超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
今回も2日かけた分、文量多めになっております。
それでは、 勝利の方程式 はじまります


勝利の方程式

 ルウィー、ブロックダンジョンでキラーマシンからゲイムキャラを庇うように立つレイヴィスをフィーナは眉をひそめながら見つめた。

 

「……あなた、今なんて言った?」

 

 声も低く表情からも不満が見てとれるフィーナを、レイヴィスはまっすぐに見返し剣先を向けた。

 

「貴様は俺が倒す、『再誕』の悪魔」

 

「悪魔、悪魔ね……誰が悪魔なのかしら?」

 

「貴様のことだ」

 

「……そう。うふふ、ふふふふふふふふふふふふふふ」

 

 レイヴィスにはっきりと悪魔と言われたフィーナは、突然顔を俯かせて唇を震わせながら笑いだした。

 

 その姿を見て、レイヴィスは警戒を強めて剣を握る手に力が入り始める。

 

「私が、悪魔? あなたも私を悪魔って呼ぶの? ……ふざけるなっ!!」

 

「っ!?」

 

「私は女神!! 唯一無二の『再誕』!! フィーナよ!!」

 

 激しい怒りをあらわにするフィーナに、レイヴィスは気圧され後ろ足をわずかに退いてしまった。

 

 いつでも戦闘に入れるように覚悟していたはずなのに、フィーナの激昂に恐怖してしまったのだ。

 

 その事実に、レイヴィスは悔しそうに唇を噛むが、退くわけにはいかないと、自分を鼓舞して恐怖を振り払うように剣を振るった。

 

「関係ない! 俺は貴様を倒す!」

 

「……さっきから何なのよ、あなたは」

 

 フィーナは先ほどから自分を倒すと言ってくる目の前の銀髪の男が気にくわなかった。

 

 自身を悪魔と呼ぶことに加えて、まるで自分が有害だとでも言われている気分に陥っていた。

 

「私はこのゲイムギョウ界を救う『再誕』の女神なのよ。その私を倒す? あなたはいったい何様のつもりなのよ?」

 

「……俺は、魔王だ」

 

 躊躇いながらもレイヴィスは、フィーナに力強く宣言した。

 

「偽りの救済をもたらす『再誕』を倒す、魔王だ!」

 

 魔王と名乗ったレイヴィスをフィーナは眉間にしわを寄せて鋭く見つめた。

 

「魔王? ……ああ、父様から私を引きずりだした男だったのね」

 

 フィーナはそこでようやくレイヴィスのことを思い出した。

 

 正確に言えば初対面であるが、フィーナには心当たりがあった。

 

「確か、この世界を憎んで壊そうとしていたのよね? それじゃ、なに? あなた父様にバグじゃなくしてもらったって言うのに、まだこの世界を壊そうと考えているの?」

 

「……違う、俺はこの世界を守るために戦う」

 

「守る? だったら、何で私の邪魔をしようとするのよ? 私とあなた、同じこの世界を守ろうと……」

 

「違う! 貴様の救済は紛い物だ!」

 

 レイヴィスは、フィーナの語るゲイムギョウ界の救済を強く否定した。

 

 否定されて目を丸くしたフィーナは、次の瞬間目を細めて無機質にレイヴィスを見始めた。

 

「……ふーん、私の『再誕』が紛い物、ね」

 

「その通りだ。貴様のやろうとしていることは、以前俺がしようとしたこととなんら変わりはしない」

 

「……そんな存在を求めたのは、あなたじゃなかったかしら?」

 

「……ああ。俺はこの世界を破壊するために、貴様の力を欲した」

 

 懺悔するように目を閉じて、レイヴィスは思い出すように言葉を続けた。

 

「俺を否定するこの世界が憎くて堪らなかった。この手でこの世界を滅茶苦茶にしたかった」

 

「ほら、やっぱりあなたはこの世界を守ろ……」

 

「だが、今は違う!!」

 

 フィーナは、やはりレイヴィスが未だこの世界を破壊したいと思っていると言葉を続けようとしたが、それはレイヴィスの叫びによって遮られた。

 

 その瞳に強い決意を燃やして、レイヴィスは振るって下がっていた剣先を再びフィーナへと向けた。

 

「俺はこの世界を守る!! 俺の知っている世界じゃない、この世界を!! 俺の生まれた世界を守る!!」

 

 すでにレイヴィスの中では、この世界は知識として知っている世界だと言う認識はない。

 

 ギョウカイ墓場で、自分を苦しめていた枷を夢人が破壊してくれた時から、レイヴィスはすでにこの世界を認め始めていた。

 

 違いはあれども、憧れた世界を再び愛せるように……

 

 自分が生まれた世界を愛せるように……

 

「貴様を望んだ俺だからこそ、今ここで貴様を倒す!!」

 

