超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
昨日はダウンしてしまい、投稿できませんでした。
待っててくれている皆さんには本当に申し訳ございません。
遅ればせながら、この作品お気に入り登録200人を突破していました!
皆さん、ありがとうございます!
それでは、 機械の顔 はじまります


機械の顔

 ……あれ、ここはどこだろう?

 

 アタシは自分の部屋で寝ていたはずなのに、気付けば違う場所に立っていた。

 

 いや、正確には浮いているのかな?

 

 手足の感覚がなく、自分の体なのにまったく動かせない。

 

 ……これは夢、なの?

 

 最後にある記憶は自室のベットで眠りに着いたことなので、これが夢であることは明らかだ。

 

 でも、アタシにはどうしても夢の中だとは思えなかった。

 

 意識がはっきりし過ぎている。

 

 体が動かせないだけで、思考が正常なのだ。

 

 夢のことなんてほとんど忘れてしまうため覚えていないが、こんな夢を見たことはなかったと思う。

 

 ……結局ここはどこなんだろう?

 

 どこかの部屋だと言うことはわかる。

 

 机やベットなどが置いてあることから、誰かの部屋なのかもしれない。

 

 体が動けばもっと詳しく調べられるのだけど、動かせないので諦めるしかない。

 

 ……ってか、これどういう夢なんだろう。

 

 体は動かせないは、視点は固定されていて変化がないと、まったくもって面白みがない夢だ。

 

 どうしてこんな夢なんて……

 

『もう一度練習しておくか』

 

 っ!? 何、今の声?

 

 アタシ以外いない部屋で、突然声が聞こえてきた。

 

 もしかしたらアタシの後ろに誰かがいるのかもしれないけど、動けないので確認のしようもない。

 

 それに、今の声は……

 

『私が御社を志望します理由は……』

 

 聞きなれた声で、淡々と何かがつぶやかれていく。

 

 ……この声って、夢人よね?

 

 好きな相手の声だと言うのに、なぜかアタシには自信が持てなかった。

 

 アタシが知ってる夢人の声に聞こえないのだ。

 

 夢のせいなの? でも、違うような気がする。

 

 いつだっただろう、アタシはこんな声を聞いたことがある気がする。

 

『……っと、最後に鏡鏡っと』

 

 声が聞こえると、急に視点がぶれ始めた。

 

 なに!? アタシの体が動いてる!?

 

 自分の体が勝手に動き出したことに驚いてしまう。

 

 止まろうと意識しても、体は止まることなく、机の上にあった鏡を掴み上げた。

 

 その時見えた腕は、アタシの腕ではなかった。

 

 しかも、この顔って……

 

『んっ、どこもおかしなところはないよな? にっ』

 

 鏡に映ったのはアタシの姿ではなく、スーツを着た夢人の姿であった。

 

 でも、その顔は……

 

 

*     *     *

 

 

「……変な夢」

 

 アタシが目を覚まして最初にこぼした言葉はこれだった。

 

 見慣れた天井を眺めている自分に気付いたアタシは、上半身だけを起こして部屋を見渡した。

 

「あー、あー、あー」

 

 声を出したり、自分の手を見つめたりして、アタシは自分が本当に自分であることを確認した。

 

 うん、いつもの声だし、自分の手だ。

 

 加えてここは自分の部屋。

 

 アタシは自分が夢人ではなく、アタシであることを確認できると大きく息をついた。

 

「……でも、本当に変な夢だったわ」

 

 夢の中でアタシは多分夢人になっていた。

 

 覚醒した今でも、アタシは夢の内容をはっきりと覚えている。

 

 でも、どうしてあんな夢を見たんだろう?

 

 夢って確か無意識の願望が現れるって、前に本で読んだ気がする。

 

 それじゃ、アタシは夢人になりたがってる?

