超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はいはーい、皆さんこんばんわ!
なんとこの作品、今日で作り始めて1か月になりました!
この作品が続いたのも読者の皆さんが読んでくださっているからです!
本当にありがとうございます!
それでは、 パパは勇者? はじまります


パパは勇者?

 その日、わたし達は部屋でお絵描きをしていた。

 

「ロムちゃん、描けた?」

 

 わたしはわたしの前で絵を描いているロムちゃんに尋ねた。

 

「うん、これ」

 

 ロムちゃんがわたしに自分の描いた絵を見せてくれたけど、その絵を見てわたしは頬をひきつらせてしまった。

 

「……もしかして夢人?」

 

 ロムちゃんが描いた絵には夢人が描かれていた。

 

 ……しかし、その夢人はさっきまで観ていたドラマの夢人のポーズをしていたのだ。

 

「うん、夢人お兄ちゃん、かっこよかった(にこっ)」

 

 そ、そんな笑顔で言うなんて!?

 

 ロムちゃんは満面の笑みで自分の描いた絵をわたしに見せながら言う。

 

「ラムちゃんも、そう思う?」

 

 ……ど、どうしよう!?

 

 た、確かに普通の夢人よりは頼りがいがありそうには見えたけど……

 

 って、ダメダメ!

 

 あんなの夢人じゃない!

 

 わたし達に大切なことを気付かせてくれた夢人じゃないもん!

 

 わたしは首を左右に振って両手でバツを造りながら応える。

 

「ダメダメ! 絶対にダメ! あんなの夢人じゃない!」

 

 そうだ! ロムちゃんだって普通の夢人が好きなんだから!

 

 ……それを考えると、ちょっと悔しいけど。

 

 って、違う違う!

 

「……そうだね、うん、今度はもっと頑張る」

 

 ロムちゃんが新しい紙にまたお絵描きを始めた。

 

 わたしは頭を抱えながら考える。

 

 ……どうしよう、ロムちゃんはきっと夢人やネプギア達と一緒にいたいと思ってる。

 

 一緒にお姉ちゃんを助けに行きたがっている。

 

 ……わたしだってお姉ちゃんを助けたい!

 

 でも、できないよ。

 

 ……だって、わたしはあの時から弱いままだ。

 

 この前のリーンボックスでの事件だって夢人のことを信じられなかったし……

 

 夢人の手がボロボロになってたのを見て胸が痛んだ。

 

 ……どうして信じきれなかったんだろう。

 

 夢人はわたし達のことを笑って許してくれたけど、わたしはわたしを許せない。

 

 ……合わせる顔がなくて、夢人達が誘ってくれた時は言い訳をして逃げちゃった臆病者のわたしがいる。

 

【わたし達はルウィーを守らなきゃいけないの!】

 

 ……こんなわたしが守れているの?

 

【だから、夢人達とは一緒に行けないの!】

 

 ……違う、一緒にいるのが怖かった。

 

【……ラムちゃん】

 

 ……あの時のロムちゃんの顔は悲しそうだった。

 

 それでもわたしは勇気が出せなかった。

 

 夢人に教えてもらった大切なことを守れなかった。

 

 ……わたしは弱いままだなあ。

 

 わたしがため息をつくと、ロムちゃんは心配そうにわたしに尋ねてきた。

 

「……大丈夫?」

 

 ……またロムちゃんの優しさに甘えそうになる。

 

 でも、ダメだ。

 

 わたしは勇気を出さなきゃいけない。

 

 ……言おう、夢人達と一緒にお姉ちゃんを助けに行こうって。

 

 皆でお姉ちゃん達を助けようって……

 

「ロムちゃん、あのね……!?」

 

 わたしはそれ以上、言葉を続けられなかった。

 

 急に体が重く感じ、座っているのに倒れそうになる。

 

「ら、ラムちゃん!?」

 

 ロムちゃんが慌ててわたしを支えてくれる。

 

 ……違う、ロムちゃんの顔も苦しそうに歪んでいた。

 

「……ろ、ロム、ちゃん」

 

 わたしは重くなる瞼を開こうとするが、段々力が抜けていく。

 

「ラムちゃん!?」

 

 ロムちゃんがわたしを強く抱きしめてきた。

 

 ……すると、体の中に温かいものが流れ込んでくる。

 

 わたしは抜けていった力が段々戻ってくるように感じた。

 

 わたしが意識をはっきりと戻して、目を開くとロムちゃんがわたしにもたれかかっていた。

 

「……ロムちゃん?」

 

 わたしはロムちゃんの体を揺する。

 

 ……でも、ロムちゃんは何の反応も返さない。

 

「ロムちゃん!?」

 

 わたしは慌ててロムちゃんに叫びながら強く揺する。

 

 ……それでもロムちゃんの意識は回復しない。

 

 どうして!?

