超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
今日から新章がはじまりますが、ノワルン反響凄すぎ。
ツンデレじゃなくても、世界一位さんはさすがだったわ。
それでは、 硫黄の香とともに はじまります


勇者の家族旅行、湯煙温泉大作戦
硫黄の香とともに


「ありがとうございました!」

 

 私達はお店を出て、商店街を歩いています。

 

「……ギアちゃん、これで必要なものは全部買い終わったですか?」

 

「はい、付き合ってくれてありがとうございました、コンパさん」

 

 私とコンパさんは、今日のお仕事を終えて街に買い物に出かけていた。

 

 本当はお姉ちゃんも一緒に買い物に行く予定だったんですが、書類仕事をさぼっていたせいでいーすんさんにお説教をされています。

 

 夢人さんとアイエフさんは朝から魔法の練習に出かけていたので、私達は2人で買い物に出かけました。

 

 何を買ったのかと言うと、夢人さん用の治療道具と今日の夕ご飯と朝ごはんの食材、そして……その……恋愛関係が載っている女性誌です。

 

 治療道具は、ここのところ毎日怪我を造って帰ってくる夢人さんのために買いました。

 

 魔法はちゃんと発動しているのに威力がまったくないので、毎回モンスターにやられているそうです。

 

 毎日ギルドで簡単なクエストを受けながら練習しているそうですが、原因がわからないため、一向に良くならないと聞きました。

 

 私も何か力になれないかと相談に乗ったりしているのですが、私自身、ロムちゃんやラムちゃんのように魔法が得意と言うわけではないので、話を聞くだけで上手くアドバイスもできないことが悔しく思います。

 

 だから、せめて怪我をして帰ってくる夢人さんの治療はしっかりとしてあげたい。

 

 夢人さんが魔法を、戦う力を取り戻せるまで何回でも挑戦できるように、私ができることはそれしかありません。

 

 でも、信じてます。

 

 夢人さんならできるって信じて待ってます。

 

 だって、約束しましたからね。

 

 一緒にゲイムギョウ界を救うって。

 

 次に、食材なんですけど、最近は少し料理の勉強をしているんです。

 

 今まではコンパさんが作ってくれたりしていたのですけど、やっぱり好きな人には自分の手料理を食べてもらいたいじゃないですか。

 

 料理はあまり得意じゃなかったので、今でも手先が危なっかしいと指摘されますが、少しずつコンパさんに教えてもらってます。

 

 今日もこれから練習です。

 

 だから、少し多めに食材を買ってるんですよ。

 

 失敗作は自分で食べて、上手く出来たものを食べてもらい、おいしいって言って欲しいですから。

 

 まだまだ未熟で食卓に並ぶ品は作れませんが、これからも頑張って練習していきます。

 

 そ、そして、最後に女性誌なんですけど……

 

 私、恋愛の経験がなくて、夢人さんが初恋の相手なんですけど、どうしていいんだかわからないんです。

 

 他の人の恋愛はどんな感じなのかな、って雑誌を立ち読みしたら、そ、その……エッチ、なことが大半でした。

 

 そ、その、初体験、がどうとか、か、回数がどうとか、避妊が……ううぅぅぅ、なんでこんなに生々しいの?

 

 私はどうすれば夢人さんと付き合えるのかの参考になればいいと思っていたのに、これじゃ、参考にならないよ。

 

 でも、これを読んで1つだけわかったことがある。

 

 ……私は夢人さんに意識されていない。

 

 自分で思ってて落ち込んでしまうが、私は夢人さんにそう言う対象として見られていないことがわかった。

 

 普通、男の人と女の人が一緒のベットに寝たら間違いを犯してしまう、ってこの雑誌には書いてあった。

 

 でも、夢人さんはただ眠るだけで、全然私に手を出してくれなかった。

 

 それどころか、自分が眠るために縛ってくれ、なんてお願いされてしまった。

 

 ……私って、魅力ないのかな。

 

 確かに、私はお姉ちゃん達やユニちゃん達に比べて地味な印象の子かもしれないよ。

 

 ナナハちゃんのように告白する勇気なんてないし、こんな地味で魅力のない私なんて……

 

「ギアちゃん? どうしたですか?」

 

「……え、あ、大丈夫ですよ。ちょっと考え事をしていただけですから」

 

 いけない、コンパさんに心配をかけてしまった。

 

 きっと考え事に夢中で顔が暗くなっていたんだろう。

 

 ……うん、暗いことばかり考えていても仕方ないよね。

 

 私もこの雑誌を読んで女子力アップを目指さなきゃ。

 

 私、女神の仕事も料理も恋愛も、全力で頑張ります!!

