超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
よし、今日は作成途中で寝なかったぞ。
最近は温かくて眠い日々が続いているですよね。
それでは、 帰ってきた女神通信(ノワール編) はじまります


帰ってきた女神通信(ノワール編)

「……いよいよ最後の戦いなんだね」

 

「ええ、皆の犠牲を無駄にしないためにも、絶対に犯罪神を倒すわよ」

 

 私の独り言に隣で『変身』したネプちゃん、ネーテルが目の前にそびえているマジェコンヌの本拠地をまっすぐに見つめながら応えてくれた。

 

 一度はマジカルパワーを奪われてしまった私だったけど、私の中に残されていたマジカルパワーとネプちゃんのネガティブパワーが互いに反発しあうことで、私達は再びマジカルヴィーナスに『変身』することができたんだ。

 

 そして、これからマジェコンヌのボス、犯罪神との最後の決着をつけるために私達は2人で本拠地に乗り込む。

 

 これまで犠牲になったブランちゃんとベールちゃんのためにも……

 

 そして、捕まっているユニちゃんを助けるために、私達は絶対にマジェコンヌを壊滅させる!

 

「……ノワール、ありがとう」

 

「いきなりどうしたの? 急にお礼を言うだなんて」

 

「ふふ、これが最後だと思ったら急に言いたくなったのよ。思えば、ずっと一緒に戦ってきたのね」

 

 ネプちゃんとはずっと一緒に戦ってきた。

 

 同級生としてはいつも授業中に寝てばかりのネプちゃんだったけど、マジカルヴィーナスとしての彼女には何度も助けられた。

 

 私が捕まりそうになった時、代わりに捕まってしまい、洗脳された彼女と戦った時は本当に胸が痛かった。

 

 もうそんな悲しい思いはしたくない。

 

「最後じゃないわ。ユニちゃんを助けて、必ずゲイムギョウ界を救いましょう!」

 

「ええ、行くわよ、ノワルン!」

 

「遅れないでよ、ネーテル!」

 

 こうして、私達の最後の戦いの火ぶたが切って落とされたのでした。

 

 魔法女神☆マジカルノワルン 最終回 始まり……

 

 

*     *     *

 

 

 待って待って待って!?

 

 何よ、これ!?

 

 いきなり変なVTRから入るんじゃないわよ!?

 

 大体なんで私の時だけ、こんな演出があるのよ!!

 

 いつもみたいに私のコメントから入るのが女神通信の暗黙の了解みたいなものじゃなかったの!?

 

 ……え、視聴者サービス?

 

 あれが好評だったから続編制作決定って……やめて!?

 

 そんなことになったら、恥ずかしすぎて、もう外を歩けないじゃない!?

 

 ちょっ!? ここで巻きの指示!?

 

 冒頭で茶番なんてしているから時間がなくなるのよ、もう!?

 

 絶対に続編は作らないんだから!!

 

 それでは、 帰ってきた女神通信 ノワール編 始めるわよ!

 

 絶対に作らないんだからね!!

 

 

*     *     *

 

 

 ……それは、私がまだマジェコンヌに捕まる前の話、私はケイにある提案をした。

 

「……ユニのための武器、それはX.M.B.ではダメなのかい?」

 

「今のあの子じゃ、あれを使いこなせないわ。精々、一発撃って目を回して気絶するのが落ちね」

 

 私はユニのための新しい武器を作ることをケイに提案した。

 

 理由は、ユニに自信を持ってもらうためだ。

 

 あの子は自分のことを過小評価し過ぎている、そう私は見ている。

 

 女神としてのポテンシャルは決して私に劣るものではないはずなのに、自分と私を比べて最初から諦めてしまっている。

 

 憧れと言えば響きはいいかもしれないけど、それは結局手の届かないものを眺めていることしかできない。

 

 憧れとは常に自分の数歩先を行くものだ。

 

 憧れるからこそ努力を怠らず前に進めるのだが、あの子の場合は違う。

 

 あの子はそこで満足してしまっているのかもしれない。

 

 自分じゃ絶対に私には敵わない。

 

 自惚れでなければ、私はユニから尊敬される姉として接することができているだろう。

 

 私があの子を自慢の妹だと思うのと同じように、あの子も私のことを誇らしく思っていると思いたい。

 

 ……実際、ちょっと厳しくし過ぎたかな、とも思わないでもないけど、これも全部あの子のためと思っている。

 

 私があの子に仕事を手伝わせるのはその一環だ。

 

 私と一緒に女神の仕事をすることで、女神としての自信を持たせ、立派な女神になってもらいたいと願っている。

 

 でも、どうやらあの子はそれを勘違いしているのかもしれない。

 

