超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
さて、今日も投稿しますね!
今回は女神候補生を出そうとしたんですが、区切りの都合上登場させられませんでした
というより、リーンボックス編になってからギャグになってるのは仕様です
それでは、 真犯人を探せ はじまります
《…繰り返します、本日、リーンボックスに到着した船が爆破される事件が発生しました》
夢人達はそのニュースを聞いて、慌てて裏路地に戻った。
「何だよ!? 指名手配って!?」
リンダは苛立ちを隠せず、近くの壁を蹴りながら言う。
「そうっちゅ! おいら達の仕業じゃないのにおいら達のせいにされるのはむかつくっちゅ!」
ワレチューも怒りを隠せずに言う。
「……落ち着けよ、2人とも。まだ慌てるような時間じゃない、落ち着いて状況を確認するべきだ」
そう言う夢人の顔にも冷や汗が浮かんでいた。
「……そうだな、まずは船の爆破はアタイらじゃねぇってことか」
リンダは少し落ち着いたのか、指であごをさすりながら言う。
「そうっちゅね……おいら達が爆発音が聞こえてからエンジンルームに行くまでの時間はそんなにかかってないはずっちゅ」
ワレチューも冷静さを取り戻して言う。
「……つまり、爆破した犯人はあの部屋にいたセーラー服の男、ってわけだよな」
夢人が2人の言葉を聞いて考えをまとめる。
「でもよぉ、その後がやっかいだぜ」
リンダが真剣な表情で言う。
「あの警棒持ってた方の男、感じからするとリーンボックス特命課ってところの奴がアタイらを犯人だと思っちまったわけだ」
「そのせいで、おいら達が犯人だって思われて、指名手配されたっちゅね」
ワレチューの言葉に2人は頷く。
「現状はどうやって無罪を証明するかか……」
夢人がそう言うと、3人は打開策を考えだす。
「……そうだ!」
夢人は笑みを浮かべて言った。
「ネプギア達だ! ネプギア達なら、俺の無罪を主張してくれるはず! そうすれば……」
「そうか! そうなれば、芋づるしてきにアタイらの無実も証明されるってことか!」
リンダも夢人の言いたいことがわかり笑みを浮かべる。
「こんぱちゃんがおいらを救ってくれるっちゅか!? 感激っちゅ!」
ワレチューも目をハートに変えて言う。
「そうだ! だから、今は捕まらないように時間を稼がないと!」
「そうだな! そうとなりゃ、さっさと隠れるぞ!」
夢人達はそう言って、裏路地の奥へと進んで行った。
* * *
「……上手くいったようだな」
暗い部屋の中で男がつぶやく。
「そうみたいだね」
部屋には他にも男がいるらしく最初に発言した男に応える。
「これで僕達はもっと動きやすくなるよね!」
2人よりも幼い少年のような声が響く。
「……そうだ、これは始まりなんだ」
最初に発言した男は部屋にいる2人に向かって言う。
「これでオレ達は……」
* * *
夢人達はスクリーンを確認できる裏路地の一角で隠れていた。
彼らは一睡もせずに周囲を警戒して一夜を過ごした。
「……もう朝か」
夢人はそうつぶやいて伸びをする。
「徹夜なんて久々だぞ」
「……んなこと言ってる場合かよ」
リンダもあくびをしながら応える。
「……こんぱちゅわ~ん……ムフフ……」
ただワレチューは夢人達の後ろで寝言を言いながら眠っていた。
「「ふざけんな!!」」
「ちゅ!?」
夢人とリンダは寝ていたワレチューを同時に蹴り飛ばした。
ワレチューは蹴られたショックで起き上がった。
「な、なにごとっちゅか!?」
ワレチューは慌てて周りを見ながら言う。
「お前だけなんで寝てるんだよ!」
「テメェも少しは警戒しやがれ!」
そんなワレチューを睨みながら夢人とリンダは言う。
「す、すまないっちゅ」
ワレチューは2人の怒りの表情を見て素直に謝る。
「……ったく、休憩だ、休憩だ」
リンダはそう言って地面に胡坐をかいて頬づえをつく。
「いつになったらクソチビ女神どもがテメェの無罪を主張してくれんだよ?」
リンダは夢人に眉をひそめながら言う。
「大丈夫だって、きっとすぐに……」
