超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
今回は皆さんが待っていたであろうネプギアが夢人に対してどんな思いを持っていたのかを5pb.ちゃん視点でお送りしたいと思います!
…というより、今回ホントにそれだけでなんですよね
それでは、 歌姫ブログ(ラステイション編) はじまります
……ライブと同じようにすれば。
え? もう始まってるの!?
あわわわわ!?
フェル君、しっかり教えてよ!?
え、えっと……
みんなーっ! 今日はボクが担当するからよろしくね!
い、今更かな?
とりあえず、今回は……
夢人くんが果たし状をもらってラステイションへ行った時の話だよね。
夢人くんとユニ様が海に落ちた後からの話だよ。
それでは、 歌姫ブログ ラステイション編 始めるよ!
* * *
ボク達はミッドカンパニーでブレイブ・ザ・ハードに負けてラステイションの教会に帰って来た。
……でも、夢人くんとユニ様はここにはいない。
ユニ様はブレイブ・ザ・ハードに攻撃が効かなかったことで戦意喪失。
そんなユニ様を庇った夢人くんは一緒に崖から海に落ちて、2人とも行方不明になってしまった。
ボク達は皆暗い顔でいた。
……特にネプギア。
彼女は夢人くんとユニ様が落ちた崖から自分も降りようとしていた。
アイエフとコンパが止めなければ本当に降りていたかもしれない。
「……夢人さん……ユニちゃん」
今も2人のことを心配して悲しそうに目を伏せている。
こんな時に気のきいたことが言えない自分がいやになる。
……でも、ボクにも余裕がない。
なにせ、ブレイブ・ザ・ハードの言葉はボク達にとても重く圧し掛かっていた。
女神様がゲイムギョウ界を破滅へ導く悪魔だと彼は言っていた。
女神様の統治が間違っているとは思っていない。
……でも、実際は違うのかもしれないと思ってしまう。
女神様だってできることとできないことがある。
だからこそ、今マジェコンヌに捕まっているんだ。
「……なるほど、女神が悪魔か」
ボク達はケイさんにミッドカンパニーで起きたことを話した。
ケイさんはため息をついてボク達に言う。
「少なくとも彼が言っていることは事実だ……ラステイションでは女神の統治によって親がいなくなった子どももいる」
「そんな!?」
……じゃあ、やっぱり女神様が間違っているの?
「しかし、本当に君たちはそう思っているのかい?」
……どういう意味なんだろう?
「確かに女神のせいで不幸になる者がいるのは本当だ……しかし、マジェコンヌにも同じことが言えるのさ」
だからこそ、ボク達は今まで戦ってこれたんだ。
「女神とマジェコンヌ……いや、ここでは正義と悪と言った方がいいのかな? どちらが正義で悪なのかなんて些細な問題だよ」
ケイさんはボク達にほほ笑みながら言った。
「どちらにも正しいことはあるし、間違ったこともある……要は君たちが何を信じるかが重要なんだ」
ボク達の信じるもの?
「人の正義はそれこそ人の数だけあるはずだ……それぞれの胸にある思いがどれだけ強いのかが重要なんだ」
それぞれの正義か……
ボクはボクの歌で人を幸せにできるのならと、歌を歌い続けてきた。
ボク自身、大勢の人の前に立つことは怖いと感じる。
でも、それでもボクの歌を聴いた人達が少しでも幸せを感じてもらえるように頑張ってきた。
それがボクの戦う理由。
正義って言う言葉に相応しいとは思わないけど、ボクなりの戦いをしてきた。
ボクは女神様達の統治する世界で歌を歌い続けたい。
この思いがあったからこそ、ボクは女神様達を助けるために戦っている夢人くんやネプギア達と一緒に戦うことを決めたんだ。
「……そうね、私が何を信じるかなんてもうとっくに決めていたことだったはずなのにね」
「ですね……わたしも一番大事なことを忘れていたです。わたしはねぷねぷ達、女神さま達を信じて戦うです」
「……アタシも正義の味方だなんて言ってたけど、アイツの言葉で悩んじゃって情けないなぁ……でも! アタシは困っている人達を助けるために戦うと決めてたんだ!」
「がすともそうですの……がすとも少しでも困っている人達の助けになるためにアイテムを造っていたですの」
アイエフ達も同じ気持ちみたい。
「わたしも、お姉ちゃんのように誰かを助ける女神になる」
「わたしも同じ、守られてばかりじゃいやだから」
ロム様とラム様も元気になったみたい。
「……やれやれ、カウンセラーになった覚えはないんだけどね」
ケイさんは苦笑しながらも嬉しそうだった。
「心……彼が求めていたものはこう言うものだったのかな?」
彼?
