超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
ついに今日ネプリバ2発売されましたね!
皆さんは買いましたか? 私は初回限定版を買えました!
それでは、 尾行 はじまります
ナナハからデートの約束を受けた2人は、しばらく固まっていたが、夢人は1度深く息を吐いて、ユニにとあることを尋ねた。
「……それで、デートってどうしたらいいと思う?」
「って、アンタ本気でデートする気なの!?」
夢人は冷や汗を流しながらぎこちない笑顔をユニに向けていた。
ユニもその様子を見ているのだが、驚きと焦りの方が勝ってしまう。
「ネプギアが行方不明なのに、何のんきなこと言ってんのよ!? そりゃ、アタシが言えたことじゃないけど、早く探さなきゃ駄目じゃない!?」
「い、いや、別に考えなしってわけじゃ……」
「だったら、今すぐ話してみなさい!! どうして明日ナナハとデートするのかを、今すぐに!!」
自分に詰め寄ってくるユニに押されながらも、夢人は落ち着くようになだめながら考えを口にする。
「考えてもみろよ。あのナナハがネプギアが行方不明だって言う大変な状態なのに、わざわざデートしようだなんて言うはずがないだろ?」
「……そうね。あのネプギアやロム並みに素直な奴が、今の状態でデートしようだなんてわがまま言うなんておかしいわ」
「だろ? だから、ナナハなりに何か考えがあるんじゃないかって思うんだ」
詰め寄っていたユニは冷静に戻り、座っていた椅子に再び腰掛けた。
夢人もユニも、ナナハが何の考えもなしに行動するような子じゃないことは理解している。
「アイツは突拍子もないことを言ったりしたりすることもあるけど、ネプギアのことを放っておくような薄情な奴じゃないわ……うん、それはわかってるんだけど……」
「どうした?」
「……ううん、ちょっと引っかかることがあって……あっ」
夢人の言葉に納得しかけたユニであったが、何かを思い出したかのようにポカンと間抜けに口を開けてしまった。
すると、すぐに頭を抱えてしまう。
(も、もしかして、アタシのせい!? アタシが夢人のことを頼むなんてこと言ったから、デートの約束を取り付けたの!?)
ユニは自分が行方をくらませる前に、ナナハに連絡した内容を思い出して、もしかしてそのせいで行動を起こしたのかと考えた。
(そ、そりゃ、アタシはナナハに夢人の隣にいて欲しいって思ってたけど、問題が解決しそうな今、アタシだって負けたくなんてない!! で、でも、もしナナハがその気になってたら……)
ユニは脳内で最悪の展開を予想していた。
ナナハがネプギアのことを見捨てて、本気で夢人と恋人になるために動き出したのではないか、と。
(マズイマズイマズイ!? ナナハがその気になってるのなら、早く訂正しないとアタシの恋は……)
「お、おーい、ユニ? いったいどうした……」
「夢人!!」
「は、はい!?」
急に頭を抱え出したユニを心配して、夢人は声をかけた。
しかし、心配の言葉は突如顔をあげたユニによって遮られてしまう。
「明日はアタシもリーンボックスに行くわ!!」
「え、えええ!? ど、どうして!?」
「いいから、一緒に行くって言ってんのよ!! わかった!!」
「は、はい、わかりました!?」
理由を尋ねる夢人を一蹴し、勢いのままユニはリーンボックスに同行することを決めた。
(待ってなさいよ、ナナハ!! 悪いのはアタシだけど、早まるんじゃないわよ!!)