 

 

*     *     *

 

 

 私達が教会へ帰る道を歩いていると、何やら人だかりができているテントがあり、ベルの音が聞こえてきた。

 

「あれは何をやっているんでしょう?」

 

「福引きじゃないですか? さっき買い物した時に何枚か券をもらっていたはずです……えっと、3枚ですね」

 

 あ、そう言えば、私もコンパさんに隠れて雑誌を買った時に1枚もらってたな。

 

「せっかくですし、やっていきましょう」

 

「そうですね。取っておいてもしょうがないですから」

 

 私達は福引き待ちの列に並び、順番を待つことにしました。

 

 まあ、そんなに期待はしていないんですけどね。

 

 結局のところ、福引きは運次第ですし、特にこれと言って欲しい景品があるわけじゃないですから。

 

 そんなことを考えているうちに、私達の順番になった。

 

「3回お願いしますです」

 

「あ、すいません、コンパさん。もう1枚あるんです」

 

「あれ? ギアちゃん何を買ったんですか?」

 

「そ、それは……」

 

 い、言えない。

 

 こんな雑誌を買っただなんて言えないよぉ。

 

 コンパさんを疑うわけじゃないけど、もし私がこんな雑誌を買っただなんて夢人さんに知られたら、私の気持ちがバレちゃうかもしれない。

 

「まあ、いいです。それじゃ、4回お願いしますです」

 

「あいよ。それじゃ、4回回してくれや」

 

「それじゃ、2回ずつ回すですよ」

 

 そう言ってコンパさんは先にガラガラと球の入っている八角形の木の箱を回した。

 

 ……そう言えば、これってなんて言うんだろう?

 

 私はガラガラって音がするから、ガラガラって言ってるんだけど、正式な名称ってなんて言うんだろうな。

 

 私がそんなどうでもいいことを考えていると、箱から赤い球が2つ出てきた。

 

「残念、ポケットティッシュ2袋だね」

 

「うーん、残念です。次はギアちゃんの番ですよ」

 

「あ、はい、それじゃ、いきますね」

 

 どうせ私もコンパさんと同じポケットティッシュなんだろうな。

 

 私が箱を一回転させると、穴から赤い球が1つ飛び出した。

 

 ほらね、どうせもう一回回しても同じ色の球が……

 

 しかし、私の予想とは違い、金色の球が飛び出した。

 

 あれ? 金色? 金色って確か……

 

 私が奥に貼ってあった景品を確認するよりも早く、福引きの係員さんがベルを鳴らして大きな声で言った。

 

「大当たり! 特賞、温泉旅行だよ! おめでとう!」

 

「やったです! 特賞ですよ、ギアちゃん!」

 

「え? あ、はい? え?」

 

「これが特賞の一泊二日の温泉旅行だ」

 

 私が自分が特賞を当てたことを信じられず、呆けていると係員さんからしっかりと熨斗が付けられている分厚い袋を手渡された。

 

 温泉旅行……一泊二日……って、えええええ!?

 

 あ、当たっちゃったの!?

 

 ど、どどどどうしよう!?

 

「こ、コンパさん、どうしたら……」

 

「せっかくですし、夢人さんと一緒に行ってきたらどうですか?」

 

「な、な、な、ななな何で夢人さんとなんですか!?」

 

 ど、どどうしてそこで夢人さんの名前を出すんですか!?

 

 私、コンパさんに夢人さんが好きって言ってないのに!?

 

 も、も、もしかして、私の気持ちってバレバレなの!?

 

「……? どうしてそんなに慌てるんですか?」

 

「だ、だだ、だだだって!?」

 

「この機会にアカリちゃんにも温泉を体験させてきてあげるといいです。アカリちゃんは生まれたばかりですし、パパとママと一緒に楽しい思い出を作ってあげるべきですよ」

 

 そ、そっか、アカリちゃんのためか。

 

 ふぅ、思わず焦っちゃいましたよ。

 

 ……でも、コンパさんの言う通りですね。

 

 アカリちゃんがいくら『再誕』の女神と言っても、今は赤ちゃんで、私がママで、夢人さんがパパなんですよね。

 

 一緒にいる時間を作ってあげた方がいいはず。

 

 私自身、アカリちゃんにママって呼ばれているのに、ママらしいこと何もできていなかった。

 

 この旅行で楽しい思い出を作ってあげたいな。

 

「それじゃ、皆で……って、あれ? 3名様?」

 

「3人までなら、ちょうどですね。本当運がよかったです」

 

 ……うん? 3名まで?

