超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
少しずつ書いていたら出来上がったので、投稿いたします。
これでこの章も本当におしまいです。
それでは、 帰ってきた女神通信(パープルハート編) はじまります


帰ってきた女神通信(パープルハート編)

 待たせたわね、今回の帰ってきた女神通信を担当する、女神パープルハートよ。

 

 今回の話は、ベールの誘いを受けてバカンスを楽しんでいたわたし達のわたし視点での話よ。

 

 ゆっくり休むはずの休息が、大変な事態になったわね。

 

 特に、あいちゃんとゆっくんの……って、何、ゆっくん?

 

 毛布? 空調が効いているから必要ないと思うのだけど?

 

 ……なんだかわからないけど、これをかけていればいいのね?

 

 それにしても、今回はちょっとおかしな視点になるわね。

 

 『変身』する前のわたしでも、この視点で話をするのでしょ?

 

 まあ、やってみるしかないわね。

 

 それでは、 帰ってきた女神通信 パープルハート編 始めるわ。

 

 

*     *     *

 

 

 わたし達は、ベールの誘いを受けてリーンボックスのリゾートアイラン島にやってきたわ。

 

 それで、皆で早速海へと遊びに出かけようとしたのよ。

 

 水着は全てベールが用意してくれていた。

 

 元々リゾート地予定として計画されていただけあって、多種多様の水着が用意されていたわ。

 

 わたしは可愛くひらひらしている水着を選んだわ。

 

 ……これが『変身』後、つまり、わたしの状態だったらビキニが似合うできる女としてビーチに降り立つことができたのに。

 

 まあ、そんなこと言っていても仕方ないわね。

 

「ロムちゃんとラムちゃんには、こちらを用意してありますわ」

 

「これ?」

 

「あ、わたし達の名前がある」

 

「そうですわ。スクール水着と言って、お2人ぐらいの年頃の女の子が着る水着なんですわよ」

 

 いや、確かに2人には似合うと思うのだけれど、そのチョイスはちょっとどうかと思うわよ。

 

 せっかくの海なんだし、もっと自由に選ばせてあげても……

 

「……おい、ベール、テメェこれはどういう意味だ?」

 

「あらあら、どうかしましたか?」

 

「どうしたもこうしたも……何でわたしの水着までスクール水着なんだよ!!」

 

 ブランが水着を握りしめて、ベールを睨んでいる。

 

 おそらく握られている水着には、ロムちゃんとラムちゃんと同じように『ぶらん』って書かれた布が縫い付けられているのだろう。

 

「別にいいではありませんか? よくお似合いだと思いますよ?」

 

「テメェ!! それはあれか!! わたしが幼児体型だとでも言いたいのか!!」

 

「そんなことは言っていませんわよ。ただお2人とおそろいのものを用意しただけですわ」

 

「嘘つけ!! だったら、何でわざわざ腕組んでんだよ!!」

 

 ベールはブランを挑発するように、わざと腕を組んで胸を強調していた。

 

 これは明らかにからかっているわね。

 

 ブランの気持ちはよくわかるわ。

 

 わたしも『変身』前だと、ブランとどっこいどっこいの体型ですものね。

 

 わたしにもスクール水着が用意されていたかもしれないと考えると、まったく笑えないわ。

 

「ベール姉さん、意地悪しちゃダメだよ」

 

「い、意地わるなんてしていませんわ!? これは冗談ですわよ!?」

 

「本当? 嘘ついてない?」

 

「……ごめんなさい」

 

 後ろからやってきたナナハちゃんにジト目で見られて、ベールは観念して項垂れてしまった。

 

 ベールは本当にナナハちゃんに弱いわね。

 

 まあ、あんなに溺愛しているんだし、当然かしら。

 

「お姉ちゃん、これどう?」

 

「わたし達がお姉ちゃんに似合いそうな水着探してきたんだよ」

 

「あ、ありがとう……うん、これにしようかしら」

 

 ブランの方は、ロムちゃんとラムちゃんが水着を持って来てくれたで事なきを得たわね。

 

 2人が持ってきた水着は、わたしと同じような感じの水着ね。

 

 でも、特徴的なリボンがあるわ。

 

 普段帽子をかぶっているブランだし、ああ言う大きめのリボンは似合いそうね。

 

 ……っと、そんなことよりも、わたしも早く着替えないと。

 

「まだ着替え終わってなかったの?」

 

 わたしが着替えようとした時、水着に着替え終えたノワールが近づいてきた。

 

 ノワールは青いビキニ……って、あれ?

