はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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最近気づきました。
何で私は制限をかけていたのだろうか、と。
毎回モブキャラ登場させる度に制限にかかっているかを考えるのが面倒になってきました。

直ぐには制限解除しませんが、頃合を見計らって制限を解除します。

制限解除後のモブキャラに関しては下記の予定です。
・2D/3D全ての格闘ゲームのキャラクター
 但し、版権キャラに関してはプレイアブルキャラ、またはボスキャラのみ。
 (MUGENでキャラとしている場合は可)

 格闘げーむの定義は以下の通りとします。
 ・ジャンルが格闘ゲームとなっているゲーム。
 ・お互いのライフが見えており1対1で対戦するゲーム

うん、2つめの定義は色々と解釈できそうですね。




1年 1学期騒動編
第41話


「今日は皆の知っての通り授業参観だ」

 

 

月曜日のSHRで相変わらず存在感の薄いヨハン先生が言うのを俺達は集中して聞く。

いや、集中しないと姿や声が薄れて聞こえないんだよ。

 

 

「1時限目から来られる保護者の方もいるだろうが普段どおりに真面目に授業を受けるように。ただし八代、お前は駄目だ」

 

「何故!?」

 

「お前は普段から真面目じゃないからな。今日は特に真面目にしろ。いいな?」

 

「あー、りょーかいです」

 

 

さすがにお袋に怒られたくはない。

これ以上小遣いを減らされたら溜まった物じゃないからな。

大人しく頷く俺にヨハン先生は怪訝な視線をしやがる。

その目はまるで何を企んでいるんだ、と言う疑いの目だった。

少しは生徒の事を信じろよ!

 

 

「まぁいいだろう。今日の日直は・・・姫島か、号令だ」

 

「はい。起立、礼」

 

 

姫島の号令に俺達が席を立って一礼する。

それに頷いて教室を出て行くヨハン先生。

同時に騒がしくなるクラスの中で俺は机に上半身を預けた。

 

 

「あー、授業めんどくせー」

 

「小母様も来るんだから真面目に受けないと駄目だよ」

 

「コテツが真面目に授業を受ける姿が想像できないデス」

 

「はぁ・・・」

 

「ん?どうしたグレモリー」

 

 

俺が結城、デス様と話していると後ろからため息が聞こえた。

振り返れば机に肘を立てて頬杖をつくグレモリーの姿があった。

 

 

「いえ、私の両親も来る事にはなっているのだけれど・・・」

 

「ん?じゃあ何でそんなため息ついてんだよ」

 

「いい事じゃないの?」

 

「それが兄夫婦も来る事になっているのよ」

 

「グレモリー、兄ちゃんがいたのか。結城のところと一緒か」

 

「うん。でもお兄ちゃんは来ないと思うよ。昨日、中国に出かけたし」

 

 

自由で羨ましいぜ。

俺も授業を抜け出して世界中を旅したいもんだ。

 

 

「それで兄貴がどうしたんだ?仲が悪いとか?」

 

「仲はいいわよ。可愛がってもらっているし」

 

「うーん、じゃあ喧嘩しちゃったとか?」

 

「いえ、最後に会ったのは・・・まぁ先週だけど喧嘩はしてないわ」

 

 

先週?グレモリーって留学して一人暮らしじゃなかったっけ?

たまたま遊びに来てたりしたんだろうか。

しかしグレモリーが何でため息をついているのかさっぱりだ。

 

 

ガラガラッ

 

 

と、教室の扉が開き誰かが入ってくる。

その人物を見て真っ先に反応したのは扉に近い半蔵だった。

 

 

「お、伯母上!?どうしたでござるか一体?」

 

「おぉ、保長(やすなが)。元気そうじゃの」

 

「うむ!拙者は元気でござるよ!伯母上も壮健なようで何よりでござる」

 

「うむうむ、保長は素直でよい子じゃの。それに比べて兄上と来たら」

 

「む?伯母上、何故父上を引きずっているでござるか?」

 

 

よく分からないが半蔵の知り合いのようだ。

保長って誰かと思ったが半蔵の名前だったな。

普段呼んだりしないから一瞬誰の事か分からなかったぜ。

しかし何故、半蔵の親父さんを引きずっているんだろうか?

