超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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皆さん、お久しぶりです!
ようやくPCが修理から戻ってきました!
今日からまた投稿していきますので、よろしくお願いします!
それでは、 進化する運命 はじまります


進化する運命

「……暇だなぁ」

 

 私は教会を抜けだしていつものようにケイブのいる特命課の事務所に向かっていた。

 

 教会にいれば、チカの説教がうるさくて仕方ないからだ。

 

 ……確かに私が悪いのはわかってるよ。

 

 私が真面目に女神の仕事をしないからチカが怒ってるんだし……

 

「……どうすればもっとキラキラできるのかな?」

 

 ……私はキラキラと輝きたかった。

 

 夢人やリンダの見せてくれた輝きで私は変われた。

 

 2人のように強く輝きたいと思った。

 

 その後に見た5pb.やユピテルのライブを見てその思いは強くなった。

 

 5pb.のことは前から知っていた。

 

 歌っている時の彼女は誰にも負けない輝きを放っていた。

 

 ユピテルだってそうだ。

 

 夢人達をはめた時とは違って強く輝いていた。

 

 ……悔しかった。

 

 ユピテルだってきっと私と同じで夢人達に会ったからこそ輝けていたんだと思う。

 

 同じスタートラインにいたはずなのに、その背中は遠く離れてしまっていた。

 

「私なりのキラキラ……何があるんだろう?」

 

 私が一番輝けることってなんだろう?。

 

 ユピテル達はそれが歌だったからこそ輝けたんだ。

 

 ……せっかく、夢人が私の『特別』って壁を壊してくれたのに、私は一歩も前に進めていない。

 

 私はまた新しい『特別』を欲しがってる。

 

 私が輝ける『特別』を……

 

 だから、私は夢人達と一緒に行かなかった。

 

 【女神を助けるのは夢人達に任せるよ】

 

 ……本当は夢人の近くで輝きを見つけたかった。

 

 私の輝きに気付かせてくれた夢人の側で一緒に輝きたかった。

 

 でも、同時に怖い。

 

 夢人の強い輝きの前で私の輝きが霞んで消えてしまうんじゃないかと不安になる。

 

 【そう言うの柄じゃないからさ……まあ、女神の仕事はしっかりとするよ】

 

 ……ベールのことをまだ他人だと思っている私がいる。

 

 ベールは私のことを妹として可愛がってくれていたのに。

 

 それでも、私はベールのことを姉としてまだ見れないでいる。

 

 本当はもっとベールのことを知りたい。

 

 本当の姉妹のように好きになりたい。

 

 ……でも、私にはそれができない。

 

 だって、私は『二度目』だから。

 

 これも私の『特別』。

 

 ……私は一度死んでいる。

 

 私の記憶には『前の私』に優しくほほ笑む家族の姿が残っている。

 

 大切で大好きだった家族。

 

 ……その姿があるからこそ、ベールとチカを家族に見れない。

 

 私のことを大切に思ってくれる人達。

 

 家族と思っている人達に応えられない。

 

 だって、私の家族は私を捨てたから…

 

 この世界での大切で大好きな家族は私に怯えたから…

 

 ベールとチカがそうなるとは思っていない。

 

 ……でも、怖いんだ。

 

 大切な人から怯えられることが……

 

 嫌われてしまうことが……

 

 ダメだよね。

 

 最近はチカとも結構話せるようになってきたのに……

 

 チカもそんな私を見て嬉しそうにしていたのに……

 

 ……私は弱いなぁ。

 

 せっかく『特別』って壁を壊して外に出られるようになったのに、私はその場で動けないでいる。

 

 こんなことじゃキラキラと輝けないってわかってるのに。

 

「はあ……どうすればいいんだろう?」

 

「……おい」

 

 私が考えていると、声をかけられた。

 

 私が声のした方に振り向くと、そこには1人の男がいた。

 

 くすんだ銀髪に赤と緑のオッドアイ、顔には赤い模様がある一度見たら忘れられないんじゃないかなって思うくらい特徴的な容姿をしていた。

 

「何?」

 

 私はそんな見知らぬ男を眉をひそめながら見て言った。

 

「貴様はバグだ」

 

 バグ?

 

 何を言っているの?

 

「この世界に本来いるはずのないバグ……俺と同じ、この世界にいてはいけない存在だ」

 

「…ふざけたこと言わないで!」

 

 私は男を睨んで叫んだ。

 

 ……私が男と同じ?

