超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
ちょっと予定していた内容まで到達することができず、急遽サブタイを変更させていただきます。
それでは、 勇者への道 はじまります


勇者への道

 その日、ドーム型の建物でとある催し物が行われようとしていた。

 

 建物の中央には、碁盤の目のように敷き詰められた石の板が正方形に並んでおり、まるで舞台のような形を作っていた。

 

 その舞台を頭上から見渡せるように、客席の位置は高くなっており、多くの来場客でにぎわっていた。

 

 舞台の上に天井は存在していないが、客席の上には雨よけの屋根が存在している。

 

 しかし、それが舞台を目立たせる効果を発揮している。

 

 快晴の空から日の光に照らされる舞台と影になっている客席。

 

 まるでコロシアム、もしくは闘技場と言った舞台の中央に1人の女性が立っていた。

 

 女性は片手でマイクを持ちながら、笑顔で観客に向かって手を振り始めた。

 

「みんなー!! 今日は集まってくれてありがとうー!!」

 

『わああああああああああああ!!』

 

 マイクを通して拡大された女性の声が響き渡ると、集まってきた観客達は大いに沸いた。

 

「ボクは今日の司会進行役を任された5pb.です。今日は1日よろしくねー!!」

 

『よろしくー!!』

 

「ありがとうー!! それじゃ、みんなは今日これから何が始まるか、当然わかってるよね?」

 

 女性、5pb.はにこやかな笑顔から一転、眉をきりりとさせて客席を見渡した。

 

 観客達は当然、これから何が始まるのかを知っている。

 

 だからこそ、先ほどまでの歓声は鳴りを潜め、進行を務める5pb.の言葉を待った。

 

「今、ゲイムギョウ界中で話題になっている勇者と言う人物が本当にいるのか……みんなはそれを確かめに来たんだよね?」

 

 5pb.の告げる言葉に対する観客の反応はない。

 

 全員真剣な顔で頷いたり、真っ直ぐに5pb.を見つめるだけである。

 

 集まってきた観客達は、無言で5pb.に続きを促しているのだ。

 

 それ程、観客達がこれから行われることを重要視している証拠でもあった。

 

「今日はそんなみんなの疑問に答えるために、各国の女神様達や教祖の方々、ギルドマスターの方々にも協力してもらい、このような場を設けることができました……その名も『勇者への道』!!」

 

 5pb.は、集まっている観客達に力強く宣言した。

 

 『勇者への道』……この企画こそ、イストワ―ルの呼びかけの元、各国で協力し合い、夢人が勇者であることを証明するために用意された舞台である。

 

 ちなみに、この会場の映像は中継されており、リアルタイムでゲイムギョウ界中に配信されている。

 

 すなわち、会場に集まった観客だけでなく、ゲイムギョウ界中の人々がこの企画に注目しているのだ。

 

「ルールは簡単。これから登場していただく1人の挑戦者が、各国のギルドから選抜されたSランク冒険者の方々と様々な競技で対決してもらいます。そして、全員に勝ちぬくことができれば、勇者の称号が得られると言うわけです……では、早速登場してもらいましょう!! どうぞ!!」

 

 ルールを簡単に説明し終えた5pb.は、観客達に向けていた視線を舞台に入るための入口へと移した。

 

 呼びかけと入口に向かって伸ばされた手が合図となり、入口の両脇から白いスモークが噴射され始めた。

 

 やがて、その白い煙の中に黒い人型の輪郭が浮かび上がり、誰かが舞台へと歩いている姿が見え始めた。

 

「本日の挑戦者、女神様達の推薦枠で登場するのはゲイムギョウ界中で噂されている偽物勇者……御波夢人(仮)さんです!!」

 

「だああっ!?」

 

「……って、あれ? どうかしましたか?」

 

 自己紹介と共に颯爽と登場するはずであった人物、夢人は5pb.のあんまりな紹介に思わずその場でこけてしまった。

 

 その服装は普段とは変わらないが、肩からマントをつけており、一応の装飾がされていた。

 