 

 どうしてなの!?

 

「起きて!? 起きてよ!? ロムちゃん!?」

 

 わたしはずっとロムちゃんに呼びかけ続けた。

 

 ……それでもロムちゃんは眠ったように動かないままであった。

 

 

*     *     *

 

 

 夢人達は急いでルウィーに向かった。

 

 マジェコンヌシェアが弱まったことをきっかけにプラネテューヌとルウィーを結ぶ列車が再び開通していた。

 

 夢人達は急いでルウィーに向かう列車に乗り込む。

 

「……ルウィーに着く前に情報の確認をしましょう」

 

 アイエフが真剣な表情で夢人達に言う。

 

 夢人達は静かにアイエフの言葉を待つ。

 

「まず、ルウィーで犯罪活動が活発した理由は判明していないわ……でもね、ルウィーはシェアの9割近くを奪われたのよ」

 

「9割も!?」

 

「そ、そんなにシェアが低下したですか?!」

 

 日本一とコンパは目を白黒させて驚く。

 

 突然そんなにシェアが失われたことが信じられないのである。

 

「そうよ、突然それだけのシェアが奪われたのよ。教会の方でもマジェコンヌの動きを察知できなかったみたいでロムとラム……特にロムの様子が危ないのよ」

 

「ロムちゃんが!?」

 

 アイエフの言葉にネプギアが大きな声で反応する。

 

「……意識がないらしいわ、まるで眠ったように動かないらしいのよ」

 

「そ、そんな……」

 

 ネプギアは左手を胸に当てて目を閉じて俯く。

 

「……ラムの方はどうなんだ?」

 

「お世辞にもいいとは言えないらしいわ……何とか動けるけど、いつ倒れてもおかしくないらしいのよ」

 

 夢人はそれを聞いて黙って拳を強く握りしめた。

 

「2人を助ける方法はないの?」

 

 5pb.がアイエフに不安そうに尋ねる

 

「こればかりは直接試してみなきゃわからないけど……方法はあるわ。ルウィーのシェアの低下が原因なら、シェアを確保すれば元に戻る……単純だけど、それしか思いつかないわ」

 

「つまり、ボク達のやることは1つですね」

 

 アイエフの言葉を聞いてフェルが確認するように頷いた。

 

 フェルだけじゃなく、この場にいる全員がやるべきことを悟った。

 

「ボク達でルウィーのシェアを確保する……そうすれば、ロムちゃんとラムちゃんを助けられる」

 

 夢人達はフェルの言葉を聞いて力強く頷く。

 

「……待ってろよ、ロム、ラム」

 

 夢人は列車の窓から外を睨むように見つめてつぶやいた。

 

 

*     *     *

 

 

 ルウィーに辿り着いた夢人達はすぐに教会に向かった。

 

 教会では目の下に黒い隈を造ったミナが椅子に座っていた。

 

「……こんな状態ですいません」

 

 ミナは夢人達に申し訳なさそうに謝る。

 

「……だいぶ状況はわるそうですの」

 

「……そうですね、正直ルウィーの警備隊では対処しきれない状態です」

 

 ミナは悲しそうに両手で顔を覆って体を震わせて泣き崩れてしまった。

 

「私がもっとしっかりしていれば、ロムもラムもあんなことにならずに済んだのに」

 

「み、ミナさん!?」

 

 コンパが慌ててミナに駆け寄り、その体を支えたが、ミナは体に上手く力が入らず、泣き崩れたままであった。

 

「私が……あの子達を守らなきゃいけなかったのに……こんなことじゃ……あの子達の保護者失格だわ」

 

「……ロムちゃんとラムちゃんの様子はどうなんですか」

 

「それは……」

 

「わたしが応えるよ」

 

 ラムがミナの言葉を遮って教会の奥から歩いてくる。

 

「……ラム」

 

「……ロムちゃんはわたしを守ったから、ずっと眠ってるの」

 

 ラムは夢人達の目の前につくと、俯きながら体を震わせた。

 

「守った?」

 

 フェルが首をかしげながらラムに尋ねる。

 

「……ロムちゃんはわたしに自分の力を渡したの、だからわたしはまだ動けるんだ……本当は……ロムちゃんじゃ……なくて……わたしが……ぐすっ……倒れて……ぐすっ……たの」

 

