はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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どうもお久しぶりです。
遅れた理由は、まぁ興味があれば活動報告を見てください。

とは言え、今回は説明会と言った感じですが。



第42話

サクッと午後の授業も終わり放課後。

眠気との戦いは熾烈だったが何とか勝てた。

まぁお袋と親父にはバレていたようで休憩時間に小言を言われてしまったが・・・

結局、授業参観はクラスの人数を越す保護者達が教室の後ろに整列していた。

夏だって言うのに人口密度で熱気が凄まじかったな。

普段は温度が高めのエアコンを低い温度にするとは思わなかったぜ。

 

 

『さぁ凄まじい先手の取り合い!勝つのはルガール選手か、はたまたゲーニッツ選手か!』

 

 

そして目の前のグラウンドに用意した試合場で先手の奪い合いを行っている二人の知り合いが闘っていた。

ルガール運送社長にして元格闘技世界チャンピオンのルガール社長。

お別れ牧師として名が広まっている駒王教会のゲーニッツさん。

試合開始の合図から凄まじい攻防にグラウンドに集まった観客達も歓声を上げている。

 

 

『ルガール選手の烈風拳!しかしゲーニッツ選手も風を巻き上げて相殺していく!』

 

 

遠距離から、近距離からと立ち位置が目まぐるしく変化していく。

いやー、久しぶりにここまでの激しい闘いを見たな。

しかし俺はそれを黙って集中するわけには行かない理由があった。

 

 

『白熱した闘いになってきたな。どっちが勝つと思うよ解説のおろちん?』

 

『・・・何故私がこのような場にいるのだ童よ』

 

『その場のノリだ。あーそうそう、実況は俺、八代虎徹。解説はおろちんでお送りします』

 

 

そう、準備はわずかな休憩時間を突貫作業で何とか間に合ったのだが実況と解説役をオファーするのを忘れていた。

生徒会メンバも乗り気じゃなかったので仕方なく俺がやっている。

解説役は毎試合変えていこうと思っている。

 

 

「オロチ様の見ている前で無様な真似はできませんね」

 

「神の力か。面白い、以前のような半端ではなく完全に私が取り込んでくれよう」

 

 

試合中にも関わらず会話をかわす二人。

けれども油断なく隙あらば攻撃をしかけようとしているのが分る。

って言うか何であの二人仲が悪いんだ?

運送業の社長と教会の牧師だろ?関連性が判んねーや。

後、どこからかKOFでやれという野次が飛んできたがどういう意味だ?

 

 

『おい、動くぞ童』

 

『え?おーっと、ルガール選手!ついにゲーニッツ選手の風に捕まったーっ!」

 

「そこですか?」

 

「ぬぅっ!」

 

『ルガール選手たまらずダウンッ!』

 

 

あの風は厄介だな。

ゲーニッツさんの近くじゃなくても発生するから何処から出てくるか判らない。

ひたすら動き回って狙いをつけさせないようにするしか無いんじゃないだろうか。

 

 

『さぁルガール選手、すぐさま立ち上がり・・・おっと、二人とも何かしています。おろちん、アレは?』

 

『見てのとおり、自らの気を溜めている』

 

『気?へー、あれが気かぁ』

 

 

二人の周囲には風が巻き起こりオーラっぽいのが見える。

ふむふむ、初めて見たな。

 

 

『童よ。本当に只のヒトなのだな』

 

『はぁ?どう見ても俺は人間だろ、何言ってんだ。中二病は後にしろ』

 

『そのチュウニビョウが何かわからぬが馬鹿にされている事はわかるぞ!』

 

 

おろちんの中二病ごっこに構っている場合じゃない。

気を溜め終わったのかルガールさんがゲーニッツさんに向けて飛び込んだ。

そして着地間際へと向けてゲーニッツさんが再度風を巻き起こすが・・・

 

 

『おーっとルガール選手、風を防いだっ!ついにゲーニッツ選手の懐に入り込んだーっ!』

 

 

アレが以前に空手先生が言っていたジャストガードって奴か。

確かに相手が隙だらけになるけどタイミングが難しいって言ってたよな?

