超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
今回でトリック編はおしまいです!
ちょっと短いかなって思ったけど、四天王編はこれくらいの長さで作ってくからよろしくね!
…そして、今回ロムちゃんとラムちゃんファンの皆様には最初に謝っておきます
ごめんなさい
理由は本編を読めばわかると思います
それでは、 重なる心と体 はじまります
「何でキラーマシンが!?」
夢人は自分に迫ってくるキラーマシンを見て驚愕した。
「アイツはブロックダンジョンでゲイムキャラに封印されているはずなのに!?」
「ん~? お前はあれを知っているのか?」
トリックはキラーマシンを指さしながら夢人に尋ねる。
(コイツはキラーマシンのことを知らないのか? ……そうだ!)
夢人はキラーマシンを指さしてトリックに言う。
「ああ、知ってる……アイツの名前は幼女キラーマシンだ!」
「……は?」
「……え?」
ロムとラムは夢人の言葉の意味がわからずに首をかしげる。
「アイツは名前の通り、幼女をこの世からなくすためのロボットなんだ!」
「な、何だと!?」
トリックは夢人の嘘を聞いて驚く。
「きっとロムとラムをその身に搭載した急成長ビーム装置を使って熟女へと成長させる気なんだ!」
「そ、そんな恐ろしいロボットがいたなんて!? 吾輩知らなかったぞ!?」
夢人はトリックから顔をそむけて瞼を押さえる。
「アイツはルウィーのゲイムキャラが幼女たちを守るために封印していたはずなんだ……それなのに封印が解けて動き出してしまったんだ」
「……封印? まさか!? 吾輩がルウィーのシェアを低下させてしまったから!?」
トリックは夢人の言葉を聞いて愕然としてしまう。
「そ、そんな……吾輩が幼女たちを危ない目に合わせてしまったと言うのか……」
夢人はトリックが俯いて肩を震わせているのを見てにやりと笑って言う。
「きっとそうだ……それにアイツには女神の攻撃が効かない。俺達は黙ってロムとラムが熟女にされるのを見ているしかできなんだ」
「……夢人」
「……お父さん」
ロムとラムは夢人の言葉を聞いて呆れた目で夢人を見ていた。
「もうダメなんだ……お終いなんだ」
「……させん」
夢人の言葉を聞いてトリックが叫び出す。
「幼女を成長なんてさせんぞ!! 吾輩が幼女を守る!!」
トリックは叫びながらキラーマシンに向かって駆け出す。
〔……ジャマ……スルナ……〕
キラーマシンは自分に近づいてくるトリックに向かって手に持つ剣を振り下ろす。
「ふん! そんなものは効かん! レーロッ!」
トリックは剣を舌で絡みとって動きを止める。
「幼女こそ世界の宝!幼女を守るためなら吾輩は誰にも負けん!」
トリックはキラーマシンの巨体を舌でぐるぐると振りまわす。
〔?!?!?!?!?!〕
キラーマシンは自身の体が振りまわされたことで、AIの思考が停止してしまい抵抗できずにいた。
「そーれっ!」
〔?!?!?!?!?!〕
トリックは振りまわしていたキラーマシンを勢いよく地面に叩きつけた。
「見たか! 吾輩の力を! 幼女に対する愛を!」
(あのキラーマシンが!? あんな簡単に!?)
夢人はキラーマシンが手も足も出ずにトリックにやられている光景を見て目を見開いて驚く。
かつて対峙した時は、ネプギアの全力の攻撃でも傷一つおわせることができなかった相手がトリックの前では何もできないことに絶句した。
(あれがマジェコンヌの幹部の力……俺達が倒さなきゃいけない奴らの実力)
夢人は悔しそうに顔を歪めて拳を強く握りしめた。
地面に叩きつけられたキラーマシンはゆっくりと立ち上がると、再びトリックに向かって剣を振り下ろした。
「何度やっても無駄だ!」
トリックは舌で剣の腹を攻撃して、剣を叩き折った。
「アククククク、何度やっても無駄……って、しまった!?」
トリックは剣の破片が向かう方向を見て慌てた。
剣の破片は真っ直ぐにロムに向かって飛んでいったのである。
「ロム!?」
夢人は慌ててロムを抱き寄せて、その場で丸まった。
「だめえええええええ!?」
しかし、破片はいつまでたっても夢人に突き刺さることはなかった。
夢人はいつまでも自分に破片が飛んで来ないことを疑問に思って後ろを見て言葉をなくしてしまった。
「……ラ……ム……?」
そこには剣の破片から自分達を守ったラムの姿があった。
* * *
破片がロムちゃんと夢人に向かって飛んできているのを見て体が勝手に動いた。
……もう傷ついてほしくない。
わたしが2人を守りたかったから。
「だめえええええええ!?」
わたしは叫びながら夢人を庇うように両手を広げて立った。
「……あ……う……」
わたしの胸に破片が刺さった。
……夢人はこんな痛みを我慢しながらわたし達を守ってくれていたのかな?
