超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
今回から新章突入です!
消えてしまった夢人君はどうなってしまうのか。
それでは、 メッセージ はじまります


勇者消失、次元を超える思い
メッセージ


 ネプギア達がプラネテューヌに帰還した後、ギョウカイ墓場で動くものがあった。

 

『……行かなきゃ』

 

 それはカタカタと動き、宙に浮かびあがると光を放ちながら消えていってしまった。

 

 それは1つではなく、複数存在していた。

 

 最初に消えた光と違い、言葉を発することなく次々に消えていくそれら。

 

 ……それらを見つめるのは、地上に残る赤い光だけだった。

 

 

*     *     *

 

 

「……話は大体わかったわ」

 

 わたし達は、モンスター達を倒した後、泣き崩れちゃったネプギアを連れてプラネテューヌの教会に帰ってきた。

 

 そこにいたいーすん達とゲイムキャラ達から、わたし達女神が捕まっていた時に何があったのかを聞いた。

 

「……その『再誕』の女神なんて言うふざけた存在を生みだすために、あの殿方は犠牲になってしまったと言うわけですのね」

 

〔そうだ。彼が『シェアクリスタル』、女神の卵を砕いてくれておかげで、いずれ彼女は生まれてくるだろう。『転生者』と言う『歪み』がなくなった今、彼女の力でこの世界は崩壊から免れる〕

 

 わたし達が知らなかった世界の真実。

 

 『転生者』と言う、本来いるはずがない存在が生まれた影響で、歪んだこの世界は崩壊してしまう運命だったらしい。

 

 それを防ぐために、昔の女神達と初代勇者が『再誕』の女神を生みだすための卵、『シェアクリスタル』とそれを守る勇者と言う生贄を用意した。

 

 ……わたし達は信頼されていなかったのだ。

 

 昔の女神達と初代勇者に……

 

 わたし達の力じゃ、この世界を守りきれないと思われていたんだ。

 

 だからこそ、打開策としてそんな存在が用意されていた。

 

「……正直、あなた達にも、古の女神にも、初代勇者なんて言う奴にも言ってやりたいことはいっぱいある。でも、その前に聞きたいことがある」

 

〔何でしょう?〕

 

「何で彼は消えたの? あなた達の話が本当なら、彼は消えることなく、この世界に存在していたはず」

 

「そうよ、卵は外にあったのよ? 言い方は悪いけど、殻が壊れることはなかったはずよ」

 

 それはわたしも気になっていた。

 

 ゲイムキャラ達の話を聞くと、女神が生まれることで彼の体が壊れてしまうなら、彼が消えたと言うのも理解はできる。

 

 ……納得はできないけど。

 

 でも、ノワールの言う通り、卵は彼の外にあったのだ。

 

 彼は確かに卵、『再誕』の女神の力を使ったのかもしれないが、それは外から引き出したに過ぎない。

 

 その場合は、応急処置として張ってあった膜が破れて、彼の中身、記憶がなくなるだけですんだはず。

 

 ノワールじゃないけど、卵の殻は残るはずだった。

 

 でも、実際は卵の殻が消えてしまった。

 

〔それは、あなた達が弱かったからよ〕

 

「……どういうことですの?」

 

 今の言葉にはちょっとムッときた。

 

 確かに、わたし達が弱かったから捕まっちゃったんだけど、そう言われるとどうにも納得できない。

 

 それに、どうしてわたし達の弱さが関係してくるの?

 

〔正確には、あなた達、いえ、この場合はプラネテューヌの女神候補生が弱っていたせいですね〕

 

 ネプギアが弱っていたせい?

