超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
こんばんわ
自分で思ったよりも早くかけてしまいました
これも一重にあの子への愛があふれてしまったのですね
だが、私が原作沿いに作品を作ると思うなよ
さて、 孤高の努力家 はじまります
プラネテューヌでゲイムキャラの協力を得ることにより、夢人はついに念願の魔法が使えるようになった。
プラネテューヌの力である火の魔法を使い、彼は今日もまた……
「熱いいいいいい!!」
モンスターではなく、自分自身が燃え上がってしまう。
彼が活躍できる機会は本当に来るのだろうか?
* * *
ラステイション教会
教会の一室から1人の少女がラステイションの教祖である神宮司ケイに話しかける。
「……ギルドに行ってクエストを受けてくるわ」
ケイは少女の言葉を聞いて驚いた様子を見せずに応える。
「……またかい? もう少し休んだ方がいいんじゃないのかな?」
ケイは少女に休息を勧めるが、少女は首を横に振りすぐに教会の出口に向かってしまう。
「アタシに休んでいる時間なんてないの……行ってくるわね」
少女はそう言うと振り返らずにギルドに向かって歩いていく。
そんな少女の様子を見てケイはため息をついて教会の天井に顔を向けた。
「……そんなことしてもノワールは帰ってこないんだよ、ユニ」
ケイの言葉が静かに教会に響いた。
* * *
ラステイション
ゲイムギョウ界の大陸ひとつであり、重厚なる黒の大地と呼ばれている。
ラステイションの街並みはプラネテューヌに比べると、近代的とは言えないが、工場などが多く存在し、ゲイムギョウ界の中でも高い生産力を持っている。
そんな場所に夢人達はプラネテューヌからの飛行機による直行便でやって来たのである。
「ここがラステイションか」
空港から出た夢人は伸びをしながら街を見回した。
「わぁぁぁ! すごいなぁ! 私、こういう街並み好きなんですよ! 何かこう、プラネテューヌとは違ってどっしりとしたメカメカしい感じが何とも言えないですよね!」
ネプギアは瞳を輝かせながらラステイションを見回す。
「そうですね。ラステイションはちょっとマニアックな感じがします」
その後ろからコンパは自分の考えを言う。
「あんた達、観光に来ているわけじゃないのよ……まったく」
アイエフは完全に観光に来たおのぼりさん状態の3人を見てため息をついた。
「ここラステイションは女神ブラックハートさまが治めていた土地であり、プラネテューヌとの交流も盛んだったのよ」
「なんでだ?」
アイエフの言葉に疑問を持ち、夢人は尋ねる。
「ブラックハートさまである、ノワールがネプ子と仲が良かったからなのよ……2人は競い合うことは多かったけど、それと同じくらいお互いを認め合っていたのよ」
「……なるほどな、お互いライバルであると同時に親友だったわけか」
アイエフの説明に納得した夢人はそうまとめた。
「ええ、そうよ」
夢人が理解したことに満足してアイエフは3人の目の前に立つ。
「観光はいつでもできるんだから、まずはギルドに行くわよ」
アイエフは3人を先導してギルドへ向かおうとする。
「教会ではないんですか? ここの教祖さんや女神候補生に事情を話して力を貸してもらった方がいいと思うのですけど?」
ネプギアはなぜ教会ではなく、ギルドに向かうのかをアイエフに尋ねる。
「……ここの教祖がちょっと厄介なのよ……一筋縄にはいかないから、上手く協力が得られるかわからないのよ」
アイエフは悔しそうに言った。
「でも、ゲイムギョウ界を救うためなら協力してもらえるのではないですか?」
コンパもギルドよりも教会に行った方がいいと思ったからこそ、アイエフに向かって言う。
「確かにその通りなんだけど……」
アイエフが言い辛そうに顔をしかめる。
