超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
…私書いてて気づいた
いつの間にかネプギアメインの話になってるって
この章のメインってナナハだったはずなんだけどなぁ…
それでは、 君を守る はじまります
「リーンボックスで犯罪神の信仰規制が解除されただって!?」
夢人はベットから上半身を起こしてテレビから流れてきたニュースに驚く。
〔リーンボックスの女神候補生ナナハ様が正式に犯罪神信仰規制の解除を宣言いたしました……それに伴い、リーンボックスの街では犯罪行為が活発化し、治安が著しく悪化したとの情報が寄せられております〕
「そんな……何でナナハがそんなことを……」
夢人はナナハがそんなことをするだなんて思えなかった。
ナナハは確かに女神としての自覚は薄かったかもしれないが、犯罪行為を認めることはしないはずだ。
〔我々は現在リーンボックスの教会に問い合わせたところ、未だ回答をもらうことができず、情報が不足しております……引き続き、情報が入り次第お伝えしたいと思っております〕
「……こうしちゃいらんねえ!」
夢人はベットから飛び降りると、着替えて廊下に出た。
「ゆ、夢人さん!?」
「ね、ネプギア!?」
夢人が廊下に出ると、そこには水の入った桶とタオルを持ったネプギアがいた。
ネプギアは夢人の姿を見て驚いたが、すぐに申し訳なさそうに俯いて黙りこんでしまった。
「え、えっと、あのさ……」
夢人も久しぶりに会うネプギアにそんな態度をとられてどうしていいのかわからず視線を宙にさまよわせながら考える。
(ど、ど、ど、どうするよ!? 久しぶりにネプギアに会ったのにすごく気まずい!? どうするんだよ、俺!? ……って、今はそれよりも!)
夢人がネプギアにどう接していいのかわからず混乱していたが、すぐに先ほどのニュースのことを思い出した。
「ネプギア!」
「ひゃ、ひゃい!」
ネプギアは急に夢人に声をかけられたため、驚いて噛んでしまった。
「行くぞ! リーンボックスに!」
* * *
……とは言ったもののどうするんだよ。
俺はリーンボックス行きの列車の中で頭を抱えていた。
理由はネプギアだ。
周りに他の乗客の姿はなく、2人だけしかいない車両の空気は重かった。
俺はなぜだかわからないが、ネプギアに避けられている。
ブレイブ・ザ・ハードと戦った後に再会した時、露骨に避けられたのは本当にショックだった。
周りの子ども達からは「振られたーっ!」とか、縁起でもないことを言われて本当に泣きそうになった。
プラネテューヌに帰って来てからもアイエフから接触を禁止されていたため、ずっと会えなかった。
……正直言えば、久しぶりに会えて嬉しかった。
ネプギアの笑顔を見たかったし、声も聞きたかった。
特訓中でもずっとネプギアのことを忘れることはなかった。
どんなに苦しくても彼女を……
好きな子を守るために強くなろうと思って頑張ってきた。
……でも、どうしてこうなった!?
俺、何か悪いことした!?
今もネプギアは俺から離れた席に座って窓の外を眺めている。
明らかに俺を避けている。
本当に俺が何かしたのか!?
……も、もしかして
前に夜中に魔法の練習を終えて宿に戻った時に、お腹がすいていたから買ってあったシュークリームを食べちゃった時があったんだけど……
まさかネプギアが買ったものだったのか!?
それがばれて怒っているのか!?
……そ、そんなわけないよな?
いくらなんでもそんなことであんな態度をとるわけないよな?
で、でも、他に思い当たる節が無いし……
そうだとしたら食べ物の恨みは恐ろしいから、きっとものすごく怒っているに違いない。
じ、自業自得なんだけど、何で俺あの時あんなことしたんだよ!?
俺のバカ野郎!
……くっ! 現状を嘆いていても仕方ない!
ここはこちらから話題を振って和やかな、いつもの雰囲気に戻すんだ!
「き、今日はいい天気だよな?」
定番の天気に関する話から、会話を続けて許してもらう作戦だ!
フッ、完璧だ! これでいつものように会話を続けていけば、きっと……
「……空、曇ってますよ」
……俺のアホーッ!!
