超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
本日の投稿を開始しますよ
今回からは ラステイション編 となっておりますが…
この話ではまだプラネテューヌにいます
いきなりのタイトル詐欺と思われても前回のあとがきに書いたサブタイは変えたくないのでこのままにしますね
一応、ラステイションへ行くと言ってるからセーフセーフ?
それでは、 いざ!ラステイションへ はじまります
いざ!ラステイションへ
バーチャフォレストの奥地でゲイムキャラを発見した夢人達。
しかし、ゲイムキャラはマジェコンヌに発見されていた。
ゲイムキャラを破壊しようとしていたマジェコンヌ構成員のリンダと戦闘になった。
しかし、リンダはマジェコンヌのシェアの力を使い、夢人達を圧倒する。
そんな中、ネプギアは自分の中にある女神の力の理由を見つけ出すことで『変身』が再びできるようになった。
女神の力を取り戻したネプギアの活躍により、リンダを倒した夢人達はゲイムキャラを救いだすことに成功したのであった。
* * *
ネプギアは白い《ライラック型》のプロセッサを身にまとい、いつもの淡いピンク色の髪も光り輝いているように見えた。
瞳の色も水色に変わっており、より神秘的な雰囲気を出している。
そんなネプギアは夢人の顔を見ながら話した。
「男の子を助けるのもいつだって女の子なんですよ」
言葉とともに救出されてから一番の笑顔を夢人に向けるネプギア。
そんなネプギアの笑顔を見た夢人は顔が熱くなるのを感じた。
(か、かわいい!)
夢人の体全体に衝撃が走ったように感じた。
確かにネプギアとは初日以外、一緒に行動した日がなく、アイエフやコンパ、ましてはイワよりも付き合いは短いであろう。
しかし、目の前のネプギアの姿を見て夢人は自分が生まれてから初めての衝動にかられてしまっていた。
心臓の音が相手にも聞こえてしまうのではないかと思うぐらいに鳴り響く。
夢人は自分の心をごまかすことができないでいた。
(この気持ち……まさに、愛だ!!)
男御波夢人、異世界にて春の訪れを感じずには居られなかった……
* * *
その後、『変身』を解除したネプギアにアイエフとコンパが駆け寄った。
「やったじゃない! ネプギア! また『変身』できるようになってよかったじゃない!」
「よかったです、ギアちゃん! 今日は、帰ったらごちそうを食べましょう!」
アイエフとコンパはまるで自分の事のようにネプギアが『変身』できたことを喜んだ。
「ありがとうございます! でも、私が『変身』できたのは皆さんのおかげです!」
ネプギア自身も『変身』できたことは嬉しいが、それ以上に女神を信じてくれている人達がいることが嬉しかった。
目の前のアイエフやコンパ、夢人はもちろん、ゲイムギョウ界に住んでいる女神を信じてくれている人達のためにも女神の力を使っていこうと再び決意した。
「でも、本当によかったわ……一時は、どうなるかと思ったもの」
アイエフはネプギアにお礼を言われて照れくさくなり、話題を変えようとした。
「そうです……これもあの下っ端さんの言う通り、女神のシェアが下がっているのでしょうか」
コンパも不安そうに言葉を漏らす。
〔……その通りです〕
すると、コンパの言葉に誰かが反応した。
「ひゃっ!? だ、誰です!?」
まさか、自分の疑問に誰かが応えてくれるとは思っていなかったコンパは驚いてしまった。
〔驚かせてしまってすいません〕
ネプギア達の目の前にはゲイムキャラのディスクが光を放ちながら浮かび上がった。
「もしかして、ゲイムキャラさんですか!?」
ネプギアは驚いて尋ねた。
〔その通りですよ、プラネテューヌの女神候補生……私がプラネテューヌのゲイムキャラです〕
ネプギアの質問にゲイムキャラは応える。
「あ、あの、その、えっと、私達ゲイムキャラさんにお願いしたいことがあって……」
ネプギアは慌ててゲイムキャラに力を貸してもらえないかと尋ねようとする。
〔説明には及びませんよ……私は今の戦闘を見て、ゲイムギョウ界の現状を理解しました〕
ネプギアの言葉をさえぎり、ゲイムキャラは言葉を続ける。
〔本来であれば、目覚めることのない私達ゲイムキャラが目覚めているということ自体、ゲイムギョウ界に危機が訪れている証拠なのです〕