「……まあ、まずはギルドでこの大陸の情報を知ってからでもいいんじゃないのか? どうせ後で嫌でも教会には向かわなくちゃいけないんだしさ」
アイエフが行きたがらない理由はわからないが、とりあえず行動した方がいいと判断した夢人はそう提案した。
「……そうですね、まずは大勢の人に情報を聞けるギルドに向かった方がいいのかもしれないですしね」
ネプギアも夢人の意見に賛成し、4人はギルドへと向かうことになった。
「……ごめんね、皆」
アイエフは申し訳なさそうに謝りながらギルドへと先導を始めた。
* * *
ラステイションギルド
夢人達はギルドで情報を集めようとまずはギルドの管理人に挨拶をしようと移動を始めた。
「ここのギルドマスターはまた個性的だから気をつけなさいよ」
アイエフは3人に注意をする。
「個性的って、どういうことですか?」
言葉の意味がわからずただアイエフの後ろをついていく。
そして、カウンターに着いた時にその言葉の意味を理解した。
目の前には黒い髪の毛をお下げにして、頭にウサギの耳をつけたメイド服姿の身長180オーバーの筋骨隆々の男が立っていたのである。
「ひゃあ!?」
「ひいっ!?」
ネプギアとコンパはその姿を見て怯え出してしまった。
夢人は頬を引きつらせて男を指さしながらアイエフへと尋ねる。
「も、もしかして、あれが……」
「……そうよ、残念ながらね」
アイエフは3人の反応も予測済みで、驚きを見せず男に話しかける。
「あ~ら? あいちゃんじゃない? 久しぶりねぇん」
くねくねと動きながらアイエフのことを呼ぶ。
「……あんたも相変わらずね、前は巫女服じゃなかったかしら?」
アイエフはその男の行動も気にした風はなく質問をした。
「ふふ~ん、今のトレンドはメイド服なのよ? これで私の漢乙(おとめ)力は無限大よ」
男はアイエフへとウインクをしながら応える。
すると、男は夢人達に気づき話しかける。
「あら? そちらは初めての人ね」
先ほどまでくねくねしていた動きを止めて、姿勢を正しながら3人を見る。
「私は、ここラステイションのギルドマスターのアヤよ。よろしくね」
「明らかに偽名だろ!?」
男の明らかに偽名だとわかる言葉に夢人はつっこむ。
「失礼しちゃうわねぇ~、ん~あなたさえないわねぇ。もっとファッションセンスを磨いたらお相手してあげるわよ」
「嫌だよ!? ってか、誰がさえないだ!」
男の言葉に尻の穴が締まることを感じ、顔を青くしながら叫ぶ夢人。
「……こいつの本名はアヤトよ。でも、こいつがアヤって言ったら絶対にアヤと呼ばないと反応しないから気をつけなさい」
アイエフはつかれたように話す。
「も~う、あいちゃんは今日も冷たいのね」
アイエフの言葉にアヤはため息をつきながらくねくねと再び動き始める。
「……私達はここ最近のラステイションの情報が知りたいのよ。情報通のあんたなら何か知らないかと思ってきたの」
アイエフはアヤの動きを無視して、自分達の用件を言った。
アイエフが協会より先にギルドに来たのは、このアヤと言う凄腕の情報通の力を借りるためというのが理由の一つであった。
「……そうねぇ~ん、最近は結構落ち着いてきたわよ。ノワちゃんがいなくなっちゃった当初は結構混乱してたけど、ケイちゃんがすぐに行動を起こしたからすぐに落ち着いたわ」
アヤは先ほどまでのふざけた表情を消しさり、ラステイションの状況を伝える。
「最近では、ユニちゃんが頑張ってくれるからシェアもだいぶ持ち直したしね」
「ユニちゃん、ですか?」
ネプギアはユニという名前の人が気になり、質問をした。
「そうよ。彼女、毎日ギルドに送られてくるクエストを処理していくの……今日もそろそろ来る時間よ」
アヤがそう言いながら、ギルドの入口へと視線を向ける。
その時、ギルドの扉が開き、黒い髪をツインテールにして少しカールを加えているネプギアと同い年ぐらいの少女が迷いなくアヤの元までやってきた。
