超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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ふふふ、私がこんな時間に投稿するとはだれも思うまい…
ということで、今日も投稿していきますよ!
それと、読者の皆様は私が葛藤シーンを書くと思っているのでしょうが、私があの少女たちも悩ませると思いますか?
そんなこと私の良心回路が許すと思っているのですか?
…さて、無駄話はこれぐらいにして本編に入りましょう
それでは、 2人の女神候補生 はじまります


2人の女神候補生

 ルウィーの街の中央

 

 噴水が設置されており、多くの人でにぎわっていた。

 

 そこに二人の少女が歩いてきた。

 

「……まったく、ミナちゃんったらお仕事お仕事ってうるさいんだから」

 

 ピンク色の帽子とコートを着た茶色の髪を伸ばした少女が隣を歩く水色の帽子とコートを着た茶色の髪の短い少女に話しかける。

 

 2人の容姿はよく似ており、双子であることがすぐにわかる。

 

「……でも、お仕事大切」

 

 水色のコートの少女は小さな声ではあるが、しっかりと応えた。

 

「……お姉ちゃんが帰ってくるまで、わたし達がお姉ちゃんの代わりをする」

 

 そんな水色のコートの少女を見て、ピンク色のコートの少女は俯きながら言う。

 

「……知らないくせに」

 

「……何?」

 

 ピンク色のコートの少女のつぶやきは水色のコートの少女に聞こえなかったらしく、聞き返した。

 

「んんー! 何でもないよ!」

 

 ピンク色のコートの少女は勢いよく顔をあげて笑顔で水色のコートの少女に言う。

 

「……なら、よかった(にこにこ)」

 

 水色のコートの少女もそれ以上気にした様子もなく笑う。

 

「……だよ! ……をよろしく!」

 

 何やら噴水を中心に人の集まりができている。

 

 中心では誰かが何かを話しているようだ。

 

「おもしろそう! 行ってみよう!」

 

「ま、待って(あせあせ)」

 

 ピンク色のコートの少女は水色のコートの少女の答えを聞かずに人の輪の中に入って行った。

 

 水色のコートの少女も遅れて人の輪の中に入ろうとするが上手くいかない。

 

「……ラムちゃん(しくしく)」

 

 水色のコートの少女は人の輪の外で泣き出してしまった。

 

「えっと……大丈夫か?」

 

「……え?」

 

 水色のコートの少女の前に寒い中コートを着ていない男、御波夢人がいた。

 

 

*     *     *

 

 

「やっと着いたね!」

 

 日本一が街を見回しながら言った。

 

「……いち姉さんは元気がいいですね」

 

 フェルはそんな日本一を見ながら言う。

 

「どうしたのフェル? 元気ないよ?」

 

 フェルはコートを着ているのにどこか寒そうにしていた。

 

「……ボクはリンと体を共有しているので結構寒さに弱いんですよ」

 

 フェルの体の中に居るリンは寒い地域に適応しているフェンリルではないので寒さに弱い。

 

 そんなリンと体を共有しているフェルも普通よりも寒さに敏感になっている。

 

「そうなんだ」

 

 日本一はフェルの言葉に納得して頷く。

 

「本当に寒いわね……もっとちゃんと準備した方がよかったかしら」

 

 アイエフもコートを着ているにもかかわらず、寒そうに体を震わせる。

 

「そうですね、風邪をひいてしまわないように注意しないといけないですね」

 

 コンパも寒そうに両手に息を吹きかけながら言う。

 

 吐く息も白く染まっていた。

 

「もーう、皆情けないな、こんな寒さくらいへっちゃらじゃない」

 

 いつものライダースーツ姿の日本一は平気なことをアピールするためにポーズをとる。

 

「きっと鍛え方が足りないんだよ……そうだ! 少し走ろうよ! そうすればすぐに温かくなるからさ!」

 

「だ、ダメですよ! そんなことしたら汗をかいて余計に風邪をひきやすくなるですよ!?」

 

 日本一が名案とばかりに提案すると、コンパが慌てて注意した。

 

「ちぇー、いい案だと思ったんだけどなあ」

 

 日本一は唇を尖らせてすねたように言う。

 

「くしゅん!」

 

 そんな会話をしている中、ネプギアが小さくくしゃみをする。

 

「ネプギア、大丈夫なの?」

 

 アイエフが心配そうに尋ねる。

 

「は、はい……でもやっぱり寒くてちょっと辛いです」

 