誰のことなんだろう。
「……皆さんに聞いて欲しいことがあるんです」
……フェルくん?
フェルくんは真剣な表情で話し始めた。
「ボクはブレイブ・ザ・ハードの言った通り、家族を女神を信仰していた人達に殺され……ボク自身も殺されそうになりました」
「フェル君? 何を……」
「黙って聞いておきましょう」
フェルくんは悲しそうに目を伏せながら言う。
「……女神が憎かった。ボクから家族を奪った女神を殺してやりたかった……あの時のボクは本気でそう思っていました」
「……フェル」
「(うるうる)」
ロム様とラム様は涙目になってフェルくんを見つめていた。
「……そんなボクをお兄さんが変えてくれたんです」
フェルくんは嬉しそうに頬に手を当てて言う。
「初めてでした……あんなに思いっきり殴られたのは……心が熱くなったのは」
……殴った? 夢人くんが?
想像できない。
今の2人は仲のよい兄弟にしか見えなかった。
「ボクはあの時、お兄さんを逆恨みしていたんですよ? ユニお姉さんと一緒にいると言うだけで、ずっと恨みの視線を向けていたんです……でも、お兄さんはボクとリンを助けるために戦ってくれたんです」
「ガウ」
フェルくんがリンちゃんの頭をなでながら言う。
「本当にバカな人でしたよ……ボクなんて放っておけばいいのに、自分のことも満足に守れないくせに他人のことを優先するだなんて」
フェルくんはそんなことを言っているけど、表情はとても優しい。
「……でも、そんなお兄さんだからこそ、今のボクがいるんです……確かに、ボクは女神を恨んでいましたが、今は恨んでいません……そう言うことでいいんじゃないですか?」
……そうだよね。
ボク達にできることは夢人くんと同じだ。
目の前で誰かが困っていたら手を差し伸べて助ける。
少しずつでも助けていける。
1人では限界があるかもしれない。
でも、ボク達は1人じゃないから。
「……まったく、私達の知らないところでそんなことがあったのね」
アイエフさんも嬉しそうに笑っていた。
「本当にバカなんだから……ネプギア」
「……なんですか」
アイエフさんが未だ俯いたままだったネプギアに真剣な表情で言った。
「ここではっきりさせておきましょうか……アンタ、いつまで夢人に甘えているの?」
……え?
何を言う気なの?
ボクだけじゃなく、他の皆も困惑しながら2人を見つめた。
「私は甘えてなんて……」
「じゃあ、言葉を変えるわ……いつまで夢人をバカにすれば気が済むの?」
ネプギアが夢人くんをバカにしている?
「私は夢人さんをバカになんてしていません!」
「だったら! どうしてアンタだけいつまでも落ち込んでいるのよ!」
「それは……」
ネプギアはアイエフさんを睨んでいたけど、視線をそらしてまた俯いてしまった。
「夢人とユニが心配だから? ……それはアイツ等をバカにしているって気がついてるの? アイツもゲイムギョウ界に来てからだいぶ頼もしくなったわ……最初にスライヌを見て逃げようとした時とは大違いよ」
スライヌから逃げようとした?
さすがにそれはないんじゃないのかな……
「リーンボックスでアイツは私達のウソのインタビューを聞いても私達を信じてくれていたわ……でも、アンタは私のウソに簡単に引っかかってしまった……それは何で?」
「それは、アイエフさんが……」
「確かに、私がウソをついたわよ……でもね、アンタはそのウソに簡単に騙されてしまった……どうしてよ?」
アイエフさんがネプギアを睨んで言う。
「アンタはいつも【夢人さんは夢人さん】って言ってたわよね……アンタは本当にアイツを見てたの?」
「あいちゃん!」
「コンパは黙ってて! ……思えば、ルウィーでマジック・ザ・ハードにやられそうになった時もそうだった」
マジック・ザ・ハード?
名前の響きがブレイブ・ザ・ハードと似ているってことは、マジェコンヌの幹部?