それを簡単にしてしまうとはさすがルガール社長だ。

 

 

『掴んだぞ!』

 

『ルガール選手!ゲーニッツ選手を掴んだ!これは皆さんご存知の・・・』

 

 

俺が実況している間にもルガールさんがゲーニッツさんを掴んだまま横へと動く。

そしてそのまま試合場端へとスライドするように走る。

これこそ相手を壁にたたきつけるルガール運送伝統の技!・・・あれ?壁?

 

 

「ふんっ!」

 

「がっ!?」

 

ギガンテックプレッシャー(運送技)決まった!さらに追撃のゴッドプレス!・・・って何でだよ!?』

 

 

試合場を作ったと言っても壁なんて無いぞ?

それなのにゲーニッツさんは場外にならずに試合場の端に叩きつけられている。

 

 

『ふん、場外など面白くもない。余興ならば存分に闘わせてこそだ。感謝するのだな』

 

 

どうやらおろちんの仕業らしい。

・・・まぁいっか。

確かに場外判定しても面白くないもんな。

 

 

『よくやった、おろちん。さぁそして一度離れるルガール選手。続いてゲーニッツ選手も立ち上がった!』

 

「ふっ、やりますね」

 

「あぁ、だが今度こそ勝つのは私だ」

 

『ここまではルガール選手有利ですがどうよ、おろちん』

 

『これほどの技巧者達ならば今ので勝敗を分ける一手には至らん』

 

『・・・もうちょっと判りやすく頼む』

 

『・・・まだ判らん、と言えば満足か?』

 

『オッケー、さぁそうこうしている間に再びゲーニッツ選手の風が襲い掛かる!』

 

 

先ほどと同じようにゲーニッツさんが風を巻き起こす。

しかし社長も慣れてきたのかジャストガードで飛び込む機会を図っているようだった。

むむむ、これは中々白熱してきたぜ。

 

 

『ルガール選手仕掛けた!ゲーニッツ選手の風を防ぎ飛び込んだーっ!』

 

「もらったぞ!」

 

「甘いですねぇ」

 

 

ガシッ

 

 

「何っ!?」

 

「さぁ、お別れです!」

 

『お別れ牧師の代名詞だーっ!掴まれ身動きのできないルガール選手に竜巻が襲い掛かる!』

 

 

ドサッ

 

 

「ぐぅっ、まさか狙っていたとはな!」

 

「貴方が隙を伺っていたように私も伺っていただけの話です!」

 

『しかしただでは終わらない!ルガール選手が下段中段と怒涛の攻めを見せる!』

 

『あやつは近くに寄られるのを嫌っているからな。何とかして離れたいはずだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『出たー!ジェノサイドカッター!』

 

『うむ!私もテレビのCMで見た覚えがあるぞ!』

 

八代君とオロチさんの声とともに歓声が上がる。

その観客たちから外れた場所に私とフェルちゃんはいた。

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん。本当に出るの?」

 

「あぁ、強い奴と闘えると聞いては出ないわけにはいかないだろう?」

 

「そんな事言われても知らないよ」

 

 

いつのまに来ていたのか私のお兄ちゃん、結城 晶(ゆうき あきら)が何故か大会にエントリーしていた。

目の前で屈伸して準備運動しているお兄ちゃんの鉢巻を私はぐいっと引っ張る。

私の弱い力でもさすがに頭を引かれてこちらを見た。

 

 

「何するんだよ、明日菜」

 

「止めて置いた方がいいと思うよお兄ちゃん」

 

「ボクもそう思うデス、アキラ。悪い事は言わないから辞退したらどうデスか?」

 

「おいおい、フェルナンデスまで。元女子高とは言え、強い奴がたくさんいるんだろう?」

 

 

全く私の危機感を判ってもらえていない。

校長先生やルガール社長、他にも強い人は確かに一杯いると思う。

でも、その格闘大会を開いているのが八代君というだけで普通に終わらないのは確かだよ。

 

 

「そんなに心配しなくても大丈夫さ。今から負けてちゃ何も始まらないぜ」

 

「アキラはコテツの奇天烈さを知らないから言えるデス」

 

「虎徹?あの実況の子だろう?確か以前に家に来た事あったよな」

 

「あれ?お兄ちゃん、八代君と会った事あったっけ?」

 

「あぁ、道場で親父にボコボコにされていたぞ」

 

「お父さん・・・何やってるの」

 

 

そういえば遊びに来た時に動きがぎこちない時があったっけ?

