はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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ifシリーズ~MUGENキャラで本編が進んでいたら~

前話飼育小屋にて

「グオオオォォンッ!!」

「虎徹君。この黒い影は一体・・・」

「エルクゥって言うらしいぞ。しっかし五月蝿いな」

「他にもツッコミどころはあると思うのですが」




第35話

「ど、どうなったんでしょうか?」

 

「あー、眩しかった」

 

『ふむ。凡そ計算通りだな』

 

「目がチカチカします」

 

 

屋上で足をセメントで固められた俺達。

一応視界を腕で覆ってはいたが予想以上に眩しかったな。

先ほどまでの眩い閃光が嘘のように再び真っ暗になる。

地震も収まったようだし、まずはこの状態を何とかするか。

 

 

「琢磨、ミキサー車の回収とドリルの転送よろしく」

 

『了解した。幾つ必要だ?』

 

「そっちの二人もドリルいるか?」

 

「いえ、私は法術で破壊しますので必要ありません」

 

「ドリル・・・折角ですので頂けますか?」

 

「じゃあ琢磨。ドリル二つで。あと懐中電灯と双眼鏡もな」

 

『分かった。転送するぞ』

 

 

ミキサー車が回収され俺の直ぐ傍に転送される。

あ、このドリルどうやって渡そうか。

そう思っていると役に立たなかったお姉さんの変な布がドリルに巻きついていく。

そして軽々と浮かびお姉さんの手に渡った。

すげぇ、何だアレ。マフラー?ストール?便利そうだな。

 

 

「これは・・・素晴らしい一品ですね」

 

 

何故かうっとりとした表情でドリルを持ち上げて様々な角度から見ている。

ドリルの良し悪しなんて分かんねーよ。

変なお姉さんは放って置いてドリルで慎重に足元のセメントを削っていく。

扱い方は中学時代に色々とお世話になったから心得ている。

10分程で足元のセメントを削り終えて自由になった。

 

 

「あぁ、疲れた」

 

「全く。これに懲りたら今後このような事はしないように!いいですね虎徹君」

 

「安心しろ。今度はもっと派手にするぜ」

 

「少しは反省しなさいっ!」

 

 

同じように自由になったカイが小言を言って来るので聞き流す。

お前は小姑か。

そういえばカイの奴はどうやってセメントを削ったんだろうか?

ほーじゅつ、とか言っていたが・・・まぁ異能関連だろう。

気にするだけ無駄だな。

 

 

「さーって、グラウンドはどうなったかなーっと」

 

「あ、まだ話は終わってませんよ」

 

 

屋上の端に立ち懐中電灯でグラウンドを照らす。

あれ?思ったより滑らかじゃないな。

何かところどころに穴が空いている。

門があった箇所には会長と書記らしき姿がある。

後は何故か4人ほど増えていた。誰だ?

 

 

「彼女達も逃げられなかったようですね」

 

「お、こっちに気づいた」

 

 

光を照らしているので当然相手も俺に気づくか。

双眼鏡で覗き込んでみると何か叫んでいるようだ。

当然、距離が離れているので何を言っているかまではわからない。

とりあえず手を振っておこう。

後、4人組の方は一人だけ知っている奴がいた。

 

 

「あれ、何でロックがいるんだ?」

 

「知り合いですか?」

 

「あぁ。隣のクラスの奴だ」

 

 

他にはロックと同じ金髪で青い鉢巻を巻いた女の人。

赤い髪をした侍っぽい人。

後は、ふさふさした毛皮っぽい帽子を被った人だ。

こっちは目元まで隠れて毛皮も背中の足元まで伸びていて性別が分からない。

 

 

「うーん、どんな関係かさっぱりだな」

 

「あれ?先ほどの女性がいませんね」

 

「え?」

 

 

カイの言葉に双眼鏡から外して後ろを振り返る。

本当だ、いつのまにかいなくなっているな。

・・・あ、ドリル持っていきやがった!

まぁ、俺のじゃないからいいか。

 

 

「よし、それじゃあミヅマんが起きたか確認しに行くか」

 

「その前に彼女達を助けるのが先決です」

 

「えー」

 

「えー、じゃありません。自分がしでかした事なのですから最後まで後始末は・・・」

 

「どうしたカイ?」

 

 

小言が途中で止まりカイを見れば明後日の方向を見ていた。

街の方を見ているようだが何か見えるのか?