「……今日のクエストは?」
ユニは近くに居る夢人達を無視してクエストを受けようとする。
「……そうねぇ~、今日はちょっとこの子達と一緒にリビートリゾートのモンスターを倒して来てくれないかしら?」
「……こいつらと?」
ユニはアヤの言葉で初めて夢人達を見た。
「あ、その、私はネプギアって言います……さっきアヤさんからユニちゃんのことを聞いて……」
ユニはそんなネプギアを見て一言だけ言った。
「……足手まといはいらないわ。アタシだけで行く」
ユニはそのままギルドを出ていこうとする。
「え!? 待ってよ! ユニちゃん!?」
ネプギアは一方的に足手まとい扱いされ、ユニが勝手にギルドから出ていこうとしていることに驚いた。
「……つまり、あの子の護衛か何かがさっきの情報の対価かしら?」
アイエフはアヤへと顔を向け尋ねた。
「……そうよ、あの子の護衛をお願いするわ」
アヤは心配そうな顔でユニの後姿を見ていた。
「……わかったわ、それじゃみんな行きましょう」
「え? え? どういうことかわからなかったです」
コンパはあまりの展開に理解ができずにオロオロとする。
「とりあえず、あの子と一緒にダンジョンでモンスターを倒せばいいの、わかった?」
アイエフはコンパに簡単に説明をした。
「は、はい……でも、ユニちゃんはわたし達を必要としていませんでしたよ」
コンパは心配そうな顔でアイエフへと尋ねる。
「それでも行くのよ……モンスターを退治すればシェアも回復するんだから、あの子も文句は言わないわ」
アイエフはコンパの疑問に苦笑しつつ、ユニを追って歩き始める。
「……」
夢人は先ほどのユニを見てからずっとユニの事を目で追っていた。
「夢人さん? どうかしましたか?」
ネプギアはそんな夢人の様子を疑問に思い声を掛ける。
「……俺の気のせいだといいんだけど? あの子、ずっと……」
……泣いてる
* * *
リビートリゾート
元々はラステイションにおける大規模な海水浴場として設計された建物であった。
そのため、カラフルな巻貝型の建物を建設する予定であったが、建設途中にモンスター達に襲われ、計画は中止になってしまった。
その名残として、建設途中のカラフルな建物があちこちにある場所となっている。
そんな場所でユニは自分の身長よりも大きな銃を操り、モンスター達を倒していく。
その手に持つ銃からは放たれる弾丸は一発も外すことなくモンスターに命中していた。
「ギュオオオ!」
時にはモンスターの接近を許してしまうこともあったが、ユニはそれを冷静に対処して相手に銃の砲身を向け弾丸を放つ。
また一体モンスターを倒したユニは油断することなく、リビートリゾートの奥へと進んでいく。
「すごい!」
「すごいです! ばん! ばん! ってモンスターさんをどんどん倒していくです!」
ネプギアとコンパはユニのその強さに驚いていた。
事実、夢人達はリビートリゾートに来てから一度もモンスターと戦っていない。
すべてユニが倒していったのである。
「本当にすごいわね」
アイエフもその強さを見てから夢人の方へ向き直り言った。
「どこかのなんちゃって勇者さんとはだいぶ違うわね」
ニヤつきながら夢人をからかうアイエフ。
「……ホント、この世界の女性は強いな」
アイエフの視線から逃げるように視線をそらす夢人。
「ユニちゃん、どうしてあんなに一生懸命なんでしょう?」
ネプギアはユニの姿を見てどこか無理をしているように感じた。
「……そうね、あの様子じゃどうもただシェアの回復のためにクエストを受けているってわけじゃないみたいだしね」
アイエフもネプギアが言おうとしていることを理解して言葉を続ける。
「……直接話してみるか?」
夢人はそんな2人にわからないことはユニに直接聞いてみることを提案した。