 

 

「う、鮎香(うるか)。いい加減離してくれないかい?」

 

「何を言う。抜け忍である兄上にかける情けはなかろうて」

 

「鮎香ちゃんー、お父さんを離してあげてー」

 

「ぬぅ、義姉上の頼みとあらば仕方ないのぅ」

 

 

話の流れからして半蔵の親父さんの妹、伯母さんか。

しっかし初っ端から濃いメンツが来たな。

 

 

「あれがハンゾーの家族なの?」

 

「そういえば私も初めてみたかも」

 

「あれ?そうだっけか。俺も半蔵の両親は会った事あるがもう一人は初めて見たな」

 

 

そして続々とやってくる保護者達。

朝っぱらから張り切り過ぎだろ。

 

 

「虎徹!恥かかせるんじゃないよ」

 

「アスナさん。普段どおり、気負わずに頑張りなさい」

 

「朱乃、しっかりね」

 

「朱乃よ、童どもなど一捻りにしてしまえ」

 

「オロチ様、そういった趣向ではございませんよ」

 

「が、頑張ってください!」

 

「・・・メンドクセェ、何で俺が」

 

 

俺のお袋、結城と姫島の母親、おろちん、グスタフさん。

ディズィーとソルさん。

揃いも揃って自らの子供達や知り合いに声援を送っている。

だがお袋、アンタのは声援じゃねぇ。

けど逆らえない。ちくしょー。

 

 

ゴオオオォォォッ!

 

ドガーーーンッ!

 

 

突如鳴り響く轟音。

教室内だって言うのに風の音と何かを叩き付ける音が聞こえた。

熱いから窓は開けているが、そこまで強い風は吹いてねぇぞ?

 

 

「コテツ、今度は何やったの!」

 

「待てグレモリー。さすがに俺じゃねーよ」

 

 

全く、人を疑うとはなんて奴だ。

しかし本当に何なんだろうな、この音は。

授業まで数分あるので教室の外に出て音の正体を確かめる。

そこにいたのは・・・

 

 

「さぁ神に祈りなさい!」

 

「何時ぞやの借り、返させてもらおう!」

 

 

見覚えのある牧師と社長の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、ではここの問題を・・・服部君」

 

「分からぬでござるっ!」

 

「うむ、潔い答えじゃ。教師殿、これはもはや正解と言っても過言では無いであろう」

 

「いや過言です。服部君、もう少し考えてから発言してください」

 

 

1時限目の国語の授業、島津殿に言われて拙者は答えたでござる。

分からぬ事は分からぬと正直に言えと常々言われていたでござるから正直に答えた。

席の後ろに立っている伯母上も褒めてくださるが島津殿は納得が行かぬ様子。

ぬぅ、何がおかしかったのでござろうか?

 

 

「では春日野さん、代わりにお願いします」

 

「は、はい」

 

 

春日野嬢の回答に耳を傾けながら黒板に書かれた内容をノートに写していく。

書かれている内容は頭に入らぬが後で琢磨か結城嬢に教えてもらえば問題なかろう。

当然その間、保護者達の視線は席を立っている春日野嬢へと視線が集中するでござる。

 

 

「おっしゃあ!さくら、一発かましてやれ!」

 

「えっ!?何でここに・・・」

 

「弟子の活躍を見ない師匠はいないぜ!」

 

「いや、弟子じゃないし・・・」

 

 

うーむ、やはり国語はよく分からぬでござるな。

漢字の読み書きならば問題は無いが、拙者は書物をあまり読まぬでござる。

故に筆者の気持ちを考えよ、などと言った事は難しいでござるよ。

 

 

「えー、春日さんの代わりにロシュフォールさん。お願いします」

 

「えぇ、分かりましたわ」

 

 

スラスラと読み上げていくロシュフォール嬢。

グレモリー嬢といい異国の言葉なのに大したものでござる。

拙者など異国の言葉は読み書きすら碌に出来ぬ。

しかし、先ほど春日野嬢と話していた御仁。

ピンクの胴衣とは如何なものか。

 

 

「はい、ありがとうございます」

 

「ふっ、当然ですわ」

 

 

自信たっぷりに答えて席に着くロシュフォール嬢。

殿は石油王、などと呼んでいるでござるが確か父親が石油王ではござらんか?