何か悪戯を仕掛けようとしているのかと思って警戒した記憶がある。

今度お父さんにお話をしないといけない。

 

 

「暫く見ていたが驚く程、才能が無いな。親父の開胯から右端脚、登脚、斧刃腿、鉄山靠と綺麗に決まってたな」

 

「見てないで助けてよ!」

 

「普通はどこかで崩れるもんだが意外にタフだったからつい」

 

 

つい、でお父さんの得意コンボが決まるのを見ているお兄ちゃんはどうかと思う。

八代君も色んな人に闘う術を学んでいるのは知っていたけどお父さんに教わっているとは思わなかったな。

あれ?教わってたのかな?もしかしたら本当に悪戯しようとしてお父さんに見つかっただけかもしれない。

寧ろそっちの可能性の方が高い気がする。

 

 

「それであの少年がどうかしたのか?」

 

「コテツは格闘の才能は無いデスが悪戯の才能は天才、いや天災級デス」

 

「うん、だからこの大会も碌な事にならないと思うの」

 

「うーん、とは言え強者との闘いをみすみす逃すって言うのは・・・」

 

 

お兄ちゃんも私とフェルちゃんの話を聞いて考えてくれる気になったみたい。

八代君だから危ないことはしないとは思うけど・・・しないよね?

普段や中学時代の事があるから弁護できない。

 

 

『いやぁ、実に白熱した闘いでした。どうだった、おろちん?』

 

『うむ。我が眷属の闘い、テレビで見ていた社長の闘い、どちらも満足のゆくものだった』

 

「お?終わったみたいだな」

 

『さぁ、これでエキシビジョンマッチは一旦終了!ここから本選開始だ!』

 

『ふむ。具体的には何が違うのだ?』

 

『おっと、その説明をする前に選手の人たちは集まってくれよな!』

 

「・・・スマン、明日菜!行ってくる!」

 

「ちょ、ちょっとお兄ちゃん!?考えてくれるんじゃなかったの?」

 

「強者との闘いが俺を呼んでいるんだ!」

 

「・・・バカにつける薬は無しデスネ」

 

「もぅ、お兄ちゃんのバカーーっ!」

 

 

八代君の呼びかけに数秒悩んで駆けて行くお兄ちゃんに叫んだ。

まったく、いつも強くなる事にしか興味が無いんだから・・・

 

 

『さて、昼間に脅しの放送をかけたにも関わらず参加したい命知らずな奴らがいるわけだが』

 

「参加者を募っておいてその言い方はどうなの?」

 

「あのコテツがそんな事気にするわけないデス」

 

 

最近フェルちゃんも八代君の事が分って来たみたい。

相変わらず高藤君に近づくときは警戒しているみたいだけど。

服部君はお菓子をあげているみたいだから仲もいいよね。

そんな軽い現実逃避をしている間にも話は進んでいく。

 

 

『生徒、保護者どちらも多すぎたんで適当に選んだ8人で決定したぜ。あ、校長は入っているんで構えないで!』

 

『強気なのか卑屈なのかどちらかにしたらどうだ童』

 

『うるせー!と、とにかく選手紹介を始めるぜ。では・・・選手入場!』

 

 

パァっと夕方とは言え陽も出ているのに光源が試合場にライトアップされる。

これは・・高藤君の仕業かな?って事は服部君も一枚噛んでるよね。

ティナ先輩にライザーさんは実況席の後ろで理事長の横にいるけどどっちだろう?