「そうですね。それが一番いいですよ」
コンパもユニと話したいと思っていたので夢人の意見に賛成した。
「……そうですね! 私行ってきます!」
ネプギアは話しかけようとユニに向かって走っていった。
「ちょ、そんなに慌てるんじゃないわよ!」
夢人達もネプギアに続いてユニに向かって走り出した。
* * *
「……これでラスト」
そんな中、ユニは最後のモンスターを倒し終え、ようやく武器を下した。
「ユニちゃん!」
そんなユニを呼ぶ声に振り向くと、そこにはネプギアがいた。
「……何か用? アタシはもう戻るんだけど」
ユニはネプギアの姿を見ても表情を変えずに聞いた。
「……ユニちゃんがどうして戦うのかを知りたいんだけど、教えてくれないかな?」
ネプギアはユニの様子に素直に応えてくれないかもしれないかと思い、ためらいを見せたが、質問をすることにした。
「……戦う理由?」
ユニはネプギアがなぜそんなことを聞くのか分からず首をかしげた。
「うん、ユニちゃんがどうしてそんなに無理をしてモンスターと戦うのかを知りたいんだ」
ユニはネプギアの言葉に不機嫌そうに応える。
「無理なんてしてないわ……アタシはどうしても強くならなきゃいけないのよ。ただそれだけが理由よ」
ユニはそう言うと、話すことは終えたとばかりにネプギアの横を通って帰ろうとする。
「ま、待ってよ!? ユニちゃん!」
ネプギアはユニの腕をつかもうとするが、ユニはネプギアの手を弾き睨みつける。
「邪魔しないでよ! あんたには関係ないでしょ!」
語気を荒げてユニはネプギアへと言う。
「……ユニちゃん」
弾かれた手をさすりながらネプギアは悲しそうな目でユニを見る。
「そんな目で見ないでよ!」
ユニはネプギアが自分を見つめる目が気に食わず怒りをあらわにしながら武器を構える。
「いいわ……あんたまでそんな目で見るのなら容赦しない!」
ユニは武器をネプギアへ向けて引き金を引こうとする。
しかし、ネプギアはそんなユニの行動を見ながら動かない。
それを疑問に思ってユニはネプギアへ尋ねる。
「……どうしたの?怖気づいたのかしら」
ユニはニヤつきながらネプギアを挑発する。
「ユニちゃんは絶対に撃たないよ」
ネプギアはユニの目を見つめながら言う。
そんなことを言われると思っていなかったユニは一瞬驚くが、すぐに顔を怒りに染めて叫ぶ。
「ふざけないで! アタシは簡単にあなたを撃てるわ!」
そう言いながらユニは引き金を引こうとするが、指が震えて動かない。
「……夢人さんの言ってた通りだな」
そんなユニを見ながらネプギアは笑いかける。
「な、何よ!?」
そんなネプギアに対しておびえた表情を見せるユニ。
「ユニちゃん、ずっと泣いてるね」
ネプギアがそんな言葉を言った瞬間、ユニは手に持っていた銃を落として呆然としてしまった。
「アタシが……泣いてる?」
ユニはそんなこと言われるとは思っておらず、ネプギアを見つめることしかできない。
「そうだよ、ずっと泣いてる」
ネプギアはそんなユニに対して優しく言葉を続ける。
「ギルドでアヤさんにクエストをもらった時も、さっきモンスターを倒していた時も……ユニちゃんが泣いているように思えたんだ」
ユニに近づきつつ、ネプギアは言葉を続ける。
そんなネプギアに恐怖を覚え、ユニは少しずつ後ろへと下がる。
「こ、来ないで!?」
目の前のネプギアが理解不能な存在に見えてしまい、ユニは怖かった。
顔は先ほどまでモンスターを倒していた時のような冷静な表情はなく、怯えて瞳に涙を浮かべてすらいた。
「ユニちゃんを見ていると、なぜか他人のような気がしないだ……おかしいよね? 今日初めて会ったのに」
ユニを安心させるようにネプギアは笑みを浮かべる。
「もし……もしかしてと思うけど、ユニちゃんが……」
……ラステイションの女神候補生なの?