 5pb.は転んだ夢人を心配する素振りを進行役と言う立場から取ることができず、申し訳ない顔をしながら観客に見えないように小さく手を立てて謝罪した。

 

 それを受け取った夢人は何でもないと言う風に手を軽く振ると、転んでいた体を起して服の汚れを払いながらゆっくりと舞台へと進んで行く。

 

(5pb.は何も悪くない。ただ忠実に原稿を読んでいるだけなんだ。だから、あの紹介もこんなことになった俺の自業自得……)

 

「挑戦者である御波夢人(仮)さんは、現在ゲイムギョウ界中で流れている【教会を歩く裸の男がいた】、【白昼堂々の奴隷プレイ】、【女神候補生を誘拐しようとした】、【不気味な女装をして街を練り歩いていた】などの噂がある人物です。今日はその噂がデマであり、本当に勇者なのかどうかをボク達の前で証明してくれるでしょう」

 

(くっ、事実に基づいた噂だから余計に辛い。それに、何より……)

 

 夢人は5pb.の言葉以上に、観客達からの視線に心を傷つけていた。

 

 表立って野次を飛ばしたりする観客はいないが、全員が全員冷たい眼差しで夢人を見下ろしている。

 

 中には、今にも舞台の方に降り立って夢人に危害を加えるのではないかと言う程の殺気を込めている者もいる。

 

(これがもし、ネプギア達からの推薦枠じゃなかったらと思うと、本当にぞっとするよ。これはイストワ―ルさん達に感謝しないとな)

 

 夢人は数日前にイストワ―ル達からこの企画を聞かされた時を思い出し、心の中で感謝しながらその時のことを回想し始めた。

 

 

*     *     *

 

 

「各国の教祖の皆さんと協議した結果、夢人さんにはSランク冒険者の方々と戦って頂くのがよいと……その前に、大丈夫ですか?」

 

「……はい、大丈夫ですから、続きをお願いします」

 

 衝撃の偽物認定を受けていたことを知った時のように、俺達はイストワ―ルさんによって集められていた。

 

 そこで打開策となる企画について聞いていたのだが、俺はここ最近のマジェコンヌさんからの指導によってふらふらになっていた。

 

 ……肉体的ではなく、精神的に辛いんだよな。

 

 イストワ―ルさんだけでなく、ネプギア達も心配そうに見てくるのはありがたいけど、今は話の続きを聞かないといけない。

 

 これは絶対に失敗できない作戦なんだから。

 

 もし失敗したら、勇者はおろか、俺は自分の名前すら失ってしまう。

 

 だからこそ、話に集中しないと。

 

「それではもう1度……夢人さんには各国のギルドから選抜されますSランク冒険者と戦ってもらいます」

 

「Sランク冒険者って、具体的にはどのくらい強いんですか?」

 

「……そうね。ギルドのランク付けは知ってるわよね? 1番簡単なクエストをEランクとして、最上級クエストのことをSランクと呼ぶわ。つまり、ギルドで最も困難なクエストを任されるほどの実力者と言うわけね」

 

 ネプギアの質問にアイエフが答えてくれた内容を、俺も感心しながら聞いていた。

 

 俺がいつも受けているクエストは、本当に簡単な奴だけだったし、そんなランク付けがあること自体知らなかった。

 

 と言うより、プラネテューヌのギルドマスターであるイワが上のランクを受けさせてくれなかったんだ。

 

「具体的な強さは……最低、危険種を1人で倒すくらいの実力はあるはずよ」

 

「そんな相手に夢人が勝てるわけないじゃない!?」

 

「夢人お兄ちゃん、負けちゃうの(うるうる)?」

 

 いやさ、確かに俺は1人で危険種に勝てるほど強くはないよ。

 

 でもさ、もう少し俺のことを信頼してもいいと思うだけど……

 

「まあ、未だにスライヌに負ける夢人には荷が重いかもしれないけど、これだけは譲れないのよ」

 

「どう言うことですか?」

 

「率直に言いますと、ただ夢人さんが勇者であると認めさせるだけでは駄目なのです」

 

 イストワ―ルさんが話す内容に、俺は首を傾げて疑問に思った。

 

 俺が勇者として力があることを証明するだけじゃ駄目なのか?

