞く限り私が助けた彼もまた女性になったという事なのだろう。

 

 

「ど、どうなっているんですかーーーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■小ネタ3 リアス・グレモリーの異文化交流

 

「遅いわよハンゾー!」

 

「ぬぅ。申し訳ござらんグレモリー嬢」

 

 

私はハンゾーの家の前で待っていた。

謝りながら玄関から出てきたハンゾーを見て私は不満だった。

 

 

「ハンゾー、私は貴方に何て言ったかしら?」

 

「む?確か・・・正装で、と言われていたでござるな」

 

「それで何で制服なのよ!」

 

 

彼が来ているのは見慣れた駒王学園の制服だ。

だが、私が言った正装というのは異なる。

今日は、たまたま時間が空いたので私が以前から気になっていた事を調べようと思ったのだ。

だと言うのにハンゾーは・・・

 

 

「しかし拙者、礼服など持っていないでござるよ」

 

「違うでしょ」

 

「んん?」

 

「あなた、シノビならこう、あるでしょ。そういった正装が」

 

「なんと、忍装束の事でござったか。しからば!」

 

 

バサッ

 

 

制服に手をかけたかと思うとあっという間に紺色のテレビで見た事のある衣装へと変化した。

これがニンポー!やっぱりニンジャは実在したのね!

お兄様の眷属の言う通りだった。この国ではサムライやニンジャが闊歩していると言っていたもの!

 

 

「そう、それよ!何で勿体ぶっていたのよ!いえ、もういいわ。さぁ、早く行くわよ」

 

「いつになく盛り上がっているでござるな。して、行くとはどこへ?」

 

「ニンジャと来たら今度はサムライに決まっているじゃない!」

 

「ふむ。まぁよく分らぬがグレモリー嬢が楽しそうなので問題ないでござるな」

 

 

逸る私にハンゾーはうんうん、と納得したように頷いた。

しかし、何かを思い出したのか歩き出そうとした私に待ったをかけた。

 

 

「待たれよグレモリー嬢。その前に週刊誌を買いに寄ってもよいでござるか?」

 

「週刊誌?別にいいけど」

 

「殿に頼まれていたのでござるよ」

 

 

そう言ってコンビニへと足を進める。

何でもコテツはアルバイトでいないため午後から合流する時に渡してほしいとの事だった。

まったく、それくらい自分で買いなさいよコテツは・・・

そして近くにあるコンビニへと着き中に入る。

ハンゾーは本が置いてあるコーナーへと迷うことなく進んでいく。

私はコンビニに入るのは初めてのため多種多様な品揃えを見ながらついていく。

 

 

「おぉ、危ない。最後の1冊でござ・・・」

 

 

ハンゾーが目的の週刊誌を手に取ろうとしたところで別の手がその週刊誌に手をかけた。

キナガシと呼ばれる和服に白髪のパーマを当てたであろう男だ。

 

 

「あ?悪いな少年。これは俺が先に取ろうとしたんでな」

 

「何を言うでござるか。拙者が先に取ったでござるよ」

 

「おいおい。何?人のものは俺のものとでも言いたいわけ?」

 

「誰もそんな傲慢な事は言ってはいないでござる。お主の目は節穴でござるか」

 

「何言ってくれてんの。銀さんの輝く眼が見えないってか」

 

「どう見ても死んだ魚の目をしているわよ」

 

 

思わずハンゾーと男の会話に突っ込んでしまった。

 

 

「いや、違うんだよ。銀さんはやればできるからね。いざとなれば爛々と輝くよ?」

 

「むむ、お主。侍でござるか」

 

「このご時世に何言ってくれてんの少年」

 

「いや、その木刀飾りではなかろう?」

 

 

見れば腰に木刀が差されていた。

持ちてのところには洞爺湖とかかれているけどどういった意味かしら?

 

 

「サムライ?こんな奴が?ハンゾー、冗談はやめて頂戴」

 

「ぬぅ、確かにこのような御仁が侍とは侍に失礼でござったな。申し訳ござらん」

 

「あれ、これって喧嘩売られてるよね?少年少女たちとは言え銀さんも温厚なままじゃいられないよ?」

 

「とにかくジャンプは拙者が頂くでござるよ」

 

「バッカ言ってんじゃないよ。人の楽しむなって親御さんから教えられなかったのか」

 

「少年ジャンプでござるよ?いい年した大人が読むよりも拙者に譲るべきでござる」

 

「いやいや、銀さんも子供だからね。子供の心を持った大人だからね」

 

「「・・・・・・」」

 

 

ギリッとお互いが週刊誌を離さない。

このまま力を入れたら破けたりするんじゃないかしら。

というか、たかが週刊誌にムキになることもないと思うのだけど?

