はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

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ifシリーズ~MUGENキャラで本編が進んでいたら~

エクスカリバーを回収するため乗り込んできたシーン

「分割されたエクスカリバー?何本もあるのか?」

「9本でいい」

「7本ですブロントさん」

「そうだったな忘れるところだった>>イロナ感謝」

「それほどでもありません」

「謙虚だなーあこがれちゃうなー」

「・・・教会の人たちって皆こうなのかしら」


天使勢の感染が確認されました。



第17話

1年前、3月

 

 

「あー、何か気が抜けるな」

 

「殿、どうしたでござるか?」

 

「先輩も昨日卒業しちまったし、もうすぐ3年だぜ俺達」

 

「確かにもうすぐ私達、最上級生になるんだよね」

 

「虎徹と半蔵は受験の心配でもしたらどうだ」

 

 

昨日の卒業式で先輩が中学を卒業した。

とは言え、俺達在学生は普通に授業があり終業式まで2週間先だ。

中学での騒動の4割を占めていた先輩がいなくなったからか何だかやる気が起きない。

 

 

「受験ってまだ先じゃねぇか」

 

「ふむ。しかし本当に駒王学園でいいのか?」

 

「だってそこが一番家から近いんだろ?なぁ、結城」

 

「うん。そうだよ」

 

「拙者も家から近くて殿と同じ学校ならば文句はござらん」

 

「・・・まぁ二人が納得しているならこれ以上言うのも野暮か」

 

 

何か言いたそうにしている琢磨だが特に気にするでもなく机に寝そべる。

本当になんだって言うんだこのやる気の無さは?

 

 

「殿」

 

「あー?何だよ半蔵」

 

「もう少しで拙者達も最上級生でござる。今だからこそ出来る事をするべきではござらんか?」

 

「今だからこそ、ねぇ」

 

 

そう言われてもなぁ。

確かに後少しで中2から中3になるとは言え出来る事?

・・・・・・はっ!?

 

 

ガタッ

 

 

「うわっ、びっくりした」

 

「どうした?」

 

「来たでござるな殿!」

 

「あぁ、そうだ。すっかり忘れていた、感謝するぞ半蔵!」

 

「ありがたきお言葉!」

 

 

半蔵のおかげで残り2週間だがやらなくちゃいけない事を思い出した。

ん?何で3人とも笑顔なんだ?

 

 

「ふっ。やっといつもの虎徹に戻ったようだな」

 

「うんうん、八代君は元気でなくちゃね」

 

「それでこそ殿でござる!」

 

「何だか分からねぇが、俺達も後少しで中2が終わっちまう」

 

「うん、そうだね」

 

「だが俺達は・・・中二病にかかった事が無い!」

 

「何と!そういえばそうでござるな!」

 

「そこでだ、中二病っぽい事をしようぜ!」

 

 

俺がやりたい事を言うと反応が3者に分かれた。

結城はわけが分からないと言った具合で首を傾げ、

琢磨はやれやれ、と頭を横に振り、

半蔵は目をきらきらとさせて興味津々だ。

 

 

「えっと・・・病気に自分でかかるの?」

 

「虎徹、お前は本当にバカだな」

 

「殿、どうすればいいでござるか!?」

 

「要するにゲームの主人公みたいな事をすればいいんだろ?簡単だって」

 

「それで具体的には何をするの?」

 

「はっはっは、おかしなことを言うな結城。そんなの見本は幾らでもいるだろ」

 

 

窓の外を指して俺は笑顔で言ってやる。

丁度、グラウンドでは知り合いの後輩が何人か闘っている。

 

 

「あの包丁持った赤頭巾はどうだ?」

 

「マシェッタ嬢はどちらかといえば切り裂き魔でござるよ」

 

「じゃああのファンネル使いの路線で行こう」

 

「うちの妹の悪口なら喧嘩を買うわよ?」

 

「うおっ!いたのかシルト」

 

「シルヴィ・ガーネットよ、変な略し方しないでよね」

 

 

音も経てずに背後を取るとは暗殺者かお前は。

ガーネット姉は妹の悪口で無い事を知ると呆れながら去っていった。

・・・あれ?あいつ隣のクラスじゃなかったっけ?