 ラムは涙を堪え切れず、大粒の涙を床に落としながら言葉をつづけた。

 

「わたし……ぐすっ……また……卑怯……もの……だ……ぐすっ……ロム……ちゃん……ぐすっ……守って……ぐすっ……もらって……」

 

「ラム!」

 

 夢人はそんなラムの姿に見ていられなくなり、力強く抱き寄せた。

 

「……どう……してなの……ぐすっ……わたしは……ぐすっ……強く……ぐすっ……なれないの……いやだよぉ……ぐすっ……弱いままでいたくないよぉ……」

 

 夢人は悲しそうな表情で、抱き寄せられたことで涙腺が決壊したラムを強く抱きしめる。

 

「ラム……」

 

「……助けてよぉ……ぐすっ……夢人……ぐすっ……」

 

 夢人はラムを抱きしめたまま顔を引き締めてネプギア達に向き直った。

 

 ネプギア達も真剣な表情で頷くと、泣き崩れたことで目を赤くしているミナの方を向いた。

 

「ミナさん、私達でルウィーのシェアを回復させます……ですから、ミナさんにはシェアクリスタルを造ってもらいたいんです」

 

「……シェアクリスタルをですか?」

 

 俯いていたミナはネプギアの方を向いて応える。

 

 ネプギアは真剣な表情のままミナに言う。

 

「はい、小さいシェアクリスタルならすぐに造れるはずです……それがあればロムちゃんも目を覚ますはずですから」

 

 ……夢人達はあらかじめ作戦を考えていた。

 

 ルウィーのシェアを回復させてもすぐに奪われてしまうかもしれない。

 

 だからこそ、回復したシェアをすぐにシェアクリスタルに返還することでロムやラムの体調を回復させることを優先しようとしていた。

 

「で、ですが、他国のあなた達をルウィーの問題に巻き込むわけには……」

 

「そんなの関係ない」

 

 夢人は申し訳なさそうに言うミナの言葉を真剣な表情で遮った。

 

「俺達はゲイムギョウ界を救うために行動しているんだ。ルウィーだのプラネテューヌだの、1つの国のことだけを考えてるんじゃないんだ」

 

 夢人は自分に抱きついているラムの髪を優しくなでながら言う。

 

「俺達はロムやラム、ミナさん達を守りたいから行動するんだ」

 

「で、ですが……」

 

 ミナは夢人の言葉を聞いても俯きながら言う。

 

「あなた達を危ないことに巻き込んでしまうだなんて……」

 

「違うさ」

 

 夢人はミナの言葉を遮って柔らかく頬を緩めた。

 

「危険に巻き込まれるんじゃない……危険に俺達が飛び込んでいくんだ。悲しい思いはもうたくさんだ……俺達がこれ以上悲しい雨を降らせないために戦います」

 

 ミナは夢人の言葉を聞いて、目を見開きまた涙を流し始める。

 

「……頼って……いいんですか……?」

 

「ゲイムギョウ界を救うのが、勇者の仕事だ……任せてくれ」

 

 夢人の言葉を聞いて、ミナは夢人達に頭を下げながら言う。

 

「……お願いします! ルウィーを、私達を助けてください!」

 

 夢人達はその言葉を聞いて力強く頷く。

 

「任せてください! 必ず、ルウィーを救ってみせます」

 

 ネプギアが右手で胸を叩きながら言う。

 

「任せておきなさい、必ず守って見せるわ」

 

 アイエフは目を閉じてかすかに笑みを浮かべながら言う。

 

「ですです! わたし達にどーんと任せるです!」

 

 コンパも両手を両肩に当てながらほほ笑んで言う。

 

「ヒーローは助けを求める人達を見捨てないよ!」

 

 日本一は右手をのばしたポーズを取りながら言う。

 

「がすともびりょくながらお手伝いするですの」

 

 がすとはウインクをしながら言う。

 

「女神様達を助けるために来たんだ……ボクも頑張るよ!」

 

 5pb.は力強く頷きながら言う。

 

「ボクも負けてられないな……やってやりますよ」

 

 フェルは目を閉じたまま拳を強く握って言う。

 

「……皆さん、ありがとうございます!」

 

 ミナは涙を流しながら嬉しそうに笑って頭を下げた。

 

「さて、俺も……」

 

「待って!」

 

 夢人がネプギア達の様子にほほ笑んで、自分に抱きついているラムを優しく離そうとした時に、ラムに止められた。

 

「どうした?」

 

「……夢人の体から温かいものを感じる」

 

 ラムが目を閉じたまま夢人の胸に耳を当てる。

 

「……これって、ルウィーのシェア?」

 

 ラムの言葉を聞いて、夢人は思い出す。

 

「もしかして、俺の中の『シェアクリスタル』のことか!?」

 

 夢人は自分の中にある古の『シェアクリスタル』のことを思い出して考える。

 

(……確かに、ルウィーのゲイムキャラから力を貰ったからルウィーのシェアが『シェアクリスタル』に溜まっていてもおかしくはない……それなら!)