生憎、今のところ来てはおらぬ様子。

ふむ、石油王と聞くとヘルメットを被っている印象が浮かぶのは何故でござろう。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「キリがいいですね。では今日の授業は終わります。日直、号令を」

 

「はい、起立。礼」

 

 

後ろに座る姫島嬢の号令に従い席から立ち、一礼する。

本来なら途端に賑やかになるのでござるが保護者達がいるからか静かに次の準備を行っていく。

 

 

「ふむ、次は社会の授業でござったか」

 

「えぇ、ラグナ先生の授業ですわ」

 

 

机から次の授業で使う教科書を取り出しながら姫島嬢と話す。

先ほど使ったノートを机にしまい込み姫島嬢は後ろをチラッと見て答えた。

1時限目の授業が始まる前に姫島嬢の母君とグスタフ殿、オロチ殿が来ていたのは見えた。

そういえば姫島嬢の父君にはお会いした事は無かったでござる。

 

 

「姫島嬢の父君は来られるのでござるか?」

 

「父も仕事がありますし、分かりませんわね」

 

「ふむ。仕事ならば仕方ないでござるな」

 

「ハンゾーさんのお父様は来ているのですよね?」

 

「うむ!父上ならばあの通り、伯母上に持ち上げられているでござる」

 

「・・・個性的な方ですわね」

 

 

後ろを見れば伯母上が父上を持ち上げているところでござった。

それを母上が微笑みと共に見ておられる。

うむうむ、相変わらず仲のよいようで結構な事ではござらんか。

 

 

ガラッ!

 

 

「お、おはようございまーす」

 

「おぉ、麻宮嬢。おはようでござる」

 

「アテナ、おはようございます。お仕事はもうよろしいですの?」

 

 

扉が開き中に入ってきたのは麻宮嬢でござった。

普段は仕事があるため欠席など多いでござるが今日は珍しく早い時間に来たでござるな。

拙者達や他のクラスメイトに話しながらも麻宮嬢の席である拙者の隣に座る。

 

 

「うん。プロデューサーが上手く調整してくれたみたいなの。でも・・・」

 

「頑張れよアテナ」

 

「あはは、頑張りますプロデューサー」

 

 

麻宮嬢の後から入ってきて一声かけて後ろへと向かう御仁。

ふむ、この御仁がぷろでゅーさー、でござるか。

鉢金をして鍛え上げられた身体からは一種の武人のような立ち振る舞い。

ぬ?以前にリーアランドで見かけたような気もするでござるな。

 

 

「あら、麻宮アテナちゃんじゃない。後でサインもらおうかしら」

 

「八代さん、さすがにプライベートを邪魔しては駄目ですよ」

 

「それもそうね。結城さんの言うように放課後に貰う事にするわね」

 

「いえ、私が言っているのはそういう事ではなく・・・」

 

 

後ろで殿の母君と結城嬢の母君の会話を聞いて思い出したでござる。

ルガール社長のサインを貰わねば。

1時限目が始まる前に何者かと乱闘をしていた様子。

駆けつけた教師陣によって止められたようでござるが闘う様を見られなかったのは残念でござるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、普段ならクラスの仲のいい子達と一緒に昼食を取っている時間。

私はそんな日常のサイクルは行わずに、とある方々を案内するため廊下を歩いていた。

 

 

「すまいねティナ君」

 

「申し訳ありませんティナ様」

 

「あはは、いや別に構わないですよ」

 

 