恐ろしい地獄耳だな。

 

 

「中二病ならぴったりな奴がいるだろう」

 

 

琢磨がそう言って視線を教室の隅に向ける。

俺達がそちらに視線を向けると琢磨の言った意味がよく分かった。

 

 

「あぁ、イゾルデ。今日は帰ったら一緒にでかけよう」

 

 

あのグローブに向かっての独り言。

ボロボロのマントに厳ついガントレット

後は包帯を巻いて眼帯でもしていれば完璧だな・・・ん?眼帯?

 

 

「幾世、その眼帯貸してくれ」

 

「あはは、まーた八代っちはバカな事を言って」

 

 

おかしいな、本気だったんだが。

まぁ駄目なら駄目でいいか。後で柳生先生の予備を借りてこよう。

 

 

「大体やりたい事は決まったな。後は場所か・・・よし、姫島神社の裏手にしよう」

 

「まるでやりたい事が伝わってこないんだが」

 

「何で姫島神社の裏手でござるか?」

 

「あそこなら広い場所があるだろ」

 

「あぁ、初詣の時の騒動でまた(・・)広くなったんだったね。あそこに行く度に広くなってる気がするよ」

 

 

あそこの巫女さんも気のいい人だからな。

何回もやらかしているにも関わらず笑顔で許してくれるいい人だ。

 

 

「じゃあ放課後に神社に集合って事で!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はオロチ、故あってこの数百年は姫島神社に祀られている。

地球意思であり神ではないのだが人と言うものは信仰の対象になれば何でも構わぬようだ。

今代の巫女である姫島朱璃は素質があるのか私の姿や声を認識している。

同じく居候している男も私が現界するのに優れた触媒である。

 

 

「今日もいい天気ですわね」

 

「えぇそうですね朱璃様。ところでバラキエル様はまだ帰ってこられないのですか?」

 

「えぇ、もう1ヶ月ですのに。これは帰ったら激しく攻めないと駄目ですわ」

 

「おやおや。全く仲のいい事です。そう思いませんかオロチ様」

 

『ふむ。私が知る限りの男女の営みとはまた違ったと思ってはいるがな・・・む、例の童達が来たぞ』

 

 

この気配は以前から来ている童達か。

何かと騒ぎを起こしている騒々しい童達だ。

二人もさぞや迷惑をして・・・

 

 

「あらあら、虎徹君達ね。今日は何をするのかしら」

 

「これは楽しみです。前回は裏庭に温泉を作ったのでしたね」

 

「えぇ。朱乃がいたら楽しいお友達になれたのに残念ですわ」

 

 

全く、この温和過ぎる二人はどうにかならぬものか。

ともかくあの童達を放って置くとまた自然を壊されてしまう。

いや、以前は裏庭を大森林に変化させたのだったか。

どちらにせよ放って置けば碌な事にはならぬ。

 

 

『グスタフよ、肉体を貸せ』

 

「おや、構いませんが相手は子供。どうかご容赦を」

 

『・・・気にはかけておこう』

 

「ではお気をつけて」

 

 

本当に甘い男だ。

闘いとなれば恐ろしい程の腕を持ちながら食えぬ男よ。

グスタフの肉体を触媒に現界し、童達の元へと向かう。

最も騒動を起こす童が今よりも幼少の折に描いた陣が至るところに残っているため分かりやすいものだ。

見たところ皆が奇妙な格好をしており予想通り碌でもない事をしているようだ。

 

 

「童達よ、此度は何をしに参った」

 

「ん?グスタフさん、キャラ変わったのか」

 

「や、やっぱりこれは恥ずかしいよ」

 

「他人に見られているだけで死にたくなってくるな」

 

「何だか楽しくなってきたでござる」

 

 

