超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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皆さん、こんばんわ!
はい、今回はルウィー編の最終話!
夢人君たちの前に現れたマジック・ザ・ハード
彼女を相手に無事済むのか?!
それでは、 愛と勇気を はじまります


愛と勇気を

「今度は私にその力を見せてもらおうか、勇者」

 

 リンダにマジックと呼ばれた赤い髪の女性が夢人達に鎌を向けて言った。

 

「って言うかアンタは誰よ」

 

 アイエフがカタールを構えつつ、マジックに言った。

 

「私は犯罪組織マジェコンヌの幹部、マジック・ザ・ハード」

 

「……その幹部さんが何でここにいるんですか?」

 

「先ほども言った通り、勇者の力を試すためさ」

 

 マジックは感情を感じさせない声で言った。

 

「え? 俺!?」

 

「そうだ……貴様があの男と同じ存在であるかどうかは関係ないが、本来ならいない存在である貴様が脅威になるかどうかを確認するためさ」

 

「本来ですの?」

 

 がすとはマジックの言葉の意味がわからず眉をひそめる。

 

「本来ってどういう意味ですか?」

 

 コンパもマジックの言葉の意味がわからず尋ねる。

 

「……貴様らには関係ないことさ」

 

 マジックはそう言ってネプギアに視線を向けた。

 

 ネプギアはマジックに見られただけで体を震わせた。

 

 顔色も青くなり口で荒い息をし始める。

 

「……貴様はあの時の女神候補生か」

 

 マジックはそう言ってネプギアを見るが、まるでつまらないものを見ているようであった。

 

「貴様が助からず他の女神が助かれば、こいつらも助かるだろうにな」

 

 マジックの言葉にネプギアは息をのんだ。

 

「何せ貴様はあの時、何もできなかったのだからな」

 

 マジックは冷たくネプギアを見る。

 

 ネプギアは冷静ではいられなくなり、MPBLを強く握りしめる。

 

「貴様のような臆病者では私を倒すことは……」

 

「あああああああ!!」

 

 マジックが言葉を続けようとした時、ネプギアが叫びながらマジックに突撃した。

 

 しかし、ネプギアの顔には恐怖の色が濃くでていた。

 

 ネプギアがマジックにMPBLを振り下ろすが、マジックはそれを鎌を持っていない方の手で受け止める。

 

「そ、そんな!?」

 

 ネプギアは自分の攻撃が素手で受け止められたことに驚き、動きを止めてしまった。

 

「恐怖にかられての攻撃か……そんなものは」

 

 マジックはネプギアを押し返すと、手に持っている鎌をネプギアに振るう。

 

「攻撃とは言わん」

 

「あっ……きゃあああ!?」

 

 ネプギアは押し返された際、一瞬呆然としてしまいマジックの攻撃をまともに受けてしまう。

 

「……あうっ!」

 

 攻撃を喰らったネプギアは受け身も取れず壁に激突して地面に倒れてしまう。

 

「ネプギア!?」

 

「ギアちゃん!?」

 

「アンタ!」

 

 夢人とコンパが急いでネプギアに向かって走り出し、アイエフは怒りの表情を浮かべてマジックへと突撃する。

 

「ふん」

 

 マジックはつまらなそうにアイエフを見ながら鎌を振りかぶる。

 

「こっちにもいるよ!」

 

「うおおおお!」

 

 日本一とフェルはマジックの後ろから攻撃しようと回り込んで突撃した。

 

「挟み打ちか……」

 

 マジックはアイエフが前方から、日本一とフェルが後方から自身を挟み撃ちにして攻撃しようとしているのを知っても表情を崩さず鎌を振るう。

 

「無意味だな」

 

 マジックが鎌を振るったことで、彼女を中心に衝撃が周りへと広がっていく。

 

「ウソっ、きゃあああ!?」

 

「うわああああ!?」

 

「ぐわああああ!?」

 

 アイエフと日本一、フェルは衝撃によって吹き飛ばされてしまい、地面に転がってしまった。

 

「くらうですの!」

 