(な、何が何やら……それよりも……)
1人気合を入れるユニを置いて、夢人は再びベットに横になると、悲しげに眼を細めた。
(ネプギア……今何しているんだろうな……無事でいてくれよ)
目を閉じて思い浮かべるネプギアの姿に、夢人は不安を感じていた。
* * *
「……はあ~、ネプギア~」
プラネテューヌの教会、ネプテューヌは机に顔を乗せてため息をついた。
ネプギアとユニが行方不明になった後、1人プラネテューヌの教会に戻り、2人の捜索をコンパとアイエフの協力を受けてしていた。
しかし、一向に目撃情報すら手に入らないことに、ネプテューヌは弱音をこぼしていた。
「お姉ちゃんお姉ちゃんって言いながら、わたしの後ろをついて来たネプギアが何の連絡もなしにいなくなるなんて……今ならベールの気持ちがすごくよくわかるよ」
かつてナナハが家出した際の取り乱したベールの姿を思い出し、ネプテューヌは今更ながら共感を抱いていた。
しかし、今回はナナハの時とは違い、まったく2人がいなくなったことに心当たりがないのだ。
2人の間に何らかのトラブルがあったことしか推測することができず、いなくなった原因は直接問いただすしかない。
それなのに、肝心の2人が行方不明なので、現状は探しだすしかない。
だが、プラネテューヌで目撃情報のない2人をどうやって探せばいいのかとネプテューヌは思考のループに陥ってしまっていた。
当然、ネプテューヌもただ愚痴をこぼしていただけではない。
今しがた、『変身』してプラネテューヌの捜索をしてきて帰って来たばかりである。
弱音を吐いてしまっているのは、疲れているせいもあるかもしれない。
「やっぱり、もう1度探して来よう! また『変身』して飛んで回れば、プラネテューヌをすぐに全部回れるはず……」
「そんなことする必要ないわよ」
ネプテューヌが再び教会から飛び出そうとした時、アイエフとコンパが部屋に入って来た。
「ネプギアの目撃情報が入ったわ」
「ほ、本当なの、あいちゃん!?」
「ええ、これを見てちょうだい」
ネプギアの情報と聞いて、ネプテューヌは慌てて2人に近寄る。
すると、アイエフが携帯でとある画像をネプテューヌに見せた。
その画像は、ネプギアが船に乗っている画像であった。
「ネプギアは船に乗って移動したみたいよ。そして、ミッドカンパニーから1番近い港と言えば……」
「ラステイション!! ってことは、もしかしてネプギアはリーンボックスにいるの!?」
「ええ、その可能性は充分あるわ」
アイエフは画像を見て興奮するネプテューヌの姿に、わずかに頬を緩めた。
親友に元気が戻ったことが嬉しいのである。
一方、ネプテューヌはようやく手に入ったネプギアの情報に浮かれ、すぐに行動に移そうとした。
「それじゃ、すぐにリーンボックスに……」
「まあ、落ち着きなさい。今行ってすれ違いになったら、元もこうもないでしょ」
「で、でも……」
「慌てちゃ駄目ですよ、ねぷねぷ。ここはベールさん達に連絡した方がいいです」
アイエフとコンパの2人は居ても立ってもいられないと言った風にすぐにリーンボックスに向かおうとするネプテューヌを押さえて、ベールに連絡を取ることを勧めた。
「それに、この写真は昨日撮られた物よ。もしかしたら、もうベール様達が見つけてるかもしれないわ」
「そ、そっか。とりあえず、ベールに連絡してみよう」
アイエフの言葉に希望を見出したネプテューヌは、Nギアでベールに連絡を取ることを決めた。
数回のコール音の後、通信が受け取られた。
〔……ネプテューヌですか?〕
「う、うん、そうだけど、どうしてそんな小声なの?」
通話に出たベールの声にネプテューヌは違和感を覚えた。
ひそひそと話すような小声であると同時に、いつも感じられる柔らかさをまったく感じることができなかったからである。
〔そこに夢人さんはいらっしゃいませんよね?〕
「ゆっくん? ゆっくんはいないよ。だって、今は……」
「ルウィーよ。ユニがいるルウィーに行ったわ」
「そうそう、ゆっくんは今ルウィーにいるみたいだよ」
ベールがなぜそんなことを尋ねてくるのかはわからないが、ネプテューヌは夢人がこの場にいないことを伝えた。
周りを確認するように見渡して話すネプテューヌに、アイエフは補足するように夢人が現在いる場所を口にした。
アイエフは、ここに来る前にラステイションに夢人の着替えを届けに行ったのである。
その際に、病院に同行していたノワールからユニの情報を受け取っており、ルウィーに行くと聞いていたのだ。
〔そうですか。それはよかったです〕
「え、えっと、どうしてそんなことを聞くの?」
