超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
昨日は普通に寝落ちりました。
ホワイトデー用のシチュエーションを考えてたら、いつの間にか頬に痕が残っていました。
申し訳ありませんでした。
それでは、 きりひらけ! 女神通信(ブラン編) はじまります


きりひらけ! 女神通信(ブラン編)

 さて、今回女神通信を担当させてもらうのは、ルウィーの女神ホワイトハートであるわたし、ブランよ。

 

 と言っても、今回も目立った活躍をすることができなかったわ。

 

 ネプギアとユニがいなくなって余裕がなかったと言うのもあるけれど、個人的には変態を前にして冷静じゃいられなかったわ。

 

 ……あの変態野郎、誰が年増だ。

 

 ん? そんなに離れてどうしたって言うの、フェル?

 

 ああ、早く今回の話に入れってことね。

 

 今回は、ラステイションから帰って来たわたし達がゲイムキャラの話を聞くところと、変態と戦った後のことを話せばいいのね。

 

 他に、リンダとワレチューから聞かされた犯罪組織の現状、犯罪神と呼ばれた謎の赤い目玉についてもかしら。

 

 謎が謎を呼ぶとは言うけど、これ以上混沌としたことにはならないで欲しいわ。

 

 ただでさえ頭の痛いことがあるのだから……

 

 それじゃ、 きりひらけ! 女神通信 ブラン編 始めるわね。

 

 

*     *     *

 

 

「おかえりなさい、皆さん」

 

「ええ、ただいま、ミナ」

 

「ただいま、ミナちゃん」

 

 わたし達がラステイションにラムを残してルウィーに帰ると、教会の入り口でミナが待っていた。

 

 ミナも居ても立っても居られなかったのだろう。

 

 ゲイムキャラから話された内容はそれほど深刻な問題なのだ。

 

「早速で悪いんだけど、ゲイムキャラの所まで案内してちょうだい」

 

「わかりました……あら、ラムはどうしたんですか?」

 

 わたしが案内を頼むと、顔を引き締めて頷いたミナがラムが居ないことに気付いた。

 

「ラムちゃんは、夢人お兄ちゃんの側にいる」

 

「夢人さんの? どうしてですか?」

 

「夢人お兄ちゃんに、言って欲しいことがあるの。それをラムちゃんに頼んだ」

 

「は、はあ、よくわかりませんけど……とりあえず、2人ともついて来て……」

 

「ちょっと待つっちゅ! おいらも忘れてもらっては困るっちゅよ!」

 

「あ、はい、そうでしたか。それでは……って、どなたですか?」

 

 ロムの言葉を曖昧に理解したミナが今度こそ案内しようとした時、ワレチューが自分の存在をアピールするように声を上げた。

 

 当然2人は初対面なので、ミナが誰なのかわかっているわけはない。

 

「おいらの名前はワレチューっちゅ。ネズミ界だけじゃなく、ゲイムギョウ界のマスコットキャラクターにも推薦されている超有名なネズミっちゅ」

 

「そ、そんな方だったのですか? 全然知りませんでした」

 

「今度からちゃんと覚えておくっちゅよ。時代の最先端を行くおいらのことを知らないなんて恥ずかしいことなんちゅから」

 

「す、すいませんでした。勉強不足の身が恥ずかしいです」

 

「わかればいいっちゅ。あ、サインなら今のうちに……」

 

「だああああ!! いつまでも嘘並べてんじゃねぇ!!」

 

「ちゅっ!?」

 

 わたしは調子に乗り始めたネズミの頭を握りつぶすように掴んだ。

 

 こっちは急いでいるって言うのに、いつまでもくだらないことをぺちゃくちゃと話しているワレチューに怒りが頂点に達したのだ。

 

 大体、テメェのどこがマスコットキャラクターなんだよ!!