 

 アカリちゃんのための温泉旅行だから、アカリちゃんと夢人さんは決定。

 

 そして、私も一緒に行くから、これで3に……って、私達だけで行くの!?

 

 む、むむむむ無理だよ!?

 

 いくらアカリちゃんのためと言っても、これは無理!?

 

 この間あんな状態で寝たのだって、いっぱいいっぱいだったんだよ!?

 

 それなのに、3人で旅行だなんて……あうううううぅぅぅぅぅぅ。

 

 で、でも、これってチャンス、なのかな?

 

 この旅行で少しでも夢人さんに私を意識してもらえるかもしれない。

 

 う、うん、頑張ろう、私。

 

 恋愛も全力で頑張るって決めたんだ。

 

 ……夢人さん、一緒に行ってくれるかな?

 

 私はどうやって夢人さんを誘うか、悶々と悩みながら教会へと帰りました。

 

 でも、教会には夢人さんの姿はなく、今日はお姉ちゃんやアイエフさんと一緒にラステイションに泊まると連絡があったといーすんさんが言っていました。

 

 何かあったのかな?

 

 

*     *     *

 

 

「いや、本当にノワールが元に戻ってくれてよかったよ」

 

「……ケイにも大分迷惑をかけたわね」

 

「なに、いつものことだよ。教祖になってから、君達に迷惑をかけられなかったことなんてなかったと思うな」

 

「なによ、その言い方」

 

 言葉とは裏腹に2人の表情は柔らかい。

 

 それだけお互いが信頼し合ってる証拠だと、俺は思った。

 

「さて、今日はもう遅いし、夢人君達もここに泊って行くといい」

 

「ありがとうございます」

 

 日も沈んでしまいそうな今の状態で帰るのは危険だ。

 

 ワンダーを置いて行くわけにはいかないから、当然俺はバイクで帰らなければいけないが、今日はもう切り札のアーマーモードを使ってしまい、再使用まで時間がまだかかる。

 

 そんな時にモンスターに襲われたら、確実にやられてしまうだろう。

 

 ここはケイさんの厚意に甘えさせてもらおう。

 

「それじゃ、私はイストワ―ル様に連絡してくるわね」

 

「ああ、頼む」

 

 イストワ―ルさんに連絡入れとかないとな。

 

 どこかの誰かさんは俺が帰ってきたことを連絡し忘れて、危うく俺が幽霊扱いされそうになったもんな。

 

「いーすん達によろしくね! それじゃ、まずはご飯から食べようよ! わたし、お腹ぺっこぺこなんだ!」

 

「わかってるわよ。すぐに準備するわ。付いてきなさい」

 

 俺達はノワールの先導によって食堂に案内された。

 

 ああ、懐かしいな、ここ。

 

 初めてラステイションに来た時は、ユニに奴隷扱いされて、教会で寝泊まりしていたんだよな。

 

 あの時はいろいろあって空気が重かったけど、今回は楽しく食事ができたらいいな。

 

「ねえねえ、今日の献立は何なの?」

 

「いいから黙って待ってなさいよ」

 

「ぶぅー、ノワールのケチ。教えてくれたっていいじゃん」

 

「まあまあ、何が来るか楽しみにしておくのも食事の楽しみの1つでしょ?」

 

「それもそっか。さすがファルコム、いいこと言うね」

 

 ネプテューヌはまた調子のいいことを……

 

 ファルコムを見てみろよ、どういう表情をしていいかわからなくて困った風に笑ってるじゃないか。

 

 ネプテューヌの言動に思わずため息をつきたくなるほど呆れてしまった。

 

 もう何回、彼女が本当にネプギアの姉なのかと思ったことか。

 

 本当は姉妹逆転してるんじゃないか?

 

 『変身』後は、あんなに頼もしいのにな。

 

「お待たせしました」

 

「待ってました! ユニちゃん、今日の献立は何なの?」

 

「メインはハンバーグで、付け合わせにポテトと野菜のサラダを用意しました。ご飯とパン、どちらがいいですか?」

 

「じゃあ、今日はご飯の気分だから、ご飯大盛りでお願い!」

 

「わかりました」

 

 食堂にユニが夕食を持ってやってくると、すぐにネプテューヌは早速食いついていった

 

 でも、ユニってネプテューヌ相手だと敬語なんだな。

 

「夢人はどうする?」

 

「俺もご飯で頼む」

 

「わかったわ」

 

 俺相手だと敬語なしか……ノワールと同じ女神相手だと敬語なのか?

