超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
昨日はクリスマス記念を作り終えたら、力尽きてこっちを更新できませんでした。
申し訳ございません。
さて、今回からいよいよ女神救出編!
それでは、 嵐の前に はじまります


勇者の真実、決戦ギョウカイ墓場!
嵐の前に


プラネテューヌの教会の一室。

 

 夢人が借りているその部屋で、夢人はノートに何かを書こうとペンを握っていた。

 

「……ダメだ」

 

 夢人はペンを放り投げて天井を仰いだ。

 

 ノートには何も書かれておらず、真っ白なページのままであった。

 

「……明日か」

 

 夢人は先ほど話しあっていたことを思い出した。

 

 

*     *     *

 

 

「先日のライブで集まったシェアと各国の協力によって完成したシェアエナジー増幅装置のおかげで、私達はついに女神達の救出作戦を決行することができます」

 

 リーンボックスからプラネテューヌに帰ってきた俺達にイストワ―ルさんがそう言った。

 

 ……いよいよ女神達、ネプギア達のお姉さん達を助けることができる。

 

「今まで作戦を決行できなかった理由の1つであるシェア不足も解決した今、一刻も早く女神達を救出しなければなりません」

 

 ギョウカイ墓場はマジェコンヌのシェア一色で染まっている。

 

 その上、ギョウカイ墓場自体が4国とは別の次元に位置する場所であるため、各国のシェアエナジーが女神に届きにくい。

 

 つまり、シェアエナジーを力に変える女神はギョウカイ墓場では全力を出すことができないでいた。

 

 3年前にネプギアと女神達がマジック・ザ・ハードに敗れた理由の1つらしい。

 

 そこで開発されたのがシェアエナジー増幅装置だ。

 

 俺達がケイさんに頼まれて集めた『宝玉』と『結晶』の力でシェアを増幅させることを可能にしたらしい。

 

 この装置を利用することで、ギョウカイ墓場にいる女神に届くシェアエナジーを増幅させ、ギョウカイ墓場にいる間も女神が全力で戦えるようになる。

 

 加えて、今回はライブで集めたシェアをシェアクリスタルに変えてあるので、安定したシェアエナジーを送ることが可能だ。

 

 ……つまり、後はギョウカイ墓場に乗り込む俺達次第だ。

 

 俺達は全力を出して女神達を救出すればいいんだ。

 

「私はこれから転送装置とシェアエナジー増幅装置のリンクを始めます。それが完了するのが明日の朝、つまり作戦決行は明日の朝です」

 

「……今度はあの時のように失敗はしないわ」

 

 ……アイエフ。

 

 プラネテューヌの諜報部に所属している女の子。

 

 口ではなんだかんだ言いながらも、その言葉には相手への思いやりが溢れている。

 

「ですです! 今度こそねぷねぷ達を必ず助け出すですよ!」

 

 ……コンパ。

 

 本当なら戦う必要のない看護師であった女の子。

 

 捕まっている親友と女神達を助けるために、ようやくなれた看護師の立場を捨てて戦っている。

 

「アタシもヒーローとして必ず女神様達を助けてみせるよ!」

 

 ……日本一。

 

 ヒーローとしてゲイムギョウ界のために戦っている女の子。

 

 困っている人達を助けるために、女神不在の中で1人でも戦っていた。

 

「がすとも同じ気持ちですの。そのためにここまで頑張ってきたんですの」

 

 ……がすと。

 

 得意の錬金術で作成した様々なアイテムをゲイムギョウ界中で売っていた女の子。

 

 自分が造ったアイテムで少しでもゲイムギョウ界を救おうとしていた。

 

「気持ちはボクだって同じだよ。ボク達は女神様達による平和を信じているから」

 

 ……5pb.。

 

 リーンボックスの歌姫と呼ばれている女の子。

 

 本当は人見知りなのに、女神いなくなったことで不安になった人々を勇気づけるために、大勢の前で歌い続けていた。

 

「考えていることは皆同じだよ。あたし達はゲイムギョウ界のために戦う」

 

 ……ファルコム。

 

 ゲイムギョウ界中を旅していた冒険家の女性。

 

 ゲイムギョウ界を愛しており、ゲイムギョウ界中を回って人助けをしていた。

 

「そう。これ以上、犯罪組織にゲイムギョウ界を好き勝手させないわ」

 

 ……ケイブ。

 

 リーンボックス特命課で働く女性。

 

 女神がいなくなったリーンボックスの治安を守るために戦い続けていた。

 