「……あなた」

 

「この世界を愛するために、俺は絶対に……」

 

「馬鹿じゃないの?」

 

 レイヴィスの決意を聞いて、フィーナは呆れてしまった。

 

「この世界を守る? 愛する? ……無理に決まってるじゃない。あなたにできるわけないわ」

 

「できる!! 俺は……」

 

「無理無理無理、できもしないことをそう口にするもんじゃないわよ」

 

 フィーナはレイヴィスを馬鹿にしたように笑いながら、髪を弄り始めた。

 

「バグじゃなくなったから、あなたは変われると思ったの? 残念でした! あなたは変わることなんてできないわ」

 

「いいや、変わる!! 変わってみせる!!」

 

「……はあ、何度も言わせないでよ。変わることなんてできないのよ」

 

 フィーナはため息をついて、自分の言葉を受け入れないレイヴィスに呆れてしまう。

 

 埒が明かないと判断したフィーナは、後ろに控えていたキラーマシン達に向かって手を振りながら命令を下した。

 

「あなた達はさがってなさい。少しだけあの子にお仕置きをしてくるから」

 

〔……ジ……リョウ……カイ〕

 

 キラーマシンはフィーナの命令通り、フィーナから離れて待機し始めた。

 

 レイヴィスはその様子を見て、目を細めていぶかしんだ。

 

「……どう言うつもりだ」

 

「簡単なことよ。私があなたに身の程って奴を教えてあ・げ・る」

 

 そう言い、フィーナが手首をくるりと返すと、その手の中に黒い何かが握られていた。

 

 それは、ネプギアが使うM.P.B.L.に似ていた。

 

「オリジナルの影響か、これが一番使いやすいのよね……気に入らないけど。さて、準備はいいかしら?」

 

 M.P.B.L.の先端をレイヴィスに向けて、フィーナは満面の笑みで宣言した。

 

「変われるって幻想、私が壊してあげるわ!」

 

 

*     *     *

 

 

「……何を、言ってるの?」

 

 私はユニちゃんに言われた言葉が信じられなかった。

 

「アタシは本気よ。ネプギア、今ここでアタシと戦ってもらうわ」

 

 ユニちゃんは合流した時から、ずっと私に銃の照準を向けて離さない。

 

 いつものツインテールじゃなくて、片方の髪だけ解いているユニちゃんの顔は真剣だった。

 

 でも、そんなことしてる暇なんてないんだよ!

 

「何でそんなこと言うの!? 私達も早く夢人さん達に合流しないといけないのに!?」

 

 この先にあるミッドカンパニーで、犯罪組織の幹部であるブレイブ・ザ・ハードが待っているのに、どうして戦わなくちゃいけないの?

 

 私達が戦う理由なんてどこにもない。

 

 私達は、早く先に行った夢人さんやノワールさん達と一緒にブレイブ・ザ・ハードを倒しに行かなくちゃいけないのに。

 

「その必要はないわ。ブレイブ・ザ・ハードは、必ず夢人が倒してくれる」

 

「夢人さんが?」

 

「そうよ、夢人が必ずアイツを倒す。だから、心配いらないわ」

 

 私はユニちゃんの言葉に引っかかりを感じた。

 

 どうしてユニちゃんは夢人さんが倒すって言ったの?

 

 夢人さん達、じゃないのは何故?

 

「……その言い方だと、まるで夢人が1人で戦うみたいな言い方ね」

 

「……そうですわ。どういう意味ですの?」

 

 私だけじゃなく、他の皆も同じことを考えていたらしい。

 

「お2人の想像の通りですよ。ブレイブ・ザ・ハードと戦うのは、夢人1人なんですから」

 

 私達に驚愕が走った。

 

 夢人さんが1人でブレイブ・ザ・ハードと戦う、その事実に耳を疑ってしまったのだ。

 

「な、何言ってるのよ!? 夢人1人で勝てるわけないじゃないの!?」

 

「の、ノワール達はどうしたの!? もしかして、本当に何もしないの!?」

 

「大丈夫よ、ラム。夢人は必ず勝ってくれるわ。ネプテューヌさんも落ちついてください。お姉ちゃん達もアタシと同じ、2人の戦いを見守るだけです」

 

「そっか、それなら……って、納得なんてできないよ!? それって結局ゆっくん1人に戦わせるってことじゃん!?」

 

 慌てる私達に対して、ユニちゃんは安心させるように言うけど……そんなことできるわけないよ!!

 

「どういうことなの!? どうして夢人さんを1人で戦わせるの!?」

 

「必要なことよ。夢人が前に進むために、踏み出さなければいけない一歩なの……そして!」

 

 ユニちゃんは赤い瞳を燃えるように光らせて、私を険しく睨みつけてきた。

 

「アタシも踏み出す!! そのために、ネプギア!! アタシと戦え!!」

 

 私との対決を望むユニちゃんに、私は悲しくなってきた。

 

 私達が争う必要なんてどこにもないのに、どうしてそんなことを言うの?