私は何も聞いてないんだけど仲間外れにされたみたいでなんか寂しい。

 

 

「アスナさん・・・よかった。今回は貴女は関わってないようですね」

 

「え?あ、ナコルル。うん、私は何も聞いて無いよ」

 

 

名前を呼ばれて振り返れば同じ中学校出身のナコルルと知らない女生徒の姿があった。

ここにいるって事は参加者じゃないのかな。

テスト期間に格闘大会を開くとは聞いていたけど今回に関しては聞いて無いから嘘じゃない。

 

 

「はぁ、八代さんにも自重というものを覚えて欲しいです」

 

「あの・・・ナコルル?」

 

「あぁすみません。アスナさん、こちらは同じクラスメイトで生徒会役員の支取 蒼那(しとり そうな)さんです。」

 

「初めまして。結城明日菜さんよね、リアスから聞いているわ」

 

「リアスから?」

 

「えぇ。私とリアスは幼馴染なの」

 

 

そうなんだ。そういえば幼馴染が同じ学園にいるって聞いた気がする。

赤いフレームの眼鏡がキラリと光って真面目そうな印象を受ける。

私も眼鏡をかければ真面目そうに見えるかな・・・って私は真面目だよ?

 

 

「あれ?生徒会役員って事はこの件も関わっているの?」

 

「会長命令でしたので仕方なくですが・・・学内で格闘大会を開くなんて前代未聞よ」

 

 

はぁ、と深いため息を吐く支取さん。

私とナコルルは顔を見合わせて首を傾げた。

私たちのいた中学校では日常茶飯事だったんだけど他の学校は違うのかな。

 

 

「さすがにここまで手伝ったんだから成功はして欲しいけど、一度会長にも説教をしてもらわないと駄目かしらね」

 

「その会長が出場しているんですけど」

 

「なっ!?」

 

 

ナコルルの指す方向には試合場で観客に手を振っている生徒会長のイングリッド先輩がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ出場選手、生徒と保護者が入り乱れているわけだが・・・』

 

『何人かどちらにも属さぬ奴がおるがよいのか?』

 

『いいんじゃね?楽しければ』

 

 

試合場に一番近い実況席でコテツさんが適当な実況をこなしていく。

私の隣ではお母様達が近くで開かれていた屋台の品物を手に賑やかにしています。

 

 

「ふふふ、お祭りみたいで楽しいわね」

 

「本当、あの子ってば・・・校長先生も一緒に騒いでいるし仕方ないわねぇ」

 

「晶さんまで。あの子には今回の事は伝えてないはずなのに・・・」

 

 

お母様、コテツさんのお母様、アスナさんのお母様が3者3様の感想を漏らす。

お母様は除くとして一見、憂いの表情をしているけれどもその手に持ったかき氷で台無しですわ。

 

 

「いやはや面白そうな事をしているなサーゼクスの学校は」

 

「虎徹に社長まで・・・どうして身内には私の言うことを聞いてくれない人ばかりなんだ」

 

「まぁまぁ八代さん。辛いことは飲んで忘れましょう~、あははは」

 

 

グレモリー卿、コテツさんのお父様、ハンゾーさんのお父様の3人はビール片手に騒いでいます。

本当にお祭りか何かと勘違いされているような・・・

 

 

「リアス、あの実況の子は眷属にするのは考え直した方がいいと思うわよ」

 

「お母様!?べつに私はコテツを眷属にするつもりはありません」

 

 

リアスもグレモリー夫人と何やら小声で話している様子。

ティナさんは実況席の後ろでサーゼクス様といらっしゃいますし、タクマさんとハンゾーさんの姿が見えませんわね。

アスナさんとデス様ともはぐれてしまいましたし。

これだけの人数を裁ける方は私を含めておりませんし・・・

うん、私も好きにするとしましょうか。

 

 

『じゃあルールの説明をするぜ。ルールはシンプルにトーナメント方式で進めて行く。こんな感じでな』

 

 

コテツさんの言葉で空中にディスプレイが試合場を囲むように四方に展開される。

これは・・・タクマさんの仕業ですわね。

ディスプレイにはトーナメント表が表示されており選手の名前がそれぞれ書かれています。

1回戦の結城晶、というのはアスナさんの関係者でしょうか?