 マジックが鎌を振るった後を狙って、がすとは魔法による攻撃をマジックへと仕掛け、マジックを中心に爆発が起き、煙が舞い上がった。

 

「……どうですの」

 

 がすとは険しい顔で煙を睨んでいた。

 

「……残念だったな」

 

 瞬間、がすとの後ろから声が聞こえた

 

「そんな!?」

 

 がすとが慌てて振り返ると、そこには無傷のマジックが鎌を振り上げていた。

 

「その程度では効かない」

 

「きゃあああ!?」

 

 がすともマジックの鎌による攻撃を受けて吹き飛ばされ地面に転がってしまった。

 

「……次は貴様らか」

 

 マジックはステッキを構えるロムとラムに向き直った。

 

「ふざけないで!」

 

「負けない!」

 

 ロムとラムはマジックに同時に突撃した。

 

 マジックはそれを見ても構えもせずに立っていた。

 

 2人はステッキに魔力を集中させてマジックに解き放つ。

 

「アイシクルトルネード!」

 

「エアブラスト!」

 

 氷と風の渦がマジックへと襲いかかる。

 

 だが、マジックは向かってくる二つの渦に向かってただ手を伸ばした。

 

 マジックが伸ばした腕で渦を受け止めると、渦はだんだんと小さくなりやがて消えてなくなった。

 

「ウソ!?」

 

「そんな!?」

 

 ロムとラムは魔法が片手で打ち消されるとは思っていなかったため驚いて動きを止めてしまう。

 

「……所詮、女神の妹は」

 

 マジックは動きを止めたロムとラムに近づいて鎌を振るった。

 

「この程度か」

 

「「きゃあああ!?」」

 

 マジックの直撃したロムとラムもアイエフ達と同様に吹き飛ばされて地面に転がってしまった。

 

「皆!?」

 

 ネプギアの近くにいた夢人は慌ててアイエフ達へと駆けだそうとする。

 

「……残りは2人だけか」

 

 マジックは夢人達の前に立ちながら言った。

 

「お前!?」

 

 夢人はマジックを睨みながら駆け出し殴りかかる。

 

 しかし、マジックは夢人の拳を軽々と受け止めて夢人を見下ろす。

 

「どうした? 勇者の力を見せないのか……なら」

 

 マジックが鎌を振り上げながら言葉を続ける。

 

「ここで死ね」

 

 マジックが夢人に向かって鎌を振り下ろす。

 

 しかし、マジックの鎌は夢人に当たる前に止められた。

 

「……ほう、まだ立ち上がるか」

 

 マジックは自身の鎌を受け止めた相手、ネプギアを見下ろして言った。

 

「……夢人……さんは……私が……」

 

 だが、ネプギアは先ほどのダメージが残っており、纏っているプロセッサも傷ついていた。

 

 それでもネプギアの顔には先ほど攻撃した時のような恐怖はなかった。

 

「私が……守ります!」

 

 ネプギアが叫ぶと同時に、受け止めていた鎌を弾き飛ばしてマジックに斬りかかる。

 

「ミラージュダンス!」

 

 ネプギアがマジックへと連続で斬りかかる。

 

 マジックは上段、左、右から次々とくるネプギアの攻撃を鎌で防いでいくが、その顔は険しくなっていた。

 

「先ほどよりも力が増している?」

 

 マジックが疑問に思っていると、ネプギアは横に大きくMPBLを振るった。

 

「はああああああ!」

 

 マジックが鎌でそれを受け止めるが、ネプギアはそれに構わず力を入れる。

 

「まだ! 終わってない!」

 

 マジックは自分の鎌が弾き飛ばされたのに驚いた。

 

 ネプギアが最後に力を入れたことによって、マジックは鎌を地面に落してしまった。

 

「これで!」

 

 マジックが驚いている姿を見て、ネプギアはさらに追撃するためにMPBLを振りかぶる。

 

「どうです!!」

 

 ネプギアが叫ぶと同時に、MPBLをマジックに勢いよく振り下ろした。

 

「くっ!?」

 

 マジックは慌ててその一撃を後方に飛ぶことで避けることに成功する。

 

「ハア、ハア、ハア、そんな……」

 

