超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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かかったな!
皆さんまだ起きているでしょうか?それともおはようございます?
という訳で、作成してて区切りがいいので投稿しちゃいますよ
いいや、毎回投稿しないよ詐欺で申し訳ございませんね
でも、作者は連続投稿に限界があると知っているため、今ここでため込まずどんどん出しちゃいますよ
私は頭の中でキャラが動く限り投稿を続けてやるぜぃ!
まずは先に謝罪させてもらいます
申し訳ございません
理由は本編を読んでもらえればわかると思いますが、今回私的に読者さまが気分を害してしまう恐れがある表現が含まれていますのでご注意してください
…それでは、 魔物使い はじまります


魔物使い

 アヤから受けたクエストでセプテントリゾートに向かった夢人とユニ。

 

 そこに居たマジェコンヌ下っ端リンダと戦闘になる。

 

 リンダはマジェコンヌ製のディスクを使い、危険種であるドルフィンを操り夢人達を襲う。

 

 ユニは『変身』をしてこれに対処しようとするが、力及ばず倒されそうになってしまう。

 

 しかし、夢人が囮になることでユニは最後の力を振り絞り、ドルフィンに最高の一撃を当てることができた。

 

 それでもドルフィンを倒すまでには至らず、絶体絶命の2人の前に同じく危険種フェンリルを使役する2人組が現れたのである。

 

 

*     *     *

 

 

 夢人は目の前の光景が信じられなかった。

 

 危険種であるドルフィンとフェンリルが互いに戦っている。

 

 しかも、フェンリルは夢人達を守りながら戦っているのである。

 

 ファルコムは呆然と目の前の光景を見て苦笑しながら夢人に言う。

 

「あのフェンリルは『フェル』の仲間なのよ」

 

 ファルコムの言葉を聞いてファルコムの横に居る少年、フェルへと視線を向ける。

 

 しかし、フェルは先ほどからずっと夢人とユニ、特に夢人を睨んでいたのである。

 

 その表情も夢人達とは初対面であるにもかかわらず、恨みや怒りの色もある。

 

「珍しいね、フェルがこんなに感情をむき出しにするなんて」

 

 そんなフェルの様子に驚いてファルコムは言う。

 

「……別に……」

 

 その言葉を聞くと、フェルは顔をフェンリルへと向ける。

 

 見ると、フェンリルがその牙をドルフィンへと突き立てていた。

 

「ガオオオオオオン!!」

 

 そして、ドルフィンが動かなくなったのを確認すると、フェンリルは空に向かい大きく吠えた。

 

「……よくやった」

 

 そんなフェンリルに近づきながらフェルは前足をなでる。

 

「……終わったみたいだし、ラステイションへ帰るんでしょ? あたし達が運んであげるよ」

 

 戦闘が終わったことを確認したファルコムが夢人達に手を差し出しながら言った。

 

 

*     *     *

 

 

 ラステイションギルド内では……

 

「無事でよかったわ~ん!」

 

 夢人とユニはアヤに力いっぱい抱きしめられていた。

 

 しかし、2人の表情は青くなっている。

 

 アヤの無駄に漢らしい胸板やたくましい腕に抱かれて気持ちが悪くなっているのである。

 

 そんな2人にファルコムは助け船を出そうとアヤに苦笑しながら言う。

 

「アヤさん、それぐらいにしないと……2人だって怪我しているんだし」

 

「あら? やだ、これじゃ漢乙失格だわ」

 

 ファルコムの言葉を聞いてアヤは2人を解放した。

 

 解放された2人は青い顔をしながら深呼吸を繰り返して落ち着こうとする。

 

「……た、助かったわ」

 

「……ありがとう、ファルコム」

 

「どういたしまして」

 

 2人からのお礼に苦笑しながら応える。

 

「それにしても『モンスターマスター』なんてまだいたのね」

 

 アヤはそんな2人を気にせず、3人から聞いた話を思い出しながら言う。

 

「何なんだよ、そのモンスターマスターって?」

 

 夢人は聞いたことがない言葉であったためをアヤに尋ねた。

 

「モンスターマスター、魔物使いとも言うわね……彼らはモンスターと信頼関係を結び仲間にしている人達のことを言うのよ」

 

 アヤは真剣な表情で語りだす。

 