 

 夢人はネプギアの方を向いて言う。

 

「ネプギア! 『アレ』を貸してくれ!」

 

「『アレ』、ですか?」

 

 ネプギアは夢人の言葉の意味がわからず、首をかしげて尋ねる。

 

「『ホワイトディスク』だよ! ロムのことを起こせるかもしれない!」

 

 

*     *     *

 

 

 夢人とラムはロムの眠っている部屋にやって来た。

 

「……ロムちゃん」

 

 ラムは眠っているロムを悲しそうに見てつぶやく。

 

「上手くいってくれよ」

 

 夢人は手に持っているホワイトディスクを見ながらつぶやく。

 

 ……ルウィーのゲイムキャラの力で生まれたホワイトディスク。

 

 それにはルウィーのシェアの力も含まれている。

 

 加えて、夢人の中にある『シェアクリスタル』はゲイムキャラから氷の魔法の力を受け取っている。

 

 2つの中にあるシェアの力を使えば、ロムが起きるのではないかと予想したのだ。

 

「ロムちゃん、起きるかなぁ?」

 

 ラムが不安そうに瞳を揺らして夢人を見上げながら尋ねる。

 

 夢人はラムの頭を優しくなでながら言う。

 

「……可能性があるだけだしな。もしだめでもネプギア達がシェアを持ってきてくれる」

 

 夢人はラムを安心させるようにほほ笑みながら言う。

 

「俺達はロムが目を覚ましたら、しっかりとおはようって言ってやらないとな」

 

「うんっ!」

 

 夢人の言葉にラムも顔をほころばせた。

 

 夢人は片手にホワイトディスク、もう片方でロムの手をしっかりと握る。

 

(……よし! いくぞ!)

 

 夢人は目を閉じて集中する。

 

 シェアの力の使い方なんて知らない。

 

 でも、夢人はロムに目覚めてもらうために力を込める。

 

(ロムを助けるんだ!)

 

 夢人はロムの元気な姿を強く思い描きながら集中する。

 

 すると、夢人の体が光だす。

 

 光は夢人から次第にロムへと流れていく。

 

(……これがシェアの力)

 

 夢人は自分の中に流れるシェアの力と、ホワイトディスクから流れ込んでくるシェアの力を感じながら集中し続ける。

 

(頼む! 起きてくれ!)

 

 

*     *     *

 

 

 なんだろう。

 

 温かいものが流れ込んでくる。

 

 わたしは体の中に流れ込んでくる温かいものを感じた。

 

 ……あれ?

 

 目の前が真っ暗だ。

 

 ……目を閉じてるんだっけ?

 

 寝てたんだっけ?

 

 わたしは重たく感じる瞼をゆっくりと開いていく。

 

「ロムちゃん!?」

 

 わたしが目を開けると、茶色い髪の長い女の子が笑って声を掛けてきた。

 

 ……ロムちゃん?

 

 誰だっけ?

 

 あれ?

 

 わたしの名前ってなんだっけ?

 

 それにこの女の子は誰だろう?

 

 わたしは疑問に思いながらしっかりと目を開いた。

 

「大丈夫か? 俺がわかるか?」

 

 わたしの手を握っている男の人がわたしに尋ねてきた。

 

 ……温かいものの正体はこの人だったんだ。

 

 繋がれている手から温かいものをずっと感じる。

 

 この温かさはきっと……

 

「……お父さん」

 

 お父さんに違いない。

 

 だって、こんなに温かいんだもん。

 

「「え、ええーっ!!」」

 

 ……何をそんなに驚いているんだろう?




という訳で、今回は終了!
四天王編は今までと違って一話一話が短くなるかも…
大体一章あたり5話とおまけで2話を予定しております
…というより、原作だと2章がやたらと長い印象でその後って濃いイベントばっかりだったんですよね
ですが、私四天王が好きなんで、彼らの活躍を書くために話数を増やします
…女神救出編が遅れてしまいますが、これをしないと夢人君が本当にお荷物状態になってしまうのでご了承ください
その代わり、この章から勇者の力が段々と解放されていきますので、お楽しみに!
それでは、 次回 「勇者VSロリコン」 をお楽しみに!

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