 ネプギアは最後の攻撃が避けられたことで、疲れが一気に出たのか肩で息をし始める。

 

「でも、まだ……」

 

 それでもネプギアはふらつきながらもMPBLをマジックに向ける。

 

 そんなネプギアの姿を見てマジックは言う。

 

「……なるほど、貴様が変わった理由はその男か」

 

 マジックはそれだけ言うと、ネプギアを無視して夢人に近づく。

 

「夢人さん!?」

 

 ネプギアは自分の横を通り過ぎるマジックに反応することができなかった。

 

 ネプギアが夢人の名を叫びながら振り向く。

 

「ならば」

 

「な!?」

 

 マジックは片手で夢人の頭を掴み宙に持ちあげた。

 

「夢人さんを離してください!」

 

 ネプギアがマジックに攻撃しようとするが、マジックは夢人の頭を掴む手に力を入れる。

 

「この男が心配なら動かないことだな」

 

「がああああああ!?」

 

 夢人は痛みのあまり叫ぶ。

 

「夢人さん!?」

 

 夢人の悲鳴を聞いてネプギアは動きを止めてしまう。

 

「……そうだな、面白いことをしてやろう」

 

 マジックは薄く笑いながら夢人を掴んでいる手に魔力を集中させ始めた。

 

「この男を洗脳して貴様と戦わせてみようではないか」

 

 マジックの言葉を聞いて、ネプギアは瞳に涙を浮かべて叫ぶ。

 

「やめてください!? 夢人さんにそんなこと……」

 

「貴様の答えなど聞いていない」

 

 ネプギアの泣き叫ぶ声を遮って、マジックは魔力を解放する。

 

「がああああああ!?」

 

 夢人の体に黒い稲妻のような魔力がまとわりつく。

 

「いやああああ!?」

 

 その光景を見てネプギアは泣きながら叫ぶことしかできなかった。

 

 

*     *     *

 

 

 どうやら上手く男の精神の中に入れたようだな。

 

 勇者というからどの程度の力を持っているのかと思えば何のことはない。

 

 ただの男だったというわけか。

 

 さて、この男をさっさと洗脳して……!?

 

 なんだ!? この映像は!?

 

 

*     *     *

 

 

 時刻は夕方

 

 学校の教室には2人の人物がいた。

 

「話って何だい?」

 

 学ランを着ている夢人は、目の前にいるセーラー服姿のネプギアの尋ねた。

 

「せ、先輩に、その……」

 

 ネプギアは頬を夕陽とは別の理由で染めて胸の前で手を組みながら夢人を見ていた。

 

 緊張しているのか体を震わせて、目をつぶって俯かせて言う。

 

「わ、私、先輩のことが……!」

 

 ネプギアが言葉を続けている途中で、夢人がネプギアを抱きしめた。

 

 ネプギアは抱きしめられたことがわかると、先ほどよりも顔を赤く染める。

 

「せ、先輩!?」

 

「男の俺から言わせてほしい」

 

 夢人がネプギアを抱きしめながら耳元でささやく。

 

「俺はネプギアが好きだ、愛している」

 

 ネプギアは夢人が言った言葉の意味がわかると、瞳に涙を浮かべて顔を夢人の胸へとうめた。

 

「私も、私も先輩のことが好きです、愛してます」

 

 ネプギアはそう言って、夢人の背中に自分の腕をまわした。

 

「ネプギア……」

 

「先輩……」

 

 2人しかいない教室で2人は互いに抱きしめあい続けた。

 

 しばらくそうしていると、夢人がネプギアを自分の体から離れさせて、指でネプギアのあごを持ちあげながら言う。

 

「これからは名前で呼んでくれ」

 

 ネプギアも瞳を潤ませながら夢人に応える。

 

「はい……夢人さん」

 

 ネプギアはそれだけ言うと、目を閉じてつま先立ちになる。

 

 夢人はそのネプギアの姿を見てネプギアの顔に自分の顔に近づけた。

 

 

*     *     *

 

 

 ……なんだ今の映像は!?

 

 これがこの男の記憶だと言うのか!?

 

 明らかに違うだろう!?