だとしたら、わたしは弱いなぁ。
だって、もう立っていられないんだもん。
「……ラ……ム……?」
……あれ。
夢人の言葉が遠く感じるよ。
近くにいたはずなのに……
「ラム! ラム!!」
夢人がわたしを抱きかかえて呼びかけてきている。
……あ、あはは。
そんなに泣くことないよ。
だって、わたしは2人にもう傷ついてほしくなかったから。
笑顔でいてほしかったから……
「……ゆ……め……と……だい……じょ……ぶ……?」
……あれ、おかしいな。
上手く言葉が出てこないよ。
「どうして……」
ロムちゃんも泣いてる。
ごめんね。
わたしロムちゃんの泣き顔を見たくなかったのに。
いっぱい泣かせてばっかだね。
「ロ……ム……ちゃ……ん」
わたしはポケットから粉々に砕けたペンの欠片を取りだした。
「……おそ……ろ……い……の……ペン……こわ……して……ごめん……ね」
……破片が胸に刺さった時にペンが砕けたのがわかった。
これだけは謝らないとダメだと思った。
だって、これはロムちゃんやお姉ちゃん達との思い出がいっぱい詰まったものだったから。
「……っ!! ラムちゃん!? いや!?」
……思い出してくれたんだ。
よかったよ。
……ロムちゃんの顔をもっとよくみたいのに。
どうして瞼が重くなってくるんだろう。
「いや!? 目を開けて!? ラムちゃん!!」
「ラム!! 目を開けてくれ!? ラム!!」
……ごめんね、夢人、ロムちゃん。
わたしはずっと夢人やロムちゃんと一緒に……
* * *
「いや!? 目を開けて!? ラムちゃん!!」
「ラム!! 目を開けてくれ!? ラム!!」
俺の腕の中でラムが段々と冷たくなっていく。
ふざけるな。
ふざけるなよ!!
ラムが一体何をしたって言うんだ!!
ラムはロムとずっと一緒にいたかったんだ!!
お姉さんやミナさん達と一緒に笑いあって暮らしていたかったんだ!!
ロムにウソをついていたことをずっと悩んで傷ついていた優しい子だったんだ!!
自分のことを臆病者だと、卑怯者だと自分を責めて傷ついていた子だったんだ!!
それがなんだ。
せっかくロムの記憶が戻ってもお前がいなきゃ意味ないだろ……
誰よりもロムのことが好きなお前がいなきゃ意味がないだろ!!
「……何が勇者だ……何が『シェアクリスタル』だ……!」
目の前で起きてる悲しみを止めることもできないじゃないか!!
……俺はどうして無力なんだよ!!
守ると約束した2人をどうして守れないんだよ!!
『……1つを2つに』
突然、頭の中に声が聞こえてくる。
……この声はなんだ。
どこかで聞いたことがあるような気がする。
俺は持っていたホワイトディスクが光っていることに気付いた。
「ホワイトディスクが……っ!?」
俺がホワイトディスクを取りだすと、ホワイトディスクは空中で2つに割れてしまった。
そのままホワイトディスクであったものは、ロムとラムの体に光となって吸収されていった。
『……2人は1人に』
頭の中で声が聞こえたと思ったら、2人が光だした。
この光は女神の『変身』の時の光と似ている。
やがて、俺の目の前には1人の少女が立っていた。
* * *
ラムちゃんがわたしと夢人お兄ちゃんを庇って怪我をした。
わたしと夢人お兄ちゃんは涙を流してラムちゃんに呼びかけることしかできなかった。
……どうして!?