 

「ネズミさん、ウソついちゃダメ(めっ)」

 

「嘘だったのですか? でしたら、そちらの方はいったい……」

 

「ああもう!! 後で説明するから、早くゲイムキャラの所に案内してくれ!!」

 

「あ、はい、そうでした! では、ついて来てください」

 

 ミナに後で説明すると言い、ゲイムキャラの元に案内してもらった。

 

 ミナの疑問に答えていたら、また余計な時間をくってしまう。

 

 わたし達にはゲイムキャラの問題以外にも、解決しなければいけない大事なことがあるのだから、今は1分1秒が惜しい。

 

 ネプギアとユニの捜索、ゲイムキャラの話と同じくらい重大な問題だ。

 

 焦る気持ちを隠すことができず、わたしはいつもより歩調が速くなっていた。

 

 

*     *     *

 

 

 わたし達はミナの案内により、教会にある会議室の一室に連れてこられた。

 

「ここです……お待たせしてすいません」

 

〔いえ、そんなことはありませんよ。そして、お久しぶりですね、ルウィーの女神に候補生……そして、どなたでしょうか?〕

 

「おいらは……」

 

「話が進まないから後にして。早速何があったのかを聞かせてちょうだい」

 

 ミナがノックをして部屋に入ると、ゲイムキャラだけでなく、日本一とがすとの姿もあった。

 

 2人はワレチューの姿を見て一瞬驚いたようだけど、ミナやゲイムキャラと一緒で説明は後にさせてもらうわ。

 

 わたしは前に出ようとしたワレチューを押し退けて、ゲイムキャラに事の説明を頼んだ。

 

〔そうですね。単刀直入に言えば、キラーマシンの封印が完全に解かれてしまいました〕

 

 ゲイムキャラの語る事実に、この場にいる全員の顔が曇りだした。

 

 キラーマシン、犯罪神の力によって動く殺戮機械。

 

 古の女神の時代には、その姿と力によって悪魔と恐れられたと聞いている。

 

 装甲に用いられている金属は、わたし達女神の力でも容易に破壊できるものではない。

 

 実際に、わたし達女神4人はキラーマシンの復活を恐れてルウィーのゲイムキャラに封印を願い出ていた。

 

「どうして封印が解かれてしまったの?」

 

 ロム達の話だと、キラーマシンは2度封印が解除されている。

 

 1度目はゲイムキャラが破壊されたため、2度目は1体だけ夢人を狙って封印が解かれたらしい。

 

 2度目の理由は不明だが、それ以降封印が解かれる兆しは全くなかったはずだ。

 

「順を追って説明してちょうだい。まずは、ブロックダンジョンで何があったのかしら?」

 

〔……私がキラーマシンの復活に気付いた時には、すでにほぼすべてのキラーマシンが解放されていました。その時、1人の少女がいたのです〕

 

「少女?」

 

〔はい、彼女は自らを『再誕』の女神フィーナと名乗っていました〕

 

「なっ!?」

 

 声を上げたわたしだけでなく、この場にいる全員がその称号に驚きを隠せない。

 

 何故なら『再誕』の女神はアカリなのだから。

 

「どう言うこと? 『再誕』の女神はアカリじゃなかったのかしら?」

 

〔いいえ、彼女は紛れもなく『再誕』の女神です。しかし、フィーナからも『再誕』の女神としての力を感じることができたのです〕

 

「……2人の『再誕』の女神」

 

 いったいどう言うことなのだろうか。

 

 何故『再誕』の女神が2人いるのかは、今のわたし達にはわからない。

 

 確かに、ワレチューの話でもフィーナについての話は聞いていた。

 

 その時は半信半疑であったが、ゲイムキャラが断言したことからフィーナも本物の『再誕』の女神であることがわかる。

 

 考えられる可能性としては、夢人が女神の卵を砕いたことが影響しているのではないかと思う。

 

 アカリが今の赤ちゃんの姿でいるのも、夢人のせいだと言うし、判断する材料が少ない現状では推測の域を出ない。

 

〔そして、もう1つ驚くべきことがあります。フィーナは犯罪神の力を使える可能性があります〕

 

「ど、どう言うこと!?」

 

〔私が万全な状態であるにもかかわらず、キラーマシンの封印が解かれてしまうことなど普通では考えられません。ですから、キラーマシン達の生みの親、犯罪神が関与している可能性があるのです〕

 

「……でも、その場にいたのはフィーナと言う奴だけだった」

 

〔はい。考えたくはありませんが、フィーナは犯罪神の手に……〕

 

「ちがうっちゅ!!」

 

 ゲイムキャラの声を遮り、ワレチューが眉を吊り上げて叫んだ。

 

「全部フィーナの仕業っちゅ!! アイツが犯罪神様を人質に取っているとマジック様が言っていたっちゅ!!」

 

〔それは……いえ、でも、そんなことが……〕

 

「そこまで。重要なのは、フィーナが犯罪神の力を使えるかもしれないってことよ」

 

 ゲイムキャラが動揺して考え込もうとしている姿を見て、わたしは無理やり結論を出すことにした。

 