* * *
ユニはネプギアに女神候補生なのか尋ねられた瞬間、逃げ出した。
後ろから自分を呼ぶ声が聞こえてくるが、気にせず走った。
どうして!? どうして!?
ユニの頭の中には疑問しかなかった。
会話から察するにネプギアも女神候補生なのだろう。
姉の写真で見たことがあるプラネテューヌの女神であるネプテューヌによく似ていた。
おそらく、アタシと同じ女神の妹で、女神候補生であろう。
でも、アタシとは違う。
彼女は姉に頼られた。
彼女は姉に期待された。
彼女は自分にとって一番であった存在から認められた!!
だからこそ、3年前に彼女だけが候補生として女神達と一緒にギョウカイ墓場へと向かった。
結果は女神は敗北してしまった。
アタシだったら!
アタシの方が強いに決まっている!
どうして他の候補生を!
どうしてアタシを連れて行ってくれなかったの……
この3年間、行き場のない恨みや嫉妬が見知らぬ候補生にあった。
絶対にアタシの方が優秀なのに!
そんな考えはもろくも崩れ去ってしまった。
出会ってしまった。
アタシよりも優れているとわかってしまった。
アタシは……
アタシは女神であるブラックハートの妹なのに……
どうしてアタシは……
できそこないなのだろう……
* * *
「ユニちゃん!?」
ネプギアはユニが突然、涙をあふれさせながら走り去っていくのを追おうとしたが、腕を掴まれて止まった。
「待てって、ネプギア」
ネプギアの腕をつかんだのは夢人であった。
「夢人さん!? 今はユニちゃんが!?」
夢人が自分を止めたことに驚いたが、すぐにユニを追いかけようとした。
「まあ、待てって」
夢人は腕から手を離し、ネプギアの肩を掴んだ。
「ユニのことは俺に任せとけって」
夢人はネプギアにいつものように笑いかけた。
「俺、実はユニのこと見てると他人のような気がしなくてな……どうしてもおせっかいを焼きたくなっちまったよ」
夢人はそう言いながらネプギアの肩から手をどける。
そんな夢人の顔を見てネプギアは苦笑を浮かべながら言う。
「それじゃ、お願いしますね、夢人さん」
「応!」
右手の親指を立てながら夢人はユニが走っていった方へと走り出した。
「……本当にいいの? ユニが女神候補生なら協力を……」
アイエフはネプギアにそう言おうとするが、ネプギアは言葉を遮った。
「ダメです、今はダメなんです」
ネプギアは強く否定した。
「ど、どうしてですか!? ユニちゃんすっごく強くて頼りになりそうですよ!?」
コンパもネプギアの言葉が信じられず聞き返す。
「ダメなんですよ……今のユニちゃんじゃ、絶対に……」
ユニと夢人が走っていった方向を見つめながらネプギアは悲しそうな眼をしていた。
* * *
どのぐらい走ったかはわからない。
アタシは一刻も早くネプギアから離れたかった。
そうしなきゃ自分を保つ自信がなかった。
ネプギアと比べられる自分を……
今までの努力を否定されると恐れてしまった。
肩で息をしながらゆっくりと呼吸を整える。
リビートリゾートを抜け、すでにラステイションへの道に居ることに落ち着きながら気付いた。
……今日は教会にも帰りたくない。
きっとネプギア達はゲイムギョウ界を救うためにラステイションに来たのだ。
もしかして、女神候補生である自分に協力を求めに来たのかもしれない。
ネプギアと会うまでのアタシならきっと文句を言いながらも協力しただろう。
アタシだってお姉ちゃんを助けたいし、ゲイムギョウ界を救うために力をつけてきたのだから。
でも、ダメだ……
あのネプギアを見てしまったら……
最初はわからなかった。
でも、話すうちにわかってしまった。
彼女とアタシにはきっと埋められない差がある。
アタシがどれだけ努力しても決して埋められることのない差が……
悔しい……
どうして……
どうして、違うのよ!