どうしてラムちゃんが!?
わたしはただラムちゃんやお姉ちゃん、ミナちゃん達と一緒に笑っていたかったのに!!
せっかく仲直りもできたのに!!
記憶だって戻ったのに!!
どうしてわたしの大切な人はわたしを置いて行ってしまうの!!
……いやだよ。
わたしを置いて行かないでよ!!
ラムちゃんが隣にいないと、わたしは笑えないよ。
だから、起きてよ。
わたし達は2人でルウィーの女神候補生なんだよ。
ラムちゃんがいなくちゃ、わたし……
何もできないよぉ……
わたしがラムちゃんの手を強く握りしめていると、わたしの中に何かが入って来た。
……これは、何?
温かい。
この温かさは……
夢人お兄ちゃん?
気が付けば、わたしは光に包まれていた。
……『変身』の時と同じだ。
でも、ラムちゃんと一緒だった。
わたしの中にラムちゃんが入ってくるみたい。
『……ロムちゃん?』
ラムちゃん!?
今、頭の中にラムちゃんの声が聞こえた!?
『……えっ? これ、どうなってるの?』
ラムちゃんも今の状態がわからないみたいだ。
わたしもわからない。
……でも
「……よかった、ラムちゃんを感じるよ」
わたしは両手で胸を押さえて静かに涙した。
『わたしも……ロムちゃんを感じるよ』
ラムちゃんも同じ気持ちなんだね。
……本当によかったよ。
「……ラムちゃん」
『……わかってるわ』
わたし達は言葉にしなくてもわかりあえた。
「夢人お兄ちゃんを……」
『夢人を……』
「『守る!!』」
そう思った時、目の前の光が消えた。
目の前には涙を流しながらわたし達を見る夢人お兄ちゃんがいた。
……大丈夫。
今度はわたし達が守るよ。
* * *
「……ロムなのか……それとも……ラム?」
夢人は目の前の少女が誰だかわからなかった。
先ほどまで一緒にいたロムとラムではない少女が目の前にいたからだ。
身長はネプギアと同じくらい。
胸はナナハと同じくらい。
手足もすらりと伸びていた。
特徴的な水色とピンク色が混ざり合った髪の色をした少女が目の前にいたからだ。
目の前の少女は目を開いて夢人を見る。
その瞳は右目がピンク色、左目が水色であった。
「今度はわたし達が守るよ」
少女は笑みを浮かべて、夢人を抱きしめて言う。
「……お前は」
「ホワイトシスター……わたし達に任せて、夢人さん」
少女、ホワイトシスターはそう言うと、夢人から離れてトリックとキラーマシンに向かって飛んでいく。
「よ、幼女が!? 成長した!?」
トリックはホワイトシスターを見て、目を見開いて驚く。
「あなたは後……今は!」
ホワイトシスターはトリックを無視してキラーマシンへと飛んでいく。
〔……ジャマ……スルナ……〕
キラーマシンは自身に向かって飛んでくるホワイトシスターに向かって腕を振りかぶって攻撃しようとする。
「フレイムストーム!」
ホワイトシスターは右手に持っていたホワイトで炎の渦を造り出してキラーマシンを攻撃する。
〔……ジ……ジジジ……ジ……〕
キラーマシンは炎の渦の攻撃を受けながらもまったく怯まずに振りかぶった腕をホワイトシスターに向けて突き出そうとした。
「アイスストーム!」
ホワイトシスターは左手で持っていたナチュラルホワイトから氷の渦を造り出してキラーマシンを攻撃した。
〔?!?!?!?!?!〕
炎と氷の渦が螺旋を描くように一直線にキラーマシンの胴体に炸裂する。
キラーマシンは炎と氷の渦を同時に喰らい、胴体が少しずつ削れていく。
「はあああああああああ!!」
ホワイトシスターはさらに魔力を込めてキラーマシンを攻撃する。
やがて、炎と氷の渦はキラーマシンの胴体を突き抜けた。
〔……キノウ……テイ……シ……〕
キラーマシンはその言葉だけを残して、力なく地面に崩れ落ちた。
「……次はあなた!」
ホワイトシスターはトリックを睨みながら言う。
