はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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暇つぶしに執筆をしました。
気が向いたら更新します。


10/26 誤字脱字を修正しました。



入学編
第1話


 

駒王学園に入学して3日経ったが俺、八代虎徹(やしろ こてつ)

未だこの光景に慣れていなかった。

中学3年での進路調査、クラスメイトの女子からは

ここがお勧めと聞いていたので受験して何とか受かったのはよかった・・・が

 

 

「去年まで女子高とか聞いてねぇよ・・・」

 

 

そう、駒王学園は今年から共学となっていたのだ。

当然上級生は全員女子、同級生でさえ男子はほとんどいない。

ここを勧めたクラスメイトとはこの学園でも同じクラスとなり、

当然俺は文句を言ってやったが、本人は

 

 

『え、八代君。てっきり知ってると思ってた』

 

 

なんて事を言い出す始末で怒るに怒れなかった。

と、いうよりもその後の自己紹介や休憩時間に突き刺さる女子からの視線が痛いこと。

 

 

「殿、いい加減に慣れたらどうでござるか?」

 

「まぁお前たちがいるから慣れて来てはいるけどよ。そうじゃなかったら入学3日にして不登校になるところだったぜ」

 

 

時代錯誤な口調に俺を『殿』と呼んでくるのは小学校からの腐れ縁である服部半蔵(はっとり はんぞう)だ。

口調といい名前といい忍者である。実際忍法が使えるらしい。

出会った頃から何故か俺を『殿』と呼んでくる変わり者だ。どう考えても生まれてくる時代を間違ったとしか思えない。

 

 

「ふむ。まぁ僕としては気兼ねなく実験できるスペースも確保できそうだし気に入っているがね」

 

 

なんてクールに言って眼鏡をクイッと上げる無駄に白衣を着こなしている男子生徒。

こいつは中学からの友人で高藤琢磨(たかふじ たくま)

しょっちゅうよく分からない発明品を開発している自称天才科学者だ。

この間は転送装置とかいうのを作ってたな、忘れ物をした時に便利そうだ。

 

 

「そうでござるよ。殿も琢磨のように、”ぽじてぃぶ”になるでござる!」

 

「そりゃそうだけどなぁ・・・」

 

 

テンションの上がらない俺を半蔵が励ましてくれるのは嬉しい。

だが、どうしてもテンションの上がらない理由があるのだ。

確かに女子ばかりで観察されて気が滅入ってしまうのもある。

しかしそれ以上に・・・・

 

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

「何であいつらあんなに見てくると思うよ。俺何かしたっけな」

 

 

そう、昨日からやけに視線を感じるのだ。

最初は偶然かと思ったが気づけばあの二人は俺の視界にいた。

 

 

「グリズリーと鬼島だっけか、あいつら」

 

「リアス・グレモリーと姫島朱乃(ひめじま あけの)だ虎徹」

 

 

あぁ、そうそうそんな名前だったな。

まだ3日目なんだから覚えれられないっての。

 

 

「一昨日の交流会で何か粗相をしたのではござらんか?」

 

「グレモリーさんは欧州出身のようだからな。僕たちには分からない独自の文化があるかもしれないぞ」

 

「つってもな、一昨日はクラス全員でカラオケ行ったりして遊んだだけだろ?」

 

 

入学式初日にクラスメイトの一人が皆で親睦を深めようと言い出した。

どうやらうちのクラスはノリのいい連中が多いようで俺も折角なので、と便乗していた。

さすがにカラオケに30人近くは入らないから幾つかの部屋を借りたりしたがな。

 

 

「確か後半あたりで虎徹はあの二人と同じ部屋になっていなかったか?」

 

「そういえば同じ部屋だったな。確かその場のノリで一発芸をした気がするな」

 

「一発芸というと例のアレか?」

 

「そう、これ」

 

 

俺は視線を自分の机の上に向ける。

すると何もない空間から本がドサドサッと落ちてきた。

1冊1冊が図鑑みたいに分厚い本だ、それも20冊近くある。

何故かは知らないが気づけばこんな事ができるようになっていた。

しかもこの本、よく分からない言語で書かれていてちっとも読めやしない。

他の連中からは白紙にしか見えないとか言う始末で俺は早い段階でこの謎を解き明かすことを放棄していた。

 