同じ女神候補生で!
同じ妹なのに!
気付けばユニは膝をついて泣き崩れた。
「……うぅぅ……ううぅぅ」
泣き声なんか漏らすものか。
この悔しさを忘れないために絶対に……
泣き声なんて無様な声をあげてたまるか!
そんなアタシは後ろから近づいてくる気配に気づいた。
もしかしてネプギアが!?
ネプギアが追ってきたのかと思い、逃げようとするが、足に力が入らず、立ち上がれない。
こわいよぉ……
しかし、後ろから追ってきたのはネプギア達一緒に居た男であった。
「よ! 平気か?」
男はアタシに笑いかけながら手を差し伸べた。
アタシはその手を不思議そうに見つめた。
「立てるか?」
男の言葉に顔が赤くなるのを感じた。
1人で立つことぐらいできる!
アタシは男の手を払いのけ、立ち上がった。
さっきまで足に力が入らなかったのが嘘のようにすぐに立てた。
「……何の用よ」
アタシは男を睨みつけながら聞いた。
アタシの顔はきっと赤くなっていて瞳も潤んでいる。
男には強がりに見えるだろう。
しかし、これだけは譲れない!
「お前が泣きながら走ったから追いかけたんだよ」
男はアタシに笑いかけながら応える。
……この男もなのか?
アタシを……この男もネプギアと同じでアタシを!
「アタシは泣いてなんかいない!」
男を睨みつけながら強く叫んだ。
負けたくない。
ネプギアにも、目の前のこの男にも!
そんな思いを込めて男を睨むが、男はそんなアタシの視線を受け流しながら言う。
「まったく強情な奴だな」
アタシの行動を見てまるで呆れたように言う。
そんなことない!
こいつもきっとネプギアがアタシより優秀だと思っているんだ。
そんなことはない!
証明してやる……
アタシの方が優秀だって証明してやる!
あの子が姉に認められたのは何かの間違いなんだ。
本当の実力ならアタシの方が上なんだ!
さっき感じた埋められない差など気のせいなのだ!
あの子が……
あの子なんて!
「いろいろ言いたいこともあるだろうけど話を聞い……」
「わかったわ」
「そうそう……わかったわ?」
アタシは男の言葉を遮り、言葉を続ける。
「アタシがネプギアよりも優秀だってことをアンタに証明してあげる! ラステイションの女神候補生であるアタシが!」
アタシは男を指さしながら叫ぶ。
「ちょ!? ちょっと待っ……」
男が何か言っているが、関係ない!
これは確定事項なのだ!
この国で今一番偉いアタシの命令なのだ!
「アンタは今日から私の奴隷よ!!」
アタシは目の前の男、夢人にそう叫んだ
「……どうしてこうなった」
はい、皆さんお待ちかねのユニちゃんの登場です
まさかラステイション編に入ってから2話目の制作なのですが、実は1話の量がプラネテューヌ編の量の約2倍になってしまいました
どうしてこうなった…
そして、オリジナルキャラクターである漢乙であるアヤが登場
プラネテューヌ編で出てきたイワよりも活躍の機会を増やそうと思っているのですが、言葉遣いが難しい
そして、主人公は勇者から女神の奴隷へとジョブチェンジ!
やったね!ユニちゃん!これで出番が増えるよ!
という訳で、ラステイション編は全話を通じてオリジナルとなっておりますので、独自解釈のオンパレードだぜ
そして、タグについている神様転生の転生者が登場するという何ともボリュームたっぷりで作者は死にそうだぜ
ホント、ラステイションは地獄だぜ
それでは悩める候補生ユニちゃんの活躍をお楽しみしてください
夢人?たぶん活躍するよ?
それでは、次回 「勇者、奴隷になる」 をお楽しみください
DL限定のキャラの活躍も期待しててね!