 

 

「この法力は・・・探しましたよソル!」

 

「ちょ、おまっ!」

 

 

こっちが止める間も無くカイは屋上から飛び降りた。

空中をダッシュするという離れ業をしながらあっという間に学園から遠ざかっていく。

ソルって事はソルさんの知り合いだったのか。

 

 

『とにかく、今回はいいデータが取れた。明日、いや今日は遅刻しないようにな虎徹』

 

「おう、サンキュ琢磨」

 

 

琢磨との長い電話も終える。

さて、この後どうするかね。

 

 

スタッ!

 

 

「コテツ!」

 

「あん?・・・うおっ!?」

 

 

ドサッゴツッ!

 

 

ぐおおぉっ!あ、頭が痛ぇっ!

声に振り向いたと同時に誰かに体当たりを喰らい後頭部を地面に打ち付ける。

だ、誰だこんな事をする奴は!

 

 

「ってグレモリー?」

 

「大丈夫コテツ!?どこか怪我してない?」

 

 

俺を押し倒すようにして見下ろしながら聞いてくるグレモリー。

何だこの状況、って言うか何でそんな心配そうな表情をしているんだコイツは。

それに顔が近い!

・・・まぁ、とりあえずはグレモリーの質問に答えるか。

 

 

「怪我ならたった今したとこだっ!何しやがる!」

 

「なっ!せ、折角心配してあげてるのにその言い草は何よっ!」

 

「うっせぇっ!重たいんだからどけっての!」

 

「何よこっちは心配して駆けつけてきたのに!」

 

 

ぐにぃっ

 

 

「いひゃい!ひゃひひははふ!(痛い!何しやがる!)」

 

 

ぐにぃっ

 

 

「ひゃっ!ひゃひふふほほ!(きゃっ!何するのよ!)」

 

 

お互いに頬っぺたを両手で引っ張り合う。

おかげでグレモリーが何を喋っているのかさっぱりだ。

誰か通訳を呼んでくれ。

 

 

「あら、リアス。先に向かったのはコテツさんとイチャつくためだったのですわね」

 

「その様子だと無事みたいですね」

 

「大丈夫ですか八代先輩」

 

「ほう、ほはへは(よう、お前ら)」

 

「もうっ!バカな事言わないで朱乃!」

 

 

何時の間に姫島達まで来ていたんだ。

俺の手を振りほどいてグレモリーだけ自由になる。

おいこら、俺の頬を掴む手を離せ。

 

 

「学園に駆けつけたら真っ白な光が天から降ってきたりグラウンドがセメントで固められていたり凄い魔力が霧散したりはぐれ悪魔がいなかったり・・・全部コテツのせいなんだから!」

 

 

ぐにぐにっ!

 

 

真っ白な光は琢磨のせいだ。あんなものを用意するなんて俺は聞いていない。

グラウンドは俺のせいだが何か問題でもあるのか?

後半は言葉の意味が分からん。

 

 

「あらあら楽しそうですわ。リアス代わってもらってもいいかしら?」

 

「そうね。心配をかけたんだから当然よね」

 

「はひをふふーっ!(何をするーっ!)」

 

「あ、朱乃先輩。次は私がします」

 

「あはは、八代先輩。頑張ってください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八代先輩と合流して僕達はグラウンドに出た。

来たときは飛んで来たけど八代先輩がいるから歩いてだ。

でも八代先輩が無事で本当によかった。

はぐれ悪魔の餌食になっていたらどうしようかと思っていたからね。

 

 

「ったく、散々引っ張りやがって」

 

「ふん、コテツのせいよ」

 

「そうですわ。心配をかけた分は遊ばせて頂かないと」

 

「結構面白かったです」

 

 

部長達も八代先輩の無事な姿を見てか落ち着いている。

さて、色々と気になるところだけど八代先輩に話を聞いても答えが帰ってくるか分からない。

まずは着いて行き何をしていたかを確認した方がいいと言う事になった。

 

 

「それで何処に行くつもりですか?」

 

「あぁ。会長達のところだな」

 

「旧校舎の前に誰かいるわね・・・足首までセメントで固められているけど」

 

「それは別に構わないんだがよ・・・木場、それ見えづらくないのか?」

 

「あぁ、これですか?最初は苦労しましたけどコツを掴めば大丈夫ですよ」

 

 

やはりと言うべきか八代先輩も僕について聞いてきた。

部長達も僕の姿を見て何事かと聞いてきたしね。

 