ネプテューヌが困惑しながら尋ねると、ベールの口から最も欲しいと思っていた情報がもたらされた。
〔結論から言えば、ネプギアちゃんが見つかりましたわ〕
「ほ、本当なの!?」
〔ええ……ですが、それを夢人さんには絶対に伝えないでくださいまし〕
「ど、どうして? どうしてゆっくんには伝えちゃいけないの?」
固い声で伝えてくるベールの言葉に、ネプテューヌは疑問しか浮かばない。
それは、傍にいるアイエフとコンパも同様である。
〔実は、ネプギアちゃんがいなくなった原因は夢人さんに会いたくないからだそうですわ〕
「ネプギアがゆっくんに会いたくない? まっさかー、ネプギアがそんなこと言うはずが……」
〔いいえ、本当なのですわ。本当なら昨日の内に保護していたのですが、連絡をすることができなかった原因がそれなのです〕
「……マジ?」
〔マジですわ〕
笑い飛ばそうとするネプテューヌであったが、ベールの声が真剣であると察すると頬を引きつらせてしまった。
ネプテューヌから見て、ネプギアが夢人を避ける理由なんてない。
だからこそ、ベールの情報が信じられなかった。
「え、えっと、状況はよく飲み込めないんだけど、とりあえず、ネプギアは無事なの?」
〔ええ、無事といえば無事ですわ……ただし、精神的にかなり落ち込んでいますわ〕
「……それがゆっくんに会いたくない原因?」
〔おそらくは……わたくしも詳しいことを本人から聞いたわけではございませんが、どうにも夢人さんにだけは会いたくないみたいなんですの〕
ネプギアの無事を安堵すると同時に、ネプテューヌは眉間にしわを寄せて唸ってしまう。
行方不明であったネプギアが無事であったことは嬉しいのだが、精神的に落ち込んでいると聞くと、素直に喜べない。
むしろ、余計に心配してしまう。
「うーん、じゃあ、わたしなら会っても大丈夫なの?」
〔……できれば接触は避けて欲しいですわね。話を聞いたナナハが言うには、今は1人にさせた方がいいらしいですわ〕
「ナナハちゃんが?」
ベールとの通話の途中だが、ネプテューヌは視線を受けに向けてナナハの姿を思い描いた。
(ナナハちゃんか……まあ、あの子ならネプギアのことを真剣に考えてくれる気がするけど……)
ネプテューヌはラステイションの教会で率先して行方不明になったネプギアとユニの捜索をすると言っていたナナハなら、心配はないと思っている。
しかし、姉として妹のことが心配でたまらないネプテューヌは、それでも納得しきれなかった。
「それで、ナナハちゃんは何をしているの?」
〔……明日夢人さんとデートするらしいので、部屋で服を選んでいますわ〕
「へえ、明日ゆっくんとデートか……って、デート!?」
不安が収まらないネプテューヌは、ネプギアの話を聞いたナナハが何をしているのかが気になった。
もしかしたら、自分じゃ考えられない方法でネプギアを立ち直らせてくれようとしているのかもしれないと思ったのだ。
しかし、返ってきた答えは予想の斜め上を行くものであった。
「何でデート!? ネプギアのことはどうしたの!?」
〔わたくしにもわかりませんわ!? ただ、話し終えたナナハが、明日デートするからと言って部屋に閉じこもってしまったんですもの!?〕
「まったく意味がわからないよ!?」
〔こちらが聞きたいくらいですわ!?〕
予想外のナナハの行動に、ネプテューヌだけでなく、それを伝えているベールも取り乱してしまった。
ナナハが何を考えているのかわからず、本当に任せていいのかどうかもわからなくなってしまったのだ。
「ああもう!? わたしも明日リーンボックスに行くよ!! だから、それまでネプギアのことよろしくね!!」
〔ちょ、ちょっと待ってください!? そんな勝手なことをされては……〕
「ナナハちゃんも充分勝手なことしてるでしょ!! それじゃね!!」
慌てて止めようとするベールを無視して、ネプテューヌは用件だけ伝えると通話を切った。
後に残ったのは、わずかに上気した頬で息をつくネプテューヌと、それを呆れた目で見るアイエフ、話の展開についていけずに目を白黒させるコンパだけである。
「ふぅー、そう言うことだから、あいちゃんとコンパ、わたしがリーンボックスに行ってる間、プラネテューヌをよろしくね」
「……止めても行くんでしょ? だったら、聞くんじゃないわよ」
額を拭う動作と共に、ネプテューヌはぎこちない笑みを浮かべて2人に留守を頼んだ。
こうなったネプテューヌを止められないとわかっているアイエフは、肩をすくめて了承した。
「ありがとう! それじゃ、コンパもよろしくね!」