 

「嫌だよ!! 私はユニちゃんとは戦わない!!」

 

「逃げるな!! アタシと戦え!!」

 

「絶対に嫌!! 私は夢人さんの所に……っ!?」

 

 戦うことを拒否して夢人さん達の所に向かおうとした時、私の足元に銃弾が放たれた。

 

 ……嘘……本当に、撃ってきた……?

 

 私は信じたくなかった。

 

 ユニちゃんが私に向かって、本当に銃弾を放ってきたことを……

 

「……今のは警告よ。次は外さないわ」

 

「やめて、ユニちゃん(うるうる)」

 

「ユニ、もうやめなよ。今ここでネプギアと戦う必要なんてないでしょ?」

 

「……ごめんね、2人とも。でも、今じゃなきゃいけないの。アタシは、今ここでネプギアと戦わないといけないのよ!!」

 

 嘘でも冗談でもなく、ユニちゃんは本気だ。

 

 本気で私と戦うことを望んでいる。

 

「ネプギア以外の皆さんは先に行っても構いません。ですが、夢人の邪魔だけはしないでください」

 

「……本当に夢人さん1人で戦わせるつもりなの?」

 

「ええ、これは夢人が決めたことでもあるのよ。1人でブレイブ・ザ・ハードと戦って、必ず勝ってくるわ」

 

「……そんな」

 

 夢人さんがブレイブ・ザ・ハードに勝つと言いきるユニちゃんの気持ちも、1人で戦うことを決めた夢人さんの気持ちもわからない。

 

 確かに夢人さんは強くなるために努力している。

 

 でも、1人でブレイブ・ザ・ハードに勝つなんて無理だよ。

 

 それなのに、どうして夢人さんは1人で戦うことを決めたんですか?

 

 ユニちゃん達はどうして夢人さんを止めなかったの?

 

「勝てる見込みがあるんですの? わたくしはブレイブ・ザ・ハードとやらを知らないのですが、腐ってもマジェコンヌの幹部、強敵に違いありませんわ。そんな相手に夢人さんは1人で……」

 

「勝ちます。夢人は必ず勝ちます」

 

「理由になってないわ。どうしてあなたはそう言い切れるの?」

 

「夢人は1人じゃありません。アタシの思いも一緒に背負ってます。だから、絶対に負けません」

 

 ユニちゃんの言葉は、私達の疑問に対する答えになっていなかった。

 

 でも、その言葉から夢人さんへの強い信頼が感じられた。

 

「アタシの言葉が信じられないのなら、夢人の所に行ってください。そうすれば、きっとわかります」

 

「ちょ、ちょっと待って。それじゃ、どうしてユニちゃんはネプギアと戦おうとするの? ユニちゃんがゆっくんの勝利を信じていることはわかったけど、それでどうして今ネプギアと戦わなくちゃいけないの?」

 

「アタシも夢人のように前に踏み出すためです。アイツが前に進むのなら、アタシも足踏みなんてしてられません」

 

 ユニちゃんは何が何でも私と戦いたいみたいだ。

 

 私と似たところがあるユニちゃんだ、絶対にその考えを変えることはないだろう。

 

 なら、私も覚悟を決めなくちゃいけない。

 

「え、えっと、意味がわか……」

 

「わかったよ」

 

「そうそう、わかった……って、ネプギア?」

 

「お姉ちゃん達は先に行ってって。私はユニちゃんと戦うよ」

 

 理由はわからないけど、戦わなくちゃ前に進めないのなら戦わなくちゃいけない。

 

 私のためにも。ユニちゃんのためにも。

 

「1つだけ確認していい?」

 

「何よ?」

 

「夢人さんは絶対に勝つんだよね?」

 

「当然よ。アタシは夢人を信じてる。絶対に勝つわ」

 

 ユニちゃんは疑うことなく、夢人さんの勝利を信じている。

 

 だったら、私も夢人さんの勝利を信じます。

 

 何度も私を救ってくれた夢人さんの強さを信じます。

 

「ユニちゃん、その勝負受けるよ」

 

「お礼なんて言わないわ……ただ、全力で来なさい!!」

 

 叫ぶのと同時に『変身』したユニちゃんは、X.M.B.の銃口を私に向けて構えていた。

 

 私も『変身』してM.P.B.L.を構える。

 

 私だって負けられない!

 

 ユニちゃんが前に踏み出すために負けられないのなら、私も強くなるために負けるわけにはいかない!!