 

〔『シェアクリスタル』は、お話したとおり、新しい女神を生みだすための卵です。ですが、私達ゲイムキャラがいくら情報を注いでも、そこには重要なデータが不足しているんです〕

 

「……あなた達が持っていないデータ? 何なのよ、それ」

 

〔私達は大陸の情報、世界のデータしか保持しきれていません。つまり……〕

 

「女神のデータ、ですわね」

 

〔その通りだ。いくら私達が情報を注いだところで、それはただの情報の塊だ。それを扱う女神のデータがなければ形にはならない〕

 

 なるほど。

 

 つまり、情報を入れておく器がなかったってことだ。

 

 殻に覆われている状態なら、それでも構わないだろう。

 

 だが、卵が割れた時、中身がぐしゃぐしゃの状態では意味がない。

 

 新しい女神と言う雛が生まれなければ意味がないんだ。

 

「……それって、わたしがその女神の卵を使ってギアちゃんを助けたからですか?」

 

〔おそらくそうでしょう。女神の卵は、女神の体内にシェアエナジーを吸収することで、女神のデータを得ることができます〕

 

「……つまり、私とコンパがネプギアを助けた時に黒い紐が消えた理由は、ネプギアの中のシェアエナジーがなくなったせいなのね」

 

〔その黒い紐っていうのがどんなものかはわからないけど、その通りだと思うわ〕

 

 わたし達が助かった時は、シェアエナジーが大量に注ぎ込まれた影響で、黒い紐が許容量を超えてシェアエナジーを吸収しようとした結果による崩壊だ。

 

 その証拠に、拘束から解かれたわたし達の体の中には普段以上のシェアエナジーが溢れていた。

 

 だからこそ、本来なら満足に動けないはずだったわたし達が戦えたんだ。

 

 しかし、ネプギアの場合は違う。

 

 ゲイムキャラの話が本当なら、女神の卵はネプギアから残り少なかったシェアエナジーを吸収した。

 

 そのため、黒い紐はシェアエナジーを吸収することができなくなり、存在を維持できなくなったんだろう。

 

〔満足にシェアエナジー、情報を受け取ることができなかった女神の卵は、充分にその力を発揮することができなかったんです〕

 

「どういうこと?」

 

「女神の卵は、ちゃんと勇者として夢人君を召喚したんだよね?」

 

〔いいえ、彼は不完全に召喚されてしまったんです〕

 

 それはどういう意味?

 

 彼はちゃんと存在していた。

 

 それのどこが不完全な召喚なんだろう。

 

〔充分にその力を発揮できなかった女神の卵は、彼の精神だけをこの世界に召喚してしまっていたんです〕

 

「……つまり、記憶だけっていうことですの?」

 

「でも、夢人はちゃんと体があったよ?」

 

 彼が精神だけの存在で召喚されたのなら、体があることがおかしい。

 

 それは、さっきの新しい女神の時と同じだ。

 

 彼の精神をいれる器がこの世界にはないんだから。

 

〔それこそ女神の卵の力です。女神の卵は、無理やりこの世界に彼の精神を入れるための体を『再誕』の力を使って造り上げたんです。その証拠に、私が初めて情報を入れた時、女神の卵から力をまったく感じることができませんでした〕

 

「……もう出鱈目ね」

 

「夢人が裸だったのは、服の情報なんてなかったからなのね」

 

 は、裸? ちょ、ちょっと気になるけど、我慢我慢。

 

 え、えっと、つまり彼の体は新しい女神が造り上げた仮の体だったっていうことになる。

 

 不完全に召喚された彼の精神を勇者としてこの世界に定着させるための器。

 

 女神の卵は、どうしても勇者と言う卵の殻が欲しいからないなら自分で造り上げようと、その『再誕』の力を使ったんだね。

 

〔だからこそ、記憶がなくなった彼はこの世界にはいられなかった。私が張った膜は、彼の記憶をこれ以上を失わせないようにするためのもの〕

 

「私達は、あなた達が張った膜は開いた穴を塞ぐためだけだと思っていましたけど、本当は全身を覆うように張っていたのですね」

 

「膜がなくなって記憶をなくした夢人君は、この世界で存在を維持できなくなった。当然だね、体の情報がなくなったんだから」

 

〔そうよ、女神の卵は彼の記憶を元に体を造り上げた。でも、その情報は、彼女にとって必要のない情報。そんなもの、ずっと保存しているわけないでしょ?〕

 

 女神の卵が欲しい情報は、女神の情報とこの世界の『変質』する前の情報だけだ。

 

 そこに、卵の殻の情報は必要ない。

 

「使い捨てられる卵の殻の情報は必要なかった、と言うわけですか」

 

〔重要なのは、新しく生まれてくる女神だけです〕

 

「……自分が入っていた殻なんて興味がないってこと?」

 