 

 ……!?

 

 また映像が……!?

 

 

*     *     *

 

 

 休日の昼下がり

 

 公園には3人の姿があった。

 

「パパー! ママー! はやく! はやく!」

 

 5歳ぐらいだろうか、小さい女の子が後ろを歩いている2人に向かって言った。

 

「ははは、置いてかないでくれよマイドーター」

 

「あんまり走ると転んで怪我するわよ」

 

 パパと呼ばれた男性、夢人は娘の姿を見て笑いながら言った。

 

 ママと呼ばれた女性、ネプギアは困ったように笑いながら注意する。

 

「ブーブー! 今日はずっといっしょにいるんだもん!」

 

 娘は頬を膨らませて2人に近づく。

 

 そんな娘の頭を夢人は優しくなでる。

 

「そうだな、今日はパパもママもお仕事はお休みだからな」

 

 ネプギアも娘と目線を合わせてほほ笑みながら言う。

 

「そうよ、今日はずっと一緒よ」

 

 娘は2人の言葉を聞いて笑顔で応える。

 

「うん! 今日はいっぱいあそぶの!」

 

 娘が笑顔になったことで2人も顔を見合わせて笑顔になる。

 

「そう言えば、マイドーターはもうすぐ誕生日だよな」

 

 夢人は思い出したかのように言った。

 

「そうね、娘ちゃんは何か欲しいプレゼントはある?」

 

 ネプギアも娘に尋ねる。

 

 娘は目を輝かせながら言う。

 

「おとうとかいもうとがほしい!」

 

 娘の言葉を聞いて2人は驚くが、すぐに笑顔になる。

 

「わかったよ」

 

「ふふふ、1人がさみしいのかしら?」

 

 その後、娘は夢人とネプギアを引っ張りながら遊び続けた。

 

 やがて、娘が疲れて眠ってしまったので、木陰のベンチで休憩する夢人とネプギア。

 

「……なあ」

 

「なんですか?」

 

 夢人がネプギアに話しかける。

 

「マイドーターもああ言っていたし、そろそろ2人目を考えてもいいんじゃないか?」

 

 夢人の提案にネプギアは顔を赤くして俯きながら応える。

 

「……そうですね、あなた」

 

 夢人はネプギアの顔を自分の方へと向けながら言う。

 

「今は昔の呼び方に戻してくれないか?」

 

「はい、夢人さん……」

 

 娘が寝ている隣で、2人の顔は近づいていき……

 

 

*     *     *

 

 

 いったい何なんだ!?

 

 落ちが先ほどと同じではないか!?

 

 いったい何を考えているだこの男は……!?

 

 なんだこの光は!?

 

 先ほどまでの映像と違う!

 

 これは……!?

 

『……』

 

 何を……!?

 

 

*     *     *

 

 

 夢人さんの体にマジックの魔力がまとわりついている。

 

 このままじゃ夢人さんが!?

 

 また……

 

 また私は大事な人を守れないのか!

 

 私は泣きながら叫んだ。

 

「いやああああ!?」

 

 これ以上、私から大事な人達を奪わないで!

 

 私の大事な人達を傷つけないで!

 

 私が泣くことしかできないでいると、マジックの様子がおかしくなった。

 

「何だ!?」

 

 マジックが放っていた魔力が夢人さんの体から消えた。

 

「ちっ!?」

 

「うわっ!?」

 

 魔力が消えたと同時に、マジックは夢人さんを離した。

 

 いや、夢人さんに弾かれた?

 

 マジックは夢人さんを睨みながら言う。

 

「貴様いったい何をした」

 

 夢人さんは最初呆然としていたが、やがてマジックを指さして言った。

 

「……これが勇者の力だ!」

 

 マジックの洗脳を夢人さんが弾き飛ばしたの!?

 

 すごい!

 

 ……でも、どうしてそんなに汗をかいているんですか?