 

 この世界にいてはいけない存在?

 

 意味がわからない。

 

「覚えがあるはずだ……お前は世界に祝福されていない。お前は周りを不幸にする悪魔だ」

 

「……悪……魔……?」

 

 ……男の言葉を否定したかった。

 

 でも、できない。

 

 私は知っている。

 

 私のせいで不幸になった人がいることを……

 

 今の私を生んでくれた家族。

 

 私を妹にしたベール

 

 ベールを姉のように慕っていたチカ

 

 ……私が大切に思おうとした人達が不幸になっている?

 

 認めたくなかった。

 

 でも、私は認めてしまっていた。

 

 ……私が悪魔だって

 

 初めて女神の力を発現した時の目を見た時を思い出した。

 

 私から全てを奪う悪魔の瞳

 

 それを持っている私は悪魔なんだ。

 

 皆を不幸にする悪魔なんだと思ってしまった。

 

「い、いや……いやっ!」

 

 私は男に恐怖した。

 

 涙を浮かべて男から離れようとした。

 

「もろいな……なら」

 

 男は私が離れるよりも早く距離を詰めて私の目の前に立っていた。

 

「精々役立て……悪魔らしくな」

 

 男はにやりと笑って私の額に触れた。

 

 ……瞬間、私の中に何かが入ってきた。

 

 ドロドロしていて気持ちの悪いものが私の中に入ってくるように思えた。

 

「……あっ」

 

 ……私はそこから先の記憶がない。

 

 でも、1つだけ覚えていることがある。

 

 私が皆を不幸にする悪魔だってこと……

 

 

*     *     *

 

 

「魔王だと?」

 

 夢人は眉をひそめながら目の前の男、レイヴィスに言った。

 

「そうだ。お前が勇者なら俺ほど魔王にふさわしい存在はいない」

 

 レイヴィスは薄く笑いながら応える。

 

「お前がゲイムギョウ界を守ろうとしているのと同じように、俺はこのゲイムギョウ界を破壊する為に存在しているのだからな」

 

「どうしてそんなことを!」

 

 ネプギアはレイヴィスを睨みながら言った。

 

「ただ憎いからだ……このゲイムギョウ界のすべてがな!」

 

 レイヴィスは怒りで顔を歪めながらナナハに視線を向ける。

 

「そこのバグのように、本来存在しないはずの存在がいる世界など認めない!」

 

「お前!」

 

 夢人はナナハを庇うようにレイヴィスとナナハの間に立ってレイヴィスを睨む。

 

「何がバグだ! ナナハはちゃんとこの世界で生きている! ふざけたこと言うんじゃねえ!」

 

「……どうやらお前は知らないようだな」

 

 夢人の言葉を聞いてレイヴィスは目を細めながら言う。

 

「お前はこの世界の本来の姿、『超次元ゲイムネプテューヌmk2』を知らないんだな?」

 

「……お前、何でフェルと同じことを?」

 

 夢人はかつてフェルが同じことを夢人に尋ねたことを思い出した。

 

「フェル? もう1人のバグのことか……どうやら俺がどんな存在なのかはわかっているようだな」

 

「フェルと同じ『転生者』って奴だろ」

 

「その通りだ、加えて言うと……」

 

 レイヴィスはナナハを指差しながら言う。

 

「そこの女も俺と同じ『転生者』だ」

 

「っ!?」

 

 ナナハはレイヴィスの言葉を聞いて体を大きく震わせた。

 

「そいつはゲイムギョウ界に必要のないバグだ……周りを不幸にする悪魔なんだよ」

 

「いやっ!?私は悪魔なんかじゃない!?」

 

 レイヴィスの言葉を聞いて、ナナハは泣きながら首を左右に激しく振った。

 

 レイヴィスはナナハの言葉を無視して言葉を続ける。

 

「いいや、悪魔だ……いずれ周りだけじゃない、このゲイムギョウ界を破滅に導く悪魔なんだよ!」

 

「違う!? 違う!? 私はそんなこと望んでいない?!」

 

「望む望まないは関係ない! お前は存在するだけで…っ!?」

 

「口を閉じろよ……この魔王気取りが!」

 

 レイヴィスは笑いながら言葉を続けていたが、夢人はそんなレイヴィスの顔を思いっきり殴り飛ばして言葉を止めさせた。

 

