超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
今日から12月、気分も新しく投稿を頑張りますね!
さて、今回はブレイブ編の最終話!
ブレイブとの決戦メインです!
それでは、 譲れない思い はじまります


譲れない思い

「貴様が俺を倒すだと? 寝言は寝て言え!」

 

「寝言なんて言ってないさ! お前は俺が倒すって言ってんだよ!」

 

 夢人がブレイブに右手の拳を向けて叫んだ。

 

 ……無理だ。

 

 そんなことできるわけない。

 

 夢人は体中傷だらけで、血も流し続けている。

 

 今立っているのさえ信じられない姿なんだ。

 

 アタシは夢人に死んでほしくない!

 

 気が付けばアタシは夢人の前に駆け出して、夢人を庇うように両手を広げてブレイブに叫んだ。

 

「待って! これ以上、夢人を傷つけないで!」

 

「ユニ!?」

 

 夢人の驚く声が聞こえてきたが、アタシはそれを無視してブレイブに泣きながら叫ぶ。

 

「アンタは女神であるアタシを殺せばいいんでしょ! それならアタシは死んでもいい! ……その代わり、夢人は見逃してよ!」

 

 ……お姉ちゃんだけでなく、夢人まで失ったらアタシはもう生きていけない。

 

 だったら、夢人には生きていて欲しい。

 

 アタシは夢人が生きていけるなら死んでもいいから。

 

「ふん、それは無理な相談だな」

 

 ……ブレイブはそんなアタシの願いを鼻で笑いながら否定した。

 

「俺の目的は確かに女神を殺すことでもある……しかし、今の俺の最優先目的は勇者を殺すことだ」

 

 ……なんで

 

 なんで夢人を殺さなきゃいけないのよ!?

 

 アタシじゃ夢人を守れないの!?

 

 できそこないのアタシじゃ大切な人を守れないの!?

 

 アタシはもう立っていられなかった。

 

 膝から力が抜けて崩れ落ちる体。

 

 両手で顔が地面にぶつかることを防ぐことしかできなかった。

 

「……いや……いやだよぉ……」

 

 アタシは涙を流しながらつぶやいた。

 

 大切な人が傷ついていく姿がいやだ。

 

 何もできない自分がいやだ。

 

 ……涙なんてもう流れないでほしかった。

 

 悔しくて

 

 悲しくて

 

 情けなくて

 

 そんな気持ちばかり溢れてこないでよ!?

 

「ユニ、大丈夫だ」

 

「……夢、人?」

 

 夢人が今度はアタシを庇うように立っていた。

 

「お前の涙も、ファルコムや子ども達の思いも……ハードブレイカーの死も無駄にはしない!」

 

 背中しか見えなかった夢人だったが、アタシにはすごく頼もしく見えた。

 

「俺はできそこないの勇者で……女神の様な強い力もブレイブ・ザ・ハードの様なでかい体でもない……でもな、そんなお前らに負けないものがある」

 

 ……アタシ達に負けないもの?

 

「ゲイムギョウ界を救う! この思いだけは絶対に負けられない!」

 

「仮に貴様らがゲイムギョウ界を救ったとして、再び女神の統治で不幸になるものが出てくるのだぞ? それを貴様は見過ごすと言うのか!」

 

 ……そうだ。

 

 女神の統治では不幸になる人達が出てくる。

 

 すべての人を幸せにできるわけがないんだ。

 

「じゃあ、お前らが正しいのか? 今のお前らの行動で不幸になる人達もいるんだ!」

 

「……少なくとも、女神の統治よりはマシになる……人々はそれを理解しているからこそ、マジェコンを求めているのだ」

 

「わかってないな、ブレイブ・ザ・ハード」

 

「何?」

 

 ……夢人?

 

 何を言う気なの?

 

 ブレイブの言う通りなのよ?