 

 

*     *     *

 

 

 夢人に指をさされたマジックは夢人を睨みながら言う。

 

「……どうやら言わないらしいな、なら……!?」

 

 マジックが再び夢人に襲いかかろうとした時、横からネプギアが攻撃をした。

 

「ちっ!?」

 

「これ以上、好きにはさせません!」

 

 マジックは大きく後方に飛ぶ。

 

 ネプギアはマジックに向けてMPBLを構えて力を集中させた。

 

「これで、どうです!」

 

 ネプギアは先ほどキラーマシンに放ったフルバーストよりも力を込めてマジックに攻撃する。

 

 マジックに強烈な光の波が襲い掛かる

 

 しかし、マジックは片手でそれを押さえつける。

 

「ふん、この程度」

 

 マジックは押さえつけている手に魔力を集中させて押し返そうとする。

 

「くっ!?」

 

 ネプギアは苦しそうに片目を閉じて膝をついてしまう。

 

「このままじゃ……!?」

 

 ネプギアが諦めそうになってMPBLを手放しかけた時、横から支えられた。

 

「……夢人さん?」

 

 ネプギアが夢人を呼ぶと、夢人はネプギアにほほ笑みかけた。

 

 

*     *     *

 

 

 もうダメだ……

 

 私はやっぱりあの人に勝てない……

 

 だって、あの人にはお姉ちゃんも勝てなかった。

 

 だったら、私なんかじゃ……

 

 私の全力の攻撃が押し返されそうになるのを見て、私は諦めかけていた。

 

 ……でも、私を支えてくれる人がいた

 

「……夢人さん?」

 

 私が夢人さんの名前を呼ぶと、夢人さんはいつものように私に笑いかけた。

 

「さっきとは逆だな」

 

 夢人さんはそう言いながらMPBLに魔力を注ぎ込んでいた。

 

「ネプギアが俺を守ってくれるんなら……」

 

 夢人さんは前を向いた。

 

「俺もネプギアを守る!」

 

 夢人さんが私を支える腕に力を入れた。

 

 ……前にもあったな。

 

 あの時もそうだった。

 

 バーチャフォレストでまた『変身』できるようになった時……

 

 私に力をくれたのは……

 

 夢人さんだった。

 

 ……胸の中に温かい気持ちがあふれてくる。

 

 さっきまで諦めかけていたのに。

 

 今は違う!

 

 力があふれてくる。

 

 そうだ……

 

 私はお姉ちゃん達を……

 

 ゲイムギョウ界を救うために旅をしているんだ!

 

 例え、お姉ちゃん達が敵わなかった相手だって……

 

 負けるわけにはいかないんだ!

 

 だから、夢人さん……

 

 力を、勇気をください!

 

 

*     *     *

 

 

「……はい、一緒に」

 

 ネプギアは夢人にほほ笑みかけながら言った。

 

「ああ、一緒に!」

 

 ネプギアを支える腕に力を込めて夢人が応える。

 

 夢人が魔力を注ぎ込むことでMPBLから放出されていた光がさらに強まる。

 

「なっ!?」

 

 マジックは強まる光の波に驚く。

 

「「いっけえええええ!!」」

 

 夢人とネプギアは声をそろえて叫びながら、MPBLに力を込め続ける。

 

「そんな!?」

 

 マジックは強力になった光の波を押し返すことができず、光に飲み込まれる。

 

 光の波はそのままの勢いでダンジョンの壁を貫いていく。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

 ネプギアはすべての力を出しつくしてしまい、『変身』が解除されてしまい、夢人にもたれかかる。

 

「ネプギア!?」

 

 夢人は慌ててネプギアを支え直す。

 

 夢人はネプギアの顔を見て心配そうに尋ねる。

 

「大丈夫か?」

 

 ネプギアは夢人に苦笑しながら応える。

 

「はい……少し、疲れちゃいま……」

 

 ネプギアは言葉の途中で意識を失った。

 

「ネプギア!?」

 

「……スゥ……スゥ……」

 

 夢人はネプギアから規則正しい呼吸が聞こえてきたことで安堵してため息をつく。

 

「ふーっ、よかった」

 

 夢人はネプギアを抱えながら腰を下ろす。

 

 夢人は周りを見てみると、コンパに治療されたアイエフ達が集まってきた。

 

「やったわね!」

 

「最後すごかったよ!」

 