「ナナハが周りを不幸にする悪魔だと? ふざけたこと言ってんじゃねえ!!」

 

 夢人はレイヴィスを睨みながら言葉を続ける。

 

「俺はナナハに出会って不幸になんかなってない! ……むしろ、ナナハと出会えたことは俺の幸せだ!」

 

「……夢人」

 

「私もです! 私もナナハちゃんに出会えて幸せです!」

 

「……ネプギアも」

 

 ナナハは自分を庇うように立つ夢人とネプギアを涙を流しながら見つめる。

 

「……フン、いくら口で言おうが、その女がお前らを必ず不幸にする!」

 

 レイヴィスは手の甲で殴られた箇所を拭いながら立ち上がり、夢人を睨む。

 

「バグは周りを不幸にする運命なんだよ!」

 

「そんな運命なんかに負けねえよ! 俺達の幸せも不幸も俺達が決める!」

 

「ナナハちゃんは悪魔やバグなんかじゃない! 私達の大切な仲間です! 必要のない存在なんかじゃありません!」

 

 夢人とネプギアがレイヴィスを睨みながら言う。

 

 レイヴィスはその様子を見てため息をつきながら言う。

 

「後悔するぞ……その女やもう1人のバグを生かしておくことを……『転生者』は必ずこのゲイムギョウ界を破滅に導く」

 

「そんな未来は俺達が必ず阻止してやるよ!」

 

 夢人とレイヴィスは激しく睨みあう。

 

 2人が睨みあっていると、アンダーインヴァース全体が揺れ始める。

 

「な、何だ!?」

 

「ダンジョン全体が揺れてる!?」

 

「まさかマグマが!?」

 

 夢人達はマグマが噴火間近なのかと焦り始める。

 

 レイヴィスは忌々しそうに天井を眺めながら舌打ちをする。

 

「チッ……あの女の差し金か」

 

 レイヴィスはそう言うと霧のように姿を消してしまう。

 

「おい! 待てよ!」

 

 夢人がレイヴィスに向かって走ろうとしたが、レイヴィスは既に姿を消していた。

 

「天井が!?」

 

 天井を突き破り、何かが地面に激突する音が周りに響く。

 

「……あれは、コンテナ?」

 

 天井を突き破った物体は大型のコンテナであった。

 

 コンテナの上には1人の男性が立っていた。

 

「……やっと……やっとだ!」

 

 男はコンテナの上から飛び降りて、夢人達を見ながら顔を歪めて笑う。

 

「ずっとあんな窮屈なところにいたんだ……楽しませてもらうぜぇぇぇ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 男は笑いながら夢人に向かって走り夢人を殴った。

 

 夢人は男のパンチを腕を交差させて受け止めるが、衝撃によって後ろに下がってしまった。

 

「くっ…その細腕のどこにそんな力があんだよ」

 

 夢人は冷や汗を流しながら男を睨む。

 

 男はまるで枯れ木のような体をしていた。

 

 腕もちょっとでも触れば折れてしまうのではないかと思うくらい細い。

 

 しかし、男の力は凄まじく、夢人は足で踏ん張っていなければ地面に転がっていた。

 

 男は殴った夢人が立っていることを見て、嬉しそうに口元を歪めながら言う。

 

「いいぜ! 勇者は弱いって聞いていたが、本気じゃなかったとはいえ、オレの一撃を耐えた! たまにはマジックの言うことも聞くもんだな!」

 

「マジック? ……お前もマジェコンヌの一員なのか!」

 

「その通りだ! 出ろ!」

 

 男が叫ぶと同時に、コンテナが展開された。

 

 コンテナの中には三本の角がある黒い人型の鎧が鎮座していた。

 

「あれは!?……まさか!?」

 

 ネプギアは見覚えのある黒い人形を見て驚きの声を上げる。

 

「ヒャッハアアアッ!!」

 

 男は叫び声を上げながら黒い人型の鎧に向かって駆け出し跳び上がった。

 

 すると、黒い人型の鎧の胸元が開き、男はその中に入った。

 

 胸元が完全に閉まると、鎧の瞳が緑色に光りだす。

 

「オレはジャッジ・ザ・ハード! さあ、戦ってもらうぜえええ!!」

 

 ジャッジは叫びながら、コンテナの中に収納されていたポールアックスを振りかぶりながら夢人達へと駆け出す。

 

「皆、逃げろ!!」

 