ゲイムキャラは自身の体であるディスクを回転させた。
すると、ネプギアの目の前に光が集まって来た。
「え!? これは一体!?」
突然の事態にネプギアは慌てる。
〔大丈夫ですよ〕
ネプギアを安心させようとゲイムキャラは語りかけた。
〔私自身は動くことはできませんが、私の力をあなた達に託します……どうかゲイムギョウ界を救ってください〕
光はやがて1枚のディスクへと変化した。
「これは?」
〔それは『パープルディスク』……ここプラネテューヌの力の結晶です〕
ネプギアは『パープルディスク』を手に取った。
〔ゲイムギョウ界をよろしくお願いします〕
「……はい! 必ずゲイムギョウ界を救って見せます!!」
ゲイムキャラのゲイムギョウ界を救ってほしいという願いにネプギアは力強く頷き決意を言葉にした。
「やったわね。これでゲイムギョウ界を救うための第一歩を踏み出せたわ!」
「やったです!」
アイエフとコンパもそのことに喜びを隠せずにいた。
〔……ところで、そちらの男性はもしかして『シェアクリスタル』によって呼び出された勇者ですか?〕
ゲイムキャラは今まで黙っていた夢人に向き直り尋ねた。
「そうですよ、この方は御波夢人さんです」
「……」
「……夢人さん?」
ネプギアが紹介したにもかかわらず、夢人はただ呆けていた。
「……どうしたの、夢人? さっきから顔が赤いわよ?」
アイエフも夢人の様子が気になり、夢人に近寄った。
「おーい、おーい……ダメね、まるで反応がないわ」
アイエフが目の前で、手を振ってみても何の反応も示さない。
〔……彼は一体どうしたのでしょうか?〕
「さあ? 私達にもよくわからなく……」
ゲイムキャラの疑問にネプギアが応えている時……
「……仕方ないわね」
アイエフが夢人から少し距離を取った。
そんなアイエフの行動に疑問を持ったコンパが尋ねた。
「あいちゃん? どうするですか?」
「こうするのよ! さっさと起きろ! このバカ!!」
コンパの疑問に行動で示すアイエフ。
彼女は助走をつけて夢人のお腹を蹴り飛ばした。
「ぐはぁ!!」
その衝撃によって夢人は吹き飛ばされ、地面に転がっていく。
「アイエフさん!? いくらなんでもそれは……」
アイエフの行動に驚き、目を白黒させるネプギア。
「今ぐらいしないと気付かないでしょ? ほら、さっさと起きろ!」
地面に転がった夢人の襟をつかみ、立ち上がらせるアイエフ。
「ちょ!? 締まってる!? 締まってる!?」
そのことでようやく意識が戻って来た夢人はアイエフの腕を叩き、ギブアップのサインを送る。
「最初から集中してなさいよ! まったく……」
その言葉を聞き、アイエフは夢人を解放した。
「ゴホ! ゴホ!」
夢人はせき込みながらもネプギア達に近づく。
〔……あなたが『シェアクリスタル』によって呼ばれた勇者ですか?〕
「……一応、そうだぜ……まあ、まったくその力が使えないんだがな」
ゲイムキャラの質問に不機嫌そうに返す。
「まったく、ゲイムキャラに当たっても仕方ないでしょ」
アイエフはその姿を見て夢人がすねているように感じ呆れた。
〔それは当り前ですよ〕
しかし、ゲイムキャラは夢人が勇者の力を使えないのは当たり前だと言った。
「どうしてですか?」
コンパはゲイムキャラの言葉が気になり、質問した。
〔あなたの中に眠っている『シェアクリスタル』からまったく力を感じません……おそらく、『シェアクリスタル』自身の力がないからこそ、あなたは勇者の力が使えなかったのでしょう〕
コンパの疑問にゲイムキャラは応える。
そのゲイムキャラの言葉を聞いて夢人は慌ててゲイムキャラに近づく。
「そ、それじゃ! その力が回復すれば魔法が使えるんだな!?」
夢人は瞳を輝かせて尋ねた。
〔……時間で回復するものではありませんので……手を出してください〕
ゲイムキャラも夢人の行動に苦笑した雰囲気を出しながら夢人に手を出すように要求する。
「は、はい」
夢人は恐る恐る手をゲイムキャラへと伸ばしていく。
すると、先ほどと同じようにゲイムキャラが回転を開始し、夢人の手のひらに光が集まりだした。
「うお!? 何だ、こりゃ!?」
〔安心してください……それは、あなたの力になるものです〕
やがて、光は収まり夢人の手のひらから体に吸収されていった。
〔今あなたにプラネテューヌの力を授けました〕
「プラネテューヌの力って?」
