超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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本日の投稿を始めまーす
予想よりも時間がかかってしまい、ちょっと落ち込み気味です
今日は後2回投稿する予定なのでよろしくお願いしますね
それではさっそく 最後の希望、ゲイムキャラ はじまります


最後の希望、ゲイムキャラ

 夢人がゲイムギョウ界に召喚されてから2週間が過ぎた。

 

 場所はバーチャフォレスト。

 

 そこには木刀を手にした夢人が宿敵を相手に死闘を演じていた。

 

「……長かった……長かったぞ! 今日こそ、俺はお前を超える!」

 

 夢人は叫ぶと同時に上段の構えで宿敵へと殴りかかった。

 

 しかし、その宿敵は夢人の木刀の攻撃を無駄のない動きでかわした。

 

「何……だと……」

 

 自分の攻撃が避けられたことに驚きを隠せない夢人に宿敵は強烈な一撃を叩きこむ。

 

「ぐはぁ!?」

 

 夢人はその一撃により大きく後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「……ヌラ!」

 

 そして、夢人の宿敵、スライヌは勝利の雄たけびをあげたのである。

 

 これは通算30度目の勝負の幕切れであった。

 

 

*     *     *

 

 

「……お前さんはどうしてスライヌに勝てねぇンだろうなぁ」

 

 ギルドの受付に居るイワは先ほどスライヌにやられてプラネテューヌに帰って来た夢人を見てそうつぶやいた。

 

「今回はたまたま調子が悪かっただけだって、次は絶対に……」

 

「ハイハイ、その言い訳ももう何度も聞いてるよ」

 

 夢人の言い訳を何度も聞かされているイワはうんざりしたかのように手を振ってこたえる。

 

「……まったく、ダイコンダ―やチューリップ、馬鳥には勝てるのにどうしてスライヌに負けるんだよ。お前さん、もうこりゃ一種の才能だなぁ」

 

「……そんな才能いらないわい!」

 

 呆れながら言うイワに対して涙目で反論する夢人。

 

 ゲイムギョウ界に来てから2週間、夢人は最初のクエスト以外にもいくつかのクエストを受け、バーチャフォレストに居るスライヌ以外のモンスターは倒せるようになっていたのである。

 

「……なぁ、どうやったら魔法が使えるようになるんだろうなぁ」

 

 夢人は受付のカウンターに上半身を倒しながらイワに尋ねた。

 

「またその話かよ……確かに、お前さんには膨大な魔力があることはある……ただし、そいつを持っていようが扱える技能がなきゃ使えるわけねぇだろよ」

 

 イワは毎回聞かされる夢人の愚痴にいつものように応える。

 

「……でもよ、俺だってこっちに来て2週間経ってるんだぜ? 少しぐらい使える予兆とかあるんじゃないのか?」

 

「だったら、お前さんには魔法を使う才能がないってこった……宝の持ち腐れだが、潔く諦めて武器の使い方でも学んどきな。アイエフやコンパと訓練してんだろ?」

 

 夢人はアイエフに接近戦の稽古をお願いしているのである。

 

 もちろん、ニートであった夢人がゲイムギョウ界中を旅したことがあるアイエフに勝てるわけがなく、毎回コンパに治療してもらっているのである。

 

「……そっちの方もあまりうまくいってないんだよ……」

 

「……でも、やめねぇんだろ。なら、気張りな」

 

 そう言って、夢人の頭を叩いた後、イワは受付の奥へと行ってしまった。

 

「……んし! また頑張りますか!」

 

 夢人は起き上がり、両頬を叩き気合いを入れて再びバーチャフォレストに行こうとする。

 

 その時、夢人のポケットから電子音が響いた。

 

「……ん?『Nギア』に着信か?」

 

 夢人はポケットから万能電子ツール『Nギア』を取り出して通信を繋げた。

 

 このNギアは夢人がゲイムギョウ界に来て1週間経った日にイストワ―ルから貸してもらったものである。

 

 このNギアによる通信機能のおかげで夢人は現在単独でも行動する自由を得たのである。

 

「こちら夢人、オーバー」

 

〔……別にそんなことする必要はないわよ……〕

 

 夢人がふざけているのを受けてアイエフはため息をつきながら用件を伝えた。

 