 

 アタシ達女神のことを信じていない人達がマジェコンを求めている。

 

 それは否定できない。

 

「人は弱いからこそマジェコンを求めるんだ……そこに正しさなんて求めていないんだよ」

 

「ならば尚のこと、そのような弱い人間達はゲイムギョウ界には不要な存在だ……おとなしく我らマジェコンヌの支配を受け入れるべきであろう」

 

「違う! そんな弱い人間だからこそ、ゲイムギョウ界に必要なんだ……弱いからこそ他人に優しくもなれる」

 

 夢人は木刀をブレイブへと構えて叫ぶ。

 

「見せてやるよ! 弱い人間の心を! できそこないの意地を!」

 

 夢人はそう言って、ブレイブに駆け出した。

 

「弱いからこそ優しくなれる? ……そんなことはない!」

 

 ブレイブは夢人に向かって剣を振り下ろす。

 

「ぐっ!?」

 

 夢人は剣の直撃は避けたが、剣が地面に当たった衝撃で砂浜を転がった。

 

「弱さは何も守れはしない! ……ましては、傷だらけの貴様に何ができる!」

 

「できるさ……この手で救えるものがあるなら、何度だって立ち上がってやるよ!」

 

 夢人は木刀を支えにして立ち上がった。

 

「夢人君! ……っ、ユニ!?」

 

 ファルコムが慌てて夢人に駆け出そうとした。

 

 しかし、アタシはファルコムの腕を掴んでいた。

 

「ユニ!? どうして!?」

 

 ……ダメ。

 

 今の夢人を止めちゃダメなの。

 

 アタシは首を左右に振りながらファルコムに言った。

 

「夢人の邪魔をしちゃダメなの」

 

「邪魔って……夢人君が死んでしまうかもしれないんだよ!?」

 

 それでも……

 

 アタシ達は夢人を止めちゃダメなの!

 

「死なない……アタシは信じてる」

 

「……ユニ」

 

 ……バカで、情けなくて、カッコ悪くて、弱くて、変態で、

 

 できそこないの勇者の夢人。

 

 そんな夢人が今はかっこよく見える。

 

 だから、アタシに信じさせて。

 

 ……アンタが勝つ姿を。

 

 

*     *     *

 

 

 ……強くなりたかった。

 

 目の前でネプギア達が傷つく姿を見たくなかったから。

 

 勇者の力を……

 

 俺だけの力が欲しいと願っていた。

 

 ……でも、違う。

 

 俺は強くなった気でいただけだ。

 

 B.H.C.に依存していただけだ。

 

 自分の弱さを否定して、強い自分だけを求め続けた。

 

 弱くて無力な自分が嫌いだったんだ。

 

 でも、俺のそんな考えをファルコムや子ども達、ハードブレイカーが壊してくれた。

 

 ……こんな弱い俺でも救えた人達がいた。

 

 ネプギアやユニ、ロムやラム、ナナハにフェルだってそうだ。

 

 皆俺に、できそこないの俺に【ありがとう】という言葉をくれたんだ。

 

 俺は嬉しかった。

 

 こんな俺でも誰かを救えたんだと思えたからだ。

 

 ……忘れてたんだ。

 

 勇者の力が引き出せるようになって、俺はきっと調子に乗っていたんだ。

 

 俺が彼女たちにできることを。

 

 俺が彼女たちにできることは戦うことだけじゃない!

 

 彼女たちが立ち上がれないなら、俺が手を貸そう。

 

 彼女たちが立ち上がれるように、何度でも傷つこう。

 

 困っている人達がいれば、全力でその問題にぶつかっていこう。

 

 例え、それが俺には関係のない人達でも、優しくあろう。

 

 俺にできることはそんな小さいことだけだ。

 

 ……だけど、それで充分だ。

 

 ネプギア達のように強い女神ではない。

 

 アイエフ達のように強い人間でもない。

 

 弱い勇者で弱い人間である俺が持てる強さ。

 

 ……誰よりも優しくなる。

 

 俺の強さで彼女たちが前を向いて歩けるように……

 

 俺の強さがゲイムギョウ界に広がるように……

 

 俺のつないだ手が次の誰かの手をつなげるように……

 

 人が人に優しくできるように……

 

 強くなることが誰かを見捨てることにつながるのなら、俺は弱いままでいい。

 

 見捨てられた誰かを救える力はこの手にあるんだ。

 

 できそこないの俺でも守れるものがある。

 

『……本当にいいの?』

 

 ……また声が聞こえてきた。

 

『誰にも負けない強さが欲しくないの?』

 

 ……いらないよ

 

 俺が欲しかった強さはもう持っていたんだ。

 

 俺はもう忘れない。

 

 誰にも負けない自分が誇れる強さを持ってるんだから。

 

『……だったら、がんばってね』

 

 ……声は嬉しそうだった。

 

 わかってるよ。

 

 だからこそ、負けるわけにはいかないんだ。

 

 俺を信じてくれるアイツ等のためにも。

 

 ……今立ち上がれないユニのためにも!