 

「しかし夜中にサングラスとは中々やるな」

 

「全く、祐斗も誰に影響を受けたのかしら」

 

「あはは、友人と買い物に行った時に薦められたんです」

 

 

クラスメイトのケイと買い物に行った時に見つけたサングラス。

ケイがやけに薦めてくるので買って付けてみたけど自分でも中々気に入っている。

そんな話をしている内にセメントで身動きできない人たちの下に辿り着いた。

確かこの辺りから大きな魔力を感じたはずだけど・・・

 

 

「よぅ、会長」

 

「よぅ、ではない!お主の仕業じゃな。さっさと何とかせんか!」

 

「何だよセメントで足が動かないぐらいで」

 

「誰もこんな事するとは思わへんわっ!」

 

「俺のいた中学じゃ首から下が石になった事が無い奴なんていないぜ?」

 

「何それこわい」

 

 

そういえば球技大会の時も先輩は中学校の先生に石にされていた。

しかも連帯責任とかで在学生達も皆、首から下が石化していたっけ。

よくよく考えればとんでもない中学校だ。

 

 

「虎徹、テメェの仕業か!」

 

「ロック。お前何か口調悪くなったな」

 

「俺はロックじゃねぇっ!楓だ!」

 

「ふふん、俺を騙そうたってそうは行かないぜ。黒髪が楓で金髪がロックだろ」

 

「いや、普段はそうなんだが・・・あー!とにかく何とかしやがれ!」

 

 

球技大会でも見かけた金髪の男性。確かロックと言う名前のはずだ。

自分は楓と名乗っているみたいだけどどういう事だろう?

 

 

「仕方ないな。まずロック達を解放するか。じっとしてろよ」

 

 

手に持っていたドリルでセメント部分を削りだす八代先輩。

すると八代先輩が会長と呼んでいた人が部長に話しかけた。

 

 

「お主は魔界、いや冥界の住人じゃな」

 

「っ!よく知ってるわね。生徒会長と言うことは貴女も?」

 

「いや、わしは知り合いがおるだけじゃ」

 

「そう。この辺にはぐれ悪魔が集まっていたはず。何か知らないかしら?」

 

「うむ。どうやら地獄門が放つ魔力に引き寄せられたようじゃな」

 

「地獄門?」

 

 

地獄門とは常世と現世を繋ぐ門で、開かれると魔人が現れて現世を破壊する危険な代物であること。

それを番人である黄龍と言う人とロック先輩達が封印をした事が分かった。

なるほど。強大な魔力は地獄門ではぐれ悪魔はその魔力に引き寄せられたのか・・・あれ?

 

 

「あの、ではそのはぐれ悪魔達は?貴女達が退治したのでしょうか?」

 

「幾つかはそうやけど。空から白い光が降ってきたと思ったら、消えよったで」

 

「白い光。コテツさん、いえタクマさんの仕業ですわね」

 

「あの時言っていた太陽光を使った武器ってこの事だったのかしら・・・」

 

 

部長達には心当たりがあるようだ。

しかし高藤先輩か。あの人の発明は本当にトンデモ無いものばかりだ。

 

 

「よし、これでいいだろ」

 

「ええ、ありがとう」

 

「雪、元凶に礼を言う必要は無い」

 

「本当だぜ・・・何だよ、お師さん。もう行っちまうのか」

 

「あぁ。門が開く前に封ずる事ができた。犠牲も無く今回は最良の結果と言ってよいだろう」

 

 

どうやら八代先輩がロック先輩達の足場を壊したようだ。

しかし一人、獣の毛皮を纏った男の姿が消えようとしている。

門番と言っていたから地獄門の門番なのだろう。

一緒に門が開くのを防いだって事は味方・・・でいいのかな?

 

 

「さぁ帰るとするか」

 

「待たんかい!ウチらを忘れとる!」

 

「あぁ、そうだった。いやーうっかり」

 

「・・・お主、自由になれば覚えておれよ」

 

 

今度は会長さん達の足元を壊していく八代先輩。

何はともあれ疑問に思っていた事は全て解決、かな。

いや、あの白い人型に関してはよく分かっていない。

 

 

「部長、僕達はどうしますか?」

 

「ここはもう問題ないみたい」

 

「そうね・・・いえ、まだコテツに聞きたい事があったわ」

 

「何かありましたの?」

 

「コテツには夜中に外を出歩かないように暗示をかけたのよ」

 

 

なるほど。暗示をかけているのに、こうして出歩いている事は不思議だ。

でも八代先輩なら何とかしそうな気がするのはどうしてだろう?

