超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

82 / 184
はい、皆さんこんばんわ!
この作品いつの間にかUA31000を突破し、お気に入り登録が150人を超えていました!
これからもよろしくお願いします!
それでは、 世界を照らす明るい光 はじまります


世界を照らす明るい光

「おはよう、ママ!!」

 

 ネプギアに抱かれている赤ちゃんが満面の笑みでネプギアのことをママって呼んでいる。

 

 ……ママ?

 

 ママって母親ってことだよね?

 

 ネプギアがママってことは、あの赤ちゃんはネプギアの子ども?

 

 ああ、よく見てみると目元がネプギアに似ているかも……

 

「って、ママ!?」

 

 わたしは思わず大声を出して叫んでしまった。

 

 ネプギアがママ!?

 

 しかも、あんな大きな子どもまでいるの!?

 

 相手は!? 相手は一体誰なの!?

 

 お姉ちゃん、中途半端な人は絶対許さないよ!?

 

 ……って、違う!?

 

 どうしてわたしを結婚式に呼んでくれなかったの!?

 

 ネプギアの花嫁姿見たかったのに!?

 

 ウェディングドレスだったの!? それとも着物!?

 

 ……って、これも違うよ!?

 

 何でお姉ちゃんに黙ってたの!?

 

 わたしはステレオタイプの様な、お前の様な奴に妹はやらんぞ!! みたいなこと言わないよ!?

 

 それともなに? もしかして、できちゃっただけなの!?

 

 そう言う性の乱れ的なものは許さないよ!?

 

「……落ちつきなさい、ネプ子」

 

「で、でも、あいちゃん!? 今あの子、ネプギアのことをママって……」

 

「大丈夫、きっと聞き間違いよ。いくらなんでもネプギアにあんな大きな子どもが……」

 

「ママ!! ママ!! ママ!!」

 

「あ、暴れないで!?」

 

 で、でも、ネプギアの腕の中で暴れてる赤ちゃんは、ネプギアのことママって呼んでますよ?

 

 も、もしかして、これって夢なのかな?

 

 そうだよね。いくらなんでも普通気付くよね?

 

 よし、ここは古典的だけど、頬をつねって痛みを感じるかやってみよう。

 

 そして、わたしは後ろにいたノワールの頬を思いっきりつねった。

 

「いひゃひゃひゃひゃ、にゃにしゅりゅのよ!?」

 

 あれれ? 痛みを感じてる?

 

 ……もしかして、現実?

 

「いいひゃけんに、ししゃしゃい!!」

 

「ねぷっ!?」

 

 わたしに頬をつねられていたノワールは、我慢の限界に来たようで、わたしの頭を思いっきり叩いてきた。

 

 ……痛い。

 

 やっぱり、あの子はネプギアの子ども!?

 

「いきなり何するのよ!?」

 

「い、いや、ちょっと夢かどうか試してみたんだけど、ダメだった?」

 

「ダメに決まってるでしょ!! 自分の頬をつねりなさいよ!!」

 

 そ、そんなに怒らなくていいじゃん。

 

「……ネプギア、その子に心当たりはないの?」

 

「わ、私にも何が何だかわからないんです!?」

 

 ネプギアも心当たりがないの?

 

 でも、その赤ちゃんはネプギアのことをママって呼んでるし……

 

 もう、わけわかんないよ!?

 

 

*     *     *

 

 

 ……ああ、ネプ子がオーバーヒートしちゃったわ。

 

 なんか頭から煙が出ているようにも見えるし、これ以上は無理ね。

 

 さっきまでは頼もしかったんだけどね。

 

 私達の気持ちを代弁してゲイムキャラに言ってくれた時は本当に嬉しかった。

 

 私達の考えは、どうあっても偏ってしまう。

 

 夢人を知っているからこそ、彼の方を優先して考えてしまっているのではないかと思っていた。

 

 ゲイムキャラ達の言っていたこともわかるつもりだ。

 

 ゲイムギョウ界、私達の生きているこの世界を救うために、夢人を犠牲にすることは最善の方法だった。

 

 納得はできないが、理解はできる。

 

 1人を犠牲にすることで、多くの人を救うことができた。

 

 私だってそっちの方がいいと思う。

 