 

 

『当然、最後までトーナメントを勝ちあがった奴が優勝なわけだが・・・普通にやったんじゃ面白く無い』

 

『うむ。よくわかっているではないか』

 

 

あぁ、今度は一体どんなことを仕出かすつもりですの。

オロチ様まで一緒に楽しんでいらっしゃるようですし・・・

 

 

『選手にはそれぞれカードを引いてもらう。カードには試合のルールが書かれていてそれを満たした状態で相手に勝てば勝利だ』

 

 

『ちなみにルールの一部はこのようになっているぞ』

 

 

ディスプレイにカードへ書かれる予定のルールの例が幾つか表示される。

ゲージ増加、英語禁止と言った意味の分からないものから飛び道具禁止、攻撃力2倍などどうやって実現するのか分からないものまで。

よくもまぁ考え付くものですわ。

 

 

『有利な条件もあれば不利な条件もあるな』

 

『どれを引くかは運次第って事で。んじゃまずは1回戦の選手から引いてもらおうか。半蔵』

 

『了解でござる!では1回戦の選手!結城晶殿、ミランダ謝華殿。前に出てくるでござる!』

 

 

ハンゾーさんが大きめの箱を持って試合場に現れる。

そして呼ばれた選手の方々がハンゾーさんに近寄る。

 

 

『ちなみに結城晶は1年A組の結城明日菜の兄貴。ミランダ謝華は3年A組のグリフォン先輩、じゃなかったレイミ謝華の母親だぜ』

 

『さっそく保護者同士の争いというわけだな』

 

 

やはりアスナさんのお兄様だったのですわね。

それにレイミ先輩は確か球技大会でコテツさんと同じチームだったはず。

 

 

「よし、引いたぜ」

 

「こちらも引いたわよ」

 

『ではこちらに・・・まずは結城晶殿の引いたカードはこちら!"超必殺技を当てると星がひとつ減る"でござる!』

 

「超必殺技?普通の必殺技じゃ駄目なのか?」

 

『カウンターヒットならオッケーだ』

 

 

それは・・・良い条件なのか悪い条件なのか判断付きませんわね。

まず超必殺技が何なのかも分かりませんし星が減ったらどうなるのでしょうか?

 

 

「えっと・・・ちなみに星が減るって言うのは何だ?」

 

『七つ減らした状態で技を当てれば問答無用で勝利でござる』

 

「え?問答無用で?」

 

『うむ。拙者にはよく分からぬが相手は死ぬ、だそうでござる』

 

 

物騒にも程がありますわ。

コテツさんの考えたルールですから実際に死ぬ事は無いとは思いますが・・・

いえ、大丈夫ですわよね?タクマさんの科学力で何とかしそうな気もするのが怖いところですわ。

 

 

『さて、続いてミランダ謝華殿の引いたカードは・・・"スピード2倍、飛び道具の威力半減"でござる!』

 

「飛び道具というのは何処までが含まれるのかしら?」

 

『身体から発せられる時点で飛び道具だ。ちくしょう羨ましいぞ』

 

『・・・だ、そうでござる』

 

「なるほどね、よく分かったわ」

 

 

コテツさん、何処まで飛び道具に執着しているんですの。

ですがどちらも純粋な人間のようですし思ったよりはまともな格闘大会になりそうで安心しましたわ。

最近、私の周囲がおかしいのか私がおかしいのか分からなくなって来ましたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1回戦 結城晶 VS ミランダ謝華

結城晶:超必殺技のヒット、または必殺技のカウンターヒットで星一つ減少。

    七つ減らした状態で必殺技を当てれば勝利

ミランダ謝華:スピード2倍、飛び道具のATK-50

 