 

 

*     *     *

 

 

 ミッドカンパニーの奥にある広い空間、そこにブレイブ・ザ・ハードが静かに私達を待っていた。

 

「……来たか」

 

「ああ、決着をつけに来たぞ」

 

 夢人はそう言うと、私の方を振り向いた。

 

 すると、夢人は自分の体からアカリを出して、私に預けてきた。

 

「アカリのこと、頼む」

 

「わかったわ」

 

 言葉はもういらない。

 

 ここまで来たら、夢人はもう止まってはいけない。

 

 後は前に進むだけだ。

 

「アカリも、今回は何もしないでくれ」

 

「いいの? ちから、ほしくないの?」

 

「前にも似たようなこと聞かれたな。ああ、いらないよ。俺の強さはもうここにある」

 

 アカリは夢人の気持ちがわかっているのかわからないけど、軽く頷いて応えていた。

 

 夢人はそんなアカリの頭を満足そうになでると、顔を引き締めて私達から離れて、ブレイブ・ザ・ハードへと近づいた。

 

「戦うのは貴様だけか、勇者」

 

「ああ、俺がお前を倒す」

 

「……そうか」

 

 2人の会話はそれ以上続かなかった。

 

 ただ夢人はいつでも駆けだせるように腰を落とし、ブレイブ・ザ・ハードは剣を構えていた。

 

 臨戦態勢、少しのきっかけで2人は激突するだろう。

 

 しばらくして、何かが落ちる音が聞こえてきた。

 

 元々ここは廃工場だったのだ。

 

 モンスター以外にも小動物が何かを動かして落としたのだろう。

 

 しかし、その音で充分だった。

 

「行くぞ!! ブレイブ・ザ・ハード!!」

 

「来い!! 勇者!!」

 

 2人は弾かれたように、互いに駆け出した。

 

 ……頑張りなさいよ、夢人。

 

 私はアカリを抱く腕に力を入れながら、夢人の特訓を思い出した。

 

 

*     *     *

 

 

「氷の魔法を主軸に使う?」

 

「ええ、そうよ」

 

 ボロボロで傷だらけの夢人に、ノワールは説明を続けた。

 

「あなたの魔法を見せてもらったけど、おそらく1番リスクが低く使えるのは氷の魔法よ」

 

「いやでも、結構冷たかったり重かったりするんだけど……」

 

「逆に言えば、それだけで済んでいるのよ。他の魔法を思い出してみなさい」

 

 夢人はそう言われ、腕を組みながら自分の使う魔法のことを考えてみた。

 

 火の魔法は体を燃やすため、使うだけで肉体にダメージがある。

 

 土の魔法は自分の体に当たらなければ被害はないが、一定距離の間でしか発動できないので、被害は免れない。

 

 風の魔法は自分が吹き飛んでしまうが、実質プラズマ以外では魔法によるダメージは皆無、問題は息切れをしてしまうことだ。

 

「氷の魔法は利便性も高く、いろいろなことに使えるわ。あなただって、腕を凍らせたり、足を凍らせて使ってるでしょ?」

 

「うん、まあ痛くはないんだよな。ただ感覚がなくなってくるだけで」

 

「それも問題だけど……と、とにかく、あなたがブレイブ・ザ・ハードに勝つためには氷の魔法を主軸に使う必要があるのよ」

 

 いくらアカリのおかげで頑丈になっている夢人でも、魔法を使えば、それだけで傷ついていく。

 

 そうなってしまえば、夢人はブレイブに勝つどころか、自分の魔法で自滅してしまう。

 

 だからこそ、ノワールは肉体的なダメージが1番低い氷の魔法を夢人に勧めているのだ。

 

「それに、夢人にはもう何個かマスターしてもらわなくちゃいけないことがあるわ」

 

「……何だかんだ言って、ノワールもいろいろ考えてくれたんだな」

 

「ち、違うわよ!? 私はそれぐらい簡単にしてもらわなくちゃ、アイツに勝てないって言ってんのよ!?」

 

「ありがとう、ノワール」

 

「お、お礼なんて言わないでよ!? わ、私はあなたの邪魔をしに来たんだから!? 勘違いしないでよ!?」

 

 ノワールは顔を赤くして一気に話すと、顔を何度も横に振った。

 

「ああ、もう!! いいからさっさと立ちなさい!!」

 

 頬はまだ少し赤いが、ノワールは目を細めて夢人に剣《ショートソード》の切っ先を向けた。

 

「私はユニ達みたいに優しくないわ。刃も潰さないし、あなたを殺すつもりでやるわよ」

 

「……わかった。頼む」

 

「いい覚悟ね。死にたくなかったら、しっかりものにしてみなさい!!」

 

 

*     *     *

 

 

 夢人は両足を凍らせて、ローラースケートのように地面を滑りながらブレイブ・ザ・ハードに向かっている。

 

 私が夢人の与えた課題の1つ、魔法の同時発動。

 