〔当然だ、元々『再誕』の女神さえ生まれてしまえば、勇者は必要のない存在になったのだから〕

 

 ゲイムキャラがその言葉を言った瞬間、この場にいる全員の目が鋭くなった。

 

「……アンタ達は夢人をなんだと思ってんのよ?」

 

〔不完全な状態で呼び出されながらも、立派に勇者の役目を果たした人間、この答えで満足か?〕

 

「そんなことあるわけない。あなた達の言う勇者の役目は犠牲になれってことだよね?」

 

〔そうだ。彼は立派に犠牲になった、この世界を救うためのな〕

 

 瞬間、ユニちゃんとナナハちゃんがゲイムキャラに詰め寄ろうとしたが、ノワールとベールに押さえられた。

 

「離して、お姉ちゃん!!」

 

「ベール姉さんも!!」

 

「落ちつきなさい、ユニ」

 

「ナナハもですわ。今は押さえてくださいまし」

 

 2人はその言葉を聞いて、悔しそうに顔を歪めて俯いてしまった。

 

 悔しそうな顔をしているのは2人だけじゃない。

 

 あいちゃんやコンパ達も同じだ。

 

「……夢人お兄ちゃん、もう会えないの?」

 

「その、欠片を集めて、元通りにしてもダメなの?」

 

「そうですよ。全部の欠片を集めて、もう一度お兄さんを呼べないんですか?」

 

 ロムちゃんとラムちゃん、フェル君は今にも泣きそうな顔で尋ねた。

 

 でも、ラムちゃんやフェル君の言う通り、欠片を集めて元通りにすれば……

 

〔無理よ。だって、中身が散っちゃったものを元通りにしたところで、ただの張りぼてと同じよ〕

 

〔『再誕』の女神の力が使えなければ、彼を呼び戻すことも不可能です〕

 

〔まあ、仮に元に戻ったとしても、また彼が呼び出されるかどうかなんてわからないからな〕

 

「……そんな」

 

 わずかな希望であったが、それを否定された3人は今にも泣きそうだ。

 

 そうなると、わたし達はいったいどうすれば……

 

「……ねえ、さっきから気になってるんだけど」

 

 なに、ブラン?

 

 今話しかけてこないでよ。

 

「何で口を両手で押さえているのかしら?」

 

 そう、わたしは今口を両手できつく押さえていた。

 

 だって、わたしが話出すと、この空気が変わっちゃうでしょ?

 

 わたしだって空気を読んで、こうして話さないようにしていたけど、もう限界だ!!

 

「ぷはーっ! もう、いい加減にしてよ!!」

 

 もう我慢するのも限界だ!

 

 元々わたしはこんなこと我慢したくなかったし、もう言いたいこと言ってやる!!

 

「さっきからおとなしく聞いてれば、なに? そんなに新しい女神が偉いの! 1人の人間を犠牲にしてまで大切な存在なの!」

 

〔……この世界を救うためには、『再誕』の女神の力が必要なんです。そのために、私達ができることは、犠牲を最小限にして……〕

 

「その犠牲を出してでもいいって考えで、本当に世界が救えると思ってるの!!」

 

 わたしはハッピーエンドしか認めないんだよ!!

 

 誰も犠牲にしない、皆が笑っている未来がいいんだよ!!

 

「関係ない世界の人間だからいいって言うの!! 彼はこの世界の人間と何にも変わんない同じ人間なんだよ!! 彼を犠牲にして笑えない人がいる時点で、この世界は救われていないんだよ!!」

 

 現に、ここに救われていない人達がいっぱいいる。

 

 『シェアクリスタル』だか、女神の卵だか、勇者だとか関係ない。

 

 皆の心が壊れちゃ、世界が無事でも意味がない。

 

 心があるから、わたし達は生きていると言えるんだ。

 

 世界があるから生きているんじゃない。

 

 その心が壊れちゃうかもしれないって時に、我慢なんてしてられない!!