第2回戦 比那名居天子 VS カイン・R・ハインライン

比那名居天子:攻撃を受けるとダメージの1/2回復

カイン・R・ハインライン:飛び道具3倍、ATK-60

 

第3回戦イングリッド  VS シェン・ウー

イングリッド:コードホルダー1P、英語を話すと爆発する

シェン・ウー:ゲージ自動上昇(小)、5F毎に5%の確率で超必殺技が暴発

 

第4回戦 美猴 VS ジェネラル

美猴:ATK+50、3秒毎に場外から攻撃を受ける

ジェネラル:CCジェネラル、時間毎にライフ減少

 

 

『どうよ、おろちん?』

 

『生徒がほとんどいないではないか』

 

『いや、適当にクジを引いたらこうなっちゃったんだよ。まぁ生徒達は来週末にもやるからいいかなって』

 

『他にも何人か学園関係者ではないようだが?』

 

 

うん、それは俺も参加者のプロフィールを見て思った。

結城の兄貴やロックの叔父はまだマシだろう。

シェン・ウーと美猴、この二人は家族がいるわけでもないのに参加してきたのだ。

よくいるバトルジャンキーって奴だな。

 

 

『大会が盛り上がればそれでいいんじゃね?』

 

『それもそうだな』

 

『それでは15分の休憩の後、1回戦を始めるからなー!』

 

 

マイクの電源を切って一息吐く。

いやー、実況って喋ってるだけなのに疲れるもんだな。

机に置いてある水で喉の渇きを潤して背後を振り返る。

 

 

「よーサッちゃん、楽しんでるかい?」

 

「あぁ、随分と物騒、いや楽しそうな大会だね」

 

「そうだろ?この後も条件のカードを引いて行くからな。順当には進まないんじゃないかと思うぜ」

 

「トラちゃんったらテストの最後に大会を開くって言ってたのに。お姉さんに黙って隠し事は駄目よ」

 

「いや、思いついたのは最近だし。本番の方は手伝ってもらうからさ先輩・・・それで」

 

 

サッちゃんと先輩と話しながらも俺は気になった箇所へと視線をやる。

サッちゃんの隣にいるメイド服の人はまぁいいとしよう。グレモリーの家も金持ちだからメイドぐらいいるだろうし。

問題はさらに隣のライザーさんだ。

緊張しているのか汗がダラダラと頬を伝っているのが傍から見て分かるくらいだ。

 

 

「どうしたんだライザーさん?」

 

「うぇっ!?あ、いや何でもないぜ?そう、何でも無い!」

 

「お、おう。そんな力説しなくても」

 

 

どうしたんだろうか?先輩と一緒で緊張しているってのとは違うよな?

サッちゃんとメイドさんを挟んでいるわけだし。

となると・・・サッちゃんが原因か。

 

 

バシッ

 

 

「こらサッちゃん、ライザーさんを苛めるなよ」

 

「はは、別にそんな事はしてないよ」

 

「ちょ、お、おまっ!な、なんて事を!」

 

「ト、トラちゃん!?さすがにそれはお姉さんもどうかと思うなー」

 

「ん?言っている意味が分かんねー」

 

 

突然取り乱すライザーさんと先輩の二人に首を傾げる。

ただ、サッちゃんに漫才風に突っ込みを入れただけなんだが・・・

 

 

「おい、童。私はもう戻ってもよいのか?」

 

「おう、サンキュおろちん。次の試合は他の人に頼むから戻ってもいいぜ」

 

「では・・・む?」

 

「あ、貴方はまさか・・・」

 

 

戻ろうとした、おろちんだったがサッちゃんと見つめあったかと思うと黙り込んでしまった。

ま、まさか二人は生き別れの兄弟だったとか!?