 

「ん? どうかしたの?」

 

 わたしはノワールが着ている水着に違和感を感じた。

 

 何かがおかしい。けど、その違和感の正体がわからない。

 

 わたしがノワールを凝視していると、ノワールは何を勘違いしたのか上機嫌でわざとらしくポーズを取り始めた。

 

「そんなにジロジロ……って、ははーん。さては、私のこのスタイルに見とれていたのね」

 

「お姉ちゃん? 何やってるの?」

 

「ネプテューヌが熱い視線を送ってくるものだから、ちょっとサービスしてやってるのよ。私も捨てたものじゃないわね。このウエストの引きしまり具合も、日頃の努力の賜物……」

 

「って、お姉ちゃん!? それ、逆だよ!?」

 

「へ? 逆……っ!?」

 

 ユニちゃんが慌てて指摘すると、ノワールの顔が一気に赤く染まった。

 

 ああ! そうか、逆だったのね!

 

 喉の奥に挟まっていた何かが取れたように、わたしの中の疑問も解消したわ。

 

「い、いやああああああああ!? それを早く言ってよ!?」

 

 恥ずかしくなったノワールは、急いで奥へと走って行った。

 

 あんなに自信満々にスタイルを自慢していたんだから、恥ずかしさも倍増しているだろう。

 

 今度から水着を逆に着ることをノワスタイルって呼ぶことにしようかしら。

 

 ノワルンスタイルとは違った、ノワールの恥ずかしい思い出のでき上がりね。

 

「ママ? どうしてぐるぐるまきなの?」

 

「え、ええとね。それは、その……」

 

 着替え終えて他の皆を待っていると、タオルで体を隠していたネプギアを不思議に思っているアカリちゃんの姿を見つけた。

 

「およがないの?」

 

「お、泳ぐよ。で、でも……」

 

 ネプギアは何を恥ずかしがってるのかしらね。

 

 大方ゆっくんに水着姿を見られることが恥ずかしいのだろうけど、そんな恥ずかしいことなのかしら?

 

 あの様子だと、まだタオルを外すのに時間がかかりそうね。

 

 それじゃ、先にゆっくん達の所に行くとしましょうかね。

 

 

*     *     *

 

 

 わたし達は、ゆっくんをあいちゃんが追いかける姿を見つけて、こっそりついていくことにした。

 

 特にわたしとコンパとベールは、あいちゃんがゆっくんのことを好きだってことを知っている。

 

 本人は頑なに否定していたが、あんなに優しい顔でゆっくんのことを語り、わたし達が追求すると真っ赤になったのだ。

 

 これはもしかして、と思って後をつけていたのだけれど、事態はわたし達が考えているような甘い雰囲気とはかけ離れていた。

 

 あいちゃんが泣きそうな顔でゆっくんに向かって叫び続け、ゆっくんはあいちゃんから視線をそらさず、まっすぐに見つめてそれに応えていた。

 

 そわそわしていたネプギア達も2人の会話、いえ、問答を聞いているうちに静かになってしまった。

 

 誰もゆっくんの決意に、何も言えなくなってしまっていたのだ。

 

 優しくなる、か。

 

 ゆっくんの言っていることは、簡単にできることであり、簡単にできないことでもある。

 

 人は簡単に他人に優しくなれたりしない。

 

 それは、女神であっても同じ。

 

 今はこうして仲良しなわたし達であるが、最初はそうではなかった。

 

 シェアを競い合うため、時には直接剣を交えたこともある。

 

 優しくなると言うのは、相手のことを知らなければできないことなのだ。

 

 わたし達は互いに傷つけ争うことで、仲を深めて互いを知ることができた。

 

 それなりにわたしもゆっくんと一緒に居て、彼の人となりを知っているつもりだったが、そんなことを考えているとは思わなかった。

 

 ……いや、ワンちゃんに残っていた記録映像にその片鱗があった気がする。

 

 ゆっくんは、記録映像で一言も恨み事を言わなかった。

 

 むしろ、皆に感謝の言葉を送っていたのだ。

 

 こうして改めてゆっくんの本音を聞くと、あの言葉が取り繕われた嘘の言葉でないことがよくわかる。

 

 優しくされた分だけ優しくなる、それはわたし達女神と人間の関係によく似ている。

 

 女神を信じてくれる人達のために、わたし達も頑張ることができるのだから。

 

 ゆっくんはどうしてその考えに至ったのだろう?