 

「ないわ、絶対にないわね」

 

 アタシは夢人になりたいとは思っていない。

 

 アタシはアタシ、ラステイションの女神候補生のユニなのだ。

 

 アタシは夢人と出会ったことで、誰かの真似をしても意味がないことを知った。

 

 自分は自分でしかないのだ。

 

 だからこそ、アタシはできそこないと蔑まれようとも平気になった。

 

 アタシだけの誇れる自分を見つけることができたのだから。

 

「それに、あの顔は……」

 

 夢の中で夢人が浮かべていた顔、あの時は気付かなかったけど、聞こえてきた声にも確かに聞き覚えはあったのだ。

 

 アタシはベットから降りると、身だしなみを整えるよりも先に通信機を手に取った。

 

 アタシは今、無性に夢人に会いたくなった。

 

 会って声を聞いて話をしたい。

 

〔んー、ユニ? なんだよ、こんな朝早くから〕

 

「あ、ごめん。起こしちゃった?」

 

 通信機から聞こえてきた夢人の声は寝起きなのだろう、普段よりも低く聞こえた。

 

 でも、アタシはその声に少し安心した。

 

 夢とは違う、アタシの知ってる夢人の声だった。

 

「あのさ、急で悪いんだけど、今日ラステイションに来てくれる?」

 

〔うん? 別に大丈夫だけど、何かあったのか?〕

 

「……ううん、ただ夢人に会いたいんだ」

 

 夢のことを話すのはやめた。

 

 これは直接話して聞きたい。

 

〔わかった。昼前にはそっちに着けるようにするよ〕

 

「……ありがとう」

 

 夢人の声が優しくなった気がした。

 

 多分アタシの様子がおかしいことに気付かれたのだろう。

 

 理由を深く追求してこない夢人に、アタシはお礼を言うことしかできない。

 

〔別にいいって。それじゃ、待っててくれよ〕

 

「……うん、気をつけてね」

 

 通信を終えると、アタシはカーテンを開けて窓から外を眺めた。

 

 空は嫌になる位の青空なのに、アタシの心はまったく晴れない。

 

 ……むしろ、胸の中の不安が増すばかりだった。

 

 

*     *     *

 

 

 俺は朝ユニから会いたいと言う連絡が来たため、ワンダーでラステイションに来ていた。

 

 まあプラネテューヌに居ても俺ができることと言えば、アーマーモードでの交通整理と魔法の練習くらいだし、ラステイションに来ることは問題なかった。

 

 ……でも、ユニの様子がおかしかった。

 

 Nギア越しの聞いた声は、どこか沈んでいるように感じた。

 

 あんな声を出すユニを、俺は何度も見た。

 

 できるだけ声を明るくして通信に応えたのだが、心配なのは心配だ。

 

 なにが原因であんな声で会いたいなんて言ったのだろう。

 

「御免下さーい」

 

「はーい……って夢人じゃない。今日はどうしたの?」

 

 俺が教会に入ると、ノワールが奥の部屋からやってきて驚かれてしまった。

 

 もしかしてユニは俺が来ることを皆に言ってないのか?

 

「ユニに呼ばれてきたんだけど、聞いてないのか?」

 

「私は聞いてないけど……そうだ、ちょっと聞きたいことがあるのよ」

 

 ノワールは困ったように眉を下げて尋ねてきた。

 

「朝からユニの様子がおかしいのよ。あなたは何か知らないかしら?」

 

「……朝からなのか。俺も朝連絡をもらった時、様子がおかしかったから心配なんだけど、昨日は普通だったのか?」

 

「ええ、昨日はいつも通りだったはずよ……どうしたのかしら、あの子」

 

 俺はてっきり昨日何かがあったのかと思ったが、その線はないらしい。

 

 じゃあ、なにが原因であんな声を出したんだろう。

 

「あ、夢人。もう来てたんだ」

 

 ユニの様子がおかしい原因がわからず、2人でうんうんと唸っていると、本人が奥からやってきた。

 

「おう、それでどうしたんだ?」

 

「……ちょっとここじゃ話せないから、アタシの部屋に来て」

 

 悲しそうな笑顔でユニは俺を部屋へと誘った。

 

 ……ユニ、いったいどうしたんだよ。

 

 

*     *     *

 

 

「さあ、入って」

 

「ああ、お邪魔します」

 

 ユニに先導され、夢人はユニの部屋へと足を踏み入れた。

 

「それじゃ、そこ座って」

 

 ユニは夢人が扉を閉めたことを確認すると、ベットを指さして座るように勧めた。

 