 でも、それは犠牲者の関係者にならなければだろう。

 

 私達は犠牲になった夢人の関係者だ。

 

 だからこそ、勇者なんて甘い言葉で私達を騙し、夢人を犠牲にした古の女神達や初代勇者が許せない。

 

 『シェアクリスタル』、女神の卵がなければよかったとは考えていない。

 

 夢人と出会ったことを後悔はしていないからだ。

 

 女神の卵があったからこそ、彼と出会えた。

 

 彼がいたからこそ、ネプギアは立ち直れた。

 

 ネプギアだけじゃない。

 

 ユニやロム、ラム、ナナハも彼のおかげで変われた。

 

 最初は、何でこんな奴が勇者なの? って考えていたけど、最近は夢人が勇者でよかったと思っていた。

 

 彼なら立派に勇者として、私達と一緒にゲイムギョウ界を救ってくれるとさえ思っていた。

 

 ……ゲイムキャラ達の話を聞くまでは。

 

 勇者が新しい女神を生みだすためだけの犠牲だって聞かされた時、私ははらわたが煮えくりかえるかと思うほど怒りがわいた。

 

 夢人の努力を知っていた私はゲイムキャラ達の言葉が許せなかった。

 

 彼が傷つきながらも、ゲイムギョウ界を救うために強くなろうとした気持ちを否定されたような気がした。

 

 ……何も知らないくせにふざけるな!!

 

 ネプ子が叫んでなければ、柄にもなく熱くなって叫んでいたかもしれない。

 

 ……アンタ達に何がわかんのよ!! ってな感じで、感情に身を任せてただ言いたいことだけ叫んでいただろう。

 

 でも、そんなの結局は感情論だ。

 

 ゲイムキャラ達からの正論につぶされてしまう。

 

 私達には、ゲイムキャラ達が言っていたような、この世界を救うための方法が思いつけない。

 

 夢人を犠牲にする以外の方法が思いつかなかった。

 

 だからこそ、誰も文句を言うことができなかったんだ。

 

 夢人を犠牲にしたことを許せないと思っているのに、心のどこかでは必要な犠牲だったと割り切るしかないと諦めていたのかもしれない。

 

 ……でも、ネプ子は違った。

 

 彼女は夢人のことなんて何にも知らない。

 

 そんな彼女が夢人を犠牲にしたことは間違っていたと否定したのだ。

 

 私達はそれが嬉しかった。

 

 ネプ子を含む、女神様達はあの場では中立であった。

 

 誰が見ても、犠牲を最小限に抑えようとしたゲイムキャラ達が正しく思える場で、彼女は私達の側に立ってくれたのだ。

 

 他の女神様達も言葉にはしなかったが、きっと同じ気持ちだ。

 

 何も言わなかったのは、言う必要がなかったから。

 

 ネプ子に向ける視線が全てを物語っていた。

 

 夢人が必要な犠牲じゃないと言われただけで、救われた気分だった。

 

 私達の諦めかけていた気持ちに、立ち上がる強さを与えてくれた。

 

 ……本当、こう言う時のバカってどうして頼もしいのか。

 

 おっと、今はそんなこと考えている暇はないわね。

 

 私は横道にそれてしまった考えを止めて、未だにあたふたしているネプギアに近づいた。

 

「ほら、アンタも落ち着きなさい」

 

「で、でも!?」

 

 ネプギアはあたふたとしながらも、赤ちゃんを落とさないようにしっかりと抱いている。

 

 まあ無理もないか……

 

 誰だって見知らぬ赤ちゃんにママって呼ばれたら焦ってしまう。

 

 ここは赤ちゃん本人に聞いた方がいいかもしれないわね。

 

「はーい、こんにちわ」

 

「こんにちわ!」

 

 私が笑顔で話しかけると、赤ちゃんも笑顔で返してくれた。

 

 ……ああ、なんかこの笑顔は癒されるわ。

 

「私の名前はアイエフって言うの。あなたのお名前、言えるかしら?」

 

 これだけちゃんと話せているのなら、名前も言えるだろう。

 

 名前がわかればどこから来たのかもわかるかもしれない。

 

「わたし、あかり!」

 

「あかり?」

 

「うん! わたしのおなまえ、あかり!」

 

 あかり……アカリかしら?