 

 わたしは聞いてみたくなった。

 

 そうすれば、わたしはもっとゆっくんのことが知れて、優しくなることができるだろう。

 

 ゆっくんの目指す理想は、わたしの目指す理想に似ている。

 

 どちらも優しい世界だ。

 

 自分にだけじゃない。他人に優しくなれる優しい世界なんだ。

 

 わたしが目指す、皆が笑顔で明日を迎えられる世界も一緒。

 

 今度聞いてみましょう。

 

 それがきっと理想を現実に変える最初の一歩になるのだから。

 

 

*     *     *

 

 

「では、実験ですの。まずは、氷のナイフを作って欲しいですの」

 

「わかった」

 

 ジャッジ・ザ・ハードを退けたわたし達は、ゆっくんを囲んでとある実験をしている。

 

 ゆっくんは手のひらに氷のナイフを作り上げ、シートに乗せられていたスイカを斬ろうとした。

 

 しかし、氷のナイフはスイカに当たった瞬間砕け散ってしまう。

 

「次は、アイス・エッジ・ソードですの」

 

「おう」

 

 ゆっくんは、今度は自分の腕を凍らせて氷の刃を作り上げた。

 

 戦ってた時も思ったけど、あれって冷たくないのかしら?

 

 氷の刃がスイカに当たると、綺麗に真っ二つに斬れた。

 

 しかも、下に敷いてあったシートごと。

 

「……ようやくわかったですの。夢人がどうして魔法を失敗させていたのかが」

 

「どういうこと?」

 

「ノワール様がB.H.C.を多量摂取した時に気付けばよかったですの。夢人にとって、魔法は失敗するものだっただけですの」

 

 ゆっくんにとって、魔法は失敗するもの?

 

 それとノワルンがどう関係しているのだろうか?

 

「夢人は失敗魔法に慣れ過ぎたですの。だから、夢人にとって魔法とは失敗すると言うイメージで固定されていたんですの」

 

「つまり、夢人にとって魔法は体を傷つけるものだったと言うわけね」

 

「……あのさ、本人を前にそんなこと言わないでくれる? 俺は体を傷つけて喜ぶ趣味なんてないぞ」

 

 がすととあいちゃんの見解に、ゆっくんは微妙な顔をしてしまった。

 

 ノワールはノワルンにならなかったけど、ゆっくんの魔法は失敗が正常になってしまったってことでいいのよね?

 

 何かややこしいわね。

 

 失敗が正常で、成功が異常って。

 

「しかも、先ほどの様子を見る限り、魔法の威力も上がっているですの。使ってみてどう感じるですの?」

 

「うーん、少し重くなった? 前に使ってた時よりも、腕が冷たく感じるし」

 

「それは仕方ないですの。今までの夢人の魔法は、あくまでアカリが使っていたものが表面に漏れていただけですの。でも、今の魔法は全部出ている状態ですの」

 

「つまり、今の状態が本来の形ってわけなのか?」

 

「そうですの。重く感じたり、冷たく感じるのは、アカリの補助がなくなったせいでもあるですの」

 

 えーと、原理はよくわからないけど、とりあえずゆっくんの魔法は威力が上がったでいいのかしら?

 

 わたしなりの解釈だけど、ゆっくんが魔法を使う時はSPを消費するのではなく、HPを消費して使うわけね。

 

 しかも、消費するHPが増えたために威力が上がった、と。

 

 あら? 威力が上がったから消費するHPが上がったのかしら?

 

 まあ、どちらでも変わりはないわね。

 

 とにかく、ゆっくんが魔法を使えるようになったことを喜びましょう。

 

 ずっと悩んでいた悩みが解決して、ゆっくんも笑っているし……

 

「夢人さんの魔法が使えるようなったのはいいのですが……これは困りましたね」

 

 ベールがわたし達が敢えて無視していたことを指摘した。

 

 ……実は、戦闘をしたことで海岸が酷い状態になっているのだ。

 

 爆発によって焦げたり抉れたりした砂浜の現状は、どう見てもリゾートには適さない。

 

 これじゃ、バカンスどころじゃないわね。

 

「これでは、もうリゾート計画自体も無くなってしまいますわね」

 

 それは本当に悪いことをしたと思う。

 

 いくら犯罪組織の幹部相手に手加減できなかったとはいえ、もう少しやりようがあったのかもしれない。

 

「もうあそべないの?」

 

「ええ、残念ですが、今日はお開きに……」

 

「いや!! もっとあそびたい!!」

 

 アカリちゃんが珍しく駄々をこねている。

 