「古の時代には、女神がいない時代があったのよ……そんな中で人々はモンスターの脅威から逃れるためにモンスターの相手を同じモンスターにさせたの……そんなモンスターを使役し戦わせる人達のことを魔物使いって言うのよ」

 

 アヤの言葉にユニは疑問に思ったことを聞く。

 

「でも、なんでそんな存在が有名にならないの?」

 

 ユニの質問にアヤは顔をゆがめて応える。

 

「……女神が誕生したことにより、人々はモンスターを完全に敵として認識したのよ……そのため、同じ人間でも魔物使いをモンスターの仲間として迫害していったの」

 

「迫害って!?」

 

「そうよ……彼らの一族を滅ぼしたのよ……同じ人間が同じ人間を殺したの」

 

 夢人が叫び、アヤは顔を伏せながら応える。

 

「……だから、魔物使いは禁忌の存在として、歴史からその存在を消されていたのよ」

 

「……そうです、彼の家族は魔物使いの末裔でした」

 

 アヤの言葉に続いてファルコムは言葉を続ける。

 

「彼の家族は細々と森の中でモンスターと仲良く暮らしていたのだと言います……でも、3年前に……」

 

 ファルコムは街に入れないフェンリルとともにいるフェルについて辛そうに語る。

 

「マジェコンヌがゲイムギョウ界を侵略したことによって彼の家族はモンスターの仲間だと判断されてしまい……」

 

 ファルコムは手を強く握りながら言う。

 

「まだ幼かった彼を残して殺されてしまったの……」

 

 ファルコムの言葉でその場の全員が目を伏せる。

 

 そんな中、ファルコムに夢人は尋ねる。

 

「……じゃあ、どうしてあいつは無事だったんだ?」

 

「……あのフェンリルだよ。あのフェンリルは彼が幼いころからずっと一緒に居るらしいんだ」

 

 ファルコムは街の外に居るフェルとフェンリルに向けて視線を向けるように窓の外を見つめながら言う。

 

「彼が殺されそうになった時に、フェンリルが殺そうとした人達を襲ったのよ……」

 

 ファルコムは悲しそうに語り続ける。

 

「フェンリルも家族同然に育ったフェルが殺されそうになって怒っていたわ」

 

 ファルコムはその時を思い出すように目をつぶりだした。

 

「……周りが血の海になってもフェンリルは止まることはなかったわ……フェルの敵をすべて殺しつくすまでは……」

 

 ファルコムの体は少し震えていた。

 

「……彼は許せなかったのよ、家族を殺した人間が……フェルの大事なものを奪った人達が……」

 

 そんなファルコムに夢人は質問をした。

 

「……アンタとフェルの関係はどうなんだ?」

 

 その言葉が話題を変えるためのものだと気付いたファルコムは苦笑しながら応える。

 

「同じ島に住んでいた者だよ……もっとも、彼と知り合ったのはその事件の後なんだけどね」

 

 そう言ったファルコムは悲しそうにつぶやいた。

 

「……今でも彼は恨んでいるんだよ、女神と人間を……」

 

 

*     *     *

 

 

 ラステイションの近くの林。

 

 そんな場所にフェルとその仲間であるフェンリルはいた。

 

 フェルは女神を恨んでいた。

 

 女神の存在がいるから自分達、魔物使いが迫害された。

 

 女神達がマジェコンヌにやられてしまったから……

 

 そのことをフェルは知っていた。

 

 しかし、その後のことをフェルは許容できなかった。

 

 自分の家族が殺された。

 

 彼の目の前で刃物で切りつけられていく父親と母親。

 

 彼の絶対の味方であった存在が目の前で動かなくなっていく。

 

 彼はそれを叫びながら見ることしかできなかった。

 

 気がつけば、ずっと一緒に暮らしていたフェンリルが自分を守っていたことに気付いた。

 

 そして、フェンリルの目が自分と合わさるのを見た瞬間……

 

「フェンリル!! 皆、殺せ!!」

 

 フェンリルに向かって命令していた。

 

 フェンリルはその命令に頷いて応え、目の前の人達を殺した。

 

 フェルはその光景を見て狂ったように笑っていた。

 

「あは、アハハ、アハハハハハハハ!!」

 