 夢人は女の子のベットに座ることに抵抗を覚えたが、ユニの話を聞くことが先決だと判断して座ることにした。

 

 夢人がベットに座ると、ユニは夢人の隣に黙って座って俯いてしまった。

 

「……今日は、ありがとうね」

 

「いや、別にお礼を言われることなんてしてないさ」

 

「……ううん、会いたいってアタシのわがまま聞いてくれたじゃない。夢人だって忙しかったんじゃないの?」

 

「そ、そんなことないさ」

 

 ユニの言葉に夢人は自分が現状では、あまり役に立てていないことを指摘されたように感じて視線を上へと泳がせた。

 

「そ、それより、今日は急にどうしたんだ? ノワールも朝から様子がおかしいって言ってたぞ」

 

「……話をする前に、夢人にお願いがあるの」

 

 夢人が話を切りだそうとすると、ユニは夢人へと手を差し出した。

 

「……手、握って」

 

「は? それこそどうして?」

 

「……今は理由を聞かないで。お願い、手を握って欲しいの」

 

「……わかった」

 

 差し出された手に困惑していた夢人だったが、ユニの声に辛そうな何かを感じて手を握りしめた。

 

 夢人が手を握ると、ユニは自分から夢人の手を包むように握りなおした。

 

「……ありがとう……うん、よかった」

 

 ユニは顔を上げると、安心したように口元を緩めて夢人を見上げた。

 

「……アタシが知ってる夢人の手だ」

 

「ユニ? なにを言ってるんだ?」

 

「……ねえ、夢人」

 

 夢人はユニがつぶやいた言葉の意味がわからず尋ねたが、ユニはそれに応えず泣きそうな声で夢人の名前を呼んだ。

 

「アタシとアンタが初めて会った頃にアンタが言った言葉、今でも覚えてる?」

 

「俺がユニに最初に会った頃に言った言葉……」

 

「生きていくために必要なこと……公園で言った言葉よ」

 

 夢人は言われている意味がわからなかった。

 

 確かに夢人はユニに最初に会った頃、公園で言った覚えがある。

 

 しかし、今それがなにを意味しているのかがわからない。

 

「こんなこと聞くのはおかしいと思うけど、夢人は……」

 

「ユニ!! 夢人!! 大変よ!!」

 

 ユニの言葉の途中で、ノワールが荒々しく扉を開けて焦った様子で部屋に入ってきた。

 

「の、ノワール? 急にどうし……」

 

「話は後よ!! セプテントリゾートでモンスターが暴れているって報告がきたわ!! すぐに準備して!!」

 

 

*     *     *

 

 

 ノワールから報告を受けて、3人は教会の入り口で待機していたファルコムとフェルと合流してセプテントリゾートを目指した。

 

 『変身』して飛んで行くノワールとユニの2人を先頭に、ワンダーに乗る夢人とファルコム、並走する『人魔一体』したフェルの5人は、セプテントリゾートに入る前に一度立ち止まった。

 

 ノワールとユニの『変身』を解くためである。

 

 セプテントリゾートで暴れているモンスターは、ラステイションでは見かけたことがないモンスターであると報告されていた。

 

 そのことから、暴れているモンスターは女神の卵の欠片を吸収したモンスターである可能性が高い。

 

 リゾートアイラン島でのベールとナナハの例外を除き、欠片が女神の『変身』を阻害する能力があるのなら、最初から『変身』を解いて行った方がよいと判断したのだ。

 

「さあ、行くわよ! 暴れているモンスターは巨大なタコとイカとカニらしいわ! ワンダーはいつでもブラスターモードになれるようにスタンバイしておいて!」

 

〔うむ、その相手なら火力の高いブラスターモードの方がいいだろう〕

 

「ええ、私達が陽動を行うからトドメは任せるわよ、ユニ」

 

「わかった!」

 

 ユニは先ほどまでのおかしな様子を見せず、力強く頷いて応えた。

 

 その様子に、ノワールは安心して口の端を吊り上げて夢人達に合図する。

 

「よし、行くわよ!」

 

 ノワールの合図と共に、夢人達はセプテントリゾートへと突入していった。

 

 ……しかし、そこには夢人達が想像していなかった光景が広がっていた。

 