ボクと会う前にもそんな奴と戦ってたんだ。
「アンタは夢人がアイツの鎌で攻撃されそうになった時、すぐに反応したわ……まるで、夢人がマジックに抵抗もできないと思っていたかのように」
「だって、夢人さんは怪我を……」
「アイツは戦うたびに怪我をしていたわ……アイツが無傷で勝つところなんて見たことないもの」
……そんな無茶ばかりしてたんだね。
「それでもアイツは前を向いて戦っていたわ……でも、アンタはどうなの?」
「……どういう意味ですか?」
「はっきり言ってあげるわ……ネプギア、いつまでも夢人の保護者面するのはやめろって言ってんのよ!」
アイエフさんが机を両手で強く叩いて言う。
「アンタが夢人に罪悪感を感じているのは知っているわ! なにせ、アンタが夢人をゲイムギョウ界に呼んだんだから! そして、何の力もない夢人を勇者という存在にしたことを悔やんでいることぐらい知ってんのよ!!」
「でも、それは……」
「言い訳するんじゃないわよ! アンタは私達にゲイムギョウ界を救うために一緒に戦って欲しいって言ったわよね! でも、アンタは夢人に違うことを望んでいるじゃない!」
ネプギアが夢人くんに望んでいること?
「アンタは自分に優しくしてくれる夢人が欲しかっただけじゃないの! 姉の、ネプ子の代わりに自分に優しくしてくれる存在が欲しかっただけじゃない!」
「そんなことありません! 私は夢人さんにお姉ちゃんの代わりだなんて……」
「だったら、どうして心配なんてしてんのよ! アイツは私達と一緒に戦うために強くなろうとしているわ! どうしてそれを信じてあげられないのよ!」
アイエフさんは涙を流しながら言う。
「アイツは弱いままがいやだから……だから、B.H.C.に頼ってでも強くあろうとしたわ」
「それは勇者の力を使うためじゃ……」
「違うわよ! ……アイツはB.H.C.を使うことがいやだったのよ……本当に勇者の力を引き出すためなら、アイツはバンバン使ってたわ、なにせ造った本人がいるんだもの」
アイエフさんの言葉を聞いて、皆ががすとさんを見た。
がすとさんは頷いて言った。
「……そうですの、実はがすとはルウィーにいた時に夢人に予備のB.H.C.を渡そうとしたですの……でも、夢人はそれを断ったですの」
そうだったの?
でも、何で断ったりなんてしたんだろう。
「最初はお金のことを心配しているのだと思ったんですの……でも、違ったですの」
がすとさんは悲しそうに言う。
「【あんまり頼りたくないんだよ】……夢人はそう言っていたですの……夢人は自分の黒歴史を恥ずかしがると言う以前に、そんなことをしないと戦えない自分が情けなかったんですの」
「……そんな」
……知らなかった。
夢人くんがそんなことを思っているだなんて。
ドラマを見た時の夢人くんの反応はただ恥ずかしがっているようにしか見えなかったから。
「……それにね、夢人が夜中に何をしているのか知ってる?」
アイエフさんが悲しそうにネプギアを見つめて言う。
「アイツは毎晩魔法の練習をしていたり、木刀で素振りをしていたのよ」
毎晩そんなことをしていたんだ。
……もしかして、夜中に時々外から悲鳴が聞こえたりしたのはそれだったのかな?
「確かにお世辞にも上達しているとは言えないわ……だって、アイツは毎回火だるまになったり、氷漬けになったり、石柱が体に当たって転がるわ、終いには頭から地面に突き刺さったことだってあったわ」
「……そんなことしていたなんて」
ネプギアは知らなかったようですごく驚いていた。
「アンタは夢人が側にいてくれれば充分だったのかもしれない……でも、アイツは違うわ……アイツは私達と一緒に、いえ、私達を守るために頑張って強くなろうとしているわ」
「……私はそんなつもりで約束したわけじゃないのに」
ネプギアが自分の右手の小指を悲しそうに見つめて言う。
「私は皆で協力してお姉ちゃん達を……女神を助けてゲイムギョウ界を救おうって思っていたのに……」
「夢人も同じ気持ちよ……でも、アイツは自分が弱いことを誰よりも自覚していたわ……だからこそ、強くなろうと力を求めていたのよ」
アイエフさんがネプギアを睨みながら言う。
「アンタは何でそんな夢人を知らなかったのよ! ルウィーでロムとラムを守れなくて泣いていたのは知っていたはずよ!」
「わ、私は……」
「アンタは【夢人さんは夢人さん】って言って、本当は夢人を見ていなかったのよ! アンタはいつもアイツの優しさに甘えていたのよ!!」
……うん、アイエフさんの言葉は正しいと思う。
だって、ルウィーで夢人くんが怪我をした時のネプギアの反応はボクでもおかしいと思った。