 フェンリルがそんなフェルを悲しそうに見つめているのに彼は最後まで気づかずにいた。

 

 

*     *     *

 

 

「……あたしは暴れまわるフェンリルの噂を聞いて彼の家の近くに来た時、正直驚いたよ……血だらけの部屋でフェンリルが人間を自分の子どものように抱えている姿を見て」

 

 ラステイションのギルドではファルコムがまだ話を続けていた。

 

「あたし自身、モンスターは敵だって思っていたし、島に危険なモンスターを置いておくわけにはいかないと思って倒しに行ったんだけど……」

 

 ファルコムは悲しそうに言葉を続ける。

 

「正直見てられなかったよ……うつろな表情で父親と母親の名前を言っているフェルを見て」

 

 ファルコムは再び強く手を握りしめながら言う。

 

「あたしの姿を認識したフェンリルはまるでフェルをあたしに託すように差し出したの……あたしは急いで彼を治療したわ。でも、彼の心は癒すことはできなかったの」

 

 夢人達はその言葉を聞いて悲しげに表情を浮かべ、ファルコムの言葉を待った。

 

「彼はフェンリル以外を信用しようとしなかったわ……今でこそ、あたしを信頼しているように見えているけど……きっと、まだ心の底では信頼なんかしていないのよ」

 

 ファルコムは悲しそうに笑った。

 

「……当然よね、彼の家族を奪った人間を信じられないのは」

 

 アヤは重々しく言う。

 

 そんなアヤの言葉に続いてファルコムも言う。

 

「そうです……彼は他の大陸に行くためにあたしを利用しただけなのよ……モンスターを連れて旅なんて彼一人ではできないから、冒険家であるあたしの名前を使っているだけなのよ」

 

「どういうことだよ?」

 

 どうして冒険家ならモンスターを連れていてもおかしくないと思われるのかがわからず夢人は尋ねる。

 

「モンスターを飼育したいだなんて道楽がいる時があるの……ギルドでは、そんな依頼を受けないのだけど、冒険家は違うわ……彼らは直接依頼主から依頼を受けて何でもする人達もいるのよ……それこそ、犯罪に手を染める人達もね」

 

 アヤが悲しそうに話し続ける。

 

「だから、冒険家ならモンスターを連れていてもモンスターを飼育したいと言う道楽の依頼を受けたのだと思わせることができるってわけよ」

 

 夢人とユニはその言葉を聞いて慌ててファルコムを見た。

 

 その視線の意味を悟ったファルコムは2人を安心させようと笑いかけながら言う。

 

「……そうだね、あたしは冒険家って肩書きのためだけに彼に利用されているの……きっとこのことは彼の家族が彼に教えていたんだと思うわ」

 

 ファルコムがそう言うと、ユニは尋ねた。

 

「……なんでそんなことを許しているの?」

 

 ユニはファルコムが利用されていてもそのままの関係でいることが信じられず尋ねる。

 

「……彼を助けられなかった自分への罰、っていうのは少し違うかな……あたしは彼にまた人間を信じてもらいたいんだよ」

 

「……どうして?」

 

 ファルコムはわからないっと言った表情のユニに諭すように言う。

 

「……それは、あたしがこのゲイムギョウ界が好きだから、ってことではダメかな」

 

 ファルコムのその言葉を聞いてユニは言葉を続けることができなかった。

 

 

*     *     *

 

 

 その後、ギルドを出た夢人とユニは教会へと帰る道を歩いていた。

 

 しかし、2人の間には会話がなかった。

 

 ユニは信じたくなかったのだ。

 

 ファルコムから聞いた話を聞くと、ユニは恨まれても仕方ないと思う。

 

 それが怖い。

 

 誰かから恨まれるのが怖い。

 

 自分がしたことでもないのに理不尽に恨まれるのが怖い。

 

 自分は何も悪くないのに。

 

 自分がただ女神だから恨まれるなんて……

 

 そんなユニを見て夢人は提案した。

 

「……ちょっと寄り道しようぜ」

 

 ユニの手を取って強制的に連れて歩く。

 

 ユニはそれに抵抗せず、なすがままに連れられて行く。

 

 やがて、ラステイション内にある公園に辿り着いた。

 