私が案内しているのは魔王サーゼクス様とその女王であるグレイフィア様。

後、何故か私のクラスを見学していたライザー君。

サーゼクス様は理事をしているから案内はいらないんじゃ、と思ったけど頼まれたのなら仕方ない。

 

 

「あぁ、大人しくお袋さんについて行けばよかった・・・」

 

「何か言ったかい?」

 

「い、いえ何でもありません!」

 

 

既にリアスちゃんの様子は見に行ったみたいだけど何故私のところに来るのかが分からない。

まぁ私の家であるバティン家は没落しているから半分グレモリー領になっているようなものだ。

それでサーゼクス様が気遣ってくれのかしらね。

 

 

「食堂でいいんですよね?」

 

「あぁ。コテツ君にもデザートの数を増やすと約束したからね。事前にリサーチは必要だよ」

 

「あのバカ、何て事を頼んでいるんだ・・・」

 

 

ライザー君が頭を抱えるのも分かるわ。

私もLINKの会話を見て驚いたもの。

リアスちゃんも報告はしていないみたいだしトラちゃんに神器があるとは気づいてはいない。

けどトラちゃんとサーゼクス様が接触したとなると時間の問題かしら?

うーん、トラちゃんを眷属にするのは気が進まないわね。

かと言ってリアスちゃんや他の悪魔に取られるのはもっと嫌。

・・・まぁこの事について後で考えましょう。

 

 

「ところで、先ほどから賑やかですが何があるのでしょうか」

 

「え?そういえば何時もよりは騒がしいですね」

 

 

サーゼクス様の後方を歩いているグレイフィア様の声に私は足を止めて周囲を確認する。

色んなところで闘う子達がいるのは別に何時もの事だから珍しい事じゃない。

それにしても闘っている数が随分と多いような・・・

 

 

「保護者の方たちが闘っているんじゃないですかね」

 

「あ、それはあるかも。まぁ結局は何時もの事ですよ」

 

「そ、そうですか・・・」

 

 

私とライザー君が大したことじゃないと判断して返答する。

グレイフィア様は何処か納得行かないような表情をしながら頷いた。

 

 

ピンポンパンポーン

 

 

と、チャイムとは違う音が校舎に鳴り響く。

保護者の方たちへの連絡とかかしらね。

そう思い私は止めていた歩みを再開しようとした・・・

 

 

『ちょ、おろちん。邪魔すんなよ。え?マイクもう入ってる?』

 

 

聞こえてきたのは聞き覚えのある声。

私とライザー君はシンクロしたかのように放送の流れる声に顔を上げた。

トラちゃん。普段なら大歓迎なんだけどサーゼクス様達がいる中で勘弁して欲しいのだけど。

それに貴方もお母さんからお仕置きを受けても知らないわよ?

そんな私の心配を他所にトラちゃんは平常運転だったようだ。

 

 

『あー、1年A組の八代虎徹だ。今回授業参観と言う事もあり格闘大会を開く!』

 

「この学校はそんな催しがあるのですか?」

 

「いや、私も初耳だね。だが面白そうじゃないか」

 

 

怪訝な表情のグレイフィア様と対照的に面白そうな表情のサーゼクス様。

さすがサーゼクス様、早くもトラちゃんの性格を掴んできている。

 

 

『詳細は後で掲示板に張っておいたから見てくれ。あ、グレモリー。悪いが茶くれ』

 

『何で私が注がなくちゃいけないのよ!』

 

『お前がポットに一番近いだろ』

 

『大体こんな事をしてお兄様達に知られたら・・・』

 

『そうか。グレモリーの兄貴も来ているんだったな。おーい、グレモリーの兄貴。よかったら参加してくれー』

 

 

・・・そういえばトラちゃん、リアスちゃんのお兄さんがサーゼクス様って事知らないのね。

ライザー君はもう完全に顔を青ざめて口をパクパクとさせているし。

グレイフィア様は従者として来ているとは言え、放送の内容に眉をひそめている。

そして肝心のサーゼクス様といえば・・・

 

 

「はっはっは。面白そうじゃないか。よし、では私も参加を・・・」

 

『あ、ちなみに校長も参加するから参加者は気合を入れて挑むように』

 

「・・・まぁ理事と言う立場もあるから今回は見学に回ろうかな」

 

 

逃げた、と思うと同時に校長先生とサーゼクス様の力関係が見えたわね。

それに私達悪魔の頂点に立つような方が人間に怯えるというのもどうなのかしら?