* * *
列車の離れた席に座っている夢人さんが両手で頭を抱えている。
本当なら今すぐにでも近くの席に座って話がしたい。
……でも、無理だ。
私にはもう夢人さんの優しさを受け取る資格なんてない。
今も夢人さんを傷つけている私なんて……
……まるであの時と同じだ。
私がまだ夢人さんを勇者さまって呼んでた時と似ている。
あの時は夢人さんに恨まれることが怖かった。
でも、今は違う怖さがある。
夢人さんに嫌われたくないんだ。
勝手な思い込みかもしれないけど、私のことを大切に思ってくれている人から嫌われたくないんだ。
……わがままだってわかってる。
私は夢人さんを裏切ったのに。
今でも夢人さんに甘えているんだ。
夢人さんに助けてもらいたいと思っている。
……いやなのに。
こんな自分がいやなのに。
どうして強くなれないんだろう。
ゲイムギョウ界を救うために旅をして強くなったと思ったのに、どうして心は弱いままなんだろう。
あなたに会えて本当の戦う理由を見つけられたのに……
どうして悪い子のままなんだろう。
こんな自分なんて嫌いなのに、どうして私は変われないんだろう。
……私が1人で落ち込んで窓から外を眺めていると、夢人さんのNギアに通信が来た。
「……もしもし」
〔なにしけた声で返事してんだよ、勇者気取り〕
「……リンダ?」
通信の相手は下っ端さんだった。
夢人さんは下っ端さんから通信が来たことに驚いていた。
〔さっさとリーンボックスに来やがれ! ……テメェに会いたがってるお方がいるんだよ!〕
* * *
「遅いんだよ! なにしてやがったんだ!」
リーンボックスに着いた夢人達をリンダは不機嫌そうに出迎えた。
「ちょっといろいろあって……ってか、誰なんだよ? 俺に会いたがっている奴って」
「ったく、さっさとついてこい」
リンダは夢人達を案内するように先に歩いていく。
「今のリーンボックスは誰彼構わず襲い掛かってくるような奴で溢れてんだ……さっさと行くぞ」
リンダの言う通り、リーンボックスの街は荒れていた。
以前来た時は綺麗に整備されていた道路であったが、今ではゴミが散乱しており壁にはスプレーで落書きがあった。
「……状況はかなりやばいな」
「……そうですね」
ネプギアは変わってしまったリーンボックスの街を見て悲しそうにつぶやいた。
「ユニちゃんやアイエフさん達は大丈夫なんでしょうか……」
「大丈夫さ、アイツ等だって無事に決まってる」
夢人はネプギアを安心させるように明るく笑って言う。
「……はい」
しかし、ネプギアは夢人の顔を見て苦しそうに胸を押さえて俯いてしまった。
「ネプギ……」
「おい! テメェ等、さっさとついて来いってんだよ!」
夢人がネプギアに話しかけようとした時、リンダがいつまでも自分について来ない夢人達に怒鳴った。
「いつまでもあの方を待たせるわけにはいかねぇンだよ!」
リンダは頭を掻きながら夢人達に言う。
「さっさとアンダーインヴァースに行くぞ!」
* * *
アンダーインヴァースの入り口
夢人はそこで待っていた女性の姿の姿を見て驚いた。
「ま、マジック・ザ・ハード!?」
「騒ぐんじゃねぇよ! 遅くなって申し訳ございません……マジック様」
「……構わん」
マジック・ザ・ハードは薄く笑いながら夢人達に近づく。
「ルウィー以来か……久しぶりだな、勇者……それにプラネテューヌの女神候補生か」
「あ、あなたがどうしてここに!?」
ネプギアが夢人を庇うように前に出てマジックを睨みながら言う。
しかし、ネプギアの足は震えており、冷や汗も流れていた。
マジックはネプギアを無視して夢人だけを見て言う。
「ふふふ、あの時よりも少しはマシになったか?」
ネプギアはマジックの言葉に目を見開いて驚いてしまう。
敵であるマジックですら、夢人が強くなったことを認めるような発言をしたからである。
ずっと一緒にいた自分が気付かなかったことを1度しか会っていないマジックが簡単に気付いてしまったことにショックを受けてしまう。
一方、マジックに見つめられている夢人は表情を変えずにマジックを見つめ返していた。
「どうした? 私が怖いのか? なぜ何も言ってこない?」
マジックは夢人を挑発するように薄く笑いながら夢人に尋ねる。
「ネプギア、少し下がっていてくれ……俺に話ってなんだ?」
「夢人さん!?」
夢人はネプギアを庇うようにマジックの前に立って応えた。
ネプギアはそんな夢人の姿を信じられず驚いてしまう。
「大丈夫だ……さっさと話してくれ、俺達にはしなくちゃいけないことがあるんだ」
「リーンボックスの女神候補生のことか? ……なんなら私が協力してやろうか?」
「……なに?」
夢人はマジックの言葉を聞いて眉をひそめた。
「貴様がマジェコンヌに入るのであれば、今すぐにでも協力してやろうではないか」
「マジック様!? 本気で言っているんですか!?」
リンダはマジックの言葉に驚いてしまう。
「私は本気だ……貴様にとっても悪くない提案のはずだ……我らにつけばお前の勇者の力も自由に使えるようにしてやろう……さあ、どうす……」