 

 ……後、アイエフもそんな呆れたように言わないでくれ。

 

 未だに黒星を続けていることも事実だから、何にも言えないじゃないか。

 

「一時的に勇者として夢人さんを国民の皆さんに認めてもらいましても、今後その認識がずっと続くわけではありません」

 

「そっか。夢人を倒して自分が勇者だって言う人も出てくるってわけですよね?」

 

「そうです。今回のことをきっかけに、自分の方が勇者にふさわしいと言う方が出てくる可能性が充分に考えられます」

 

「今回で夢人が勇者だと証明できても、ただ実力を示すだけじゃ闇打ちされたり、力試しなんて理由で戦いを挑まれたりもするわ。それでもし負けちゃったら、今度は振り出しに戻るよりもさらに後ろに下がっちゃうのよ」

 

 3人の言っていることはわかる。

 

 今回のことで俺が勇者であると証明できても、それはあくまで今回のことがあったからだ。

 

 つまり、今回のことと言う前例ができるのが問題なのだ。

 

 前例があるのなら、次もあるのではないかと思ってしまう。

 

 そうなってしまうと、俺は何度も自分の名前と勇者の称号を賭けて戦わなくちゃいけなくなる。

 

 ましてや、ゲイムギョウ界にはネプギア達の助けになろうとする日本一のような人達が大勢いる。

 

 そんな自分の腕に自信がある人達が、俺なんかを女神と並び立つ勇者などと認めるわけがない。

 

 それこそ、アイエフが言うように闇打ちや戦いを挑まれたりするだろう。

 

 そんな自分に不利な条件で、俺が勝てる可能性は極めて低い。

 

 そうなると、今度は偽物勇者だけでなく、負け犬勇者と言う称号も……それだけは嫌だ!?

 

 そんなことになったら、俺はいつまで経っても自分の名前を名乗れず、勇者になることもできないじゃないか!?

 

「ですから、各国のギルドマスターの方々にも協力をしていただき、ギルドの推薦枠として誰もが認める実力を持つSランク冒険者を相手にしてもらおうと考えたのです」

 

「でもでも、そんな人達相手にゆっくんは勝てるの?」

 

「勝ってもらうしかないわ……わかってるわね、夢人?」

 

「……ま、任せろ」

 

 俺は確認するように尋ねてくるアイエフに上手く答えることができなかった。

 

 笑おうとしても頬が引きつり、親指を立てようとしても腕が震える。

 

 ……正直いいます、すごく自信がありません。

 

 だって、俺まだスライヌにすら勝てないんだよ?

 

 それなのに、相手は危険種を相手に戦ってるSランク冒険者の方々。

 

 しかも、マジェコンヌさんからブレイブソードを使うことを禁じられている今、俺の持ち札は魔法とアレしかないんだぞ?

 

 ……どうやって勝てばいいんだよ!?

 

「自信を持ちなさいよ。なんて言っても、アンタはあのブレイブ・ザ・ハードとの一騎打ちに勝ったのよ? そんなアンタが例えSランクと言えども、たかが冒険者相手に負けるわけないじゃない。ほら、しゃきっとしなさいよ、しゃきっと!」

 

「イタッ!? あ、ああ、そうだった……うん、そうだ。俺の経験だって、決して劣ってなんかいない」

 

 ユニから激励の言葉と共に背中に気合を入れられ、俺は弱気になっていた心を奮い立たせることができた。

 

 俺だって、伊達に今までネプギア達と一緒に戦ってきたわけじゃない。

 

 危険種やキラーマシン、ハードブレイカーにワレモノモンスターとだって戦ったことがある。

 

 そして何より、あのブレイブに魔法だけで勝ったことがあるのだ。

 

 最後は勝ちを譲られる形になったが、それまではお互いに真剣に戦ってた。

 