・・・うん、校長先生なら仕方ないわね。

 

 

「そうだ。ライザー君も参加したらどう?」

 

「え?ちょ、ティ、ティナ?」

 

「ふむ。いい機会だ。この1年を旅していた成果を見せてくれないか」

 

「最近のレーティングゲームの活躍を見る限りライザー様の圧勝とは思われますが」

 

「お二人まで・・・は、はい」

 

 

サーゼクス様は校長先生のことを知っているように人間界についてはある程度詳しいみたいね。

けどグレイフィア様はよく知らないのが分かるわ。

だって、ライザー君が圧勝なんて言ってる時点でありえないもの。

でもライザー君の現段階での実力を知るいい機会かもしれないし。

 

 

「頑張ってねライザー君」

 

「お、おうっ!任せておけ、ティナ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く。お昼ごはんぐらい静かに食べれないのかい虎徹」

 

「いやー、思い立ったが何とやらって言うじゃねーか」

 

 

放送室から戻ってきた俺とグレモリー、おろちんは食堂に来ていた。

いつものメンバーに加えて保護者達も追加して結構な大所帯となっている。

そんな中で俺はお袋から小言を貰いながらお袋の作った弁当を食べていた。

 

 

「お、美味しい。やはり八代さんには敵いませんね」

 

「あははは。そりゃ簡単に追いついかれたら溜まったもんじゃないわよ結城さん?」

 

「そうよー。でも結城さんも追いつけるから頑張ってねー」

 

「いつも家の朱乃がお世話になっております」

 

「いえ、逆にリアスがご迷惑をおかけしていないか心配です」

 

 

お袋の持ってきた重箱から卵焼きを食べて結城の母親がしみじみと呟く。

結城の母親は仕事一筋だったらしくて数年前まではお手伝いさんが料理をしていたらしい。

それで長年、専業主婦をしていたお袋に勝とうってのが無理な話だ。

半蔵の母親は相変わらず間延びした声で気がゆるむな。

姫島の母親である瑠璃さんはグレモリーの母親と頭を下げあっていた。

 

 

「ディズィーちゃんは何処まで習ったの?」

 

「は、はい。一昨日は肉じゃがを教わりました」

 

「あら、では次は親子丼あたりですわね」

 

「ロールキャベツもいいんじゃない?」

 

 

女性陣は料理について盛り上がっていた。

たまにある料理の品評会で腕が上がるなら俺も嬉しいし願っても無いことだ。

 

 

「ソル。お前、まだこの街にいたのか」

 

「シャドルーの幹部がいるって聞いたからな。結構な賞金首だから暇つぶしには丁度いい」

 

「なるほど、人間の犯罪組織か・・・リアスに注意するよう言っておかねばな」

 

「これ保長よ。口元が汚れておるぞ、吹いてやるからこっちを向くのじゃ」

 

「むむ、かたじけない伯母上」

 

「グスタフよ。普段世話になっている礼だ。受け取るが良い」

 

「オロチ様。好き嫌いはよくありません、ピーマンも栄養はあるのですよ」

 

 

と、まぁ男性陣はご覧の通り好き勝手している。

半蔵のおばさんを男性陣に含めていいのか分からないが、やけに男前な性格だし問題ないだろう。

グレモリーの父親も初対面にも関わらずナチュラルに会話に参加している。

 

 

「しかし社会の授業は面白かったな」

 

「あぁラグナの奴、完全にあのお嬢ちゃんに手玉に取られていたな」

 

 

