はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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ifシリーズ~MUGENキャラで本編が進んでいたら~

「ktkr!人間の女の子の時代は去った!これからは悪魔っ娘の時代だね!勝ったね!俺もう勝ち組決定じゃね?」

「とりあえず美人で人の姿をしていれば何でもいい!結婚しようリアスちゃん!」

「だ、誰よ、このポエマーな変態学生と金の斧を持った変態戦士は」

「おおっと!アダクンにジャの字君、待ちたまえよ。あちきをお忘れじゃないか!」

「今度は何なのよ!」

「げぇっ!ロボっ娘!?」

「出たな全自動漫才機!」

「・・・イッセーさん、どうしたんですか?」

「・・・いや、あの二人、他人事のような気がしなくて」



私は続きをまだ待ってます。




第18話

ゴールデンウィークの最終日

俺は河川敷にいた春日野に飛び道具の出し方を教わっていた。

 

 

「波動拳!」

 

「違う違う!こうだよ、波動拳っ!」

 

「ぬぬぬ、波動拳っ!」

 

「・・・波動拳」

 

 

ポンッ

 

 

「・・・でました」

 

「何で搭城が先に出すんだよ!俺なんて2時間前からやってるんだぞ!?」

 

 

10分程前に近寄ってきた搭城はあっさりと出しやがった。

ちくしょう、俺だってドラゴン波とか出したいと言うのに!

 

 

「うーん、八代君」

 

「おう、何だ。とっておきのコツとか教えてくれるのか?」

 

「君って壊滅的に才能が無いね」

 

「ぐはっ!」

 

 

これで格闘家に駄目出しされたのは何度目だ?

色んな人に教えてもらってはセンスが無いだの才能が無いだの言われている。

 

 

「八代先輩、へなちょこですね」

 

「ぐぬぬ、ちょっと飛び道具が出せるからっていい気になるなよ!」

 

「ふっ」

 

「てめっ、鼻で笑いやがったな!」

 

 

おのれ、グレモリーの知り合いは癖が強い奴ばかりだな。

最近Sに目覚めてきた姫島と言い、スピード狂の木場と言い。

甘味好きなだけで、まともかと思った搭城がこんな奴だったとは。

 

 

「まぁまぁ。運動神経はいいんだし、もしかしたら今まで教えてもらったのが合ってないだけかもしれないよ?」

 

「なるほどな。となると何か武器を持った方がいいって事か」

 

「今までは素手ばかりだったんですか?」

 

「いや一度だけ後輩にファンネルを教えてくれって言ったら、そいつの姉にボコボコにされた事がある」

 

「何をやってるんですか」

 

 

あの時は本当に死ぬかと思った。

妹が仲裁に入ってくれなかったら今頃ここにはいないな。

 

 

「とにかく武器だな。搭城は俺には何の武器が合うと思うよ?」

 

「・・・剣、は似合わないですね。普通じゃない武器が似合うと思います」

 

「普通じゃない武器?確かに剣や槍や斧なんて使ってもつまらなそうだ」

 

 

うーん、何が面白い武器になるだろうか。

あ、傘なんていいんじゃないか?

闘いに向いて無さそうだし。

 

 

「何だか適正じゃなくて面白さ重視になってるよ八代君」

 

「はっ!そうだった。ついつい面白さを優先してしまったな」

 

「八代先輩はそれでいいと思います」

 

 

それは褒めているんだろうか、貶しているんだろうか。

 

 

「あ、それじゃあ私はそろそろ試合だから行くね」

 

「おう、悪かったな時間を取らせちまって」

 

「ううん。興味を持ってくれるのは格闘家として嬉しい事だから」

 

 

そう言って春日野は河川敷で待っていたピンク色の胴着を着た男の前に向かって行った。

あ、何か色紙渡されてる。有名な奴なんだろうか?