 答えが出ないことを考えていても仕方がない。

 

 わたし達には知らなければいけないことがまだある。

 

「ワレチュー、確かフィーナは犯罪神をその身に吸収したみたいなことを言っていたわね?」

 

「……そうっちゅ。それが本当かどうかは、おいらにはわからなかったっちゅが、マジック様はそう言ってったっちゅ」

 

「そう。なら、フィーナは『再誕』の女神であり、犯罪神でもある存在となるわけね」

 

 情報不足のために仮説でしかないが、フィーナは相当厄介な存在だわ。

 

 わたし達が倒すべき犯罪神でありながら、ゲイムギョウ界を救う『再誕』の女神でもある。

 

 アカリとの関係性が不明な現状では、わたし達はフィーナを倒すことすらできない。

 

 下手をすれば、ゲイムギョウ界を救う手段がなくなってしまうからだ。

 

「フィーナがキラーマシンの封印を解いたと言うことはわかったわ。次に、あなたはどうやってここまで逃げてきたの? いくらあなたでも、そんな反則みたいな存在から逃げられるとは思えないのだけど?」

 

〔私はレイヴィスと言う男性に助けられたのです〕

 

「レイヴィス……って、あのレイヴィス!?」

 

「あの男が助けたんですの!?」

 

 ゲイムキャラの言葉に、日本一とがすとが大げさに反応した。

 

「レイヴィス……ギョウカイ墓場にいたもう1人の『転生者』よね?」

 

〔その通りです。私は彼に助けられました〕

 

 レイヴィス、ギョウカイ墓場で夢人と直接戦った男性だ。

 

 最後は、夢人がアカリの力を使い、バグではなくした後にいつの間にか居なくなっていたはず。

 

 そのレイヴィスがブロックダンジョンでゲイムキャラを助けたのね。

 

〔レイヴィスの目的は、最初からフィーナでした。彼は彼女を倒すためにブロックダンジョンに来たようでした〕

 

「彼はフィーナがブロックダンジョンに来ると予測していたの?」

 

〔それはわかりませんが、彼は明らかに戦う準備を整えていました〕

 

 レイヴィスには大まかなこの世界の知識があることは知っている。

 

 今回もその知識から来た行動なのだろうか?

 

 ナナハはまったく知らないらしいが、フェルは少しなら知っていると言っていた気がする。

 

 確認を取る必要があるわね。

 

 本当なら、レイヴィス本人に確認するのが1番よいのだが、ここにいないと言うことは……

 

「レイヴィスはフィーナに負けてしまったのね」

 

〔……はい〕

 

 予想はできていたが、わたしの表情は強張ってしまう。

 

 レイヴィスも弱くはなかったと聞いている。

 

 ギョウカイ墓場では女神の卵の力を使ったとはいえ、ネプギア達を圧倒したとの報告を受けているからだ。

 

〔彼についても気になることはありましたが、ゲイムギョウ界を救うためにフィーナを倒すと宣言していました〕

 

「……気になること?」

 

 レイヴィスがゲイムギョウ界を守るために戦ってくれたのは嬉しい。

 

 知識にあった世界との誤差により、この世界に憎しみを抱いていたレイヴィスが守るために戦ってくれたのだ。

 

 夢人が自身が消えてしまうことすら厭わずに、レイヴィスを救ったことが意味のあることだとわかったからである。

 

 しかし、ゲイムキャラの言う気になることとはいったい何なのだろう?

 

〔まずは、レイヴィスはフィーナのことを『再誕』の悪魔と呼んでいました〕

 

「悪魔? 女神ではなくて?」

 

〔はい。フィーナもその言葉に異常に反応しているように見えました。彼女にとって、悪魔と言う単語は何らかの関係があるのではないかと思われます〕

 

 ……悪魔、ね。

 

 パッと思いつく限りでは、キラーマシンのこと以外思い浮かばない。

 

 何故フィーナが反応したかもわからないけど、謎を解く鍵はそこにあるのかもしれないわね。

 

 可能性は薄いけど、勇者の伝説やキラーマシンのことのように、何らかの形で伝承が残っているのかもしれないわ。

 

 情報を得る糸口が増えたと見ていいわね。

 

〔そして、もう1つ重要なことがあります。フィーナは、レイヴィスの右目を抉り取り、それを犯罪神だと呼んだのです〕

 

「何ですって!?」

 