 夢人はベンチにユニを座らせてから公園内に設置されていた自動販売機でジュースを購入する。

 

「ほらよ」

 

「……ありがとう」

 

 ユニは夢人からジュースを受け取り飲み始める。

 

 しかし……

 

「ぶぅぅぅぅ!?」

 

 あまりのまずさにすべて吹き出してしまった。

 

 そして、急いでジュースのラベルを確認する。

 

 そこには『ミックスジュース ドロップキック味』と書かれていた。

 

 ……どんな味だよ。

 

「ぷっ! 引っかかったな!」

 

 夢人はそんなユニの反応に満足そうに笑う。

 

「なんてもの渡すのよ!?」

 

ユニは顔を赤くしながら夢人の肩を掴んで揺さぶりながら言う

 

「や、やめろって!? おい!?」

 

「奴隷のくせに! 生意気なのよ!!」

 

 夢人の言葉も聞かず、ユニは夢人のことを揺さぶり続ける。

 

「わ、悪かったって!? だから、やめろって!?」

 

 顔を次第に青くしながら夢人はユニに言う。

 

 ユニはその顔を見ながら意地悪そうな笑みを浮かべて言う。

 

「ん~、誠意が感じられないわね? ご・め・ん・な・さ・い、じゃないのかしら?」

 

 ユニのその言葉を聞いて夢人は慌てて叫ぶ。

 

「ご、ごめんなさーい!」

 

「よし!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ユニは座っていた彼をベンチから突き落として満足そうに腕を組んだ。

 

「っう……イテテ」

 

 夢人は尻をさすりながら立ち上がる。

 

「それで、どうしてこんな真似したのかしら? 返答次第では……」

 

 ユニは威嚇するように笑顔で言う。

 

 そんなユニの姿を見て夢人は自然と頬を緩ませて笑う。

 

 自分の想像していた反応と違う夢人を見てユニは顔をしかめる。

 

「……何よ」

 

「いや、少しは元気になったかなって」

 

 夢人のその言葉を聞いて、ユニは驚いた。

 

 自分が夢人に気遣われていたことに気づいて頬が赤く染まるのがわかる。

 

「ふ、ふ~ん……アンタにしては気がきくじゃない?」

 

 素直に礼を言えず、そっぽを向きながら言う。

 

 そんなユニの様子に夢人はほほ笑みながら言う。

 

「そいつはどうもな……」

 

 夢人は星空が輝いている空を見上げながらユニに言う。

 

「なあ、ユニ」

 

「何よ?」

 

 ユニはそんな夢人を不思議そうに見つめて応える。

 

「知ってるか……」

 

 2人だけの公園に夢人の言葉が響いた……

 

 

*     *     *

 

 

 それからさらに1週間が過ぎた。

 

 夢人はネプギア達と連絡を取って彼女達が今、ケイに頼まれて『宝玉』と言われるアイテムを探しにプラネテューヌに帰っていることを知った。

 

 何とファルコムが『宝玉』の在り処を教えていたのであったので、世の中どこでつながっているのかわからないと思った。

 

 しかし、その時にはフェルは別行動をしていたらしく、彼とは面識がないらしい。

 

 そんな夢人は現在、ラステイションの教祖であるケイからとある依頼を受け取っていた。

 

 それは『結晶』と言うアイテムの入手である。

 

 このアイテムは希少価値が高く、めったに手に入らないと言う。

 

 彼は『結晶』とネプギア達に依頼した『宝玉』を集めることと引き換えにゲイムキャラの情報を渡すと交渉したらしい。

 

 そのことをネプギア達から聞いた夢人も『結晶』を探すため、ラステイション周辺のダンジョンを巡っていたのである。

 

 そこにはファルコムとフェル、フェンリルの姿もあった。

 

「それにしても君がネプギアと知り合いだったなんて知らなかったよ」

 

「こっちだってまさかネプギア達と面識があっただなんて思いもしなかったさ」

 

 夢人とファルコムは先頭を歩きながら談笑する。

 

 その少し後ろをユニが俯きながら歩いている。

 

 しかし、その様子は少しおびえているように見えた。

 

 そして、最後尾にはフェンリルと、夢人とユニを睨みながら歩くフェルの姿があった。

 

 この1週間、4人と1匹は同じパーティーを組んでダンジョンを巡っていた。

 