 私と一緒に仕事をすることで、自分が私に劣っている勘違いしているんじゃないかと思う。

 

 その最たる例が『変身』だ。

 

 女神の力の象徴ともいえる『変身』をあの子はまだ成功させたことがない。

 

 ネプテューヌの妹のネプギアや、ベールが新しく妹にしたナナハって言う子ですら『変身』ができる。

 

 これはあの子が現状に満足しているのが原因ではないかと考えている。

 

 自分はずっと私の後ろを歩いていればいいと思っているのかもしれない。

 

 女神としての一歩を踏み出せていないのだ。

 

 停滞していることが悪いとはいえないが、いつまでもその状態が続くとあの子自身の立場が悪くなってしまう。

 

 女神の力の源は、私達を信仰する人々の力、シェアである。

 

 もしも、この先ユニが『変身』することができず、国民から女神として認められない可能性がある。

 

 そうなってしまったら、あの子は緩やかな死を迎えてしまう。

 

 覚めることのない眠りについてしまうだろう。

 

 信仰とは強制ではない。いくら私達があの子のことを信仰してくれと頼んでも、それは偽りの信仰となってしまい、あの子の力とはならない。

 

 そんな未来を回避するために、私はあの子に自信を持ってもらわなければいけない。

 

 姉として、大切で大好きな妹を守るために。

 

「X.M.B.は、ユニが『変身』した状態での運用を前提として設計されているのよ。私はあの子が今の状態でも使える武装を提案しているの」

 

「それはわかるんだけど、本当にそれは必要なのかい? 彼女は別に今の武器でも充分に戦え……」

 

「それがいけないのよ。私はあの子に今のままで満足してもらいたくないの」

 

 ユニが努力しているのは知っている。

 

 あの子は自分の努力を自慢したりせず、陰で地道に力を付けて行くタイプだ。

 

 あの子に任せた書類が段々良くなっていったりするのを確認することが楽しみの1つで……って、関係ないわね。

 

 努力をすることはいいのよ。

 

 でも、立ち止まったままのあの子は次の自分の足を付けるべき場所を見失っているのだ。

 

 憧れを募らせるばかりで、目標を高くし続けている。

 

 高すぎる目標にどうすればいいのだかわからなくなっている状態なのだ。

 

 ……これは私の責任ね。

 

 私がよかれと思って一緒に仕事をさせたことが、逆にあの子の足を止めてしまった。

 

 私がいれば、自分なんていらないと思っているのかもしれない。

 

 そんなことはない!! ってあの子を抱きしめて言ってあげたいけど、これはあの子が越えるべき壁なんだ。

 

 私の力を借りずに、あの子だけの力で乗り越えなければいけない。

 

「だから、今よりも強力な武装を持たせることで自覚させたいのよ。自分の可能性を、あの子だけの道を」

 

 進んでいく道は1つじゃない。

 

 今のユニは私が進んでいる道しか見えていないかもしれないけど、あの子にも必ず自分の進む道がある。

 

 見えている道は安心感があって簡単に踏み出せるけど、それじゃダメなんだ。

 

 それでは自分の可能性を潰してしまう恐れがある。

 

 今のあの子はちょうど分岐点で立ち止まっている。

 

 このまま私の真似をして、ずっと比べられて劣等感を感じるか、私とは違う道を選び、自分だけの誇れる可能性を見つけることができるかの。

 

 私はあの子には辛いだろうが、違う道を選んでもらいたい。

 

 私の後ろではなく、隣を歩く存在になってもらいたいから。

 

「無理なのは承知しているわ。でも、お願い、力を貸してほしいの。あの子のためにも、ケイの力が必要なのよ」

 

「……ふぅ、やれやれ、君が一言、道を示してあげれば済む話だと思うんだけどね」

 

「それじゃ、あの子のためにならないわ。あの子が自分で決めなければ意味がないのよ」

 

「その通りだね……わかったよ、僕も協力しよう」

 

 ケイは柔らかく頬を緩めて、右手を差し出してきた。

 

 交渉成立の握手、私はその右手を強く握ってそれに応えた。

 

 そして、私はケイと一緒にユニの新しい武装を設計し始めた。

 

 設計途中で、私がマジェコンヌに捕まってしまうと言うトラブルがあったが、ケイなら必ずユニのために新しい武装を完成させてくれることを信じていた。

 

 しかし、そんな私の思いはユニ自身に届くことはなく、あの子は間違った自信を手に入れてしまった。

 

 それを見たケイは設計を途中で中断させて、新しい武装は完成することはないと考えていたらしい。

 

 でも、そんなユニを救ってくれた存在のおかげで、別の形としてあの子に私の思いを託すことができた。

 

 ……あの子を救ってくれた勇者、夢人のおかげでね。

 