〔ようやく『ゲイムキャラ』の情報が手に入ったわ、急いで教会に来てちょうだい〕

 

「ようやく見つけたのか……よし! ダッシュで帰るから待っててくれよ!」

 

 夢人は用件を聞き終えると、Nギアの通信を終えてギルドを飛び出した。

 

 

*     *     *

 

 

 『ゲイムキャラ』

 

 古の女神によって創造された存在である彼女達の力はゲイムギョウ界の行方を左右するともされ、その存在自体秘匿されていたのである。

 

 しかし、その力は古の時代に誕生した犯罪神を女神達や勇者と共に封印したという伝説が残されていたのである。

 

 その伝説が残されていた資料を発見したイストワ―ルはアイエフとコンパにゲイムキャラについての情報を探すように依頼をしていたのである。

 

 そのため、夢人は1人でクエストやバーチャフォレストでモンスター達と戦う日々が続いていたのである。

 

 

*     *     *

 

 

 バーチャフォレスト奥部

 

 プラネテューヌから比較的近くにあるバーチャフォレストの奥地にゲイムキャラが居るとの情報を手に入れた夢人達は早速ゲイムキャラの協力を得るために出発したのである。

 

「……」

 

 そのパーティーの中でネプギアは1人俯いたまま無言で3人の後ろを歩いていた。

 

 夢人の部屋から飛び出した翌日から彼女も1人でバーチャフォレストでリハビリをしていたのである。

 

 その時に、女神の力を使おうとするのだが、どうしても使うことができないでいた。

 

 アイエフ達もそんなネプギアの姿を見て何とかしようと考えたのであるが、彼女自身がアイエフ達、特に夢人を避けるようにバーチャフォレストに行ってしまうのである。

 

「……ネプギア、アンタ本当に大丈夫なの?」

 

 アイエフはそんな様子のネプギアに尋ねた。

 

「……はい、大丈夫です、ゲイムキャラの力を借りるのに、プラネテューヌの女神候補生の私が行かないわけにはいきませんから……」

 

 ネプギアは俯きながらアイエフに応えた。

 

「……無理だけはするんじゃないわよ」

 

 それ以上言葉を掛けることができず、アイエフはパーティーの先頭に立って歩いていった。

 

「……ギアちゃん……ぐすぅ……どうしたらいいんでしょうか……」

 

 コンパが瞳に涙を浮かべながらどうすることもできずにオロオロしながらアイエフについていく。

 

「……あ、あのさ、ネプギアちょっと……」

 

 夢人が意を決してネプギアへと話しかけようとする。

 

「っ! 先に行きますね!」

 

 ネプギアは気まずそうに顔を合わせないまま走っていった。

 

 そんなネプギアの姿を見た夢人は強く手を握りしめた。

 

 

*     *     *

 

 

 そんなぎこちない空気の中、4人はバーチャフォレストの奥地を進んでいく。

 

 すると、どこからか音が聞こえてくる。

 

 まるで硬いものを金属でたたいている音が響いてきた。

 

「……何か音がするな」

 

「……そうね、とりあえず音のする方へ行ってみましょう」

 

 夢人達は音がする方向へ走っていった。

 

 するとそこには黒いフード付きにネズミのような鼻や耳がついている緑色の髪をした女性が手に持っている刀で目の前にあるCDのような形の物体を壊そうとしていた。

 

「ったく、いくらやっても壊れやしねぇ……さっさと壊して次の仕事に行かなきゃいけねぇってのによ」

 

 緑色の髪の女性は愚痴をこぼした。

 

「さっさと壊れろ! 『ゲイムキャラ』!!」

 

 手に持つ刀を勢いよく振りおろして、ゲイムキャラを壊そうとする。

 

「ダメぇぇぇ!!」

 

 そんな姿を見たネプギアは走って女性を羽交い絞めにした。

 

「な!? 何だよ、お前ら!?」

 

 いきなり押さえつけられて驚く女性。

 

「なんで!? ゲイムキャラを壊そうとするんですか!? そんな事をしたらゲイムギョウ界が……!」

 

 ネプギアは涙を流しながら女性を止めようとするが、女性はネプギアの拘束を振りほどくと夢人達へと向き直った。

 