 わたしは思わず椅子から立ち上がり、机を強く叩いた。

 

 他の皆も直接的な行動に出てはいないが、驚愕の表情を浮かべている。

 

「ちょ、ちょっと待つっちゅ!? どうしてあの男の右目が犯罪神様と呼ばれたっちゅか!?」

 

〔理由はわかりませんが、フィーナは彼の右目を犯罪神と呼んでいました。ルウィーの教祖、持ってきてくれますか〕

 

「……はい、これがそちらになります」

 

 ミナが顔を暗くして、机の上に1つの小瓶を置いた。

 

 その中には、赤く不気味に光る目玉が入っていた。

 

 机に置かれたそれを見て、日本一達の顔が青く染まった。

 

「これが……犯罪神?」

 

〔フィーナはそう呼んでいました。レイヴィスもこれを守るため、私に預けて逃がしてくれたのです〕

 

「……どちらにせよ、これが大事なものと言うことは確かね」

 

 わたしは赤い目玉を見ていると、不思議な気持ちが湧いてきた。

 

 普通ならミナや日本一達のように、むき出しの目玉なんて見れば気持ち悪く思うはずなのに、まったくそう言った気持ちが湧いてこない。

 

 むしろ、赤く光る姿を見ていると安心してしまうような気がする。

 

「ワレチュー、あなたならあれが本当に犯罪神かどうかわかるかしら?」

 

「……わからないっちゅ。でも、見ていると不思議な気分になってくるっちゅよ。ずっと見ていたのに、もう見たくないって思ってしまうっちゅ……上手く説明できないっちゅ」

 

「わたしも、何だか不思議。でも、似た光をどこかで見たことがある気がする」

 

 ロムとワレチューも、わたしと同じような気持ちになっているらしい。

 

 ロムに至っては似た光を見たって言っているし、もしかすればわたしにも心当たりがあるのかもしれないわね。

 

「それは思い出せるかしら?」

 

「……思い出せない(ふるふる)」

 

 わたしも少し考えてみたけれど、似た光を思い出すことができない。

 

 でも、どこか見入ってしまうのは何故かしら?

 

〔私から言わせてもらえれば、この目玉からは犯罪神の力によく似た力を感じます〕

 

「よく似た力……犯罪神ではないの?」

 

〔ええ。私の感覚で言わせてもらえれば、微妙に異なっている力とでも言えばよいのでしょうか。少なくとも、キラーマシンから感じ取れる負のエネルギーを感じることができないのです〕

 

 犯罪神の力によく似ているにもかかわらず、負のエネルギーを感じることができない。

 

 それ自体も謎だけれど、どうしてこれをレイヴィスが持っていたのかも疑問よね。

 

 完全に情報不足のため後手に回るしかないことに、わたしは奥歯を強く噛み締めた。

 

 それでも、少しずつでも謎を解き明かして前に進むしかない。

 

 ネプギアとユニの捜索、マジック・ザ・ハードの救出、それに加えて、この目玉とレイヴィスの謎だ。

 

 ……本当に頭の痛いことが重なるものね。

 

 

*     *     *

 

 

 わたしはロムとラムと一緒に、変態が呼び出したキラーマシンの1体に向かって突撃した。

 

 いくらキラーマシンが女神の攻撃に耐性があると言っても、それは完全じゃないはずだ。

 

「お姉ちゃん! ラムちゃん! 頑張って!!」

 

 ロムがわたしとラムの後方から支援魔法を使ってくれたため、『変身』した影響でハンマーから斧に変わった武器を持つ手にも力が漲ってくる。

 

 それは横目で確認したラムも同様のようで、持っているステッキの先端に魔力が溢れていた。

 

「お姉ちゃん! わたしが隙を作るから、トドメはお願い!!」

 

「おう!!」

 

 キラーマシンの目の前でわたしとラムは左右に別れた。

 

 それまでわたし達目掛けて剣を振り下ろそうとしていたキラーマシンは、誰もいない空間を斬り裂くだけで終わった。

 

 ラムは剣を振り下ろして隙だらけのキラーマシンの背後に飛ぶと、ステッキを両手で持って先端をキラーマシンに向けた。

 

「アイスサンクチュアリ!!」

 

 ラムのステッキからキラーマシンへと一筋の光が伸びていく。

 

 光が直撃したキラーマシンの体から、いくつもの氷の柱が発生する。

 