 

*     *     *

 

 

 ……その夢人なんだけど、今はちょっとしたピンチに陥っている。

 

「あ、あの~、そろそろ許して……」

 

「アンタ自分が許されると思ってるの? 人のお姉ちゃんを口説いておいて、何様のつもり? しかも、あんな歯が浮くようなセリフをポンポンと並べ立てて、お、お姫様抱っこまでして……」

 

「そうだ、そうだ!! 何やってるの!!」

 

「それに、なんでB.H.C.も使ってないのに、黒歴史を発動させてんのよ? さっさと答えなさい」

 

「そうだ、そうだ!! さっさと答えろ!!」

 

「ネプ子は黙ってて!!」

 

「あ、はい、ごめんなさい」

 

 今の夢人の状態は地面に正座して、ユニとアイエフに詰問されている。

 

 ネプテューヌは2人に混ざって野次を飛ばしていたが、アイエフに叱られて似合わない敬語で謝ってる。

 

 自業自得だ。私だって、あれをやられたらウザいと思う。

 

 彼は正座している痛みとは違う理由で体が震えて、若干だが顔が青く見える。

 

 無理もない、先ほどまで白いフェンリル、アイスフェンリルがいたのだ。

 

 周りの気温が下がっているってことは、当然地面も冷たくなっている。

 

 さぞかし今の地面は冷たいことだろう。

 

 そう考えると、今の彼の状態は軽い拷問状態だろう。

 

 仕方ない、助け船を出そうかしらね。

 

「2人とも、それくらいにしときなさい」

 

「で、でも、お姉ちゃん……」

 

「ノワール様、ですが……」

 

「質問するのはいいけど、彼の顔を見てみなさいよ。寒くて震えているじゃない」

 

 私の言葉にようやく2人は夢人が寒さで震えていることに気付いたようだ。

 

 まったく、ユニだけじゃなく、アイエフまで何でそんなに彼に厳しいのかしら?

 

「ほら、立ちなさい」

 

「あ、ありがとう」

 

 私は手を差し伸べて夢人に立ちあがるように促すと、彼はしっかりと私の手を握りながら立ちあがった。

 

 その足が震えているのは、きっと寒さのせいではなく痺れのせいだろう。

 

 あ、そう言えば、私彼に押し倒されたり、お姫様抱っこされた……って、考えちゃダメよ!?

 

 この手で強引に私の体を好き勝手されたなんて!?

 

 男の人にウサギちゃんだなんて呼ばれて、自分がお姫様になったかのように夢見心地だったなんて!?

 

 って、わああああああ!? 何変なこと考えているのよ、私!?

 

「ノワール?」

 

「なななな、にゃんでもにゃいわよ!?」

 

「お、おう?」

 

 今きっと顔が真っ赤になってる。

 

 寒さで顔が火照っているのがよくわかってしまうのが、余計に恥ずかしさを倍増させてしまう。

 

 そ、それにまだ着替えてないから、魔法少女のコスプレしてんのよね。

 

 私が仕事の合間に隠れて作っていた秘蔵のコレクションを皆の前で着て、あ、あんなことしてただなんて!?

 

 恥ずかしさを自覚すると、今まで考えないでおいたことまで一気に押し寄せてくる。

 

 これじゃ、ただの変な女じゃない!?

 

「ノワール? どうし……まさか!? まだノワルンの影響が……」

 

「ノワルン言うな!? 元はと言えば、あなたのせいじゃない!!」

 

「痛い痛い痛い!? 割れちゃう!? 頭が割れちゃうよ!?」

 

「……いっそ、その空っぽの頭を割ってやろうかしら?」

 

「ちょっ!? それ冗談に聞こえないよ!?」

 

 ええ、もちろん本気で言ってるもの。

 

 私は全ての元凶であるネプテューヌの頭をアイアンクローで持ち上げながら、本気で頭を割ってやるくらいの気持ちで力を込め続ける。

 

 そうよ、全部ネプテューヌが悪いんじゃない!!

 

 私が疲れたなんて錯覚したのも、私がノワルンなんてものになったのも、私が夢人に……ううううう、もう全部コイツが悪いのよ!!

 

「はいはい、落ちついて落ちついて」

 

「今はお兄さんに話を聞きましょうよ?」

 

「……そうね、ネプテューヌへの制裁はいつでもできるんだし」

 

「イタタタ、ありがとう、ファルコムにフェル君……でも、わたしもしかして助かってない?」

 

 助かってるわけないでしょ?