 

 そんな名前の子には覚えがない。

 

 ネプギアに視線だけで尋ねてみるが、首を横に振っているし、本当にどこの子だろう?

 

 こうなったら、直球で聞いてみるしかないか。

 

「アカリはどこから来たの?」

 

「うーんとね、あっちから!」

 

「……ああ、うん。ありがとうね」

 

 アカリは窓の外を指さして教えてくれたんだけど、そうじゃないのよね。

 

 ちょっと難しい質問だったかしら?

 

「じゃあ、アカリはどうしてここに来たの?」

 

「ママがないてた」

 

「ママが泣いてたから来たの?」

 

「うん、パパがいなくなってママないてた」

 

 ママ、ネプギアが泣いてたから来たって言うこと?

 

 そして、パパがいなくなって……

 

「あ、あのアカリちゃん?」

 

「なあに? ママ?」

 

「パパって、誰のこと?」

 

 ネプギアもパパのことが気になっているみたいだ。

 

 ……でも、私にはある仮説が思い浮かんだ。

 

 ネプギアが泣いていた理由なんて1つしかない。

 

「パパはパパだよ?」

 

「い、いや、そうじゃなくてね」

 

「……パパの名前は、御波夢人って言うのよね?」

 

 私は確信を持って、アカリに尋ねた。

 

「うん! パパのおなまえは、みなみゆめとだよ!」

 

 ……やっぱり、それじゃ、この子の正体ってもしかして……

 

「アカリが、『再誕』の女神?」

 

「うん! わたしがさいたんのめがみ、あかりだよ!」

 

 

*     *     *

 

 

〔……はい、彼女こそ『再誕』の女神で間違いないです〕

 

 私の腕の中にいる赤ちゃん、アカリちゃんが『再誕』の女神?

 

 私はゲイムキャラの言葉が信じられなかった。

 

 いくら新しく生まれてくる女神だとしても、こんな小さい子にゲイムギョウ界を救うために働かせるつもりだったとは思えない。

 

 それに……

 

「どうしたの、ママ?」

 

「ううん、何でもないよ」

 

 何で私がママなんだろう?

 

 アカリちゃんの頭をなでながら考えるが、全然わからない。

 

「どういうことなの? いくらなんでもこんな小さい子にあなた達は期待してたの?」

 

〔……そんなわけはない。これは私達にとっても予想外の出来事だ〕

 

 ゲイムキャラさん達にも予想外のこと?

 

〔本来なら受け取った女神の情報通りに体を造り上げるはずでした〕

 

〔そうそう、そこのプラネテューヌの女神候補生そっくりの子になるはずだったのよ〕

 

 ……『再誕』の女神は私にそっくりになるはずだった、か。

 

 私はアカリちゃんの顔をよく見てみた。

 

 確かに、目元や髪の色は私に似ているかもしれない。

 

 瞳の色も同じ紫色をしているし、髪の色だって私そっくりの淡い紫色だ。

 

 髪の長さは肩までしかないけど……あ、ここの外はね、くせになってる。

 

 私とお姉ちゃんのように、髪の一部が外にはねてくせになっている。

 

「確かに似ているわ。でも、明らかに幼すぎるわ」

 

〔私達にもどうしてこんな姿になってしまったのかわからないんです〕

 

 ゲイムキャラ達にもわからないんだ。

 

〔考えられる可能性は、勇者の影響だ〕

 

「お兄さんの影響ですか?」

 

 夢人さんの影響で、アカリちゃんは赤ちゃんになった?

 

〔勇者の体内で彼女が中途半端に覚醒したと言ったことは覚えているな?〕

 

「ええ、もちろんですわ」

 

〔彼女には本来心が生まれることはなかった。しかし、勇者の影響で心が生まれ、彼の体内から外の世界を観察し、学習していった〕

 

〔その学習の中に、今の姿があったのかもしれません〕

 

「アカリちゃんが自分からこの姿になることを選んだ、ってことですか?」

 

〔多分そうよ〕

 

 ……でも、私達は夢人さんと旅している途中に赤ちゃんと会ったことなんて一度もない。

 

 いったいいつ学習したの?