 

「ふむ、相変わらず謎だな。どうせなら他の生徒みたいに面白い一発芸にすればよかったのに」

 

「いーんだよこれで。枕になるしな」

 

「さすが殿でござる!そのような使い方があったとは!」

 

「半蔵の忍術の方が十分面白いけどな」

 

 

一昨日の交流会で俺が披露したこの一発芸。

だがやはり世の中は広い。

何とクラスの8割が俺よりもすごい一発芸を持っていたのだ。

火や水、電気を出すわ何処からともなく槍を出すわ空中浮遊するわで俺の方が驚いた。

 

 

「おかしくね?何であいつらが格好よくて俺のは枕にしか使えない本なんだよ!」

 

「殿、論点がズレてきてるでござる!」

 

「おぉう、そうだった。でも何で本出しただけで注目されなければならないんだ?」

 

 

よほど本が好きなんだろうか?

でもあの二人にも本は見せたが何も見えないって言ってたしなぁ。

 

 

「おはよう、3人とも。何の話をしてるの?」

 

 

俺たちが頭を悩ませていると一人の女生徒が声をかけてくる。

ってこの声は・・・・元凶か。

 

 

「あぁ、おはよう結城さん」

 

「おはようでござるよ結城嬢」

 

「なんだ元凶か」

 

「もうっ!八代君、しつこい男は嫌われるよ!」

 

「へいへい、悪かったよ結城。おはようさん」

 

 

この女こそが俺をこの駒王学園に進めてきた結城明日奈(ゆうき あすな)だ。

栗色の髪を背中まで伸ばして容姿端麗、性格良し、頭脳明晰、運動神経抜群、おまけに家は金持ちと、

お前何処の漫画のキャラだと言わんばかりの完璧超人である。

中学の時、とある事をきっかけに俺達3人と共に行動をするようになった。

 

 

「うんうん。おはようございます。で、何を話してたの?」

 

 

俺達が挨拶を返すと首を傾げて疑問を再度投げてきた。

そんな仕草でさえ普通に可愛く見えてきて俺は首を横に振って幻想をかき消す。

 

 

「ほらあの二人が俺に熱視線を送ってるって話だ」

 

「あぁ、グレモリーさんと姫島さんだね。そういえば何でだろうね?」

 

「やはり殿の素晴らしさに気づかれたのでは!?」

 

「何!?そうか、カリスマってーの?そんなのが溢れてるのか!」

 

「「いや、それはない」」

 

 

結局疑問は解決しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

私、リアス・グレモリーは上級悪魔の一人だ。

今年から人間界で通う事になった駒王学園はグレモリー領土のひとつであり、

私以外にも悪魔が通っている事は知っている。

だがそんな彼女たちよりも私はとある人間を一昨日から調べていた。

 

 

「八代虎徹、調べてもそれらしき情報は無し、か」

 

「えぇ、だけれどもあの時彼から感じた力は間違いないですわ」

 

 

情報をまとめてくれた私の眷属である『女王』の朱乃の言葉に私は頷く。

クラスの交流会で時間も経った時、とあるクラスメイトから発せられた一発芸大会。

 

 

草薙京(くさなぎ みやこ)!手から炎出すぜ!」

 

「甘いわね!二階堂紅(にかいどう くれない)!電気を発生させるわ!」

 

「「「「 服部半蔵!分身の術でござる!」」」」

 

「「「「「すげぇっ!?」」」」」

 

 

人間であり神器も無いのに異能を持つクラスメイトたちに顔が引きつるのを止められなかった時に、それは起こった。

彼、八代虎徹の一発芸は複数の分厚い書物を召還した。

 

 

「うーす、出席番号27番 八代虎徹!本出すぜ」

 

「何か地味」

 

 

グサッ

 

 

「ぐはっ!自分でも分かってるってーの!」

 

 

その書物からは悪魔と天使の力を、そして神器の力が感じられたのだ。

神器所有者が、それも今年から共学になったこの駒王学園に来る。

何か狙いがあっての事なのか私は朱乃だけでなく近辺の中学に通っている二人の眷属にも調査を命じていた。

しかし結果は特になし、単なる偶然なのかしら?

