超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
皆さんようやくお待たせいたしました。
今回ではっきりとさせることができます。
それでは、 女神通信R(ネプギア編) はじまります
皆さん、お久しぶりです。
今回は、私ネプギアがアカリちゃんが登場してから夢人さんが帰ってくるまでの話をお話ししようと思います。
私のようやく見つけた答えと、夢人さんへのこ……って、なんなのこれ!?
フェル君、この台本おかしくない!?
え? おかしくないって?
で、でも、こんなこと言わなきゃいけないなんて……
ユニちゃん達も同じこと言ってるの?
どうしても言わなきゃ、ダメなの?
……ううぅ、わかったよ。
恥ずかしいけど、夢人さん本人に言うわけじゃないから頑張るよ。
それでは、 女神通信R ネプギア編 始まります。
* * *
ギョウカイ墓場で、私の目の前で光となって消えてしまった夢人さん。
私はその事実を信じたくなかった。
……大丈夫って言ってくれたじゃないですか。
夢人さんが消える原因を造ったのは、私だ。
私があの時、無理やりにでもパープルディスクにシェアエナジーを送ることをやめさせていれば、夢人さんは消えることはなかったはずだ。
あの中で、私だけが勇者の真実を知っていた。
だからこそ、私は夢人さんを止めなくちゃいけなかったんだ。
……失いたくなかったんだ。
私を守ると言ってくれた大切な人の存在を……
私は何を間違えたんだろう。
……夢人さん1人を逃がしたことだろうか。
……泣いていた理由を聞きださなかったことだろうか。
……夢人さん達と一緒にゲイムギョウ界を救うための旅に出たことだろうか。
……私が、勇者として夢人さんを召喚したこと、っ!
否定したくない。
否定したくないよ。
夢人さんと出会ったことを否定したくなんてないよ。
私は夢人さんと出会えて幸せだったはずなんだ。
励まされ、守られ、笑い合い、見失い、見つけ、傷つけ、傷つけられ、泣かされ、泣いた、いろいろな思い出がある。
そのどれもが私の中で輝いていた。
1つ1つが夢人さんとの大切な思い出であったはずだった。
……でも、その輝きは消え、思い出は罅割れ、色は失われてしまった。
目の前で消えながらつぶやかれた言葉は、私の心を一瞬のうちに凍りつかせた。
「約束……守れなくて、ごめん……」
約束、リーンボックスで2度交わした夢人さんとの指きり。
最初は、一緒にゲイムギョウ界を救うと……
2度目は、本当の意味で一緒に戦うと……
……なんで夢人さんが謝るんですか。
どっちも最初に守れなかったのは私じゃないですか!!
最初の約束は、私が夢人さんを女神が守るべき人間としか見れず、あなたを傷つけ続けて守れなかった。
2度目の約束は、夢人さんをちゃんと見て、一緒にもう1度始めるためにしたはずだったのに、私はあなたを逃がす時、またあなたを女神が守るべき弱い人間だと思ってしまい破ったんです。
全部私がいけないんです。
私が先に夢人さんとの約束を破ったんです。
謝らないでください。
最後なんて言わないでください。
だから、もう1度約束をさせてくださいよ……
今度は破りませんから……
私、約束を守るいい子になりますから……
……しかし、私がいくら望んだところで、私の小指と夢人さんの小指をつないでいた糸は切れてしまった。
そして、もう2度と糸は元には戻らない。
* * *
「おはよう、ママ!!」
夢人さんだと思っていた光から現れたのは、見知らぬ赤ちゃんだった。
その赤ちゃんは私をなぜかママと呼ぶ。
ええ!? 私がママ!?
私はまだ赤ちゃんができるような経験なんてしたことないのに!?
混乱してしまった私に代わって、アイエフさんが赤ちゃんに質問をしてくれた。
そして、名前がアカリと言うことがわかったが、私にはまったく心当たりなんてなかった。
……ママが私なら、パパは誰なんだろう。
私がアカリちゃんに尋ねても、アカリちゃんはパパはパパとしか応えてくれなかった。
ううぅ、聞き方が悪かったかな?
今度は名前を……
「……パパの名前は、御波夢人って言うのよね?」
え?