 

 私だけじゃなく、きっとイストワ―ルからもお説教がされると思うわ。

 

「それじゃ、お兄さんはどうしてB.H.C.を使っていなかったのに、黒歴史が発動したんですか?」

 

「……それがよくわかんないんだよ。頭の中でアカリが、俺を強い俺にするって言ったと思ったら、B.H.C.を使ってた時と同じ感覚に襲われて、気付いたらああなってた」

 

「……まったく意味がわからないんだけど、とりあえず、アカリちゃんは今どうしてるの?」

 

「さっきアイスフェンリルについてた欠片を食べたと思ったら、すぐに眠っちゃったよ」

 

 正直、夢人の話しだけじゃ、わからないことが多すぎてよくわからないわね。

 

 でも、確実にわかることは、あの夢人の変化はアカリの仕業だってことだ。

 

 でも、アカリにそんなことができるのかしら?

 

〔うむ、つまり、アカリの力によって夢人は黒歴史を発動させたのだな。これはもしかすると、私との会話のせいかもしれない〕

 

「ん? 何の話をしていたのよ?」

 

〔ラステイションの女神がどうしてあんなに強かったのを話していたのだ。私は強い思いが強い力となると答えたのだが、アカリはそれを勘違いして受け取ったのかもしれない〕

 

「……それって、黒歴史になると強くなるってことじゃ……」

 

〔……肯定だ〕

 

 なんなのよ、それ!?

 

 それじゃ、夢人の変化は私の黒歴史を見たアカリの仕業ってことじゃない!?

 

 確かに、普段以上に力が振るえたことは覚えているわよ。

 

 自分が星を取って無敵状態になった感覚に陥ったわ。

 

 でもね、そんなの参考になんてしないでよ!?

 

「……そうなると、『再誕』の力って本当に何なのかしら? ゲイムギョウ界を救う力ってことで、すごい力なのはわかってたんだけど、どんな力なのかまったく想像できないわ」

 

「そうだよね、なんでアカリちゃんだけそんなカッコいい二つ名があるんだろうね。わたしも何か考えようかな? 疾風の女神、ネプテューヌ! あ、これじゃ、あいちゃんと被っちゃうかな」

 

「……後で覚えておきなさいよ、ネプ子」

 

 これは話を脱線させてふざけたネプテューヌの自業自得ね。

 

 しまったって顔をしても誰も助けてなんてやらないわよ。

 

 でも、本当に『再誕』ってどんな力なのかしら?

 

 それに、よくよく考えてみれば、アカリはどうして夢人の体に入っているの?

 

 生まれる前はそれでもよかったと思うけど、どうして生まれた後でまで彼の中にいるのだろう。

 

 こうして考えてみると、謎だらけの女神ね。

 

 いったいアカリは何を考えているのかしら?

 

 

*     *     *

 

 

 結局、答えを保留としたことにした私達は、今日の事件のことを皆にも伝えることにしたわ。

 

 ……ノワルンの方じゃなくて、欠片のことよ。

 

 突然『変身』できなくなったことや、普段そこに生息していないモンスター達が出現することを報告した。

 

 これは非常に厄介だ。

 

 慣れていないモンスターの相手ですら危険なのに、私達女神は『変身』できず、欠片を吸収したモンスターは通常よりも強くなっている。

 

 対処ができないわけではないが、厄介極まりない。

 

 充分に注意が必要だろう。

 

 でも、これで欠片集めの重要性がはっきりした。

 

 あんな危険な事態になる可能性がある欠片を放置しておくわけにはいかない。

 

 もっと捜索範囲を広げて欠片を探さなくてはならないかもしれないわね。

 

 夢人の記憶やアカリの力だけじゃなく、ゲイムギョウ界を守るためにもね。

 

 

 …………

 

 

 ……うん、大丈夫。

 

 夢人にときめいたのは、ノワルンだった私だ。

 

 あの私は乙女フィルターが全開だったから、彼のことを王子様だなんて勘違いしていたに違いない。

 

 私はチョロくない、チョロくない。

 

 そう、私は尻の軽い女なんかじゃないわ。

 

 って、まだ撮影続いてたの!?

 

 ゆ、夢人……も、もしかして、さっきの……

 

 って、私の手をいきなり握ってどうしたのよ!?

 

 え? 別スタジオで撮影がある?

 

 これが台本?

 

 ……『劇場版 魔法女神☆ノワルン 封印された女神』って、絶対にいやよ!?

 

 引っ張らないで!?

 

 離して、離してよ、夢人!?




という訳で今回はここまで!
まあ、さすがにノワルン状態での視点は入れられませんよね。
というより、この章、ネプギアを登場させられなかったことが悔やまれる。
気がつけば、ネプテューヌばかり書いてた……何故だ?
そして、次回から新章が始まります。
まあ、順番的にどこかは皆さんわかりますよね?
それでは、 次回 「硫黄の香とともに」 をお楽しみに!

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