SAO アソシエイト・ライン ~ 飛龍が如し ~(※凍結中) 作:具足太師
妄想が膨らみ、書いてしまいました。
作者は初心者でございます故、批評等はお手柔らかにお願いします。
特に、龍が如くの設定は知らない人は「何のこっちゃ!」な感じになると思いますので、ご了承下さい。
現実もそこそこ忙しいので更新はかなり遅いかもです。 もうグダグダですね(泣)
『 仮初の日常 』
無限の青い空と白い雲が広がっている空間。
その蒼穹に浮かび、
《 彼等 》は、その城で日々を過ごしていた。
†† ††
見渡す限りの大平原。
地は草で覆われ、所々には立派に成長し景色を彩る木々も多く立っている。ときおり吹く風が草木を揺らし、漂う香りと目が洗われるような風景が、その自然の豊かさを如実に表していた。
そんな大自然の中で、明らかに場違いと言える空間があった。
その中心には二つの影がある。
一つは人、もう一つは
人とは、男である。顔の表情は厳つく、見る者を圧倒する威圧感が滲み出ている。その身の丈は、180を超える。その身には、和風の真紅の鎧を纏い、絹で出来たような煌びやかな陣羽織を上に羽織っている。その両の手で、一目で名刀と解る日本刀を持ち、鎧の上からでも解る程の立派な体躯で構えを取っている。
一方、その男を睨む獣は、
一見すると、猪のように見える。一際 大きな体に、それとはアンバランスな短足の四本足。そして、豚の如き鼻に、口から生えるように伸びる二本の牙。まさしく、万人が抱く〝 猪のイメージ ”そのものと言って良かった。
では、何がありえないのか ―――――― それは、
その猪 ―――――― 正式名称を《 フレンジー・ボア
しかし、対峙する男にとって最早それは驚くに値しない。初めて相見えた際は、確かに驚いていた。しかし、
故に、男が顔に浮かべるのは、ただ目の前の獣に一切の油断を許さぬ覚悟のみである。
「ブルルルル……ッ」
「っ――――――!」
それから程無くして、対峙に変化が起きた。
先に動いたのは、フレンジー・ボアの方だ。僅かに体勢を低くし、右の前足で地面を擦り始めた。その足の動きと、体を弓のように曲げる体勢は、まさしく男に向けて突進を仕掛けようという意思が見えた。
対する男も相手の行動を読み取り、刀を構える体勢を より強固に整えた。全身から
「ブオオォォォ!!!」
更に数秒の対峙の後、フレンジーボアが怒声の如き咆哮を上げて突進を開始した。両者の間には20メートル近い距離があったが、それは瞬く間に縮まり、男へと向かっていく。
しかし、まるで暴走車が迫って来るような圧迫感に晒されながらも、男の体は その場から微動だにしない。
だが、恐怖で足が竦んでいる訳ではない。まして、動きが見えていない訳でもない。
その鋭い眼は全く揺らぐ事なく
迫り来る変化する、筋肉や関節の動き。
その四本足が地を蹴る度に飛び散る、土や草。
フレンジー・ボアの動き全てが、男の双眸には映っていたのだ。
フレンジー・ボアの姿が、男の視界を塞ぐ程の距離まで迫って来た。四本足が地を蹴る音が大きく響き、突進による凄まじい勢いが肌で感じる程だ。並の人間ならば、もう間に合わないと己が死を予感し、足が竦むだろう。
しかし、鎧武者の男は違った。
あと1秒にも満たない内に、鼻先が胴体に直撃するというタイミングに ――――――
―――――― 男の眼は、一際 大きく見開かれる。
刹那 ―――――― 左足で地を蹴り、体全体を右方向へと ずらした。
その動きは、まるで川を流れる静水や大気の動きを思わせる、とても自然で流麗な身のこなしである。無駄のない動きは、まるで木の葉が宙に舞うように軽やかで、見物する者がいれば目を瞠らせていただろう。
男の行動により、フレンジー・ボアは攻撃を外すばかりか、ごく僅かとはいえ明確な隙を男に与えた事になった。
そして男も また、自らで作り上げたその攻撃機会を逃す道理は無い。
「うおおぉぉぉぉぉ!!!」
凄まじい咆哮を上げ、両手に構えた刀で、敵の弱点たる首筋を一閃した。鋭い刃が深く相手の体に喰い込みながら、一筋の赤い線を縦に描き、
悲鳴を上げるフレンジー・ボア。同時に、フレンジーボアの上部に表示されていた
そして ―――――――――
パキィ―――――――――ン………
体が青白く輝き、まるで
それは周りの地面や男を僅かに照らし、後には何も残さず、そのまま完全に消え去ったのだ。
「………ふぅ」
1人になり、男は
この場に残ったのは、男1人だけである。つい数秒前まで、大きな猪がいた形跡など全く感じさせない、末恐ろしいまでの静寂。僅かに火照った男の肌を冷やすように、変わらず風が そよぐだけである。
無 ――――― その言葉ほど、この世界の“ 死 ”を表す言葉はないだろう。
だが、男には解っている。
これが、
(……さて。手に入った物は………)
戦闘体勢を完全に解き、全身の緊張を抜いた男は、視線を真正面に向ける。
すると、何もない所から紫色の
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経験値300を獲得 200Colを入手 上質なボア肉を入手
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続々と羅列されていく文字の数々。
「よし! これで、今晩の材料は揃ったな!」
その中で、一番右に表示された表記を確認するや、男は その表情に解りやすい程の喜色を露わにした。
この世界には、フレンジーボアを含め、数多の
そして男は求めていたのは、経験値でもなく、
人によっては、何とも馬鹿馬鹿しいと映る行為かもしれない。食材ならば、街に行けば いくらでも手に入る。わざわざ危険 極まりない巨大猪と戦って命を懸ける絶対性は皆無と言って良い。
だが、街の店で手に入る物よりも、こうして怪物と戦って得られる食材の方が美味なのが厳然たる真実だった。
少しの味の追求の為に、妥協はしない。それは何故か。
男には力がある。戦いに身を置き、生計を立てられるだけの常人ならざる力が。それも理由の1つだ。
だが、決して自分の為だけではない。彼は、自分の
(ふっ………すっかり、“ 戦い ”に魅入られちまったな、俺も)
感傷的な事を考えながら、内心で自嘲の笑みを溢す。だが、もはや男に後悔はない。守りたいものが守れるなら、それでも良いと既に割り切っている。
戦いなど ない方が幸せと思いながらも、戦いを楽しむ自分がいる事もまた、自覚している。その心身に背負う思いの二律背反もまた、力持つ者の
(………そろそろ、良い時間だ……帰るか)
目的は既に果たした。時間帯も あと少しで夕刻という事もあり、男は帰路へ着く事にした。その脳裏に、帰りを待っていてくれる家族や仲間の様々な顔を思い浮かべ、踵を返す。
そして一路、街の方へと歩を進め、黄昏に染まりつつある大平原を行く。
土と草を踏み締め、その身に涼しい風を受けながら、男はある事へと思いを馳せていた。
先程、フレンジーボアと相対した時から感じていた事である。
夕焼けを見ていると、どうしても思い出してしまうのだ。
それは、今からもう ――――――――― 2年近くも前の事
男と、この世界に住まう人間の運命を決定付けた、
書いていて思いましたが………小説も、クロスオーバーも難しい(今更)
作中、《 男 》としか書かれてませんが、察しの良い人には誰の事か解るでしょう。
次は、過去の話から始まります。