「断る」
夢人はマジックの言葉を遮って言った。
「俺はお前らマジェコンヌには入らない……俺はネプギア達と一緒に戦う」
「……そうか」
マジックは先ほどまで浮かべていた表情を消して、鎌を夢人の首筋に近づけた。
「ここで死ぬとしても答えは変わらないか?」
「変わらない……俺は女神達の味方だ」
首筋に鎌が近づけられているにも関わらず、夢人は表情を変えずにマジックを見つめて言った。
「……そうか」
マジックはしばらく無表情で夢人を見つめていたが、やがて鎌を夢人の首筋から離して言った。
「この奥にリーンボックスの教祖、ルウィーの教祖がいる……加えて、リーンボックスの市民は奥にある装置で操られている」
「……何でそんなことを俺達に教える?」
夢人は眉をひそめてマジックに尋ねた。
マジックは薄く笑いながら言う。
「ただ気に食わないからだ……さっさと行け、私は貴様らの邪魔はしない」
マジックはそう言うと、夢人達に道を譲るように横にずれた。
「一応言っとく、ありがとう……行くぞ、ネプギア!」
「は、はい!」
夢人はマジックの方を向いて軽くお礼を言うと、ネプギアと共に奥へと走って行った。
マジックはその様子を見て満足そうにほほ笑んでから、リンダに向き直って言う。
「お前も好きなように動いていいぞ」
「えっ? で、でも……」
リンダはマジックの言葉に驚いて俯いてしまったが、やがて拳を強く握りしめて言った。
「マジック様! アタイは気に食わない奴をぶっ潰してきます! 失礼します!」
リンダはそう言うと、奥へと走って行った。
マジックはその様子を見て薄く笑いながらつぶやいた。
「邪魔はしないさ……私はな」
* * *
夢人とネプギアは奥へ向かって走っていた。
「いやあ、ビビった!? めっちゃ怖かった!?」
夢人は涙目になりながら先ほどの首筋に近づいた鎌の感覚を思い出した。
「本気で首を刈ってくるかと思って泣きだしそうだった!?」
「え、えっと、あの……」
ネプギアは夢人の様子に困惑した。
先ほどはマジック相手に毅然とした態度であった夢人が今では涙目になっている姿にどう反応していいのかわからなかった。
「でも、気に食わないって何のことだったんだろうな? ネプギアは何か思い当たることあるか?」
「えっ? わ、私にも何のことか……」
「だよなあ……それに今更勧誘とか意味がわからないし」
夢人に声をかけられて反射的にネプギアは応えた。
夢人はネプギアが自分の言葉に応えてくれたことが嬉しくて頬が少し緩んだ。
「まあ、まずはチカさんとミナさん、それにリーンボックスの市民の洗脳を解くのが先決だな!」
「そうですね」
ネプギアは夢人の後姿を見ながらいつの間にか自分が夢人と普通に会話できていることに気付いた。
(……って、何でまた甘えようとしているの!? もう夢人さんに甘えちゃいけないのに!?)
自分が無意識に夢人に甘えようとしているのを自覚して首を左右に激しく振る。
「どうした?」
「な、何でもありません!?」
夢人が不思議そうに自分を見ていることに気付いたネプギアは頬を赤く染めて慌てて言った。
(う、うぅぅ、このままじゃいけないのに……)
ネプギアは熱くなっていく頬を両手で押さえて、夢人に顔を見せないように走った。
夢人はそんなネプギアを不思議そうに見つめていたが、何かを踏んだ感触に冷や汗を流し始めた。
「こ、この気持ちの悪い感触は……」
「ヌラ?」
夢人が足元を確認すると、そこにはスライヌがいた。
「ヌラヌラ」
「ヌーラッ」
「ヌーラッラ!」
よく見てみると、夢人が踏んだスライヌ以外にも大量のスライヌが壁や天井、床に張り付いていた。
「……あ、悪夢だ」
夢人はその光景を見て気絶しそうになった。
「ヌラッ!」
「うわああああああああああ!?」
「きゃああああああああああ!?」
一匹のスライヌの掛け声でスライヌ達は一斉に夢人達に襲いかかってきた。
「や、やめ!? 犬怖いいいいいいいいいい!?」
夢人はスライヌに埋もれてしまい、トラウマが再発して顔を青くしながら叫んだ。
「ゆ、夢人さ……きゃあああああああ!? いや!? そんなところ!?」
ネプギアが慌てて夢人を助けようとするが、スライヌに足を掴まれてしまい倒れてしまった。
スライヌ達はその隙にネプギアに襲いかかった。
スライヌ達はネプギアの髪に張り付いたり、服の中に入ろうとしたものもいた。
「やだっ!? やめて!? こんなのいやっ!?」
ネプギアは服の中に入ろうとしてくるスライヌの気持ち悪い感触に涙目になりながらスライヌを引き剥がそうとする。
しかし、焦るあまり上手くスライヌを引き剥がせないでいた。
「離れて!? 下着の中にまで!?」
まさか下着の中にまで入ってこようとするとは思っていなかったネプギアは顔を赤くして慌ててスカートを引っ張って下着を隠そうとする。
(いや、助けて……)
ネプギアは思いっきり目をつぶって心の中で助けを求めた。
(お姉ちゃん……夢人さん!)