 そこでは、3体の巨大モンスター以外にも巨大な何かがいたのである。

 

 巨大な何かは手に持つ巨大な剣を振りかざして、タコのモンスターへと駆け出した。

 

「はあああああああああああ!!」

 

 叫び声と共に、巨大な何かがタコのモンスターの触腕を斬り裂くと、モンスターは苦し紛れに口から墨を巨大な何かに吐き出そうと口を窄めた。

 

「させん!!」

 

 巨大な何かはタコが墨を吐き出す前に、残っていた触腕を掴み振り回してイカとカニのモンスターへと投げた。

 

 巨大な何かとタコが争っている間、イカとカニも互いに争っていたので、飛んできたタコに2体は反応できなかった。

 

 重なるように倒れた3体に向かって、巨大な何かは背にある巨大な砲身を3体に向けた。

 

「トドメだ!!」

 

 砲身から放たれた弾丸が直撃した3体は光の粒子となり消えていってしまった。

 

 3体がいた場所には欠片が3つ浮かんでおり、巨大な何かはそれを拾うと、呆然と戦いを見ていた夢人達に振り返った。

 

「久しぶりだな、女神ども、それに勇者」

 

「お、お前はブレイブ・ザ・ハード!? どうしてこんなところに!?」

 

 巨大な何か、ブレイブ・ザ・ハードの言葉により、夢人達は正気に戻った。

 

 モンスターを退治しようとダンジョンに来たのに、目の前で繰り広げられたロボットと巨大モンスター達の戦いを見て思考が停止してしまったのである。

 

「夢人、アイツってもしかして……」

 

「この間のジャッジ・ザ・ハードと同じマジェコンヌの幹部だ」

 

「そう。でも、こっちはタダものじゃなさそうね」

 

 目を細めて油断なくノワールは構えだした。

 

 それは夢人達も同じである。

 

 初見であるノワール以外は、すでにブレイブと対峙した経験がある。

 

 特に、夢人とユニ、ワンダーはブレイブの巨大な体から繰り出される攻撃の強さと、頑丈な装甲を知っている。

 

 このメンバーだけで対峙すれば勝てる可能性が低いと感じてしまい、夢人達は冷や汗を流し始めた。

 

 一方、戦闘準備を整える夢人達とは裏腹に、ブレイブは手に持っていた剣、ブレイブソードの切っ先を下げた。

 

「俺はここで貴様らと戦う気はない」

 

「……余裕ってことかしら? 私達じゃ、あなたに勝てないとでも思っているの?」

 

 冷や汗をかきながらも、ノワールは余裕な態度を崩さずに笑みを浮かべてブレイブを挑発した。

 

 ここで退いてはいけないと感じていたのである。

 

「用があるのは、貴様らじゃない。俺の目的は勇者だけだ」

 

「……俺、だと」

 

「そうだ」

 

 ブレイブは夢人を指さして、鋭く睨みつけるように見つめた。

 

「以前はつけられなかった決着、俺の正義と貴様の正義、どちらが正しいのかを決めさせてもらうぞ!!」

 

『っ!?』

 

 夢人達はブレイブの気迫に押されてしまった。

 

 その鬼気迫る態度に、ブレイブが本気であることを悟ったのだ。

 

「1週間後、ミッドカンパニーで貴様を待つ」

 

「……正々堂々一騎打ちを望んでいるのかもしれないけど、夢人君だけを戦わせると思ってるの」

 

「……そうですよ。あなたの相手はボク達もいるんですから」

 

「1度に何人相手にしようと同じ事だ。俺はただ、勇者と決着をつけるだけだ」

 

 ブレイブはそれだけ言うと、夢人達に背を向けて歩き始めた。

 

「ま、待ちなさいよ!? あなた欠片をどうする気なの!?」

 

「これは俺が預かっておく。貴様らが勝てば、俺が持っている欠片も全部渡してやる」

 

「ブレイブ・ザ・ハード!!」

 

「話はそれだけだ……これ以上、貴様らと話す言葉などない」

 

 夢人達がどれだけ叫ぼうが、ブレイブはただ夢人達に背を向けて歩いていってしまった。

 

 追おうと思えば追える早さなのに、夢人達はその背を追うことができなかった。

 