ゲイムキャラの言う力がわからず、聞き返す夢人。
〔ゲイムギョウ界の大陸はそれぞれ属性の力を持っています……その中のプラネテューヌの力、火の力があなたに宿りました〕
「火の力……」
夢人は手のひらを見つめながら言葉を繰り返す。
〔これであなたは火の魔法を扱うことができるようになったはずですよ〕
夢人が魔法を使えるようになったことを伝えるが、夢人は黙ったままうつむいてしまう。
「夢人さん?」
夢人の様子を疑問に思ったネプギアは夢人の顔を覗き込もうとするが……
「いやったー! ついに、ついに魔法が使えるぞー!」
ネプギアが近づく前に夢人はその場でとび跳ねた。
「これで、ついに俺もまともに戦えるぞ!」
何度も何度もとび跳ねる夢人を見て苦笑するネプギア達。
〔……喜んでいただけて嬉しいです……それでは、私は再び眠りにつきたいと思います〕
夢人達に力を託したゲイムキャラは再び眠りにつこうとしていた。
「え!? どうしてですか?」
コンパは突然の発言に聞き返した。
〔あなた達に渡した力で、私にはもう力が残っていないのです……ですから、再び眠りにつき、力を蓄えようと思います〕
コンパの疑問にゲイムキャラは応える。
すると、ゲイムキャラは光を放ちながら消えていく。
〔ゲイムギョウ界をよろしくお願いします〕
その言葉を残して、ゲイムキャラは光と共に消えてしまった。
「……眠りについたのね」
アイエフは光が収まったことことを見てそうつぶやいた。
「……さあ、いつまでもこんなところに居ないでプラネテューヌに帰るわよ」
「そうです! 今日はギアちゃんのリハビリ完了のお祝いです!」
アイエフに続き、コンパもプラネテューヌに帰ろうとする。
「私達も行きましょう、夢人さん」
ネプギアは夢人に笑いかけながら手を握りしめ、夢人を引っ張るように歩き始めた。
「な!? いきなり手をつなぐなんて!? まだ順序と言ったものが!?」
ネプギアに手を握られて顔が一気に赤く染まり、まともに思考することができなくなった夢人。
「え? 手をつなぐのはいやですか?」
夢人の状態に気づかず、ネプギアは小首をかしげながら尋ねた。
「大丈夫です! オールオッケーさ! アハハ!」
繋がられていない方の手で頭をかきながら照れ隠しで大声で返答する。
そんな夢人を疑問に思いながらもネプギアは笑いながら手を引っ張る。
このパーティーにあった最初の気まずさなどなかったかのように彼らはプラネテューヌへと帰還した。
* * *
プラネテューヌの教会
そこで、夢人達はゲイムキャラの協力を得られたことをイストワ―ルに報告していた。
「そうですか、無事ゲイムキャラの協力は得られたようでよかったです」
その報告を聞いてイストワ―ルは安心したように笑みを浮かべた。
「はい、それに加えてネプギアが女神の力を使うことができるようになりました」
アイエフは続けてイストワ―ルへと報告する。
「まあ! それは本当によかったです! ネプギアさんもとても良い顔になっていると思ったのですが、女神の力を取り戻したのですね!」
ネプギアが女神の力を取り戻したことをイストワ―ルもアイエフ達と同様に喜んだ。
その姿を見てネプギアは自分が悩んでいたことが馬鹿らしく思ってしまった。
「ありがとうございます! でも、女神の力を取り戻せたのは夢人さんや皆さんがいたからです」
本当に喜んでくれているイストワ―ルの姿を見てネプギアも嬉しくなりながら言葉を続ける。
「夢人さん……ですか?」
イストワ―ルはネプギアの口から勇者さまではなく、夢人という名前で呼んでいることに驚きを感じた。
彼女は絶対に名前では呼ばないと思っていたのである。
「はい! 私気付いたんです。夢人さんは夢人さんだって……」
「……そうですか」
嬉しそうに話すネプギアの姿を見て、イストワ―ルも優しく見守ることにした。
そして、話題の中心に居る夢人はと言うと……
「火か……どんな魔法を使えるんだろうなぁ……早く試したいぜ」
プラネテューヌに帰って来てからずっとどんな魔法を使おうかとイメージしていた。
「やっぱり、初級呪文っぽい奴が最初の方がいいよな……それは最上級呪文ではない、私の初級呪文だ、的な感じの奴が造れるんだろうなぁ……」
ニヤニヤしながら自分が魔法を使う姿を想像していた。
「……まったく、とらぬ狸のなんたらとならなければいいけどね」