 だが、あの一騎打ちは今の俺に大きな自信をくれる。

 

 いくらSランク冒険者と言えども、ブレイブよりも強いわけがない。

 

 そんなことがあったら、女神なんて必要なくなるからな。

 

 よし、何だかやれる気がしてきたぞ。

 

「ありがとうな、ユニ」

 

「別にいいわよ。アタシはアンタが勝つのを信じてるだけなんだから……だから、絶対に勝ちなさいよ、夢人」

 

「おう」

 

 ユニのほほ笑みと信頼を受け取り、俺は自然と頬が緩むのと同時に自信が湧いてきた。

 

 ブレイブの時は負けてしまったけど、今度こそユニの信頼を裏切らないように勝たなくちゃな。

 

「むぅー……」

 

「え、えっと、どうかしたか、ネプギア?」

 

「……え? あ、いや、何でもありませんよ!? はい、何でもないです!?」

 

「そ、そうか」

 

 気合を入れ直していると、横からネプギアが目を細めて俺達のことを見つめていた。

 

 最近よくネプギアがこんな風に観察するように俺を見てくるような気がするけど、いったいどうしたんだ?

 

 な、何か俺やらかし……うん、今回の騒動のせいですよね。

 

 ネプギアは噂が真実であるとわかっているからこそ、俺のことを疑っているのではないかと思う。

 

 その、俺が本当に変態であるかどうかを疑っているのだろう。

 

 だから、友達のユニに変態行為をさせないように注意していたのではないか?

 

 ……すごく悲しい。

 

 このことは、俺が自分の名前と勇者と言うことを証明できたとしても払拭することができない。

 

 また別の問題が浮上したことで、俺は泣きたくなってしまった。

 

 でも、とりあえず今は、自分の名前を勝ちとらないと話にならない。

 

 ネプギアの誤解を解くのはその後だ。

 

 ……手遅れにならないうちになんとかしないと。

 

「夢人? 大丈夫?」

 

「な、ナナハ? どうかしたか?」

 

「いや、だってちょっと顔色が悪いし、無理だけはしないでね」

 

「……ありがとう。でも、大丈夫だ」

 

「そう、よかった」

 

 ネプギアのことに集中していると、ナナハが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。

 

 ……そうだよ、ナナハの告白のこともあったんだ。

 

 俺と生きるために女神をやめると言ったナナハの顔は真剣だった。

 

 本気で言っていたとわかるからこそ、俺はその告白にどんな返事をしたらいいのかわからなかった。

 

 だから、俺はあの時、その場の雰囲気に流されてキスをねだるナナハに抵抗することができなかったんだ。

 

 ……今思えば、崖から突き落としてくれてでも止めてくれたネプギアに感謝している。

 

 もしあの時キスをしていたのなら、俺もナナハも傷ついていた。

 

 ナナハのことは好きだけど、俺にその愛に応えるだけの覚悟はあるのか?

 

 安心してはにかむナナハの顔を見て、俺は曖昧に笑みを浮かべることしかできない。

 

 ネプギアに気持ちを告げることも、ナナハの告白に返事をすることも、今の俺にはできそうにない。

 

 ……それに対する答えが見つからないからだ。

 

 俺はこのままネプギアを好きでいていいのか?

 

 ナナハの思いを知りながら、それを弄んでいるような今の状態でいていいのか? ……駄目に決まってる。

 

 それなのに……それなのに、どうして俺は踏み出すことができないのだろう。

 

 優柔不断な自分を殺したくなる。

 

 俺の気持ちは、いったいどこにあるんだろう?