「夢人さんを傷つけたあなたを絶対に許さない!」
トリックはホワイトシスターと夢人を交互に見て頷きながら言う。
「……なるほど、これが勇者の力か……確かに吾輩達にとって脅威になりうる……ふん!」
「きゃあああ!?」
トリックが舌を地面に思いっきり叩きつけて砂煙を目の前が見えなくなってしまうほどの砂煙が発生した。
「……ここは退かせてもらうぞ、また会おう勇者よ……今度会う時は幼女に戻っていてくれ!」
砂煙が晴れると、そこにはトリックの姿がなく、夢人とホワイトシスターしかいなかった。
「……助かった、のか?」
「危ない!?」
夢人はトリックがいなくなったことに安心したのか、頭から地面にぶつかりそうになるが、ホワイトシスターが慌てて夢人の前に移動して受け止めたことでぶつかることはなかった。
「よかった」
ホワイトシスターが頬を赤く染めて夢人を強く抱きしめる。
「今は安心して眠ってください、夢人さん」
夢人はその言葉と同時に自分に向かってかけられている治療魔法の温かさを感じてゆっくりと瞼を閉じた。
* * *
「チッ! 失敗か」
夢人達を遠巻きに見ていた男がいた。
キラーマシンをブロックダンジョンから解放した男だ。
「しかも、また知らないことが起きた」
男は自分の知らないことが起きたのを見て、眉をひそめて夢人達を睨みつけた。
「……まあ、いい」
やがて、男は夢人達に背を向けるとつぶやく。
「この世界は必ず滅ぼす……次の目的地は」
……リーンボックスだ。
そうつぶやいた男は霧のように消えてしまった。
* * *
「……んっ、ここは……」
夢人は目を覚ますと、自分の知らない天上が広がっていることに気付いた。
「……知らない天井……って、これ前にも言ったかな」
夢人は上半身だけを起こして部屋を見回す。
「ここは……って、え?」
夢人は自分の両手を握っている存在に気付いた。
「……すう……すう……」
「……う……ん……」
ロムとラムが自分の手を握って一緒のベットで眠っていた。
「ロム? それにラム?」
夢人が2人の名前を呼ぶと、2人ももぞもぞと動き出して起き上がった。
「……夢人お兄ちゃん?」
「……夢人?」
2人は半開きの目を指でこすりながら夢人を見る。
「2人とも、どうして……」
夢人は目を見開いて尋ねた。
2人は夢人に柔らかく夢人にほほ笑みながら言った。
『守ってくれたから』
「でも、俺は……」
2人の言葉を聞いて、夢人は俯いてしまう。
「守ってくれた……わたし達のことを」
「そうよ……わたし達の心を」
ロムとラムは夢人に抱きつきながら優しく言う。
「夢人お兄ちゃんがいたから、わたし達がいる」
「夢人がいたから、わたし達はまた笑える」
「……お前ら」
夢人は2人の言葉を聞いて呆然とつぶやいた。
『だから、ありがとう』
「……っ!?」
夢人は2人の言葉を聞いて、2人を強く抱きしめて泣いた。
ロムとラムは優しく笑みを浮かべて夢人の背中をさすり続けるのであった。
という訳で、今回はおしまい!
本当に申し訳ありません!
2人を成長、それに合体させてしまいました
2人が幼女のままがいいって言うファンもいると思います
…ですが、それだと夢人君に恋愛フラグが建たないんです!
というより、この作品で初めて恋愛フラグ建てる相手が2人って時点で私は末期症状なのかもしれません
まあ、詳しくはそれぞれの視点の時に書いていく予定なのでよろしくお願いします!
あと、クリスマスアンケートの方はだいぶコメントくれた方がいました!
しかも、現時点で圧倒的にネプギアが多いという
…これは私の露骨なネプギアプッシュによるものかと思うと申し訳なく思いますけどね
アンケートの方も興味がある方は活動報告の方にコメントよろしくお願いしますね!
それでは、 次回 「女神通信R(ラム編)」 をお楽しみに!
…リメイクとかRつけただけやん