3人はスクリーンから聞こえてきた電子音を聞いてすぐにスクリーンが見える位置に移動する。
スクリーンでは昨日と同じように臨時ニュースが流れているようであった。
「来たぞ!」
「これで!」
「こんぱちゃん!」
3人の顔に希望が生まれる。
《ゲイムギョウ界アワーズより臨時ニュースを申し上げます》
昨日と同じニュースキャスターがスクリーンに写されてニュースを読み上げて行く。
《先日発生した船の爆破事件について新情報が入りました》
ニュースキャスターがそう言うと、スクリーンにはニュースキャスターがいるスタジオではなく、ラステイションの港が映し出された。
《犯人の1人と親密な関係にある方達からお話を伺うことに成功いたしました》
夢人達はその映像を見て喜ぶ。
これで助かると……
《それでは、お話をお聞かせください……あなたの知っている方が犯人だと思われているのですが、彼は普段から犯行をにおわせる行動を取っていたのでしょうか?》
リポーターが目の部分をモザイクにした双葉のようなリボンをした女性に尋ねた。
「これで……」
《はい、いつかやらかすと思っていました》
夢人はその言葉を聞いて固まった。
しかし、女性は言葉を続ける。
《奇行が目立つ男だったので、きっと何かの拍子にプツンと頭の中の糸が切れてしまって犯行に及んだんだと思います》
夢人は女性の言葉を聞きながら肩を震わせる。
「あ、アイエフ……」
夢人がスクリーンに映っている女性、アイエフを涙目で見上げながらつぶやく。
《……ありがとうございます、では、他の方にもお話しをお聞きしましょう》
リポーターは次にぬいぐるみサイズの犬を抱えた少年に話しかける。
《あなたから見て彼は今回の犯行を行うような人格だと思いますか?》
夢人はすがるようにスクリーンに映る少年、フェルを見上げる。
《はい、もちろんです》
だが、夢人の願いはむなしくも崩れ去ってしまう。
《何というか、時折不気味に笑ったりすることが多かったんですよ》
《ワン!》
フェルとリンはリポーターの質問に応え続ける。
《だから、今回の犯行を聞いて、ああついに、とか思っちゃいましたよ》
フェルは苦笑しながら言う。
「何がついにだ!?」
夢人はスクリーンに映っているフェルに叫ぶ。
「ってか、お前ら俺のことそんな風に思ってたのか!?」
夢人はアイエフとフェルが自分をどう思っているのかを知り愕然となる。
《ありがとうございます、では最後に彼女にお話しを伺いましょう》
リポーターはそう言って、淡い紫色の髪をした女性に話しかけた。
《今現在、逃亡している彼に対して何かコメントはありますでしょうか?》
「ね、ネプギアなら……」
夢人はネプギアなら自分を信じてくれるはずだと思い、腕を組んで祈るようにスクリーンを見つめる。
淡い紫の髪の女性、ネプギアは静かにつぶやいた。
《夢人さん……》
ネプギアは一度言葉を止めてから左手を胸に当てて言った。
《私達は夢人さんのことを信じています》
「ネプギア!」
夢人はネプギアの言葉を聞いて笑顔を浮かべる。
《だから、自首してください!》
「……へ?」
夢人はネプギアが続けて言った言葉の意味がわからず呆けてしまう。
《私達は夢人さんのことを信じています……だからこそ、罪を償って自首してください、お願いします!》
ネプギアは頭を下げながら言った。
夢人はその姿を見て固まって動けなくなってしまう。
「……そ、そん、な……」
夢人はふらふらと倒れそうになってしまう。
「お、おい!?」
リンダは慌てて夢人を支える。
「し、しっかりしろよ!? 傷はあせェぞ!?」
《ありがとうございました、引き続き犯人の目撃情報を募集しております……何か情報がありましたらリーンボックス特命課まで……》
リンダはそこまで聞くと、夢人を引っ張りながら奥へと戻っていく。
「おい!? おーい!?」
リンダは呆けている夢人の頬を何度も叩く。
「……ネプギアが……ネプギアが……」
夢人はうつろな目のままつぶやき続ける。
「しっかりするっちゅ!」
ワレチューも夢人に声をかける。