 

 

「搭城、春日野の対戦相手って誰か知ってるか?」

 

「いえ、私は知りません。けど春日野先輩と親しげですね」

 

「でも色紙を渡されていたぞ?俺も行ってもらってこようかな」

 

「・・・やめておいた方がいいと思いますけど」

 

 

でも俺達が知らないだけで有名な格闘家ならサインは欲しいしなぁ。

あれ、春日野の奴サインを返してる。

うんざりとした顔から察するにいつもの光景なのかもな。

 

 

「八代先輩はこれからどうするんですか?」

 

「うーん、そうだな。適当にぶらついて面白い事が無いか探して見るつもりだ。搭城はどうすんだ?」

 

「そうですね・・・私も着いて行ってもいいですか?」

 

「別に構わないぞ。じゃあ自転車の後ろに乗せてやるよ。待ってな」

 

 

道端に止めていた自転車に乗り搭城の元へ向かう。

搭城は何か考えていたようだが素直に後ろの荷台に座った。

 

 

「じゃあ行くか!」

 

「れっつごー」

 

 

搭城を乗せて走り出す。

ここから近いとなると商店街の方だな。

あの辺は毎日騒がしいから何かしら面白い事でもあるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処までも戦いとは縁の無い人ですね、八代先輩は。

自転車の後ろに乗りながら八代先輩の背中を見て私はそう思う。

格闘家でもない、ただ神器を持っただけの普通の人間。

そんな人ですけど一緒にいて楽しい人である事は確か。

出来ればこのまま平和な日常を過ごして欲しいとは思う。

 

 

「でも八代先輩、空気読まずに騒動を起こしたり首を突っ込みますよね」

 

「え?何だって?」

 

「いえ、何でもありません。それで何か面白い事は見つかりましたか?」

 

「いや、無いな。ワイシャツだけ着た幼女と全身紫色で翼の生えた御曹司が闘っているぐらいだ」

 

「え?」

 

 

それはそれで面白い事なのでは?

視線を彷徨わせているとすぐに見つかった。

上空で八代先輩の言った通りの姿の二人が闘っている。

と言うか片方は完全に悪魔だ。

あ、ビームを放った。

 

 

「あれは面白くないんですか?」

 

「面白そうではあるけど遠いだろ。ずっと首を上げているのも疲れるし」

 

「結構高いですからね」

 

「っと、そうこうしている内に商店街に着いたな」

 

 

八代先輩の話では毎日騒がしい商店街らしい。

放課後に何度か寄った事はあるけど静かだったような気が・・・

 

 

わーーーーーっ

 

 

「見ろ搭城。今日も一段と騒がしいぞ」

 

「本当ですね。でも一体何が?」

 

「んー、誰か知り合いでもいれば」

 

「トラせんぱーい!」

 

「げふっ!?」

 

 

八代先輩が自転車から降りて周囲を見渡していた時。

素早い動きで八代先輩の背中に向けてタックルを仕掛ける女の子がいた。

頭に猫耳をつけてる・・・あれは本物?と言う事は私と同じ?

 

 

「げほっ、な、何だ?」

 

「久しぶりトラ先輩!」

 

「おぉ、何だネコか。久しぶりだな、卒業式以来じゃねーか」

 

「お知り合いですか?」

 

「どーも!イズコ・クリスベル、駒王第二中学2年生だよ!」

 

「私は搭城小猫です、駒王第一中学2年生です」

 

「あー、そう言えば二人とも同学年だったな。ネコは俺の後輩だ」

 

 

八代先輩も二中だったんですか。

と言う事は去年まで二中にいた騒動を起こす男と言うのは八代先輩だったんですね。

それよりも先ほどから八代先輩が彼女に言っている名前は・・・

 

 

「ネコ、ですか?」

 

「ん?あぁ、ほらこいつ猫耳が付いているだろ。実際に耳もあるのに」

 

 

ピコピコと動く頭の上の猫耳。

確かに彼女にはちゃんと人間の耳も付いている。

かと言って猫耳が偽者にも見えない。

 

 

「ぶー、先輩ったら全然遊んでくれないんだから」

 

「そーいえば最近会って無かったな。ずっと寝てたのか?」

 

「起きてたよ!」

 

「でもゴールデンウィークに入る前、携帯に連絡してもお前の兄貴が出て、寝てるって言ってたぞ」

 

「むー、お兄ちゃんったらしょうがないなぁ」

 

「あの、イズコさんの猫耳は本物なんでしょうか?」

 

「うにゃ?そうだよ?こっちも本物」

 

「何だっけ?改造人間なんだよな、かっけー」

 

「そう、ベルトがあったら変身するかもね」

 

 

ピコピコと耳を動かして私の質問に答えるイズコさん。

そしてビシッとポーズを取る。

・・・改造人間?