アイエフはニヤつく夢人に対してそう言うが、夢人は気にした様子も見せず興奮して言葉を返した。
「だって魔法だぞ! 生まれてきてからずっと使えなかった未知の力が使えるようになるんだぜ! 興奮しないわけにはいかないだろ!」
20歳を超えている男には見えない程、はしゃぎ続ける夢人。
すると、部屋にコンパが台車に料理を載せながらやって来た。
「ご飯の支度ができたですよ。今日はおめでたい日なのでごちそうなのですよ」
コンパはごちそうと言うにふさわしいほど多くの料理を次々と机に並べていく。
「そうですね、今日のところはお祝いしましょう」
イストワ―ルも料理を見て、今日がめでたい日であることに違いないと納得した。
ネプギアの女神の力の復活
ゲイムキャラの協力
夢人の勇者の力の覚醒
3つもめでたいことがあるのだ。
「それじゃ、ネプギアに何か一言いってもらいましょうか?」
アイエフは場の空気に便乗してネプギアに決意表明的なことを言ってもらおうとする。
「わ、私ですか!? 夢人さんじゃないんですか!?」
自分がそんなことするだなんて思ってもみなかったネプギアは慌てて夢人へと話題を振った。
「いいや、今回の主役はネプギアだろ? なら、ネプギアに俺達の目標を言ってもらいたいな」
夢人もアイエフの意図に気づいてネプギアに言ってもらおうとする。
「ギアちゃん、頑張るですよ」
コンパも笑顔でネプギアに言ってもらおうとする。
ちなみに、彼女はアイエフ達の意図には気づいておらず、純粋に彼女に行ってもらいたいと思っていた。
「わ、わかりました……コホン!」
ネプギアは立ち上がり、皆を見ながら話し始めた。
「皆さんのおかげで私は女神の力の意味を知ることができました」
ネプギアはイストワ―ル、アイエフ、コンパ、夢人の順に顔を向けた後、目をつぶり左手を胸の前に持ってきた。
「私達女神を信じてくれる人達がいっぱいいることを私は『変身』をすることで知ることができました……でも、それを知ることができたのは今ここに居る皆さんのおかげです」
ネプギアは目を開き言葉を続ける。
「……私にできることなんてきっとそんなに多くありません……でも、私を、女神を信じてくれる人達のためにも、ゲイムギョウ界をマジェコンヌの支配から必ず救います」
そして、左手を4人に向けた。
「だから、私に力を貸してください。ゲイムギョウ界を救うために、私は皆さんと一緒に戦いたいです」
ネプギアは左手を少し震わせながら4人の反応を待つ。
「今さらよね……」
アイエフは苦笑しながらネプギアの左手に自分の手を重ねる。
「ですです。わたし達はもうパーティーなんですよ」
コンパも笑いながら手を重ねる。
「もちろん、私も協力します」
イストワ―ルも手を重ねた。
3人の手が重なるのをネプギアは感じた後、不安そうに夢人へと視線を向ける。
「……夢人さんは、どうですか……やっぱり……」
夢人が目をつぶって腕を組んでいる姿を見てネプギアは少し落ち込む。
「当たり前だろ? そんなことはもう聞かれなくてもわかってるものだと思ってたぜ」
夢人は目を開き、笑いながらネプギア達に手を重ねた。
「俺の答えはゲイムギョウ界に来た時に言った通りだよ」
ネプギアに笑顔を向けながら夢人は言う。
「俺もネプギア達と一緒に戦うさ……勇者としてではなく、俺、夢人としてな」
ネプギアはその言葉を聞いて目に涙をためながら笑顔で言った。
「皆さん! ありがとうございます!」
* * *
バーチャフォレスト
今ここに夢人達がいた。
理由は、夢人の魔法を見るためである。
夢人達はこれから他の大陸へ行き、ゲイムキャラの協力を得るための旅をしなければならない。
彼らの次の目的地はプラネテューヌから直行便で行けるラステイションに決まっていた。
そして、直行便の出発が明日だとわかると、夢人は魔法の練習をするためにネプギア達を伴ってバーチャフォレストへとやって来ていたのである。
「……それで、相手がスライヌとは……まったく」
明らかに夢人がスライヌに復讐するために魔法を使おうとしていることがわかり、アイエフは呆れ、ネプギアとコンパは苦笑していた。
「で、でも、夢人さんがどんな魔法を使うか気になりますよね?」
ネプギアは夢人をフォローしようとアイエフへと語りかける。
「まあ、そうだけど……あいつは何やってんの?」