 それはまるで体の中から凍らされていくかのように、キラーマシンの体からいくつもの氷柱が伸びていく。

 

〔!?!?!?〕

 

 氷柱は伸びるにつれて、さらにキラーマシンの体を凍りつかせていく。

 

 キラーマシンもどうにかしようともがくような動きを見せるのだが、氷の浸食の方が速い。

 

「粉砕! テートラシュラーク!!」

 

 わたしはキラーマシンの凍りついた部分を、全力でぶっ叩いた。

 

 さすがのキラーマシンも凍っていたため脆くなっていたのか、追撃する必要もなく壊れた。

 

「っしゃあ! やったぜ!」

 

「やった! わたし達の大勝利!」

 

「勝った、ブイ!」

 

 壊れて物言わぬガラクタになったキラーマシンを見下ろして、わたし達は勝利を喜びあった。

 

 さて、他の奴らは……

 

「先に仕掛けるわよ、援護を頼むわ!」

 

「任せて! いっけえええ!!」

 

 ノワールとユニの方は、キラーマシンに向かってノワールが先行し始めた。

 

 その後ろからユニがノワールに当たらないぎりぎりの位置で弾丸を放っていく。

 

 キラーマシンはノワールが死角となって、ユニの攻撃に反応ができず、全弾命中した。

 

「フンッ! ハアッ! セイッ!」

 

 ユニの攻撃が当たった箇所を、ノワールは的確に斬りつけていく。

 

 ノワールがやろうとしていることは、わたし達とは違うキラーマシンの攻略法だ。

 

 わたし達がしたやり方は、一撃の威力を上げて破壊するやり方。

 

 ノワール達のやり方は……

 

「ハアアアアアアッ!! インパルスブレイド!!」

 

 ノワールは先ほどから同じ場所しか斬り込んではいない。

 

 すると、キラーマシンの体は攻撃された箇所から亀裂ができ始めた。

 

「今よ! ユニ!!」

 

「目標確認! 狙い撃つわ!!」

 

 ノワールの声と共に、ユニがX.M.B.から極大のビームを発射した。

 

 ノワールはビームが直撃するまで、キラーマシンの目を隠してから離脱したため、ビームはキラーマシンに直撃した。

 

〔!?!?!?!?!?!?〕

 

 胴体に直撃したビームに押される形でキラーマシンの体がくの字のように曲がると、亀裂が入っていた箇所が崩壊を始めた。

 

 最後には、ビームに押し出される形で四肢が宙に舞い、キラーマシンを倒すことができた。

 

 ノワール達のやり方は、1点突破で装甲を削り取り、それを利用して破壊するやり方だ。

 

「まあ、こんなもんよね」

 

「これがアタシとお姉ちゃんの力よ……夢人の方は……っ!?」

 

 不敵に笑う2人だったが、ユニが夢人の方を見て驚愕の表情を浮かべた。

 

 わたし達も慌てて夢人の方を向くと、そこにはトリックと共に倒れる夢人の姿があった。

 

「夢人!?」

 

 ユニは一目散に夢人の所に向かって飛び出した。

 

 わたし達も一足遅れて傍に近寄ると、ユニが涙を浮かべて夢人の体をゆすり始めた。

 

「夢人、夢人!? しっかりしてよ!? 夢人!?」

 

「ユニ、落ち着きなさい!?」

 

「お姉ちゃん!? でも!?」

 

「いいから!! ……夢人をよく見てみなさい」

 

「え?」

 

 ノワールにそう言われて、ユニが顔を覗きこむと、夢人は規則正しい呼吸を繰り返している。

 

 気を失っていると言うよりも、寝ていると言った方がいい状態だ。

 

「……よ、よかった」

 

「まったく、早とちりするんじゃないわよ」

 

 夢人がただ眠っているだけとわかり、ユニはあからさまに安心したと言った風に大きく息を吐いた。

 

 わたしとノワールはそんな姿を見て、苦笑を浮かべるしかない。

 

「トリックちゃんも、平気みたい」

 

「……ぐふふ……吾輩……もう堪らん……」

 

 変態の方を見ていたロムも安心したと言う風に頬を緩ませていた。

 

 ……正直、夢の内容次第では、そのまま永眠してもらった方がいいかもしれないと思ってしまう。

 

「あら? これって何なの?」

 

 ラムが変態の脇に転がっていた小瓶を拾い上げると、首をかしげながらわたし達に見せてきた。

 

 それは変態が持ち去ろうとした小瓶だった。

 

 だが、1つだけ先ほど見た時と違うことがあった。

 

「光が……強くなってる?」

 

 中に入っていた赤い目玉が発する光が少しだけ強くなっているように感じた。

 

 これは何を意味しているのだろう……

 

 

*     *     *

 

 

 あの後、合流した日本一達と協力して夢人をルウィーの教会へと連れて行ったのよね。

 

 変態?