 

 

「やっぱり手っ取り早く本人に聞くのが一番かしら」

 

「案外それが一番かもしれないですわね。さすがに2日続けて注視しているのもバレているようですし」

 

 

今も4人で集まってはこちらを気にしたように視線を向けてくる。

他のクラスメイトにも変な誤解を与える前に行動に移した方がよさそうね。

私が八代虎徹に声をかけようとした時、教室のドアが開きちょっとしたざわめきが起こった。

 

 

「あの方は・・・」

 

「ティナ・バティン・・・」

 

 

1学年上のティナ・バティン。駒王学園に通う悪魔の一人だ。

本来成人してから行われる悪魔のステータスとも言えるレーティングゲームで今のところ全戦全勝。

それも従者を引き連れずたった一人で勝ち抜いてきている強者。

私とは対照的に青く長い髪を靡かせてこちらへといつもの悪戯好きな笑みを浮かべてくる。

 

 

「はーいリアスちゃん。久しぶりっ」

 

「えぇそうねティナ。それでわざわざ何の用かしら?」

 

「堅いわねぇ。もっとゆるーく楽しく行きましょうよ」

 

 

人間界の学園に通う悪魔は基本不干渉が暗黙の了解だ。

まぁソーナとは幼馴染という事もあってその例外だけれども。

 

 

「実はね、貴方の活動拠点として旧校舎の一室を用意しているの」

 

「旧校舎?」

 

 

ティナからの言葉に私は旧校舎へと視線を向ける。

確かに人払いの術式が展開されているみたいね。

 

 

「まぁ他には私達もいるけど階が違うから大丈夫だよね」

 

「・・・・私達?ソーナも使うということ?」

 

「ん?ソーナちゃんは必要ないって言ってたわよ」

 

 

となると他にこの学園で悪魔の生徒はいないはず。

しかしそれではティナが私達、と言った事に説明がつかない。

 

 

「じゃあそういう事でっ!」

 

 

私が説明を求めようとするとティナは片手を上げてそのまま去っていく。

しかしそれは教室の出口ではなく・・・・

 

 

「ようこそトラちゃん!皆!お姉さんは会いたかったよ~!」

 

「先輩はしゃぎ過ぎだろ!」

 

 

先ほど私達が警戒していた八代虎徹の元へと飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩はしゃぎ過ぎだろ!」

 

「だってこの1年、お姉さんは4人が来るのを寂しく待ってたんだよ~」

 

 

そう言ってこっちに抱きつこうとしてくるのを頭を抑えて止める。

ティナ・バティン先輩、中学時代からの付き合いでまぁ色々とトラブルを起こす人でもある。

まぁ俺達もそれに付き合って騒いだのは確かだけどな。

 

 

「って待て、結城!お前まさか先輩がこの学園にいることを知って俺を嵌めやがったな!」

 

「え、八代君。てっきり知ってると思ってた」

 

 

返って来たのは以前にした質問の答えと全く同じだった。

何でこいつは普段頭が切れるくせに変なところで天然なんだ・・・

 

 

「え~トラちゃん達は私がいるからここに入学したんじゃなかったの?」

 

「いや、単純に家から近かったし。結城がここがお勧めって言うから」

 

「拙者は殿が行かれる場所ならば何処までもお供するでござる!」

 

「僕はこの二人といると飽きることがないからだな」

 

「私は親からも勧められてて・・・あ、でもティナ先輩がいるのは知ってましたよ!」

 

「うわ~ん!やっぱりアスナちゃんはいい子だよ~!」

 

 

泣きながら結城へと抱きつく先輩。

結城もあはは、と笑いながら先輩を慰めている。

これじゃあどっちが年上か分かったもんじゃない。

 

 

「ティナッ!」

 

 

と、俺達がいつものやり取りをしていると邪魔してくる奴が現れた。

一昨日から俺を監視しているグリズ・・・グレモリーと姫島だ。

何やら厳しい視線で先輩と俺に一瞥をくれる・・・何ガンつけてんだコラ。

 

 

「まさか彼らが貴女の眷属なの?」

 

「ん~?今のところはまだ眷属ではないかな。それに皆知らないし」

 

 

結城の胸から顔を上げて首を傾げながらそう返す先輩。

っつうか眷属って何だ?