いやいや、こんな半裸白髪な中二病と赤髪イケメン理事長が兄弟なんてあるわけねーか。

 

 

「今は祭りの時間だ。お互い身分など忘れて楽しめばよいと思うがどうだ?」

 

「・・・はい、そのとおりですね。お止めして申し訳ありません」

 

「ふん・・・童よ。朱璃の元へ案内せよ。行くぞ」

 

「え?ちょっと待てよ!」

 

 

先へと歩いていくおろちんを慌てて追いかける。

俺、実況があるから遠くへ出歩けないんだが。

そんな事も知らず歩くおろちん、案内いらねーじゃん。

つーか何時の間に出店とか出来たんだろうか?

周囲から漂う美味そうな匂いに惹かれつつもおろちんに並ぶ。

 

 

「いい人、次はアレ!アレが食べたいニャス!」

 

「あら、そこの子猫には奢って私には奢ってくれないのかしら?随分と冷たい男だこと」

 

「だーっ!テメェは人の給料だと思ってばかすか食いやがって!ちったぁ遠慮しやがれ!それとウサギ!何でテメェがいやがる!」

 

「ディズィーから離れろそこの怪しいニンゲンめ!」

 

「おいおい、かわいい子に話しかけるのはイイ男の礼儀、ってもんだぜ」

 

「ジョニー!次はあっち行こうよ!」

 

「お兄ちゃん、たこ焼き食べたいッチ!」

 

「待てよユリ。バイクだと中々移動しづらいな、こうなったら覇王翔吼拳を使わざるを得ない!」

 

 

ちょっと歩いただけでカオスな会話が繰り広げられている。

何人か知り合いがいたような気がしたがスルーしておこう。

と、おろちんが立ち止まって何かをじっと見ていた。

 

 

「焼きそば食いたいのか?」

 

「ぬぅ、しかし朱璃から買い食いすると夕飯抜きと言われておるのだ」

 

「子供かよ。いいかおろちん、いい言葉を教えてやろう」

 

「む?」

 

「ルールとは破るためにある!」

 

「なんと!?」

 

「それに黙っていればバレやしないって」

 

「うむ、そうよな。童と私が話さねば朱璃とて分かるはずが無かろう!」

 

 

そう言って意気揚々と焼きそばを買いに行くおろちん。

何故だろうか、物知らずな子供と話している気分だ。

買い食いなんて俺が小学校に上がる前にはしていたぜ。

 

 

「殿!1回戦の準備が整ったでござる!」

 

「やれやれ、まったくこき使ってくれるものだ」

 

「助かるぜ二人とも」

 

 

おろちんを待っていると半蔵と琢磨の二人がやってきた。

いや、今回は随分と助かったぜ。

半蔵には分身をして裏方を、琢磨には投影ディスプレイやスポットライトの準備などを頼んでいた。

もちろん他の生徒会役員達にも手伝ってもらってはいるが比率的には二人の方が仕事量は多いだろう。

 

 

「そう思うならもう少し計画を組んでから実行したらどうなんだ」

 

「あっはっは。まぁ本番ではそうするかいーじゃねーか」

 

「うむ。殿の助けとなるのが拙者の務め、いくらでも手伝うでござるよ」

 

 

いやー、いい親友を持ったもんだ。

どうしても力仕事が多いから結城や先輩達には手伝わせるわけには行かないしなぁ。

グレモリーや姫島は俺の親父やお袋を引き止めてもらわねば困る。

まぁどちらにしろ家に帰ったら説教が待ってるんだけどな!

説教が怖くて悪戯が出来るかってんだ。

 

 

「そうだ、最後の仕上げはちゃんと出来ているんだろうな?」

 

「そちらのほうはいつでも問題なしでござる」

 

「今回の大会の締めだからな抜かりは無いさ」

 

「よし、じゃあ後は助っ人達に挨拶をしておくか」

 

 

憂さ晴らしや楽しそうだからという理由で手伝ってくれる人達もいる。

夕方とは言えまだ暑いし冷たいジュースでも差し入れしよう。

 

 

「さぁ、楽しみになってきたな!」

 

 





ちなみにルガールVSゲーニッツはMUGENで対戦させた行動です。
CPU同士だと変な場所でゲージ溜めをしますね。

ルールについては今回はマイルド仕立てになっております。

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