 

 

「ハンゾー。もう別のところで買いましょうよ」

 

「ならぬ!これはもう拙者の維持でござる!だからその手を離すでござるよ!」

 

「だぁれが離すか!俺が先に取ったって言ってんだろ!」

 

「拙者の方が一手、早かったでござる!」

 

「じゃあ俺の方が一瞬早かったね!」

 

 

駄目だ。完全に二人の世界だわ。

溜息を吐いて視線をコンビニの外へと向ける。

そこには紺色の豪華な羽織を身に着けた美丈夫がいた。

そして腰には長大なカタナが差されていた。

それも目の前の男とは違いしっかりとした目つき。

そうアレよ!あれこそイメージ通りのサムライだわ!

 

 

「ハンゾー!先に行ってるわよ!」

 

「ぬ?承知。とにかく離すでござる。このままでは破けてしまうでござるよ」

 

「お前が離せよ。お前が離したら俺も離してやるよ」

 

 

不毛な争いをしている二人を放って私はコンビニから出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■小ネタ4 オーフィスの依頼

 

コンコンッ

 

 

「曹操様、少しよろしいでしょうか」

 

「・・・入れ」

 

 

久しぶりに自室で寛いでいると部下が扉をノックしてきた。

あぁ、もう休憩は終わりか。

今度は一体どこの英雄様がどんな被害を出したのだろうか。

最近常備している胃薬を飲み入室を促す。

 

 

ガチャッ

 

 

「失礼します。実はオーフィス様が面会を求めているのですが」

 

「何?」

 

 

禍の団に協力している無限の竜神の名に眉を顰める。

普段こちらには顔を出すこともない奴が一体何の用だ。

 

 

「分かった。通せ」

 

「はっ!」

 

 

部下が退室、入れ替わりに入ってきた少女。

少女の姿をしているが仮初の姿であり途轍もない力を持っているため油断はしない。

いざとなれば竜殺しの英雄が何人もいる。

 

 

「それで、何用だ」

 

「ん。お願いがある」

 

「お願い?」

 

「聞いてくれたらこの組織、あげる」

 

「・・・何?」

 

 

確かに禍の団は目の前のオーフィスを頂点としているのは事実だ。

だがスタンスは協力者というもののはず。

にも拘わらず禍の団を上げる?

つまりは相応の難易度を誇るお願いなのだろう。

彼女のお願いを聞いた場合のメリットとデメリットを考えるが内容を聞いて判断しても遅くはないだろう。

 

 

「それでそのお願いとは何だ」

 

「ある人にお礼がしたい」

 

「お礼?」

 

 

コクリと頷き事の詳細を話す。

何でも彼女がかつていた無の世界が広がりグレートレッドドラゴンがいようが自由に過ごせる程の広さとなったらしい。

それでグレートレッドドラゴンを討伐しなくも問題なくなったとして彼女は無の世界に戻る事にしたと。

そしてその無の世界を広げた相手に礼をしたいとのことだった。

何だそれは・・・無の世界を広げる?そんなバカげた話があってたまるか。

だが目の前の龍神が人と同じように権謀術数に長けているとは考えにくい。

 

 

「それで、その人・・・でいいのか?相手はどんな奴だ」

 

「それが分からないからお願い」

 

「つまりどこにいるかも分からない相手を探し出せと?」

 

「手がかりならある。古い、魔力感じた」

 

 

古い魔力?とすれば古代魔法道具でも使用したのだろうか。

 

 

「たぶん3000年くらい前?」

 

「・・・は?」

 

 

それこそ神々が世を闊歩していた時代だ。

そんな時代の魔力を現代で感じただと?

一瞬、自分の派閥にいる英雄の事が思い浮かんだがすぐに消去した。

確かにその時代の英雄はいるが魔力は今、存在している身から放つものだから当てはまらない。

そうなると道具、という事になるだろうが各地で保管されている魔法道具が使用されたのならば情報として挙がってくるはず。

未発見の魔法道具か、もしくは・・・

 

 

「神器、か」

 

「たぶん。あと、ちょっと離れた場所にヴァーリの魔力感じた」

 

「ヴァーリだと?」

 

 

奴は今、堕天使陣営に潜入中のはずだが?

いや、ここ最近、美猴の姿もいない事から勝手に抜け出したな?

美猴の行先は・・・ふむ

 

 

「日本の駒王町か」

 

「お願い聞いてくれる?」

 

「ふん、いいだろう。確認するがそいつに礼を言えたら禍の団は譲ってくれるんだろうな」

 

「うん」

 

 

まさかこのような形で一派閥から団の長になれるとは思いもしなかった。

だがこれは好機。幸いにも俺の派閥には人材は多くいる。

街とは言え人海戦術で探せばすぐに見つかるだろう。

・・・問題はその人材が俺の言うことを聞いてくれるか、だが。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。