 その背が完全に見えなくなるまで、夢人達は動けなかったのである。

 

 

*     *     *

 

 

「……話はわかった。馬鹿正直に夢人君1人で戦う必要なんてないよ」

 

 ラステイションの教会に帰ってきた夢人達は、ケイにセプテントリゾートであったことを全て話した。

 

「むしろ、犯罪組織が夢人君を警戒している可能性も充分に考えられる。なんて言っても、夢人君の体の中にはアカリさんがいるんだからね」

 

「……ブレイブ・ザ・ハードの目的は、『再誕』の女神ってことね」

 

 ノワールはケイの推測に納得した。

 

 わざわざ夢人を指名したのは、犯罪組織にとって『再誕』の女神が邪魔な存在であると考えた方が普通なのである。

 

 ノワールから見た夢人は、普通の人間だ。

 

 そんな相手を幹部が自ら出向いて戦う理由などないのだから。

 

「僕はこれから他の国にもこのことを連絡してこよう。幸い、1週間後なら時間的余裕も充分にある」

 

「そうね。それだけ時間があれば、私達全員でアイツと戦えるわ」

 

 いくらブレイブが強くても、女神全員で相手をすれば倒せるに違いない。

 

 ジャッジとブレイブで力量差があろうとも、ノワールはそう考えていた。

 

「ん? そう言えば、ユニと夢人君はどこに行ったんだい?」

 

 ケイは報告に来たのが、夢人とユニを除く3人だと言うことを疑問に思い尋ねた。

 

「あの2人とは途中で別れたわ。何でも、ユニが夢人に話したいことがあるらしいのよ」

 

 

*     *     *

 

 

 ノワール達がケイに報告している時、夢人とユニは公園のベンチに並んで座っていた。

 

 すでに日は沈み、空には星が輝いていた。

 

 2人の間に会話はなく、夢人は上を見上げ、ユニは俯いたまま黙っていた。

 

 2人ともセプテントリゾートで出会ったブレイブの言葉を考えていたのである。

 

 そんな中、夢人が意を決してユニに何かを話そうと口を開いた。

 

「ユニ、あのさ……」

 

「……わかってるよ」

 

「俺……って、え?」

 

 夢人はまさか言葉を遮られるとは思っていなかったため、目を見開き驚いてしまった。

 

 そんな夢人に、ユニは柔らかくはにかんだ。

 

「ブレイブ・ザ・ハードとの決着……1人でつけるつもりでしょ?」

 

「なっ!?」

 

 夢人は自分が言おうとした言葉をユニに言われてしまい、さらに驚き体を仰け反らした。

 

 その様子がおかしかったのか、ユニは目を細めて口元を緩めて笑いだした。

 

「ふふ、そんなに驚くことないじゃない。アタシは別に夢人のことを止めようだなんて思ってないわ」

 

「へ? それって、どういうこと?」

 

 夢人はてっきり止められると思っていた。

 

 夢人から見ても、ブレイブと1対1で戦うなんて馬鹿げている。

 

 それなのに、ユニはそれを笑いながら止めないと言うのだ。

 

「アタシわかっちゃったのよ。どうしてアンタがここであんなことを話したのか」

 

「それって、昼間のことか?」

 

「そう、今ならよくわかる。アンタがどんな気持ちであんなことを話したのかもね。ブレイブ・ザ・ハードの顔見て、全部納得しちゃったわ」

 

 夢人は隣で笑うユニの言葉の意味がわからず困惑した。

 

 ユニがなにを納得したのかがわからないのである。

 

「昼間の話の続きをするわ」

 

「お、おう」

 

 笑っていたと思えば、すぐにユニは顔を引き締めてまっすぐに夢人を見つめた。

 

 夢人も急な変化に驚きはしたが、まっすぐにユニを見返した。

 

「夢人、アンタもアタシやブレイブ・ザ・ハードと同じ……機械のようになろうとしたことがあったのね」




という訳で、今回はここまで!
ゆっくり執筆させていただきますので、多分明日も投稿できるかどうか。
予定としては今回よりも多い文量になりそうなので、ちょっと不安です。
喉飴を舐めながら頑張りますね。
それでは、 次回 「3つの戦い」 をお楽しみに!

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