「絶対にお姉ちゃん達、女神を助ける」

 

 ……ロム。

 

 大好きなお姉さんが捕まっていた事実を自分だけが知らなかったことで大事なことを見失っていた女の子。

 

 それがラムとミナさんの優しさだと気付いて大事なことを思い出すことができた。

 

「ロムちゃんとわたし……ううん、皆がいるもん。絶対に大丈夫だよ」

 

 ……ラム。

 

 ロムを傷つけないためにウソをつき続けて、心の中でずっと傷ついていた女の子。

 

 本当のことが言えず、臆病になっていた彼女は勇気を出してロムに謝り、心を強く成長させた。

 

「ベール姉さんと本当の家族になるためにも負けられない」

 

 ……ナナハ。

 

 誰にも言えない孤独を抱え込んで本当の自分をずっと隠して天才を演じていた女の子。

 

 本当の自分の気持ちを抑えつけていた彼女は全てを俺達に告白して強い輝きを放つようになった。

 

「待っててね、お姉ちゃん。もうすぐ助けに行くから」

 

 ……ユニ。

 

 自分の無力さに嘆き、完璧な姉になろうと自分の気持ちを殺していた女の子。

 

 自分の弱さを嫌っていた彼女は、その弱さを受け入れて前へと進む、強い意志を手に入れた。

 

「……お兄さん、どうかしました?」

 

 ……フェル。

 

 両親を女神を信仰する人達に殺され、女神を恨み、自分の命さえ、どうでもいいと絶望していた少年。

 

 フェンリルのリンが見せた愛に気づいて、ゲイムギョウ界で生きると決意した。

 

「……ちょっといいか」

 

「えっ? どうしたんですか?」

 

 俺はフェルの頭に自分の右手を乗せて目をつぶった。

 

 ……これでいいんだろ?

 

『ふふふ、いただきます』

 

 俺の頭の中で声が楽しそうに笑いながら言った。

 

 俺の右手からフェルにシェアエナジーが流れて行く。

 

「これってシェアエナジーですか? なんだか温かいですね」

 

 フェルは気持ちよさそうに目をつぶって、俺から流れてくるシェアエナジーを受け入れてくれた。

 

 やがて俺がシェアエナジーを渡し終えると、ネプギア達が驚いた様子で俺達を見ていた。

 

「……アンタ、そんなことができるようになったの?」

 

「ああ、ようやく勇者の力を扱うコツってのがわかってきたんだ」

 

 俺は疑問を投げかけてきたユニにほほ笑みながら応えた。

 

『ごちそうさま。……コツね、ふふふ』

 

 声は俺をあざ笑いながら消えていった。

 

 ……もうすぐか。

 

「……夢人さん?」

 

 ……ネプギア。

 

 俺をこの世界に呼んだことに責任を感じ、罪悪感で押しつぶされそうになっていた。

 

 ……俺の好きな女の子。

 

「どうした?」

 

「……あっ、いえ、どうしてフェル君にシェアエナジーを?」

 

「……ちょっとしたお守り代わりだよ」

 

 ……そう、これはお守りだ。

 

 これでもう大丈夫なはずだから……

 

 

*     *     *

 

 

「……後は、これだよな」

 

 夢人は机の上に置いてあるパープルディスクを見つめた。

 

「これにシェアエナジーを送り込めば……」

 

 夢人はパープルディスクを手に取ろうとするが、できずにいた。

 

 顔はこわばり、伸ばした右腕は震えていた。

 

「なに震えてんだよ……さっさとやらないと」

 

 夢人が震える右腕を左腕で掴んで、ようやく指先がパープルディスクに触れそうなほど近づいた。

 

「もう少し……」

 

「夢人さん、いらっしゃいますか?」

 

「お、おう!? いるぞ!?」

 

 突然、ノックと共にネプギアの声が聞こえてきた。

 

 夢人は思わず伸ばしていた腕を戻してしまうほど慌てた。

 

「失礼します……お邪魔でしたでしょうか?」

 

 ネプギアは慌てた声で返事をした夢人に申し訳なさそうにしながら部屋に入ってきた。

 

「そ、そんなことないさ。ところで、ネプギアこそどうしてここに?」

 

 夢人がそう尋ねると、ネプギアは夢人にほほ笑みながら言う。

 

「ちょっと一緒に歩きませんか?」

 

 

*     *     *

 

 

「……で、よかったの? ネプギアに行かせて」

 

 アイエフがユニ達、女神候補生達に尋ねた。

 

「いいのよ。今の夢人にはその方がいいと思うから」

 