 

 

「八代先輩なら普通に無視しそうです」

 

「もしくはリアス。貴女失敗したのではありませんの?」

 

「ちゃ、ちゃんと効果はあったはずよ」

 

「まぁまぁ部長。直接聞いた方が早いですよ」

 

「そ、そうね」

 

「そこじゃ!」

 

 

ゴツッ!

 

 

「ぐぇっ!」

 

「オイタが過ぎたようじゃな」

 

 

鈍い音に振り返ってみれば八代先輩が蹲って頭を抑えていた。

どうやら解放された会長さんにやられたようだ。

・・・うん、まぁここは自業自得って事で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やれやれ。虎徹との電話が終わったと思ったら今度は呼び出しか。

僕は深夜、ある人物に呼び出され向かっていた。

道中、白い人型のナニカがいたがメンテナンスの終わったスーパー8の稼動チェックで終わった。

この様子ならお姫様に返しても良さそうだ。

 

 

「来たか」

 

「それで用件とは何だソル」

 

「こいつらに見覚えは無いか」

 

 

前置きも無く着いた途端に聞かれる。

その場には呼び出したソルだけではなく、バンダナを巻いた見知らぬ男。

そしてライザーさんとライザーさんを取り囲む女性達の姿があった。

僕の姿を見たライザーさんの顔が分かりやすく歪む。

 

 

「げっタクマ!?あ、いやその・・・こ、これはだな」

 

「なるほど。つまりバティン先輩の事は諦めたと」

 

「ち、違う!そうじゃないんだ!」

 

「まぁどちらでも構わないが。それでコイツ等のことだったな」

 

 

ライザーさんが慌てて釈明しようとしているが抱きつかれては説得力が無い。

まぁなんらかの事情があるようだしバティン先輩への報告は止めておこう。

気を取り直してソル達の足元にいる白い人型を見る。

先ほど僕を襲ってきたモノと同型か。

 

 

「機械ではないな。人造生命体の類か」

 

 

見覚えは無い、と言う事は僕の所有しているデータベースでもヒットしないだろう。

となれば誰かに聞くのが一番か・・・彼女にするか。

早速、仕事用の電話で相手にかける。

深夜だというのに相手は程なくして出てくれたようだ。

 

 

『何だ、こんな時間に。私の時間を奪うなど何様だ貴様は!』

 

「随分な物言いだな大道寺博士」

 

『ふん。この私の声を聞けるだけでも有り難いと思え』

 

 

こうして話すのはゴールデンウィーク以来だろうか。

この機嫌からして研究中か寝ていたかのどちらかだろう。

となれば手短に話すとしよう。

 

 

「白い人型の人造生命体を見つけたが心当たりはあるか?」

 

『・・・何?固体識別などは?』

 

「ふむ。軽く見た程度では判断できないな。どうする?」

 

『寄越せ。私の元まで持ってくるがいい』

 

 

住所を教えてもらい電話を切る。

新たな研究対象を見つけた事で怒りは収まったようだ。

さて、遅くなって怒られても面倒だ。

 

 

「現段階では分からないから調査してもらえる場所に持って行くぞ」

 

「あぁ。その前にライザー。報酬を寄越せ」

 

「はぁ・・・仕方ないな」

 

「俺っちの分もお忘れなく」

 

「くっ、出費が・・・」

 

 

いつの間にかライザーさんの周囲にいた女性がいなくなっていた。

僕と同じ転送技術でも持っているのだろうか。

 

 

「そうだ!早くコテツのところに急がないと!」

 

「む?虎徹がどうかしたのか」

 

「あ・・・いや、コテツが危ないんだ」

 

 

何処か言いよどむようにして話すライザーさん。

虎徹が危ない?

 

 

「先ほど電話では元気そうだったが?」

 

「それは何時頃だ?」

 

「10分も経ってはいないな。僕も実験が出来て素晴らしい成果だった」

 

 

ライザーさんに先ほどまでの虎徹の悪戯を話してやる。

ソルともう一人の男も呆れ顔になりライザーさんは項垂れた。

 

 

「し、心配して損した」

 

「あの坊主、タチの悪い事しかしねぇな」

 

「将来有望な坊ちゃんじゃないの。あ、そうだ」

 

「どうした?」

 

「アンタが旦那の言っていた情報屋でいいんだよな?」

 

「そうだが。そういえば名前を聞いていなかったな」

 

「おっと、俺はアクセル・ロウ。それで聞きたい事があってね」

 

 

ふむ。ソル経由で僕の事を知っているのは構わない。

しかし何の用事だろうか?