俺が午前中の授業を思い返して喋るとソルさんが珍しくニヤリとした笑みを浮かべてノッてきた。

社会の授業中、一人の少女が教室に入ってきた。

金髪ツインテールでゴスロリ衣装の少女は堂々と教室の前の扉から入ったかと思うと後ろへと向かったのだ。

それを見てラグナさんは酷く狼狽した様子でそのまま少女と口論。

終始、弄られた状態で授業どころではなく苛立ったラグナさんと少女がグラウンドにでて闘いが始まった。

 

 

「でもあの子凄かったな」

 

「あぁ、ラグナの戦いを熟知しているのか戦闘のペースを握ったままだったな」

 

「俺もあんな蛙欲しいな」

 

「やめとけ。一般人のお前じゃ一生かかっても無理だ」

 

「やぁ、虎徹。ここにいたのか」

 

 

と、俺とソルさんが話していると声をかけてきたのは親父だった。

午前中は仕事をすると言っていた割にはパリッとしたスーツを着こなしている。

そして俺達の空いている席に座るとお袋が重箱を幾つか寄せた。

 

 

「お疲れ様。はい、お茶どうぞ」

 

「あぁ、悪いな」

 

 

阿吽の呼吸と言うべきかお袋が準備をあっという間にして親父も食事に参加する。

そして気になっていたのか何故か俺に視線を向けた。

 

 

「虎徹。お前今度は何をやらかしたんだい」

 

「いきなり失礼な親だな。まだ何もしてねーよ」

 

 

疑問系でないところに俺の信用度が伺えるってもんだ。

放送で言った格闘大会は放課後だし、休日に買ったカーテンはまだ仕掛けていない。

うん、まだ何もしてないな。

 

 

「掲示板前に凄い人だかりがいて虎徹の名前が出ていたからな」

 

「あぁ。そっちか」

 

「そっち?」

 

「いや、なんでもない」

 

 

危うく他の悪戯がバレるところだった。

親父に今回の格闘大会を開く事になった経緯を説明する。

経緯は1時限目が始まる前の騒動にある。

何故かルガール社長とゲーニッツさんが闘っていた。

それぞれの背後ではウィンドと神月みたいな金髪ドリルが止めようとしていた。

多分、娘なんだろうが闘っている理由が分からないが親同士の仲が悪いという事はわかった。

 

 

「それでどうして格闘大会に繋がるのかさっぱりなんだが」

 

「いっその事、勝敗はっきり着けちまえば納得するかなって」

 

 

元総合格闘技のチャンピオンとお別れ牧師の一戦だ。

俺も興味はあるし補習回避計画の前哨戦考えると丁度よかった。

夏休みの補習を回避する計画、要はテスト期間中に格闘大会を開こうぜ、と言うことだ。

校長に話して俺が運営を務めれば赤点を取っても補習は回避するという事を約束させた。

校長も自分の生徒達がどのように成長しているかみたいと思っていたそうで二つ返事で了解を得たのだった。

イベント実行委員として生徒会長にも事情を説明すると生徒会のメンバが何人か手伝いに来てくれることになった。

そして今回、その練習として突発的ながらも格闘大会を開催する事になったってわけだ。

 

 

「当然、1回戦はルガール社長とゲーニッツさんだぜ」

 

「はぁ・・・社長。後でマチュア君とバイス君に報告だな」

 

 

自分の会社の社長が勝手に大会に出ようとするからか頭を抑える親父。

まぁ正直な話、二人の対戦以外は俺が本番で運営するための練習だ。

そのために校長が参加するって言って参加人数を絞ったわけだしな。

とは言え、校長の強さは知っている人は知っている程度だ。

まぁ俺のクラスメイトは、よく俺が愚痴を溢しているから知っているだろうが他のクラスは分からない。

上級生は恐らく知っている、はず。

 

 

「でもこの学園の生徒だからなぁ。命知らずってのは怖いぜ」

 

「虎徹。お前が言うな」

 

 

親父のツッコミを聞き流し俺は既に放課後の事を考えていた。

 


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