 

「ゲイムギョウ界が壊れちゃうっていうのは大変なことだってわかってるよ!! でもね、それはわたし達の手で何とかしなくちゃいけないことなんだよ!!」

 

 わたしはこのゲイムギョウ界が大好きなんだ。

 

 わたしが女神であるかなんて関係ない。

 

 この気持ちは、この世界で生きるネプテューヌって言う存在の気持ちだ。

 

 大好きな皆と笑って過ごせる毎日が大好きなんだ。

 

 そのために、わたしはこの女神の力を使う。

 

 大好きな皆とまた明日を迎えられるように、わたしの力で皆を笑顔にする。

 

 それがわたしの女神の力の理由なんだ。

 

「この世界を守るために消えちゃった彼に対して、立派だったとか、必要な犠牲だったとか、いらない存在だったなんて言わないで!!」

 

 わたしは彼と話したことはなかったが、彼が慕われていたことはわかるつもりだ。

 

 だって、今だってネプギアは泣いている。

 

 あの子は今この場にはいない。

 

 泣き崩れてまともに立っていられないため、自分の部屋で休んでもらっている。

 

 彼が残した服を抱きしめて、彼の名前をつぶやきながら……

 

 あの子が泣くほど大切に思える存在が、慕われていないわけがない。

 

 ネプギアだけじゃない。

 

 捕まっていたわたし達4人以外の皆が彼を慕っている。

 

 そんなの今の皆の表情を見ればすぐにわかる。

 

 皆彼がいなくなって悲しんでいる。

 

 そんな悲しんでいる皆に追い打ちをかけるように話すゲイムキャラ達に対して、わたしはすごく怒っている。

 

 何を考えて昔の女神達や初代勇者が女神の卵なんてものを用意したのかなんてわかんない。

 

 わかるつもりもない。

 

 そんな悲しみしか生まないものを用意した人達のことなんて理解したくない。

 

 皆の笑顔を壊すようなものを用意した人達なんて、絶対に許してあげないんだから!!

 

〔……ネプテューヌ、あなた〕

 

「彼が消えちゃった理由に、わたし達が捕まっちゃったことがあるって言うのはわかるよ! わたしが弱かったから、今ネプギアや皆に悲しい思いをさせてるんだから!」

 

「ネプ子、落ちつい……」

 

「わたし達が捕まらなかったら、彼を完全な状態で召喚して、どうにかする方法だってあるんでしょ! だったら……」

 

「落ち付けって言ってんでしょうが!!」

 

「ねぷっ!?」

 

 わたしが自分の気持ちを包み隠さずゲイムキャラ達にぶつけていると、後ろからあいちゃんにチョップされちゃった。

 

 な、何するの!? わたしまだ言い足りないんだけど!?

 

 わたしが涙目で抗議すると、あいちゃんはため息をついてほほ笑んだ。

 

「……アンタの気持ちはすごく嬉しいわ。私達の言いたいこと全部言ってくれたんだから」

 

 そう言われて、周りを見てみると、皆最初は目を見開いて驚いていたが、すぐに優しくほほ笑んでくれた。

 

「でもね、1人で突っ走ってんじゃないわよ」

 

「……うん、ごめんね、あいちゃん、皆」

 

 ……自分の気持ちだけ吐き出してスッキリしたところで意味がないんだ。

 

 ここで文句を言ったところで、何の解決にもならない。

 

 それに、わたしは彼に関しては部外者だ。

 

 そんな部外者のわたしだけが1人で文句を言っていても意味がない。

 

「……話は戻すけど、本当に夢人をもう一度ここに呼ぶことは不可能なの?」

 

〔……不可能です。彼をもう一度この世界に呼ぶことは……それに、呼び出したところで、彼にはすでに記憶がありません〕

 

 ……じゃあ、どうすれば皆を笑顔にすればいいんだろう。

 

 今悲しんでいる皆に、わたしは何ができるんだろう。

 

 どうしたら……

 

〔……少しいいか?〕

 

「……また勝手に聞いていたのね、ワンダー」

 

 リーンボックスの教祖の……確か、箱崎チカさんが通信機に話しかけてる?

 

〔皆に夢人から預かったものがある〕

 

 え? そんなものがあるの? だったら早く出して欲しかったなぁ。

 

〔全員に聞いて欲しい。誰かプラネテューヌの女神候補生を呼んで来てくれないか?〕

 

「うん、わかっ……」

 

「きゃあああ!!」

 

「ねぷっ!? ネプギア!?」

 

 今ネプギアの悲鳴が聞こえた!?