 違う属性の魔法を同時に扱うことはできないが、同じ属性の魔法なら話は別である。

 

 おあつらえ向きに、夢人は腕と足を凍らせる魔法を使ったことがある。

 

 後は、同時にそれを発動すればいいだけ。

 

 片腕にはアイス・エッジ・ソード、両足にはアイス・ローラー、アーマーモードを参考にしたことでより滑らかな動きを可能にした移動用の魔法だ。

 

 アイス・エッジ・ソードもいつもより刀身を長くしている。

 

 巨大なブレイブ・ザ・ハード相手だ。いつもの長さでは、相手に届かないかもしれない。

 

 その分、刀身が細くなり強度も下がっているのだが、問題ない。

 

 アイス・エッジ・ソードはブレイブ・ザ・ハードの剣を相手にするためだけに使うのだから。

 

 私がそんなことを考えているうちに、夢人とブレイブ・ザ・ハードが互いに斬り結んで行く。

 

 夢人はブレイブ・ザ・ハードの剣をまともに受けようとはせずに、常に体を安全な位置に置いてから剣を弾くようにぶつけている。

 

 自分の近くに振り下ろされれば、その衝撃だけで吹き飛ばされてしまうからだ。

 

 だから、夢人はわざと衝撃に乗るつもりで剣を攻撃している。

 

 剣を攻撃したことと振り下ろされた剣の衝撃により加速する夢人は、より相手に近づける。

 

 近づいたことにより、夢人は氷の魔法を解除して風の魔法でブレイブ・ザ・ハードの顔まで浮き上がった。

 

 あの巨体だ、いきなり顔の前に出て来られたら、対処なんてできない。

 

 加えて、ブレイブ・ザ・ハードが剣を振り下ろしており、顔の位置も下がっている。

 

 つまり、普段は高い位置にある顔を攻撃するチャンスなのだ。

 

「ブラストインパクト!!」

 

「ぐおっ!?」

 

 夢人は風の魔法を圧縮したパンチを顔面にお見舞いした。

 

 しかも、反動で吹き飛ばされるために、すぐに離脱できる。

 

「うおおおおおおお!!」

 

 ブレイブ・ザ・ハードも殴られて顔を少しだけ仰け反らせたが、すぐに夢人へと腕を伸ばした。

 

 空中で身動きが取れない夢人を捕まえるつもりなのだ。

 

「グラビティ!!」

 

「なにっ!?」

 

 夢人は重力操作をして、自分にかかる重力を倍増させ地面へと急速に落下し、ブレイブ・ザ・ハードの腕から逃げた。

 

 夢人は地面に激突する寸前に、重力操作をやめて氷の魔法で再びアイス・ローラーを作り上げ、着地すると同時に再びブレイブ・ザ・ハードへと突撃した。

 

 これも課題の1つ、魔法の切り替えを高速にすることだ。

 

 今まで夢人が使っていた魔法は、単発式か連携技しかなかった。

 

 しかし、戦いは何が起こるかわからない。

 

 そんな時、決められたパターンしか行動ができない夢人はすぐに手詰まりになってしまう。

 

 それを解消するため、魔法の切り替えを意識的に早くさせたのである。

 

 イメージの切り替えは難しいが、これにより夢人の攻撃に隙ができにくく、臨機応変に戦うことができるはず。

 

「とうちゃーく! ……って、もうゆっくん戦ってるじゃん!? しかも、本当に1人で戦ってるし!?」

 

 私達が夢人の戦いを見守っていると、後ろからネプテューヌ達の声が聞こえてきた。

 

 ようやく来たようだ。

 

 先に来た私達が言うことではないが、随分と遅いような気がする。

 

「しかも、何あれ!? 宇宙からやってきた機械生命体!? 胸のライオン型のメカと飛行機とかドリルとか新幹線とか、そんな感じのメカが最終合体しちゃってる感じの奴がブレイブ・ザ・ハードなの!?」

 

「落ち着きなさいよ」

 

「だってだって!? あれどう考えても正義の味方でしょ!? 名前からして勇気をエネルギーとして無限の力を発揮しそうだよ!?」

 

「……そんなわけないでしょうよ」

 

 まったく、そんな非常識なことあるわけ……ないわよね?