 よほど海での遊びが気にいったらしい。

 

 でも、この状況じゃ仕方ないわね。

 

「ここがなおれば、もっとあそべる?」

 

「え、ええ。ですが、こんな風に荒れてしまっては……」

 

「だったら、なおす!! うううぅぅぅにゅうううぅぅぅ!!」

 

 突然、アカリちゃんが光だしたと思うと、光がどんどんと広がって行く。

 

 すると、荒れ放題になっていた砂浜が元の綺麗な形へと戻って行くではないか。

 

 しかも、変化はわたし達にも起こった。

 

「ね、ねぷっ!? 『変身』が解けちゃった!?」

 

「ど、どうなってるのよ!?」

 

 わたし達の『変身』が解けてしまったのだ。

 

 やはり、アカリちゃんの欠片、『再誕』の力がわたし達女神に何らかの影響を及ぼすのだろうか?

 

「何をやっているんですの?」

 

「私達は何ともないんだけど」

 

 わたし達が元に戻っている中で、ベールとナナハちゃんだけが『変身』した姿のままでいた。

 

 どうなっているの?

 

 何で2人だけが元に戻らないのだろう。

 

 そんなことを考えているうちに、海岸が完全に元の姿を取り戻した。

 

「くひっ、これで……また……あそべ……くぴー」

 

 光が収まると、アカリちゃんは疲れてしまったのか眠ってしまったのだ。

 

 きっと今の現象が、世界を修復するってこと。

 

 『再誕』の力の本当の意味なのだろう。

 

 わたし達は初めてアカリちゃんの本当の力の使い方を目の当たりにしたのだ。

 

 

*     *     *

 

 

 結局、あの後アカリちゃんが起きた頃には、日が沈んでしまったため、泳ぐことはできなかったのよね。

 

 でも、アカリちゃんもスイカを食べたり、貝殻を拾ったりと満足したみたいでよかったわ。

 

 ……それにしても、あれが『再誕』の力なのね。

 

 世界を修復する力、なんて眉唾ものだったけど、目の当たりにするとよくわかったわ。

 

 ゲイムギョウ界中をああいう風に修復していかなくてはいけないのよね。

 

 今回はアカリちゃんのきまぐれだったかもしれないけど、わたし達はゲイムギョウ界を救うためにアカリちゃんの力を借りなければいけない。

 

 そのために早く欠片を集めることしか、わたし達にはできない。

 

 アカリちゃんだけに一番大事なことを任せてしまうことは、本当に辛い。

 

 わたしにもその力が使えれば、アカリちゃんはただの赤ちゃんとして笑っていられるのに……

 

 休息を終えたわたし達は、これから本格的に犯罪組織と対峙する。

 

 捕らえられた屈辱、ゲイムギョウ界を好き勝手してくれたお礼をしっかりとしてあげないとね。

 

 

 …………

 

 

 撮影は終わったのね。

 

 でも、本当に情けないわ。

 

 いくらアカリちゃんが『再誕』の女神と言っても、わたし達にとっては可愛らしい赤ちゃんと同じなんだから。

 

 そんな子に全てを任せることしかできない、自分の無力さが悔しい。

 

 ……そうね、わたし達もわたし達にできることをしていくしかないわね。

 

 互いに手をつないで前に進む、そう言うことよね。

 

 励ましてくれてありがとう、ゆっくん。

 

 ……それにしても、『変身』前と後で態度が変わり過ぎじゃないかしら?

 

 何でそんなに態度が変わるのかしら?

 

 ……まあ、話したくないのならいいわ。

 

 でも、そんな風に態度を変えないでちょうだい。

 

 この姿も、元の姿も、どちらもわたしなんだから。

 

 ただそのギャップが激しいだけなのよ。

 

 ……っと、ここで次回からの女神通信の連絡事項があるのね。

 

 次回からは、またタイトルが変更されるのね。

 

 それで、今度はまたネプギア達が担当するの?

 

 またわたし達?

 

 次回が誰になるかはわからないけど、わたし達が担当するのね。

 

 それじゃ、とりあえず、ゆっくんもお疲れさま。

 

 これからもゲイムギョウ界の明日のために、お互い頑張りましょうね。




という訳で、今回はここまで!
次回から新章が始まりますが、ようやく最終決戦に向けて進み始めます。
と言っても、少なくとも4章以上は続くのですが。
次章からは本編5話に女神通信を入れた6話構成で作成していきます。
次回からもお楽しみに。
それでは、 次回 「目指すもの」 をお楽しみに!

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