私がアカリちゃんにもう1度尋ねようとした時、アイエフさんが確信を込めた声で尋ねていた。
「うん! パパのおなまえは、みなみゆめとだよ!」
それは本当に当たっていたみたいで、パパは夢人さんのようだった。
……夢人さん。
私は強くアカリちゃんを抱きしめ直した。
アカリちゃんの体から夢人さんの温もりを探すように、ギュッと強く抱きしめた。
そして、もう1つ、アカリちゃんが驚くべき事実を告げた。
「わたしがさいたんのめがみ、あかりだよ!」
『再誕』の女神?
レイヴィスの話だと、『再誕』は悪魔の称号だったはずだ。
それが女神の称号?
ゲイムキャラ達の話を聞いていない私には何のことだかまったくわからなかった。
……でも、1つだけわかることがある。
この子は夢人さんじゃない。
アカリちゃんの体からは夢人さんの温もりを見つけることができなかった。
……当然だよね、夢人さんはいなくなっちゃったんだから。
* * *
私が急な眠気に襲われ、目を覚ました時、私は見知らぬ場所に立っていた。
「ここは、どこ?」
こんなところ、私は来たことがない。
「しかも、服が変わってる」
私はこんな黒いセーラー服なんて持っていない。
これは夢なのかな?
意識ははっきりとしているのに……
私はとりあえず辺りを散策してみることにした。
ここで立ち止まっていても仕方がなかったし、この場所にも興味があった。
プラネテューヌだけじゃなく、ゲイムギョウ界中を旅してもこんな街並みの場所は見たことはなかったから。
ちょっと古い感じかな?
辺りに建てられている家やビルを見てどこか古い印象を受けた。
ゲイムギョウ界の家やビルは常に輝いていたのに対して、ここにある建物は何となく質素なものに見えた。
どちらがいいと言うわけではないが、今まで知らなかった建物に興味が湧いていた。
そして、建物に夢中で周りをきょろきょろしながら歩いていた私は不注意にも人とぶつかってしまった。
「ってぇな、何やってんだよ」
「ご、ごめんなさい!」
「……へぇ、君可愛いね」
ぶつかって最初は眉間にしわを寄せながら怒っていた男性は、私の姿を見るとすぐにいやらしい笑みを浮かべた。
そして、全身を舐めるように見つめられた。
まるで品定めをされている気分だった。
「わ、私急いでますから!」
「そう言わないでさ、ちょっと付き合ってくれよ」
「そうそう、君この辺の子じゃないでしょ? 俺達が道案内してあげるよ」
「ピンク髪のJK、ktkr」
私はその視線にさらされているのが嫌になり、急いで逃げようとしたが、いつの間にか私を囲むように2人の男性が増えていた。
こ、この髪はピンクじゃなくて、紫色なんですけど……
私はこの時、混乱していてこんなことしか考えられなかった。
見知らぬ場所、自分にいやらしい視線を向ける男の人達に囲まれて恐怖していた。
周りを見ても、私と視線を合わせないように通り抜けていく人達がいるだけだった。
……私はここでは1人ぼっちなんだ。
体が震えだし、恐怖で顔も引きつっていただろう。
叫んで助けを呼ぼうとしても、上手く声が出せない。
「あの、その、結構ですから、道を開けてください」
本当なら強引にでも男の人達を振りきって逃げた方がよかったと思う。
でも、足が震えてそんなことができるほど余裕がなかった。
……なんで夢の中でこんな恐怖を味あわなきゃいけないですか。
夢なら早く覚めて……
私の態度に痺れを切らした男の1人が私の腕を強引に掴んできた。
「きゃっ!?」
恐怖のせいなのか、実際に痛みが走った気がした。
私はただ目を閉じて心の中で助けを求めることしかできなかった。
……助けてください、夢人さん!!
「かぁああーじだぁああー!! たぁああーっけてぃいいい!!」
その時、聞きなれた声が聞こえてきた。
その声の主は消えてしまったはず……
「チェストーッ!!」
「おうふっ!?」
私の腕を掴んでいた男が崩れ落ち、その声の主の姿がようやく見えた。
……夢人さん!!