 理由はファルコムが夢人達にお願いしたのである。

 

 フェルが珍しく感情を表した人物である夢人達と一緒に行動することでフェルの人間嫌いが治るきっかけになればと思ったからである。

 

 ユニは断ろうとしたが、夢人が先に「オッケー!」と右手の親指をあげて了承したのを見て諦めた。

 

 それで、どうして夢人がフェルの同行を許したのかがユニにはわからない。

 

 彼曰く、「お前らって結局似たようなこと悩んでんのな」らしい。

 

 まったくもって失礼だと言わんばかりに夢人の脛を力いっぱい蹴り飛ばした。

 

 その後、彼が地面を転がる姿を見れてユニは満足した。

 

「それにしても、ゲイムキャラか……そんな存在がいたなんてね」

 

「ファルコムも知らなかったのか?」

 

 先頭を歩いている2人が会話を続ける。

 

「うん、長い間ゲイムギョウ界中を旅してきたつもりだったけど、そんな存在がいたなんて知らなかったよ」

 

「そっか……」

 

 何か情報を得られると思っていた夢人は落ち込みながら肩を落とした。

 

「それにしても夢人君はネプギア達と一緒に居なくてよかったのかい? 本来のパーティーはあちらなのだろう?」

 

 その言葉を聞いて、ユニは自分の心臓が一際強く脈打つのを感じた。

 

 心の中ではわかっていたが、誰かに言われると動揺を隠せそうになかった。

 

 このパーティーは仮のパーティーなのだと……

 

 ネプギア達が帰ってきたらこのパーティーは……

 

 奴隷は……

 

「大丈夫! それにな……」

 

 ファルコムに笑顔で答えた夢人は少し視線を上に向けた。

 

 

*     *     *

 

 

 夢人はプラネテューヌからラステイションに戻ってきたネプギアを出迎えるため空港に来ていた。

 

「夢人さん!」

 

 ネプギアは夢人の姿を見つけると、花が咲いたように笑いながら夢人に駆け寄る。

 

「ネプギア」

 

 夢人は片手をあげながらネプギアにここに居るという合図を送る。

 

 そんな夢人にネプギアは駆け寄り、抱きついた。

 

「……さびしかったです。夢人さんと離れていた間……」

 

 ネプギアは夢人に抱きつきながら言う。

 

 瞳には涙を浮かべているようで夢人の服に染みを造っていた。

 

 そんなネプギアの腰に手を回し、髪を優しくなでながら夢人は優しく言う。

 

「ああ、俺もだよ……ネプギアと会えない時間が永遠に感じた」

 

「夢人さん!」

 

 夢人の言葉を聞いてネプギアが嬉しそうに抱きついていた腕の力を強める。

 

「お前のために探していた『結晶』も見つけたぜ」

 

 夢人はネプギアを自分の体から話しながらポケットから『結晶』を取り出す。

 

 ネプギアはその様子に少しさびしそうにしながらも自身も『宝玉』を取り出した。

 

「……私も、『宝玉』を夢人さんのために見つけてきましたよ」

 

 2人は互いに笑いあってどちらともなく腕を組みながら教会へと向かう。

 

 いつの間にか夢人は白いタキシード姿になり、ネプギアはウェディングドレスを着ていた。

 

 街の人達は彼らのことを祝福して声を掛けていた。

 

 そんな祝福の言葉を受けて教会に辿り着くと、牧師の服を着たケイが2人に向かって言う。

 

「誓いの印を」

 

「「はい」」

 

 夢人とネプギアは同時に『結晶』と『宝玉』をケイに手渡す。

 

 それを受け取ったケイはほほ笑みながら言う。

 

「ここに誓いの印はそろいました……それでは、誓いの儀式をおふたりにしてもらいます」

 

 ケイの言葉を聞いて夢人とネプギアは互いに見つめ合う。

 

 夢人はネプギアの顔の前にあるヴェールをどかしながら言う。

 

「幸せにするよ、ネプギア」

 

「はい、夢人さん」

 

 ネプギアが目をつぶり、夢人がゆっくりと唇を近づけていく……

 

 

*     *     *

 

 

「ウェへ、へへへへ……」

 

「ゆ、夢人君?」

 