 

 

「タイムスリップできる方法って知らないか?」

 

「・・・何?」

 

 

聞けば彼は突発性タイムトラベル体質で突然タイムスリップするそうだ。

それで自分のいた時代に帰ろうと何とかしているが上手く行かないと。

・・・研究しては駄目だろうか?

 

 

「まぁ・・・何度かタイムスリップはした事がある」

 

「マジでっ!?」

 

 

虎徹と意外にも結城さんに迫られて、だがな。

どのタイムスリップも大変だった印象しかない。

何よりも転送技術が使えないのが痛かった。

だというのに虎徹と半蔵のお気楽二人に加えて結城さんまで大はしゃぎだった。

今思えばよく現代に戻ってこれたものだ。

 

 

「だが安全にタイムスリップする手段はまだ研究中だ」

 

「そっか。でも出来る可能性があるのは大きいぜ」

 

「ちなみにどれくらい前にタイムスリップしたんだ?」

 

「確か・・・およそ700年ほど前だな。移動手段が馬か徒歩と言うだけで苦痛だった」

 

「さすがにそれほど昔は知らねぇな」

 

「旦那も生まれてないもの、当然っしょ」

 

 

ソルも100年は生きているがそれよりも昔だからな。

まぁ今は昔話を話している場合ではないな。

時代転移技術の優先度を若干上げるとして大道寺博士に研究サンプルを届けるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殿!おはようでござる!」

 

「おう!半蔵、おはようさん!」

 

「普段の殿にしては朝から調子良さそうでござるな」

 

「まぁな!何せ寝てないからな!」

 

 

朝、いつもの如く迎えに来た半蔵と挨拶をかわす。

会長だけでなく書記からも報復を受けて何とか家に帰った。

しかし帰ったのは3時、4時間なんて中途半端な睡眠時間を取るぐらいなら起きてしまえと徹夜していた。

おかげでテンションマックスだぜ!

 

 

「む、では今日は授業はどうするでござるか?」

 

「そうだな。保健室で寝るとするか」

 

「承知。昼餉の時間には起こしに向かうでござる」

 

「頼んだぜ」

 

「全く、朝から元気だな二人とも」

 

「おう、親父」

 

「これは殿の御父君。おはようございまする」

 

 

親父もこれから出勤のようで鞄を持っていつものスーツ姿でいた。

まぁ今日は俺が寝てないからいつも家を出る時間より早いからな。

途中まで一緒なので親父も含めて3人で歩く。

 

 

「あ、虎徹。社長が今度お前に会いたいと言っていたぞ」

 

「ルガール社長が?何で?」

 

「社長はお前にルガール運送に来て欲しそうにしていたからな。勧誘の類じゃないか?」

 

「さすがは殿、既に注目を浴びるとは」

 

 

おいおい、俺はまだ高一だぜ。

大学に行くか就職するかも決めてないって言うのに。

しかし俺みたいな一般人がテレビでも見る社長と話す絶好の機会でもあるしな。

 

 

「うーん。じゃあオッケーって伝えてくれるか?」

 

「分かった・・・頼むから失礼な真似だけはしないでくれよ?」

 

「ふふん、当たり前じゃないか。全く、親父は俺の事を何だと思っているんだ」

 

「お前だから心配なんだよ・・・」

 

 

失礼な親父だ。

少しは息子の事も信用して欲しいぜ。

 

 

「それじゃあ私はここで。いいか虎徹、学校でも問題を起こさないようにな」

 

「はいはい。じゃあな親父」

 

「頑張ってくだされ」

 

 

親父、暴力すら振るわない優等生の俺にその心配は杞憂だぜ。

軽い悪戯はするが問題なんて起こした覚えは無いからな!