 ネプギアが着ているコートの上から自分の体を抱きしめるが、やはり寒そうに体を震わせて苦笑した。

 

「なら俺のも着とけよ」

 

 夢人はそんなネプギアの様子を見て、自分が着ているコートを脱いでネプギアに着せた。

 

「そ、そんな!? それじゃ、夢人さんが!?」

 

「大丈夫だって、こんな寒さぐらいでどうにかなる程やわな体はしてないしな」

 

 慌てて夢人にコートを返そうとするが、夢人は笑いながら言う。

 

「それにもしもの時は、自分の体を燃やせば寒さはしのげるしな」

 

 夢人が絶対にコートを受け取らないことがわかり、ネプギアは苦笑しながら言う。

 

「……なら、着させてもらいますね」

 

 そんなネプギアの様子を見て満足そうに笑う夢人。

 

 そして、自分のコートの上から夢人のコートを着たネプギアは袖から出ない手を口元に持って行きながらほほ笑む。

 

「温かいですね、夢人さんのコート」

 

 そんなネプギアの何気ない一言で夢人は衝撃を受けて意識を飛ばした。

 

 

*     *     *

 

 

「……寒いですね、夢人さん」

 

 夜の街を歩く夢人とネプギア。

 

 街には色とりどりのイルミネーションが灯っており、幻想的な雰囲気であった。

 

 ネプギアが寒そうに両手に白くなる息を吹きかけるが、それでも寒そうに体を震わせる。

 

「これならどうだ」

 

「あ……」

 

 夢人はネプギアを後ろから抱き締めた。

 

 ネプギアも最初は驚いて声を上げるが、体を夢人へと預けるように彼にもたれかかる。

 

「これなら寒くないだろ?」

 

 ネプギアに優しく囁く夢人。

 

「でも、恥ずかしい……みんな見てますよ?」

 

 ネプギアは頬を寒さとは違う理由で赤く染めながら夢人に言う。

 

「俺は恥ずかしさよりもネプギアの方が心配なんだ」

 

 ネプギアの言葉に夢人はほほ笑みながら言う。

 

「夢人さん」

 

 ネプギアは夢人の言葉を聞いてうっとりと瞳を潤ませて夢人の顔を見上げた。

 

「えへへ、温かいですね、夢人さんの体」

 

 そう言いながらネプギアは夢人に向かってほほ笑んだ。

 

 そんなネプギアを見て夢人もほほ笑みながら抱きしめる腕の力を強めた。

 

 

*     *     *

 

 

「ふおおおおおおお!!」

 

「ゆ、夢人さん!?」

 

「ど、どこ行くですか!?」

 

 パーフェクト夢人劇場の上演が終わると同時に、夢人は顔を赤くして1人先へと走り出した。

 

「あ! 夢人は元気がいいね! なら、アタシも一緒に走るよ!」

 

 走り去る夢人を見て日本一は嬉しそうに走る準備をする。

 

「……バカね」

 

「……お兄さんったら」

 

 そんなパーティーを見てアイエフとフェルはそろってため息をついた。

 

 

*     *     *

 

 

 夢人は顔を赤くしながら走った。

 

 ネプギアの何気ない一言によって恥ずかしさのあまり逃げ出してしまった。

 

「ハア、ハア、ハア、」

 

 やがて、夢人は息を切らせながら立ち止った。

 

 夢人が呼吸を落ち着かせながら辺りを見回すと、近くに噴水があり、多くの人がその近くで集まっていた。

 

「……とりあえず、ここで待ってるか」

 

 夢人は最後に大きく息を吐き出して、噴水の近くで集まっている人達が何をしているか気になり近づいていく。

 

「……ん?」

 

「……ラムちゃん(しくしく)」

 

 そんな時に、水色のコートを着た少女が泣いているのを見つけた。

 

 夢人はその少女に近づいて、目線を合わせるために膝を地面に着きながら少女に尋ねた。

 

「えっと……大丈夫か?」

 

「……え?」

 

 水色の少女は驚きながら夢人を見た。

 

 少しおびえながら夢人に尋ねる。

 

「……誰(びくびく)?」

 

 少女に怯えられながら、夢人は少女を安心させようとほほ笑みながら言う。

 

「俺の名前は御波夢人、御嬢さんのお名前はなんですか?」

 

 夢人が左手を胸に持って行きながらおどけて尋ねる。

 