 夢人が話の途中で急に黙り始めたと思えば、気持ちの悪い笑みを浮かべて笑う姿を見てファルコムは頬を引きつらせながら夢人を呼ぶ。

 

「ムッ!」

 

 そんな夢人の様子を見たユニは彼の足を思いっきり蹴飛ばした。

 

「フン!」

 

「痛った―!?」

 

 足の痛みにより正気に戻った夢人は地面を転がりながら痛みを和らげようとする。

 

 そう、今までのはパーフェクト夢人劇場だったのである。

 

 いつの間にか『結晶』と『宝玉』が婚約アイテムになっている点は気にしないでもらいたい。

 

 夢人は痛みが治まると、立ち上がりながらユニに文句を言う。

 

「何すんだよ! めちゃくちゃ痛いじゃねえか!?」

 

「そっちこそ! 私の奴隷なんだから、そんな気色の悪い顔でいないでよ!」

 

 額をぶつけ合いながら言いあう2人にファルコムは苦笑しながら仲裁をする。

 

「まあまあ、落ち着いてね」

 

 そのファルコムの言葉を聞いて2人は額を離して同時に顔をそむける。

 

「「フン!」」

 

 そんなそっくりな反応の2人を見てファルコムも笑いながら言う。

 

「さあ、もう少し探索しよう」

 

 ファルコムはそう言うと先頭に立って歩いて行った。

 

 その後ろを不機嫌そうにユニが追う。

 

 夢人もそれに続こうとするが……

 

「……待て」

 

 しかし、意外な人物によって止められてしまう。

 

 夢人はその言葉を聞いても驚かず、ゆっくりと後ろを振り向く。

 

「……やっと話す気になったか」

 

 夢人は苦笑しながら後ろに居た少年、フェルに話しかける。

 

「……来い」

 

 フェルはそう言うと、ファルコム達が行った方向とは別方向にフェンリルを伴いながら歩いていく。

 

 その姿を見てため息をつきながら夢人は後を追った。

 

 

*     *     *

 

 

 しばらく歩いていたフェルだが、周りに誰もいないことを確認すると夢人に向かって睨みながら言う。

 

「……お前は誰だ」

 

「は? そいつは一体どういう意味だよ? 自己紹介ならしただろ?」

 

 夢人はその言葉の意味がわからず聞き返すが、フェルは表情を変えずに言う。

 

「……ボクはお前なんか知らない」

 

「まったく、じゃあちゃんと覚えとけよ。俺の名前は……」

 

「違う!」

 

 フェルが自分の名前を覚えていなかっただけと思ってもう一度名乗ろうとした時、フェルが叫ぶ。

 

「……じゃあ、どういう意味なんだよ」

 

「……お前なんかボクは知らない」

 

 夢人は頭を左手でかきながらフェルに尋ねる。

 

「だから! どういう意味なんだってば!?」

 

 そんな夢人の反応にフェルは疑問に思い、呆けた顔で尋ねる。

 

「……お前は違うのか?」

 

「は? だから、意味がわからねえぞ」

 

 面倒くさそうに夢人が言う姿にフェルは静かに尋ねた。

 

「……お前は『転生者』ではないのか?」

 

 フェルの顔は信じられないと言った表情で夢人を見ていた。




以上、今回の話は終了です
今回、迫害などの表現が出て読者様の気分を害してしまう可能性があることをここで謝罪させてもらいます
申し訳ございません
ネプテューヌの世界観でモンスターを使役しているのはマジェコンヌという、敵だけだったので味方にいるとなるとこうなってしまうのではないかと想像した結果こういう話になってしまいました
そう考えると、ドラクエの世界観ってとてもおおらかなんだと感心もしました
さて、本編ではフェル君が『転生者』であることを夢人君に話しましたね
ちなみに、夢人君は『転生者』ではありませんよ
彼は『転生者』と違う特徴を持ってこの世界にやってきた、という設定がありますよ(頭に)
彼と『転生者』達(?)の違いに今後も注目してください
さて、次回はラステイション編もついに大詰めとなります
マスコットキャラクターの登場もありますので、運営に消されないようにネタを使っていかないとな…
それでは、次回 「家族」 をお楽しみに!
ちなみに、今日の夜は連続投稿だ

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