「え? えっと、ギアちゃんがリーンボックスがわかって、明日ナナハちゃんが夢人さんとデートすることになってて、それにねぷねぷがリーンボックスに向かう……ど、どうしてこうなったです?」
「それはわたしも聞きたいけど……とにかく、ネプギアのことはわたしに任せて! 代わりに、留守の間のことは任せたからね!」
「は、はいです! が、頑張ってお留守番してるです! だから、ギアちゃんのこと、しっかりお願いするですよ!」
「あったり前だよ! わたしを誰だと思ってるの?」
ネプテューヌは、状況を整理しようとするが失敗するコンパに苦笑するしかない。
そんなコンパからの激励の言葉を受けたネプテューヌは、自信を持って片目を閉じて笑みを浮かべながら応える。
「わたしはネプギアのお姉ちゃんなんだよ。妹が大変な時に、何もしない姉じゃないんだからね」
* * *
翌日の朝、私は夢人との待ち合わせ場所に向かう前に、とある部屋の前にやって来た。
……もちろん、ネプギアがいる部屋だ。
「ねえ、ネプギア。返事はしなくてもいいから、よく聞いててね」
今も悩んでいるであろうネプギアにできる、最後の優しさ。
デートが始まってしまえば、私は自分の幸せを優先する。
だから、今までの私達に告げる決別の言葉でもある。
「今から夢人とデートに出かけてくるね。帰ってきたら、きっとネプギアの望むような友達になれるよ」
ネプギアはどうかわからないけど、私はネプギアの傍で一緒に笑えたり、支え合える友達になることができる。
今日のデートで夢人にもう1度告白して、ネプギアじゃなくて私を選んでもらう。
そのための言葉もちゃんと考えてきた。
……それがどんな意味を持つのかも理解している。
でも、私はもうこのままでいたくない。
だから、ネプギアにも選んでもらう。
「邪魔をしたいなら、いつでもしていいよ。何なら、今部屋を出て私を止めたってかまわない。私の代わりに夢人とデートしたっていいんだよ……できるならね」
部屋からは物音1つしないけど、別にネプギアの反応が欲しいわけじゃないから問題ない。
必要なのは、ネプギアに私も【未来】に踏み出すと言う決意を伝えることだけ。
「ユニにしたように、私の思いを踏みにじるつもりがあるなら、いくらでも邪魔していいよ……ただし、制限時間は今日1日。明日になれば、全てが変わってるよ」
逃げ場をなくして追い詰められたネプギアが何をしたとしても、私の足は止まらない。
今日で全て変えてみせる。
夢人の認識を、ネプギアやユニ達との関係も……何より、自分の運命を……
「それじゃ、行ってくるね。今日は夢人と楽しんでくるから、吉報を期待しておいてよ」
それだけ告げると、私は部屋の前から動き出した。
デートに遅れちゃ、夢人に悪いからね。
私は気持ち早足で教会から出て、待ち合わせ場所へと向かった。
* * *
夢人は1人ナナハとの待ち合わせ場所に立っていた。
ルウィーからワンダーでユニと一緒に来たのだが、到着して早々にユニとは別れてしまい、今ではどこに行ったのかもわからない。
そのため、夢人は1人手持無沙汰で待っていることしかできないのである。
約束の時間には余裕を持ってやって来たので、後はナナハを待つだけなのだが、夢人としてはデートに集中しきれていなかった。
(ナナハには悪いけど、やっぱりネプギアのことが気になる……今何してるんだろうな)
失礼は承知であったが、夢人はネプギアのことしか考えられていなかった。
今回の突発的なデートの約束にも納得がいっておらず、その顔は暗い。
(こんな気持ちじゃ駄目だな。ナナハが来たら、デートはやめてもらってネプギアの捜索を……)
「お待たせ、夢人」
「うん? ……ナナ、ハ?」
デートを中止してもらおうと考えていた夢人は、ナナハが近づいてきたことがわからなかった。
声をかけられてようやくわかった夢人が顔を向けると、そこにはいつもとは違う恰好をしたナナハの姿があった。
「遅れちゃったかな?」
「……あ、いや、そんなことはないぞ?」
「何で疑問形なの? まあ、それならいいんだけど」
しばらく呆然とナナハの姿を眺めていた夢人であったが、再起動を果たしても調子が狂っていた。
ナナハは普段のパンツスタイルではなく、ひざ丈までの緑色のスカートを穿いていた。
上着には白のカーディガンと黒のTシャツに加えて、腕にはブレスレットがゆるく嵌められていた。
また、色つきの大きめの眼鏡をかけており、頭の上にはオレンジ色のキャスケットを被っていた。
髪も普段はそのまま流す感じであったのに、今日は軽く巻かれており、毛先が柔らかくふんわりとしていた。
(おいおいおい!? ナナハの奴、かなり気合入ってないか!?)