何かグレモリーが難癖を付けて先輩がのらりくらりと交わす様をぼけーっと見ていると・・・

 

 

「八代君、ですわよね?」

 

「ん?あぁ、あんたはおに・・・姫島だったよな」

 

 

姫島がこちらに話しかけてきた。

はて、あれだけ遠めに監視しておいて近づいてくるとは一体どういった風の吹き回しだろうか?

 

 

「その、ティナさんとは何処でお知りあいになられたのですか?」

 

「何処って同じ中学出身だけど。後こいつらも・・・」

 

「ねぇ姫島さん。何で八代君を見てたの?」

 

 

まさかのド直球である。

しかも会話の流れをぶった切って。

結城、お前って奴は本当に時々空気読めてないよな。

 

 

「え、えーとそれは・・・ですね」

 

「それは?」

 

「・・・そ、そう!以前に何処かで見かけたような気がしたりしなかったりしまして!」

 

「あ、そういう事だったんだ」

 

「まぁ確かに僕達は姫島神社で祭りなどで遊んだからな。その時に虎徹の顔を見たのかもしれないな」

 

 

あぁ、姫島ってどこかで聞いたのかと思えばあの神社か。

それなら何度か祭りに行った事があるな。

 

 

「おほほほ。そ、そうなんですの」

 

「そうか、悪かったな。祭りとは言えはしゃぎ過ぎた。全ては結城のせいだ」

 

「何で!?八代君が率先してやりだしたよね!?」

 

「馬鹿言うな。言いだしっぺは琢磨だ」

 

「違う、僕は無実だ。半蔵だろう」

 

「拙者ではござらん!と、殿が・・・」

 

「・・・貴方達、何の話をしていますの?」

 

 

どうやら苦情を言いに来たと思ったが勘違いのようだ。

俺達は姫島から一斉に視線を逸らした。

いや、ちょっと前科がありすぎて・・・

 

 

「な・に・を、しましたの?」

 

「さ、さぁ何だっけ半蔵?」

 

「せ、拙者物覚えが悪い故、琢磨?」

 

「む・・・新しい研究を思いついた。というわけで後は頼んだ結城さん」

 

「え、えぇっ!?えーとその、や、八代君が!」

 

 

くっ、こうなったら誰かを生贄に逃げるしかないな。

そう思い口を開こうとしたときだった。

 

 

「トラちゃん。それじゃ私は帰るから放課後に旧校舎に寄ってね~」

 

 

これは好機!

 

 

「はい!後で必ず寄りますよ。おい姫島。グレモリーが会話に入れず寂しそうにしてるぞ」

 

「だ、誰もそんな顔してないわよっ!」

 

 

話の矛先を逸らすためグレモリーの話題を出すと姫島の視線が和らぎグレモリーに向かう。

当の本人は図星なのか怒りなのか顔を赤くして吠えていた。

 

 

「あらあらリアス。放っておいてごめんなさいね」

 

「違うったら朱乃!これは彼が・・・」

 

「いえいえ、私には分かっていますから」

 

 

どうやら姫島も俺と同種の人間らしい。

弄れる人を見たら一先ず弄る。

グレモリーも弄り甲斐のありそうな奴だしな

最初は大変な学園に来てしまったと思ったが、こんな面白い連中ばかりなら楽しくなりそうな予感がした。

 

「だーかーらー!朱乃!分かっててからかってるでしょう!」

 

「あらあら。何の事かしら、ねぇ八代君?」

 

「あぁ全く何を恥ずかしがっているのやらグレモリーは・・・」

 

「何で貴方達そんなに息が合ってるのよっ!」

 

 

 




基本は虎徹、半蔵、琢磨、明日奈の4人と悪魔3人(リアス、朱乃、ティナ)で展開していきます。

モブキャラなどは、まぁ今回のように何処かで見たような、聞いたような人達になります。


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