 

 一瞬、私もネプテューヌが言ったようにアニメとかに出てくるヒーローロボットに見えてきちゃったじゃない。

 

 そういうロボットに限って、無茶苦茶な設定のエネルギーとか永久機関だとか持ってるのよね。

 

 ……大丈夫だと信じたいわ。

 

「ノワール、あなたいったい何を考えているんですの?」

 

 私が変なことを考えていると、ベールを筆頭にネプテューヌ以外の皆が険しい表情で私達を睨んでいた。

 

「どうしてあんな相手と夢人さんを1対1で戦わせているんですか?」

 

「夢人が望んだことよ。彼がアイツと1対1で戦わせて欲しいと願ったからよ」

 

「どうしてそれを承諾したの? 正直、無謀もいいところよ」

 

 ブランはチラリと夢人の戦いに視線を向けてから尋ねてきた。

 

 戦況は、夢人が氷の魔法を使ってブレイブ・ザ・ハードの剣を上手く避けているが、先ほどのように近づけないでいた。

 

 ブレイブ・ザ・ハードは剣を弾かれると、少しだけ横に剣を動かしているのだ。

 

 そうすることで、夢人は大きく弾かれてしまい、ブレイブ・ザ・ハードから遠ざかってしまう。

 

 遠ざかった夢人もすぐに態勢を整え、すぐにブレイブ・ザ・ハードへと接近、そんなことを何度も繰り返している。

 

 どうにかして距離を詰めたい夢人と、近づけさせないようにするブレイブ・ザ・ハードの戦いの様相は膠着状態とも言ってもいい。

 

 しかし、この状況は夢人に不利である。

 

「今は大丈夫だけど、夢人は魔法を使えば使うほど消耗していくわ。それに反して、ブレイブ・ザ・ハードはただ剣を振るうだけ、このままじゃ夢人が自滅してしまう」

 

 ブランの考察の通りだろう。

 

 長期戦になればなるほど、夢人は不利になる。

 

 今は戦いが始まったばかりだからいいが、長引けばスタミナだけじゃなく、体も傷ついていく。

 

 それに対して、ブレイブ・ザ・ハードはあの体だ。

 

 夢人よりも体力もあるし、頑丈だ。

 

 夢人は完全に攻めあぐねている状態なのだ。

 

「せめて逆転するために必要な強力な技がない限り、夢人の負けは確定しているも同然じゃない」

 

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。夢人にはちゃんと強力な必殺技があるもん」

 

「皆で手伝った……風林火山(きりっ)」

 

「おおう!! 何それ!! 名前だけでもかっこいい!! って、ゆっくんそんな技使えたの!! よーし、それじゃ、一発逆転するために使って……」

 

「残念だけど、それはできないよ」

 

 盛り上がってるネプテューヌ達に水をさすようにファルコムが難しい顔で言葉を続けた。

 

「あの連携技は、ここじゃ使えないだよ」

 

「それって……あ、そっか。ここには天井があるだ」

 

 そう、夢人が使える連携技、風林火山はここでは使えない。

 

 ミッドカンパニーの中に居る間は使うことができないのだ。

 

「風林火山は、最初に相手を上空高く浮き上がらせなければならない。けど、天井があるから相手を高く飛ばすことができないんだ」

 

「相手がお兄さんと同じくらいの大きさなら大丈夫だったんですが、ブレイブ・ザ・ハードには無理です。充分な高さを確保できません」

 

〔仮に天井を気にせず高く飛ばそうものなら、天井にぶつかった衝撃で竜巻から外れてしまう可能性や、充分な高さまで浮き上がらせることができなくなってしまうのだ〕

 

 屋内と言う条件は、夢人にとって有利になると思っていたが、実際には不利である。

 

 夢人は身を隠して攻撃を避けることができる半面、決め手がないのだ。

 

 このままでは本当に自滅してしまう。

 

「そ、それじゃ、やっぱりゆっくん1人にさせられないじゃん!? 早くわたし達も……」

 

「駄目よ」

 

「駄目だよ」

 

「駄目です」

 

〔駄目だ〕

 

 夢人の覚悟を知っている私達は、加勢すると言いだしたネプテューヌの言葉を否定した。

 

「この戦いは、夢人1人でしなくちゃ意味ないのよ」

 

「ノワールもユニちゃんも意味わからないよ!? どうしてゆっくんだけしか戦っちゃダメなの!?」

 

 ユニの名前が出たことを疑問に思うが、今は深く追求しなくてもいいだろう。

 

 ユニもしなくてはいけないことをしているのだから。

 

「簡単な話よ。これは夢人が理想を貫けるかどうかを確かめるものなの」

 

「理想? それって、この間の話ですか?」

 

「ええ、理想を叶えるために夢人は勝たなくてはいけない」

 

 この戦いは、夢人が理想へと踏み出すために必要な第一歩。

 

 だからこそ、夢人だけで戦わないといけない。

 

「夢人!?」

 

 話し込んでいるうちに、状況が変化した。

 

 何度か吹き飛ばされながらも、夢人はブレイブ・ザ・ハードに接近することに成功した。

 

 そして、再び顔を攻撃するために浮かび上がったのだが、ブレイブ・ザ・ハードもただでは攻撃されない。

 

 夢人が顔の所まで浮き上がると、ブレイブ・ザ・ハードは体を倒して夢人から離れたのだ。

 