 

 

*     *     *

 

 

「……夢人さん」

 

 私はベットの上で、夢人さんの残した服を抱きしめて横になっている。

 

 ……自分だけが助かった時と同じだ。

 

 私は、以前自分だけがアイエフさんとコンパさんに助けられた時と同じことを考えていることに気付いた。

 

 ……夢人さんに会いたい。

 

 もう一度あの温かい腕に抱きしめられたい。

 

 残された服は、すでに冷たくなってしまった。

 

 ……あなたが、どこにもいない。

 

 その事実が、私をさらに悲しませる。

 

「……ウソつき……約束……破らないって……」

 

 ……夢人さんはウソつきです。

 

 約束を破らないって言ったじゃないですか……

 

 大丈夫だって言ったじゃないですか……

 

 私を……

 

「私を……守るって……言ってくれたじゃないですかっ!!」

 

 私を悲しみから守ってくれるって言ったじゃないですか!!

 

 ……私、今すごく悲しいです。

 

 だから、助けてください……

 

 だから、守ってください……

 

 今すぐ私の前に来て名前を呼んで強く抱きしめてください。

 

「……夢人さんの……バカ」

 

 何も言わないで勝手に消えたりなんてしないでください。

 

 あなたが別の世界の人間だってことはわかってます。

 

 いつかいなくなってしまうかもしれないってことはわかってました。

 

 ……でも、こんな別れ方ってないです。

 

 何も言わせないで、勝手に自分だけ言葉を残して消えないでください。

 

 何で皆を守ることはしても、自分を守ることはしなかったんですか……

 

 そんなのバカです。

 

 大バカ者です。

 

 ちゃんと自分を守ってくださいよ。

 

 皆のことを守るって言うんだったら、ちゃんと自分のことも守ってください。

 

「……夢人さん……会いたいよぉ……」

 

 ……会いたい。もう一度、あなたに会いたい。

 

 ようやくお姉ちゃんを助けられたと思ったら、今度は大切なあなたがいなくなってしまった。

 

 そんなの、私には耐えられない。

 

 私は抱いている服に顔を押し付けて泣き続けた。

 

 ……夢人さん、私、もう……

 

『……泣かないで』

 

「……え?」

 

 突然、頭の中で声がした気がした。

 

 私は慌てて起き上がり、部屋を見渡すが、誰もいない。

 

『……泣かないで』

 

「だれ? 誰なの?」

 

 私は届くかどうかわからなかったが、尋ねずにはいられなかった。

 

 瞬間、部屋の窓から窓ガラスを突き破り入ってきた。

 

 入ってきた物体は私の目の前で止まると、急に光だした。

 

「きゃあああ!!」

 

 私は思わず悲鳴を上げてしまった。

 

 なに!? いったい何なの!?

 

 私には何が起こったのかがまったく理解できない。

 

 ……でも、これって……

 

「ネプギア!? だいじょ……って、何これ!?」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

 お姉ちゃんだけじゃない、後ろからアイエフさん達も部屋に入ってきた。

 

「これって、夢人の時と同じじゃない!?」

 

 そうだ、これは夢人さんが『シェアクリスタル』によって召喚された時と同じ……

 

 もしかして!!

 

「夢人さん!!」

 

 ……夢人さんが帰ってきた!!

 

 私は現れるであろう人物を抱きしめようと、涙を流しながら両腕を伸ばした。

 

 ……しかし、光は夢人さんの形にならず、小さいまま私の両腕に収まった。

 

 やがて、光が収まると……

 

「……くひっ」

 

「……赤ちゃん?」

 

 私に向かって眠そうな目をこすりながらほほ笑んでいる赤ん坊がいた。

 

 ……え? どうなってるの?

 

 私がこの赤ちゃんをどうしたらいいのか考えていると、赤ちゃんは目をぱちくりと開けて、笑顔で私に向かって言う。

 

「おはよう、ママ!!」

 

 そう、満面の笑みで私をママって呼んだ。

 

 ……って、ええ!? 私がママ!?




という訳で、今回はここまで!
さあ、赤ちゃんの正体はいったい……
って、皆さんわかりますよね。
それでは、 次回 「世界を照らす明るい光」 をお楽しみに!

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