 御嬢さんと言われたことで少女は恥ずかしそうに頬を染めながら言う。

 

「……ロム(もじもじ)」

 

「そうか、いい名前だな」

 

 ロムが泣きやんだことを確認して安心して夢人は尋ねる。

 

「ロムはどうして泣いていたんだ?」

 

 ロムは顔を俯かせながら言った。

 

「……ラムちゃんに置いていかれた」

 

 ロムは人の輪を指さしながら言う。

 

 夢人は人の輪を見てから、ロムに向き直り言う。

 

「じゃあ、そのラムって子を探しに行こうか?」

 

 夢人は右手を差し出して言う。

 

 ロムは恐る恐るその右手を掴んで言う。

 

「……うん」

 

 ロムが自分の手を掴んだことを確認して夢人は笑顔で言う。

 

「よし、行こう」

 

 夢人とロムは手をつなぎながら人の輪の中に入っていく。

 

 人の輪の中心では黒いフードをかぶった緑色の髪をした女性が紙を配りながら言っていた。

 

「もう女神の時代は終わりだよ! これからはマジェコンヌをよろしく!」

 

 女性、リンダはマジェコンヌへの勧誘用のビラを配りながら笑顔で集まった人達に言っていた。

 

「マジェコンヌに入れば、今よりずっといい生活ができるよ! 皆はいつ入るの? 今しかないよ!」

 

 リンダが勧誘していることを確認した夢人は呆れながら言う。

 

「……まったく、こんなところであんなことをするなんて」

 

「どうしたの?」

 

 夢人の様子に疑問を持ったロムは尋ねた。

 

「悪い、ちょっと待っててくれ」

 

 夢人は申し訳なさそうにロムに言う。

 

「……わかった」

 

 ロムは少し考えてから応えた。

 

「ありがとうな」

 

 夢人はそんなロムに笑いかけた後、ロムとつないでいる手を離してリンダに近づいた。

 

「皆も一緒にマジェコンヌに入ってね!」

 

「……俺にも一枚くれないか?」

 

「はいよ! ……って、テメェは!?」

 

 夢人は勧誘を続けていたリンダに後ろから近づいて言う。

 

 すると、営業スマイルを浮かべていたリンダは夢人の姿を確認すると、驚いて一歩退いた。

 

「……まったく、こんなところで何やってんだよ」

 

 そんなリンダの様子に呆れて夢人が言う。

 

 リンダは夢人が現れたことで慌てて言う。

 

「な、何でテメェがこんなところに居やがんだよ!?」

 

「別にお前を追いかけているわけじゃないけどな……」

 

 リンダを睨みながら夢人は言う。

 

「これ以上、マジェコンヌへの勧誘活動を続ける気なら容赦しないぞ」

 

 そんな様子の夢人を見て、リンダは冷や汗をかきながらも笑って言う。

 

「っは! テメェに指図されるいわれはねぇよ……けどな!」

 

 リンダは急に人の輪にまぎれるように走り出す。

 

「きゃ!?」

 

 リンダは人の輪の中に居たロムを見つけて首を腕で締めるように抱き上げた。

 

「ロム!?」

 

 その様子を見て夢人は叫ぶ。

 

 集まっていた人達も何事かと慌ててリンダと夢人達から離れていった。

 

「へっ! こいつが心配なら動くんじゃねぇぞ!」

 

 リンダは動きが止まった夢人を見て笑いながら言う。

 

「く、苦しい……」

 

 ロムは苦しそうに顔を歪めながら、リンダの腕から逃げようとする。

 

「お前も動くんじゃねぇよ!」

 

 逃げようとするロムをリンダは逃がすまいと腕にさらに力を入れる。

 

「うぅぅ……」

 

「ロムを離せ!」

 

 苦しんでいるロムを見て、夢人はリンダに向かって叫ぶ。

 

「へっ! これだから勇者気取りは大変だな、離すわけ……うお!?」

 

「ロムちゃんを離せ!!」

 

 リンダが夢人に笑いながら言葉を投げかけている途中で、リンダの後ろからピンク色のコートを着た少女がリンダを蹴飛ばした。

 

「ラムちゃん!」

 

「ロムちゃん!! 大丈夫!?」

 

 その衝撃によって、リンダの拘束からロムは解放されて地面に転がる。

 

 ロムはピンク色のコートを着た少女、ラムの姿を確認して名前を呼ぶ。

 