 

 

「本当に八代先輩のお知り合いはまともな人が、ほとんどいませんね」

 

「あぁ、それはよーく分かる。変で面白い奴ばっかりだもんな」

 

「にゃー、そんなに褒められると照れちゃう」

 

 

思えばまともな人と言う意味ではアスナ先輩ぐらいです。

八代先輩は神器持ち、服部先輩は忍者、高藤先輩はマッド。

ティナ先輩も上級悪魔ですし。

あ、でもアスナ先輩もデス様の契約主でした。

 

 

「訂正します。本当に八代先輩は類は友を呼ぶ、と言う言葉が似合いますね」

 

「おいおい、その言い方だと俺を中心に変な奴が寄って来るみたいじゃないか」

 

「トラ先輩が中心なのは間違いないよね」

 

「んだとコラ!」

 

「痛い痛い!」

 

 

イズコさんのこめかみにグリグリと拳を押し付ける八代先輩。

あれは本当に痛そう。

何故か彼女には同じ猫と言う共通点以外にも共感が持てるので助けよう。

 

 

「八代先輩、それぐらいにしてあげてください」

 

「へいへい。ったく、それでネコ。今日は何をやっているんだ?」

 

「あいたたた、今日は半裸の4人が試合していて、刀を持った人と熊が闘っていたよ」

 

 

何ですかその内容は。

全く想像が出来ないんですが。

ここは本当に商店街なんでしょうか?

 

 

「半裸はまぁいいとしてだ。刀を持った人って、もしかして黒髪のポニテで気弱そうな奴じゃないか?」

 

「んー、そんな感じの人だった気がする」

 

「なるほど、ロックだな」

 

「お知り合いですか?」

 

「あぁ、隣のクラスの奴だ」

 

「八代先輩達以外に元女子高に通う奇特な人がいたとは・・・」

 

 

本当に失礼な奴だな。

ロックと楓は知らないが俺は結城にはめられただけだ。

あれ?黒髪が楓で金髪がロックだったっけ?

まぁいいや、今度会ったら確認しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネコは買い物があるからと別れて俺と搭城は商店街を歩く。

とは言っても商店街なんてそれほど広いわけでもない。

歩けば15分もすれば端から端まで簡単に着ける、と考えるのが普通だろう。

 

 

「おっしゃー!ハリケーンアッパー!」

 

「おんどりゃー!タイガーバズーカじゃ!」

 

「島と大地の怒り!」

 

「ドグゴラァ!!!」

 

 

何故か分からないがここは公認戦闘地域に指定されている。

おかげで格闘家達が何時来ても闘っている。

それにしてもネコの言った通りに今日は暑苦しい半裸がいるな。

ロックと熊の姿も見えないな、もう終わったんだろうか?

 

 

「無いですね、面白い事」

 

「そうだな、小腹も空いてきた事だし、たい焼きでも」

 

「ぜひそうしましょう」

 

「食べるか・・・って食いつき方ハンパ無いな」

 

 

どれだけ腹が減ってたんだ。

とりあえずたい焼き屋の親父に2つ注文する。

それにしてもこの親父、何で天狗のお面付けてるんだろうか?