 

 俺以外でもアイエフやファルコム相手だと敬語じゃなかった気がするし。

 

「はい、大盛りにしといたわよ」

 

「おお、サンキュー」

 

「おかわりもあるから安心してね」

 

 いや、そんなに食べないって。

 

 俺は苦笑気味に笑いながら茶碗をユニから受け取った。

 

 そして、ユニはノワール達にも同じように尋ねながら、配膳をしていく。

 

 なんかユニの意外な一面を見た気がする。

 

 ユニがちょうどこの場にいる全員の配膳が終わった時に、アイエフが食堂にやってきた。

 

「もー、遅いよ、あいちゃん。わたしもうお腹ぺこぺこで、お腹と背中がくっついちゃうところだったんだからね」

 

「別にネプ子がどうなろうが構わないわよ……遅れちゃってごめんなさいね」

 

「構わないわ。さあ、席に座りなさい」

 

「ヒドイ!? あいちゃんはわたしが嫌いなの!?」

 

 アイエフも席に着いたことで、俺達はネプテューヌを無視して食事を始めることにした。

 

「あ、あれ? 無視? 無視なの? 今日、わたし何回も無視されて泣きそうなんだけど、ねえねえ、ちょっと聞いてるの?」

 

「……うるさいわね、静かに食べなさいよ。お腹すいてたんでしょ?」

 

「ううぅぅ、なんか納得いかないよ」

 

 だから、黙って食べてろっての。

 

 変なこと言うから無視されるんだぞ。

 

 ラムだって食事中は行儀よくしてたのに。

 

 ……まあ、いいか。俺も早く食べよう。

 

 俺がハンバーグに箸を伸ばそうとした時、なぜか正面から妙な視線を感じた。

 

「……ジーッ」

 

 俺の正面に座っているユニが何故か箸の行方をすごく凝視している。

 

 な、なんだ?

 

 箸をハンバーグに近づけようとすると、顔まで近付けてきて、最早睨むと言った方がいいほど見つめてくる。

 

 行儀は悪いが、試しにポテトの方へと箸を向けると、あからさまにがっかりと眉を下げて悲しそうな表情になった。

 

 これって、ハンバーグを食べろってことだよな?

 

 おそらくユニの注文通り、俺はハンバーグを一口サイズに切り、箸でつかみ上げた。

 

 その様子を心配そうにユニは見つめてくる。

 

 え? なにその顔? 何でそんな顔になってんだよ?

 

 わけがわからなかったが、俺はそのままハンバーグを食べた。

 

 ……うん、変な味はしないな。

 

 むしろ、美味しいだろ、これ。

 

 心配そうな顔をしていたから、何か入ってるんじゃないかと思った。

 

「……ど、どうだった?」

 

「うん? ハンバーグのことか? 美味しかったぞ」

 

「ほ、本当!?」

 

「お、おう」

 

「……よかった」

 

 安心して顔を綻ばせたユニを見て、俺はようやく気付いた。

 

 このハンバーグ、もしかしてユニの手作りだったんじゃないか?

 

 だから、味のことを聞いてきたり、反応を見てたりしたんだな。

 

「……にやにや」

 

「……にやにや」

 

「なによ、そこの2人。言いたいことがあるのなら言えばいいじゃない」

 

「いや、別に。ユニって可愛いなって思っただけだよ」

 

「そうですよ、ユニお姉さんって可愛いですよね」

 

「う、うるさいわよ!? 黙って食べてなさいよ!?」

 

 ユニが顔を真っ赤にしてフェルとファルコムに叫んでいるが、その顔はどこか嬉しそうだった。

 

 でも、今日は本当にユニの意外な一面を知れたな。

 

 やっぱり、ノワールがいなかったことで意地を張っていた部分があったんだろう。

 

 この姿が本当のユニなんだな。

 

 俺はそう考えると、頬が緩むのを止められなかった。

 

 ユニのことが知れて嬉しいと思ったからだ。

 

「……なによ、その顔」

 

「いや、本当にこのハンバーグ美味しいなって思ってさ」

 

「ふ、ふん、そ、そこまで言うなら、アタシの分もあげるわよ」

 

「いいのか?」

 

「いいの。アタシ、1人じゃこの量食べきれないのよね」

 

 ユニは嬉しそうに笑いながら、自分の皿に乗せらていたハンバーグを半分だけ俺の皿に移した。

 

 明らかに嘘をついているとわかったが、俺ももっと食べたいと思っていたのでありがたく受け取ろう。

 

「ありがとうな」

 

「ふふ、いいのよ。その代り、しっかりと味わって食べなさいよね」

 

 もちろん、しっかりと味わって食べるさ。

 

 おかわりはしないと思っていたけど、これならご飯も進むな。

 

 

*     *     *

 

 

 食事も終わり、皆でお茶を飲んでいると、突然ネプテューヌが言いだした。

 

「そうだ! ちょっと見たいものあるからテレビ使っていい?」

 

「別にいいわよ。ちょっと待ってね、今チャンネルを……」

 

「ああ、チャンネルはいらないよ。えっとね、ちょっと待っててね」

 

 ネプテューヌは席を立ち、テレビに自分のNギアを接続し始めた。

 

 見たいものって、何なんだ?