「ヌラーッ!?」
瞬間、ネプギアは自分が誰かに抱きしめられているのを感じた。
ネプギアが恐る恐る目を開けると、夢人が自分を抱きしめている姿を目にした。
夢人はスライヌを睨みながら叫んだ。
「このエロ犬ども!! ネプギアから離れろおおおおおおお!!」
「ヌラヌラ!?」
夢人が火の魔法を使って体を燃やすと、周りのスライヌ達を燃やし始める。
「消えろ!! 塵1つ残すか!! この世から消えてなくなれ!!」
夢人は火力をあげながら、スライヌ達を燃やし尽くそうと炎の範囲を広げていく。
(……熱くない)
抱きしめられているネプギアはまったく熱さを感じていなかった。
夢人の魔法は自分にも影響がある。
抱きしめられている自分は一番被害を受けるのではと思っていた。
……しかし、ネプギアは夢人の体を燃やす炎からまったく熱さを感じていなかった。
(……温かい)
ネプギアは夢人の体の温かさしか感じていなかった。
久しぶりに間近で感じる夢人の温かさに涙が出てきてしまう。
(ダメなはずだったのに……)
ネプギアは気が付けば、夢人の服を強く握りしめ、顔を服に押し付けていた。
(……あなたの近くにいるのがこんなに嬉しい)
「ハア、ハア……ネプギア?」
夢人はスライヌ達をすべて燃やし尽くすと、息を整えながら自分に抱きついているネプギアに気付いた。
「も、もしかして、熱かったか!? どこか火傷でもしたのか!?」
「……違います」
夢人はネプギアが自分の魔法で怪我をしたのではないかと慌てたが、ネプギアは夢人の服に顔を押し付けたままで動かない。
「じゃ、じゃあ、怖かったのか!? 大丈夫だぞ!? あのエロ犬どもは皆燃やし尽くしたから!?」
「……違うんです」
夢人はネプギアの体が震えていることに気付いた。
ネプギアは涙を流しながら夢人の顔を見上げて言う。
「ダメなんです……もう甘えたくないのに……それでも頼ってしまった私が……いやなんです」
「……ネプギア」
「あなたの優しさに甘える資格なんてないのに……こんな悪い子なのに……あなたに頼ってしまう私が……っ!?」
夢人はネプギアを黙って抱きしめた。
「……やめてください……夢人さん」
「いやだ」
夢人はネプギアの言葉を聞いて抱きしめる腕にさらに力を込めた。
「……離してください……これ以上、私を……」
「ネプギア」
夢人はネプギアを抱きしめたまま言う。
「俺がお前を守る」
……夢人の言葉が静かに、それでいて力強く響いた。
という訳で、今回はここまで!
本当に書いててナナハがまったく登場しなかったことに驚いた
本当だったらナナハが登場するところまで書きたかったんですけど、なんとなく区切りがいいしこれくらいかな?って思ってしまった
次回は予定としてはネプギアとの関係修復、ナナハの救出まで一気に書いていこうと思います
…ユニ達については例のごとく番外編で補完ってことでね
後、クリスマスアンケートについてご報告です
実は追加でアンケートを取りたいと思います
3人分話を作成する予定なのですが、後1人をアンケートで決めたいと思います
今のところ、前までで募集したアンケートでネプギアとナナハを確定として次の4人の中から1人だけ選んでほしいんです
・ユニ
・ロム
・ラム
・アイエフ
アンケートで候補に挙がったこの4人の中から後1人を選びたいと思いますので、何度もすいませんが協力してくれる方は6週目の活動報告の方にコメントをお願いします!
ちなみに、男同士の飲み会も年末に忘年会的な感じで書く予定なので楽しみにしておいてください
それでは、 次回 「本当の自分」 をお楽しみに!