「ゲイムギョウ界をマジェコンヌのものにするためにこいつは破壊しなきゃいけねぇンだよ!」

 

 女性は得意げな顔で夢人達に告げた。

 

「……アンタまさかマジェコンヌの一員なの!?」

 

 アイエフは戦闘準備を整えながら女性に聞く。

 

「その通り! アタイはこのゲイムギョウ界においてマジパネェ勢いを持っているマジェコンヌのマジパネェ構成員の1人……」

 

 女性はまるで歌舞伎役者のように首と腕を回しながら言葉を続ける。

 

「リンダ様たぁ、アタイのことさ!」

 

 決め顔をしているリンダに対して夢人達は固まってしまった。

 

「……構成員ってことは下っ端よね」

 

「……下っ端さんですね」

 

「……下っ端だよな」

 

 アイエフとコンパと夢人は構成員という言葉で彼女が下っ端であると判断した。

 

「んな!? 誰が下っ端だ! 誰が!!」

 

 下っ端と言われたことに顔を赤くして怒りを現れにするリンダは手に持っている刀をアイエフ達へと向けた。

 

「下っ端なら下っ端らしくビラでも配ってなさいよ……ほら、痛い目見ないうちに帰りなさい」

 

「あいちゃん、下っ端さんはきっと仕事を選べないんですよ……労働条件がきっと厳しいブラックな企業なんですよ」

 

「せっかく就職するのならもっといい企業にすりゃいいのによぉ……こっちは仕事したくてもできないってのに……」

 

 アイエフは下っ端程度に負けないという自身からリンダに対して強気な態度を示し、コンパはリンダの労働条件を心配するという多少ずれた感想を漏らし、夢人はもしかして自分が下っ端よりも劣っているのではないかと落ち込みだした。

 

「だああああ!! お前ら、いい加減うるせぇンだよ! さっきから言いたい放題言いやがって!!」

 

 リンダはその場で何度も地面を踏み締め、アイエフとコンパを指さす。

 

「ゲイムキャラより先にテメェらをぶっ倒してやらぁ!」

 

 リンダは刀をアイエフ達へと向け、振りおろそうとした時、ネプギアがその間に立った。

 

「どうして……どうして、こんなひどいことができるんですか!? ゲイムキャラを壊したら、ゲイムギョウ界が滅茶苦茶になっちゃうんですよ!?」

 

 ネプギアは涙を流しながらリンダに向かって叫んだ。

 

「……ッハ! 何を言うかと思えば、そんなことかよ……今更そんなこと言うなんて笑っちまうぜ!」

 

 リンダはネプギアの言葉を聞いた瞬間笑い出した。

 

「何がおかしいんですか!?」

 

 ネプギアはリンダの反応の意味がわからず大声で尋ねた。

 

「もうゲイムギョウ界はお終いなんだよ! これからはマジェコンヌのが支配する新しいゲイムギョウ界が誕生すんだよ! だから、アタイは邪魔になるゲイムキャラをぶっ壊して何が悪いんだよ!」

 

 リンダはあくどい笑みを浮かべながらしゃべり続ける。

 

「女神の居ねぇゲイムギョウ界なんてアタイらマジェコンヌのものなんだよ……だから、そこ退きな! このクソチビ!!」

 

 リンダは先ほどまでの笑みを獰猛なものに変え、ネプギアに刀を振り下ろす。

 

「あぶない!」

 

 ネプギアに向けて振り下ろされる刀を見て、アイエフが急いでネプギアとリンダの間に割って入る。

 

 カタールと刀の刃がぶつかり合い、甲高い金属音が鳴り響く。

 

「オーケー、オーケー……テメェらが邪魔すんなら……全員ぶっ倒してやるよ!!」

 

 リンダが一歩後ろへと飛び下がり、体勢を整えながらそう叫ぶと、夢人達へと突撃をした。




といったところで、今回は終了です
ここまできたらもうプラネテューヌ編は残すところあと1話ですから、今日中に投稿しますよ
と言っても、もうしばらく時間がかかると思いますので、もちっとだけまっとくれよ
それでは、次回 「覚醒」 お楽しみにしてください
ひねりのないサブタイだねぇ…

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