夢人はバーチャフォレストに来てからずっと腕を組んで待っていたのである。
そんな姿を見てアイエフは疑問に思う。
「まるで、果たし合いの雰囲気です」
コンパもその場の雰囲気にのまれて緊張してしまいそうになりながら言う。
「……多分、待ってるんだと思います…夢人さんがずっとやられていたスライヌを」
ネプギアが言葉を続けると、草むらから一匹のスライヌが夢人の前へとやって来た。
「ヌラ」
スライヌは夢人の姿に呆れたような顔をする。
しかし、夢人はそんなスライヌの様子をおかしそうに見る。
「ヌラ?」
スライヌは自分が馬鹿にされたのだと理解し、不機嫌そうに顔をゆがめる。
「……貴様の天下もここまでだ……俺がいつまでもお前にやられたままの俺でいると思うなよ」
夢人はそう言うと、ゆっくりとスライヌに向かって構えだす。
スライヌも夢人のそのただならぬ様子に警戒を表しながら、夢人の出方をうかがう。
そんな様子を見ているネプギア達は……
「……これって、スライヌとの戦いなのよね?」
「……ええ、そうですよ」
「……こっちまで緊張してきたです」
アイエフは呆れ、ネプギアとコンパは夢人達の緊張が伝わったのか真剣な表情のまま固唾をのんで状況を見ている。
「……ばかばかしい」
アイエフは一言そう言った。
やがて、近くの木から1羽の鳥が飛び立つと同時に夢人は魔法を使おうと魔力を右手に集中した。
「ヌラ?!」
夢人が今まで一度も使ったことのない魔力を感じ、驚きの声をあげるスライヌ。
「くらえ! これが俺の!?」
夢人はそのまま魔力を火に変換してスライヌに向けて飛ばそうとした。
しかし、その火はスライヌへと向かう前に夢人の右手を燃やし始めた。
「熱いいいいい!!」
まさか自分の魔法で自分の手が燃えてしまうことになるとは思わず、地面を転がりながら何とか火を消すことに成功する。
その場面を見たネプギア達は固まってしまう。
「……魔法って、自分にもダメージがあるんでしたっけ?」
「……どうなんですか?」
「そんなわけあるわけないでしょ!」
夢人のギャグのような魔法の使い方にアイエフは思わず叫んでしまった。
「バカ夢人! まじめにやりなさいよ!」
夢人のその無様な姿にアイエフは叫ぶ。
「ちょっと、失敗しただけだって、心配すんなよ」
夢人はそうは言うが、頬はひきつり、冷や汗をかいてしまっていた。
「あの……無理はしない方がいいんじゃないでしょうか?」
ネプギアはそんな夢人の様子を見て苦笑しながらやめることを提案する。
「いいや! 絶対に成功させて見せるさ! 見ててくれ、ネプギア!これが俺の本気の本気だ!!」
ネプギアにこれ以上情けない姿を見せたくない夢人は気合いを入れて魔力を放出しようとした。
夢人の膨大な魔力が炎に変わり、燃え上がる。
「うおおおおお!?」
そんな膨大な魔力を操れるわけがなく。
「熱いいいいい!?」
今度は全身に燃え移り、必死に地面を転がりながら火を消そうとする。
「あー……」
そんな様子が予想できていたアイエフは呆れた目で夢人を見た。
「ゆ、夢人さん!?」
「治療の準備はしてあるから大丈夫ですよ、ギアちゃん」
ネプギアはそんな夢人の姿に悲鳴をあげ、コンパはネプギアをなだめるように夢人が負け前提で傷つくのがわかっていたので治療の用意を始める。
「こ、こんなはずでは……!?」
夢人は全身にやけどを負いながら、全身に燃え移った火を消し終え立ち上がろうとした瞬間に顔に衝撃を受けた。
「ヌラ!」
その慣れ親しんだ感触に夢人は意識を失ったのである。
「……先が思いやられるわ」
アイエフは気絶した夢人と彼に駆け寄るネプギアとコンパを見てため息をついた。
はい、今回の話はここまで
ようやく夢人君も覚醒して魔法(笑)を習得しましたね
彼が魔力をうまく操れないのは理由がありますが、それはまだまだ先のネタばれになってしまうのでここではお話しできません ゴメンネ! ゴメンネ!
さて、次はすでに場面がラステイションへと移っている予定です
道中の船か飛行機の中をかこうかと思ったのですが、これを書き出すとまた無駄に話数が増えて次回予告詐欺になってしまう可能性が高くなってしまいますので カット!
うーん、今日はまだ時間があるからできればもう1話0時頃にあげたいと思いますので、皆さんが好きなあの子が登場予定です
それでは次回 「孤高の努力家」 をお楽しみに