揃いも揃って右腕に包帯を巻き、ボロボロのマントを羽織っている。

最も騒ぐ童については眼帯をしているが、全員が怪我をしているわけでもない。

・・・私の知らぬ間に人の衣装も変わったようだな。

と、騒がしい童の二人が自らの腕を掴み更に騒ぎ出す。

 

 

「ぐぁっ!右腕が疼きだしやがった!」

 

「くぅっ!拙者達に近づくと危ないでござるぞ!」

 

「「・・・・・・・」」

 

「おい、どうして二人ともやらないんだよ」

 

「だってさすがにこれは・・・」

 

「僕達には無理だ」

 

「おいおいノリが悪いな。グスタフさんを見習えよ」

 

 

怪我をしている訳でもないのに何をしているのだろうか。

それよりもまずは童達の誤解を解くべきであるな。

 

 

「違う」

 

「え?」

 

「私はグスタフではない、彼奴は触媒に過ぎぬ。私はオロチ、お前達人が地球意思と呼ぶ魂魄である」

 

「えっと・・・オロチさん、ですか?」

 

「そんな半裸で髪まで真っ白になって否定したい気は分かるが・・・」

 

「しっ、彼は拙者達とは違い本物でござる。今は合わせておくでござる」

 

「そうだな。それで、そのおろちんが何しに来たんだ」

 

 

?急に聞き分けがよくなったな。

騒がしい童達の生暖かい視線が気に入らぬが。

 

 

「私は童達が自然を壊さぬよう忠告に参っただけだ」

 

「そんな事するわけないだろ、なぁ?」

 

「しかし前科があるだろう」

 

「去年の夏祭りではこの辺りって焼け野原になっちゃったもんね」

 

「だ、だがすぐに殿のおかげで元に戻ったでござるよ!」

 

「いや、アレはこの本のおかげだけどな。ホント、昔の俺に感謝だ」

 

 

童が虚空から取り出した本、アレは以前にも何度かみた覚えがある。

この場に幾百も残っている陣が記載されているらしいが扱いこなせてはいない代物だ。

 

 

「結果が問題なのではない、その行為が問題なのだ」

 

「そんな事を言われてもな。俺だってこれが何の効果があるか分からないし」

 

 

未だに反省した様子を見せぬ童に灸でも据えるべきかと足を一歩踏み出す。

 

 

カッ

 

 

「「「「あ・・・」」」」

 

「・・・・・童よ、私は今何を踏んだ」

 

「さ、さぁ?えっと、どれだ?ちょっと待ってくれ探してみる」

 

「虎徹、その本に書かれている字が読めないのだから探しても意味が無いだろう」

 

 

幾百も描かれている陣の一つを私が踏んだ突端に陣が光を放つ。

見たところ特に変化は無い、いや・・・

 

 

「おやオロチ様。もうよろしいので?」

 

「いや、まだ童達に仕置きが済んでは・・・・何故グスタフがいる」

 

「おぉ、グスタフさんが分身したぞ」

 

「何と拙者と同じ忍でござったか」

 

 

グスタフは私が現界するための触媒として肉体を借りる形となっている。

つまり今の私は魂魄の状態であり童達には私の姿が見えるはずがない。

しかもこれは・・・力が封じられている?

 

 

「童よ、貴様・・まさか陣を触媒として私に仮初の封印された肉体を与えたとでも言うのか?」

 

「よく分からないけど・・・ふっふっふ、良くぞ気づいたな」

 

「早くこの陣を解放するのだ」

 

「・・・・よし、逃げるぞ。半蔵!琢磨!」

 

「承知!」

 

「やれやれ、任せておけ」

 

 

ぼふんっ!

 

 

「小癪な!風よ!」

 

 

本来放つはずであった強風は人一人を吹き飛ばすぐらいが精々となっている。

くっ、これも封印のせいだな。

おのれ童、いや八代虎徹め!