 アイエフと日本一は興奮したように夢人に言った。

 

「おつかれさまですの」

 

「何はともあれこれで一安心ですね」

 

 がすととコンパも笑顔で夢人に言った。

 

「ネプギアお姉ちゃん平気?」

 

「アンタも大丈夫なの?」

 

 ロムとラムも心配そうに夢人に尋ねる。

 

 そんな皆の様子に夢人は笑いながら言う。

 

「大丈夫さ、まあ何にせよ、これで……」

 

「……まだみたいだよ」

 

 夢人の言葉を遮ってフェルが言った。

 

 フェルの顔は険しく、先ほどの攻撃で開いたダンジョンの壁の穴を睨んでいた。

 

「……まさか、あれを喰らって!?」

 

 アイエフ達も慌てて戦闘準備をしながら穴に目を向ける。

 

 そこには体のあちこちに小さな傷を造ったマジックの姿があった。

 

「そんな……あれでもダメなの?」

 

「ばんじきゅうすですの」

 

 日本一とがすとも驚愕の表情でマジックの姿を見る。

 

 しかし、現れたマジックは右手を見ながら動かない。

 

「……そう言うことか」

 

 マジックは1人で納得したように夢人達に背を向けて言う。

 

「……今日のところはここで退いてやる」

 

 マジックはそれだけ言うと、ダンジョンの外へと飛んで行った。

 

「ま、マジック様!? 待ってくださいよー!?」

 

 今まで隠れて見ていたリンダもマジックと共にダンジョンを後にした。

 

「……助かったのか?」

 

 夢人がそう言ったことをきっかけに、全員が地面に腰をおろして一息ついた。

 

「そうみたいね……まったく、何だったのよ」

 

 アイエフはそう言って地面に体を横にさせる。

 

「さすがのアタシも疲れたよー」

 

 日本一もアイエフと同じように地面に転がりながら言った。

 

「……でも、どうして急に帰ったんだろう?」

 

 フェルがマジック達が飛んで行った方向を見て言った。

 

「……今はそんなことかんがえるよりょくもありませんですの」

 

 がすとは疲れたように言った。

 

「……とりあえず、これでルウィーの危機は回避できそうだよな」

 

「そうですね、私達が見つけてきた『レアメタル』と夢人さん達が見つけた『データニウム』でゲイムキャラさんが直せますから」

 

 夢人の言葉にコンパがほほ笑みながら応える。

 

「……夢人お兄ちゃん(くいっ)」

 

 ロムが夢人の袖を引っ張りながら言った。

 

「どうした?」

 

 夢人はロムに向き直って聞く。

 

「ゲイムキャラが直ったら、みんなでパーティーしよ」

 

「あーっ! それいいわね!」

 

 ラムも笑顔でロムの提案に賛成した。

 

「……そうだな、それに約束したもんな」

 

 夢人はそう言ってロムの頭をなでる。

 

「(てれてれ)」

 

 ロムはそれを嬉しそうに受け入れた。

 

 その様子を見ていたラムがロムに言う。

 

「そうだ! ロムちゃん!」

 

「なに?」

 

 ラムはロムの耳に近づいて小声で言った。

 

 ロムはラムの言葉を聞いてほほ笑みながら頷いた。

 

「夢人!」

 

「夢人お兄ちゃん!」

 

 ロムとラムは笑顔で夢人を呼ぶ。

 

「どうした?」

 

 夢人はそんな2人を不思議そうに見つめた。

 

「「せーのっ! ありがとうございました!」」

 

 ロムとラムは声をそろえて笑顔で夢人にお礼を言った。

 

「おう!」

 

 夢人はそんな2人に右腕の親指をあげながら応えた。




はい、という訳で、ルウィー編完結です!
といっても、これからルウィー編のおまけの女神通信ロム編とラム編
それに加えて、日本一視点のルウィー編を作成予定なのですよ!
ですから、リーンボックス編は早くても土曜日からということになりそうです
今回は、また女神通信とかでいろいろと使いたい話もありますのでお楽しみに!
それでは、 次回 「女神通信(ロム編)」 をお楽しみに!

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