 

 俺の強さで守ってみせる!

 

 

*     *     *

 

 

「戯言を! これで終わりだ!」

 

 ブレイブが再び夢人にブレイブソードを振り下ろした。

 

 夢人はまたそれを避けるが、衝撃が再び夢人を宙に浮かせる。

 

「何度も転がってたまるか!」

 

 夢人は風の魔法を使ってブレイブソードの周りを旋回しながらブレイブに近づく。

 

「何っ!?」

 

 ブレイブはそんな夢人の思わぬ動きを見て、動きを止めてしまった。

 

 やがて、夢人は損傷した左肩に木刀を突き刺した。

 

「ぐっ!? しかし、これしきのことで!」

 

 ブレイブは苦しそうな声をあげるが、すぐに夢人を握りつぶそうと右手で掴もうとする。

 

「させるかよ!」

 

「ぬおっ!?」

 

 夢人は歯を食いしばって自分にできる最大の風を巻き起こした。

 

 風は渦を巻き、竜巻となって夢人とブレイブを巻き込んで上空へと昇っていく。

 

「……あっ」

 

 夢人は竜巻でブレイブから離れてしまわないように木刀を握りしめていたが、突然ふらつきだした。

 

(……意識が……遠のいていく……)

 

 体中から血を流し過ぎた夢人は意識が朦朧としだした。

 

(……まだ……何も……)

 

 目の焦点がブレ出して、木刀を握る手から力が抜けて落ちそうになった夢人の耳に声が聞こえた。

 

「負けんじゃないわよ!!」

 

(ユニ……?)

 

 ユニが夢人に向かって泣きながら叫んでいた。

 

「アタシは信じてる!! アンタが勝つのを!! ……だから、勝ちなさいよ!!」

 

(……ユニ……そうだった……ここで終わるわけには!)

 

 ユニの叫びを聞いて夢人は遠のいていく意識が戻っていくことを感じた。

 

「負けるわけにはいかないんだよ!!」

 

 夢人は再び木刀を握る手に力を込めて叫んだ。

 

 やがて、夢人とブレイブは上空高くに投げ出された。

 

 ブレイブは頭から落下していく自身を感じながらも冷静に言い放つ。

 

「残念だったな、俺にはウイングがある……ここから突き落とされても俺には何の意味もない」

 

「それはどうかな?」

 

「何……これは!?」

 

 ブレイブは自身のウイングが凍りついていたことに驚愕した。

 

 よく見てみると、夢人の足から氷が伸びており、ウイングを凍らせていたのだ。

 

「これでお前のウイングは使えない……加えて!」

 

 夢人は凍っている足の魔法を解くと、すぐに自分の体を燃やし始めた。

 

 やがて、夢人の体からでる火は重力によって落下していくブレイブを加速させる。

 

「ぐううううっ!? しかし、下は海だ! 最後に目測を誤ったな!」

 

 ブレイブは落下速度が上がったことで身動きが取れずにいたが、真下が海であることに気付いた。

 

「いいんだ! 無ければ造ればいいんだから!」

 

 夢人は自分を燃やすのをやめて自分の真下から石柱を伸ばし始めた。

 

 ……自分がいる場所の真下。

 

 損傷している左肩に向かって石柱は伸び続ける。

 

「喰らえええええええええ!!」

 

「ぬわああああああああ!?」

 

 空から落ちてくるブレイブと海中から伸びてきた石柱が空中でぶつかると、ブレイブは苦しそうに悲鳴をあげた石柱がぶつかった左肩に石柱がめり込むように刺さる。

 

「うわっ!?」

 

「夢人!?」

 

 夢人はブレイブと石柱がぶつかった衝撃でブレイブの左肩から吹き飛ばされてしまった。

 

 ユニはそんな夢人の姿を見て、慌てて『変身』して夢人に向かって飛翔した。

 

「ってて……何とか一矢報えたかな?」

 

「……うん、かっこよかったよ、夢人」

 

 夢人は空中でユニに抱きかかえられながらほほ笑んで言った。

 

 ユニも夢人を見て顔をほころばせて、夢人を抱える腕に力を込めた。

 

「次は、アタシの番」

 

 ユニは夢人を浜辺に下ろすと、左肩が大破していながらも立ち上がって来たブレイブに向けて鋭い視線を向けた。

 

「ま、まだだ! まだ終わっていないぞ!」

 

 

*     *     *

 

 

 不思議な気持ちだ。

 

 あんなに怖がっていたブレイブ・ザ・ハードを前にしても、アタシはもう怯まない。

 

 夢人が教えてくれた。

 

 できそこないの勇者でもかっこいいところを見せつけられちゃった。

 

 ……なら、次はアタシの番だ!