 

 

「わわっ、た、高いよ!」

 

「竜子からメンテナンスの為に預かっていて助かったな」

 

「おぉ、こうして見れば姫島神社も絶景でござるな」

 

「ひゃっほー!あばよーおろちん!」

 

 

上空を見上げれば鋼の巨人の手のひらに彼奴らの姿があった。

先ほどの煙は時間稼ぎと言うことか。

 

 

「随分と感情の起伏が激しいですねオロチ様」

 

「感情、だと?」

 

 

グスタフに言われてみれば確かに私の中に怒りが生じているのが分かる。

解せぬ、これではまるで本当に人の様ではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに会ったおろちんはまだ怒っているようだった。

全く、気の短い・・・いや長いといった方がいいんだろうか?

 

 

「なるほど。以前にお母様とグスタフおじ様が仰っていた子とはコテツさんの事でしたのね」

 

「うむ、我は長らく探しに行こうとするのだが朱璃が止めようとするのだ」

 

「そんなに怒る事ねーだろ」

 

「力を封印しておいてよくぞそのような事が言えるものだ!」

 

「あんなの事故だって」

 

「とにかく、早く我の封印を解くのだ」

 

 

一人称まで変わっちまってるぞ。

そもそも封印と言われても分からない。

ガキの頃に書いた落書きで攻める大人・・・

格好悪いぞ。おろちん。

 

 

「でもそちらの方がオロチ様にとっては良い事も多いではありませんか」

 

「ぬ、どこが良いことだというのだ朱乃よ」

 

「お母様の料理をあんなに美味しそうに食べているではないですか」

 

「あれは・・・この肉体を保つために仕方なくだな」

 

「家出した理由をお忘れでしょうか?」

 

「ぐぬっ・・・」

 

「この間もグスタフさんに会ったけど何も言われなかったぞ」

 

「おのれ、我の周りには敬わぬ奴が多すぎる」

 

 

だって神様じゃなくて地球意思とやらだからな。

とりあえず怒りが収まってきたようで何よりだ。

おろちんは面白い奴みたいだから何時までも喧嘩したくないしな。

 

 

「はぁ・・・良いだろう。八代虎徹よ、我にしたことは一時、置いておくとしよう」

 

「許すわけじゃねーのかよ!?」

 

「当然だ、我の封印を解かぬ限りはな。貴様が封印を解くまで気長に待つとする」

 

「寛大な処置、感謝致しますわ」

 

「ありがとう、でいいのか?」

 

「それより何をしておったのだ」

 

「何って買い物だけど?」

 

 

俺は手に持っていた買い物袋を見せる。

おろちんもそれで納得したのかと思えば急におろおろとしてきた。

 

 

「あ、朱乃よ。朱璃はどうしておる?」

 

「ふふっ、心配いりませんわ。オロチ様の好きなおでんを用意していますわよ」

 

「卵はあるのであろうな!」

 

「もちろんですわ」

 

「なんだ、おろちんはおでんが好きなのか」

 

「うむ!あの茹で上がった卵に出汁を浸して食べるのがまた格別なのだ!」

 

「はぁ?大根が一番美味いに決まってるだろ、なぁ姫島?」

 

「私は、お餅の入った巾着が好きですわ」

 

「「・・・・・」」

 

 

バカな、おでんと言えば大根に決まっているだろう。

あの出汁が滲みこんだ大根が格別なんだよ。

 

 

「何故卵が一番と分からぬ!」

 

「いーや大根だね!」

 

「あらあら、どちらも美味しいではありませんか。巾着には敵いませんが」

 

 

ちっ、こいつらどうあっても引かないつもりだな。

こうなったら・・・

 

 

「ふん、もう良い。帰るぞ朱乃、我のおでんが待っている」

 

「あらあら、ではコテツさん。失礼しますわ」

 

「あ、ちょっと待ちやがれ!」

 

 

人が折角、どの具材が美味いか決着をつけようとしてやったのに。

くそー、おろちんめ。いつか決着をつけてやるからな!

 

 

「しっかし5月におでんって早くないか?」

 

 

鍋物をするなら冬だろうに。

そんな事を考えながら俺も家へと歩みを進めた。

 

 

 




ちなみに作者はおでんの具は、しらたきが一番好きです。

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