 

「それでは話を戻しますが、夢人さんには女神推薦枠として戦ってもらいます。これは先ほども言いましたように、何度も同じことを繰り返さないようにするための処置です」

 

「ねぷねぷ達、女神様の推薦がないと勇者を名乗れないと言うことにするためですよね?」

 

「その通りです。これにより、今後勇者を名乗ろうとするためには、女神の協力が必要だと印象付けることができます」

 

「闇打ちやら野良試合が無駄だってことを広めることができるわ」

 

 ……っとと、考えに没頭していたら次の話題に入ってた。

 

 女神推薦枠、俺にかかる火の粉を押さえるためにイストワ―ルさん達ができる最大限の予防策だろう。

 

 後は、俺が自分でなんとかしなくちゃいけない。

 

「勝負の内容はネプテューヌさん達にお任せしようと思います」

 

「おっけー! 要はゆっくんが勝てそうな勝負にしたらいいってことだよね?」

 

「そうですね。何も勇者は戦うことだけがすべてではありません。女神に相応しいと思わせるような勝負にしてください……くれぐれも、ふざけた勝負にしてはいけませんよ! いいですか!」

 

「わ、わかった!? わかったよ!? 真面目に考えるから、そんなに何度も言わないでよ!?」

 

「く・れ・ぐ・れ・も、よろしくお願いしますね!」

 

 そんな風にネプテューヌとイストワ―ルさんがじゃれ合っているのを見て、ネプギア達が笑っている。

 

 でもそんな中、俺はこれからのことを考えると笑えない。

 

 ……自分のことだけでなく、ネプギアとナナハのことが頭から離れなかった。

 

 俺はどうすべきなのだろう……

 

 

*     *     *

 

 

(……っと、いけないいけない。今から負けられない戦いに挑むって言うのに、考えすぎてた。集中集中)

 

 考えながらも、すでに舞台に上がっていた夢人は自分が今からのことに集中しきれていなかったことを反省した。

 

 これに勝たなければ、ネプギアとナナハのことも考えることができなくなる。

 

 まずは、自分の名前と勇者であることを証明しなければ、傍にいられなくなってしまうからだ。

 

(偽名と変質者では、絶対に2人の傍にいられなくなる。そうなったら、気持ちや告白どころじゃなくなってしまう……何が何でも勝たなくちゃいけないな。ユニも言ってたけど、ブレイブよりも強い相手が出ない限り、俺は……)

 

「それでは、まず1人目のSランク冒険者……リーンボックスのギルドからの推薦です!! どうぞ!!」

 

 横で夢人が拳を強く握りしめて気合いを入れ直していると、5pb.は対戦相手を召喚した。

 

 夢人が入ってきた入り口とは逆方向にある入口が、同じように白い煙で覆われる。

 

 そして、その中から人影がゆっくりと浮き上がり、夢人達がいる舞台に近づいてくる。

 

「……へ?」

 

 近づいてくる人影を見えてくると、夢人は間抜けな声を上げてしまった。

 

 その顔は口を開けたまま固まってしまい、情けない姿をさらしている。

 

「この方は、何とフェンリルの大群を片手でなぎ払う程の実力の持ち主。ついた異名がその強さを証明しています」

 

 5pb.が次々と情報を話してくれるのだが、夢人の耳にはまったく入らない。

 

 ただその相手の姿に驚愕して動けずにいるのだ。

 

 やがて、その相手が舞台に上がり、夢人に大きな影を落とす。

 

「その名は、『覇王』ケン・オーさんです!!」

 

「うぬが噂の変態か」

 

 3メートルに届くのではないかと巨体の持ち主、ケン・オーは夢人を冷たく見下ろしながらつぶやいた。

 

 頭には黒い兜を被り、皮の鎧を身につけて黒いマントを風になびかせていた。

 

 さらに、そのはちきれんばかりの胸筋を張りながら、丸太のような腕を組む姿は、まさに王者の風格に溢れていた。

 

(……これ、無理じゃね?)

 

 夢人は最初の自分の対戦相手を前にして、考えていたことがすべて吹き飛んでしまった。

 

 ただ自分の最初の対戦相手を前にして、顔を青く染めて絶望を感じていた。




という訳で、今回は以上!
さて、実は今回構成を作りなおしまして、予定していたサブタイの内容は次回になってしまいました。
紛らわしくなってしまい、申し訳ございません。
次回こそ、予定していたサブタイになります。
それでは、 次回 「力を引き出せ」 をお楽しみに!

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