「だーっ! もう! いい加減、目ぇ覚ましやがれ!」
いくら叩いても呼びかけても返事をしない夢人をリンダは蹴り飛ばす。
「ぐふっ!」
夢人は蹴り飛ばされた衝撃で元に戻る。
「……悪い、助かったわ」
しかし、その顔色は悪く俯いたままであった。
「……いや、何つーか、アタイらも悪かったわ」
リンダは夢人を可哀そうなものを見る目で見つめる。
「テメェも苦労してんだなぁって思ったわ」
「……アイツらの話を聞いていておいらもお前に優しくしてやりたいと思ったちゅよ」
ワレチューも夢人の肩に手を置いて優しく語りかける。
「……今は泣いてもいいっちゅよ」
夢人はその言葉を聞いて、目に涙を浮かべ始める。
「……っ! だけど……!?」
夢人が何か言おうとした瞬間、リンダはワレチューが手を置いた肩の反対に手を置きながら優しく言う。
「……悲しい時は泣いとくのが一番さ」
「……リンダ! ……ワレチュー!」
夢人は2人の優しさを感じて声をあげて泣き出してしまう。
「うわああああああん!!」
夢人は両手を地面につけて泣き続けた。
そんな夢人をリンダとワレチューは温かい眼差しで見続けるのであった。
* * *
「……本当、迷惑かけたわ」
夢人は腕で目をこすりながらリンダとワレチューに言った。
「……別に構いやしねぇよ、男だって泣きたくなる時があらぁ」
リンダは夢人を優しく見ながら言う。
「そうっちゅよ、今のお前は優しくされるべきっちゅ」
ワレチューも優しく夢人に言う。
夢人はそんな2人の優しさにまた泣き出しそうになるのをこらえて言う。
「……今はそれよりも、やることがあるだろう」
夢人の言葉で2人は真剣な表情になる。
「そうだな、結局、無罪を証明するために自分達でやらなきゃらねぇンだからよ」
「……どうするっちゅか?おいら達には圧倒的に情報が足りてないっちゅ」
ワレチューが今の自分達に必要なものは情報であると指摘する。
「……そうだ! いい考えがあるぜ!」
リンダは壁の一点を見つめて笑みを浮かべて言う。
「どんな考えだ?」
夢人はリンダの考えがわからず、首をかしげながら尋ねる。
「……虎穴に入らずんば虎児を得ずってな」
リンダはにやりと笑って先ほど見ていた壁の一点を指さした。
* * *
「……本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だって、アタイを信じろよ」
夢人は不安そうにリンダの後ろについて歩く。
「……おいらも無理があると思うちゅ」
ワレチューも俯きながらも後ろを歩く。
「心配すんなっての、このリンダ様が保証してんだ」
リンダは後ろを振り返って夢人達を見た。
「今のテメェらはどこをどう見てもさえない男でもネズミでもねぇ」
リンダはにやりと笑いながら言った。
「……さえないってのは余計だ」
「……これが本当に変装って言えるんちゅか?」
夢人とワレチューは笑顔のリンダを見ながらも不服そうに言った。
「しゃあねぇだろ? 顔がわれちまってる以上、変装して情報を集めなきゃなんねぇンだからよ」
リンダはため息をつきながら2人を見る。
「そのために、変装してリーンボックス特命課に潜入するって寸法よ」
リンダが得意げに言うが、夢人は言う。
「……確かに情報は大事だからな、でもこの変装は……」
夢人は自分の着ている服を掴みながら言う。
「大丈夫だって、ちゃんと設定どおりにやりゃ誰もわかりゃしないって」
リンダは不安そうな夢人の後ろに回って背中を押し始める。
「お、おい!?」
「男は度胸ってな、しっかりしやがれ」
リンダの言葉を聞いて、夢人は諦めたようにため息をついた。
「……わかった、わかりましたよ! やってやるよ!」
夢人がやる気になったことがわかり、リンダは笑みを浮かべる。
「よし! じゃぁ、行くぜ!」
夢人とリンダはリーンボックス特命課の事務所へと向かった。
「……本当に大丈夫っちゅかね」
ワレチューは不安な表情でつぶやいた。
* * *
リーンボックス特命課事務所前
夢人達は事務所の前までやってきた。
「……いよいよだな」
「……ああ」