 

「ねえねえ、しつもーん!」

 

「……まったく、元に戻ったと思えば、今度はなに?」

 

「どうしてアカリちゃんは、ネプギアのことをママって呼んでるの?」

 

 お姉ちゃんの言う通り、どうして私がママなんだろう?

 

 似ているだけでママって呼ばれているのかな?

 

〔おそらく女神の情報から彼女を母親だと思っているのではないでしょか?〕

 

「……つまり、本能的にネプギアが母親だって、自分の元になった人物だってわかってるってこと?」

 

〔予測でしかないが、そう……〕

 

「ちがうよ!!」

 

 ゲイムキャラの言葉を遮ってアカリちゃんが急に大声を出した。

 

「パパがママってよんでたから、ママはママなの!!」

 

「……パパって夢人のことよね?」

 

「……夢人がネプギアをママって呼んでたって本当?」

 

 ユニちゃん!? ナナハちゃん!? 

 

 そ、そんな怖い顔で近づかないでよ!?

 

 わ、私は一度も夢人さんにそんな風に呼ばれたことなんてないよ!?

 

「うん!! パパがいってた!!」

 

 あ、アカリちゃん!?

 

 私、本当に心当たりがないんだけど!?

 

「……そう言えば、どうして彼女はアカリって名前なんだい?」

 

「別におかしなことじゃないんじゃないの? 最初から名前は決まっていたんじゃないの?」

 

「でも、本来なら心が生まれることはなかったんだよね? なら、名前があるのっておかしいんじゃないかな?」

 

 た、確かにそうです。

 

 アカリちゃんは、自分でしっかりと自分の名前はアカリだと言っていました。

 

〔……『再誕』の女神に名前なんてありません。本来なら名前なんて必要ありませんでしたから〕

 

 う、上手く話題がそれたみたいでよかった。

 

 でも、本当にどうしてだろう?

 

「アカリちゃんのお名前は誰から貰ったんですの?」

 

「パパ!!」

 

「……夢人お兄ちゃんから?」

 

 ど、どういうことなんだろう?

 

 夢人さんはアカリちゃんに会ったことがあるのかな?

 

「わたしがまだうまれてないときにもらったの!!」

 

「生まれてない時?」

 

「うん!! わたしがかけらのときにもらった!!」

 

 欠片の時に貰った?

 

「わたしがおなまえがほしいっておねがいしたの。 そしたら、パパがわたしにくれたの」

 

「……ごめん、ちょっと意味がわからないや」

 

 アカリちゃんは一生懸命説明しているつもりでも、私達には何の事だかまったくわからない。

 

 夢人さんがアカリちゃんの名前を考えたってことはわかった。

 

 でも、それ以外のことがまったくわからない。

 

「パパ、いってたよ? わたしがこのせかいをてらすあかるいひかりになるんだって」

 

「……明るい光、だからアカリって訳ね」

 

「でも、わかったことが少なすぎるですの」

 

 ここまででわかったことって……

 

 私をママって呼ぶこと。

 

 アカリちゃんが『再誕』の女神だってこと。

 

 夢人さんの影響で赤ちゃんの姿になっていること。

 

 アカリちゃんの名前は夢人さんがつけたことくらいわかっていない。

 

「もー、わかんないことをこれ以上考えるのやめ! それよりも、彼が残したものがあるんでしょ!」

 

「……まったく、あなた本当にこの子が重要な子だってことわかってるの?」

 

「わかってるよ。でも、考えたってわからないんじゃ、悩んでても仕方ないじゃん」

 

 アカリちゃんのことは気になるけど、私にはそれ以上に気になることがある。

 

 ……夢人さんの残したもの。

 

 それっていったい……

 

「そう言うわけだからさ、ワンダー、だっけ? 彼の残したものって何なのか教えてよ?」

 

〔映像記録だ。今そちらのモニターに映そう〕

 

 そう言った瞬間、暗かったモニターに光が灯り、映像が映りだした。

 

「パパ!!」

 

 モニターに映る男性をアカリちゃんが笑顔で指さしていた。

 

 そこには、画面越しにほほ笑んでいる夢人さんの姿があった。




という訳で、今回はここまで!
アカリちゃんのことだけで今回は終わってしまった。
本当なら、夢人の映像記録まで行くつもりだったんですが……
それでは、 次回 「会いたい」 をお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。