私はこれが夢であることが確信を持てた。
だって、心の中で夢人さんに助けを求めた途端に、夢人さんが私を助けに現れたんだもん。
……でも、夢の中であってもこの手の温かさを離したくはなかった。
それは紛れもなく夢人さんの温かさだったから……
* * *
……でも、そんな温かい気持ちもすぐに吹き飛んで行ってしまった。
この夢はどこまでも私に冷たかった。
夢人さんはまだ1度も私の名前を呼んでくれなかった。
夢人さんだったら、すぐに私の名前を呼んでくれると思っていた。
でも、夢人さんの対応はまるで見知らぬ人物と接するものであった。
だから、私はとっさにウソをついた。
人を探していると……
目の前のあなたは夢人さんじゃないんですか?
私はきっと夢人さんならちゃんと応えてくれるであろう質問をした。
「どうして……どうして、助けてくれたんですか?」
「え、えーと、それは……そう! それは俺が男だから! 困ってる女の子を助けるのは当り前さ!」
その答えを聞いて、私は余計にわからなくなった。
答えは私の予想通りだったが、どうしてそんなにいい淀んでいたんですか?
夢人さんは以前言っていたではないですか、女の子を守るのはいつだって男だって。
言葉は違うけど、あなたは夢人さんなんですよね?
じゃあ、どうして私の名前を呼んでくれないですか?
私は確信が持てず、もう少し話したいと思った。
だけど、話してすぐにこの人は夢人さんだってわかった。
どうして敬語だったのかわからなかったけど、隣に座って話す姿は記憶の中の夢人さんそのものだった。
アルバイトを探していたと言った夢人さんだったが、それはゲイムギョウ界への帰り方がわからなかったからだと思っていた。
例え、夢の中であっても、夢人さんなら私と一緒に帰ってくれると思っていたんだ。
……でも、夢人さんの口から出た言葉は違った。
「明日からまたアルバイト探しだよ。まずは、働いてニートを卒業しないとさ」
……なにを、言っているんですか。
あなたは勇者で、ニートじゃなくなったはずじゃ……
信じられずに理由を尋ねた。
自惚れでなければ、夢人さんは最後の瞬間まで私達との別れを惜しんでいたはずだ。
「俺さ、実は記憶喪失なんだよ」
……記憶、喪失?
私達のことを、私のことを覚えていない?
この言葉を聞いてから、私はこれが夢なのか現実なのかがわからなくなってしまった。
記憶を失ってしまったらしい夢人さんは、ワンダーさんに残されていた映像記録と同じような言葉を言っていく。
それが余計に私を絶望へと落としていく。
夢人さんが消えてしまったことを心に刻みつけるように、言葉は私の心を傷つけていく。
……どうして、夢の中であっても私は傷つかなきゃいけないですか。
夢なら、ちゃんと私のことを覚えていて欲しかった。
私の名前を呼んで、強く抱きしめて、一緒にゲイムギョウ界に帰るような夢を見たかった。
私はもう我慢できなかった。
夢人さんの背中にしがみつき、泣きながら叫んだ。
「……どうして……どうして……なんで……思いだそうとしないんですか……忘れたままでいいなんて……言わないでくださいよぉ」
忘れたままでいて欲しくない。
そんな悲しいこと言わないでください。
「過去や……未来よりも……大事なこと……あるじゃないですかっ! ……私達は……私は! 未来よりも……っ!?」
私が泣きながら叫んでいると、私の視界が段々と白くなってきた。
まるで、夢から覚めるように……
いやだ!! 私はまだ、夢人さんに……
私がどれだけ夢の中にいようとしても、目は覚めてしまった。
目を開けて最初に映ったのは、アカリちゃんの寝顔だった。
……ああ、やっぱり夢だったんだ。
でも、夢なら幸せな夢が見たかったなあ……
その夢は起きても記憶に残っており、立ち止まっている私に進むことを強要しているように思えた。
* * *
……今、夢人さんが目の前にいる。
今度は夢や幻なんかじゃなくて、本物の夢人さんがここにいる。
成功させられるようになった魔法がリュウオウに効かなくても、私を守ると言ってくれた夢人さんの姿に、私はようやく自分の中にあった気持ちに答えが出せた。
私が夢人さんを守りたかった本当の理由を……
夢人さんがいなくなった時、悲しかった理由を……