夢人とリンダは真剣な表情で事務所のドアを見つめる。
ワレチューはそんな2人を呆れた表情で見つめる。
「……本当にやるっちゅか?」
ワレチューはすでにやる気がなくなっていた。
「やるしかねぇだろ!」
「そうだ! そして、俺達の無実を証明するんだ!」
ワレチューに夢人とリンダは真剣な表情で言った。
「……幸い、職員募集のポスターを見つけたからよかったものをおいら達はかなり怪しいっちゅよ」
リンダが壁に貼られていたリーンボックス特命課の職員募集のポスターを見つけたからこの作戦を決行することが決まったのであった。
「……ふっ、これだから臆病者はいけねぇな」
リンダは肩をすくめて言う。
そんなリンダの態度が気に食わないのかワレチューは青筋を立てながら言う。
「なんちゅか」
ワレチューの表情が怒りに染まったことを見て、リンダはにやりと笑いながら言う。
「そんなことじゃ、こんぱちゃん、だっけか? そいつに振り向いてもらえないんじゃねぇのか?」
ワレチューはその言葉を聞いて衝撃を受けた。
「何……ちゅと……」
ワレチューはふらふらと体を揺らしながら応える。
「ど、どういうことっちゅか?」
夢人はそれを見てにやりと笑って言う。
「コンパは男らしい奴が好みらしいからな……臆病者じゃ好かれないんじゃないのかな?」
ワレチューはその言葉を聞いて俯いてしまう。
そんなワレチューを見て夢人とリンダは互いの顔を見合わせてにやりと笑う。
「……やるっちゅ! やってやるっちゅ!」
ワレチューは勢いよく右腕を上に突き出して叫ぶ。
「男らしいネズミになってやるっちゅ! だから、待ってて欲しいっちゅ! こんぱちゃん!」
ワレチューの決意も固まったようなので、夢人が2人を見ながら言う。
「よし、行くか!」
「「おう!」」
夢人は2人の返事を聞いて、事務所のドアをノックした。
* * *
その日、リーンボックス特命課に所属している私、ケイブは3人の志願職員の面接を行っていた。
「……それで、あなた達はどうして特命課に所属したいの?」
履歴書を見てみると、3人の職業は冒険家だ。
それがどうしてリーンボックス特命課に所属したいのかがわからない。
「アタイ達は船の爆破事件があった時にリーンボックスに来たんです」
船の爆破事件
ラステイションとリーンボックスを結ぶ唯一の交通網がテロリストによって破壊されてしまった事件だ。
……なるほど、彼女達はその時の船に乗って来たのか。
「それで、アタイ達もこの国のために何かできないかと思って街を探索してたんです」
今時感心できる理由での志願だな。
最近はリーンボックスのシェアの低下に伴い、人々のモラルが低下して犯罪の発生件数が増えている。
そんな中での志願はとても助かる。
船の爆破事件のテロリストもまだ捕まってはいない現状、彼女達の協力はとても助かる。
「それで、アタイ達は街のポスターを見て志願したんです」
……まだポスターが残っていたのか。
あのポスターは教祖である箱崎チカがデザインしたのだが、あまりにも奇抜過ぎるデザインのため撤去したはずなのだが……
後で回収しておこう。
「正直、助かるわ」
私は彼女達にほほ笑みながら自己紹介をする。
「私の名前はケイブ、あなた達の直属の上司となるわ、これからよろしくお願いするわね」
私がそう言うと、3人も笑顔を浮かべて自己紹介をした。
「アタイはリン子って言います、それでこっちの子が……」
「私の名前はユメ子です、よろしくお願いします」
「おいらはパンダ界のアイドル、パンチューでちゅ!」
こうして、私は3人の新しい部下を得ることができたわ。
これ以上、リーンボックスの平和を乱す犯罪者の好きにはさせないわ。
という訳で、今回は終わり!
見事な変装をしてリーンボックス特命課に潜入することに成功した夢人、改めユメ子達
次の話で詳しい変装姿を書くつもりなので、想像しながらお待ちください
…そして、次の話でついにリーンボックスの女神候補生を出せます!
シリアスを期待していた読者の皆様はお楽しみしていてください!
それでは、 次回 「グータラな天才」 をお楽しみに!