夢人くんはロム様とラム様を守ろうとしてトリック・ザ・ハードと傷だらけになってまで戦ったはずだ。
それを見て慌てるのはおかしい。
ボクなら絶対にしない。
だって、それは夢人くんをバカにしているから……
ロム様とラム様を守ろうとした夢人くんを侮辱してしまうから……
彼はボク達に絶対にロム様とラム様を守ると約束した。
……ボクは嬉しく思った。
夢人くんが傷だらけでも約束を守ってくれたこと。
本当なら逃げ出してもおかしくはない。
夢人くんはきっと1人では勝てないことはわかっていたはずだ。
……それでも逃げなかった夢人くんをボクは強いと思ったんだ。
誰にでもできることじゃない。
それが夢人くんの強さなんだって思えた。
……ネプギアはそれがわからなかったから慌てたんだと思う。
ネプギアは夢人くんを守るべき対象にしか見ていなかったんだ。
一緒に戦う仲間じゃない。
アイエフさんの言う通り、自分が前を向くために背中を押してくれる優しい存在が欲しかっただけなのかもしれない。
確かにそれでも構わないと思う。
……でも、夢人くんは違う。
彼はネプギアの隣にいたかったんだ。
隣で一緒に戦う仲間と認めて欲しかったんだ。
だからこそ、傷ついてでも戦ってこれた。
……そんな夢人くんの姿を知ってもネプギアは変わらなかったんだ。
彼女は夢人くんに一緒に戦うことを求めてなんかいなかったんだ。
それはきっと罪悪感。
ゲイムギョウ界に勝手に呼び寄せてしまった後悔。
そんな気持ちがあったからこそ、ネプギアは夢人くんに自分を支えてくれる以上の働きを求めていなかったんだ。
夢人くんの優しさを勘違いしたままで甘えていたんだ。
「……夢人さん」
ネプギアはアイエフさんの言葉を聞いて、俯いたまま涙を流し続けた。
……きっと今も彼女は後悔している。
また夢人くんを信じられなかったことを……
夢人くんの気持ちを裏切っていたことを……
自分の心の弱さに涙しているんだと思う。
* * *
夢人くんとユニ様が行方不明になって3日後、突然ブラックディスクが光だしたと思ったら飛んで行ってしまった。
ロム様が言うには、もしかすると夢人くんのいるところに向かったのかもしれないらしく、ケイさんに協力をしてもらってとある島に向かったんだ。
そこには体中に包帯を巻いた夢人くんとユニ様、それに旅の剣士のファルコムさんと子ども達がお墓を造っていた。
お墓には焦げた剣が刺さっていた。
「ハードブレイカー、お前との約束……必ず守ってみせる……だから、見守っていてくれ」
……なんだか知らないけど、夢人くんがすごくかっこよく思えた。
ラステイションに来た時は、どこか焦っている感じがあったが、今ではそれがなくなり頼もしいとさえ思えてしまった。
ロム様とラム様に抱きつかれた夢人くんは嬉しそうにほほ笑んでいた。
……うん、やっぱりかっこよくなった気がする。
会わなかった間に何があったんだろう。
でも、ネプギアはあからさまに夢人くんを避けていた。
夢人くんが声をかけようとすると、すぐに逃げてしまった。
夢人くんはその姿を見て落ち込んでいた。
夢人くんが頭を抱えて座り込むと、子ども達が周りから「振られたーっ」とか言って夢人くんをいじっていた。
夢人くんは涙目になりながら地面にのの字を書いていた。
さっきまでのかっこよさとか全部台無しになっていた。
……でも、頑張ってほしい。
今のネプギアを救えるのは夢人くんだけだから。
きっと夢人くんの存在が今のネプギアに必要なんだと思う。
……信じているよ、夢人くん。
また皆で笑いあえるようになることを……
…………
えっと、終わったのかな?
今回は本当にネプギアが大変なことになったよね。
落ち込んで夢人くんを避けるようになったネプギア。
ネプギアも真面目だから、1人で解決できないでいるんだと思う。
自分の問題で他人に迷惑をかけたくないとも思っているのかもしれない。
だから、1人で悩んで自分を傷つけているんだ。
……ふふっ、そうだねフェルくん。
あんなにネプギアを見ている夢人くんならきっと何とかしてくれるはずだよね。
誰よりも優しくなろうと決めた夢人くんなら。
ネプギアの心もきっと守ってくれるよね。
頑張ってね、優しい勇者様。
という訳で、今回は以上!
さて、うまく伝わってくれたでしょうか?
何分、ネプギア本人の視点じゃないので限界がありました
次章のリーンボックス編で彼女がどのように変化するのかを楽しみにしておいてくださいね!
…なんかそう書くと、ユニが本当に優遇されているように思えてしまう
リーンボックス編の最後にはコンサートイベントもあるし、そこで挽回するかな?
それでは、 次回 「特訓開始」 をお楽しみに!