 しかも、ウイングによって地面すれすれに浮かび上がっているブレイブ・ザ・ハードは、その状態から背中にある巨大な砲身を夢人へと向けた。

 

 セプテントリゾートでも見た強力な砲撃を夢人へと発射しようとしているのだ。

 

「危ない!?」

 

 誰が叫んだのかはわからないが、叫ぶのと同時に、夢人は風の魔法で急いでその場を離脱しようとした。

 

「させるか!!」

 

「っ、グラビティ!!」

 

 横に逃げた夢人だったが、ブレイブ・ザ・ハードはすぐに照準を修正して夢人へと砲撃を放った。

 

 しかし、その攻撃も夢人へと当たることはなかった。

 

「浮いた、だと!?」

 

 夢人は先ほどのように重力操作で今度は重力を軽減することでブレイブ・ザ・ハードの攻撃を避けたのだ。

 

 そのまま砲撃は天井へと直撃し、砲撃によって壊れた場所からどんどん崩れて行き、それは夢人達の真上まで届いた。

 

「天井がなくなった!」

 

 鉄骨が降り注ぐ中、夢人はブレイブ・ザ・ハードに近づくと、巨大な竜巻を作り上げた。

 

「スパイラルトルネード!!」

 

 巨大な竜巻は夢人だけでなく、ブレイブ・ザ・ハードを飲み込み勢いを増していく。

 

 その竜巻を邪魔する天井はすでになく、竜巻は天高く昇って行った。

 

「いっけー!!」

 

「やっちゃえー!!」

 

 上空高く浮き上がらせてウイングを凍らせれば、ブレイブ・ザ・ハードに対して風林火山が決まる。

 

 夢人もそれがわかっているため、竜巻の流れに乗ってすでにウイングの片側に触れている。

 

 後は、上空高く浮き上がらせれば……っ!?

 

「うおおおおおおおお!!」

 

「なっ!?」

 

 あろうことか、ブレイブ・ザ・ハードはウイングを自分でへし折ったのだ。

 

 しかも、夢人が触れている方を……

 

「うわああああああああ!?」

 

 へし折られたウイングは竜巻の中で激しく揺れ動き、夢人は竜巻の外へと弾きだされてしまった。

 

「逃がさん!!」

 

「っ!?」

 

 夢人が弾きだされたことで竜巻が消え去ると、ブレイブ・ザ・ハードは不安定な態勢のまま砲身を夢人へと向けて砲撃を放った。

 

 夢人もそれに気付いて慌てて逃げようとしたが、折れたウイングを盾にすることしかできず、砲撃はウイングへと直撃し、空中で爆発した。

 

 その衝撃によって、夢人は奥に積まれていた機材の所まで吹き飛んだ。

 

 ブレイブ・ザ・ハードもウイングをへし折った影響で着地は上手くできなかったが、うつ伏せの態勢のまま夢人が吹き飛んだ機材の所へと砲身を向けて再度砲撃を放った。

 

 私達が慌てて叫ぶ間もなく、積まれていた機材は紅蓮の炎に包まれていった。

 

 

*     *     *

 

 

「ラディアントブレット!!」

 

「っ!?」

 

 私はユニちゃんの攻撃を避けることで精いっぱいだった。

 

 戦いが始まってから、ユニちゃんは一歩も動いていない。

 

 その場にとどまり、ユニちゃんはX.M.B.から連続で攻撃してくる。

 

「はあ!!」

 

「甘い!!」

 

 たまに私がM.P.B.L.の砲撃モードでレーザーを放っても、すぐに相殺されてしまう。

 

 接近すればやりようがあるのだが、砲撃の嵐の中を掻い潜ることができずにいる。

 

 射撃はユニちゃんの方に分がある。

 

 しかし、そんなユニちゃんも余裕があるわけじゃない。

 

「ハア、ハア、ハア」

 

 ユニちゃんはすでに息を切らしていた。

 

 当たり前だ、ユニちゃんは私と戦い始めてからずっと砲撃を放っているのだ。

 

 無尽蔵に攻撃するための力があるわけはなく、ユニちゃんのスタミナと魔力が切れかけている証拠だ。

 

 きっとユニちゃんは勝負をかけるために最大出力で攻撃をしてくるだろう。

 

 なら、その時が勝負!!

 

「っ、最大火力!! 狙い撃つ!!」

 

 焦ったように顔を歪めて、ユニちゃんはX.M.B.に魔力を集中させる。

 

 やがて、その銃口から1条の光が私へと迫ってきた。

 

 来た!!

 

 予測していた攻撃だったため、難なく避けることができた。

 

 このままユニちゃんの懐に飛び込む!!

 

「っ!?」

 

「プラネティックディーバ!!」

 

 砲撃を放っていて無防備であったユニちゃんの懐に、私は加速しながら飛び込み、自分にできる最大限の技をぶつけた。

 

 ユニちゃんが全力で来るのなら、私も全力で応える!!