 

 ああ、アイツは警備隊の人達に任せたわ。

 

 さすがにわたし達では、変態の巨体を運ぶことができなかったから。

 

 夢人の方は外傷もなく、ただ疲れて眠っているだけと診断されて一安心だわ。

 

 それにしても、夢人には無理させすぎちゃったかしら。

 

 もう1体のキラーマシンが両断されているのを見て、わたし達は夢人がしたことだとわかったのだが、彼はブレイブとの対決を終えて疲れも癒えていない状態だ。

 

 連日の激しい戦闘で疲れてしまったのだろう。

 

 彼のすぐ近くに投げ捨てられるように置かれていた剣も回収したし、今は少しでも休んでもらおう。

 

 ユニは見つかったが、ネプギアは未だ行方不明なのだ。

 

 捜索に当たり、彼の力も必要だろう。

 

 ……まあ、夢人ならお願いされなくても、自分から無理をしてでもネプギアのことを探しに行くでしょうしね。

 

 ネプギア、いったいどこにいるのかしら……

 

 

 …………

 

 

 これで今回の撮影は終了ね。

 

 わたし的には、ロムとラムがいろいろと頑張っていたのを褒めてあげたい気分ね。

 

 いつの間にか立派になった2人を誇らしく思うわ。

 

 でも、そう素直に感傷に浸ってられないのも事実だから辛いところね。

 

 ネプギアの行方、『再誕』の女神フィーナ、犯罪神と呼ばれる赤い目玉、マジック・ザ・ハードを救うこと、そしてレイヴィスの安否。

 

 わたし達には懸念すべき事柄が多すぎるわ。

 

 特に急を要するのはネプギアのことよ。

 

 ユニの話を真に受けるわけではないが、ネプギアの真意を聞きたいのはわたしも同じだ。

 

 彼女は何故連絡もなしにいなくなってしまったのだろう。

 

 それと、ゲイムキャラもルウィーをしばらく離れるらしい。

 

 何でも他の国のゲイムキャラ達と共に今後の対策を立てるらしい。

 

 ……わたしは直感的に彼女達が何かを隠しているのではないかと思った。

 

 以前も勇者の秘密を隠していた彼女達だ。

 

 今回のことについて言及されるのを避けるために、わたし達の前から立ち去ったのではないかと邪推してしまう。

 

 考えていても栓のないことだと思うけど、火のないところに煙は立たないのと同じことだし、疑惑は尽きそうにない。

 

 しかし、わたし達にできることは少しずつ謎を自力で解き明かしていくことだけだ。

 

 そのために、まずは変態の話も聞かないといけないわね。

 

 ……すっごい憂鬱な気持ちになるわ。

 

 さて、そろそろ時間が来たみたいね。

 

 最後に、夢人への一言を言えばいいのね?

 

 月並みな言葉しか言えないけど、それでもいいのなら構わないわ。

 

 ……夢人。

 

 ブレイブとの一騎打ちで、あなたの覚悟を見せてもらったわ。

 

 理想を現実に変えるために前に進む姿、かっこよく見えたわよ。

 

 ロム達もあなたの影響を受けて、いい方向に成長している。

 

 本当にあなたには感謝してばかりね。

 

 フィーナがどんな奴なのか、わたしにはわからないけど、きっと夢人にはきつい対面になると思うわ。

 

 でも、1人で抱え込む必要はないわ。

 

 確か伝承では、勇者は女神に寄り添う者みたいなことが残されていたわね。

 

 それとは逆だけど、あなたの傍にはわたし達がいるわ。

 

 あなたから受け取った恩を返せるよう、わたしもあなたを助けていくつもりよ。

 

 女神と勇者としてではなく、わたしとあなたとして、ね。




という訳で、今回は以上!
謎の列挙くらいしかしていないですね。
次章はネプギアを主軸に物語が展開していく予定です。
それと、ホワイトデー用の記念小説も執筆する予定なので、そちらの方もお楽しみに。
それでは、 次回 「友達」 をお楽しみに!

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