 ラムもロムに駆け寄りながら心配して体を立ち上がらせる。

 

「ロムちゃんにこんなことするなんて、許せない!」

 

 ロムが泣いていたことを知ると、ラムは怒りをあらわにしてリンダを睨む。

 

「テメェ! ガキンチョの分際で何しやがる!」

 

 リンダもラムに蹴られたことでラムを睨みながら刀を取り出す。

 

 リンダが刀を取り出したことで、その様子を遠目で見ていた人達が悲鳴を上げる。

 

「うるせぇぞ!」

 

 そんな人達に向けて鬱陶しそうに刀を振りながらリンダは言う。

 

「テメェらは黙ってマジェコンヌに入ってればいいんだよ!」

 

 リンダはキレて人々に言った。

 

「やめろ!」

 

 リンダが刀を持ったままラムとロムに近づこうとしたのを見て、夢人はリンダを羽交い絞めする。

 

「離しやがれ!」

 

「離すか!」

 

 リンダは暴れて拘束から逃げようとする。

 

 夢人もそんなリンダを離すまいと必死で押さえつける。

 

「ロム! 早く逃げろ!」

 

 ラムとロムがいつまで経っても逃げないので夢人が叫ぶ。

 

 そんな夢人の様子にロムは1人で立って言う。

 

「……大丈夫(きりっ)」

 

「しょうがないわね」

 

 ラムもロムの隣に立ちながら言う。

 

「この街で悪さする奴はわたしとロムちゃんでやっつけてやるわ! 行こう、ロムちゃん!」

 

「うん」

 

 ラムとロムがそう言うと、2人を中心に光の柱が生まれる。

 

「な!?」

 

「ウソだろ!?」

 

 夢人とリンダはその光景を見て驚く。

 

 2人はその現象に見覚えがあった。

 

 その光は女神の『変身』の光であった。

 

 やがて、光が収まると2人が先ほどまでと違った姿で立っていた。

 

 2人は同じ白いプロセッサ【ディーエ・スライト型】を纏っているが、髪の色が違う。

 

 1人は水色の髪をしていて右側が少しだけ長い。

 

 もう1人はピンク色の髪をしていて左側が少しだけ長い。

 

 まるで鏡合わせのように似ている。

 

「な、何で女神候補生が2人もいんだよ!?」

 

 リンダは2人に叫んだ。

 

「わたし達がルウィーの女神候補生のロムちゃんラムちゃんよ!」

 

「……これ以上、悪いことをするのは許さない!」

 

 2人は手に持っている白いステッキをリンダに向けながら言う。

 

「女神候補生が……2人?」

 

 夢人もロムとラムが『変身』したことで驚いて、リンダを捕まえている力を緩めてしまった。

 

「今だ!」

 

 リンダは拘束している力が弱まったのを知ると、力づくで拘束を抜けだして逃げ出した。

 

「しまった!?」

 

 リンダを逃がしてしまったことで夢人が叫ぶ。

 

「テメェら何ざ相手してられっか!」

 

 リンダは捨て台詞を言いながら走り去る。

 

「逃がさない! 追うよ、ロムちゃん!」

 

「うん(こく)!」

 

 『変身』したラムとロムはリンダが逃げて行ったのを見て後を追って行った。

 

「ロム、待て!?」

 

 そんな2人を見て夢人は叫ぶが、2人はリンダが逃げた方向へと飛んで行ってしまう。

 

「くそっ!」

 

「夢人さん!」

 

 夢人も慌てて追おうとするが、騒ぎを見つけてやってきたネプギア達に呼び止められた。

 

「一体どうしたの?」

 

 アイエフが冷静に夢人に尋ねる。

 

「マジェコンヌの奴がいたんだ! それをロムが、ルウィーの女神候補生が追って行ったんだよ!」

 

 夢人がそう言うと、ネプギア達はその場の騒ぎに納得して頷く。

 

「追いかけましょう! 今ならまだ追いつけます!」

 

 ネプギアがそう言うと、夢人達もリンダが逃げた方へと走って行った。




はい、今回はここまでです!
ほらね、皆さん読んでてわかったでしょ?
私があの子達にひどいことするわけないんですよ
私はね、このルウィー編は基本的に明るくしようと思っているんですから
…え?ラムちゃんの様子がおかしい?
…さて、次回もお楽しみにしていてくださいね!
それでは、 次回 「裏切り者」 をお楽しみに!
…サブタイが不吉すぎる

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