夢人は傍目から見ても気合が入っているナナハのファッションに気後れしてしまう。
そんなナナハに対して、自分は普段着のままであり、しかもヘルメットを被っていた影響で若干髪がぺたんこになっている。
(こ、これは言いだしづらい!? こんなに気合入りまくりのナナハに、デートはやっぱり中止しようだなんて……)
「じゃあ、早速行こうか」
「って、ちょっと待ってくれ!? 腕を引っ張らないで……」
「駄目だよ。今日はデートなんだから、私だけを見ててね」
当初の予定が崩れてどうしようか悩んでいる夢人の腕に自分の腕を絡めたナナハは、そのまま夢人を引きずるように歩きだした。
その顔が嬉しそうにはにかんでいたのを見て、余計に夢人は逆らえなかったのである。
* * *
「ここは、遊園地?」
「うーん、どちらかというとテーマパークみたいなところかな?」
ナナハに引きずられる形で夢人が連れてこられたのは、リーンボックスにあるレジャー施設の1つ、広大な敷地の中にジェットコースターやお化け屋敷が並ぶテーマパークであった。
ちなみに、未だにナナハは夢人の腕にピッタリとくっついている。
「今日のデートは、ここで1日中遊ぶことだよ」
「まあ、それはいいんだけど……離れてくれませんか、ナナハさん?」
「却下するよ。チケットは買ってあるから、早く入ろう」
「って、いつの間に!? それより、本当にお願いだから腕を離して!?」
ナナハは事前に購入していたチケットを夢人に見せると、にやりと笑って腕をさらに絡ませた。
夢人はナナハに抱きつかれるような形でいるのは男として嬉しいが、周りからの視線、特に自分を射抜くような視線を4つ程感じており、本気で焦りながら抜けだそうとする。
しかし、ナナハはそれを許さず、結局腕は離れることなく、施設の中へと入って行った。
……その後ろ姿を鋭く睨んでいた4つの視線も、後を追うように施設の中へと入って行こうとするが……1人は受付で止められてしまうと言うハプニングが発生したことを2人は知らない。
* * *
テーマパークの中に入った夢人は、ナナハに何度も離れてくれるように頼むのだが、一向に受け入れてくれずにため息をついてしまった。
「はあ、頼むから腕はやめてくれ」
「うーん、でも、手を繋ぐのはお互いに汗ばんできちゃうでしょ? だったら、腕を組んでる方がデートっぽくないかな?」
「……できればどちらもやめてください」
ただでさえ乗り気でなかったデート、夢人はナナハのペースに振り回されっぱなしで、すでに疲労を感じていた。
でも、それを面と向かってにこやかに笑っているナナハには言えず、肩を落とすのであった。
(本当、何でナナハは急にこんなことを……しかも、なんか様子もおかしいような……)
夢人は今のナナハに違和感を覚えた。
確かに、以前からデートをしようとは言っていたが、今回の急な約束に加えて、今のナナハの状態でさらに疑惑を深めた。
(なんて言うか……無理やりテンションを上げてる? いつもならこんなこともしないのに……)
「どうしたの?」
「あのさ、ナナ……っ!?」
ナナハは自分を見つめる夢人の視線に気付き、首をかしげながら尋ねた。
夢人が顔を引き締めて、ナナハに今日のデートの真意を聞こうとした時、視界の端にとある人物を捉えた。
「悪い!!」
「きゃっ!? ちょっ、夢人!?」
夢人は無理やりナナハの腕を振り払って、一目散にその人物に向かって駆け出した。
後ろから聞こえてくるナナハの制止の声などまったく聞こえていない。
今の夢人の目には、その人物の姿しか見えていなかった。
その人物は夢人が自分に向かって走ってくるのを見て、慌てて方向転換をして逃げ出した。
(遠目で顔までは見えなかったけど、あの髪と服は間違いない!!)
夢人はどうしてその人物がここにいて、なぜ逃げるのかはわからないが、今は追いかけなくてはいけないと判断した。
曲がり角で曲がったその人物に追いつくようにスピードを上げると、そこには探し求めていた人物の後ろ姿があった。
夢人はようやく追いついたと頬を緩めて、名前を呼ぼうとした。
「ネプギ……ア……?」
しかし、その人物が振り返ったことで言葉を詰まらせて固まってしまった。
「ひ、人違いですよ!? わ、私はこのテーマパークのマスコットキャラクターの……え、えっと、その……そう! ギアラスです!! が、がおー! た、食べちゃいますよ!」
頭から恐竜をモチーフにしてデフォルメされたピンク色の被り物を被った人物の姿があったのだ。
(……こ、これはどうすればいいんだ)
夢人はわりと本気で対処に困ってしまった。
という訳で、今回はここまで!
ようやく発売されて手に入ったネプリバ2!
……しかし、私は未だにパッケージを開けておりません。
これを投稿し終えて、活動報告を久しぶりに書いたらゆっくりとプレイしようと思います。
本当に今から楽しみです!
それでは、 次回 「強襲」 をお楽しみに!