 ユニが苦笑しながら応えた。

 

「夢人お兄ちゃん、無理してる」

 

「そうそう。あんな態度じゃバレバレだけどね」

 

 ロムとラムも先ほどの夢人の様子を思い出しながら言った。

 

「それが何かはわからないけど、今の夢人にはネプギアが必要だって思ったんだ」

 

 ナナハは少しさびしそうに笑いながら言った。

 

「……アンタ達がいいならいいんだけどね。私達だって夢人が心配なんだから」

 

「そうですね。様子がおかしくて心配です」

 

 アイエフの隣でコンパが心配そうに顔を俯かせた。

 

「緊張しているのかな? ついに決戦って雰囲気だから」

 

「……どうだろう。そんな感じには見えなかったんだけど」

 

 日本一と5pb.も夢人のことを思い出して心配そうにしていた。

 

「今はネプギアに任せるしかないですの」

 

「そうだね。何かあれば、あたし達に話してくれるまで待とう」

 

「それがどんなことでも私達は受け止めてあげましょう」

 

 がすと、ファルコム、ケイブは窓から外を見ながら言った。

 

「……お兄さん、何に悩んでいるんですか?」

 

 フェルは自分の手のひらを見つめてつぶやいた。

 

 

*     *     *

 

 

「こうして2人だけでゆっくりと歩くのって初めてですよね?」

 

「そう言えば、そうだな」

 

 夢人とネプギアは教会の近くにある森林公園を歩いていた。

 

「夢人さんがゲイムギョウ界に来て長い間一緒にいたのにこうしてゆっくりとする時間がなかったんですね」

 

 ネプギアは眉根を下げてほほ笑みながら言った。

 

「確かにな。俺もネプギア達もゲイムギョウ界を救うためにずっと慌ただしく旅していたんだもんな」

 

 夢人もネプギアに苦笑しながら応えた。

 

「そうですね。でも、不謹慎かもしれませんが、私は夢人さん達と一緒にゲイムギョウ界を救う旅に出られて楽しかったです」

 

「俺もだよ。俺もネプギア達と一緒に旅して楽しかった」

 

 夢人は苦笑しながら言う。

 

「俺は全然勇者の力が使えなくていつも傷だらけのボロボロだったけどさ、それでも俺はネプギア達と一緒に旅ができてよかった」

 

「……夢人さん」

 

 ネプギアは夢人に近づいて右手を両手で包み、心配そうに夢人を見上げて言う。

 

「私達はあなたが何に悩んでいるのかは聞きません」

 

「……ネプギア」

 

「でも、忘れないでください。あなたは1人じゃありません。私達がついてます」

 

 夢人はネプギアの言葉を聞いて、顔をこわばらせてしまった。

 

 ネプギアはそんな夢人の顔を悲しそうに見上げることしかできなかった。

 

 

*     *     *

 

 

 ……何やってんだよ、俺。

 

 俺は今、目の前にいるネプギアを悲しませている。

 

 いいや、違う。

 

 ネプギアだけじゃない。

 

 ユニやアイエフ達にも心配をかけている。

 

 俺が悩んでいることなんて皆お見通しかよ。

 

 でも、俺は……

 

「……あまり遅くなると、皆さんに心配かけちゃいますね。そろそろ帰りましょうか?」

 

 ネプギアが申し訳なさそうに俺に言ってきた。

 

 気が付けば日が落ちており、公園に設置されていた街灯に明かりがついていた。

 

 ネプギアが俺に背中を向けて歩きだす。

 

 ……ごめん!

 

「きゃっ……夢人さん?」

 

 俺はネプギアを背中から抱きしめていた。

 

 俺は震える両腕でネプギアを強く抱きしめていたんだ。

 

 ……震えるなよ、俺の腕。

 

 いくら強く力を入れようとしても震えてしまう腕が情けない。

 

「……夢人さん」

 

 ネプギアが俺が回した両手にそっと手を添えてくれた。

 

 ……ごめん。

 

 こんな弱い俺で……

 

 泣きながらこの悩みを言ってしまいたい。

 

 いや、大切な仲間だからこそ言わなきゃいけない。

 

「ネプギア……俺……」

 

 ……怖いよ。




という訳で、今回はここまで!
ようやくここまで来たと思うと感慨深いですよ。
年内中には女神救出編までは終わらせたいとは思うんですけどね。
まあ、来週には男同士の飲み会も書くので、本編だけでも終わらせられるように頑張りますね。
それでは、 次回 「奪われる力」 をお楽しみに!

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