 

 接続が終わり、満足そうに額を拭いながら笑みを浮かべるネプテューヌを見て、俺はこれから映される映像に興味が湧いてきた。

 

 変な行動を取ることは多いが、楽しむことにかけてはネプテューヌは一級品だ。

 

 まだ付き合いは短いが、それは確かだと俺は思う。

 

 きっとこれから流す映像も楽しめるに違いない。

 

「それじゃ、皆で見ようか。スイッチ、オーン!」

 

 そう言って、ネプテューヌがNギアのスイッチを入れたことにより、真っ暗だったテレビの画面に映像が映り始めた。

 

 そこには見覚えのある森と、人物達が映っていた。

 

〔あなたはノワルンを誘き寄せるための餌よ。さあ、泣き喚いてノワルンを呼びなさい〕

 

〔た、助けて、ノワルン!?〕

 

〔……どうやら来ないみたいね。なら、あなたに用はないわ。ここで死……〕

 

〔待ちなさい!!〕

 

 ……そこには数時間前に行った魔法女神☆ノワルンの最終話になる予定だった俺達の演技が映っていた。

 

 って、何でこれがあるの!?

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!? 何でこんな映像があるのよ!?」

 

「ふ、ふ、ふ、実はワンちゃんに映像記録として保存しておくように頼んでおいたんだよね」

 

 そ、そう言えば、ネプテューヌがワンダーに何か言っていたが、そんなこと頼んでいたのか!?

 

「何てことしてんのよ!? すぐに消しなさい!!」

 

「やーだよ。こんな面白いこと、ブランやベール達にも教えてあげなきゃね」

 

「あなたのせいでしょ!? 私がノワルンになったのは、あなたのせいよね、ネプテューヌ!? それを面白いって言うな!?」

 

 最初は罪悪感を感じて落ち込んでいたと思ったら、もう元気になりやがった。

 

 まあ、いつまでも落ち込んでいるよりはいいかと思うが、さすがにノワールが憐れだ。

 

 俺も黒歴史を皆に知られたから、その気持ちはよくわかる。

 

 ここはネプテューヌに言ってやらなくちゃな。

 

「おい、ネプテューヌ」

 

「なに、ゆっくん? もしかして、ゆっくんもデータ欲しい?」

 

「なに言ってんだよ。そんなもの………………欲しいに決まってるじゃないか」

 

「ちょっ!? 夢人までなに言ってんのよ!?」

 

 ごめん、ノワール。

 

 自分の欲求には抗えないんだ。

 

 俺もちょっぴりノワルンが面白いと思ってしまっていた。

 

〔……わかったわ。私があなたを止めてみせる。できるじゃない!! やるんだ!! 私がゲイムギョウ界も、ネプちゃんも救ってみせる!!〕

 

 テレビの画面では、ノワルンが涙の浮かべ、決死の表情でネプテューヌに向かって叫んでいるシーンが流されている。

 

 誰も止めるものがいないため、どんどんノワルンの映像が流れて行く。

 

 この場にいる俺達3人以外、どんなことがあったのか知らないので皆も興味津津だ。

 

「み、皆も見ないで!? お願いだから、見ないでよ!?」

 

「ぷっ、いいじゃないか。今では笑い話ですむんだから、僕にもデータをくれないかい?」

 

「もちろんオッケー!」

 

「ケイまで!? もう、いやあああああ!?」

 

 こうして、笑い話ですんで本当によかったんだよ。

 

 ノワールには少し悪いが、これでノワルンで苦労した分は皆水に流せるんだから、勘弁してもらおう。

 

 こうして、俺は前にラステイションで過ごした時よりも、にぎやかで楽しい時間が過ごせた。

 

 ……だが、この時の俺はプラネテューヌの教会でなにが待っているのかを、まだ知らなかった。




という訳で、今回は以上!
まあ、今回は導入ってことでメインのあの方が出ていませんが、次回から出していきますのでお楽しみに!
後、劇場版ノワルン、余裕できたら作ろうと思います。
多分、二月の中旬あたりになるかな?
その時になったらまた連絡しようかと思いますね。
それでは、 次回 「癒しを求めて」 をお楽しみに!

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