名前を呼ばれただけでこんなにも嬉しくなる理由を……
私は夢人さんに出会えて幸せです。
あなたとの思い出は、決して綺麗な思い出ばかりではありませんでした。
あなたのことを考えて、何度も泣いて傷つきました。
今でもその傷は心に残っています。
でも、その傷が私に気付かせてくれたんです。
私のこの心の温かさの理由を……
……私は夢人さんのことが好きだったんだ。
物語の様な綺麗なことばかりじゃない。
泣いて傷ついて切ない思いを繰り返して、ようやく見つけた私の気持ち。
悲しい思い出も、楽しい思い出も一緒になって私の中で輝いている。
それらは歪に重なり合っているのに、私には綺麗に見えるんです。
不思議ですよね、こんな気持ち、私も知らなかったです。
歪なそれは、他人から見れば何の価値もないガラクタに見えてしまうかもしれない。
でも、私には確かな価値がある、決して手放したくない素敵な気持ちなんです。
お姉ちゃん達のことを好きな気持ちと違う、特別な好きと言う気持ち。
私の夢人さんだけに向ける特別な好きと言う気持ちです。
……私は好きな人を守りたかった。
……私は好きな人と離れたくなかったから悲しんでいた。
……大好きな夢人さんに名前を呼ばれるから嬉しいんだ。
私はもっと夢人さんに触れたくなってきて、頬に口づけした。
唇から伝わる熱が私に勇気をくれる。
それだけじゃない。
歪なそれから花が生まれたような気がした。
私とおそろいの紫色のライラックの花が……
……夢人さんに向ける愛の芽生えのように思えた。
* * *
私が夢人さんを好きな気持ちを自覚すると、プロセッサユニットもそれに応えてくれたのか進化をした。
ライラックmk2、憧れていたお姉ちゃんと同じ色のプロセッサユニット。
この紫色のプロセッサユニットは、私だけの力じゃない。
夢人さんがいたから気付けた気持ちがあるからこそ、この色に進化したんだ。
私と夢人さんの力の証だ。
そう思うだけで、私の心は満たされていく。
紫色のライラックの花言葉は、初恋、愛の芽生え。
私だけで強くなれたわけじゃない。
夢人さんがいたから強くなれたわけじゃない。
2人でいることで強くなれたから進化できたんだ。
……思い出や未来だけが大切なのではない。
今を一緒に歩くことが一番大切なんです。
だから、夢人さん、この手を離さないでくださいね。
私はずっとあなたの隣で歩いて行きたいです。
思い出が愛を芽生えさせ、今で成長し、未来で咲き誇れるように。
あなたの隣で育てていきます。
私の初恋を……
…………
……改めて思うと、私は臆病だったのかもしれないね。
自分の中に生まれた気持ちを自覚するのが怖かったんだと思う。
……でも、今は違うよ。
気付けてよかった温かさが確かにここにあるから。
夢人さんを好きになってよかったって言う気持ちが……
って、なんでまだカメラ回ってるの!?
は、早く止めてよ!?
え、まだ終わってない?
あ、ああ、そうか。今回で女神通信Rも終わりなんだよね。
次回からは、お姉ちゃん達が担当するんだよね。
それの告知をしないといけなかっただね。
……違うの?
え、ええ!? 最後に夢人さんへの愛の言葉!?
む、む、無理だよ!?
わ、わ、わ、私、ここまでで頭がすごくボーっとしてきちゃって……
ユニちゃん達がやったからって……
ほ、本当にやらなきゃダメ?
……そのままの気持ちを言えばいいの?
そ、それが恥ずかしいんだけど……
……夢人さん。
あなたのことを思い、何度も傷ついた心の花は、私の中で強く成長しています。
あなたと出会って感じた、喜びと悲しみが私を強くしてくれるからです。
たった1つしかない私だけの花が咲くように、ずっと隣にいてください。
もう2度と離れないでくださいね。
そして、花が咲いたら受け取ってください。
……私の愛を。
夢人さん、愛してます。
という訳で、今回はここまで!
よっしゃー! ようやくここまでこれた!!
これで思う存分、イチャラブを書けるぞ!!
もちろん、ユニ達を蔑にするわけではありませんよ。
というより、次章からはネプテューヌ達との絡みも増えるので、楽しみにしておいてくださいね!
それでは、 次回 「胎動」 をお楽しみに!