 

 できそこないの女神だからってもう諦めたりはしない!

 

 まっすぐ自分を貫いてみせる!

 

 ……あの夜の夢人の答えに応えるために!

 

 

*     *     *

 

 

「ユニ、俺は……逃げないよ」

 

 ……どうして

 

 どうしてなの!?

 

 アンタはもう充分頑張ったじゃない!?

 

 そんなに傷ついてまで戦う必要なんかないじゃない!?

 

「約束したから……例え、弱くてもゲイムギョウ界を一緒に救うって」

 

 夢人は空を見上げながら言った。

 

「俺は今は弱いけど、強くなってアイツ等を守りたいんだ」

 

 ……わかってた。

 

 夢人がこう答えるってわかってた。

 

 アイツ等とか言ってるけど、本当はアイツのためだってわかってる。

 

 ……ネプギア。

 

 夢人はネプギアと約束したから戦ってるんだ。

 

 ネプギアは気付いていないだろうが、夢人はネプギアのことが好きなんだろう。

 

 ……だって、話す声が優しい。

 

 きっと夢人はネプギアと約束したことを思い出しながらアタシに話しかけてる。

 

 ……何でアタシじゃないんだろう。

 

 アタシじゃダメなのかな。

 

 アタシはこれ以上、優しい声でネプギアのことを思っている夢人を見たくなく逃げ出してしまった。

 

 ……ただ胸が苦しくてこれ以上、夢人と一緒にいたくなかった。

 

 

*     *     *

 

 

 ……あの時の言葉。

 

 きっとアタシのことを考えていてくれた。

 

 今だからこそわかる。

 

 あれはアタシを励まそうとしていたんだ。

 

 自分をできそこないって卑下してたアタシがまた立ち上がれるように優しく話しかけていたんだ。

 

 ……ひねくれててごめんね、夢人。

 

 でも、今ならわかるよ。

 

 夢人の優しい気持ちが伝わってくるよ。

 

 そして、夢人の優しさを利用しようとしてごめんね。

 

 あの時、アタシは夢人に甘えていた。

 

 全部夢人のせいにして逃げようとしていたんだ。

 

 ……ダメだよね。

 

 アタシはもう決めていたんだ。

 

 アタシが女神として戦う理由を……

 

 アタシが愛しているゲイムギョウ界のために戦うってことを……

 

 もう忘れない。

 

 アタシはマジェコンヌによって不幸になる人達を助けるために女神であり続ける。

 

 例え、それで不幸になる人達がいても大丈夫。

 

 ……夢人がいるから。

 

 弱い人間の夢人がアタシに見せてくれた強さを信じる。

 

 アタシの言葉で立ち上がってくれた夢人を信じる!

 

 だから、アタシはまっすぐに自分を貫く!

 

 アタシができないことは夢人が支えてくれる。

 

 夢人にできないことはアタシが支えるから……

 

 アタシはもう諦めない!

 

 

*     *     *

 

 

「アンタの相手はアタシよ! ブレイブ・ザ・ハード!」

 

「震えていた女神候補生が何を生意気なことを言っている!」

 

「そうよ! アタシはアンタに怯えていたわ……でも、もう怯えたりはしないわ!」

 

 ユニはX.M.B.をブレイブに向けて構えながら叫ぶ。

 

「アタシは1人じゃないから! アタシにはアタシを支えてくれる大切な人がいるから! アンタなんかに絶対に負けないわ!」

 

「何を言って……ん?」

 

 ブレイブは視界の端に夢人に向かって飛んでくる物体を見つけた。

 

「これは……ブラックディスク!?」

 

 夢人が飛んできたブラックディスクを掴んだ時、また頭の中に声が響いてきた。

 

『……力を……1つに……』

 

「力を1つに……」

 

 夢人は目をつぶって、ブラックディスクに自分の体内にある『シェアクリスタル』からシェアエナジーを送り込んだ。

 

『……思いは……伝わる……』

 

「ユニ!」

 

 夢人はシェアエナジーを送り込んだブラックディスクをユニに向かって投げた。

 