 

 

「あ、八代君に服部君」

 

「お、結城」

 

 

分かれ道にきて親父と別れようとした時だった。

別の道から結城が登校してきた。

 

 

「あ、小父様。おはようございます」

 

「うん、おはよう。それじゃあな3人とも」

 

「はい。お仕事頑張ってください」

 

 

親父と別れて結城も合流して学校への歩みを進める。

ちょっとした世間話をしている内に俺が徹夜したことも話した。

しかしミヅマん、飼育小屋に戻ったらいなかったな。

まぁ起きて家に帰ったなら良しとしよう。

 

 

「もぅ、ちゃんと寝ないと駄目だよ」

 

「いや、中々面白い情報を手に入れたから問題ないな」

 

「面白い情報でござるか?」

 

「あぁ、今年の秋に発売されるゲームなんだけどな。何でも自分で体を動かすRPGらしいぜ」

 

「えっと・・・どういうこと?」

 

 

うーん、何て説明したものだろうか。

俺もネットのニュースでたまたま知っただけだからな。

 

 

「ナーヴギアを使って実際に体を動かす感覚で冒険できるゲームらしい」

 

「ぬぅ。あの機械でござるか」

 

「あれ?でも八代君、ナーヴギア持ってないよね?」

 

 

そう、そこが問題だ。

ゲーム機以外にも用途があるためか無駄に高い。

少ない小遣いしか貰っていない俺ではまず買えないだろう。

 

 

「そこでだ!バイトをしようと思う」

 

「何と!」

 

「え、八代君が?・・・や、止めた方がいいんじゃないかな」

 

「ふっふっふ。俺の底力を侮ってもらっちゃ困るぜ」

 

「では拙者もあるばいとをするでござるっ!」

 

「よし、じゃあ頑張って貯めてナーヴギアを買うぞ!」

 

 

しかし発売まで3ヶ月くらいか。

時給のいいバイトを探さないとな。

 

 

「結城はどうする?」

 

「私はお兄ちゃんが持ってるからいいよ」

 

「え、あの人が?ゲームするような人には見えないけど」

 

 

あまり会った事は無いが、会うといつも道場にいるイメージだ。

そんな人が何故ナーヴギアなんて最新ゲーム機器を持っているんだ?

 

 

「うん。ナーヴギアの性能テストに協力したみたいでお礼に貰ったんだって」

 

「へぇ、俺もやりたかったぜ」

 

 

そんな事があればバイトなんてしなくても良かったのに。

いや、これもいい経験だと思う事にするか。

 

 

「それで八代君。どんなアルバイトにするの?」

 

「そうだな。やっぱり普通のバイトじゃ面白くないよな」

 

「・・・その時点で嫌な予感しかしないよ」

 

「では殿、早速探すでござるよ!」

 

「そうだな、こうしちゃいられないぜ」

 

「ちょ、ちょっとその前に授業があるんだから!」

 

 

ちっ、バレたか。

このまま授業をサボる作戦は通じないようだ。

 

 

「それに今日はお弁当を作って来たんだから。ちゃんと食べてよね」

 

「おっ。それは楽しみだ」

 

「拙者も楽しみでござる」

 

 

グレモリーや姫島はまだまだだが結城の奴、本当に美味くなっているからな。

初めの頃なんて食べれたもんじゃなかった。

お袋によくやったと言いたい。

 

 

「と、殿!大変でござる!」

 

「どうした半蔵」

 

「グラウンドが・・・巨大な滑り台になっているでござるよ!」

 

「うわっ、本当だ」

 

 

半蔵と結城が学園の様子に気づいた。

ふっ、この驚きを見ただけでもやった甲斐があるってもんだぜ。

 

 

「来おったで会長!」

 

「うむ。皆の者、八代虎徹を確保じゃ!」

 

「何っ!?うおっ、離せ!」

 

 

気づけばあっという間に生徒達に捕まり動きを封じられてしまう。

くっ、まさか生徒会がここまで早く動くとは。

そしてゆっくりとした動きでこちらに来るのは夜中に出会った生徒会長だ。

 

 

「さぁ八代虎徹よ。おぬしの言い分は後でしっかりと聞かせてもらうぞ」

 

「俺が何をした?」

 

「アレだけの事をして何を言うか!」

 

「あ、やっぱり八代君なんだ」

 

「さすが殿、拙者も見習わねば」

 

 

あっさりと誰がやったかバレてしまった。

しかも助ける気は無いらしい。

 

 

「まずは校長が話があるというので行くぞ。ほれ、連れて行け」

 

「ぎゃーっ!アイツだけは勘弁してくれーっ!」

 

 

 




ちょっとした話

「ソル、そこで寝ている彼女は?」

「気にすんな。ウルセェから気絶させただけだ」

「いやぁ、俺様もビックリ」

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