 

 M.P.B.L.の一撃を慌ててX.M.B.で防ごうとしたユニちゃんだったが、私は構わず振り抜いた。

 

「はああああああああ!!」

 

「ぐっ、うっ、きゃああああああああ!?」

 

 最初の攻撃でX.M.B.を弾き、私はユニちゃんへと斬りかかった。

 

 まずは、ユニちゃんの体を浮き上がらせるために、斜め下から上へと振り上げた。

 

 次に、浮き上がった体を吹き飛ばすように横に振り抜くと、ユニちゃんは大きく吹き飛んで行った。

 

 追撃は……必要ないね。

 

 持っているX.M.B.は手放さなかったけど、ユニちゃんはもう戦えないだろう。

 

 戦いが終わったと判断した私は構えていたM.P.B.L.の先端を静かに下げた。

 

 

*     *     *

 

 

「どうしたのどうしたの? 私を倒すんじゃなかったのかしら?」

 

「ぐっ!?」

 

 ブロックダンジョン、レイヴィスはフィーナに追い詰められていた。

 

 レイヴィスは大きな傷を負っていないが、体中に小さな傷をいくつも作っている。

 

 しかし、フィーナは無傷のままなのだ。

 

「ほらほら、次行くわよ。それ!」

 

「クソッ!?」

 

 フィーナが明らかに適当だと思われる風に黒いM.P.B.L.をレイヴィスに振り下ろした。

 

 しかし、その一撃はレイヴィスには当たらず、地面に突き刺さるだけに終わった。

 

 避けたレイヴィスは躊躇いなく、フィーナの腕を斬り落とすために剣を振るった。

 

「はあああああああ!!」

 

 振るった剣は見事にフィーナの腕を斬り裂き、フィーナの片腕が宙を舞った。

 

 しかし、フィーナはそれでも表情一つ変えずに、突き刺さった黒いM.P.B.L.を引き抜くと、レイヴィスへと振り抜いた。

 

「チッ!?」

 

「あら、またハズレ。うまく当たらないわね」

 

 フィーナの一撃は、レイヴィスの頬を掠るだけであったが、フィーナは片腕を失っても余裕の態度を崩さない。

 

「それに何度やっても無駄よ、無駄」

 

 次の瞬間、フィーナのなくなっていた腕が元通りになっていたのだ。

 

「……また再生か」

 

 レイヴィスは何度もフィーナを斬り裂いているのだが、フィーナは斬り裂かれた傍から再生をしていく。

 

 時には腕を、時には足を、時には胴体を切り裂いたこともあったが、全てフィーナには無意味だった。

 

 傷つけてもすぐに再生してしまう。

 

「そろそろ諦めてくれない? 私も飽きてきたし」

 

「ふざけるな!!」

 

 レイヴィスは激しくフィーナを睨みながら駆け出した。

 

 そして、再びフィーナの腕を斬り裂いた。

 

「無駄だって言ってるのがわからないのかな?」

 

 フィーナは呆れた目で、自分の横を駆け抜けて腕を斬り飛ばしたレイヴィスを見つめた。

 

 しかし、そこに違和感を感じた。

 

 レイヴィスが持っていた剣が1本になっていたのだ。

 

 もう1本はフィーナの近くに突き刺さっていた。

 

「爆ぜろ!!」

 

 レイヴィスが叫んだ途端、突き刺さっていた剣が爆発し、フィーナは爆煙によって視界を封じられてしまった。

 

「視界を封じた程度で、どうする……っ」

 

 言葉の途中でフィーナは驚愕した。

 

 何かが自分を縛って行く感覚を覚えたのだ。

 

 やがて、煙が全て晴れると、フィーナは黒い紐で拘束された状態になっていた。

 

「これは……」

 

「貴様も女神、いやシェアエナジーを内包しているのなら、その拘束具に逆らえない!!」

 

 かつてギョウカイ墓場でネプギア達を拘束していた黒い紐をレイヴィスはフィーナへと使ったのである。

 

(そう言うことか)

 

 フィーナは内心得心がいった。

 

 どうしてレイヴィスが自分を否定するのか、理解したのである。

 

「シェアエナジーがなくなれば再生はできまい!! 覚悟!!」

 

 レイヴィスは持てる力の全てを込めて、拘束されているフィーナへと剣を構えて振り上げた。

 

 自分に向かって振り下ろされる剣を無機質に眺めながらフィーナは……




という訳で、今回はここまで!
実は分割しようかなとも思ったのですが、1話にまとめてしまいました。
ちょうどよい区切りで、全く動きを見せなかったからです。
次話であるこの章の最終話もこのくらいの文量になりそうです。
それでは、 次回 「貫いたその先に」 をお楽しみに!

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