 夢人が叫ぶと、夢人とネプギア、チカとミナ、ナナハとリンダに別れてジャッジの攻撃を避ける為、左右に跳んだ。

 

 ジャッジは振りかぶったポールアックスを夢人達のいた場所に力の限り叩き付けた。

 

 見ると、ポールアックスの刃の部分の3分の1程が地面に埋まってしまっていた。

 

「オレを楽しませろおおお!!」

 

 ジャッジはチカやナナハ達に構わず、すぐに夢人達の方を向いて叫んだ。

 

 夢人とネプギアは互いに顔を見合わせると、一度頷いた。

 

「夢人さん、戦いましょう」

 

「ああ、一緒にな」

 

 互いに言葉を交わしながらほほ笑むと、ジャッジに向き直った。

 

「『変身』!」

 

「アイス・エッジ・ソード!」

 

 ネプギアは『変身』してM.P.B.L.を、夢人は自分の右腕を凍らせて造った氷の刃をジャッジに向けて構えて言う。

 

「俺達が!」

 

「あなたを倒します!」

 

 ジャッジはその様子を見て、嬉しそうに笑いながら叫ぶ

 

「いいぜ! オレに見せてくれ! 勇者の力を! 女神の力を! ……そして、オレを楽しませろおおお!!」

 

 

*     *     *

 

 

 夢人とネプギアが黒い人型、ジャッジ・ザ・ハードと戦っている。

 

「おうらあああっ!」

 

「なんの!」

 

 夢人はポールアックスの攻撃を腕に造った氷の刃で受け流していた。

 

 ジャッジ・ザ・ハードは受け流されたことで、重心がずれて態勢を大きく右側に崩した。

 

 その隙にネプギアが左側から攻撃を仕掛ける。

 

「ミラージュダンス!!」

 

「ぐっ!?……いいぞ! もっとだ! もっと来いいい!!」

 

 ネプギアは素早くM.P.B.L.で流れるように、下、右、左、上へとM.P.B.L.を振りぬき、ジャッジ・ザ・ハードを吹き飛ばす。

 

 ……すごい

 

 私は素直にそう思った。

 

 夢人は変なクスリを飲まなければ強くなれなかったはずだ。

 

 しかし、今は違う。

 

 変なクスリを飲んでいないにも関わらず、夢人はネプギアと一緒に戦ってる。

 

 私が知ってる夢人は雑魚モンスターにもやられるほど弱かったはずなのに…

 

 ネプギアと一緒に戦っている彼はとても頼もしく見えた。

 

 そして、何より……

 

「……輝いてる」

 

 2人の姿が私には眩しく見えた。

 

 夢人は前に壁を崩したときに見せた輝きとは違う強い輝きをネプギアと一緒に輝かせていた。

 

「テメェはどう思ってんだよ?」

 

 隣にいたリンダが私に真剣な表情で尋ねてきた。

 

「テメェ自身は自分を悪魔だと思ってんのかよ?」

 

 私はリンダの問いに応えられず俯いてしまった。

 

 夢人とネプギアの言葉は嬉しかった。

 

 胸がすごく温かくなって涙があふれてきた。

 

 ……それでも、私は自分が周りを不幸にする悪魔だと思ってしまう。

 

 今は平気でも、いつか必ず夢人やネプギア達も不幸にしてしまう。

 

 私を守る為に私を置いて行ったベールのように……

 

「……なぁ、テメェにはあの2人がどう見える?」

 

 リンダが夢人とネプギアを指さして言う

 

「でええりゃあああ!!」

 

「がっ!?」

 

 ジャッジ・ザ・ハードの攻撃を受け流せずに、夢人が弾き飛ばされて地面に転がった。

 

「はあああっ!」

 

 ネプギアは夢人を気にせずに、ジャッジ・ザ・ハードに近づくと、両手でM.P.B.L.を構えて力の限りジャッジ・ザ・ハードの角に向かって振り下ろした。

 

「リンドバーグ!!」

 

「ぐおおおっ!?」

 

 ネプギアの攻撃で顔の左側の角が折れた。

 

 折れた角からは青白い稲妻が走り、ジャッジ・ザ・ハードの顔全体に広がった。

 

 ジャッジ・ザ・ハードは苦しそうに鎧の顔を歪ませながら折れた角の部分を押さえて後ろに下がった。

 