 ユニはブラックディスクを受け取ると、胸に当てた。

 

 すると、ブラックディスクは光となってユニの体の中に消えていった。

 

「……うん、夢人の思いは伝わったわ」

 

 ユニは夢人にほほ笑むと、ブレイブに視線を戻した。

 

「さあ、撃ち抜くわ!」

 

「貴様の攻撃は俺に通用しないことがわからんのか」

 

 ブレイブは右手だけでブレイブソードを構えた。

 

 ユニはそれを見ても口元に笑みを崩さずに、ブレイブを見据えた。

 

「今のアタシは絶対に負けないわ!」

 

 ユニは全力でブレイブに向けて攻撃を放った。

 

 ブレイブに向けて、X.M.B.から一条の光がまっすぐに向かっていく。

 

 ブレイブはミッドカンパニーの時と同じように、ユニの攻撃をブレイブソードで受け止める。

 

「ぬっ!? 出力が上がっているだと!? これが勇者の力による女神の力の増大か!?」

 

 ブレイブはユニの攻撃の威力が上がっていることに驚く。

 

 苦しそうに呻きながら、ブレイブソードで光を掻き消そうとするが、次第に自分の体が押され始めていることに焦り出した。

 

「違うわ! これは勇者の力なんかじゃない!」

 

 ユニはX.M.B.から放たれる攻撃の出力に押されて少しずつ後ろに下がりながらも叫ぶ。

 

「これは! アタシと夢人の! ……できそこないの力だ!!」

 

「ぬわっ!?」

 

 ユニの攻撃の威力がさらに高まったことで、ブレイブはついにバランスを崩してしまう。

 

 光を受け止めていたブレイブソードは弾かれ、光が胴体に直撃した。

 

「最大火力! ぶち抜けえええええええ!!」

 

「ぐおおおおおおおおっ!?」

 

 胴体に直撃した光は、ブレイブの体を貫くように光を増していき、当たった個所から黒い煙とともに爆発が巻き起こった。

 

「……っ、ハア、ハア」

 

「ユニ!」

 

 ユニは攻撃をすべて出しつくすと、『変身』が解けて後ろから倒れそうになった。

 

 夢人はそんなユニを受け止めて言った。

 

「やったな」

 

「……ええ」

 

 ユニは疲れた顔で笑みを造って夢人に応えた。

 

「……見事だ」

 

『……!?』

 

 夢人とユニは慌ててブレイブが立っている場所を見た。

 

 ブレイブは手に持っているブレイブソードに罅が入っており、体もユニの攻撃が当たった箇所が黒く焦げついていた。

 

「貴様らの攻撃は見事だった……だが、俺は貴様ら女神の正義を認めたわけではない!」

 

 ブレイブはそう言うと、飛び上がりながら夢人達に言う。

 

「いずれ決着をつけるぞ……どちらの正義が正しいのかを……それまで首を洗って待っていろ! 勇者! それに、ラステイションの女神候補生よ!」

 

 ブレイブはそれだけ言うと、夢人達に背を向けて飛び去ってしまった。

 

「……見逃されたのか?」

 

「……どうなのかしら?」

 

 夢人とユニはブレイブが飛び去っていく姿を見ると、砂浜に転がった。

 

「……夢人」

 

「なんだ?」

 

 夢人は首だけユニの方に向けて尋ねた。

 

 ユニは夢人に疲れを感じさせぬ満面の笑みを浮かべて言う。

 

「かっこよかったよ……できそこないの勇者さま」

 

「そっちもな……できそこないの女神さま」

 

 2人はそう言って、互いに笑いあった。




という訳で、今回は以上!
ということで、ブレイブ編、完結!
いやあ、ブレイブ編はほとんどシリアスでしたね
本当だったら、こども達とどのように遊んだのかを入れようとしたのですが、なんとなく雰囲気が崩れそうで入れられませんでした
流れって大事ですからね
そして、後は番外編を2話投稿して次のリーンボックス編に入るわけですが、今回の番外編もシリアスですからね
特に、ネプギア達視点の5pb.ちゃん視点は感想欄でも書いたように、ネプギアが夢人のことをどう思っているのかを書く予定です
皆さん気になっていたことだと思いますので、楽しみに待っていてくださいね!
まあ、次回はユニちゃん視点ですけどね
それでは、 次回 「女神通信R(ユニ編)」 をお楽しみに!

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