天狗も副業する世の中って事か。

 

 

「ほれ、搭城」

 

「あ、お金・・・」

 

「いいって。今日は俺の奢りだ」

 

「ありがとうございます」

 

 

たい焼き一つ安いもんだ。

搭城にたい焼きを渡して俺も自分の分を食べる。

うん、ここのたい焼きは初めて食ったが中々美味いじゃないか。

 

 

「もぐもぐ・・・美味しい」

 

「お?搭城は頭から食べる派か」

 

「はい。最後の尻尾に餡子が詰まってると合格です」

 

「あー、確かに。尻尾まで餡子が詰まってると得した気分になるよな」

 

 

俺は尻尾から食べる方だな。

当たりにしろ外れにしろ最後は餡子たっぷりの方がいいからな。

 

 

「そういえばこの先に半蔵が美味いって言ってたケーキのある喫茶店があったな」

 

 

キュピーンッ

 

 

ふと以前に半蔵が絶賛していた喫茶店を思い浮かべる。

途端に隣に座る搭城の目が光ったような気がした。

 

 

「行きましょう!」

 

「へ?」

 

「その喫茶店に行きましょう」

 

「おいおい、今たい焼きを食ってる最中だろう?」

 

「デザートは別腹なんです」

 

「いや、これもデザートだろ」

 

「間違えました。ケーキは別腹なんです」

 

「器用な腹してんだな・・・まぁいいけどよ」

 

 

今までにない興奮っぷりだな。

ネコみたいに耳があればピコピコと動いていそうだ。

やけに乗り気な搭城に俺はたい焼きを一口で詰め込んで飲み込む。

 

 

「じゃあ行くか?」

 

「待ってください」

 

「ん?忘れ物か?」

 

「その前にたい焼きを味わって食べます」

 

「・・・あーそーかい」

 

 

何か俺だけ損した気分だ。

搭城が食べ終わるのを待って喫茶店へと向かう。

 

 

「八代先輩はやっぱり戦闘とは無縁な人だと思います」

 

「何だ突然。それは俺に才能が一切無いから諦めろって言ってんのか?」

 

「それもありますけど」

 

「あるのかよ!」

 

「どうしてそこまで闘いたいんですか?」

 

 

やけに突っ込んで聞いてくる搭城。

こちらを見上げる目は真剣だ。

・・・って言うか何でこんなにマジになってるんだ?

 

 

「別に俺は闘いたいわけじゃないんだが」

 

「え?」

 

「飛び道具が出せれば面白いかと思ってるだけだぞ」

 

「・・・・・・」

 

 

真剣な視線で見上げたまま固まったかと思うと今度は俯いて黙り込む。

搭城、お前はさっきから何が聞きたいんだ。

 

 

「はぁ。まぁ八代先輩ですしね」

 

「どういう意味だコラ」

 

 

これってバカにされてるよな?怒っていいところだよな?

一人で悩んで一人で納得して解決されても困る。

 

 

「あぁ、すみません。八代先輩に質問をした私がバカだっただけです」

 

「そうだな、搭城はバカだな」

 

 

グリッ

 

 

「痛っ!?」

 

 

こ、こいつ思いっきり足を踏みつけやがった!

しかも小指を!ぐおおおぉいってえぇっ!

足を押さえて蹲り悶える俺を搭城の奴は見下ろしながらため息を吐き出す。

 

 

「な、何しやがる!」

 

「はぁ・・・すみません、ついイラッと来たもので」

 

「ついって何だついって・・・」

 

「では行きましょう。今日は奢りなんですよね」

 

 

ずるずるずる

 

 

「引っ張るな!っつーか凄ぇ力だな!」

 

「男に二言はありませんよね?」

 

 

まるで会話になっていない、と言うかする気があるのか。

俺の首根っこを掴んで引きずりながら言う言葉をふと考える。

ん?こういう時って大抵のパターンは・・・

 

 

「搭城、ケーキは1個だよな?」

 

「一先ず一通りのケーキを試すつもりです」

 

「アホかお前は!奢りにも限度があるってーの!」

 

「ですから二言は無いんですよね、と聞いたんです」

 

「そんなのあるに決まってぐえっ!」

 

「何ですか?聞こえませんでした」

 

「だから二言はあるに決まってぐっ・・・服を引っ張るな!答えられないだろうが!」

 

「さすがに一通りは冗談です」

 

「・・・本当だろうな?」

 

「当然です」

 

 

結局、喫茶店のメニューにあるケーキの内、半分を注文しやがった搭城。

・・・ケーキって結構高いんだな。

今月入ってまだ1週間経ってないのにもうピンチだぜ・・・

 

 

 




悪魔側がシリアスだろうと虎徹がシリアスになるのはありえません。

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