 ネプギアはその様子を確認すると、すぐに夢人に近づいてほほ笑みながら手を差し伸べた。

 

「大丈夫ですよね?」

 

「もちろん……まだまだ戦えるさ」

 

 夢人はネプギアの手を掴んで立ち上がると、ネプギアにほほ笑み返して再び右腕に氷の刃を造った。

 

「行くぞ!」

 

「はい!」

 

 夢人達はそう言うと、ジャッジ・ザ・ハードに向かって駆け出した。

 

「……テメェにはあの2人が不幸に見えるか?」

 

 ……見えない

 

 私には2人が不幸には見えない。

 

「あの2人はテメェと一緒にいて不幸だなんて思っていない。それはテメェにもわかってんだろ?」

 

「……うん」

 

「アタイには『転生者』って奴が何なのかなんてわからねぇが、今わかることが1つだけある」

 

 リンダは私の肩に手を置くと、優しくほほ笑みながら言う。

 

「テメェと一緒にいて不幸になる奴なんて1人もいねぇ。アタイだってテメェと出会ったことを不幸だなんて思っちゃいねぇよ」

 

「……リンダ」

 

「テメェが気にしているような悩みなんてちっぽけなもんなんだよ。要は、テメェが周りの奴らを不幸にしなければいいんだろ? なら、周りの奴らが幸せになるようにテメェが運命って奴を変えてやれ」

 

 ……運命を変える。

 

 そうだった。

 

 私、忘れてたんだ。

 

 私だって夢人のように運命を変えてみせるって決めてたんだ。

 

「……ありがとう、リンダ」

 

「ったく、さっさと行きやがれ」

 

「うん!」

 

 私がほほ笑みながらお礼を言うと、リンダは照れくさそうに鼻の頭をこすりながら言った。

 

 ……もう迷わない。

 

 レイヴィスの言ったような運命なんかに負けない。

 

 私が自分の手で運命を変えてみせる!

 

 

*     *     *

 

 

「夢人! ネプギア!」

 

 俺達の後ろから『変身』したナナハが近づいてきた。

 

「私も一緒に戦うよ。そして、悪魔なんかに絶対にならない!」

 

 ナナハはそう言って撫子をジャッジ・ザ・ハードに向けて構えた。

 

「私は皆を幸せにする女神になる!」

 

「ナナハちゃん……うん!一緒に戦おう!」

 

 ネプギアはナナハの言葉に嬉しそうに頷くと、同じようにM.P.B.L.をジャッジ・ザ・ハードに構えた。

 

 ……俺も負けてられないな

 

 俺はアイス・エッジ・ソードを造り直そうとした。

 

『変わる運命』

 

 また頭の中から声が聞こえてきた。

 

『バグは新しい守護者へと生まれ変わる』

 

 新しい守護者?

 

 俺がそう考えていると、ネプギアの持っていたグリーンディスクが輝きだした。

 

「夢人さん!? グリーンディスクが!?」

 

「俺に貸してくれ」

 

 俺はネプギアからグリーンディスクを受け取ると、ブラックディスクと同じようにシェアエナジーを注ぎ込んだ。

 

『これは新しい運命への進化』

 

「ナナハ、これを!」

 

 俺はシェアエナジーを注ぎ込んだグリーンディスクをナナハに手渡した。

 

 ナナハはグリーンディスクを受け取ると、目を閉じて胸に当てた。

 

 すると、グリーンディスクは光となってナナハに吸収された。

 

「ありがとう……なんだか力と勇気が湧いてくる」

 

 ナナハは俺にそう言ってほほ笑むと、再びジャッジ・ザ・ハードに向き直った。

 

「私はグリーンシスター、リーンボックスの女神候補生でベールの妹」

 

 ナナハはそう言うと、撫子を右から左へと払った。

 

「私の運命は、私が決める!」




という訳で、今回はここまで!
本当に久しぶりに書かせていただきました。
というより、書けない間に今後の展開とか練り直していたら、この章がもう一話必要になっちゃいました。
ジャッジさんの設定は『はいすくーる』の2巻から取っています。
あの世界だと、ジャッジさんは鎧、パワードスーツを着ているんですよね。
でも、4巻だとそれが素顔のように表現されているんですけど……
この作品では、ジャッジさんはパワードスーツってことにしておきます。
まあ、そういう訳で、次回でこの章の本編は終わりです。
それでは、 次回 「風林火山」 をお楽しみに!

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